(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。なお、従来通りの、単一の光軸を有する第2の光学装置利用時の説明に関しては、広く周知された技術であるため、説明を簡略化している。この場合、手振れ補正やトリミングで範囲は変更されるが、基本的には撮像素子の略全体で、一枚の画像が得られる。露出やピントの制御が、この全体画像が良好になるように行われるよう、ピント合わせや平均測光、部分測光等が駆使されることは既に周知である。
【0033】
(実施の形態1)
〔撮像システムの概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像システム1の構成を示すブロック図である。
撮像システム1は、デジタルカメラとして構成され、
図1に示すように、光学装置2と、当該光学装置2が装着される撮像装置3とを備える。
【0034】
〔光学装置の構成〕
光学装置2は、複数の光軸を有する第1の光学装置や、単一の光軸を有する第2の光学装置を例示することができる。上述したように第2の光学装置については周知の技術であるため、以下では、第1の光学装置の構成を重点的に説明する。
光学装置2は、所謂交換レンズとしての機能を有し、撮像装置3に対して着脱自在に取り付けられる。
なお、以下では、光学装置2の構成として、本発明の要部を主に説明する。
この光学装置2は、
図1に示すように、撮像光学ユニット21と、駆動部22と、位置検出部23と、第1記録部24と、第1通信部25と、第1制御部26とを備える。
なお、単一の光軸を有する第2の光学装置は、複数の光軸を有する第1の光学装置に対して、撮像光学ユニットの構成が異なるのみであり、駆動部22、位置検出部23、第1記録部24、第1通信部25、及び第1制御部26に相当する構成を有する。
【0035】
図2ないし
図5は、撮像光学ユニット21の構成を模式的に示す図である。具体的に、
図2は、撮像光学ユニット21を被写体側から見た図である。
図3は、
図2に示したIII-III線の断面図である。
図4は、
図2に示したIV-IV線の断面図である。
図5は、撮像光学ユニット21を上方から見た図である。
撮像光学ユニット21は、複数の光学系を組み合わせた所謂多眼レンズ(複眼レンズ)で構成され、所定の視野領域から光をそれぞれ集光し、当該集光した光を、撮像装置3を構成する撮像素子311(
図2,
図5)の撮像面311A(
図2,
図5)にそれぞれ結像する。この撮像光学ユニット21は、
図1ないし
図5に示すように、第1左側広角レンズ211L(
図1〜
図3,
図5)と、第1右側広角レンズ211R(
図1〜
図3,
図5)と、第2左側広角レンズ212L(
図1,
図2)と、第2右側広角レンズ212R(
図1,
図2)と、望遠レンズ213(
図1,
図2,
図4,
図5)とを備える。
なお、
図2及び
図5では、説明の便宜上、各レンズ211L,211R,212L,212R,213を擬似的に単体のレンズとして図示している。
【0036】
第1左側広角レンズ211Lは、複数のレンズ群が組み合わされ(
図3)、撮像範囲に対して焦点距離が比較的に短く、ピント位置が遠距離である固定焦点の広角レンズである。これは画角が広いレンズとも言える。すなわち、第1左側広角レンズ211Lは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、第1左側広角レンズ211Lは、撮像装置3に光学装置2が装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒(図示略)に支持される。
第1左側広角レンズ211Lは、撮像面311Aに対して光軸AxL(
図3)が垂直となる姿勢で、被写体側から見て撮像面311Aの中心O(
図2)に対して左上方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される。すなわち、第1左側広角レンズ211Lは、撮像面311Aにおける左上方の領域Ar1L(
図2)に被写体像を結像する。
【0037】
第1右側広角レンズ211Rは、第1左側広角レンズ211Lと同一の機能及び構成を有する広角レンズであり(
図3)、レンズ鏡筒内部において、配設される位置が第1左側広角レンズ211Lと異なるのみである。すなわち、第1右側広角レンズ211Rは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、第1右側広角レンズ211Rは、光軸AxR(
図3)が光軸AxLと平行となる姿勢(撮像面311Aに垂直となる姿勢)で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに対して右上方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される(
図2)。すなわち、第1右側広角レンズ211Rは、撮像面311Aにおける右上方の領域Ar1R(
図2)に被写体像を結像する。
【0038】
第2左側広角レンズ212Lは、複数のレンズ群が組み合わされ、第1左,右側広角レンズ211L,211Rと同一の焦点距離を有し、ピント位置が近距離である固定焦点の広角レンズである。すなわち、第2左側広角レンズ212Lは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、第2左側広角レンズ212Lは、撮像装置3に光学装置2が装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒に支持される。
第2左側広角レンズ212Lは、その光軸(図示略)が光軸AxLと平行となる姿勢(撮像面311Aに垂直となる姿勢)で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに対して左下方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される(
図2)。すなわち、第2左側広角レンズ212Lは、撮像面311Aにおける左下方の領域Ar2L(
図2)に被写体像を結像する。
【0039】
第2右側広角レンズ212Rは、第2左側広角レンズ212Lと同一の機能及び構成を有する広角レンズであり、レンズ鏡筒内部において、配設される位置が第2左側広角レンズ212Lと異なるのみである。すなわち、第2右側広角レンズ212Rは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、第2右側広角レンズ212Rは、その光軸(図示略)が光軸AxLと平行となる姿勢(撮像面311Aに垂直となる姿勢)で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに対して右下方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される(
図2)。すなわち、第2右側広角レンズ212Rは、撮像面311Aにおける右下方の領域Ar2R(
図2)に被写体像を結像する。
【0040】
望遠レンズ213は、2つのレンズ群が組み合わされ(
図4)、撮像範囲に対して焦点距離が比較的に長い望遠レンズである。これは画角が狭いレンズとも言える。すなわち、望遠レンズ213は、本発明に係る第2撮像光学系としての機能を有する。この望遠レンズ213は、画角いっぱいの遠くの小さいものを大きく撮るためのもので、実際の焦点距離のみならず、使用する撮像領域を限定(狭く)することで、画角を絞っている。これによって、画面の周囲まで収差を抑えるために多くの収差補正レンズを設ける必要がなく、比較的シンプルな構成、少ないレンズ枚数で設計可能で、各広角レンズ211L,211R,212L,212Rよりも小型化が可能となる。つまり、画角に依存する収差補正が緩和され、小型、低コスト設計が可能となる。ここは、前群が正パワー、後群が負パワーの
図4に示すテレフォトレンズの構成で、全長を短くした設計が可能となる。例えば、撮像素子311を縦横7分割した画面の1ブロックで150mm相当の望遠レンズ213を得るためには、140/7=20mmの広角レンズ相当以下の全長で設計可能である。
この画角が狭い(望遠用)レンズの描写については、これで撮影される被写体が、他の画角の広いレンズを介しても撮影可能であるので、様々な画質向上の方策で高画質化することが可能である。例えば、画面周辺の歪みや光量低下等は、広角レンズの画像を参考に補正することが可能であるし、広角レンズで得られた画像を補間する形で、超解像技術による画質向上が可能となる。こうした補正効果が期待できるので、より小型の構成にしてもよい。
そして、望遠レンズ213は、撮像装置3に光学装置2が装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒(図示略)に支持される。
望遠レンズ213は、その光軸AxOが光軸AxLと平行となる姿勢(撮像面311Aに垂直となる姿勢)で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに位置する(光軸AxOが中心Oを通る)ように、レンズ鏡筒に支持される(
図2)。すなわち、望遠レンズ213は、撮像面311Aにおける中心の領域ArO(
図2)に被写体像を結像する。
また、具体的な図示は省略したが、望遠レンズ213は、レンズ鏡筒内部において、光軸AxOに沿って移動可能に構成されている。すなわち、望遠レンズ213は、ピント位置(フォーカス位置)を変更可能とする。
【0041】
以上のように、望遠レンズ213は、被写体側から見て、第1左,右側広角レンズ211L,211R及び第2左,右側広角レンズ212L,212Rに囲まれるように配設される。また、第1左,右側広角レンズ211L,211R及び第2左,右側広角レンズ212L,212Rは、撮像面311Aに対する離間距離D1(
図5)が同一となる位置に配設されている。一方、望遠レンズ213は、撮像面311Aに対して、離間距離D1よりも短い離間距離D2(
図5)となる位置に配設されている。言い換えれば、望遠レンズ213は、第1左,右側広角レンズ211L,211R及び第2左,右側広角レンズ212L,212Rよりも被写体に対して離間する位置に配設されている。これによって、各広角レンズ211L,211R,212L,212Rの画面内に望遠レンズ213が飛び出して、不要な死角や影を作ることを防止している。また、望遠レンズ213では必要になりがちなフードの効果(フレア防止)も、これら広角レンズ211L,211R,212L,212Rの飛び出しによって得ることができる。このように、ここでは、各広角レンズ211L,211R,212L,212Rの飛び出しは許すので、
図3に示すような前群が負パワー、後群が正パワーのレトロフォーカスタイプ等で構成すれば、全長に対して焦点距離の短いレンズ設定ができる。例えば、撮像素子311を縦横3分割した1ブロックを使用する場合、30mm並み(これらは135フォーマット換算)の広角を得るためには、30/3=10mmの焦点距離となるが、レトロフォーカスでは、後群レンズの後方に焦点距離分のスペースができるので、その前に複数のレンズを配置して広角レンズ以上の全長の設計にすることが可能となる。
【0042】
駆動部22は、ステッピングモータやDCモータ等を用いて構成され、第1制御部26による制御の下、望遠レンズ213を光軸AxOに沿って移動させる(望遠レンズ213のフォーカス位置を変更する)。
位置検出部23は、フォトインタラプタ等を用いて構成され、駆動部22にて駆動された望遠レンズ213の光軸AxO上における位置を検出する。
第1記録部24は、第1制御部26が実行する制御プログラムや、各レンズ211L,211R,212L,212R,213の特性に関する特性情報等を記録する。
すなわち、第1記録部24は、本発明に係る特性情報記録部としての機能を有する。
【0043】
図6は、第1記録部24に記録された特性情報の一例を示す図である。
特性情報は、例えば、
図6に示すように、レンズ211L,211R,212L,212R,213毎に、範囲情報、光軸座標情報、焦点距離情報、ピント調整情報、用途情報、対情報、及び離間距離情報等が関連付けられた情報である。
範囲情報は、各レンズ211L,211R,212L,212R,213が撮像面311A上に結像する各被写体像の占有範囲に関する情報であり、上述した領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArOに相当する情報である。
光軸座標情報は、撮像面311A上で各レンズ211L,211R,212L,212R,213の各光軸が通る座標に関する情報である。例えば、望遠レンズ213の光軸座標情報は、撮像面311A上での中心Oの座標に関する情報である。
焦点距離情報は、各レンズ211L,211R,212L,212R,213の焦点距離に関する情報である。ここでの焦点距離情報は、特定の撮像範囲で正規化されたものである方が分かりやすいが、上述した範囲情報から換算可能な数値でもよい。また、勿論、画角情報としてもよい。図示していないが、同様にピント合わせ範囲等の情報を持つようにしてもよい。これによって、どの距離の被写体が、どのレンズで撮影するべきか等を判定することができる。
【0044】
ピント調整情報は、ピント調整(AF(Auto Focus))を行う際に用いられる情報であり、撮像システム1(光学装置2)から被写体までの被写体距離と合焦状態となるレンズの位置とが関連付けられた情報である。本実施の形態1に係る第1の光学装置では、ピント位置を変更可能とするレンズは、望遠レンズ213のみであるため、望遠レンズ213にのみ当該ピント調整情報が関連付けられている。勿論、広角レンズ211L,211R,212L,212Rについても、ピント調整をできるようにして、この情報を持つようにしてもよい。さらにここにはピント合わせ範囲等の情報を持つようにしてもよい。これによって、複数の画像をすべて表示するのではなく、ピントが適当な条件で撮影されたもののみを表示する制御も可能となる。ピントのみならず、露出の上でも同様のことが言える。
【0045】
用途情報は、レンズ211L,211R,212L,212R,213の用途に関する情報である。具体的に、用途情報は、AFを行う際に用いられるレンズであるか否かに関する情報である。ピントの固定の複数レンズでは、焦点距離等を固定値としてAF用レンズとして使う場合に、三角測量応用のAF時の誤差の要素がなく好ましい。なお、AF用レンズは、ペアになっていなくても、口径が大きければ、撮像素子上にAF用画素を設けた撮像面位相差AFで精度UPが期待できる。今回の望遠レンズ213ではレンズ径が小さく、暗いのでこうした方式のAFでは精度が不足しがちなので、三角測量応用のAFを組み合わせることが好ましい。本実施の形態1に係る第1の光学装置では、第1左,右側広角レンズ211L,211Rの組、または、第2左,右側広角レンズ212L,212Rの組が望遠レンズ213のAFを行う際に用いられるレンズである。このため、各レンズ211L,211R,212L,212Rにのみ当該用途情報が関連付けられている。
【0046】
対情報は、AF等を行う際に対として用いられる場合に、相手方のレンズを示す情報である。本実施の形態1に係る第1の光学装置では、上述したように、望遠レンズ213のAFを行う際に対として用いられるレンズは、第1左,右側広角レンズ211L,211Rの組、または、第2左,右側広角レンズ212L,212Rの組である。このため、第1左側広角レンズ211Lの対情報は第1右側広角レンズ211Rを示す情報であり、第1右側広角レンズ211Rの対情報は第1左側広角レンズ211Lを示す情報である。また、第2左側広角レンズ212Lの対情報は第2右側広角レンズ212Rを示す情報であり、第2右側広角レンズ212Rの対情報は第2左側広角レンズ212Lを示す情報である。
【0047】
離間距離情報は、撮像面311Aに対する第1左,右側広角レンズ211L,211R及び第2左,右側広角レンズ212L,212Rの離間距離D1(
図5)に関する情報である。このため、各レンズ211L,211R,212L,212Rにのみ当該離間距離情報が関連付けられている。
なお、単一の光軸を有する第2の光学装置では、以上説明した情報のうちの焦点距離情報(画角情報)及びピント調整情報と、絞り制御情報等を有するようにすればよい。
【0048】
第1通信部25は、光学装置2が撮像装置3に装着されたときに当該撮像装置3に電気的に接続し、撮像装置3と通信を行うための通信インターフェースである。
第1制御部26は、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成され、第1通信部25を介して入力される撮像装置3からの指示信号に応じて光学装置2の動作を制御する。また、第1制御部26は、第1通信部25を介して位置検出部23にて検出された望遠レンズ213の位置を撮像装置3に出力する。
【0049】
〔撮像装置の構成〕
なお、以下では、撮像装置3の構成として、本発明の要部を主に説明する。
撮像装置3は、
図1に示すように、撮像部31と、表示部32と、入力部33と、第2通信部34と、メモリ部35と、第2記録部36と、第2制御部37とを備える。
撮像部31は、第2制御部37による制御の下、被写体を撮像して画像データを生成する。この撮像部31は、撮像光学ユニット21が結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子311(
図2,
図5)、当該撮像素子311からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行うことによりデジタルの画像データを生成する信号処理部(図示略)等を用いて構成される。
そして、撮像部31にて生成された画像データは、第2制御部37による制御の下、順次、メモリ部35に記憶される。また、撮像システム1のユーザにより入力部33に撮影操作がなされた場合には、第2制御部37による制御の下、撮像部31にて生成された画像データ(第1の光学装置の装着時は当該撮影操作に応じた一部の画像領域に相当する画像データ(以下、一部画像データ)、第2の光学装置の装着時は画像データにおける画像領域略全体に相当する画像データ)が第2記録部36に記録される。
【0050】
表示部32は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて構成され、第2制御部37による制御の下、種々の画像を表示する。また、表示部32は、第2制御部37による制御の下、撮像システム1の操作情報及び撮影に関する情報等を適宜、表示する。
入力部33は、ユーザ操作を受け付けるボタン、スイッチ、タッチパネル等を用いて構成され、当該ユーザ操作に応じた指示信号を第2制御部37に出力する。
第2通信部34は、光学装置2が撮像装置3に装着されたときに当該光学装置2に電気的に接続し、第1通信部25と通信を行うための通信インターフェースである。
【0051】
メモリ部35は、撮像部31にて生成された画像データ、第2通信部34を介して受信した特性情報等を記憶する。
第2記録部36は、
図1に示すように、プログラム記録部361と、画像データ記録部362とを備える。
プログラム記録部361は、第2制御部37が実行する各種プログラム、及びプログラムの実行中に使用される各種データ等を記録する。
画像データ記録部362は、第2制御部37による制御の下、撮像システム1のユーザによる入力部33への撮影操作に応じて、画像データ(第1の光学装置の装着時は一部画像データ、第2の光学装置の装着時は画像データにおける画像領域略全体に相当する画像データ)を記録する。この撮影操作は、表示部32上のタッチパネル(入力部33)を利用してもよく、必要な画像を表示画面で指定すれば簡単に選ぶことができる。また、当該タッチパネル上で、必要な画像の範囲を指定するようにしてもよい。例えば、スライド操作を検出して枠としたり、ピンチ操作で領域指定をすることができるようにしてもよい。このような工夫をすれば、光学装置2から指定された特定の領域(例えば、上述した領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArO)を撮像素子311にて撮像された画像から取り出して表示しなくとも、マニュアルで各レンズの有効領域を指定することができるようにもできる。単一の光軸を有する第2の光学装置でも、このタッチ操作によってピント合わせや露出調整ができるようにしておけば、同様の所作での操作が可能となる。また、同様のピンチ操作等で単一の光軸を有する第2の光学装置により得られた画像からトリミング等ができるようにしてもよい。
【0052】
第2制御部37は、CPU等を用いて構成され、入力部33からの指示信号等に応じて撮像システム1を構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って撮像システム1の動作を統括的に制御する。この第2制御部37は、
図1に示すように、特性情報取得部371と、レンズ位置指示部372と、画像抽出部373と、表示制御部374と、撮像制御部375とを備える。
特性情報取得部371は、第2通信部34を介して、光学装置2に特性情報の送信要求を行って光学装置2から特性情報を取得する。そして、特性情報取得部371は、当該取得した特性情報をメモリ部35に記憶する。
【0053】
レンズ位置指示部372は、以下に示すように、光学装置2を構成するレンズのうち、ピント位置を変更可能とするレンズ(本実施の形態1に係る第1の光学装置では望遠レンズ213)のAF処理を実行する。
具体的に、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報及び最新の画像データに基づいて、撮像システム1(光学装置2)から被写体までの被写体距離を算出する。また、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれるピント調整情報に基づいて、当該算出した被写体距離に対応する望遠レンズ213の光軸ArO上の位置を取得する。そして、レンズ位置指示部372は、当該取得した望遠レンズ213の位置に関する位置情報を、第2通信部34を介して光学装置2に送信する。
具体的に、レンズ位置指示部372は、三角測量の原理を利用して、以下に示すように、被写体距離を算出する。
【0054】
図7は、レンズ位置指示部372による被写体距離の算出処理を説明するための図である。具体的に、
図7は、
図5と同様に、撮像システム1を上方から見た図である。
先ず、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる用途情報及び対情報に基づいて、望遠レンズ213のAFを行う際に用いられる対となるレンズ(第1左,右側広角レンズ211L,211Rの組、または第2左,右側広角レンズ212L,212Rの組)を特定する。
以下では、当該対となるレンズを第1左,右側広角レンズ211L,211Rとして特定したものとして説明する。
【0055】
次に、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、撮像面311Aにおいて、第1左,右側広角レンズ211L,211Rが被写体像を結像する領域Ar1L,Ar1Rを認識する。
次に、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された最新の画像データを読み出し、当該最新の画像データにおける画像領域中の領域Ar1Lまたは領域Ar1R(
図7の例では領域Ar1L)に映り込んだ被写体像(
図7の例では「鳥」)の位置(座標)を算出する。
次に、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる光軸座標情報に基づいて、第1左,右側広角レンズ211L,211Rの光軸AxL,AxRの座標を認識する。そして、レンズ位置指示部372は、当該認識した座標間の距離Bを算出するとともに、光軸AxLまたは光軸AxR(
図7の例では、光軸AxL)の座標と上記算出した被写体像の位置とのずれ量Xを算出する。
次に、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる離間距離情報に基づいて、撮像面311Aに対する第1左,右側広角レンズ211L,211Rの離間距離D1を認識する。
【0056】
以上の処理の後、レンズ位置指示部372は、以下の式(1)に基づいて、被写体距離Lを算出する。
L=B・X/D1 ・・・(1)
【0057】
画像抽出部373は、メモリ部35に記憶された最新の画像データを読み出す。そして、画像抽出部373は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、最新の画像データにおける画像領域中の当該範囲情報に基づく領域(本実施の形態1に係る第1の光学装置では領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArO)に相当する一部画像データをそれぞれ抽出する。また、画像抽出部373は、当該抽出した一部画像データを識別可能とするために、当該一部画像データを対応する特性情報に関連付けてメモリ部35に記憶する。例えば、画像抽出部373は、領域Ar1Lの一部画像データについては、対応する第1左側広角レンズ211Lの特性情報に関連付けて、メモリ部35に記憶する。
【0058】
表示制御部374は、表示部32の動作を制御し、表示部32に画像を表示させる。
図8は、表示部32に表示される画像の一例を示す図である。なお、
図8では、
図5や
図7と同様に、被写体を「鳥」にしている。
具体的に、表示制御部374は、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に基づいて、当該各一部画像データを識別する。そして、表示制御部374は、
図8に示すように、領域ArOの一部画像データに対応する画像を第1代表画像MF1、領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rのいずれか一つの領域の一部画像データ(例えば、領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rの一部画像データのうち、合焦状態となっている一部画像データ)に対応する画像を第2代表画像MF2とし、領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rの他の三つの領域の一部画像データに対応する画像を第1,第2代表画像MF1,MF2よりもサイズの小さいサブ画像SF1〜SF3として、これら各画像MF1,MF2,SF1〜SF3を並べて表示部32に表示(ライブビュー表示)させる。
【0059】
撮像制御部375は、撮像システム1のユーザによる入力部33への撮影操作(表示部32に表示された各画像MF1,MF2,SF1〜SF3のうちのいずれかを選択する操作)があった場合に、当該選択された画像に対応する一部画像データを、画像データ記録部362に記録する。このとき、複数の画像を合成して記録できるようにしてもよい。また、一度選んだ画像が次の撮影でも優先されるように制御してもよい。さらに、画角が狭い(望遠用)レンズの描写については、これで撮影される被写体が、他の画角の広いレンズを介しても撮影可能であるので、様々な画質向上の方策で高画質化することが可能である。例えば、画面周辺の歪みや光量低下等は、広角レンズの画像を参考に補正することが可能であるし、広角レンズで得られた画像を補間する形で、超解像技術による画質向上が可能となる。こうした補正効果が期待できるので、より小型の構成にしてもよい。同様に複数のレンズで得られた画像を利用して、広角レンズの画像も高画質化することができ、パノラマ画像や3D画像に加工する応用が可能であることは言うまでもない。これは、撮像装置3の表示制御部374等で行えばよく、第2制御部37に専用の回路を設けたり、プログラム記録部361に専用の画像処理プログラムを記録して、これを補助したりするようにしてもよい。画像データを記録するときに、画質向上を行ってもよく、外部に画像データを送って、外部機器で画質向上をする応用も可能である。3D情報によって、奥行き情報を加味したアート表現等ができ、さらに画像表現が豊かになる。
【0060】
〔撮像システムの動作〕
次に、上述した撮像システム1の動作について説明する。
なお、以下で説明する動作では、撮像装置3に対して光学装置2が既に装着されているものとする。
図9は、撮像システム1の動作を示すフローチャートである。
撮像システム1のユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1の電源がオンになる(ステップS101:Yes)と、第2制御部37は、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1が撮影モードに設定されているか否かを判断する(ステップS102)。
【0061】
撮像システム1が撮影モードに設定されていると判断された場合(ステップS102:Yes)には、特性情報取得部371は、第2通信部34を介して、光学装置2に特性情報の送信要求を行う。当該送信要求を受けた光学装置2(第1制御部26)は、第1通信部25を介して、第1記録部24に記録された特性情報を撮像装置3に送信する。そして、特性情報取得部371は、光学装置2から特性情報を取得し、メモリ部35に記憶する(ステップS103)。
【0062】
続いて、第2制御部37は、撮像装置3に装着された光学装置2が第1の光学装置であるか否か(多眼レンズを使用しているか否か)を判断する(ステップS104)。例えば、第2制御部37は、ステップS103にて取得した特性情報に基づき、特性情報が撮像光学ユニットを構成する各レンズに応じて複数存在する場合には、多眼レンズを使用していると判断する。すなわち、第2制御部37は、光学装置2との情報通信(ステップS103)によって、多眼レンズを使用しているか否か(第1の光学装置の装着時、第2の光学装置の装着時)を判断する。
【0063】
なお、光学装置2によっては、電気的な制御を行わない、固定焦点レンズ群で、こうした撮影機器、システムを構成することもある。この場合は、電気的な情報通信を行わずとも同様の効果が得られる。例えば、得られた像の特徴等から、多眼レンズを使用しているか否かを撮像素子311にて撮像された画像から判定してもよい。この時、予め決められた位置が光学中心になるという設計にしたり、レンズタイプを選んで入力するような工夫をすれば、単純な構成で、本発明の当初の効果を得る撮像装置(カメラ)を提供することができる。タッチパネル式の表示部があるカメラでは、タッチパネル上で得られた画像から、必要な流域を選択するようにしてもよい。電気的な通信を限定的に行ってもよく、一対のレンズで得られた像の情報から被写体の距離を表示したり、フォーカスアシスト表示をしたりするような工夫があってもよい。この場合は、最後のピント合わせは、ユーザが表示を見ながらマニュアル調整することとなる。また、光軸の異なる複数の光学系を有する第1の光学装置からは、撮像素子311から複数の画像が得られるが、各画像は、各光学系の特性や調整結果に従って、異なる露出、異なるピント等、異なる描写となるので、どの画像を有効にするかの設定が重要である。また、各画像毎に異なる撮像処理ができるような撮像素子等においても、好みによっては、領域毎の画像処理や撮像制御が重要となる。従って、このような多眼のシステムでは、領域を選択する機能が重要となる。領域選択という観点から言えば、単一の光軸を有する第2の光学装置でも、このタッチ操作によってピント合わせや露出調整ができるようにしておけば、同様の所作での操作が可能となる。また、同様のピンチ操作等で単一の光軸を有する第2の光学装置により得られた画像からトリミング等ができるようにしてもよい。この場合、電気通信を行っても行わなくてもよいが、ピント合わせを自動で行う場合や、絞りを撮像装置側から制御したい場合には、電気的通信があった方がよい。この多眼利用時の各光軸毎の各画像がどこに得られるかは、光軸方向が略等しい場合、同様の画像が特定の規則で並んでいる場合を、画像判定する等して撮像装置側で判定することが可能である。例えば、
図2、
図18のような多眼レンズの場合、類似のスペックのレンズが対角上に並ぶので、類似画像が対角上に並んだ場合に多眼レンズを使用していると判定し、レンズとレンズの間は光が届かず暗くなるので、暗い部分が規則的に生じる等の画像情報から、多眼レンズの各画像の有効域を自動判定するようなカメラ制御を行ってもよい。各レンズ毎の制御プログラムをダウンロードするようなサービスで、これを簡易化してもよい。このようにダウンロード方式の場合、光学装置2と通信できる場合は通信結果を優先し、通信できない場合は、ダウンロード情報を優先するような仕様としてもよい。いずれにしても、
図6に示す全ての情報を通信する必要はない。
【0064】
多眼レンズを使用していると判断した場合(ステップS104:Yes)には、第2制御部37は、撮像部31に撮像を開始させる(ステップS105)。そして、撮像部31にて生成された画像データは、順次、メモリ部35に記憶される。
続いて、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報及び最新の画像データに基づいて被写体距離を算出し(ステップS106)、当該特性情報に含まれるピント調整情報に基づいて当該算出した被写体距離に対応する望遠レンズ213の位置情報を光学装置2に送信する(ステップS107)。望遠レンズ213の位置情報を受信した光学装置2(第1制御部26)は、位置検出部23にて検出された望遠レンズ213の光軸AxO上の位置を確認しながら、駆動部22を動作させて、受信した位置情報に基づく位置に望遠レンズ213を位置付ける。
【0065】
続いて、画像抽出部373は、メモリ部35に記憶された最新の画像データを読み出し、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、当該最新の画像データにおける画像領域中の領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArOに相当する一部画像データをそれぞれ抽出する(ステップS108)。また、画像抽出部373は、当該抽出した一部画像データを対応する特性情報に関連付けてメモリ部35に記憶する。
続いて、表示制御部374は、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に基づいて、当該各一部画像データを識別し、表示部32にライブビュー表示(
図8)させる(ステップS109)。
なお、
図8に示すライブビュー表示では、領域ArOの一部画像データに対応する画像を第1代表画像MF1、領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rのいずれか一つの領域の一部画像データに対応する画像を第2代表画像MF2、領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rの他の三つの領域の一部画像データに対応する画像をサブ画像SF1〜SF3としているが、これに限られず、例えば、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作に応じて、第1,2代表画像及びサブ画像とする画像を適宜、変更可能に構成しても構わない。さらに、当該操作に応じて、第1,2代表画像及びサブ画像のサイズを適宜、変更可能に構成しても構わない。
【0066】
続いて、撮像制御部375は、撮像システム1のユーザによる入力部33への撮影操作があったか否かを判断する(ステップS110)。
撮影操作がないと判断された場合(ステップS110:No)には、撮像システム1は、ステップS112に移行する。
一方、撮像制御部375は、撮影操作があったと判断した場合(ステップS110:Yes)には、表示部32に表示された画像(
図8の例では画像MF1,MF2,SF1〜SF3)のうち当該撮影操作によって選択された画像に対応する一部画像データを、画像データ記録部362に記録する(ステップS111)。
【0067】
ステップS111の後、または、ステップS110で「No」と判断された後、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1の電源がオフになった場合(ステップS112:Yes)には、撮像システム1は、本処理を終了する。
一方、電源がオンの状態が継続している場合(ステップS112:No)には、撮像システム1は、ステップS105に戻る。
【0068】
一方、多眼レンズを使用していない(単一の光軸を有する第2の光学装置を使用している)と判断した場合(ステップS104:No)には、第2制御部37は、ステップS105と同様に、撮像部31に撮像を開始させる(ステップS113)、従来、広く周知された通常のAF処理を実行し(ステップS114)、ライブビュー表示を実行する(ステップS115)。
なお、ライブビュー表示(ステップS115)では、第2制御部37は、ステップS113においてメモリ部35に記憶された最新の画像データに対応する画像(画像領域略全体の画像)を表示部32に表示させる。
【0069】
続いて、撮像制御部375は、撮像システム1のユーザによる入力部33への撮影操作があったか否かを判断する(ステップS116)。
撮影操作がないと判断された場合(ステップS116:No)には、撮像システム1は、ステップS118に移行する。
一方、撮像制御部375は、撮影操作があったと判断した場合(ステップS116:Yes)には、当該撮影操作時に表示部32に表示させた画像に対応する画像データを、画像データ記録部362に記録する(ステップS117)。
【0070】
ステップS117の後、または、ステップS116で「No」と判断された後、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1の電源がオフになった場合(ステップS118:Yes)には、撮像システム1は、本処理を終了する。
一方、電源がオンの状態が継続している場合(ステップS118:No)には、撮像システム1は、ステップS113に戻る。
【0071】
以上のように、本実施の形態1に係る撮像装置3(第2制御部37)は、当該撮像装置3に対する第1の光学装置の装着時にはステップS105〜S111を実行し、当該撮像装置3に対する第2の光学装置の装着時にはステップS113〜S117を実行し、第1の光学装置の装着時と第2の光学装置の装着時とで、撮像制御及び表示制御を変更している。
すなわち、撮像装置3は、本発明に係る撮像装置及び表示装置としての機能を有する。また、第2制御部37は、本発明に係る制御部としての機能を有する。
【0072】
撮像システム1が撮影モードに設定されていないと判断した場合(ステップS102:No)には、第2制御部37は、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1が再生モードに設定されているか否かを判断する(ステップS119)。
撮像システム1が再生モードに設定されていないと判断された場合(ステップS119:No)には、撮像システム1は、ステップS101に戻る。
一方、撮像システム1が再生モードに設定されていると判断された場合(ステップS119:Yes)には、表示制御部374は、画像データ記録部362に記録された画像データや一部画像データに対応する画像を表示部32に表示させる(ステップS120)。
【0073】
続いて、表示制御部374は、撮像システム1のユーザによる入力部33への操作により、画像の変更を指示する指示信号が入力されたか否かを判断する(ステップS121)。
表示制御部374は、画像の変更を指示する指示信号が入力されたと判断した場合(ステップS121:Yes)には、表示部32に表示させる画像を変更する(ステップS122)。ステップS122の後、撮像システム1は、ステップS120に戻る。
一方、画像の変更を指示する指示信号が入力されていないと判断された場合(ステップS121:No)には、撮像システム1は、ステップS101に戻る。
【0074】
以上説明した本実施の形態1に係る撮像装置3は、上述した第2制御部37を備える。すなわち、第2制御部37により、当該撮像装置3に対する第1の光学装置の装着時と、当該撮像装置3に対する第2の光学装置の装着時とで、撮像制御や表示制御を変更することで、当該第1,第2の光学装置を自在に駆使して、被写体像を多彩な表現で楽しむことができる、という効果を奏する。
【0075】
また、本実施の形態1に係る撮像装置3は、当該撮像装置3に対する第1,第2の光学装置の装着時を、光学装置2との情報通信や撮像素子311にて撮像された画像によって判定するので、第1,第2の光学装置の装着時を容易にかつ高精度に判定することができる。
【0076】
また、本実施の形態1に係る第1の光学装置は、第1左,右側広角レンズ211L,211R、第2左,右側広角レンズ212L,212R、及び望遠レンズ213を有する撮像光学ユニット21と、各レンズ211L,211R,212L,212R,213の特性に関する特性情報を記録する第1記録部24とを備える。
このため、第1の光学装置を交換レンズとして構成した場合であっても、撮像装置3は、第1記録部24に記録された特性情報を取得することで、各レンズ211L,211R,212L,212R,213の特性を把握することができる。特に、特性情報は、各レンズ211L,211R,212L,212R,213が撮像素子311の撮像面311A上に結像する各被写体像の占有範囲(領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArO)に関する範囲情報を含む。すなわち、撮像装置3は、特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、各レンズ211L,211R,212L,212R,213が撮像素子311の撮像面311Aのどの範囲に被写体像を結像するかを把握することができ、撮像した画像データに対して画像処理(領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArOに相当する一部画像データの抽出)を施すことで、種々の画像(例えば、
図8に示した画像MF1,MF2,SF1〜SF3)の生成及び表示が可能となる。
したがって、本実施の形態1に係る第1の光学装置によれば、上述した撮像装置3と同様の効果を奏する。
【0077】
また、本実施の形態1に係る第1の光学装置では、特性情報は、望遠レンズ213のAFを行う際に対として用いられる相手方のレンズを示す対情報を含む。
このため、撮像装置3は、特性情報に含まれる対情報及び範囲情報に基づいて、望遠レンズ213のAFを行う際にどの一部画像データを用いる必要があるかを容易に判別することができ、望遠レンズ213のAFを迅速に実行することができる。
特に、望遠レンズ213は、被写界深度が浅いため、上述したようなAFを行うことは非常に有効である。
【0078】
また、本実施の形態1に係る第1の光学装置では、被写体側から見て、画角の狭い望遠レンズ213を中央に配設し、当該望遠レンズ213を囲むように、画角の広い各広角レンズ211L,211R,212L,212Rを配設している。
このため、各レンズ211L,211R,212L,212R,213が結像した全ての画像(一部画像データ)に同一の被写体像(例えば、
図5や
図7に示した鳥)を含めることが可能となる。
特に、望遠レンズ213は、各広角レンズ211L,211R,212L,212Rよりも被写体に対して離間する位置に配設されている。このため、各広角レンズ211L,211R,212L,212Rの画角が望遠レンズ213によって制限されることがなく、各画像(一部画像データ)にケラレが生じることのない最適な配置を実現することができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成及びステップには同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態2に係る撮像装置は、上述した実施の形態1で説明した撮像システム1に対して、画像の表示形態が異なる。
以下、本実施の形態2に係る撮像システムの構成を説明する。
【0080】
〔撮像システムの構成〕
図10は、本発明の実施の形態2に係る撮像システム1Aの構成を示すブロック図である。
本実施の形態2に係る撮像システム1A(撮像装置3A)を構成する第2制御部37Aは、
図10に示すように、上述した実施の形態1で説明した撮像システム1(
図1)に対して、画像生成部376が追加されている。
画像生成部376は、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に含まれる対情報に基づいて、対として用いられるレンズ(本実施の形態2では、第1左,右側広角レンズ211L,211Rの組、または第2左,右側広角レンズ212L,212Rの組)に対応する各一部画像データを読み出す。そして、画像生成部376は、当該読み出した各一部画像データに対応する各画像を合成してパノラマ画像を生成し、当該パノラマ画像に対応するパノラマ画像データをメモリ部35に記憶する。
すなわち、画像生成部376は、本発明に係るパノラマ画像生成部としての機能を有する。
【0081】
そして、本実施の形態2に係る表示制御部374A及び撮像制御部375Aは、上述した実施の形態1で説明した表示制御部374及び撮像制御部375に対して、上述した画像生成部376の追加に合わせて、その機能の一部が変更されている。
【0082】
〔撮像システムの動作〕
次に、本実施の形態2に係る撮像システム1Aの動作について説明する。
図11は、撮像システム1Aの動作を示すフローチャートである。
本実施の形態2に係る撮像システム1Aの動作は、
図11に示すように、上述した実施の形態1で説明した撮像システム1の動作(
図9)に対して、ステップS123,S124を追加するとともに、ステップS109,S111の代わりにステップS109A,S111Aを採用した点が異なるのみである。
このため、以下では、ステップS123,S124,S109A,S111Aのみを説明する。
【0083】
ステップS123は、ステップS108の後に実行される。
具体的に、第2制御部37Aは、撮像システム1Aのユーザによる入力部33への操作によって撮像システム1Aが画像合成モードに設定されているか否かを判断する(ステップS123)。
【0084】
撮像システム1Aが画像合成モードに設定されていると判断された場合(ステップS123:Yes)には、画像生成部376は、ステップS105にてメモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に含まれる対情報に基づいて、対として用いられる第1左,右側広角レンズ211L,211Rに対応する各一部画像データを読み出す。そして、画像生成部376は、当該読み出した各一部画像データに対応する各画像(領域Ar1L,Ar1Rの各画像)を合成してパノラマ画像を生成し、当該パノラマ画像に対応するパノラマ画像データをメモリ部35に記憶する(ステップS124)。
一方、撮像システム1Aが画像合成モードに設定されていないと判断された場合(ステップS123:No)には、撮像システム1Aは、ステップS109Aに移行する。
【0085】
ステップS124の後、または、ステップS123で「No」と判断された後、表示制御部374Aは、表示部32にライブビュー表示させる(ステップS106A)。
なお、撮像システム1Aが画像合成モードに設定されていない場合(ステップS123:No)でのライブビュー表示(ステップS106A)は、上述した実施の形態1で説明したライブビュー表示(ステップS106)と同様の処理である(例えば、
図8参照)。
【0086】
一方、撮像システム1Aが画像合成モードに設定されている場合(ステップS123:Yes)でのライブビュー表示(ステップS106A)は、以下の通りである。
【0087】
図12は、画像合成モードにおいて表示部32にライブビュー表示される画像の一例を示す図である。
具体的に、表示制御部374Aは、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に基づいて、当該各一部画像データを識別する。そして、表示制御部374Aは、
図12に示すように、メモリ部35に記憶されたパノラマ画像データに対応する画像を第3代表画像MF3とし、画像生成部376にてパノラマ画像の生成に用いられなかった領域ArO,Ar2L,Ar2Rに対応する画像を第3代表画像MF3よりもサイズの小さいサブ画像SF4〜SF6として、これら各画像MF3,SF4〜SF6を並べて表示部32に表示(ライブビュー表示)させる。
なお、
図12に示すライブビュー表示では、パノラマ画像データに対応する画像を第3代表画像MF3、パノラマ画像の生成に用いられなかった領域ArO,Ar2L,Ar2Rに対応する画像をサブ画像SF4〜SF6としているが、これに限られず、例えば、撮像システム1Aのユーザによる入力部33への操作に応じて、第3代表画像及びサブ画像とする画像を適宜、変更可能に構成しても構わない。さらに、当該操作に応じて、第3代表画像及びサブ画像のサイズを適宜、変更可能に構成しても構わない。
【0088】
そして、撮像制御部375Aは、撮影操作があったと判断した場合(ステップS110:Yes)には、表示部32に表示された画像(画像合成モードに設定されていない場合には
図8の例に示す画像MF1,MF2,SF1〜SF3、画像合成モードに設定されている場合には
図12の例に示す画像MF3,SF4〜SF6)のうち当該撮影操作によって選択された画像に対応するパノラマ画像データまたは一部画像データを、画像データ記録部362に記録する(ステップS108A)。
【0089】
なお、本実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様に、装着された光学装置2が第1の光学装置であるか、または、第2の光学装置であるかといった特性情報は、光学装置2との電気的通信で得られるようにすればよい。光学装置2によっては、電気的な制御を行わない、固定焦点レンズ群で、こうした撮影機器、システムを構成することもある。この場合は、得られた像の特徴等から、多眼レンズ(第1の光学装置)が装着されているかや、その特性を撮像素子311にて撮像された画像から判定してもよい。この多眼レンズ使用時の各光軸毎の各画像がどこに得られるかは、光軸方向が略等しい場合、同様の画像が特定の規則で並んでいる場合を、画像判定する等して撮像装置(カメラ)側で判定することが可能である。例えば、
図2、
図18のような多眼レンズの場合、類似のスペックのレンズが対角上に並ぶので、類似画像が対角上に並んだ場合に多眼レンズと判定し、レンズとレンズの間は光が届かず暗くなるので、暗い部分が規則的に生じる等の画像情報から、多眼レンズの各画像の有効域を自動判定するようなカメラ制御を行ってもよい。各レンズ毎の制御プログラムをダウンロードするようなサービスで、これを簡易化してもよい。ダウンロード方式の場合、光学装置2と通信できる場合は通信結果を優先し、通信できない場合は、ダウンロード情報を優先するような仕様としてもよい。いずれにしても、
図6に示す全ての情報を通信する必要はない。また、予め決められた位置が光学中心になるという設計にしたり、レンズタイプを選んで入力するような工夫をすれば、単純な構成で、本発明の当初の効果を得るカメラを提供することができる。タッチパネル式n表示部があるカメラでは、タッチパネル上で得られた画像から、必要な領域を選択するようにしてもよい。電気的な通信を限定的に行ってもよく、一対のレンズで得られた像の情報から被写体の距離を表示したり、フォーカスアシスト表示をしたりするような工夫があってもよい。この場合は、最後のピント合わせは、ユーザが表示を見ながらマニュアル調整することとなる。また、光軸の異なる複数の光学系を有する第1の光学装置からは、撮像素子311から複数の画像が得られるが、各画像は、各光学系の特性や調整結果に従って、異なる露出、異なるピントなど、異なる描写となるので、どの画像を有効にするかの設定が重要である。また、各画像毎に異なる撮像処理が出来るような撮像素子等においても、好みによっては、領域ごとの画像処理や撮影制御が重要となる。従って、このような多眼のシステムでは、領域を選択する機能が重要となる。領域選択という観点から言えば、単一の光軸を有する第2の光学装置でも、このタッチ操作によってピント合わせや露出調整ができるようにしておけば、同様の所作での操作が可能となる。また、同様のピンチ操作等で単一の光軸を有する第2の学装置により得られた画像からトリミング等ができるようにしても良い。この場合、電気通信を行っても行わなくてもよいが、ピント合わせを自動で行う場合や、絞りを撮像装置側から制御したい場合には、電気的通信があった方がよい。
【0090】
以上説明した本実施の形態2のようにパノラマ画像を生成及び表示するように構成した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を享受することができる。
【0091】
(実施の形態2の変形例)
図13は、本実施の形態2の変形例を示す図である。
上述した実施の形態2では、画像生成部376は、パノラマ画像を生成していたが、これに限られず、以下に示す重畳画像を生成するように構成しても構わない。
具体的に、画像生成部376は、ステップS124において、以下の処理を実行する。
画像生成部376は、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に基づいて、第1左,右側広角レンズ211L,211R及び第2左,右側広角レンズ212L,212Rのいずれかのレンズに対応する一部画像データを読み出す。そして、画像生成部376は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、当該読み出した一部画像データに対応する画像に対して、領域ArOに相当する箇所を指示する指示情報(
図13の例では、矩形枠の破線)を重畳した重畳画像を生成し、当該重畳画像に対応する重畳画像データをメモリ部35に記憶する。
すなわち、画像生成部376は、本発明に係る重畳画像生成部としての機能を有する。
【0092】
また、表示制御部374Aは、画像合成モードに設定されている場合(ステップS123:Yes)、ステップS109Aにおいて、以下の処理を実行する。
表示制御部374Aは、メモリ部35に記憶された各一部画像データに関連付けられた特性情報に基づいて、当該各一部画像データを識別する。そして、表示制御部374Aは、
図13に示すように、メモリ部35に記憶された重畳画像データに対応する画像を第4代表画像MF4(第1代表画像MF1に指示情報FIが重畳された画像)とし、画像生成部376にて重畳画像の生成に用いられなかった領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2Rのうち3つの領域に対応する各画像を第4代表画像MF4よりもサイズの小さいサブ画像SF7〜SF9として、これら各画像MF4,SF7〜SF9を並べて表示部32に表示(ライブビュー表示)させる。
【0093】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
上述した実施の形態1では、光学装置2は、撮像素子が設けられておらず、所謂交換レンズとしての機能を有していた。
これに対して本実施の形態2に係る光学装置は、内部に撮像素子が設けられ、当該光学装置自体で撮像装置としての機能を有する。また、当該光学装置は、外部の通信機器との間で情報を送受信可能に接続する。そして、当該光学装置及び通信機器で本発明に係る撮像システムを構成する。
以下、本実施の形態3に係る撮像システムの構成を説明する。
【0094】
〔撮像システムの構成〕
図14は、本発明の実施の形態3に係る撮像システム1Bの構成を模式的に示す図である。
図15は、撮像システム1Bの構成を示すブロック図である。
撮像システム1Bは、無線通信により互いに情報の送受信を可能に接続する光学装置2B及び通信機器4(
図14,
図15)と、アタッチメント5(
図14)とを備える。
なお、撮像システム1Bとしては、無線通信に限られず、有線通信により互いに情報の送受信を可能に光学装置2B及び通信機器4を接続した構成としても構わない。
【0095】
〔アタッチメントの構成〕
アタッチメント5は、光学装置2B及び通信機器4を機械的に接続する部材である。
より具体的に、アタッチメント5は、
図14に示すように、通信機器4の背面に装着される。また、アタッチメント5には、平面視で円形状を有し、光学装置2Bが嵌め込まれる取付用孔5Aが設けられている。
そして、アタッチメント5を介して光学装置2B及び通信機器4同士が機械的に接続された状態では、撮像システム1Bの全体形状は、デジタルカメラをイメージする形状となる。
なお、撮像システム1Bとしては、アタッチメント5を備えた構成に限られず、アタッチメント5を省略した構成としても構わない。
【0096】
〔光学装置の構成〕
光学装置2Bは、複数の光軸を有する第1の光学装置や、単一の光軸を有する第2の光学装置を例示することができる。上述した実施の形態1でも説明したように第2の光学装置については周知の技術であるため、以下では、第1の光学装置の構成を重点的に説明する。
光学装置2Bは、
図15に示すように、上述した実施の形態1で説明した光学装置2(
図1)と略同様の構成を有する。より具体的に、光学装置2Bは、上述した実施の形態1で説明した撮像光学ユニット21、駆動部22、位置検出部23、及び第1記録部24の他、第1通信部25Bと、第1制御部26Bと、第1撮像部27と、第1メモリ部28を備える。そして、これら各部材21〜24,25B,26B,27は、全体略円柱形状を有するレンズ鏡筒20内部に収納される。すなわち、光学装置2Bの全体形状は、所謂交換レンズの全体形状と略同様の形状を有する。
なお、本実施の形態3に係る撮像光学ユニット21は、上述した実施の形態1で説明した撮像光学ユニット21に対して、集光した光を、第1撮像部27を構成する撮像素子の撮像面に結像する点が異なる。
【0097】
第1撮像部27は、上述した実施の形態1で説明した撮像部31と同様の構成及び機能を有し、第1制御部26Bによる制御の下、被写体を撮像して画像データを生成する。
そして、第1撮像部27にて生成された画像データは、第1制御部26Bによる制御の下、順次、第1メモリ部28に記憶される。
第1通信部25Bは、第1制御部26Bによる制御の下、通信機器4との間で通信に必要な信号を含む各種データの無線通信を所定のプロトコルに従って行う。
第1制御部26Bは、上述した実施の形態1で説明した第1制御部26と同様の機能を有する他、第1通信部25Bを介して、第1メモリ部28に記憶された最新の画像データ、第1記録部24に記録された特性情報、位置検出部23にて検出された望遠レンズ213の位置に関する情報を通信機器4に送信する機能を有する。
【0098】
〔通信機器の構成〕
通信機器4は、光学装置2Bと無線通信を行う機器であり、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、または携帯電話やタブレット型携帯機器等として構成される(
図14では、通信機器4を携帯電話(スマートフォン)として図示)。
なお、以下では、通信機器4の構成として、本発明の要部を主に説明する。
この通信機器4は、
図15に示すように、上述した実施の形態1で説明した撮像装置3(
図1)と略同様の構成を有する。より具体的に、通信機器4は、上述した実施の形態1で説明した表示部32、入力部33、及び第2記録部36の他、第2撮像部31B、第2通信部34B、第2メモリ部35B、及び第2制御部37Bを備える。
【0099】
第2撮像部31Bは、背面に設けられ(
図14)、第2制御部37Bによる制御の下、被写体を撮像して画像データを生成する。この第2撮像部31Bは、被写体像を結像する光学系312(
図14)、光学系312が結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCCD等の撮像素子(図示略)、当該撮像素子からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行うことによりデジタルの画像データを生成する信号処理部等を用いて構成される。
第2通信部34Bは、第2制御部37Bによる制御の下、光学装置2Bとの間で通信に必要な信号を含む各種データの無線通信を所定のプロトコルに従って行う。
すなわち、第2通信部34Bは、本発明に係る第3通信部としての機能を有する。
第2メモリ部35Bは、第2撮像部31Bにて生成された画像データ、第2通信部34Bを介して受信した画像データや特性情報等を記憶する。
【0100】
第2制御部37Bは、CPU等を用いて構成され、入力部33からの指示信号等に応じて通信機器4を構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って通信機器4の動作を統括的に制御する。この第2制御部37Bは、
図15に示すように、上述した実施の形態1で説明したレンズ位置指示部372、画像抽出部373、及び表示制御部374の他、情報取得部371B及び撮像制御部375Bを備える。
【0101】
情報取得部371Bは、上述した実施の形態1で説明した特性情報取得部371と同様に、第2通信部34Bを介して、光学装置2Bから特性情報を取得するとともに画像データを取得する。そして、情報取得部371Bは、当該取得した特性情報及び画像データを第2メモリ部35Bに記憶する。
【0102】
撮像制御部375Bは、通信機器4が通信撮影モード(光学装置2Bを利用して被写体を撮像するモード)に設定されている場合には、上述した実施の形態1で説明した撮像制御部375と同様に、通信機器4のユーザによる入力部33への撮影操作があった場合に、表示部32に表示させた画像に対応する画像データや一部画像データを、画像データ記録部362に記録する。
一方、撮像制御部375Bは、通信機器4が通常撮影モード(第2撮像部31Bを利用して被写体を撮像するモード)に設定されている場合には、通信機器4のユーザによる入力部33への撮影操作があった場合に、第2撮像部31Bにて生成された画像データを、画像データ記録部362に記録する。
【0103】
〔撮像システムの動作〕
次に、上述した撮像システム1Bの動作について説明する。
以下では、撮像システム1Bの動作として、光学装置2Bの動作、及び通信機器4の動作を順に説明する。
【0104】
〔光学装置の動作〕
図16は、光学装置2Bの動作を示すフローチャートである。
光学装置2Bのユーザによる入力部(図示略)への操作によって光学装置2Bの電源がオンになる(ステップS201:Yes)と、第1制御部26Bは、第1通信部25Bを介して第1記録部24に記録された特性情報を通信機器4に送信する(ステップS202)とともに、第1撮像部27に撮像を開始させる(ステップS203)。そして、第1撮像部27にて生成された画像データは、順次、第1メモリ部28に記憶される。
なお、
図16では、説明の便宜上、ステップS203がステップS202の後に実行される順序で図示しているが、実際にはステップS202,203は略同時に実行されるものである。
【0105】
続いて、第1制御部26Bは、第1通信部25Bを介して、第1メモリ部28に記憶された最新の画像データを順次、通信機器4に送信する(ステップS204)。
続いて、第1制御部26Bは、第1通信部25Bを介して、通信機器4からピント位置を変更可能とするレンズの位置情報(光学装置2Bが第1の光学装置である場合には、望遠レンズ213の位置情報)を受信したか否かを判断する(ステップS205)。
レンズの位置情報を受信していないと判断された場合(ステップS205:No)には、光学装置2Bは、ステップS201に戻る。
一方、第1制御部26Bは、レンズの位置情報を受信したと判断した場合(ステップS205:Yes)には、位置検出部23にて検出されたピント位置を変更可能とするレンズの位置(光学装置2Bが第1の光学装置である場合には、望遠レンズ213の光軸AxO上の位置)を確認しながら、駆動部22を動作させて、受信した位置情報に基づく位置に当該レンズを位置付ける。この後、光学装置2Bは、ステップS201に戻る。
【0106】
〔通信機器の動作〕
図17は、通信機器4の動作を示すフローチャートである。
なお、以下では、通信機器4は、通信撮影モード(光学装置2Bを利用して被写体を撮像するモード)に設定されているものとする。
通信機器4のユーザによる入力部33への操作によって通信機器4の電源がオンになる(ステップS301:Yes)と、情報取得部371Bは、第2通信部34Bを介して、光学装置2Bに特性情報及び画像データの送信要求を行う。そして、情報取得部371Bは、第2通信部34Bを介して、光学装置2Bから特性情報を受信したか否かを判断する(ステップS302)。
【0107】
特性情報を受信していないと判断された場合(ステップS302:No)には、通信機器4は、ステップS301に戻る。
一方、情報取得部371Bは、特性情報を受信したと判断した場合(ステップS302:Yes)には、第2通信部34Bを介して、光学装置2Bから画像データを受信したか否かを判断する(ステップS303)。
【0108】
画像データを受信していないと判断された場合(ステップS303:No)には、通信機器4は、ステップS311に移行する。
一方、情報取得部371Bは、画像データを受信したと判断した場合(ステップS303:Yes)には、当該受信した画像データを第2メモリ部35Bに記憶する。そして、第2制御部37Bは、上述した実施の形態1で説明したステップS104と同様に、多眼レンズを使用しているか否かを判断する(ステップS304)。すなわち、本実施の形態2においても、第2制御部37Bは、光学装置2Bとの情報通信(ステップS202,S302)によって、多眼レンズを使用しているか否かを判断する。
【0109】
多眼レンズを使用していると判断した場合(ステップS304:Yes)には、第2制御部37Bは、上述した実施の形態1で説明したステップS106〜S111と同様のステップS305〜S310を実行する。ステップS310の後、通信機器4は、ステップS311に移行する。
一方、多眼レンズを使用していないと判断した場合(ステップS304:No)には、第2制御部37Bは、上述した実施の形態1で説明したステップS114〜S117と同様のステップS312〜S315を実行する。ステップS315の後、通信機器4は、ステップS311に移行する。
【0110】
ステップS310の後、ステップS311の後、または、ステップS303で「No」と判断された場合には、第2制御部37Bは、通信機器4のユーザによる入力部33への操作によって通信機器4の電源がオフになったか否かを判断する(ステップS311)。
通信機器4の電源がオフになった場合(ステップS311:Yes)には、通信機器4は、本処理を終了する。
一方、電源がオンの状態が継続している場合(ステップS311:No)には、通信機器4は、ステップS303に戻る。
【0111】
以上のように、本実施の形態3に係る通信機器4(第2制御部37B)は、第1の光学装置の利用時にはステップS305〜S310を実行し、第2の光学装置の利用時にはステップS312〜S315を実行し、第1の光学装置の利用時と第2の光学装置の利用時とで、表示制御を変更している。
すなわち、通信機器4は、本発明に係る表示装置としての機能を有する。また、第2制御部37Bは、本発明に係る制御部としての機能を有する。
【0112】
以上説明した本実施の形態3のように光学装置2Bに第1撮像部27を含めて光学装置2Bをレンズ型のカメラとして構成し、当該光学装置2Bとスマートフォン等の通信機器4とを情報の送受信を可能に接続して撮像システム1Bを構成した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を享受することができる。例えば、画角が狭い(望遠用)レンズの描写については、これで撮影される被写体が、他の画角の広いレンズを介しても撮影可能であるので、様々な画質向上の方策で高画質化することが可能である。例えば、画面周辺の歪みや光量低下等は、広角レンズの画像を参考に補正することが可能であるし、広角レンズで得られた画像を補間する形で、超解像技術による画質向上が可能となる。こうした補正効果が期待できるので、より小型の構成にしてもよい。同様に複数のレンズで得られた画像を利用して、広角レンズの画像も高画質化することができ、パノラマ画像や3D画像に加工する応用が可能であることは言うまでもない。これは、通信機器4の表示制御部374等で行えばよく、第2制御部37Bに専用の回路を設けたり、プログラム記録部361に専用の画像処理プログラムを記録して、これを補助したりするようにしてもよい。画像データを記録するときに、画質向上を行ってもよく、外部に画像データを送って、外部機器で画質向上をする応用も可能である。3D情報によって、奥行き情報を加味したアート表現等ができ、さらに画像表現が豊かになる。本実施の形態3に係る撮像システム1Bでは、通信機器4を利用しているので、電話回線をはじめとする様々な回線、インターネット等も利用して、これらの画像処理を、外部のサーバ等と連携で行うのに適した構成となっている。
【0113】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態4に係る第1の光学装置は、上述した実施の形態1で説明した第1の光学装置に対して、撮像光学ユニットの構成が異なる。
以下、本実施の形態4に係る撮像光学ユニットの構成を説明する。
【0114】
〔撮像光学ユニット〕
図18は、本発明の実施の形態4に係る撮像光学ユニット21Cの構成を模式的に示す図である。具体的に、
図18は、
図2に対応し、撮像光学ユニット21Cを被写体側から見た図である。
撮像光学ユニット21Cは、
図18に示すように、遠距離広角レンズ214Fと、近距離広角レンズ214Nと、第1望遠レンズ215Nと、第2望遠レンズ215Fと、第3望遠レンズ215Mと、第1ピント調整用レンズ216Aと、第2ピント調整用レンズ216Bとを備える。
なお、
図18では、
図2と同様に、説明の便宜上、各レンズ214F,214N,215N,215F,215M,216A,216Bを擬似的に単体のレンズとして図示している。
【0115】
遠距離広角レンズ214Fは、上述した実施の形態1で説明した第1右側広角レンズ211Rと同一の機能及び構成を有する広角レンズである。すなわち、遠距離広角レンズ214Fは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、遠距離広角レンズ214Fは、当該第1右側広角レンズ211Rと同一の姿勢及び位置に配設される。すなわち、遠距離広角レンズ214Fは、撮像面311Aにおいて、上述した実施の形態1で説明した領域Ar1Rと同様の領域Ar4F(
図18)に被写体像を結像する。
【0116】
近距離広角レンズ214Nは、上述した実施の形態1で説明した第2左側広角レンズ212Lと同一の機能及び構成を有する広角レンズである。すなわち、近距離広角レンズ214Nは、本発明に係る第1撮像光学系としての機能を有する。
そして、近距離広角レンズ214Nは、当該第2左側広角レンズ212Lと同一の姿勢及び位置に配設される。すなわち、近距離広角レンズ214Nは、撮像面311Aにおいて、上述した実施の形態1で説明した領域Ar2Lと同様の領域Ar4N(
図18)に被写体像を結像する。
【0117】
第1望遠レンズ215Nは、上述した実施の形態1で説明した望遠レンズ213と同一の焦点距離を有し、ピント位置が近距離である望遠レンズで構成されている。すなわち、第1望遠レンズ215Nは、本発明に係る第2撮像光学系としての機能を有する。
そして、第1望遠レンズ215Nは、撮像装置3に本実施の形態3に係る光学装置2C(
図18)が装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒(図示略)に支持される。
第1望遠レンズ215Nは、その光軸(図示略)が撮像面311Aに垂直となる姿勢で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに対して左上方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される。すなわち、第1望遠レンズ215Nは、撮像面311Aにおける左上方の領域Ar5Nに被写体像を結像する。
【0118】
第2望遠レンズ215Fは、上述した実施の形態1で説明した望遠レンズ213と同一の焦点距離を有し、ピント位置が遠距離である望遠レンズで構成されている。すなわち、第2望遠レンズ215Fは、本発明に係る第2撮像光学系としての機能を有する。
そして、第2望遠レンズ215Fは、当該望遠レンズ213と同一の姿勢及び位置に配設される。すなわち、第2望遠レンズ215Fは、撮像面311Aにおいて、上述した実施の形態1で説明した領域ArOと同様の領域Ar5F(
図18)に被写体像を結像する。
【0119】
第3望遠レンズ215Mは、上述した実施の形態1で説明した望遠レンズ213と同一の焦点距離を有し、ピント位置が第1,第2望遠レンズ215N,215Fの中間距離である望遠レンズで構成されている。すなわち、第3望遠レンズ215Mは、本発明に係る第2撮像光学系としての機能を有する。
そして、第3望遠レンズ215Mは、撮像装置3に本実施の形態3に係る光学装置2Cが装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒に支持される。
第3望遠レンズ215Mは、その光軸(図示略)が撮像面311Aに垂直となる姿勢で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oに対して右下方に位置するように、レンズ鏡筒に支持される。すなわち、第3望遠レンズ215Mは、撮像面311Aにおける右下方の領域Ar5Mに被写体像を結像する。
【0120】
以上説明した第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mは、上述した実施の形態1で説明した望遠レンズ213と同様に、レンズ鏡筒内部において、光軸に沿って移動可能とし、ピント位置を変更可能に構成されている。すなわち、本実施の形態3に係る光学装置2Cは、上述した実施の形態1で説明した駆動部22及び位置検出部23が第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mに対応させて3つ設けられている。
【0121】
第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bは、AFを行う際に用いられるレンズである。すなわち、第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bは、本発明に係るフォーカス光学系としての機能を有する。
そして、第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bは、撮像装置3に本実施の形態3に係る光学装置2Cが装着された状態で、以下に示す姿勢及び位置となるように、レンズ鏡筒に支持される。
第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bは、その光軸(図示略)が撮像面311Aに垂直となる姿勢で、被写体側から見て撮像面311Aの中心Oの上方及び下方にそれぞれ位置するように、レンズ鏡筒に支持される。すなわち、第1,第2ピント調整用レンズ216Aは、撮像面311Aにおける上方の領域Ar6A及び下方の領域Ar6Bに被写体像をそれぞれ結像する。
【0122】
そして、本実施の形態4に係る第1記録部24には、上述した各レンズ214F,214N,215N,215F,215M,216A,216B毎に、当該各レンズ214F,214N,215N,215F,215M,216A,216Bの特性に関する各特性情報(範囲情報、光軸座標情報、焦点距離情報(画角情報)、ピント調整情報、用途情報、対情報、及び離間距離情報等)が記録されている。
【0123】
〔撮像システムの動作〕
次に、本実施の形態4に係る撮像システムの動作について説明する。
図19は、本実施の形態4に係る撮像システムの動作を示すフローチャートである。
本実施の形態4に係る撮像システムの動作は、
図19に示すように、上述した実施の形態1で説明した撮像システム1の動作(
図9)に対して、ステップS125,S126を追加するとともに、ステップS106の代わりにステップS106Cを採用した点が異なるのみである。
このため、以下では、ステップS125,S126,S106Cのみを説明する。
【0124】
本実施の形態3に係るレンズ位置指示部372は、ステップS106C,S125,S107,S126において、光学装置2Cを構成するレンズのうち、ピント位置を変更可能とするレンズである第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215MのAF処理を実行することとなる。
具体的に、レンズ位置指示部372は、ステップS106Cにおいて、以下に示すように、被写体距離を算出する。
すなわち、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報(光学装置2Cから取得した特性情報)に含まれる用途情報及び対情報に基づいて、第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215MのAFを行う際に用いられる対となるレンズを第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bとして特定する。また、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれる範囲情報に基づいて、撮像面311Aにおいて、第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bが被写体像を結像する領域Ar6A,Ar6Bを認識する。そして、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された最新の画像データを読み出し、当該最新の画像データにおける画像領域中の領域Ar6Aまたは領域Ar6Bに映り込んだ被写体像の位置に基づいて、上述した実施の形態1と同様に、三角測量の原理を利用して、被写体距離を算出する。
【0125】
続いて、レンズ位置指示部372は、ステップS106Cで被写体距離を算出することができたか否かを判断する(ステップS125)。
なお、被写体距離を算出することができない場合としては、例えば、領域Ar6Aまたは領域Ar6Bに相当する一部画像データのコントラストが低い場合や、当該一部画像データに被写体像(
図7の例のような「鳥」等)が含まれていない場合等を例示することができる。
【0126】
被写体距離を算出することができたと判断した場合(ステップS125:Yes)には、レンズ位置指示部372は、メモリ部35に記憶された特性情報に含まれるピント調整情報に基づいて、当該算出した被写体距離に対応する第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mの位置を取得し、当該取得した第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mの位置に関する位置情報を、第2通信部34を介して光学装置2Cに送信する(ステップS107)。
【0127】
一方、被写体距離を算出することができないと判断した場合(ステップS125:No)には、レンズ位置指示部372は、第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mを予め定めた規定位置に位置付けるために、第2記録部36に記録された当該規定位置に関する位置情報を、第2通信部34を介して光学装置2Cに送信する(ステップS126)。すなわち、ステップS126では、第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mを上記規定位置に位置付けることで、第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215Mのいずれかにより得られる画像(領域Ar5N,Ar5F,Ar5Mに相当する画像)のピントを合わせることを目的としている。
【0128】
また、本実施の形態4に係る画像抽出部373は、ステップS111において、メモリ部35に記憶された特性情報(光学装置2Cから取得した特性情報)に含まれる範囲情報等に基づいて、最新の画像データにおける画像領域中の当該範囲情報に基づく領域Ar4F,Ar4N,Ar5N,Ar5F,Ar5Mに相当する一部画像データをそれぞれ抽出することとなる。
【0129】
以上説明した本実施の形態4のように撮像光学ユニット21Cを構成した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を享受することができる。
【0130】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態4と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態5に係る光学装置は、上述した実施の形態4で説明した光学装置2Cに対して、撮像光学ユニットの構成が異なる。
以下、本実施の形態5に係る撮像光学ユニットの構成を説明する。
【0131】
〔撮像光学ユニットの構成〕
本実施の形態5に係る撮像光学ユニット21Dは、上述した実施の形態4で説明した撮像光学ユニット21Cに対して、第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bが省略されている点、第2望遠レンズ215Fを回折レンズで構成した点が異なる。
図20A及び
図20Bは、本発明の実施の形態5に係る第2望遠レンズ215Fの構成を模式的に示す図である。具体的に、
図20Aは、第2望遠レンズ215Fを側方から見た図である。
図20Bは、第2望遠レンズ215Fの表面を拡大した図である。
本実施の形態5に係る第2望遠レンズ215Fは、
図20Aまたは
図20Bに示すように、表面に凹凸が形成された回折レンズで構成されている。
そして、第2望遠レンズ215Fは、撮像面311Aにおいて、0次光を上述した実施の形態4で説明した領域Ar5Fに結像する。また、第2望遠レンズ215Fは、撮像面311Aにおいて、回折光である+1次光及び−1次光を上述した実施の形態4で説明した領域Ar6A,Ar6Bにそれぞれ結像する。
【0132】
本実施の形態5では、第2望遠レンズ215Fの特性情報は、上述した実施の形態4とは異なる特性情報となる。
具体的に、範囲情報は、上述した領域Ar5F,Ar6A,Ar6Bに相当する情報となる。用途情報は、AFを行う際に用いられるレンズであることを示す情報である。
そして、本実施の形態5に係るレンズ位置指示部372は、ステップS106Cにおいて、メモリ部35に記憶された特性情報に基づいて、最新の画像データにおける画像領域中の領域Ar6Aまたは領域Ar6Bに映り込んだ被写体像の位置に基づいて、被写体距離を算出することとなる。
【0133】
以上説明した本実施の形態5のように撮像光学ユニット21Dを構成した場合には、上述した実施の形態4と比較して、第1,第2ピント調整用レンズ216A,216Bを省略しながら、第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215MのAFを行うことができる。
【0134】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜5によってのみ限定されるべきものではない。特に、文中に「最新」という表現での説明を行ったが、システム構成や性能上、ソフトウェアの性能限界、さらにはユーザの応答速度等に応じて、適宜、最新のタイミングからずらしたタイミングのものを、本発明の思想に矛盾のない範囲内で対応させても構わない。
【0135】
上述した実施の形態1〜5では、撮像光学ユニット21,21C,21Dは、異なる種類のレンズ(広角レンズ及び望遠レンズ)を組み合わせて構成されていたが、これに限られず、同一種類のレンズ(広角レンズまたは望遠レンズ)を組み合わせて構成しても構わない。
【0136】
上述した実施の形態1〜5において、撮像光学ユニット21,21C,21Dを構成する各レンズの姿勢や配設位置は、上述した実施の形態1〜5で説明した姿勢や配設位置に限られず、その他の姿勢や配設位置としても構わない。
例えば、撮像光学ユニット21において、4つの各広角レンズ211L,211R,212L,212Rの姿勢を以下に示すように変更しても構わない。
すなわち、第1左側広角レンズ211Lについては、被写体側から見て、左側や左斜め上側を向く姿勢で配設しても構わない。第1右側広角レンズ211Rについては、被写体側から見て、右側や右斜め上側を向く姿勢で配設しても構わない。第2左側広角レンズ212Lについては、被写体側から見て、左側や左斜め下側を向く姿勢で配設しても構わない。第2右側広角レンズ212Rについては、被写体側から見て、右側や右斜め下側を向く姿勢で配設しても構わない。すなわち、4つの各広角レンズ211L,211R,212L,212Rを、あおりを有するように外側を向く姿勢で配設しても構わない。
【0137】
上述した実施の形態1〜5では、一部画像データを抽出する際に用いる領域Ar1L,Ar1R,Ar2L,Ar2R,ArO,Ar4F,Ar4N,Ar5N,Ar5F,Ar5M,Ar6A,Ar6Bを横長の矩形領域としていたが、これに限られず、縦長の矩形領域としても構わない。
【0138】
上述した実施の形態1〜5において、手振れ補正を行うための手振れ補正機構を設けても構わない。例えば、望遠レンズ213(第1〜第3望遠レンズ215N,215F,215M)を構成するレンズ群の少なくとも一部を移動させることにより手振れ補正を行う光学式手振れ補正機構を採用しても構わない。
【0139】
上述した実施の形態1,3〜5では、一部画像データの抽出(ステップS108,S307)をライブビュー表示(ステップS109,S308)の前に実行していたが、これに限られない。例えば、ライブビュー表示(ステップS109,S308)では、撮像素子311にて撮像された画像略全体を表示部32に表示し、撮影操作があった場合(ステップS116:Yes,ステップS309:Yes)に、一部画像データの抽出(ステップS108,S307)を実行するように構成しても構わない。
【0140】
また、処理フローは、上述した実施の形態1〜5で説明したフローチャートにおける処理の順序に限られず、矛盾のない範囲で変更しても構わない。
さらに、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理のアルゴリズムは、プログラムとして記述することが可能である。このようなプログラムは、コンピュータ内部の記録部に記録してもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。プログラムの記録部または記録媒体への記録は、コンピュータまたは記録媒体を製品として出荷する際に行ってもよいし、通信ネットワークを介したダウンロードにより行ってもよい。