(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容液を収容する容器本体の口首部に装着されるベースキャップ部に対して往復動可能に設けられたポンプヘッド部を有し、該ポンプヘッド部が押圧されることにより、加圧された液室から混合室に前記内容液を送る第1流路と、加圧された空気室から前記混合室に空気を送る第2流路とを開放し、前記混合室に送られた前記内容液を前記混合室の泡生成部材にて前記空気と混合し発泡させて吐出する泡吐出器であって、
前記容器本体の内側に配置される、大径の前記空気室と該空気室の中央部にて垂下する小径の液導入室とを有するシリンダ部、前記空気室及び前記液導入室に亘って室内を上下動する筒状ピストン部材と該筒状ピストン部材より周方向外方に張り出して設けられて前記空気室の内周面に沿って摺動する摺動ピストン部材とからなるピストン部を備え、
前記ピストン部の前記摺動ピストン部材は、前記筒状ピストン部材の外周面に遊嵌された遊嵌エアーバルブと、該遊嵌エアーバルブの周方向外方側の下方先端部に密着当接可能で前記空気室の内周面に沿って摺動する摺動エアーピストンとを有し、
前記ポンプヘッド部を押圧して該ポンプヘッド部が降下している間においては、前記遊嵌エアーバルブの周方向外方側の下方先端部と前記摺動エアーピストンとが密着当接して、前記空気室への外気の流通が遮断され、前記ポンプヘッド部の押圧を解除して該ポンプヘッド部が上昇している間においては、前記遊嵌エアーバルブの下方先端部と前記摺動エアーピストンとが離間してそれらの隙間から、前記空気室へ外気が流通し、
前記遊嵌エアーバルブは、前記筒状ピストン部材の外周面に遊嵌する遊嵌筒状部と、該遊嵌筒状部の中間部から周方向外方に張り出す円環状部と、該円環状部の外周縁から垂下する外方筒状部とを有し、
前記摺動エアーピストンは、前記外方筒状部の下方先端部に密着当接可能な当接部と、その周方向外方端部に前記空気室の内周面に沿って摺動する外周ピストン部とを有しており、
前記ピストン部は、前記筒状ピストン部材の中間部の外周面から前記摺動エアーピストンの前記当接部に至るまで周方向外方に張り出す円環状の閉塞用凹状リブを有し、
前記ポンプヘッド部の押圧を解除して該ポンプヘッド部が上昇している間においては、前記閉塞用凹状リブの凹部と前記遊嵌エアーバルブの前記遊嵌筒状部の下端部とが密着当接して、前記第2流路を介した前記空気の流通が遮断される泡吐出器。
前記ピストン部の前記摺動ピストン部材は、前記摺動エアーピストンの前記当接部における前記閉塞用凹状リブの外周縁よりも外方の位置で且つ前記遊嵌エアーバルブの前記外方筒状部の下方先端部よりも内方の位置に、貫通する通気穴を複数有し、
前記ポンプヘッド部の押圧を解除して該ポンプヘッド部が上昇している間においては、前記閉塞用凹状リブの外方周縁部の上面と前記摺動エアーピストンの前記当接部の下面とが当接すると共に、前記遊嵌エアーバルブの前記外方筒状部の下方先端部と前記摺動エアーピストンの前記当接部とが離間して、該下方先端部及び該当接部の隙間から、前記通気穴を介して、前記空気室へ外気が流通する請求項1に記載の泡吐出器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の泡吐出器を、その好ましい第1実施形態に基づき、
図1〜
図6を参照しながら説明する。
第1実施形態の泡吐出器1A(以下、単に「泡吐出器1A」ともいう。)は、いわゆるポンプフォーマー容器に取り付けて用いるポンプフォーマーであって、従来のポンプフォーマーと同様に、容器本体8の口首部81に装着されて、内容液82と空気とを混合することにより泡状にして吐出する機能を備える。第1実施形態の泡吐出器1Aは、
図1に示すように、内容液82を収容する容器本体8の口首部81に装着されるベースキャップ部2に対して往復動可能に設けられたポンプヘッド部3を有し、該ポンプヘッド部3が押圧されることにより、加圧された液室11から混合室13に前記内容液82を送る第1流路14と、加圧された空気室12から混合室13に空気を送る第2流路15とを開放し、混合室13に送られた前記内容液82を混合室13の泡生成部材17において前記空気と混合し発泡させて吐出する泡吐出器1Aである。なお、各図において容器本体8は簡略されて描かれている。
【0010】
以下の説明においては、
図1〜
図6に示すように、泡吐出器1Aの軸方向をY方向、軸方向(Y方向)に直交する周方向をX方向として説明する。尚、泡吐出器1Aの軸方向(Y方向)及び周方向(X方向)は、それぞれ、容器本体8の軸方向(Y方向)及び周方向(X方向)と同じ方向である。また、
図1〜
図6に示すように、軸方向(Y方向)の内の泡吐出器1Aのポンプヘッド部3側を上方側として説明し、容器本体8側を下方側として説明する。
【0011】
第1実施形態の泡吐出器1Aは、
図1に示すように、容器本体8の内側に配置される、大径の空気室12と該空気室12の中央部にて垂下する小径の液導入室16とを有するシリンダ部4、空気室12及び液導入室16に亘って室内を上下動する筒状ピストン部材51と筒状ピストン部材51より周方向(X方向)外方に張り出して設けられて空気室12の内周面に沿って摺動する摺動ピストン部材52とからなるピストン部5を備えている。第1実施形態の泡吐出器1Aは、筒状ピストン部材51と摺動ピストン部材52とを、それぞれ同心状の直列配置にして組み入れた単一のシリンダ部4を含むポンプ6を有している。泡吐出器1Aは、ベースキャップ部2のY方向上方に突出するポンプヘッド部3の押し込みにより、ポンプ6の筒状ピストン部材51及び摺動ピストン部材52を作動させ、内容液82と空気をそれぞれシリンダ部4内で加圧、排出して、これらをポンプ出側に合流空間として設けた混合室13で混合し、泡状にしてポンプヘッド部3の吐出口31から外部に吐出させるものである。
【0012】
ベースキャップ部2は、第1実施形態では、
図1に示すように、円環状の天井部21と、天井部21の周方向(X方向)内周縁全域に亘って軸方向(Y方向)上方及び下方に立設する円筒状のガイドステム22とを有している。ガイドステム22は、天井部2の軸方向(Y方向)下面から立設する部分に比べ天井部2の軸方向(Y方向)上面から立設する部分の方が十分長くなるように形成されている。ガイドステム22のY方向下端部22bは、ポンプヘッド部3が押圧される前の状態において、後述する摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面に密着当接するようになっている(
図1参照)。また、ベースキャップ部2は、第1実施形態では、
図1に示すように、天井部21の周方向(X方向)外周縁全域に亘って軸方向(Y方向)下方に垂下する円筒状の外周壁23を有している。外周壁23の内面には、容器本体8の口首部81の外周に周設された螺条と螺合する螺溝が周設されている。このように形成されたベースキャップ部2により、ポンプヘッド部3が、容器本体8の口首部81に装着され固定される。
【0013】
ポンプヘッド部3は、第1実施形態では、
図1に示すように、ベースキャップ部2のガイドステム22に相対変位可能に挿入される円筒状の中空パイプ33を有しており、またポンプヘッド部3の上部先端部分には、泡状にした内容液を吐出する吐出口31を備えている。中空パイプ33の内部には、吐出口31に至る発泡流路32が形成されている。発泡流路32には、空気と内容液82とを混合する混合室13と、混合室13の下流側に混合液を泡状にする泡生成部材17とが設けられている。
【0014】
ポンプヘッド部3は、第1実施形態では、
図1に示すように、中空パイプ33のY方向下方部に、後述するように、上部が嵌め込まれて一体として連結された筒状ピストン部材51を介して、シリンダ部4の液導入室16に設けられたスプリング部材91の作用によって、上方に付勢されるようになっている。中空パイプ33と筒状ピストン部材51との連結部分、及び筒状ピストン部材51の構成については、後に詳述する。
【0015】
シリンダ部4は、第1実施形態では、
図1に示すように、ベースキャップ部2のガイドステム22と外周壁23の間の位置における天井部21の下面にフランジを介して一体化されており、容器本体8内へ垂下して形成されている。シリンダ部4は、その上部が大径の空気室12となっており、空気室12の中央部において空気室12から容器本体8の底部付近まで垂下する部分が小径の液導入室16となっている。
【0016】
ピストン部5は、
図1に示すように、空気室12及び液導入室16に亘って配置される筒状ピストン部材51と筒状ピストン部材51より周方向(X方向)外方に張り出して設けられて空気室12の内周面に沿って摺動する摺動ピストン部材52とからなる。ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51は、第1実施形態では、空気室12及び液導入室16に亘って配置され且つ液導入室16の内周面に沿って摺動する。具体的には、第1実施形態では、筒状ピストン部材51は、中空パイプ33のY方向下方部からシリンダ部4の空気室12を通過して液導入室16のY方向上端部に亘って配される外側円筒部511と、外側円筒部511の内側に配され液導入室16のY方向中間部まで延在する内側円筒部512と、内側円筒部512のY方向下端部から周方向(X方向)外方に張り出して設けられて液導入室16の内周面に沿って上下に摺動する密着摺動部513とを有している。筒状ピストン部材51は、中空パイプ33のY方向下方部に外側円筒部511のY方向上端部が嵌め込まれて一体連結され、外側円筒部511のY方向下端部の内周面と内側円筒部512のY方向上端部の外周面とが嵌合して一体連結されて形成されている。更に詳述すると、中空パイプ33のY方向下方部における外側円筒部511との連結部よりも下方の下端部では、中空パイプ33の内周面と外側円筒部511の外周面との間に間隔が設けられており、該間隔に、後述する摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521を構成する遊嵌筒状部522のY方向上端部が、遊びを設けて嵌め込まれている。中空パイプ33のY方向下端部先端33bは、ポンプヘッド部3が押圧される前の状態においては、後述する摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面から間隔を空けて配されている(
図1参照)。そして、中空パイプ33のY方向下端部先端33bは、ポンプヘッド部3が押圧された状態においては、後述する円環状部523の上面に密着当接するようになっている(
図3,
図4参照)。
【0017】
上述したように、ポンプヘッド部3を構成する中空パイプ33のY方向下方部と、ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51の外側円筒部511のY方向上端部とは、嵌め込まれて一体として連結されているが、第1実施形態では、
図1に示すように、連結されている部分において、中空パイプ33の内周面の一部、又は筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面の一部に、Y方向の上方及び下方に延びる線状切り欠き溝が形成されている。この線状切り欠き溝が、空気通路である第2流路15の一部となる。
【0018】
以上のように筒状ピストン部材51が構成されているため、外側円筒部511、内側円筒部512及び密着摺動部513からなる筒状ピストン部材51と、ポンプヘッド部3の中空パイプ33とは、一体となって上下動するようになっている。尚、外側円筒部511のY方向下端部は、
図1に示すように、その外径が、シリンダ部4の液導入室16の内径よりも小さくなっている。また、内側円筒部512のY方向下端部の密着摺動部513は、液導入室16の内周面に沿って摺動すると共に、スプリング部材91を支持する役割を担う部材である。
【0019】
また、ピストン部5は、第1実施形態では、
図1に示すように、筒状ピストン部材51の中間部の外周面から、後述する摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526に至るまで周方向(X方向)外方に張り出す円環状の閉塞用凹状リブ514を有している。詳述すると、閉塞用凹状リブ514は、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面における、後述する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522より下方の位置から周方向(X方向)外方に張り出して形成されている。閉塞用凹状リブ514は、外側円筒部511寄りのX方向内周縁部に、後述する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が入り込んで当接する凹部515を有している。ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間においては、閉塞用凹状リブ514の凹部515と後述する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522の下端部とが密着当接して、第2流路15を介した空気の流通が遮断される。即ち、筒状ピストン部材51の閉塞用凹状リブ514の凹部515に、後述する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が挿入されて当接されることにより、空気流路である第2流路15を、その入口部分において閉塞することが可能になる。
【0020】
閉塞用凹状リブ514は、第1実施形態では、
図1に示すように、凹部515よりもX方向外方の外周縁部の上面と後述する摺動エアーピストン525の当接部526の下面とが、ポンプヘッド部3が押圧される前の状態においては、当接するようになっている。また、閉塞用凹状リブ514は、ポンプヘッド部3が最も押圧された状態、即ち、ポンプヘッド部3とベースキャップ部2のガイドステム22の天面が当接するポンプヘッド部3が所謂下死点に位置する状態においても、シリンダ部4の空気室12の底部に当接しない位置に設けられている(
図4参照)。
【0021】
また、第1実施形態では、
図1に示すように、筒状ピストン部材51を構成する外側円筒部511のY方向中間部の内部には、液室11が形成されており、液室11とポンプヘッド部3の混合室13との間には、ボール弁92が配置されている。また、シリンダ部4の液導入室16の内部には、筒状ピストン部材51を構成する密着摺動部513よりも下方にスプリング部材91が配されている。更にスプリング部材91のX方向内側で、且つピストン部5を構成する筒状ピストン部材51の内側円筒部512のX方向内側に、液導入室16の上下方向に延びるポペット弁93が配されている。
【0022】
ピストン部5を構成する摺動ピストン部材52は、第1実施形態では、
図1に示すように、筒状ピストン部材51のY方向の両端部間の長さの略半分の位置から周方向(X方向)外方に張り出して設けられている。摺動ピストン部材52は、筒状ピストン部材51の外周面に遊嵌された遊嵌エアーバルブ521と、遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部に密着当接可能で空気室12の内周面に沿って摺動する摺動エアーピストン525とを有している。遊嵌エアーバルブ521と摺動エアーピストン525とは、分離可能に形成されている。遊嵌エアーバルブ521は、第1実施形態では、
図1に示すように、筒状ピストン部材51の外周面に遊嵌する遊嵌筒状部522と、遊嵌筒状部522から周方向(X方向)外方に張り出す円環状部523と、延環状平板部523のX方向外周縁から垂下する外方筒状部524とを有している。以下、遊嵌筒状部522、円環状部523及び外方筒状部524について詳述する。
【0023】
第1実施形態では、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522は、
図1に示すように、筒状ピストン部材51の外側円筒部511に形成された閉塞用凹状リブ514よりもY方向上方に、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されている。また、遊嵌筒状部522における円環状部523よりもY方向上方の部分が、中空パイプ33の内周面と外側円筒部511の外周面との間の間隔に、遊びを設けて嵌め込まれている。尚、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面と摺動ピストン部材52の遊嵌筒状部522の内周面との間の隙間が、空気通路である第2流路15の一部となる。
【0024】
第1実施形態では、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523は、
図1に示すように、遊嵌筒状部522のY方向の両端部間の長さの略半分の位置から周方向(X方向)外方に、中空パイプ33のY方向下端部先端33bの位置を越え、更に、ベースキャップ部2のガイドステム22のY方向下端部22bの位置に至るまで円環状に張り出して形成されている。円環状部523は、その上面に、ポンプヘッド部3が押圧された状態において、中空パイプ33のY方向下端部先端33bが密着当接し(
図3,
図4参照)、ポンプヘッド部3が押圧される前の状態において、ガイドステム22のY方向下端部22bが密着当接するようになっている(
図1参照)。円環状部523は、第1実施形態では、周方向(X方向)に平行に延びる平板状の円環状平板部となっているが、周方向(X方向)に対して傾斜して延びる例えば円環状外側下方傾斜部からなっていてもよい。
【0025】
第1実施形態では、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524は、
図1に示すように、延環状平板部523のX方向外周縁から垂下して円筒状に形成されている。第1実施形態では、外方筒状部524のY方向下端部が、遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部に相当する部位である。外方筒状部524のY方向下方先端部が、後述する摺動エアーピストン525の当接部526と密着当接することにより、空気室12内の空気が第2流路15(空気流路)にのみ流すことが可能になる(
図2,
図3,
図4,
図5参照)。
【0026】
摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525は、第1実施形態では、
図1に示すように、その周方向(X方向)内方端部に外方筒状部524のY方向下方先端部に密着当接可能な当接部526と、その周方向(X方向)外方端部に空気室12の内周面に沿って摺動する外周ピストン部527とを有している。摺動エアーピストン525の当接部526は、その上面に、外方筒状部524のY方向下方先端部が密着当接するようになっており(
図2,
図3,
図4,
図5参照)、その下面に、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514のX方向外方の外周縁部の上面が当接するようになっている(
図1,
図6参照)。
【0027】
第1実施形態では、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525は、
図1に示すように、その周方向(X方向)内方の内方周縁部における下面に、周方向(X方向)内方に延びる通気スリット528を有している。第1実施形態では、摺動エアーピストン525の内方周縁部における下面が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の外周縁部の上面が当接する摺動エアーピストン525の当接部526の下面に相当する。従って、閉塞用凹状リブ514の外周縁部の上面と摺動エアーピストン525の当接部526の下面とが当接しても、それらの間には、通気スリット528による隙間が形成される(
図1,
図6参照)。よって、ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間においては、閉塞用凹状リブ514のX方向外方周縁部の上面と摺動エアーピストン525の当接部526の下面とが当接すると共に、遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部と摺動エアーピストン525の当接部526とが離間して、外方筒状部524のY方向下方先端部及び当接部526の隙間から、通気スリット528を介して、空気室12へ外気が流通するようになる。
【0028】
また、第1実施形態では、
図1に示すように、シリンダ部4の空気室12の周面に、容器本体8の内部と連通する換気口121が設けられている。換気口121は、ポンプヘッド部3が押圧されていない状態(非押圧時)において、シリンダ部4の空気室12の内周面に沿って上下方向に摺動する、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の外周ピストン部527によって内側から覆われている。空気室12の周面に換気口121が設けられていることにより、ポンプヘッド部3の押圧を開放して、内容液82を容器本体8から筒状ピストン部材51の内部の液室11に吸引する際に、換気口121を介して外気を容器本体8に送り込むことで、容器本体8の内部の内容液82が減少して容器本体8が減圧変形するのを、効果的に回避することが可能になる。また、ポンプヘッド部3が押圧されていない状態(非押圧時)において、換気口121が摺動エアーピストン525の外周ピストン部527によって覆われて閉塞されていることにより、例えばポンプフォーマー容器の非使用時に容器が転倒等した際に、内容液82が換気口121を介して容器本体8から空気室12に流入するのを、効果的に回避することが可能になる。
【0029】
尚、第1実施形態の泡吐出器1Aは、
図1に示すように、ポンプヘッド部3の中空パイプ33の周方向(X方向)外方に、中空パイプ33と同心状に配置されたスカート状カバー34が、中空パイプ33とベースキャップ部2のガイドステム22との間の隙間を覆うように設けられている。スカート状カバー34が設けられていることにより、中空パイプ33とガイドステム22との間の隙間を介して外気が吸引される際に、外気の吸引に伴ってこれらの隙間から、外気と共にポンプヘッド部3やベースキャップ部2の周囲の水が空気室12に流入するのを、相当程度防止することが可能になる。
【0030】
容器本体8内の内容液82としては、ハンドソープ、ボディソープ、洗顔料、メイク落とし、ヘアケア剤、食器用洗剤、などが挙げられる。
【0031】
以上のように構成された第1実施形態の泡吐出器1Aは、ポンプヘッド部3を押圧してポンプヘッド部3が降下している間においては、摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部と摺動ピストン部材52の摺動エアーピストン525とが密着当接して、シリンダ部4の空気室12への外気の流通が遮断される(
図2,
図3,
図4,
図5参照)。また、ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間においては、摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部と摺動ピストン部材52の摺動エアーピストン525とが離間してそれらの隙間から、シリンダ部4の空気室12へ外気が流通するようになっている(
図1,
図6参照)。以下、具体的に、
図1〜
図6を参照しながら、第1実施形態の泡吐出器1Aを用いて説明する。
【0032】
図1に示すように、ポンプヘッド部3が押圧されていない押圧前の状態(非押圧時)において、第1実施形態の泡吐出器1Aは、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下端部先端33bが、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面から間隔を空けて配されている。また、非押圧時において、ベースキャップ部2のガイドステム22のY方向下端部22bが、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面に密着当接して、容器本体8内部への外気の流通が遮断されており、更に、シリンダ部4の空気室12内の空気とシリンダ部4内の摺動エアーピストン525より上方の空間との流通が遮断されている。また、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接して、第2流路15を介した空気の流通が遮断されている。更に、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の上面から間隔を空けて配されている。
【0033】
次に、ポンプヘッド部3が押圧されていない押圧前の状態(非押圧時)から、スプリング部材91の付勢力に抗してポンプヘッド部3を押圧して下方に押し下げたヘッドダウン1段階目について、
図2を用いて説明する。第1実施形態の泡吐出器1Aは、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下方部と筒状ピストン部材51を構成する外側筒状部511のY方向上端部が一体連結されており、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されている。その為、ポンプヘッド部3が押圧されたヘッドダウン1段階目においては、筒状ピストン部材51が、ベースキャップ部2のガイドステム22に対して相対的に下方にスライド移動し、ベースキャップ部2のガイドステム22のY方向下端部22bと、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部 523の上面との当接が解除される。そして、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されている摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が、自重によって下方に移動することにより、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接して、第2流路15を介した空気の流通が遮断されている。更に、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の上面に密着当接して、シリンダ部4の空気室12への外気の流通が遮断される。尚、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下端部先端33bは、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部 523の上面から間隔を空けて配されている。
【0034】
次に、スプリング部材91の付勢力に抗して更にポンプヘッド部3を押圧して下方に押し下げたヘッドダウン2段階目について、
図3を用いて説明する。第1実施形態の泡吐出器1Aは、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されており、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の外周ピストン部527とシリンダ部4の空気室12の内周面との密着力の方が、抵抗が大きくなっている。その為、先ず、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共にピストン部5の筒状ピストン部材51が、ピストン部5の摺動ピストン部材52に対して相対的に下方にスライド移動する。これに伴って、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515から離れ、遊嵌筒状部522の下端部と筒状ピストン部材51の閉塞用凹状リブ513との密着状態が解除されるので、ポンプヘッド部3を構成する中空パイプ33と筒状ピストン部材51の外側円筒部511との連結部分に形成された線状切り欠き溝、及び筒状ピストン部材51の外側円筒部511と摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521との遊嵌部分の隙間からなる第2流路15に、空気を流通させることが可能な状態となる。また、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下端部先端33bが、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部 523の上面に密着当接し、空気の流通が遮断されている。尚、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の上面に密着当接している。その為、ポンプヘッド部3を押圧する力が、摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521を介して、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525に伝達されるようになっている。さらに、シリンダ部4の空気室12内の空気とシリンダ部4内の摺動エアーピストン525より上方の空間との流通が遮断されている。
【0035】
次に、ポンプヘッド部3とベースキャップ部2のガイドステム22の天面が当接するポンプヘッド部3が所謂下死点に位置する状態まで、即ち、1ストロークの最後まで、スプリング部材91の付勢力に抗して、ポンプヘッド部3が押圧されたヘッドダウン3段階目(最も押圧された段階)について、
図4を用いて説明する。
図4に示すように、ポンプヘッド部3を更にY方向下方に押圧して押し下げれば、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共に、ピストン部5の筒状ピストン部材51、並びにピストン部5の摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521及び摺動エアーピストン525が、一体としてY方向下方に押し下げられることになる。これによって、シリンダ部4の空気室12内の空気が、第2流路15を介してポンプヘッド部3の中空パイプ33内に配置された混合室13に向けて排出される。
【0036】
さらに、ヘッドダウン3段階目(最も押圧された段階)においては、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共に、ピストン部5の筒状ピストン部材51、並びにピストン部5の摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521及び摺動エアーピストン525が、一体としてY方向下方に押し下げられることによって、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の内部に形成された液室11内の内容液82の液圧が高くなり、ボール弁92が上方に移動して、第1流路14が開放され、液室11内の内容液82が第1流路14を介して中空パイプ33内の混合室13に向けて加圧、排出される。
【0037】
このように排出された内容液82と空気とが、ポンプヘッド部3の中空パイプ33内に配置された混合室13において加圧混合され、加圧混合された混合液が泡生成部材17を通過して発泡された後に、発砲流路32を通って、ポンプヘッド部3の吐出口31から泡状に吐出される。
【0038】
ポンプヘッド部3を
図4に示すように最後まで押圧したら、ポンプヘッド部3の押圧を開放する。ポンプヘッド部3が押圧されたヘッドダウン3段階目(最も押圧された段階)の状態から、スプリング部材91の付勢力によりポンプヘッド部3を上方に押し上げたヘッドアップ1段階目について、
図5を用いて説明する。第1実施形態の泡吐出器1Aは、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下方部と筒状ピストン部材51を構成する外側筒状部511のY方向上端部が一体連結されており、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が、筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されている。その為、スプリング部材91の付勢力によって、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共にピストン部5の筒状ピストン部材51が、ピストン部5の摺動ピストン部材52に対して相対的に上方にスライド移動する。これに伴って、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接して、第2流路15を介した空気の流通が遮断される。また、ポンプヘッド部3の中空パイプ33のY方向下端部先端33bが、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面から離れ密着状態が解放される。また、ボール弁92が自重によって下方に移動することにより、ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51の外側円筒部511の内部の液室11が閉塞される。
【0039】
次に、スプリング部材91の付勢力により更にポンプヘッド部3を上方に押し上げたヘッドアップ2段階目について、
図6を用いて説明する。第1実施形態の泡吐出器1Aは、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521と摺動エアーピストン525とが分離可能に形成されている。また、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されており、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の外周ピストン部527とシリンダ部4の空気室12の内周面との密着力の方が、抵抗が大きくなっている。その為、スプリング部材91の付勢力によって、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共にピストン部5の筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接した摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525に対して相対的に上方にスライド移動する。これに伴って、遊嵌エアーバルブ521の遊嵌筒状部522のY方向下端部が、閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接した状態を維持しながら、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の上面から離れ、空気室12に外気を取り込むことが可能な状態となる。また、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の下面に、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514のX方向外方の外周縁部の上面が当接する。尚、閉塞用凹状リブ514の外周縁部の上面と摺動エアーピストン525の当接部526の下面との間には、当接部526の下面に施された通気スリット528による隙間が形成されており、空気室12に外気を取り込むことが可能となる。
【0040】
しかる後に、スプリング部材91の付勢力によって、
図1に示すように、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面が、ベースキャップ部2のガイドステム22のY方向下端部22bに密着当接するまでポンプヘッド部3が上方に押し上げられる。その際、ピストン部5の筒状ピストン部材51、並びにピストン部5の摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521及び摺動エアーピストン525も、閉塞用凹状リブ514を介して一体として押し上げられる。これによって、ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51の内部の液室11が負圧になるので、シリンダ部4の液導入室16の内部に配されたポペット弁93が上方に移動する。このようにポペット弁93が上方に移動することによって、導入流路18が開放されて、容器本体8内の内容液82が、液導入室16の下部に配置された吸引管94を介して、液導入室16の内部に吸引供給される。
【0041】
そして、ポンプヘッド部3が上方に押し上げられ復帰すると共に、ピストン部5の筒状ピストン部材51、並びにピストン部5の摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521及び摺動エアーピストン525が、閉塞用凹状リブ514を介して一体として押し上げられることによって、シリンダ部4の空気室12が負圧になり、遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部と摺動エアーピストン525の当接部526の上面との間の隙間、及び当接部526の下面に施された通気スリット528による隙間を介して、外気が空気室12に取り込まれることになる。
【0042】
以上のような操作を繰り返し行うことによって、ポンプヘッド部3の1ストローク毎に、内容液82と空気との泡状になった混合液が、ポンプヘッド部3の吐出口31から外部に吐出される。
【0043】
ここで、「ポンプヘッド部3を押圧してポンプヘッド部3が降下している間」とは、第1実施形態の泡吐出器1Aにおいては、
図2に示す上述したヘッドダウン1段階目の状態、
図3に示すヘッドダウン2段階目の状態、及び
図4に示すヘッドダウン3段階目(最も押圧された段階)の状態に亘るまでの間を意味する。また、「ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間」とは、
図5に示すヘッドアップ1段階目の状態を除き、
図6に示すヘッドアップ2段階目から
図1に示す押圧前の状態(非押圧時)に至るまでの間を意味する。
【0044】
上述した本発明の第1実施形態の泡吐出器1Aは、ポンプヘッド部3を押圧してポンプヘッド部3が降下している間においては、摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部と摺動ピストン部材52の摺動エアーピストン525とが密着当接して、シリンダ部4の空気室12への外気の流通が遮断される(
図2,
図3,
図4,
図5参照)。また、ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間においては、摺動ピストン部材52の遊嵌エアーバルブ521の周方向(X方向)外方側の下方先端部と摺動ピストン部材52の摺動エアーピストン525とが離間してそれらの隙間から、シリンダ部4の空気室12へ外気が流通するようになっている(
図1,
図6参照)。このように、泡吐出器1Aは、シリンダ部4の空気室12内への外気の吸入の際、ピストン部5を構成する部材とは別体の部材を用いることなく、ポンプヘッド部3の吐出口31から、内容液82と空気との泡状になった混合液を吐出することができるので、コストを抑えることができる。また、吸入弁を形成する別体の部材を用いていないので、別体の部材の成形不良に起因する吸入動作の動作不良が発生し難く、品質が向上する。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態の泡吐出器について説明する。第2実施形態の泡吐出器1B(以下、単に「泡吐出器1B」ともいう。)については、第1実施形態の泡吐出器1Aと異なる点について主として説明し、同様の点については同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、第1実施形態の泡吐出器1Aに関する説明が適宜適用される。
【0046】
第2実施形態の泡吐出器1Bは、
図7に示すように、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の構成が、第1実施形態の泡吐出器1Aの摺動エアーピストン525の構成と異なる以外、第1実施形態の泡吐出器1Aの構成と同じである。第2実施形態の泡吐出器1Bにおいては、
図7に示すように、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525は、その周方向(X方向)内方端部に、遊嵌エアーバルブ521を構成する外方筒状部524のY方向下方先端部に密着当接可能な当接部526を有している。そして、摺動エアーピストン525は、その周方向(X方向)外方端部に、シリンダ部4の空気室12の内周面に沿って摺動する外周ピストン部527を有している。摺動エアーピストン525の当接部526は、その上面に、外方筒状部524のY方向下方先端部が密着当接するようになっており、その下面に、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514のX方向外方の外周縁部の上面が当接するようになっている。
【0047】
第2実施形態では、ピストン部5の摺動ピストン部材52は、
図7に示すように、摺動エアーピストン525の当接部526における閉塞用凹状リブ514の外周縁よりもX方向外方の位置で且つ遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部よりもX方向内方の位置に、貫通する通気穴529を複数有している。第2実施形態では、摺動エアーピストン525の内方周縁部における下面が、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の外周縁部の上面が当接する摺動エアーピストン525の当接部526の下面に相当する。従って、閉塞用凹状リブ514の外周縁部の上面と摺動エアーピストン525の当接部526の下面とが当接しても、閉塞用凹状リブ514の外周縁と遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部との間に配された通気穴529による隙間が形成される。よって、ポンプヘッド部3の押圧を解除してポンプヘッド部3が上昇している間においては、閉塞用凹状リブ514のX方向外方周縁部の上面と摺動エアーピストン525の当接部526の下面とが当接すると共に、遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部と摺動エアーピストン525の当接部526とが離間して、外方筒状部524のY方向下方先端部及び当接部526の隙間から、通気穴529を介して、空気室12へ外気が流通するようになる。
【0048】
第2実施形態の泡吐出器1Bは、ヘッドダウン1段階目、ヘッドダウン2段階目、ヘッドダウン3段階目及びヘッドアップ1段目においては、第1実施形態の泡吐出器1Aと同様に作用するが、ヘッドアップ2段目以降の外気の吸引の仕方が異なる。具体的に、ヘッドアップ2段階目について説明すると、第2実施形態の泡吐出器1Bは、泡吐出器1Aと同様に、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521と摺動エアーピストン525とが分離可能に形成されている。また、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が筒状ピストン部材51の外側円筒部511の外周面に遊嵌状態で配されており、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の外周ピストン部527とシリンダ部4の空気室12の内周面との密着力の方が、抵抗が大きくなっている。その為、スプリング部材91の付勢力によって、ポンプヘッド部3の中空パイプ33と共にピストン部5の筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514の凹部515に密着当接した摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521が、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525に対して相対的に上方にスライド移動する。これに伴って、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525の当接部526の下面に、筒状ピストン部材51を構成する閉塞用凹状リブ514のX方向外方の外周縁部の上面が当接する。このように当接しても、閉塞用凹状リブ514の外周縁と遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部との間に配された通気穴529による隙間が形成されており、空気室12に外気を取り込むことが可能となる。
【0049】
しかる後に、スプリング部材91の付勢力によって、
図7に示すように、摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521の円環状部523の上面が、ベースキャップ部2のガイドステム22のY方向下端部22bに密着当接するまでポンプヘッド部3が上方に押し上げられる。その際、ピストン部5の筒状ピストン部材51、並びにピストン部5の摺動ピストン部材52を構成する遊嵌エアーバルブ521及び摺動エアーピストン525も、閉塞用凹状リブ514を介して一体として押し上げられる。これによって、シリンダ部4の空気室12が負圧になり、遊嵌エアーバルブ521の外方筒状部524のY方向下方先端部と摺動エアーピストン525の当接部526の上面との間の隙間、及び当接部526に施された通気穴529による隙間を介して、外気が空気室12に取り込まれることになる。第2実施形態の泡吐出器1Bの効果については、泡吐出器1Aの効果と同様の効果を奏する。
【0050】
本発明の泡吐出器は、上述の第1〜第2実施形態の泡吐出器1A〜1Bに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第2実施形態の泡吐出器1A〜1Bにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0051】
例えば、上述の第1〜第2実施形態の泡吐出器1A〜1Bにおいては、
図1,
図7に示すように、ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51は、液導入室16の内周面に沿って摺動する観点から、外側円筒部511、内側円筒部512及び液導入室16の内周面に沿って上下に摺動する密着摺動部513を有しているが、密着摺動部513を有していなくてもよい。密着摺動部513を有していない場合、ピストン部5を構成する筒状ピストン部材51は、空気室12及び液導入室16に亘って室内を上下動するようになる。その際、スプリング部材91は、内側円筒部512のY方向下端部で支持するようにすればよい。
【0052】
また、上述の第1実施形態の泡吐出器1Aにおいては、
図1に示すように、摺動ピストン部材52を構成する摺動エアーピストン525が、その周方向(X方向)内方の内方周縁部における下面に、周方向(X方向)内方に延びる通気スリット528を有している。その代わりに、筒状ピストン部材51の閉塞用凹状リブ514が、凹部515よりも周方向(X方向)外方の周縁部分に、周方向(X方向)に延びる通気スリットを有していてもよい。
【0053】
また、上述の第1〜第2実施形態の泡吐出器1A〜1Bにおいては、
図1,
図7に示すように、ポンプヘッド部3は、シリンダ部4の液導入室16に設けられたスプリング部材91の作用によって、上方に付勢されるようになっているが、スプリング部材91は、液導入室16に設ける必要はなく、例えば、ポンプヘッド部3の中空パイプ33を囲うように、ベースキャップ部2の円筒状のガイドステム22の上部に設けてもよい。