特許第6239973号(P6239973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239973
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ガラスハードディスク基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/84 20060101AFI20171120BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20171120BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 7/08 20060101ALI20171120BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G11B5/84 Z
   B08B3/08 Z
   B08B1/04
   C11D3/37
   C11D3/30
   C11D7/32
   C11D7/08
   C11D3/04
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-271784(P2013-271784)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-125791(P2015-125791A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】青野 信幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 定治
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−248247(JP,A)
【文献】 特開2012−245458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0127432(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/84
B08B 1/04
B08B 3/08
C11D 3/04
C11D 3/30
C11D 3/37
C11D 7/08
C11D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板を研磨液組成物を用いて研磨する工程1と、
工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2と、
工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3とを有する、ガラスハードディスク基板の製造方法であって、
前記酸性洗浄剤組成物が、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有し、更に、アルカノールアミン(成分C)が配合されたものであり、
前記酸性洗浄剤組成物のpHが、3.0以上5.0以下である、ガラスハードディスク基板の製造方法。
【請求項2】
工程2における洗浄時の洗浄液中のアルカノールアミン(成分C)の配合量が、0.03質量%以上0.08質量%以下である、請求項に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
【請求項3】
工程2における洗浄時の洗浄液中の共重合化合物(成分A)の含有量が、0.001質量%以上0.008質量%以下である、請求項1又は2に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
【請求項4】
前記酸性洗浄剤におけるアルカノールアミン(成分C)の配合量が、前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分に対して、41.5質量%以上48.0質量%以下である、請求項からのいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
【請求項5】
アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有し、
更に、アルカノールアミン(成分C)が配合され、
pHが3.0以上5.0以下である、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記酸性洗浄剤におけるアルカノールアミン(成分C)の配合量が、前記酸性洗浄剤の水以外の成分に対して、41.5質量%以上48.0質量%以下である、
請求項記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラスハードディスク基板の製造方法及びガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや各種電子デバイスにおいては動画や音声等の大きなデータが扱われるようになり、大容量の情報記録装置が必要となっている。その結果、情報記録媒体は年々高記録密度化の要求が高まっている。これに対応するべく、ハードディスクでは、垂直磁気記録方式の採用、量産化が進められている。この垂直磁気記録方式においては、情報記録媒体用基板(以下、「ハードディスク基板」ともいう)は、現在の基板と比較して基板の耐熱性、表面の平滑性がより高いレベルで求められている。また、スピンドルモーターへの負担を軽減するための低比重化と、ディスクのクラッシュを防止するための高い機械的強度、落下時のヘッドとの衝撃に耐えうる高い破壊靱性を有することが現在にもまして重要になっている。
【0003】
情報記録媒体用基板に用いられる材料としてはアルミ合金、ガラスなどがある。ガラスはアルミ合金よりもビッカース硬度が高い、表面平滑性が高い等の点で優位であり、動的な使用が想定される用途において現在多く使用されている。
【0004】
特許文献1には、(1)pHが1.0〜4.0である研磨液組成物を用いて被研磨ガラス基板を研磨する工程と、(2)工程(1)で得られた基板を、pH1.0〜4.0の酸性洗浄剤組成物に浸漬しながら、洗浄工程(3)に搬送する工程と、(3)工程(2)で搬送された基板を、pH8.0〜13.0のアルカリ性洗浄剤組成物を用いて浸漬洗浄する工程と、(4)工程(3)で得られた基板を、pH1.0〜4.0の酸性洗浄剤組成物を用いてスクラブ洗浄する工程とを有するガラスハードディスク基板の製造方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、Ni−P層を有するハードディスク基板用の洗浄剤組成物が開示される。該洗浄剤組成物は、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位とを有する共重合化合物及び/又はその塩とポリアミンと水とを含有する。
【0006】
特許文献3には、微細化したパーティクルの洗浄力に優れると共に基板上の金属汚染が低減でき、製造時における歩留まり率の向上や短時間で洗浄が可能となる極めて効率的な高度洗浄を可能にする電子材料用洗浄剤として、スルファミン酸、分子内に少なくとも1個のスルホン酸基又はその塩基を有するアニオン性界面活性剤、キレート剤、及び水を必須成分として含有する洗浄剤が開示されている。
【0007】
また、特許文献4には、研磨後の表面粗度をRa1、研磨加工後の酸洗浄及び/又はアルカリ洗浄による表面粗度をRa2としたとき、表面粗度変化率(|Ra2−Ra1|/Ra1)の値が0.62未満である無機組成物が開示されている。実施例では、フッ酸による洗浄が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−248247号公報
【特許文献2】特開2010−257510号公報
【特許文献3】特開2010−163609号公報
【特許文献4】特開2007−223884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、酸性洗浄及びアルカリ性洗浄をすることで研磨材や研磨屑に由来する金属系パーティクルやシリカ系パーティクルである無機粒子に対する洗浄性が向上する。しかし、酸性洗浄の後にアルカリ性洗浄を行うと、ガラス基板の表面がエッチングされ、基板表面の平滑性(表面粗さ)が悪化する傾向があった。
【0010】
本開示は、一又は複数の実施形態において、酸性洗浄の後にアルカリ性洗浄を行うガラスハードディスク基板の製造方法であって、基板表面の表面粗さの悪化が抑制されうるガラスハードディスク基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、一又は複数の実施形態において、ガラス基板を研磨液組成物を用いて研磨する工程1と、工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2と、工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤で洗浄する工程3とを有し、前記酸性洗浄剤組成物が、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有するガラスハードディスク基板の製造方法に関する。
【0012】
本開示は、一又は複数の実施形態において、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有するガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、基板表面の表面粗さの悪化が抑制されるガラスハードディスク基板の製造方法が提供されうる。
【0014】
本開示は、研磨工程1と酸性洗浄工程2とアルカリ洗浄工程3とを有するガラスハードディスク基板の製造方法において、酸性洗浄工程2において、所定の共重合体化合物(成分A)と所定の無機酸(成分B)とを含む酸性洗浄剤組成物を用いることで、工程3の後の基板の表面粗さの悪化が抑制できるという知見に基づく。
【0015】
したがって、本開示は一態様において、ガラス基板を研磨液組成物を用いて研磨する工程1と、工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2と、工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3とを有し、前記酸性洗浄剤組成物が、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有するガラスハードディスク基板の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう)に関する。
【0016】
また、本開示はその他の態様において、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有するガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物(以下、「本開示に係る酸性洗浄剤組成物」ともいう)に関する。本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、本開示に係る製造方法の工程2において使用されうる。
【0017】
本開示に係る製造方法及び本開示に係る酸性洗浄剤組成物により表面粗さ悪化が抑制される機構の詳細は明らかではないが以下のように推定される。ガラスは酸性洗浄時に、ガラス表面近傍の金属イオン等のガラス成分がガラス表面より溶出すると考えられる。そしてガラス成分が溶出した珪酸等の網目構造を形成する成分とする層はアルカリに溶解されやすい層であり、ガラス成分が溶出した部分がアルカリ洗浄時に溶解し、表面粗さが悪化すると考えられる。一方、所定の共重合化合物(成分A)を含有し、所定の無機酸(成分B)で特定のpHに調整した酸性洗浄剤組成物で洗浄すると、共重合化合物(成分A)のアクリルアミドがガラス基板表面に吸着し、ガラス基板表面が共重合化合物(成分A)で保護され、ガラス成分の溶出を抑制し、アルカリ洗浄の際の表面粗さの悪化を抑制すると推測される。また、酸性洗浄剤組成物のpH調整にグルコン酸やシュウ酸のようなキレート能を有する有機酸を用いると、ガラス中から溶出した成分をキレート補足するため、平衡移動の関係より、ガラス成分の溶出は促進される。一方、硫酸やリン酸の様なキレート能を有さない所定の無機酸(成分B)は、ガラス中から溶出した成分をキレート補足できないため、ガラス成分の溶出が生じにくくなると考えられる。但し、本開示はこれらに限定されて解釈されなくてもよい。
【0018】
[成分A:共重合化合物]
本開示における成分Aは、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物である。
【0019】
成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、10/90以上が好ましく、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上である。成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である。成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは10/90以上95/5以下、より好ましくは20/80以上90/10以下、さらに好ましくは30/70以上80/20以下である。
【0020】
成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは実質100モル%である。
【0021】
成分Aは、一又は複数の実施形態において、塩の形態である。成分Aが塩の場合、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、または分子量300以下の含窒素系化合物による塩が好ましい。分子量300以下の含窒素系化合物としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン又はポリアルキルポリアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が付加されたモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0022】
成分Aの重量平均分子量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは1,200以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは4,000以下である。本開示において成分Aの重量平均分子量は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
(GPC条件)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソ−社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファ−/CH3CN=9/1(容量比)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
(重量平均分子量:194,400,600,1000,1500,4000,7000,10000,13000,20000;ジーエルサイエンス社製)
【0023】
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上である。酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下が挙げられる。
【0024】
工程2における洗浄時の洗浄液中の共重合化合物(成分A)の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上である。工程2における洗浄時の洗浄液中の共重合化合物(成分A)の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.008質量%以下である。ここで、本開示において、工程2における洗浄時の洗浄液は、一又は複数の実施形態において、酸性洗浄剤組成物又はその希釈物である。
【0025】
[成分B:無機酸]
本開示における成分Bは、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸である。成分Bは、一又は複数の実施形態において、安全性の観点から、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる2種以上を併用することが好ましく、リン酸と硫酸及び/又は硝酸とを併用することがより好ましい。
【0026】
酸性洗浄剤組成物における成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、酸性洗浄剤組成物のpHを後述する範囲に調整できる量である。酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは67質量%以下が挙げられる。
【0027】
工程2における洗浄時の洗浄液中の無機酸(成分B)の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは後述する洗浄時のpHの範囲内となる量を用いることができる。工程2における洗浄時の洗浄液中の無機酸(成分B)の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.020質量%以上である。工程2における洗浄時の洗浄液中の無機酸(成分B)の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは0.20質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.08質量%以下である。
【0028】
[成分C:アルカノールアミン]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、さらに、成分Cとしてアルカノールアミンを含有することが好ましい。
【0029】
アルカノールアミンとしては、一又は複数の実施形態において、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、メチルジプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。アルカノールアミンは、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、アミノエチルエタノールアミンである。
【0030】
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは41.0質量%以上、さらに好ましくは41.5質量%以上である。酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下、さらに好ましくは48.0質量%以下である。
【0031】
工程2における洗浄時の洗浄液中のアルカノールアミン(成分C)の配合量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.030質量%以上である。工程2における洗浄時の洗浄液中のアルカノールアミン(成分C)の配合量は、一又は複数の実施形態において、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.09質量%以下、さらに好ましくは0.08質量%以下である。
【0032】
酸性洗浄剤組成物は、添加作業、貯蔵及び輸送の観点から、濃縮液として製造及び保管し、使用時に成分A及び成分B前述した洗浄時の洗浄液中の含有量、成分Cが前述した洗浄時の洗浄液中の配合量になるように水で希釈して用いることができる。濃縮倍率としては、添加作業及び保存安定性の観点から、好ましくは50倍以上、より好ましくは67倍以上、さらに好ましくは90倍以上であり、貯蔵及び輸送の観点から、好ましくは200倍以下、より好ましくは150倍以下、さらに好ましくは110倍以下である。希釈する水の量の計量を容易にする観点から、例えば100倍濃縮液が挙げられる。本開示において、100倍濃縮液の形態として開示された洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄時に好ましくは1/50〜1/200の濃度、より好ましくは1/67〜1/150の濃度、さらに好ましくは1/90〜1/110の濃度、よりさらに好ましくは1/100の濃度に希釈され、洗浄液として使用されうる。希釈用の水は、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本開示において「洗浄時」とは、一又は複数の実施形態において、洗浄工程を行うときをいう。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「洗浄時」とは一又は複数の実施形態において、希釈された状態をいう。
【0033】
酸性洗浄剤組成物における成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。酸性洗浄剤組成物における成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。
【0034】
酸性洗浄剤組成物における成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1.0質量%以上、1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上である。酸性洗浄剤組成物における成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下である。
【0035】
酸性洗浄剤組成物における成分Cの配合量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸性洗浄剤組成物における成分Cの配合量は、一又は複数の実施形態において、100倍濃縮液の形態として、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下である。
【0036】
本開示の一又は複数の実施形態において、100倍とは異なる倍率の濃縮液の場合の含有量は、「100倍濃縮液の形態」として開示された含有量から換算されうる。
【0037】
[pH]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物のpHは、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、3.0以上5.0以下であることが好ましい。酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合、そのpHは、一又は複数の実施形態において、より好ましくは3.0以上4.0以下である。酸性洗浄剤組成物が濃縮液でない形態の場合、そのpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である。また、工程2における洗浄時の洗浄液のpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である。なお、本開示において、pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。具体的には、pHは、実施例に記載の方法で測定されうる。
【0038】
[その他の成分]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、成分A、B、及びC以外に、アルカリ金属水酸化物、アルコール、防腐剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
【0039】
[酸性洗浄剤組成物の調製方法]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物の調製方法は、何ら制限されないが、例えば、成分A、B、及びC、並びに必要に応じて任意成分を、水に添加して混合する方法が挙げられる。各成分を水に添加する順序等については特に制限はない。混合方法も公知の方法を採用すればよいが、攪拌中の水に各成分が添加されることが好ましい。各成分を水に添加する時の水の温度は、一又は複数の実施形態において、20〜50℃が好ましい。攪拌モーターの回転数は、通常、周速0.1m/s〜0.65m/sが好ましい。水以外の全成分を水に添加した後の攪拌時間は、通常、0.5〜2時間が好ましい。
【0040】
ガラスハードディスクの製造過程には、ガラスハードディスク基板形成工程とメディア工程とが含まれる。前記ガラスハードディスク基板形成工程では、被研磨ガラス基板に対して少なくとも研磨処理と洗浄処理とがこの順で複数回行われることにより、ガラスハードディスク基板が作製される。前記メディア工程では、必要に応じて研磨によりガラスハードディスク基板の少なくとも一方の主面に浅い凸凹をつけた後(テクスチャー工程)、洗浄がなされ(洗浄工程)、次いで、前記基板の少なくとも一方の主面側に磁性層が形成される(磁性層形成工程)。
【0041】
ガラスハードディスク基板が製造されるガラスハードディスク基板形成工程は、限定されない一又は複数の実施形態において、溶融ガラスの型枠プレス又はシートガラスから切り出す方法によってガラス基材を得る工程から始まり、形状加工工程、端面研磨工程、粗研削工程、精研削工程、粗研磨工程、仕上げ研磨工程、最終仕上げ研磨工程、化学強化工程を含みうる。また各研磨工程の間には洗浄工程が含まれる。
【0042】
[工程1]
本開示に係る製造方法における工程1は、研磨液組成物を用いてガラス基板(工程1において、「被研磨ガラス基板」ともいう)を研磨する工程である。工程1は、上述のガラスハードディスク基板形成工程におけるいずれの研磨工程であってもよい。一又は複数の実施形態において、工程1は、仕上げ研磨工程及び/又は最終仕上げ研磨工程における研磨である。
【0043】
本開示に係る製造方法における工程1は、限定されない一又は複数の実施形態において、研磨液組成物を研磨パッドと被研磨ガラス基板の間に存在させ、所定の研磨荷重で研磨する工程を含む。具体的には、工程1は、限定されない一又は複数の実施形態において、被研磨ガラス基板の研磨対象面に研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨ガラス基板を動かして研磨することを含む工程が挙げられる。
【0044】
工程1における研磨対象である被研磨ガラス基板としては、アルミノ珪酸ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、アルミノホウ珪酸ガラス基板、石英ガラス基板、結晶化ガラス基板等が挙げられる。前記被研磨ガラス基板は、一又は複数の実施形態において、アルミノ珪酸ガラス基板である。アルミノ珪酸ガラス基板は、その構成元素としてO(酸素)以外ではSi(ケイ素)を最も多く含み、次いでAlを多く含む。通常、Siの含有量は20〜40質量%であり、Alの含有量は3〜25質量%で、他にもNaなどを含むことがある。
【0045】
工程1で使用する研磨液組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、研磨材、酸、水、及び、必要に応じてポリマー、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤等を含むものが挙げられる。研磨液組成物の25℃におけるpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、好ましくは4.0以下である。工程1で使用する研磨液組成物は、前記pHを満たすものであれば、従来公知のものを使用できる。
【0046】
前記研磨材としては、一又は複数の実施形態において、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面を酸化アルミニウムで改質したアルミ改質コロイダルシリカのような表面修飾したシリカ、アルミナ、酸化セリウム(セリア)等が挙げられる。なお、シリカの使用形態としては、スラリー状であることが好ましい。研磨材の一次粒子の平均粒子径は、一又は複数の実施形態において、5〜200nm、7〜100nm、9〜80nm、又は10〜50nmである。研磨液組成物中の研磨材の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上の観点から、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜19質量%、さらに好ましくは3〜18質量%、さらにより好ましくは4〜16質量%である。
【0047】
研磨液組成物中の酸としては、限定されないが、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の含硫黄有機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の含リン有機酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、ニトロ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、オキサロ酢酸等の多価カルボン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、基板製造における排水による水質汚染の基準であるCOD値低減の観点、循環研磨における研磨速度の低下、表面粗さの悪化及びパーティクル増加の抑制の観点から、無機酸、含硫黄有機酸、多価カルボン酸及び含リン有機酸が好ましく、リン酸、硫酸、多価カルボン酸、含リン有機酸がより好ましく、さらに好ましくは多価カルボン酸であり、さらにより好ましくはコハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸であり、さらにより好ましくはクエン酸である。これらの酸は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、酸は塩の形態であってもよい。研磨液組成物中における酸の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.15質量%以上である。また、前記酸の含有量は、研磨装置の腐食を抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
【0048】
研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本発明の研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いを容易にする観点から、55質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上である。また、前記水の含有量は、研磨速度向上の観点から、99質量%以下が好ましく、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。
【0049】
工程1に用いられる研磨装置としては、特に限定されない一実施形態として、被研磨ガラス基板を保持する、アラミド製やガラスエポキシ製等の冶具(「キャリア」ともいう。)と研磨布(「研磨パッド」ともいう。)とを備える片面又は両面研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、前記有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。前記研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。例えば、粗研磨工程ではスウェード調のウレタン製硬質パッド、仕上げ研磨工程及び最終仕上げ研磨工程ではスウェード調のウレタン製軟質パッドが好適に用いられる。
【0050】
該研磨装置を用いる研磨の具体例としては、被研磨ガラス基板をキャリアで保持し研磨パッドを貼り付けた1対の研磨定盤で挟み込み、研磨液組成物を研磨パッドと被研磨ガラス基板との間に供給し、所定の圧力の下で研磨定盤及び/又は被研磨ガラス基板を動かすことにより、研磨液組成物を被研磨ガラス基板に接触させながら被研磨ガラス基板を研磨する方法が挙げられる。
【0051】
工程1における研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点から、被研磨ガラス基板1cm2あたり1.0mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.6mL/分以下、さらに好ましくは0.4mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度の向上の観点、表面粗さ低減の観点から、被研磨ガラス基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上、さらに好ましくは0.05mL/分以上である。
【0052】
本開示において「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板を挟み込む定盤から被研磨基板の研磨対象面に加えられる圧力を意味する。研磨荷重の調整は、通常の研磨装置であれば容易に調整可能であるが、例えば、定盤や被研磨基板等への空気圧や錘の負荷によって行うことができる。研磨荷重は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは3kPa以上、4kPa以上がより好ましく、5kPa以上がさらに好ましく、6kPa以上がさらにより好ましい。表面粗さを低減する観点、研磨中に研磨機に振動が発生しないように安定に研磨できるという観点から、好ましくは40kPa以下、30kPa以下がより好ましく、20kPa以下がさらに好ましく、15kPa以下がさらにより好ましい。
【0053】
[工程2]
工程2は、工程1の研磨工程で研磨されたガラス基板(工程2において「被洗浄基板」ともいう)を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程である。工程2で使用する酸性洗浄剤組成物は、上述のとおりである。洗浄方法の一又は複数の実施形態は、後述する。
【0054】
[工程3]
工程3は、工程2の酸性洗浄で洗浄されたガラス基板(工程3において「被洗浄基板」ともいう)をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程である。
【0055】
〔アルカリ性洗浄剤組成物〕
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物のpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは8.0以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは10.0以上であり、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.0以下である。前記アルカリ性洗浄剤組成物は、使用時に希釈することを前提とした形態であってもよく、そのまま原液を使用する形態であってもよい。希釈を前提とする場合、希釈倍率は、例えば、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上であり、そして、好ましくは500倍以下、より好ましくは200倍以下である。希釈用の水は、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。
【0056】
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物は、前記pHとなるアルカリを含有するアルカリ性水溶液であれば使用できる。なお、本開示において、アルカリの使用は、アルカリ及び又はその塩の使用を含み、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤のうちのいずれであってもよい。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びコリン等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。前記アルカリの含有量及び種類は、洗浄剤組成物のpHが前述の範囲となるものであれば、特に限定されない。また、アルカリ性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、媒体として水を含有することが好ましく、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。
【0057】
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、ノニオン性界面活性剤、スルホン酸化合物、pH調整のための酸、水溶性高分子、アミン、曇点上昇剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
【0058】
[洗浄方法]
工程2及び3における洗浄剤組成物を用いた洗浄は、一又は複数の実施形態において、被洗浄基板の浸漬洗浄及び/又はスクラブ洗浄を行うことを含む。工程2及び3では、スクラブに付着する汚れが被洗浄基板に再付着する可能性がある点で、スクラブ洗浄よりも浸漬洗浄が好ましい。また、工程2と工程3の間に工程2で得られたガラス基板を水でリンスする工程、工程3で得られたガラス基板を水でリンスする工程を有してもよい。例えば、ガラス基板を、研磨する工程(工程1)、酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程(工程2)、水でリンスする工程、アルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程(工程3)、水でリンスする工程の順で、ガラスハードディスク基板を製造することができる。
【0059】
(浸漬洗浄)
被洗浄基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物の温度は、作業性及び操業性の観点から20〜100℃が好ましく、浸漬時間は、洗浄剤組成物による洗浄性の向上の観点から5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、100秒以上がさらに好ましい。洗浄されたガラス基板の生産効率の向上の観点から30分以下が好ましく、10分以下がより好ましく、5分以下がさらに好ましい。また、残留物の除去性及び残留物の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、20〜2000kHzが好ましく、40〜2000kHzがより好ましく、40〜1500kHzがさらに好ましい。
【0060】
(スクラブ洗浄)
スクラブ洗浄の方法は、一又は複数の実施形態において、研磨粒子等の残留物の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、被洗浄基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。
【0061】
洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、スプレーノズル等の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVA(ポリビニルアルコール)スポンジブラシ等を使用することができる。超音波の周波数としては、上述の浸漬洗浄で好ましく採用される値と同様である。
【0062】
さらにその他の一又は複数の実施形態において、前記浸漬洗浄及び/又は前記スクラブ洗浄に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄等の洗浄工程を1つ以上含んでもよい。
【0063】
本開示に係る洗浄方法では、被洗浄基板を一枚ずつ洗浄してもよいが、複数枚の洗浄すべき被洗浄基板を一度にまとめて洗浄してもよい。また、洗浄の際に用いる洗浄槽の数は1つでも複数でも良い。
【0064】
本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
【0065】
<1> ガラス基板を研磨液組成物を用いて研磨する工程1と、
工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2と、
工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3とを有する、ガラスハードディスク基板の製造方法であって、
前記酸性洗浄剤組成物が、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有する、ガラスハードディスク基板の製造方法。
【0066】
<2> 前記酸性洗浄剤組成物が、更に、アルカノールアミン(成分C)が配合されたものである、<1>に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<3> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上である、<1>又は<2>に記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<4> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である、<1>から<3>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<5> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは10/90以上95/5以下、より好ましくは20/80以上90/10以下、さらに好ましくは30/70以上80/20以下である、<1>から<4>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<6> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計が、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは実質100モル%である、<1>から<5>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<7> 前記成分Aの重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは1,200以上である、<1>から<6>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<8> 前記成分Aの重量平均分子量が、好ましくは100,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは4,000以下である、<1>から<7>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<9> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上である、<1>から<8>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<10> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量が、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下である、<1>から<9>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<11> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中の共重合化合物(成分A)の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上である、<1>から<10>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<12> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中の共重合化合物(成分A)の含有量が、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.008質量%以下である、<1>から<11>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<13> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量が、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、<1>から<12>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<14> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量が、好ましくは70質量%以下、より好ましくは67質量%以下である、<1>から<13>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<15> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中の無機酸(成分B)の含有量が、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.020質量%以上である、<1>から<14>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<16> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中の無機酸(成分B)の含有量が、好ましくは0.20質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.08質量%以下である、<1>から<15>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<17> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量が、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは41.0質量%以上、さらに好ましくは41.5質量%以上である、<2>から<16>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<18> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量が、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下、さらに好ましくは48.0質量%以下である、<2>から<17>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<19> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中のアルカノールアミン(成分C)の配合量が、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.030質量%以上である、<2>から<18>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<20> 前記工程2における洗浄時の洗浄液中のアルカノールアミン(成分C)の配合量が、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.09質量%以下、さらに好ましくは0.08質量%以下である、<2>から<19>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<21> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、好ましくは、3.0以上5.0以下である、<1>から<20>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<22> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、濃縮液の形態において、好ましくは3.0以上4.0以下である、<1>から<21>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<23> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、濃縮液でない形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である、<1>から<22>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<24> 前記工程2における洗浄時の洗浄液のpHが、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である、<1>から<23>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板の製造方法。
<25> アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分A)と、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる1種以上の無機酸(成分B)とを含有する、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<26> 更に、アルカノールアミン(成分C)が配合されている、<25>に記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<27> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上である、<25>又は<26>に記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<28> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下である、<25>から<27>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<29> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)が、好ましくは10/90以上95/5以下、より好ましくは20/80以上90/10以下、さらに好ましくは30/70以上80/20以下である、<25>から<28>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<30> 前記成分Aにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計が、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは実質100モル%である、<25>から<29>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<31> 前記成分Aの重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、さらに好ましくは1,200以上である、<25>から<30>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<32> 前記成分Aの重量平均分子量が、好ましくは100,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは4,000以下である、<25>から<31>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<33> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上である、<25>から<32>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<34> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aの含有量が、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下である、<25>から<33>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<35> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Aの含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である、<25>から<34>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<36> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Aの含有量が、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である、<25>から<35>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性ン洗浄剤組成物。
<37> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量が、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である、<25>から<36>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<38> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量が、好ましくは70質量%以下、より好ましくは67質量%以下である、<25>から<37>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<39> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Bの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上である、<25>から<38>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用洗浄剤組成物。
<40> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Bの含有量が、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下である、<25>から<39>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用洗浄剤組成物。
<41> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量が、好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは41.0質量%以上、さらに好ましくは41.5質量%以上である、<26>から<40>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<42> 前記酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの配合量が、好ましくは60.0質量%以下、より好ましくは50.0質量%以下、さらに好ましくは48.0質量%以下である、<26>から<41>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<43> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Cの配合量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上である、<26>から<42>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<44> 前記酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合に、前記成分Cの配合量が、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下である、<26>から<43>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<45> 洗浄時に水で希釈して用いる濃縮液の形態である、<25>から<44>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用洗浄剤組成物。
<46> 濃縮倍率が、好ましくは50倍以上、より好ましくは67倍以上、さらに好ましくは90倍以上である、<45>記載のガラスハードディスク基板用洗浄剤組成物。
<47> 濃縮倍率が、好ましくは200倍以下、より好ましくは150倍以下、さらに好ましくは110倍以下である、<45>又は<46>に記載のガラスハードディスク用基板洗浄剤組成物。
<48> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、好ましくは、3.0以上5.0以下である、<25>から<47>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<49> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、濃縮液の形態において、好ましくは3.0以上4.0以下である、<45>から<48>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<50> 前記酸性洗浄剤組成物のpHが、濃縮液でない形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である、<25>から<49>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
<51> ガラスハードディスク基板の製造方法における、<25>から<50>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物の使用。
<52> ガラスハードディスク基板の洗浄方法における、<25>から<50>のいずれかに記載のガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物の使用。
【0067】
以下の実施例及び比較例に基づいて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
[酸性洗浄剤組成物の調製]
表1の記載の組成となるように各成分を質量%で配合し、混合することにより、100倍濃縮液の形態の酸性洗浄剤組成物を得た(参考例1、実施例〜8、比較例1〜5)。表1において、上段の欄は、酸性洗浄剤組成の各成分の水を含めた全体質量に対する仕込み量(質量%)及び組成(質量%)を示す。表1において、下段の欄は、水以外の成分の全体質量に対する質量%を示す。また、pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。表1において、pHは、上段が調製した洗浄剤組成物(100倍濃縮液)のpHを示し、下段が洗浄時(上段の洗浄剤組成物の1%希釈時)のpHを示す。
【0069】
表1の酸性洗浄剤組成物の調製において、共重合体A−1、共重合体A−2、AEA、及び水は以下のものを使用した。
共重合体A−1:
アクリル酸80質量%、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸20質量%の共重合体(重量平均分子量2000、40質量%水溶液、東亞合成株式会社製、アロンA−6016)
共重合体A−2:
アクリル酸30質量%、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量%の共重合体(重量平均分子量1330、40質量%水溶液)
AEA:N−(β―アミノエチル)エタノールアミン
水:栗田工業株式会社製の連続純水製造装置(ピュアコンティ PC-2000VR-L型)とサブシステム(マクエース KC-05H型)を用いて製造した超純水
【0070】
参考例1、実施例〜8、比較例1〜5の酸性洗浄剤組成物を使用する工程2を含む、下記工程1〜工程3の研磨及び洗浄を行い、表面粗さの評価を行った。
【0071】
工程1:研磨工程
(評価用基板)
参考例1、実施例〜8、比較例1〜5の評価用基板として、ガラス基板(外径:65mmφ、内径:20mmφ、厚さ:0.635mm)を使用した。
(研磨条件)
以下の条件で前記評価用ガラス基板を研磨した。研磨液組成物の供給速度は、非研磨ガラス基板1cm2あたり0.33mL/分である。
研磨機:両面9B研磨機(浜井産業社製)
研磨パッド:FILWEL社製仕上げ研磨用スウェードパッド
研磨液組成物:コロイダルシリカスラリ−(コロイダルシリカ粒子の個数平均粒径24nm、コロイダルシリカ粒子の濃度:8質量%、媒体:水、花王社製)
予備研磨:荷重40g/cm2、時間60秒、研磨液流量100mL/分
本研磨:荷重100g/cm2、時間1200秒、研磨液流量100mL/分
水リンス:荷重40g/cm2、時間60秒、リンス水流量約2L/分
【0072】
工程2:酸性洗浄工程
参考例1、実施例〜8、比較例1〜5の酸性洗浄剤組成物(100倍濃縮液)を1%に希釈した洗浄剤組成物を30g用意し、ポリカップの容器に入れた。そして工程1で得られた研磨後のガラス基板(被洗浄基板)1枚を希釈された洗浄剤組成物の入ったポリカップに全面が浸漬されるように入れ、40℃に設定した温槽に入れ、1時間静置した。
次いで、温槽からポリカップを取り出し、ポリカップ内の被洗浄基板を超純水が30g入ったポリカップにピンセットを使用して移動させ、手で振とうさせた。
【0073】
工程3:アルカリ性洗浄工程
工程2の後のポリカップ内の被洗浄基板をpH12のアルカリ性洗浄剤が30g入ったポリカップにピンセットを用いて移動させ、40℃に設定した温槽に入れ、24時間静置した。
なお、アルカリ性洗浄剤は、アクリル酸/2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体0.02質量%と、非イオン性界面活性剤(C12、C14アルキル−O(EO)5(PO)1.5(EO)5H)0.05質量%とを含み、水酸化カリウムでpH12.0(25℃)に調整した水溶液を用いた。
次いで温槽からポリカップを取り出し、ポリカップ内の被洗浄基板を超純水が30g入ったポリカップにピンセットを使用して移動させ、手で振とうさせた。
被洗浄基板をピンセットを用いて取り出し、表面清浄度向上のために洗浄機にて水洗浄を実施した。洗浄機では、超音波洗浄(40kHz、40℃、30秒間)、洗浄ブラシによるスクラブ洗浄(400rpm、25℃、5秒)を行った。
【0074】
[表面粗さの測定方法]
上述の工程1〜3を行った後の基板の表面粗さを測定した。表面粗さは、各々の基板の両面を、以下に示す条件にて、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて測定し、平均値を算出した。これらの結果を表1に示す。
(AFMの測定条件)
Mode: Tapping mode
Area: 1×1μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: NCH−10V
Line: 512×512
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すとおり、参考例1、実施例〜8の酸性洗浄液組成物を用いた場合、比較例1〜5のものを用いた場合に比べ、基板表面粗さの悪化が抑制された。また、実施例2,3,7及び8の酸性洗浄液組成物を用いた場合には、参考例1,実施例4〜6のものを用いた場合に比べ、基板表面粗さの悪化がよりいっそう抑制された。