特許第6239996号(P6239996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239996
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】便蓋ヒンジ及び便器設備
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/12 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A47K13/12
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-26982(P2014-26982)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-150249(P2015-150249A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲一
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3111640(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01452117(EP,A2)
【文献】 特開2010−167135(JP,A)
【文献】 特開平07−031562(JP,A)
【文献】 特開平08−117152(JP,A)
【文献】 特開2004−202199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00 − 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に固定される中空筒状の本体部と、便蓋に固定されるとともにその一端部が回動軸により前記本体部に回動可能に連結されるウイング部と、を備えることにより、前記便蓋を前記便器に回動可能に連結する、便蓋ヒンジであって、
前記ウイング部における前記本体部側の面にはカム部が形成され、
前記本体部には、前記ウイング部に対して接近離間する方向に移動可能とされるとともに、付勢部材により前記ウイング部の方向に付勢されるスライド部材が収容され、
前記スライド部材の前記カム部に対向する部分にはカム受け部が形成され、
前記カム受け部が前記カム部と当接することにより、前記ウイング部には前記二つの連結対象物が離間する方向に、前記スライド部材からトルクが付与され、
前記ウイング部の先端部には係合凸部が形成されるとともに、前記便蓋の基端部には係合凹部が形成され、前記係合凸部が前記係合凹部に係合されることにより、前記ウイング部と前記便蓋とが結合される、ことを特徴とする、便蓋ヒンジ。
【請求項2】
前記本体部の底面には水抜き穴が開口される、請求項1に記載の便蓋ヒンジ。
【請求項3】
便器と、便蓋と、前記便蓋を前記便器に回動可能に連結する便蓋ヒンジと、を備える便器設備であって、
前記便蓋ヒンジは、前記便器に固定される中空筒状の本体部と、前記便蓋に固定されるとともにその一端部が回動軸により前記本体部に回動可能に連結されるウイング部と、を備え、
前記ウイング部における前記本体部側の面にはカム部が形成され、
前記本体部には、前記ウイング部に対して接近離間する方向に移動可能とされるとともに、付勢部材により前記ウイング部の方向に付勢されるスライド部材が収容され、
前記スライド部材の前記カム部に対向する部分にはカム受け部が形成され、
前記カム受け部が前記カム部と当接することにより、前記ウイング部には前記便蓋を開放する方向に、前記スライド部材から開放トルクが付与され、
前記ウイング部の先端部には係合凸部が形成されるとともに、前記便蓋の基端部には係合凹部が形成され、前記係合凸部が前記係合凹部に係合されることにより、前記ウイング部と前記便蓋とが結合される、ことを特徴とする、便器設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に対して便蓋を開閉可能に連結する便蓋ヒンジ、及び、便蓋ヒンジを備える便器設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器設備における便蓋を便器に回動可能に連結するためのヒンジ(以下、「便蓋ヒンジ」と記載する)が用いられている。このような便蓋ヒンジにおいては、一方にカム部を、他方にカム受け部を形成し、カム受け部をカム部の側に付勢することによりトルクを付与する構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3111640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献に記載の便蓋ヒンジの構成によれば、便蓋と便蓋ヒンジとを容易に着脱させるための構成を備えていない。このため、例えば便器を清掃するために便蓋を取り外そうとした場合、便蓋を便器から便蓋ヒンジごと取り外す必要があり、使用者の作業負担が大きくなっていた。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、便蓋と便蓋ヒンジとを容易に着脱させることにより、使用者の作業負担を低減できる便蓋ヒンジ、及び、便器設備を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
即ち、請求項1においては、便器に固定される中空筒状の本体部と、便蓋に固定されるとともにその一端部が回動軸により前記本体部に回動可能に連結されるウイング部と、を備えることにより、前記便蓋を前記便器に回動可能に連結する、便蓋ヒンジであって、前記ウイング部における前記本体部側の面にはカム部が形成され、前記本体部には、前記ウイング部に対して接近離間する方向に移動可能とされるとともに、付勢部材により前記ウイング部の方向に付勢されるスライド部材が収容され、前記スライド部材の前記カム部に対向する部分にはカム受け部が形成され、前記カム受け部が前記カム部と当接することにより、前記ウイング部には前記二つの連結対象物が離間する方向に、前記スライド部材からトルクが付与され、前記ウイング部の先端部には係合凸部が形成されるとともに、前記便蓋の基端部には係合凹部が形成され、前記係合凸部が前記係合凹部に係合されることにより、前記ウイング部と前記便蓋とが結合されるものである。
【0007】
請求項2においては、前記本体部の底面には水抜き穴が開口されるものである。
【0008】
請求項3においては、便器と、便蓋と、前記便蓋を前記便器に回動可能に連結する便蓋ヒンジと、を備える便器設備であって、前記便蓋ヒンジは、前記便器に固定される中空筒状の本体部と、前記便蓋に固定されるとともにその一端部が回動軸により前記本体部に回動可能に連結されるウイング部と、を備え、前記ウイング部における前記本体部側の面にはカム部が形成され、前記本体部には、前記ウイング部に対して接近離間する方向に移動可能とされるとともに、付勢部材により前記ウイング部の方向に付勢されるスライド部材が収容され、前記スライド部材の前記カム部に対向する部分にはカム受け部が形成され、前記カム受け部が前記カム部と当接することにより、前記ウイング部には前記便蓋を開放する方向に、前記スライド部材から開放トルクが付与され、前記ウイング部の先端部には係合凸部が形成されるとともに、前記便蓋の基端部には係合凹部が形成され、前記係合凸部が前記係合凹部に係合されることにより、前記ウイング部と前記便蓋とが結合されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、便蓋と便蓋ヒンジとを容易に着脱させることにより、使用者の作業負担を低減できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る便蓋ヒンジの実施の一形態を具備する便器設備を示す左側面図。
図2】同じく便蓋ヒンジの閉塞状態を示す左側面図。
図3】同じく便蓋ヒンジの開放状態を示す左側面図。
図4】同じく便蓋ヒンジの開放状態を示す背面図。
図5】(a)及び(b)はそれぞれ便蓋ヒンジと便蓋との結合部を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る便蓋ヒンジ110(以下、単に「ヒンジ110」と記載する)、及び、ヒンジ110が配設される便器設備101について説明する。
【0012】
図1に示す如く、便器設備101は便器102、便蓋103、便座104、およびヒンジ110を具備する。ヒンジ110は本実施形態における二つの連結対象物である便器設備101の便器102に便蓋103を回動可能に連結する。便座104は便器102に対して回動可能に、図示しないヒンジにより便器102と連結されている。
【0013】
本実施形態における「便蓋103の(便器102に対する)閉塞状態(閉じている状態)」は、図1に示す如く便蓋103が便座104の上側近傍に位置する状態を指す。
また、「便蓋103の(便器102に対する)開放状態(開いている状態)」は、便蓋103が便器2(及び便座104)に対して回動することにより、便蓋103の下面および便座104の上面が離間した状態を指す。
【0014】
加えて、ヒンジ110の閉塞状態、開放状態についても、便蓋103の開放状態及び閉塞状態に対応した状態を指すものである。即ち、ヒンジ110の閉塞状態とは、図2に示す如くウイング部140における挿入部141がケース120から前方に向かって延出され、挿入部141とケース120とが近接した状態を指す。また、ヒンジ110の開放状態とは、図3に示す如く挿入部141がケース120から上方に向かって延出され、挿入部141とケース120とが離間した状態を指す。
【0015】
以下の説明では、図1に示す如く便蓋103が便座104と当接しているときの便蓋103の便器102に対する開放角度(より厳密には、便座104に対する便蓋103の回動角度)θを「0°」とし、便蓋103が開く方向(便蓋103の下面が便座104の上面から離間する方向)に回動するときに開放角度θが増加する(開放角度θの値が正になる)ものとして、便蓋103の開放角度θを定義する。
【0016】
以下では便宜上、ヒンジ110が便器設備101に取り付けられ、かつ、便蓋103が便器102に対して閉じているとき(便器102に対する便蓋103の開放角度θ=0°のとき)の便器設備101の上下方向、前後方向および左右方向を基準とし、便蓋103が便器102に対して閉じているときの便器設備101の上下方向、前後方向および左右方向がそれぞれヒンジ110の上下方向、前後方向および左右方向に対応するものとして、ヒンジ110を構成する各部材を説明する。
【0017】
図2から図5に示す如く、ヒンジ110はケース120、ウイング部140、回動ピン150、スライダ131、巻きバネ133、等を具備する。
【0018】
ケース120は本発明に係る本体部の実施の一形態であり、中空の角筒状に形成されて便器102に固定される。
本実施形態のケース120は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
ウイング部140は便蓋103に固定されるとともに、回動ピン150を介してケース120の上端部に回動可能に連結される。これにより、ヒンジ110は便器設備101の便器102に対して便蓋103を回動可能に連結するのである。また、ウイング部140には便蓋103から、その重力により生じる重量トルクを便蓋103が閉じる方向(下方)に付与される。
【0019】
図2から図5に示す如く、ケース120は前後幅と左右幅とが略同じ長さに形成された直方体状の部材であり、その内部には、前後左右の側壁及び底部で囲まれる空間が形成される。即ち、ケース120は上端部に開口するとともに下端部に底面を有するスライダ収容室121が形成されている。スライダ収容室121の底面には、スライダ収容室21の内部空間と外部空間とを連通する水抜き穴120b・120bが開口されている。本実施形態に係るヒンジ110においてはこのようにケース120の底面に水抜き穴120b・120bを開口することにより、スライダ収容室121の内部に水が入った場合でも、容易に水を抜くことを可能としている。本実施形態において、ヒンジ110は水が多く用いられる便器設備101に用いられているため、上記の如く水抜き穴120b・120bにより容易に水を抜くための構成はより好適となる。
【0020】
ケース120の上端面には、左右両端部から上方に延出する支持板123・123が立設されており、支持板123・123の上側部には左右方向に連通する連通孔123aが開口されている。そして、支持板123の連通孔123a及びウイング部140の下側後端部に、左側方から回動ピン150が挿通される。これにより、ウイング部140はケース120に対して回動可能に連結されるのである。
【0021】
ウイング部140はその一端部(図2における下側後端部)が回動ピン150によりケース120に軸支された、側面視で略L字状に形成された部材である。便蓋103が閉じている状態にあるときのウイング部140におけるケース120側の面(図2における下面)には、スライダ収容室121に対応するカム部であるスライダカム141が、外側に突出した曲面形状に二個形成されている。
【0022】
本実施形態のウイング部140は樹脂材料を一体成形することにより製造される。なお、ウイング部140の表面を板金で補強すること等により、強度をより高めた構成とすることもできる。また、ウイング部140の表面を板金で補強した場合は、板金に導通性を持たせる構成とすることも可能である。
【0023】
図2から図5に示す如く、スライダ収容室121には、スライド部材であるスライダ131及び付勢部材である巻きバネ133が収容されている。図2及び図3に示す如く、スライダ131はウイング部140に接近離間する方向である上下方向に移動可能に構成される。具体的には、スライダ131は平面視においてスライダ収容室121と略同形状に形成されることにより、スライダ収容室121の内部を上下に摺動可能とされるのである。スライダ131の上面には、ウイング部140のスライダカム141と対向する部分に、上方に突出する半円筒面形状のカム受け部131aが形成されている。また、図4に示す如く、スライダ131の上面には、スライダカム141と干渉しない位置にリブ131cが三個形成されている。さらに、スライダ131の下面には、巻きバネ133の上端部を挿入可能なバネ受け穴131bが形成されている。
【0024】
巻きバネ133は、スライダ131をウイング部140に接近する方向である上方に付勢している。具体的には、巻きバネ133はその上端部がスライダ131のバネ受け穴131bに挿入されるとともに下端部がスライダ収容室121の底面に当接されている。換言すれば、巻きバネ133はスライダ131とスライダ収容室121の底面との間に介挿されているのである。即ち、スライダ131は巻きバネ133が圧縮された際の弾性力により、上方に付勢されるのである。これにより、図2及び図3に示す如く、巻きバネ133はスライダ131のカム受け部131aをスライダカム141に当接させて、ウイング部140をケース120に対して開く方向に回動させる(ウイング部140に対して、回動ピン150を中心として回動させるトルクを付与する)のである。換言すれば、カム受け部131aがスライダカム141と当接することにより、ウイング部140には便蓋103から受ける重量トルクに反して、便蓋103を開放する方向にスライダ131から開放トルクが付与されるのである。
【0025】
本実施形態のウイング部140には、その先端部が挿入部141として板状に形成され、挿入部141の左右両側部には係合凸部141a・141aが弾性変形可能に形成されている。また、図5に示す如く、便蓋103の基端部には係合凹部103aが形成されるとともに、係合凹部103aの左右両側方には係合凹部103aの内部と外部とを連通する連通孔103b・103bが形成されている。
【0026】
本実施形態に係るヒンジ110においては上記の如く構成することにより、便蓋103とヒンジ110との着脱を容易に行うことが可能となる。具体的には、ヒンジ110のウイング部140における挿入部141と便蓋103とを結合させる際には、図5(a)中の矢印dに示す如く、挿入部141の係合凸部141aに対して便蓋103において挿入部141と略同形状に形成された係合凹部103aを近接させる。そして、図5(a)に示す如く、係合凸部141a・141aを内側に撓ませつつ係合凹部103aに挿入する。さらに、便蓋103をウイング部140の側に移動させて、図5(b)に示す如く係合凸部141a・141aを係合凹部103aにおける連通孔103b・103bに係合させることにより、ウイング部140と便蓋103とを結合させるのである。一方、便蓋103をヒンジ110から離脱させる場合は、連通孔103b・103bから棒状部材等により係合凸部141a・141aを内側に撓ませた状態で、便蓋103を引き抜くのである。
【0027】
上記の如く、本実施形態に係るヒンジ110によれば、ヒンジ110と便蓋103とを簡易に着脱することができる。このため、例えば便器102を清掃するために便蓋103を取り外そうとした場合に、ヒンジ110を便器102から取り外すことなく、便蓋103のみを便器102及びヒンジ110から取り外すことが可能となる。即ち、便蓋103を取り外す際の使用者の作業負担を低減することができるのである。このように、本実施形態に係るヒンジ110、及び、ヒンジ110を備えた便器設備101は、上記の如く容易に便蓋103の着脱が行え、使用者の清掃等の負担が低減されるため、例えば汚れやすい環境にある介護用の便器設備としてより好適である。
【符号の説明】
【0028】
103 便蓋
103a 係合凹部
110 ヒンジ
120 ケース(本体部)
120a リブ
131 スライダ(スライド部材)
131a カム受け部
140 ウイング部
141 挿入部
141a 係合凸部
141 スライダカム(カム部)
141a 溝部
図1
図2
図3
図4
図5