(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3貫通孔または前記第4貫通孔は、前記ピン端子が挿通されている前記第1貫通孔または前記第2貫通孔よりも小径であることを特徴とする請求項1記載の電子部品収納用パッケージ。
前記第1貫通孔または前記第2貫通孔は一直線上に配置されており、前記第3貫通孔または前記第4貫通孔は前記一直線とは異なる直線上に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子部品収納用パッケージ。
請求項1乃至4のいずれか一つに記載の電子部品収納用パッケージと、前記実装領域に載置固定されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された電子部品と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする電子装置。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波半導体素子を収納するための電子部品収納用パッケージ(以下、単にパッケージともいう)を
図5に示す。同図において、101はメタルパッケージ、103は金属製の板、104は金属リードを示す。
【0003】
金属リード104は、金属製の板103の貫通穴103aにほう珪酸ガラス等の絶縁材を介して接合され、外部電気回路との間の電気信号の入出力を行う。金属リード104と金属製の板103には複数の貫通孔103aが形成され、それぞれの貫通穴103aに金属リード104が接合される。複数の金属リード104が金属製の板103に固定されることによって、複数の電気信号が入出力される入出力端子が構成される。
【0004】
メタルパッケージ101の側壁には一つの大きな貫通孔101aが形成されている。金属製の板103は、貫通孔101aを塞ぐように、貫通孔101aの周囲にろう付けまたは溶接によって接合される。このようにして従来のパッケージは組み立てられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のパッケージにおいて、メタルパッケージ101の側壁に金属製の板103をろう付けする際に、メタルパッケージ101と金属製の板103とを一定の強度を保つように接合できない場合があった。
【0007】
ろう付けは、金属製の板103とメタルパッケージ101との間にろう材のプリフォーム等を配置し、所定温度の炉内に投入してろう材を溶融させ、その後に除冷してろう材を固化させることによって行なわれる。炉内で溶融したろう材は、金属製の板103とメタルパッケージ101との隙間に濡れ広がり、その後、固化する。ところが、ろう材が金属製の板103とメタルパッケージ101との間の隙間に均等に濡れ広がらない場合、接合強度不足等の不具合を生じる場合がある。
【0008】
従って、本発明は上記不具合に鑑み完成されたものであり、その目的は、入出力端子の接合不良によって不具合を生じにくい電子部品収納用パッケージおよび電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子部品収納用パッケージは、上面に素子を実装するための実装領域を有する基板と、この基板上に前記実装領域を取り囲むように設けられ、内外を貫通する複数の第1貫通孔を有する金属製の枠体と、前記第1貫通孔の位置と一致させて両主面間を貫通するように第2貫通孔が複数形成された金具および前記複数の第2貫通孔にそれぞれ絶縁材を介して挿着された複数の金属製のピン端子から成り、前記複数の第1貫通孔に前記複数のピン端子がそれぞれ挿通されるとともに前記金具の一主面が前記枠体にろう付された入
出力端子とを具備する。そして、前記第1貫通孔の間に前記枠体の内外を貫通する第3貫通孔が配置されているか、または前記第2貫通孔の間に前記金具の両主面を貫通する第4貫通孔が配置されていることを特徴とする。
【0010】
上記電子部品収納用パッケージにおいて、前記3貫通孔または前記第4貫通孔は、前記ピン端子が挿通されている前記第1貫通孔または前記第2貫通孔よりも小径であるのがよい。
【0011】
また、上記電子部品収納用パッケージにおいて、前記第1貫通孔または前記第2貫通孔は一直線上に配置されており、前記第3貫通孔または前記第4貫通孔は前記一直線とは異なる直線上に配置されているのがよい。
【0012】
さらに、上記電子部品収納用パッケージにおいて、前記金具が接合され
る側壁の外
側面または内側面の部位が座刳られているのがよい。
【0013】
本発明の電子装置は、上記構成の電子部品収納用パッケージと、前記実装領域に載置固定されるとともに前記入出力端子に電気的に接続された電子部品と、前記枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電子部品収納用パッケージは、枠体に形成された第1貫通孔の間に第3貫通孔が配置されているか、または、金具に形成された第2貫通孔の間に第4貫通孔が配置されている。これら第3貫通孔または第4貫通孔から入出力端子の接合状況を確認することができるので、入出力端子の接合不良を生じにくい電子部品収納用パッケージを提供することができる。
【0015】
上記電子部品収納用パッケージにおいて、第3貫通孔または第4貫通孔が、ピン端子が挿通されている第1貫通孔または第2貫通孔よりも小径であると、入出力端子の接合強度をより強くする点で好ましい。
【0016】
また、上記電子部品収納用パッケージにおいて、第1貫通孔または第2貫通孔は一直線上に配置されており、第3貫通孔または第4貫通孔は前記一直線とは異なる直線上に配置されていると、第1貫通孔または第2貫通孔を密に形成することができる。
【0017】
さらに、上記電子部品収納用パッケージにおいて、金具が接合される側壁の外側面または内側面の部位が座刳られていると、金具と枠体とを接合する接合材が座刳られている部位に溜められる。よって、接合材を介した金具と枠体との接合強度を向上できる。
【0018】
本発明の電子装置は、上記構成の電子部品収納用パッケージと、実装領域に載置固定されるとともに入出力端子に電気的に接続された電子部品と、枠体の上面に接合された蓋体とを具備したことにより、上記本発明のパッケージを用いた信頼性の高い電子装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
マイクロ波帯やミリ波帯等の高周波半導体素子、半導体レーザ(LD:Lasor Diode)
,フォトダイオード(PD:Photodiode)等の光半導体素子、または電気光学変調器に用いられるニオブ酸リチウム(LN:LiNbO
3)素子等の電気光学結晶を収納するための本発明の電子部品収納用パッケージについて、以下に詳細に説明する。
【0021】
図1は、電子部品としてLD,PD等の光半導体素子またはLN素子等の電気光学結晶を用いる場合のパッケージの実施の形態の一例を示す斜視図である。
図2は
図1のパッケージの入出力端子3部分を分解した分解斜視図である。また、
図3は、
図2のパッケージの入出力端子3が固定された部分を平面視した断面を示す断面図であり、
図3(a)はピン端子5が挿通された第1貫通孔2aが配置されている位置に沿った要部拡大断面図、
図3(b)は第3貫通孔2bが配置されている位置に沿った要部拡大断面図である。
【0022】
以下、
図1,
図2に示すように、LN素子を搭載するLN光変調器用パッケージを例にして説明する。
【0023】
本発明の基体1は、その上側主面にLN素子等の電気光学結晶や、電気光学結晶にバイアス電圧や変調信号を入力するための配線基板等が実装される実装領域を有し、略四角形の形状である。この基体1は、Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金,Cu−W複合材,SUS(ステンレス鋼),SPC(鉄)等の金属材料、Al
2O
3,AlN,3Al
2O
3・2SiO
2等のセラミックス(焼結体)から成る。金属材料から成る場合、例えば、Fe−Ni−Co合金のインゴット(塊)に圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定の形状に製作される。一方、セラミックスから成る場合、その原料粉末に適当な有機バインダや溶剤等を添加混合しペースト状と成し、このペーストをドクターブレード法やカレンダーロール法によってセラミックグリーンシートと成し、しかる後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し、これを複数枚積層し焼成することによって作製される。
【0024】
なお、基体1が金属材料から成る場合、その表面に耐蝕性に優れかつろう材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜5μmのAu層をメッキ法により順次被着しておくのがよい。基体1が酸化腐蝕するのを防止するとともに、基体1の実装領域にLN素子や配線基板、それらを載置する台座を強固に接着固定することができる。一方、基体1がセラミックスから成る場合、LN素子や配線基板、それらを載置する台座等を載置する実装領域に耐蝕性に優れかつろう材との濡れ性に優れる金属、具体的には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜5μmのAu層をメッキ法により順次被着しておくのがよい。基体1の上側主面の実装領域にLN素子や配線基板、それらを載置する台座等を強固に接着固定することができる。
【0025】
枠体2は、基体1の上側主面に実装領域を囲繞するように設けられ、側部に複数の第1および第3貫通孔2a,2bが形成された平面視形状が略四角枠状のものである。この枠体2は基体1と同様の金属またはセラミックスを用いて形成することができる。好ましくはFe−Ni−Co合金から成り、Fe−Ni−Co合金のインゴットをプレス加工や切削加工により所定の枠状となすことによって製作される。また、枠体2の他の側部にはさらに他の貫通孔が形成され、内部に収容するLN素子に光信号を入出力するための光ファイバが挿通固定される筒状の光ファイバ固定部材7が、Agろう等のろう材を介して接合されている。また、内部に収納するLN素子にバイアス電圧を入力する機能を有する他の入出力端子8が嵌着され、接合されている。
【0026】
枠体2の寸法は、パッケージの仕様に応じて決められるが、
図1のパッケージにおいては、例えば縦88mm,幅16mm,高さ5mmの枠状である。なお、本実施形態では、基体1の上側主面外周部に枠体2を接合した例を示したが、これに限らず、基体1と枠体2とを一体に形成した容器としてもよい。この場合、容器の底部が基体1に相当し、容器の側壁が枠体2に相当することになる。
【0027】
入出力端子3は、金具4とピン端子5とピン端子5および金具4の間に介在する絶縁材6とで構成されている。金具4は、枠体2の第1貫通孔2aと略同じ開口形状の直径1.5mm乃至2.5mmの第2貫通孔4aを有する。第2貫通孔4aは、第1貫通孔2aの位置と一致させ、同じ配置で両主面間を貫通するように金具4に複数形成されている。そして、ピン端子5は、第2貫通孔4aを挿通され、第2貫通孔4aの内面に絶縁材6を介して固着されている。入出力端子3は、ピン端子5の一端を枠体2の第1貫通孔2aに挿通させ、金具4の一方主面を第1貫通孔2aの周囲にろう付けすることによって枠体2に固定される。なお、第2貫通孔4aは、中心を第1貫通孔2aの中心と一致させておくと、第2貫通孔4aおよび第1貫通孔2aを通ずるピン端子5における周波数特性を向上することができる。
【0028】
また、枠体2の入出力端子3が接合される部分には、ピン端子5が挿通される第1貫通孔2aの間にピン端子5が挿通されない残余の貫通孔すなわち第3貫通孔2bが形成されている。それぞれの第3貫通孔2bは、隣接する2つの第1貫通孔2aの間、例えば2つの第1貫通孔2aの間の中央に配置される。また、金具4の幅方向においては、金具4が接合される範囲内に配置される。
【0029】
金具4と枠体2とを接合する際は、例えば先ず金具4と枠体2との間にろう材のプリフォームをセットし、ろう材溶融温度に設定された炉内に投入する。すると、溶融したろう材が金具4と枠体2との間の隙間を伝って流れ、その後、徐冷されることによってろう材が固化し、金具4と枠体2とが接合される。接合後に、電子部品収納用パッケージの内側から第3貫通孔2bの底部になる金具4の一方主面のろう材の流れ具合や、第3貫通孔2bから枠体2の内周面に沿ったろう材の流れ具合を目視によって確認することにより、ろう材が第3貫通孔2bのところまで濡れ広がったかどうかが分かる。
【0030】
第3貫通孔2bにより、金具4と枠体2とに隠れて見えない部分のろう付け状況を確認することができ、接合不良のものを選別することができる。さらに、第3貫通孔2bは、金具4の一方主面を枠体2に接合する際の余剰のろう材の排出口として機能する。ろう材が第3貫通孔2bの内周面まで濡れ広がるようにすると、接合強度を向上できるという点でも好ましい。
【0031】
また、第3貫通孔2bは、金具4の一方主面と枠体2との接合部に残存ずる気体の排出口として機能する。なお、ろう材にはペースト状のものを使用してもよい。この場合第3貫通孔2bはペースト状ろう材のフラックス等から発生するガスを排出する孔として機能させることも可能である。ただし、ガスはろう材の流れを阻害するので、ガスを発生しないろう材を用いる方がよい。
【0032】
ろう材の存在を確認できればよいので、第3貫通孔2bの直径は、第1貫通孔2aの直径よりも小さくてよい。一例として、第1貫通孔2aの直径は1.9mm、第3貫通孔2bの直径は0.3mm程度である。第3貫通孔2bの直径が小さいほうが、金具4と枠体2との接合強度を確保するためにも好ましい。ろう材は、上記のように第3貫通孔2bの内周面から開口まで濡れ広がることもあり、開口から枠体2の内周面まで濡れ広がることもある。従って、入出力端子3を枠体2に接合した後に、電子部品収納用パッケージの内側から第3貫通孔2bやその周辺におけるろう材の流れ具合を目視によって確認すること
により、枠体2と入出力端子3とがろう材によって強固に接合されているかどうかを確認できる。
【0033】
また、第3貫通孔2bは、開口に向けて直径が大きくなるような形状にすると、電子部品収納用パッケージの内側からのろう付け状態の確認がより容易になる。
【0034】
第1貫通孔2aおよび第3貫通孔2bは、例えば
図1,
図2,
図3に示すように、隣接する2つの第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線より上方位置に第3貫通孔2bが配置される。
図4(a)は、このように第1貫通孔2a,第3貫通孔2bが配置された入出力端子3が接合される部分の枠体2を正面図で示すものである。このように第1貫通孔2aおよび第3貫通孔2bを配置すると、第1貫通孔2aの間隔を密に配置することができる。また、第1貫通孔2aと第3貫通孔2bとの間隔を広げることができる。その結果、入出力端子3が接合される接合部における枠体2の剛性を高めることができ、枠体2の側壁および第1貫通孔2aの変形を抑制できる。
【0035】
この他にも、
図4(b)に示すように2つの第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線の下方位置に配置してもよいし、第1貫通孔2aを多数並べて配置する場合は、
図4(c)に示すように、それぞれ隣り合う第3貫通孔2bを直線の上方と下方に互い違いに配置してもよい。第3貫通孔2bを
図4(b)のように配置することによっても第1貫通孔2aの間隔を密に配置することができる。
【0036】
また、第3貫通孔2bを
図4(c)のように配置すると、第1貫通孔2aの間隔を密に配置することができる上に、枠体2と入出力端子3とを接合するろう材の流れ具合を確認する際に、隣接する2つの第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線の上方位置もしくは下方位置に偏ることなく、第3貫通孔2bを介してろう材の流れ具合を確認できる。よって、枠体2と入出力端子3との接合性を向上することができる。
【0037】
さらに、
図4(d)に示すように、第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線の上下位置にそれぞれ第3貫通孔2bを配置してもよく、この場合は、上記と同様に枠体2と入出力端子3とを接合するろう材の流れ具合を確認する際に、隣接する2つの第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線の上方位置もしくは下方位置に偏ることなく、第3貫通孔2bを介してろう材の流れ具合を確認することができる。さらに、枠体2と入出力端子3との接合部に残存ずる空気の排出口、および余剰のろう材の排出口として機能させ易くできる。
【0038】
また、
図4(e)に示すように、第1貫通孔2aの中心を結ぶ直線上に第3貫通孔2bを配置してもよい。この場合は、2つの第1貫通孔2aを迂回して、両第1貫通孔2aの間までろう材が濡れ広がっているかを確認することができる。なお、言うまでもないが、第1貫通孔2a,第3貫通孔2bは必ずしも横一列の直線上に配置する必要はなく、必要に応じて、上下互い違いにジグザク状に配置したり、複数列に配置したりしてもよい。
【0039】
入出力端子3の金具4は、例えばFe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成り、プレス加工や切削加工により、所定形状に加工される。また、表面には厚さ0.5〜9μmのNi層と厚さ0.5〜5μmのAu層をメッキ法により順次被着しておくのがよい。入出力端子3は、例えばピン端子5の配列方向に垂直な方向の高さは3mm、ピン端子5の配列方向に沿った幅は18mmであるが、パッケージの仕様および寸法に応じて適宜の大きさとされる。
【0040】
図1,
図2,
図3に示す金具4は厚さが2mm乃至4mm程度とされている。従って第2貫通孔4aの長さは比較的長い。この第2貫通孔4aにピン端子5が挿通されて絶縁材を介して固定されることによって、同軸線路が形成される。高周波線路の接続方法に応じ
て、
図1,
図2,
図3に示すようにピン端子5を第2貫通孔4aの長さよりも短くし、枠体2の外側において、ピン端子5の先端が第2貫通孔4aの開口の内側に配置されるようにしてもよい。もちろん、必要に応じてピン端子5の先端が第2貫通孔4aの開口の外側に突出するようにしてもよい。
【0041】
また、上記例では、入出力端子3が接合される部位の枠体2の厚さは0.1mm乃至0.5mm程度であり、金具4の厚さが枠体2の厚さよりも厚い。そこで、第3貫通孔2bが枠体2と入出力端子3との接合部に設けられている。枠体2の方が金具4よりも薄く、第3貫通孔2bの長さが短くなるので、ろう材の状況を確認しやすい。金具4の厚さが枠体2よりも薄い場合は、第3貫通孔2bに代えて、金具4の側の第2貫通孔4aの間に残余の貫通孔となる第4貫通孔(不図示)を設けてもよい。
【0042】
さらに、
図1,
図2,
図3に示す実施形態においては、入出力端子3が接合される枠体2の外側部分に座刳り2cを設け、この座刳り2cの内側に金具4を嵌着するように入出力端子3が枠体2に接合されている。このように枠体2に座刳り2cを設け、この内側に金具4を嵌着するように入出力端子3を接合すれば、入出力端子3の位置決めが容易になる。また、入出力端子3を枠体2に接合する際に、ろう材等の接合材が座刳り2cに溜められる。よって、枠体2と入出力端子3との間に接合材を設け易くできる。
【0043】
なお、座刳り2cに溜められる余剰な接合材は、第3貫通孔2bを介して枠体2の内側に排出される。余剰な接合材(ろう材)を排出するためにも、第3貫通孔2bを細径とし、ろう材の表面張力によってろう材が開口まで濡れ広がるようにしておくのがよい。
【0044】
枠体2の座刳り2cは、枠体2の外側ではなく、内側に設けてもよい。この場合は、枠体2の外側からろう付け状況を確認することができる。また、座刳り2cは、ろう材のプリフォームの設置を容易にしたり、入出力端子3を挿入し易くしたりする等の理由で、開口側に向けて次第に幅が広くなる多段形状にしてもよい。
【0045】
ピン端子5は、入出力端子3の第2貫通孔4aに絶縁材を介して接合され、外部電気回路とパッケージ内部のLN素子等の駆動電気信号の入出力を行うものである。ピン端子5は、例えば直径0.1mm乃至0.5mm、長さ1mm乃至10mmのFe−Ni−Co合金等の金属線材から成る。絶縁材には、ホウケイ酸ガラス,リン酸ガラス,ケイ酸ガラス等の低融点ガラス材、Al
2O
3,AlN,3Al
2O
3・2SiO
2等のセラミックス材、プラスチックス等の各種絶縁材を用いることができる。
【0046】
その他、パッケージには、光ファイバが接続される光ファイバ固定部材7が接合される。光ファイバ固定部材7は、Fe−Ni−Co合金やFe−Ni合金等の金属から成る。光ファイバ固定部材7は、例えばFe−Ni合金のインゴット(塊)をプレス加工や切削加工により所定の筒状に製作される。
【0047】
この光ファイバ固定部材7は、光ファイバ(図示せず)を挿通可能な貫通孔を有する筒体であり、枠体2内側の端部がサファイアやガラス等の透光性材料から成る窓部材で塞がれており、外側端部から光ファイバの一端が挿通固定されたり、光ファイバの一端が枠体2の内側まで挿入されてLN素子と光学的に接続され、光ファイバが光ファイバ固定部材7に固定されたりする。また、光ファイバは、その先端部に金属製フランジが設けられており、その金属製フランジをYAGレーザ溶接法等で光ファイバ固定部材7の外側端部に溶接することにより枠体2に固定される。これにより、光ファイバを介して内部に収容するLN素子や光半導体素子等の光素子と外部との光信号の授受が可能となる。
【0048】
また、枠体2には他の入出力端子8も接合されている。この入出力端子8は、例えばL
N変調器に収納されるLN素子にバイアス電圧の入力を行なう機能を有したり、光半導体装置に収納される光半導体素子や駆動回路にDC電圧の入力を行う機能を有したりする。入出力端子8は、セラミックスや低融点ガラス等の絶縁材を貫通させて金属ピンが設けられている。
【0049】
このようにして構成されたパッケージは、基体1の実装領域1aに例えばLN素子が台座を介して接着固定され、LN素子の電極をボンディングワイヤや配線基板等を介してピン端子5や入出力端子8に電気的に接続する。次に、枠体2の光ファイバ固定部材7に光ファイバの一端を挿入するとともにLN素子と光学的に接続し、光ファイバを半田等の接着剤またはYAG溶接等によって接合して、光ファイバを枠体2に固定する。
【0050】
最後に、枠体2の上面に蓋体を接合してLN素子を気密に収容することによって、最終製品としてのLN光変調器となる。そして、光ファイバを介して内部に収容するLN素子にて光信号が変調され、この変調された光信号が出力されるLN変調器もしくは電子装置となる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。