特許第6239977号(P6239977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239977
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】肥満治療用の医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/336 20060101AFI20171120BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 303/16 20060101ALI20171120BHJP
   C07D 301/32 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   A61K31/336
   A61P3/04
   C07D303/16
   !C07D301/32
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-538848(P2013-538848)
(86)(22)【出願日】2011年11月9日
(65)【公表番号】特表2013-543867(P2013-543867A)
(43)【公表日】2013年12月9日
(86)【国際出願番号】US2011059966
(87)【国際公開番号】WO2012064838
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年10月31日
【審判番号】不服2016-17523(P2016-17523/J1)
【審判請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/411,655
(32)【優先日】2010年11月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512092243
【氏名又は名称】ザフゲン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リース,ヘイリー,エー.
【合議体】
【審判長】 蔵野 雅昭
【審判官】 山本 吾一
【審判官】 前田 佳与子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1999/059986(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/082349(WO,A1)
【文献】 塩路雄作著,固形製剤の製造技術,シーエムシー出版,2003年1月27日,普及版,第9、12及び13頁
【文献】 仲井由宣ほか編,新製剤学,南山堂,1982年11月25日,第1版,第102及び103頁
【文献】 松本光雄編,薬剤学マニュアル,株式会社南山堂発行,1989年,第1版,第28頁、76頁
【文献】 伊賀立二,注射剤型DDSと植込み型DDS Injectable and implantable drug delivery systems,日本臨牀 The Japanese Journal of Clinical Medicine,47巻6号,P.1261−1267
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
A61K
A61P
C07D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形を有する6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基を含む医薬組成物であって、
該医薬組成物は、薬学的に許容される担体中での前記遊離塩基の懸濁液であり、
前記結晶形は、2θ度で7.1、13.3、16.3、17.4、18.6、19.4及び19.9のピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴づけられ、
該粉末X線回折パターンが、Cu Kα放射線を使用して得られたものである肥満治療用の医薬組成物。
【請求項2】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基が、2θ度で5.2、7.1、10.4、13.3、14.2、16.3、17.4、18.6、19.4及び19.9のピークを有する粉末X線回折パターンで特徴付けられる結晶形を有する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基が、図1に示される粉末X線回折パターンを有する請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記薬学的に許容される担体は水性の担体である請求項1から3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が皮下注射用の懸濁製剤である請求項1〜4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその内容全体が本明細書に組み込まれる、2010年11月9日に出願された米国仮特許出願第61/411,655号の利益およびそれに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
MetAP2は、ある新しく翻訳されたタンパク質、例えば、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼからアミノ末端メチオニン残基を酵素的に除去することにより少なくとも部分的に機能するタンパク質をコードする(Warder et al.(2008)J Proteome Res 7:4807)。MetAP2遺伝子の発現の増加は、歴史的に様々な形態の癌と関連付けられている。MetAP2の酵素活性を阻害する分子が同定され、様々な腫瘍型(Wang et al.(2003)Cancer Res 63:7861)ならびに微胞子虫症、リーシュマニア症、およびマラリアなどの感染性疾患(Zhang et al.(2002)J.Biomed Sci.9:34)の治療におけるそれらの利用性について探求されている。特に、肥満および肥満性糖尿病の動物におけるMetAP2活性の阻害は、一部には脂肪の酸化を増加させることにより、または一部には食物の消費を低減することにより体重の減少をもたらす(Rupnick et al.(2002)Proc Natl Acad Sci USA 99:10730)。
【0003】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールは、METAP2阻害薬であり、例えば、肥満の治療において有用である。6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールは、式Iを特徴とする。
【化1】
【0004】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの半シュウ酸塩の非晶形は調製された。しかしながら、遊離塩基である6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態の存在または調製は、当該技術分野において開示されていないようである。
【0005】
結晶多形は、物質が複数の結晶格子配置で結晶化する能力である。結晶化または結晶多形は、薬物の固体特性の多くの態様に影響を及ぼし得る。結晶性物質は、非晶形とは著しく異なる場合があり、物質の異なる結晶変態は、可溶性、溶解速度、および/または、生物学的利用能を含む多くの観点で、互いに著しく異なり得る。一般に、所与の化合物が、様々な結晶性固体形態を形成するか否かを予測することは困難である。これらの結晶性固体形態の物理特性を予測することはさらに困難である。さらに、ある製剤、例えば、皮下使用に適した製剤について、治療薬の結晶形態を有することは有利であり得る。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、本明細書において、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態を含む組成物が提供される。2θ度で約13.3の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、または例えば、2θ度で約13.3、17.4、および19.9の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、または例えば、2θ度で約7.1、13.3、16.3、17.4、18.6、19.4、および19.9の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするか、または例えば、2θ度で約5.2、7.1、10.4、13.3、14.2、16.3、17.4、18.6、19.4、および19.9の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、例えば、図1に示される結晶化パターンを特徴とする、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態もまた、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、粉末X線回折パターンは、Cu Kα放射線を使用して得られてよい。
【0007】
P2の空間群を有する、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態もまた、本明細書において提供される。
【0008】
一実施形態では、溶液中の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態は、図6に示されるパターンに実質的に従うH NMRスペクトルを有してよい。
【0009】
また本明細書では、
a)溶媒中の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール、例えば、非晶質6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの溶液を調製することと(例えば、溶媒は、二次エーテル、例えば、ジイソプロピルエーテルであってよく、または例えば、溶媒/抗溶媒系、例えば、トルエン:n−ヘプタン混合物、例えば、n−ヘプタン対トルエンの比が約4:1であってよい)、
b)溶液を、例えば、約40℃〜約60℃まで、例えば、約50℃まで加熱して、実質的または完全に6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールを溶解することと、
c)固体が溶液から沈殿するように温度を調節することと、及び
d)6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態を単離することと、
を含む、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態(例えば、形態A)を調製するためのプロセスが提供される。温度を調節することを含むそのようなプロセスは、溶液を約4℃以下、または約2℃〜約10℃に冷却することを含んでよい。
【0010】
本明細書において提供される結晶形態および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物は、例えば、皮下注射に適した懸濁製剤である組成物を検討する。一実施形態では、本明細書において、少なくとも検出可能な量の提供される結晶形態を含む原薬が提供される。
【0011】
肥満の治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、有効量の本明細書において提供される結晶形態を患者に投与することを含む方法も提供される。また本明細書では、肥満の治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶形態を含む組成物を皮下投与することを含む方法も提供される。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、開示される結晶形態を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】形態AのX線回折パターンを表す。
図2】形態Aのマイクログラフである。
図3】示差走査熱量測定(DSC)による形態Aの特性化を表す。
図4】熱重量/示差熱分析(TG/DTA)による形態Aの特性化を表す。
図5】調製された開示の結晶形態1(形態A)のFT−IRスペクトルを表す。
図6】実施例1により調製される溶解結晶形態のNMRスペクトルを表す。
図7】形態AのX線回折パターンである。
図8】形態AのX線回折パターンである。
図9】形態AのX線回折パターンである。
図10】形態Aのマイクログラフである。
図11】形態AのX線回折パターンである。
図12A】形態A結晶のORTEP図である。
図12B】室温での形態AのX線回折パターンと、110Kで得られる単結晶データから計算されるパターンとの比較である。
図12C図12AのORTEP図を構成するために使用される原子座標である。
図13】形態Cのマイクログラフである。
図14】形態CのX線回折パターンである。
図15】形態CのFT−IRスペクトルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
少なくとも一部には、本開示は、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶形態を対象とする。本開示は、結晶性6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物も提供する。用語「結晶形態」は、例えば、X線粉末回折またはラマン分光法などの解析方法により特性化され得る、結晶形態または修飾を指す。例えば、本明細書では、少なくとも検出可能な量の開示される6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態を含む原薬が提供される。
【0015】
本明細書では、2θ度で約13.3の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態(本明細書では「形態A」と呼ばれる)が提供される。一実施形態では、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶形態は、2θ度で約5.2の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約7.1の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約10.4の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約14.2の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約15.5の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約16.3の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約17.4の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約18.6の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約19.4の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約19.9の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約20.9の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約22.6の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、または2θ度で約24.6の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。別の実施形態では、結晶形態は、2θ度で約13.3、17.4、および19.9の少なくとも1つ以上の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。さらなる実施形態では、結晶形態は、2θ度で約7.1、13.3、16.3、17.4、18.6、19.4、および19.9の少なくとも1つ以上の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。さらに別の実施形態では、結晶形態は、2θ度で約5.2、7.1、10.4、13.3、14.2、16.3、17.4、18.6、19.4、および19.9の少なくとも1つ以上の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、結晶形態は、2θ度で約5.2、7.1、10.4、13.3、14.2、15.5、16.3、17.4、18.6、19.4、19.9、20.9、22.6、および24.6の少なくとも1つ以上の特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする。用語「約」は、本文脈において、測定に2θ±0.5(2θで表される)の不確実性が存在すること、または測定に2θ±0.2(2θで表される)の不確実性が存在することを意味する。例えば、目的の結晶形態は、図1に示される粉末X線回折パターンを有する。一実施形態では、結晶形態の粉末X線回折パターンは、Cu Kα放射線を使用して得られた。さらなる実施例では、目的の結晶形態は、実質的に図6に示されるパターンに従うH NMRスペクトルを有し、結晶形態は溶液中にある。
【0016】
本明細書では、P2の空間群を有する、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態も提供される。
【0017】
形態A6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態は、約2971、2938、2817、2762、1163、1103、832cm−1において1つ以上の特徴的ピークを有するIR吸収スペクトルを有する。この文脈において、用語「約」は、cm−1値が、例えば、最大±5cm−1異なり得ることを意味する。目的の結晶形態は、図5に示されるIR吸収スペクトルを特徴とする。目的の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態は、約83℃の融点を特徴としてよく、約83.1℃での吸熱を伴う示差走査熱量測定プロファイルを特徴としてよい。形態Aは、例えば、室温(約20℃)で約25mg/mLおよび50℃で約102mg/mLのジイソプロピルエーテルにおける溶解度を有する。pH約8.0以上の溶媒(例えば、緩衝剤を含み得る水溶液)中の形態Aの溶解度は、約20℃で約0.2mg/mL未満であってよい。本明細書において開示される、目的の結晶形態は、例えば、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの非晶質遊離塩基および/または非晶質半シュウ酸塩と比較して、実質的により安定し得る。
【0018】
また本明細書では、
a)溶媒中の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール、例えば、非晶質6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの溶液を調製することと(目的のそのような溶媒は、例えば、二次エーテル、トルエン、n−ヘプタン、または2つ以上の溶媒の組み合わせ、および/または溶媒/抗溶媒系を含んでよい)、
b)溶液を加熱して、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールを完全に溶解することと、
c)固体が溶液から沈殿するように温度を調節することと、及び
d)6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態を単離することと、
を含む、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態、例えば、形態Aを調製するためのプロセスも提供される。例示的実施形態では、二次エーテルは、ジイソプロピルエーテルである。他の目的の溶媒としては、メタノールおよび/もしくはイソプロパノールなどのアルコール、およびアセトン、アセトニトリル、シクロヘキサン、エチルアセテート、n−ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルメトン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの溶媒、ならびに/またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。例えば、一実施形態では、溶媒は、トルエン:n−ヘプタン混合物であってよく、n−ヘプタン対トルエンの比は、例えば、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1である。別の例では、溶媒または溶媒/抗溶媒(anti-solvent)系は、エチルアセテート:n−ヘプタン、アセトン:n−ヘプタン、またはメチルエチルケトン:n−ヘプタンから選択される。目的の抗溶媒対溶媒の比としては、例えば、約15:1、約14:1、約13:1、約12:1、約11:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶液を加熱することは、溶液を約40℃〜約60℃、例えば、約50℃まで加熱することを含む。別の実施形態では、温度を調節することは、溶液を約0℃〜約10℃、例えば、約4℃まで冷却することを含む。一実施形態では、温度を調節することは、溶液を約4℃以下、または約2℃〜約10℃まで冷却することを含む。そのようなシステムは、播種の有無に関わらず使用されてよい。例えば、目的のプロセスは、溶液に6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの既存の結晶を組み込むこと、または播種することを含んでもよい。
【0019】
別の実施形態では、2θ度で約6.1および18.4、または約6.1、12.2、12.8、12.9、18.4、18.6、19.7、20.2、24.1、および24.7の位置の1つ以上において特徴的ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の異なる結晶形態が提供される(本明細書では「形態C」と呼ばれる)。用語「約」は、この文脈において、例えば、測定に2θ±0.5(2θで表される)の不確実性が存在すること、またはさらには測定に2θ±0.2(2θで表される)の不確実性が存在することを意味することを意味する。例えば、目的の結晶形態は、図14に示される粉末X線回折パターンを有する。
【0020】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの形態Cは、831、894、1106、1159、1249、1287、1512、1602、1631、および1707cm−1の約少なくとも1つにおいて特徴的なピークを有するIR吸収スペクトルを有する。この文脈において、用語「約」は、cm−1値が、例えば、最大±5cm−1異なり得ることを意味する。例えば、目的の結晶形態は、図15に示されるIR吸収スペクトルを特徴とする。目的の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態Cは、板状形態を呈する。一実施形態では、例えば、5℃または周囲温度で約3日保管した後、形態Cは、形態Aに変換するか、または戻る。
方法
【0021】
ある実施形態では、開示は、肥満を治療する、および/または改善することを必要とする患者において、有効量の開示される結晶化合物、例えば、形態Aを投与することによりそれを行う方法を提供する。また本明細書では、開示される結晶化合物を投与することを含む、体重減少を誘導することを必要とする患者においてそれを行うための方法も提供される。
【0022】
他の目的の治療方法としては、本明細書に開示される結晶化合物を対象に投与することにより、肥満関連状態または合併症を治療または改善する方法が挙げられる。例えば、本明細書では、2型糖尿病の治療を必要とする患者においてそれを行うための方法、および/または他の目的の疾患または障害について、糖尿病を患う患者を治療する方法が検討される。
【0023】
開示される化合物により治療され得る例示の合併症または他の障害としては、心疾患、内分泌疾患、呼吸器疾患、肝障害、骨障害、精神疾患、代謝障害、代謝障害、および生殖障害が挙げられ得る。
【0024】
例示の心疾患には、高血圧、脂質異常症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓疾患、および肺高血圧が挙げられる。例示の内分泌疾患には、成人における2型糖尿病および潜在自己免疫糖尿病が挙げられる。例示の呼吸器疾患には、肥満−低換気症候群、喘息、および閉塞性睡眠時無呼吸が挙げられる。例示の肝障害は、非アルコール性脂肪肝疾患である。例示の骨障害には、腰痛および体重のかかる関節の変形性関節症が挙げられる。例示の代謝障害には、プラダーウィリ症候群、および多嚢胞性卵巣症候群が挙げられる。例示の生殖障害には、性機能障害、勃起障害、不妊症、産科合併症、および胎児異常が挙げられる。例示の精神疾患には、体重に関連する、うつおよび不安症が挙げられる。
【0025】
特に、ある実施形態では、上記医学的適応を治療することを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載される化合物を投与することを含む、方法を提供する。ある他の実施形態では、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶形態を含む組成物を皮下投与することを含む、肥満を治療することを必要とする患者においてそれを行う方法が提供される。
【0026】
肥満または「過体重」に関する言及は、除脂肪体重に対する割合での過剰脂肪を指す。過剰な脂肪蓄積は、脂肪組織細胞の大きさ(肥大)ならびに数(過形成)と関連付けられる。肥満は、絶対体重、体重:身長の比、皮下脂肪の分布、ならびに社会的および審美的基準に関して様々に測定される。体脂肪の一般的な評価基準は体格指数(BMI)である。BMIは、身長の二乗(メートルで表される)に対する体重(キログラムで表される)の比を指す。体格指数は、式:体重(kg)/身長(m)(SI)または703×体重(lb)/身長(インチ)(US)のいずれかを使用して正確に計算され得る。
【0027】
米国疾病対策予防センター(CDC)によると、過体重の成人は、25kg/m〜29.9kg/mのBMIを有し、肥満の成人は、30kg/m以上のBMIを有する。40kg/m以上のBMIは、病的な肥満または極度の肥満を示す。肥満は、男性の場合、腰囲約102cmの患者、女性の場合は腰囲約88cmの患者を指すこともできる。小児の場合、過体重および肥満の定義は、体脂肪に対する年齢および性別の影響を考慮する。異なる遺伝的背景のある患者は、上述の一般的ガイドラインとは異なるレベルで「肥満」と見なされる場合がある。
【0028】
本明細書に開示される結晶化合物は、例えば、腸内、非経口、または局所投与のための薬学的製剤の形態で、医薬品または薬学的に許容される組成物として使用され得、本明細書に開示される目的の方法は、開示される結晶化合物、またはそのような開示される結晶化合物を含む、もしくはそれらから形成される組成物を腸内、非経口、または局所投与することを含んでよい。例えば、開示される結晶形態Aは、ある経路により(例えば、皮下)またはある製剤で投与されるとき、異なる経路(例えば、静脈内)または他の製剤、例えば、非晶質形態を有する製剤と比較して、1つ以上の薬物動態特性(例えば、より長い、またはより短い放出プロファイル)を制御することが可能であり得る。一実施形態では、開示される結晶形態、例えば、形態Aは、ある製剤から別の製剤への実質的な再現性を付与する場合がある。
【0029】
組成物
本開示の別の態様は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される、本明細書に開示の化合物を含む薬学的組成物を提供する。特に、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される、本明細書に開示の化合物を含む薬学的組成物を提供する。これらの製剤は、経口、直腸、局所、口腔、眼内、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、もしくは静脈内)、直腸、膣、またはエアロゾル投与に適したものを含むが、任意の所与の場合、最適な投与形態は、治療される状態の程度および重篤度、ならびに使用される特定化合物の性質に依存する。例えば、開示される組成物は、単位用量として製剤化されてよく、および/または経口もしくは皮下投与のために製剤化されてもよい。
【0030】
本発明の例示の薬学的組成物は、外部、腸内、または非経口適用に適した有機または無機担体もしくは賦形剤との混合物中に、活性成分として本発明の化合物の1つ以上を含有する薬学的製剤の形態、例えば、固体、半固体、または液体形態で使用されてよい。活性成分は、錠剤、ペレット、カプセル、坐薬、溶液、エマルション、懸濁液のための通常の非毒性、薬学的に許容される担体、および使用に適した任意の他の形態と化合されてよい。活性成分化合物は、疾患のプロセスまたは状態に対する所望の影響をもたらすために十分な量で、薬学的組成物中に含まれる。
【0031】
錠剤などの固体組成物を調製する場合、主要な活性成分は、薬学的担体(例えば、コーンスターチ、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、またはガムなどの従来の錠剤化成分)および他の薬学的希釈剤(例えば、水)と混合されて、本発明の化合物の同種混合物、またはその非毒性の薬学的に許容される塩を含有する固体前処方組成物を形成してよい。これらの前処方組成物を同種として言及するとき、活性成分は、均等に組成物が錠剤、ピル、およびカプセルなどの有効な単位投薬形態に容易に分割され得るように、組成物全体に均一に分散されることを意味する。
【0032】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、ピル、ドラジェ、粉末、顆粒など)では、対象組成物は、クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかと混合される:(1)充填剤または拡張剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸)、(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギニン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア)、(3)保湿剤(例えば、グリセロール)、(4)崩壊剤(例えば、アガー−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギニン酸、あるケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(5)溶液遅延剤(例えば、パラフィン)、(6)吸収加速剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、(7)湿潤剤(例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、(8)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、(9)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物)、および(10)冷却剤。カプセル、錠剤、およびピルの場合、組成物は緩衝剤を含んでもよい。類似型の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟/硬ゼラチンカプセル内の充填剤として用いられてもよい。
【0033】
錠剤は、任意に1つ以上の副成分を用いて、圧縮または成形により製造されてもよい。目的の錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製されてよい。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤された対象組成物の混合物を適切な機械内で成形することにより製造されてよい。錠剤、および他の固体投与形態、例えば、ドラジェ、カプセル、ピル、および顆粒は、腸内コーティングおよび薬学的製剤技術分野においてよく知られている他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて、任意にスコアまたは調製されてよい。
【0034】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性または有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が挙げられる。経口投与のための液体投与形態には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。対象の組成物に加えて、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒、溶解剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ピーナッツ、コーン、胚、オリーブ、キャスター、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、シクロデキストリン、およびそれらの混合物などの当該技術分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有してよい。
【0035】
対象の組成物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタハイドロキサイド、ベントナイト、アガー−アガーおよびトラガカント、ならびにそれらの混合物などの懸濁剤を含有してよい。
【0036】
直腸または膣投与のための製剤は、坐薬として提示される場合があり、対象の組成物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックス、またはサリチル酸塩を含む1つ以上の好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製されてよく、また室温では固体であるが、体温では液体であるため、体腔内で溶解し、活性剤を放出する。
【0037】
対象の組成物の経皮投与のための投薬形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体と、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または推進剤と混合されてもよい。
【0038】
軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、対象の組成物に加えて、賦形剤、例えば、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および亜鉛酸化物、またはそれらの混合物を含有してよい。
【0039】
粉末およびスプレーは、対象の組成物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有してよい。スプレーは、慣例の推進剤(例えば、クロロフルオロヒドロカーボン)および揮発性非置換炭化水素(例えば、ブタンおよびプロパン)を付加的に含有してよい。
【0040】
本発明の組成物および化合物は、あるいはエアロゾルにより投与されてもよい。これは、化合物を含有する水性エアロゾル、リポソーム製剤、または固体粒子を調製することにより実現される。非水性(例えば、フルオロカーボン推進剤)懸濁剤が使用され得る。超音波ネブライザは、せん断への薬剤の暴露を最小限にし、対象の組成物に含有される化合物の分解をもたらし得るため、それらを使用してもよい。通常、水性エアロゾルは、従来の薬学的に許容される担体および安定剤と一緒に、対象の組成物の水溶液または懸濁液を製剤化することにより製造される。担体および安定剤は、特定の対象組成物の要件によって異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tweens、Pluronics、またはポリエチレングリコール)、無害のタンパク質様血清アルブミン、ソルビタンエステル、オレイン酸、エシチン、アミノ酸(例えば、グリシン)、緩衝剤、塩、糖、または糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般に等張液から調製される。
【0041】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、もしくはエマルション、または使用直前に滅菌注射剤または分散剤に再構成され得る滅菌粉末と併せて、対象の組成物を含み、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図される受容体の血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含有してよい。
【0042】
本発明の薬学的組成物に用いられ得る好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および好適なそれらの混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、ならびに注入可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびシクロデキストリン)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング物質の使用により、分散の場合は必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持されてよい。例えば、本明細書において提供される結晶形態は、特定の粒径を得るように粉砕されてよく、少なくともいくつかの実施形態では、そのような結晶形態は、粉砕時に実質的に安定性を維持し得る。
【0043】
例えば、本明細書では、開示される結晶形態の懸濁剤を含む、皮下投与に適した組成物が提供される。皮下投与は、典型的に医師の診察を必要する静脈内投与よりも有利であり得るが、より痛みを伴い侵襲性であり得る。結晶化合物の典型的な用量は、患者に投与されるとき、約1mg〜約8mgの化合物であってよい。一実施形態では、本明細書において、例えば、結晶形態を賦形剤および/または溶媒と混合することにより、開示される結晶形態から形成される薬学的に許容される組成物が開示される。
【0044】
キット
一実施形態では、肥満または他の目的とする疾患を治療するためのきっとが提供される。例えば、開示されるキットは、開示される結晶化合物、例えば、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール、遊離塩基の結晶形態(例えば、形態A)を含み、例えば、第1の容器に入れられる。いくつかの実施形態では、キットは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでよく、例えば、第2の容器に入れられる。そのような目的とするキットは、結晶形態からの患者への投与に適した薬学的組成物の調製について説明する指示書を含んでよい。例えば、その指示書は、例えば、賦形剤と本明細書に開示される結晶化合物とを混合することにより、患者に投与するための薬学的に許容される形態を調製することについて説明し得る。開示されるキットは、得られる組成物を患者に投与する方法を説明する指示書をさらに含んでよい。
【実施例】
【0045】
本明細書に記載される化合物は、本明細書に含有される教示および当該技術分野において知られる合成手順に基づいて、多くの方法で調製され得る。以下の非限定例は、開示される発明を説明する。
実施例1
【0046】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶、形態A物質は、以下のように調製した。
【0047】
約423mgの非晶質ガム/油様6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール遊離塩基化合物を、約6mLのジイソプロピルエーテル(IPE)に溶解した。溶液は、周囲温度(18〜22℃)で約24時間攪拌させて、その時間の間に固体が沈殿した。得られる固体は、ろ過により単離され、真空下周囲温度で約4時間乾燥させた(収率35.8%)。
【0048】
X線粉末回折(XRPD)解析は、固体結晶(形態A)上で行った。XRPD解析は、Siemens D5000上で行い、試料を3〜30または50の2θ度で走査した。100mg未満の試料の場合、約5mgの試料をガラス基材の上にやさしく圧縮し、プラスチック試料ホルダーの中に挿入した。100mgを超える試料の場合、約100mgの試料をプラスチック試料ホルダーの中にやさしく圧縮して、試料表面が平滑であり、試料ホルダーのレベルの真上になるようにした。次いで試料を反射モードで稼働する回折計に搭載し、以下の表1に見られる以下の実験条件を使用して解析した。
【表1】
【0049】
XRPDは、図1に示される。特徴的ピークは、以下の表2に示されるピークの1つ以上を含む。
【表2】
【0050】
複屈折の存在は、Moticカメラおよび画像取込ソフトウェア(Motic Images Plus2.0)を備えるOlympus BX50F4偏光顕微鏡を使用して、偏光顕微鏡法(PLM)により決定した。画像は、20倍対物レンズを使用して記録した。図2に示されるように、各例において、約1mgの試料を顕微鏡スライドの上に置いた。
【0051】
結晶化合物は、示差走査熱量測定も特徴とする。約5〜10mgの試料を計量してアルミニウムDSCパンに入れ、特別な定めのない限り、穴のあいたアルミニウム蓋で封をした(非密閉的)。次いで試料パンを冷却されたSeiko DSC6200(冷却器を備える)に搭載し、25℃で保持した。安定した熱流量応答が得られると、次いで試料および参照を10℃/分の走査速度で約280℃まで加熱し、得られる熱流量応答をモニターした。窒素は、パージガスとして流速150cm/分で使用した。器具は、インジウム参照基準を使用して、週ベースで温度および熱流量較正した。Muse Measurementソフトウェア(バージョン5.4U)を使用して試料分析を行い、熱イベントの温度は、開始温度として引用し、製造者の仕様書に従って測定した。結果を図3に表す。DSCに存在するすべての吸熱は、下向きにポイントをトレースする。
【0052】
熱重量/示差熱分析(TG/DTA)も行った。約5〜10mgの試料を計量してアルミニウムパンに入れ、室温で保持された同時熱重量/示差熱分析器(TG/DTA)の中に搭載した。次いで試料を10℃/分の速度で25℃から280℃まで加熱し、その時間の間に試料重量の変化を任意の示差熱イベント(DTA)とともに記録した。窒素は、パージガスとして流速150cm/分で使用した。器具は、それぞれ100mg参照重量およびインジウム参照基準を使用して、月ベースで重量および温度較正した。試料分析は、Muse Measurementソフトウェア(バージョン5.4U)を使用して行った。結果を図4に表す。
【0053】
赤外線分光法は、Bruker Alpha FT−IR分光計上で行った。約2〜20mgの物質を分析に使用し、試料は液体または固体のいずれかであった。スペクトルは、以下のパラメータを使用して得られた。解像度:4cm−1、背景走査回数:16走査、試料走査回数:16走査、データ収集:4000〜400cm−1、結果スペクトル:透過率、ソフトウェア:OPUSバージョン6.5。図5は、調製された結晶化合物のIRスペクトルを表す。
【0054】
H NMRは、Bruker DPX400 NMR分光計上で行った。試料は、重水素化DMSO中で濃度10〜20mg/mLに調製し、スペクトルは図6に表す。
【0055】
実施例2
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶、形態A物質は、以下のように拡大した。
【0056】
ジイソプロピルエーテル(90mL)を、非晶質ガム/油様物質11.14gを含有する丸底フラスコ(250mL)に添加した。次いでフラスコの首部に取り付けられたコンデンサを用いて、フラスコを50℃まで加熱した。これは、非晶質物質が溶解するのを可能にする。溶液を約300rpmで攪拌した。50℃で5分間維持した後、次いで溶液を約1℃/分の速度で冷却しながら約300rpmで攪拌した。温度が46℃まで冷却されたら、播種するために結晶物質68.2mgをフラスコに添加した。約24℃まで冷却した後、固体が溶液から沈殿しはじめ、実験が4℃まで冷却されるまで沈殿は継続した。4℃に達した後、この温度で約5分間保持した。次いで物質をろ過し、乾燥させるためにフィルタ上で5分間放置した。次いで物質をビーカーに移し、さらに乾燥させるために、周囲温度(約20℃)で真空オーブン(約600mbar)内に入れた。真空オーブン内で24時間維持した後、試料を計量した。
【0057】
NMR解析は、24時間の乾燥後に約2%の残留溶媒の存在を示した。したがって、真空下(約600mbar)周囲温度(約20℃)でさらに24時間試料を乾燥させた(すなわち、合計48時間の乾燥)。さらなる乾燥を行った後、残留溶媒の痕跡は、NMR解析により同定され得なかった。収率は80%であり、HPLC解析は、99.5%を超える純度を示した。XPRDを図7に示す。
【0058】
実施例3
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶、形態A物質500mgの研削は、以下のとおり行った。
実施例2と同様に、結晶化合物の拡大から得た試料(約500mg)を乳鉢上に置いた(Agate物質、H:35mm、L:77mm)。次いで試料は、乳棒(長さ:80mm、研削直径:17mm)を使用して約5分間研削した。研削手順を通して、試料を約10秒間断続的に放置して、著しい熱が生成されなかったことを保証する。PLMは、長さ約20μm〜80μmの間で計測される粒径を有する複屈折物質を示した。XRPD解析は、物質が、非研削結晶物質と一致するピーク位置とともに高い結晶性を維持することを示した(図8)。
【0059】
実施例4
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶、形態A物質は、以下のように拡大した。
【0060】
20mL丸底フラスコは、攪拌棒または機械攪拌機、および還流コンデンサを備えた(コンデンサを冷水供給器に接続する必要はなく、典型的に結晶化の目的には空冷で十分である)。別個の小バイアル内で、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(1g)を酢酸エチル(1mL)中に溶解した。得られた溶液を、窒素圧を使用して、PTFE 0.2μmフィルタを通して前述の20mL丸底フラスコの中にろ過した。バイアルを酢酸エチル(0.25mL)で洗浄し、得られた溶液を、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した。 n−ヘプタン(10mL)は、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した(注記:n−ヘプタンを酢酸エチル溶液に添加する間に、著しい沈殿が認められた)。得られた混合物を約50〜55℃までゆっくり加熱した(注記:完全な溶解は、多くの場合35〜40℃の間で見られる)。溶液は、35℃までゆっくり冷却し、その時点で攪拌を停止して、種晶(1mg、微粉炭)を添加した。溶液の内部温度は、3時間攪拌することなく約35℃で維持した(注記:フラスコ表面に著しい結晶形成が認められた場合、不定期の短時間(約15分)の強力な攪拌ストロークを印加して、フラスコ表面上の結晶を破壊する)。攪拌しない、または最小限の攪拌で、混合液を1時間当たり1℃の速度で20℃までゆっくり冷却した。混合液の内部温度は、約20℃で10〜18時間維持した。生成物は、ろ過により白色針状結晶として採取し、n−ヘプタン(0.5mL)で洗浄して、ろ過真空条件下で約2時間乾燥させた。固体を計量済みペトリディッシュの上に採取し、ペトリディッシュを被覆して、真空オーブン(20mmHgで21〜25℃)にさらに18時間入れて、結晶形態Aを得た(75〜80%)。
【0061】
XRPD解析は、物質が形態Aと一致するパターンを有する結晶であったことを示した。
【0062】
実施例5
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶、形態A物質は、以下のように拡大した。
【0063】
20mL丸底フラスコは、攪拌棒または機械攪拌機、および還流コンデンサを備えた(コンデンサを冷水供給器に接続する必要はなく、典型的に結晶化の目的には空冷で十分である)。別個の小バイアル内で、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(1g)を酢酸エチル(1mL)中に溶解した。得られた溶液を、窒素圧を使用して、PTFE 0.2μmフィルタを通して前述の20mL丸底フラスコの中にろ過した。バイアルを酢酸エチル(0.25mL)で洗浄し、得られた溶液を、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した。 n−ヘプタン(10mL)は、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した(注記:n−ヘプタンを酢酸エチル溶液に添加する間に、著しい沈殿が認められた)。得られた混合液を約50〜55℃までゆっくり加熱した(注記:完全な溶解は、多くの場合35〜40℃の間で見られる)。溶液は、25℃までゆっくり冷却し、3時間ゆっくり攪拌しながらこの温度を維持した(注記:白色沈殿衝突および攪拌速度は、効率的な混合のために調節される必要があり得る)。混合液を20℃までゆっくり冷却し、混合液の内部温度は、この温度で10〜18時間維持した。生成物は、ろ過により白色綿毛状の固体として採取し、n−ヘプタン(0.5mL)で洗浄して、ろ過真空条件下で約2時間乾燥させた。固体を計量済みペトリディッシュの上に採取し、ペトリディッシュを被覆して、真空オーブン(20mmHgで21〜25℃)にさらに18時間入れて、結晶形態Aを得た(75〜80%)。
【0064】
XRPD解析は、物質が形態Aと一致するパターンを有する結晶であったことを示した。
【0065】
実施例6
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶、形態A物質は、以下のように拡大した。
【0066】
20mL丸底フラスコは、攪拌棒または機械攪拌機、および還流コンデンサを備えた(コンデンサを冷水供給器に接続する必要はなく、典型的に結晶化の目的には空冷で十分である)。別個の小バイアル内で、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(1g)をトルエン(約1mL)中に溶解した。得られた溶液を、窒素圧を使用して、PTFE 0.2μmフィルタを通して前述の20mL丸底フラスコの中にろ過した。バイアルをトルエン(加温または室温、0.25mL)で洗浄し、得られた溶液を、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した。n−ヘプタン(5mL)は、窒素圧を使用して、同一のPTFE 0.2μmフィルタを通して、ろ液を含有するフラスコの中にろ過した(注記:n−ヘプタンをトルエン溶液に添加する間に、著しい沈殿が認められた)。得られた混合液を約50〜55℃までゆっくり加熱した(注記:完全な溶解は、多くの場合35〜40℃の間で見られる)。溶液は、28℃までゆっくり冷却し、この時点で種晶(1mg、微粉炭)を添加した。溶液の内部温度は、3時間攪拌せずに約28℃で維持した(注記:フラスコ表面に著しい結晶形成が認められた場合、不定期の短時間(約15分)の強力な攪拌ストロークを印加して、フラスコ表面上の結晶を破壊する)。攪拌しない、または最小限の攪拌で、混合液を1時間当たり1℃の速度で20℃までゆっくり冷却した。混合液の内部温度は、約20℃で10〜18時間維持した。生成物は、ろ過により白色棒状結晶として採取し、n−ヘプタン(0.5mL)で洗浄して、ろ過真空条件下で約2時間乾燥させた。固体を計量済みペトリディッシュの上に採取し、ペトリディッシュを被覆して、真空オーブン(20mmHgで21〜25℃)にさらに18時間入れて、結晶形態Aを得た(65〜75%)。
【0067】
XRPD解析は、物質が形態Aと一致するパターンを有する結晶であったことを示した。
【0068】
実施例7
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶版は、以下のように拡大した。表3に見られるように、3つの異なる容器から得た非晶質ガム/油様遊離塩基物質を500mL丸底フラスコの中で混合した。
【表3】
【0069】
ジイソプロピルエーテルを各容器に最初に添加した後、約300rpmで攪拌しながら3つの容器を50℃まで加熱し、物質の大部分が溶解したと思われるまでこの温度で保持した。次いで各容器からの溶液を500mL丸底フラスコに移した。次いで残りの物質を溶解するために、ジイソプロピルエーテルの2回目の添加を各容器に加え、容器の内容物を500mL丸底フラスコの中に流し入れた。3つの容器からの材料を混合した後、500mL丸底フラスコは、ジイソプロピルエーテル約185mL中に溶解された物質約28.56gを含有した。次いで約300rpmで攪拌しながら、フラスコを50℃まで加熱し、この温度で約10分間保持した。これは、すべての物質が完全に溶解するのを可能にした。50℃で10分間維持した後、次いで約300rpmで攪拌しながら、溶液を約1℃/分の速度で冷却した。温度が30℃まで冷却されると、播種するために、例えば、実施例1で製造された結晶物質14.8mgをフラスコに添加した(結晶性播種物質は、種としてフラスコに添加される前に、メノウ乳鉢および乳棒を使用して約1分間すりつぶした)。4℃まで冷却を継続すると、粘性のスラリーが得られるまで溶液から固体が沈殿した。約300rpmで攪拌しながら、フラスコを4℃でさらに1時間保持した。次いで物質をろ過し、乾燥させるためにフィルタ上で約10分間放置した。次いで物質をビーカーに移し、さらに乾燥させるために、周囲温度(約20℃)で真空オーブン(約600mbar)内に入れた。真空オーブン内で48時間維持した後、試料を計量した。H NMR解析は、48時間の乾燥後に約2.4%の残留溶媒の存在を示した。したがって、真空下(約600mbar)周囲温度(約20℃)でさらに3日間試料を乾燥させた(すなわち、合計5日間の乾燥)。さらなる乾燥を行った後、H NMR解析は、1.13%の残留溶媒の存在を示した。次いで試料を真空下(約600mbar)30℃でさらに3.5日間乾燥させた(すなわち、合計8.5日間の乾燥)。
【0070】
次いでH NMR解析を行ったところ、残留溶媒の痕跡を同定することができなかった。HPLC解析は、99.5%を超える純度を示した。XPRDを図9に示す。
【0071】
実施例8
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶版は、以下のようにフマギロールから拡大した。
【0072】
5Lガラス反応器内で、トルエン(1.5L)、フマギロール(300g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC、375g(87.9%))、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP、261g)、および4−[(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]桂皮酸(501g)をこの順序で反応器に室温で添加した。混合液を20℃から約45〜58℃まで30分かけて加熱し、その温度でさらに1〜3時間、反応が完了するまで攪拌した。反応の完了は、1%未満のフマギロールの存在下で、薄層クロマトグラフィ(ジクロロメタン:メタノール(4:1)、シリカプレート、アニスアルデヒド可視化)によりモニターした(注記:反応は、典型的に完了まで2〜3時間を要する)。
【0073】
反応が完了したことを確認した後、混合液を20〜25℃まで35分かけて冷却し、トルエン(1.5L)を添加した。得られた混合液は、セライトパッド(300g)を通してろ過し、すべての溶解されていない物質を除去して、セライトパッドをトルエン(3.0L)で洗浄した。混合された濾液(6.85L)は、HPLCにより定量的に解析した(所望の生成物520g(97%)が濾液中に存在すると推定された)。
【0074】
トルエン濾液は、pH4.0〜4.5の250mM酢酸アンモニウム緩衝溶液で洗浄した(2回洗浄、線状1回当たり4.5L)。酢酸アンモニウム緩衝溶液は、精製水(9L)中に酢酸アンモニウム(174g)を溶解し、酢酸(283g)を添加してpHを調節することにより調製した。DMAPおよび桂皮酸の大部分が除去されたことを確認した後(薄層クロマトグラフィ解析(ジクロロメタン:メタノール(4:1)、アニスアルデヒド可視化))、有機相を5% NaHCO(1.5L)および精製水(1.5L)で洗浄した。HPLC解析を行ったところ、DMAPは検出されなかった。
【0075】
活性炭(30g、Nuchar SA−20)をトルエン溶液に添加し、混合液を20分間攪拌した。セライトパッド(300g)を通して懸濁液を20分かけてろ過することにより活性炭を除去し、ろ液を0.2μmフィルタ(Waters,カタログNo.186003524)を通してさらに20分かけてろ過した。真空で回転蒸発器を使用してトルエン溶液を濃縮し(浴温=35〜40℃、15〜25mbar)、濃縮物のH NMRを取り、残留トルエンを15.3%と決定された。
【0076】
濃縮物に対して、n−ヘプタン(1.0L)を添加し、得られる混合物を真空で(浴温=35〜40℃、15〜25mbar)25分かけて濃縮した(生成物は塊のある固体になった)。濃縮物中の残留トルエンは、H NMR解析から0%と決定された。
【0077】
この濃縮物に、トルエン(0.2μmフィルタを通してろ過された0.3L)およびn−ヘプタン(0.2μmフィルタを通してろ過された1.2L)を添加し、得られた混合液を40〜51℃まで40分かけてゆっくり加熱し、固体を完全に溶解させた。混合液を25〜36℃までゆっくり冷却し、形態A種晶45mgを添加した。混合液を攪拌せずに室温で10〜25時間維持した。
【0078】
生成物をろ過により採取し、フィルタケーキをn−ヘプタンで洗浄して(0.2μmフィルタを通してろ過された300mL)、真空下(0.2〜0.3インチHg)で24時間28〜30℃の間で乾燥させて、HPLC純度98〜99%の6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態(375g、70.6%)を得た(ろ液を濃縮してHPLC解析による純度80.9%のろ液濃縮物(117g)を得た)。
【0079】
XRPD解析は、物質が形態Aと一致するパターンを有する結晶であったことを示した。
【0080】
実施例9
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基)の結晶版の再結晶化は、以下のように行った。
【0081】
250mL丸底フラスコに結晶6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(遊離塩基、19g)を充填した。トルエン(約19mL)を添加し、約150rpmで攪拌しながら(楕円形の磁気攪拌棒、長さ:2.5cm)、反応液を磁気ホットプレート攪拌器(加熱マントルを有する)上でゆっくり(約1℃/分)約55℃まで加熱した。溶解が完了した後、ヘプタン(約171mL、約55℃に予熱)をゆっくり添加し、固形物質が即時に溶液から沈殿し始めた。10分の攪拌後、沈殿した固体は溶解していたが、少量の黄色ガムが存在した。ガムを除去するために、溶液を異なる丸底フラスコ(250mL、約55℃に予熱)に移した。ホットプレートの電源を切り、反応液を55℃から周囲温度(約22℃)まで自然に冷却する前に、移された溶液を新しいフラスコ内で約5分間ゆっくり攪拌した(約150rpm)。固形物質は、約28℃で溶液から結晶化した。周囲温度(約22℃)に冷却した後、スラリーをさらに3時間、ゆっくり攪拌し続けた(約150rpm)。3時間後、小隔膜ポンプに接続されたブフナー漏斗(直径:7.7cm)およびブフナーフィルタフラスコ(500mL)を使用して、固体をろ過した。二重ろ紙をフィルタ内で使用した(ろ紙直径5.5cm)。物質をフィルタ上で約10分間乾燥させた。次いで固形物質を表面積の大きい(直径14cm)の結晶化ディッシュの中に入れ、真空下(圧力約25mbar、絶対圧読み取り)、周囲温度(約22℃)で約7日間、ガレンカンプ真空オーブン内で乾燥させて、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの遊離塩基の結晶形態を得た(約15lg、79.4%)。
【0082】
XRPD解析は、物質が形態Aと一致するパターンを有する結晶であったことを示した。
【0083】
実施例10
X線決定に適した6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(形態A)の結晶物質は、以下のように、蒸気拡散アプローチによる溶媒−抗溶媒を利用して調製した。
【0084】
濃度100mg/mLの形態Aのろ過溶液は、周囲温度で適量のメチル−t−ブチルエーテル中で形態Aの試料(図10および11を参照)を攪拌した後、溶液を、0.7μmガラス繊維フィルタを通して、1.2mLバイアル挿入体の中にろ過することにより調製した。この時点で、ろ過溶液をペンタンの蒸気に暴露して、結晶物質の形成を生じ、これを単結晶構造決定のために提出した。単結晶構造決定手順は、以下のように行った。
【0085】
形態Aの単結晶試料は、少量のパラトンN油とともに、Mitegenポリイミド顕微標本上に載置した。すべてのX線測定は、−163℃の温度で、Bruker−Nonius Kappa Axis X8 Apex2回折計上で行った。単位セルの寸法は、4.76°<2θ<55.5°の対称拘束適合9994反射から決定した。データ収集方法は、多数のωおよびφ走査であり、最大59.34°(2θ)までのデータを収集した。フレーム統合は、SAINT(Bruker−Nonius,SAINTバージョン2009.9,2009,Bruker−Nonius,Madison,WI 53711,USA)を使用して行った。SADABSを使用し、対称同等データのマルチスキャン平均化を用いて、得られた原データを拡大縮小し、吸収を訂正した(Bruker−Nonius,SADABSバージョン2009.9,2009,Bruker−Nonius,Madison,WI)。
【0086】
結晶構造は、XSプログラムを使用する直接方法により溶解した(Bruker−AXS,XSバージョン2009.9,2009,Bruker−AXS,Madison,WI 53711,USA)。すべての非水素原子は、初期溶液から得られた。水素原子は、理想の位置に導入され、親原子上に乗ることが許された。C3原子部位は、2位にわたって障害された。代替位置は、C3′と指定された。第1位の正規化占有率は、0.698(10)まで精密化された。絶対構造は、回折データから決定することができなかった。C14の絶対構成は、フマギリンの構造において報告された対応する原子(C6)の絶対構成(R)に設定した(Halasz,J.et.al.Tetrahedron,2000,56,10081.)。すべての他の立体中心は、その割り当てに対して設定した。構造モデルは、Fに基づくフルマトリクス最小二乗を使用して、データに適合させた。計算された構造因子は、通常集計からの異常分散に対する訂正を含む。構造は、SHELXTLからのXLプログラムを使用して精密化し(Bruker−AXS,XLバージョン2009.9,2009,Bruker−AXS,Madison,WI 53711,USA)、グラフィックプロットは、一連のNRCVAX結晶学的プログラムを使用して生成した。
【0087】
単結晶決定のためのORTEP図面は、図12Aに示す。結晶データのまとめは、以下の表5に見られる。
表5
【0088】
図12AのORETP図面の結晶構造に関するデータは、図12Cに示される。室温での形態AのX線回折パターンと、110Kで得られた単結晶データから計算されたパターンとの比較は、図12Bに示される。
【0089】
実施例11
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの結晶、形態C物質は、以下のように調製した。
【0090】
非晶質物質は、6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロール(20mg)をメタノール(0.5mL)中に溶解し、得られた溶液を遠心分離蒸発器に4時間配置することにより調製した。非晶質相は、ラマン分光法を使用して検出することができ、非晶質物質は、1633および1707cm−1において特徴的ピークを示したが、形態Aは、1627および1700cm−1において関連ピークを示した。
【0091】
6−O−(4−ジメチルアミノエトキシ)シンナモイルフマギロールの非晶質物質の試料は、周囲温度で純トリクロロエタンの蒸気に暴露させた。非晶質形態は、容易に潮解した。潮解した試料は、冷却環境で保存し、Genevac遠心分離蒸発器を使用して蒸発乾燥させた。次いで試料を密閉し、ドライアイスに約15分沈めて、冷凍庫内で保管した(約25℃)。試料は、冷凍庫内で保管する間(−20℃、9日間)はガラス状のままであり、次いで5℃で(9日間)保管すると、結晶、形態Cを生じた(マイクログラフについては図13を参照)。形態C試料の一部は、周囲温度で放置した。周囲温度での試料、ならびに5℃で保管された試料は、3日後に形態Aに変化した。形態Cは、形態Aに対して準暗転であることが認められた。
【0092】
X線粉末回折(XRPD)解析は、固体結晶(形態C)上で行った。XRPD解析は、HI−STAR GADDS検出器を有するBruker D8 Discovery回折計、またはSiゼロ背景ウエハ上のPANalytical X′Pert Pro回折計上で行った。すべてのディフラクトグラムは、単色Cu Kα(45kV/40mA)放射線およびステップサイズ0.02の2θ度を使用して収集した。XRPDは、図14に示される。形態CのXRPDパターンは、形態Aの特徴的ピークのいずれも示さないが、純粋相である。
【0093】
特徴的XRPDピークは、以下の表4に示されるピークの1つ以上を含む。
【表4】
【0094】
赤外線分光法は、DTGS検出器およびDurascopeを備えるNicolet 6700分光計(Thermo Electron)上で行った。スペクトルは、以下のパラメータ:4cm−1解像度、64走査、Happ−Genzelアポディゼーション関数および2−レベルゼロ埋めを使用して得られた。
【0095】
図15は、調製された結晶、形態C化合物のIRスペクトルを表す。図15に見られるように、形態CのIRスペクトルは、形態Aに対するピーク移行を示す。例えば、カルボニル領域において、形態Cは、1707cm−1でピークを示すが、形態Aは、1700cm−1で対応するピークを示す。別の例では、形態Cは、894cm−1でピークを示すが、形態Aは、指紋領域において同様のピークを示さない。
【0096】
特徴的IRピークは、以下の表5に示されるピークの1つ以上を含む。
【表5】
【0097】
ラマン分光法は、1064nm Nd:YVO励起レーザー、InGaAsおよび液体N冷却されたGe検出器を備える、Nicolet NXR9650またはNXR960分光計(Thermo Electron)を利用して行った。すべてのスペクトルは、4cm−1解像度、64−128走査、Happ−Genzelアポディゼーション関数および2−レベルゼロ埋めを使用して得られた。
【0098】
参照による組み込み
以下に列挙されるものを含む、本明細書において言及されるすべての発行物および特許は、各個別の発行物または特許が参照することにより具体的かつ個別に組み込まれるかのように、あらゆる目的で参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。対立が生じる場合は、本明細書における任意の定義を含む本出願が優先される。
【0099】
均等物
対象発明の特定の実施形態が論じられたが、上記明細書は例証であって制限するものではない。本発明の多くの変形が、この明細書を検討するとき、当業者には明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、請求項およびそれらの均等物の全範囲、ならびに明細書およびそのような変形を参照することにより決定されるべきである。
【0100】
他に指定のない限り、明細書および請求項において使用される成分、反応条件などの量を表すすべての数字は、いかなる場合も用語「約」により修正されると理解されるものである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書および添付の請求項に記載される数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る近似値である。
【0101】
特許を請求するのは以下のものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C-1】
図12C-2】
図12C-3】
図12C-4】
図12C-5】
図12C-6】
図13
図14
図15