(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の表面の全体における前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層と前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅が、該合計厚さの算術平均値の±50%以内である、
ことを特徴とする請求項4に記載の冷却器。
前記所定の表面の酸化皮膜の上に接着性プライマー層を設けた後に、前記熱圧着部を形成することによって、接合部材と、前記冷媒入口部と、前記冷媒出口部とが、一体に形成されたことを特徴とする請求項4または5に記載の冷却器。
金属からなる中空状の容器の第一の開口部に熱可塑性樹脂からなる冷媒入口部を配置するとともに前記容器の第二の開口部に熱可塑性樹脂からなる冷媒出口部を配置した状態で、前記容器、前記冷媒入口部および前記冷媒出口部を加熱圧着させ、前記第一の開口部と前記冷媒入口部との間に熱圧着部を形成するとともに、前記第二の開口部と前記冷媒出口部との間に熱圧着部を形成する工程を備える、
ことを特徴とする冷却器の製造方法。
前記熱圧着部を形成する工程では、前記容器を構成する第一の部材と前記冷媒入口部及び前記冷媒出口部が一体に形成された接合部材の一方の面との間に熱圧着部を形成するとともに、前記容器を構成する第二の部材と前記接合部材のもう一方の面との間に熱圧着部を形成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の冷却器の製造方法。
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程および多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程では、前記所定の表面の全体における前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層と前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅を、該合計厚さの算術平均値の±50%以内とする、
ことを特徴とする請求項11に記載の冷却器の製造方法。
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程および多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程を実施した後、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面に接着性プライマー層を形成する工程をさらに備え、
前記接着性プライマー層を形成する工程を実施した後、前記熱圧着部を形成する工程を実施する、
ことを特徴とする請求項11または12に記載の冷却器の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜特許文献3に記載の技術においては、冷却器の製造コストの上昇を抑えられる。しかしながら、冷却器の出入口部の形状自由度を満足することができなかった。このため、冷却器の製造コスト、出入口部の形状自由度の両方を十分に満足させることが難しかった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、製造コストの上昇を抑制しつつ、出入口部の形状の自由度が向上した冷却器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る冷却器は、
金属からなる中空状の容器と、
冷媒入口部と、
冷媒出口部と、
を備え、
前記容器が第一の開口部および第二の開口部を備え、
前記冷媒入口部および前記冷媒出口部が熱可塑性樹脂からなり、
前記第一の開口部と前記冷媒入口部との間に熱圧着部を有し、
前記第二の開口部と前記冷媒出口部との間に熱圧着部を有する、
ことを特徴とする。
【0009】
さらに接合部材を備え、
前記容器が、第一の部材と第二の部材とからなり、
前記接合部材と、前記冷媒入口部と、前記冷媒出口部と、が一体に形成され、
前記第一の部材と前記接合部材の一方の面との間に熱圧着部を有し、
前記第二の部材と前記接合部材のもう一方の面との間に熱圧着部を有してもよい。
【0010】
さらに、前記接合部材と接するように設けられた冷媒の流路壁を備えてもよい。
【0011】
前記容器の所定の表面が酸化皮膜を有し、
前記酸化皮膜が、
前記酸化皮膜の表面側に形成された20nm以上500nm以下の厚さの多孔性アルミニウム酸化皮膜層と、
前記酸化皮膜の素地側に形成された3nm以上30nm以下のバリア型のアルミニウム酸化皮膜層と、
を備え、
前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層が、直径5nm以上30nm以下の孔を備えてもよい。
【0012】
前記所定の表面の全体における前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層と前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅が、該合計厚さの算術平均値の±50%以内であってもよい。
【0013】
前記所定の表面の酸化皮膜の上に接着性プライマー層を設けた後に、前記熱圧着部を形成することによって、接合部材と、前記冷媒入口部と、前記冷媒出口部とが、一体に形成されていてもよい。
【0014】
前記容器の外面の一部が発熱体接続部を有し、
前記外面のうち、前記発熱体接続部が露出され、
前記外面の残りの面の全体が樹脂で覆われてもよい。
【0015】
射出成形によって前記冷却器全体が樹脂により覆われた後、前記発熱体接続部を覆う樹脂のみが除去されることによって前記発熱体接続部が露出されてもよい。
【0016】
本発明の第2の観点に係る冷却器の製造方法は、
金属からなる中空状の容器の第一の開口部に熱可塑性樹脂からなる冷媒入口部を配置するとともに前記容器の第二の開口部に熱可塑性樹脂からなる冷媒出口部を配置した状態で、前記容器、前記冷媒入口部および前記冷媒出口部を加熱圧着させ、前記第一の開口部と前記冷媒入口部との間に熱圧着部を形成するとともに、前記第二の開口部と前記冷媒出口部との間に熱圧着部を形成する工程を備える、
ことを特徴とする。
【0017】
前記熱圧着部を形成する工程では、前記容器を構成する第一の部材と前記冷媒入口部及び前記冷媒出口部が一体に形成された接合部材の一方の面との間に熱圧着部を形成するとともに、前記容器を構成する第二の部材と前記接合部材のもう一方の面との間に熱圧着部を形成してもよい。
【0018】
前記容器の所定の表面に、3nm以上30nm以下のバリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程と、
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層の表面に、20nm以上500nm以下の厚さの多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程と、を備え、
前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程では、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層に直径5nm以上30nm以下の孔を形成し、
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程および多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程を実施した後、前記熱圧着部を形成する工程を実施してもよい。
【0019】
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程および多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程では、前記所定の表面の全体における前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層と前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅が、該合計厚さの算術平均値の±50%以内としてもよい。
【0020】
前記バリア型のアルミニウム酸化皮膜層を形成する工程および多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する工程を実施した後、前記多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面に接着性プライマー層を形成する工程をさらに備え、
前記接着性プライマー層を形成する工程を実施した後、前記熱圧着部を形成する工程を実施してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、出入口部の形状の自由度が向上した冷却器およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の冷却器について説明する。本実施の形態では、本発明の冷却器が水冷冷却器(ヒートシンク)の場合を例に説明する。
【0024】
本発明の実施形態に係る水冷冷却器100は、
図1の斜視分解図および
図2の斜視図に示すように、アルミニウム合金からなる中空状の容器10(第一のアルミニウム容器11(第一の部材)と第二のアルミニウム容器12(第二の部材)とが組み合わされたもの)と、冷媒入口部20と、冷媒出口部22と、を備えている。容器10は、第一の開口部14および第二の開口部16を備えている。第一の開口部14は、切り欠き14aと切り欠き14bとが組み合わされたものであり、第二の開口部16は、切り欠き16aと切り欠き16bとが組み合わされたものである。冷媒入口部20および冷媒出口部22が熱可塑性樹脂からなる。そして、第一の開口部14と冷媒入口部20との間に熱圧着部(図示せず)を有し、第二の開口部16と冷媒出口部22との間に熱圧着部(図示せず)を有する。
【0025】
すなわち、水冷冷却器100は、冷却冷媒の入口側と出口側の縁に2ヶ所の切り欠き(切り欠き14bおよび切り欠き16b)が設けられた第一のアルミニウム容器11と、冷却冷媒の入口側と出口側の縁に2ヶ所の切り欠き(切り欠き14aおよび切り欠き16a)が設けられた第二のアルミニウム容器12と、その縁に沿った枠状の形状でアルミニウム合金製の容器10の切り欠き部(第一の開口部14および第二の開口部16)に嵌められた、熱可塑性樹脂からなるパイプ状の冷媒入口部20および冷媒出口部22を備える。また、冷媒入口部20および冷媒出口部22は、熱可塑性樹脂からなる接合部材24と一体に形成され、部材27を構成する。また、接合部材24の上面(一方の面)と第一のアルミニウム容器11の下面との間に熱圧着部を有し、接合部材24の下面(もう一方の面)と第二のアルミニウム容器12の上面との間に熱圧着部を有する。
【0026】
本発明の実施形態に係る第一のアルミニウム容器11および第二のアルミニウム容器12を構成するアルミニウム合金として、例えば、表面処理を施したアルミニウム合金(以下、表面処理アルミニウム材)が用いられる。
【0027】
本発明の実施形態に係る表面処理アルミニウム材は、熱可塑性樹脂からなる部材27(冷媒入口部20、冷媒出口部22および接合部材24)と接するアルミニウム材の表面に酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜は、表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と、素地側(アルミニウム材の中心側)に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層と、からなる。多孔性アルミニウム酸化皮膜層には小孔が形成されている。また本発明の実施形態に係る熱可塑性樹脂は、上述の多孔性アルミニウム酸化皮膜層に浸透して硬化することにより、表面処理アルミニウム材と強固に接合されている。
【0028】
さらに、表面処理アルミニウム材の酸化皮膜(多孔性アルミニウム酸化皮膜層)上には、接着性プライマー層が形成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂と接着性プライマー層とが相溶することで、部材27と表面処理アルミニウム材とがより強固に接合される。
【0029】
A.アルミニウム材
本発明の実施形態に用いられるアルミニウム材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が好適に用いられる。アルミニウム合金の成分には特に制限は無く、JISに規定される合金をはじめとする各種合金を使用することができる。アルミニウム材の形状としては、例えば、平板状のものが好適に用いられる。アルミニウム材の厚さ(板厚)は、用途に応じて適宜選択することができるが、軽量化と成形性の観点から、例えば、0.05mm以上2.0mm以下の厚さがより好ましく、0.1mm以上1.0mm以下の厚さがより一層好ましい。
【0030】
B.酸化皮膜
本発明の実施形態に用いられるアルミニウム材の表面には、表面側に形成された多孔性アルミニウム酸化皮膜層と、素地側に形成されたバリア型アルミニウム酸化皮膜層と、が設けられている。すなわち、アルミニウム材の表面には、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との二層によって構成される酸化皮膜が設けられている。多孔性アルミニウム酸化皮膜層が強力な接着性や密着性を発揮する一方で、バリア型アルミニウム酸化皮膜層によって、アルミニウム酸化皮膜層全体とアルミニウム素地とを強固に結合する。
【0031】
B−1.多孔性アルミニウム酸化皮膜層
多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、20nm以上500nm以下とすることが好ましい。20nm以上とすることによって厚さが十分となり、後述する小孔構造の形成を十分に行うことができ、十分な接着力や密着力を得ることができる。また、500nm以下であることによって、多孔性アルミニウム酸化皮膜層自体の凝集破壊を抑制することができ、十分な接着力や密着力を維持することができる。多孔性アルミニウム酸化皮膜層は、例えば、ピロリン酸ナトリウム等を主成分とするアルカリ水溶液を電解溶液として用いて形成される。電解溶液のアルカリ成分濃度は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、0.5モル/リットル等が好適に用いられる。電解に用いられる電流は、例えば、交流電流が好適に用いられる。多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、例えば、TEM(透過型電子顕微鏡)断面観察等によって測定される。
【0032】
多孔性アルミニウム酸化皮膜層は、その表面から深さ方向に向かう小孔を備える。小孔の直径は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、5nm以上30nm以下とすることが好ましく、10nm以上20nm以下とすることがより好ましい。小孔は、熱可塑性樹脂や接着剤などとアルミニウム酸化皮膜との接触面積を増大させ、その接着力や密着力を増大させる効果を発揮するものである。小孔の直径が5nm以上であることによって、十分な接触面積を得ることができ、十分な接着力や密着力を得ることができる。また、小孔の直径が30nm以下であることによって、多孔性アルミニウム酸化皮膜層全体の脆化および凝集破壊が抑制され、十分な接着力や密着力を維持することができる。本発明の実施形態においては、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径が上記の好ましい範囲およびより好ましい範囲となるように、多孔性アルミニウム酸化皮膜層を形成する際の電解溶液のpHや温度が適宜選択されることが好ましい。例えば、以下に限定されるものではないが、電解溶液のpHは9以上13以下、電解溶液の温度は35℃以上85℃以下が、より好適に用いられる。多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径は、例えば、TEM断面観察等によって測定される。
【0033】
多孔性アルミニウム酸化皮膜層の表面積に対する小孔の全孔面積の比については、特に制限されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択される。多孔性アルミニウム酸化皮膜層の見かけ上の表面積(表面の微小な凹凸等を考慮せず、長さと幅の乗算で表される面積)に対する小孔の全孔面積の比は、25%以上75%以下が好ましい。25%以上であることによって、十分な接触面積を確保することができ、十分な接着力や密着力を得ることができる。また、75%以下であることによって、多孔性アルミニウム酸化皮膜層全体の脆化および凝集破壊が抑制され、十分な接着力や密着力を維持することができる。
【0034】
B−2.バリア型アルミニウム酸化皮膜層
バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、3nm以上30nm以下が好ましい。3nm以上であることによって、介在層として多孔性アルミニウム酸化皮膜層とアルミニウム材(素地)との結合に十分な結合力を付与することが可能となり、高温・多湿等の過酷な環境においても十分な結合力を保つことができる。また、30nmを超えることによって、その緻密性ゆえにバリア型アルミニウム酸化皮膜層が凝集破壊し易くなり、かえって接着力や密着力が低下する。バリア型アルミニウム酸化皮膜層は、例えば、ピロリン酸ナトリウム等を主成分とするアルカリ水溶液を電解溶液として用いて形成される。電解溶液のアルカリ成分濃度は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、0.5モル/リットル等が好適に用いられる。電解に用いられる電流は、例えば、交流電流が好適に用いられる。バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは、例えば、TEM断面観察等によって測定される。
【0035】
B−3.酸化皮膜の全体厚さの変動幅
酸化皮膜全体の厚さ、すなわち、B−1に記載の多孔性アルミニウム酸化皮膜層とB−2に記載のバリア型アルミニウム酸化皮膜層との厚さの合計は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択される。例えば、以下に限定されるものではないが、アルミニウム材のいかなる場所で測定しても、その変動幅が±50%以内であることがより好ましい。すなわち、アルミニウム材表面における任意の複数箇所(10箇所以上が望ましく、これら各箇所においても10点以上の測定点とするのが望ましい)で測定された酸化皮膜全体厚さの算術平均厚さをT(nm)とした場合、これら複数の測定箇所の全てにおける酸化皮膜全体厚さが(0.5×T)〜(1.5×T)の範囲にあることがより好ましい。
【0036】
上述の酸化皮膜全体厚さが(0.5×T)以上であることによって、その箇所の酸化皮膜がその周囲より極端に薄くなる箇所の発生が抑制され、接着すべき接着剤や密着すべき熱可塑性樹脂などと、酸化皮膜との間の隙間の発生を防ぐことが可能となる。この結果、十分な接触面積を確保することができ、十分な接着力や密着力を得ることができる。また、(1.5×T)以下であることによって、その箇所の酸化皮膜がその周囲より極端に厚くなる箇所の発生が抑制され、密着すべき樹脂層などからの応力の集中が抑制され、酸化皮膜の凝集破壊による接着力や密着力の低下を防ぐことができる。
【0037】
なお、酸化皮膜の全体厚さが薄い箇所や厚い箇所では、周囲と比較して光学的特性が異なるため、茶褐色や白濁色といった色調の変化として目視可能な場合がある。
【0038】
C.接着性プライマー層
接着性プライマー層は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、特開2010−274545号公報、特開2012−111906号公報、特開2011−213959号公報に記載の接着剤層などが好適に用いられる。例えば、特開2010−274545号公報に記載されているように、無水マレイン酸で変性したポリプロピレン樹脂(変性PP樹脂)を70〜99質量%と、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体及び/又はスチレン−αオレフィン共重合体を1〜30質量%とを混合してなる接着剤を用いて接着性プライマー層が形成される。また、特開2012−111906号公報に記載されているように、水酸基含有ポリエステル樹脂の100重量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂のうちの少なくとも1種を1〜400重量部の割合で用い、且つ硬化剤を0〜100重量部の割合で用いて、それらを溶剤に配合せしめ、かかる水酸基含有ポリエステル樹脂を溶解させ、更に該ポリブチレンテレフタレート樹脂及び/又はポリフェニレンサルファイド樹脂を溶解乃至は微細に分散させてなる状態に調製されている塗料を用いて接着性プライマー層が形成される。さらに、特開2011−213959号公報に記載されているように、80重量%までのポリブチレンテレフタレート樹脂と20重量%以上の水酸基含有ポリエステル樹脂とを組み合わせ、それら2種の樹脂と共に、水酸基含有ポリエステル樹脂に対して0〜50重量%の割合となる硬化剤を溶剤に配合せしめて、かかる水酸基含有ポリエステル樹脂を溶解させ、更にポリブチレンテレフタレート樹脂を溶解乃至は微細に分散させてなる状態に調製されている塗料を用いて接着性プライマー層が形成される。
【0039】
接着性プライマー層の厚さは、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。接着性プライマー層の厚さが0.1μm未満のときには、十分に接合強度向上効果を得られない可能性がある。接着性プライマー層の厚さが10μmを超えると、厚さがばらつき、不均一なプライマー層となる可能性がある。
【0040】
接着性プライマー層の塗布工程は、酸化皮膜層を形成した後から、熱可塑性樹脂を接合するまでの間であればいつであってもよい。酸化皮膜層を形成する前に接着性プライマー層を塗布すると、適切な酸化皮膜層の形成を阻害する可能性がある。接合時に接着性プライマー層が安定して存在していないと、接合強度の向上が阻害され、効果を十分に得られにくくなる可能性がある。
【0041】
冷媒入口部20、冷媒出口部22および接合部材24を構成する熱可塑性樹脂は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択される。熱可塑性樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイドなどが好適に用いられる。
【0042】
次に、水冷冷却器100の組み立て方法(冷却器の製造方法)を説明する。
【0043】
まず、第二のアルミニウム容器12の上に、冷媒入口部20および冷媒出口部22および接合部材24が一体化された部材27を載せる。この時、冷媒入口部20の位置を切り欠き14aの位置に合わせ、冷媒出口部22の位置を切り欠き16aの位置に合わせる。
【0044】
次に、部材27の上に第一のアルミニウム容器11を載せる。この時、第一のアルミニウム容器11と第二のアルミニウム容器12とが組み合わせた時に内部に中空部分を有するように、第一のアルミニウム容器11を配置する。さらに、切り欠き14bの位置を冷媒入口部20の位置に合わせ、切り欠き16bの位置を冷媒出口部22の位置に合わせる。
【0045】
ついで、第一のアルミニウム容器11および第二のアルミニウム容器12の両側から(
図1中、上下方向に)、加熱して圧着する。これにより、第一のアルミニウム容器11の下面と、接合部材24の上面、冷媒入口部20の上側の表面および冷媒出口部22の上側の表面とが熱圧着され、同様に、第二のアルミニウム容器12の上面と、接合部材24の下面、冷媒入口部20の下側の表面および冷媒出口部22の下側の表面とが熱圧着されて、水冷冷却器100が組み立てられる。熱圧着の温度および圧力は、本発明の実施形態の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、熱圧着の温度としては、例えば、冷媒入口部20、冷媒出口部22および接合部材24を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも10℃〜50℃高い温度が好適に用いられる。
【0046】
最後に、水冷冷却器100の発熱体接続部(
図1および
図2に図示せず)に発熱体を実装する。
【0047】
以下、本発明の実施形態に係る水冷冷却器100において、製造コストの上昇を抑制しつつ、出入口部の形状自由度を向上することが可能な理由を説明する。
【0048】
一般に、ロウ付けにより形成される水冷冷却器では、各部材の表面の酸化膜除去のためにフラックス塗布、乾燥などの前処理を行った後でロウ付けを行い、その後にフラックスを除去している。このため、製造工程が多く、製造コストが上昇する傾向があった。また、ロウ付け工程において、高温(例えばアルミニウム部材のロウ付けでは600℃程度)になるため、熱歪などによる形状の変化がある。このため、形状の精度の高い冷却器を作るには予め形状の変化を見込んでおくなどの必要性があった。さらに、出入口部の形状については、ロウ付け工程ではロウ付け部分に適切な荷重がかかる必要があり、治具等により荷重をかけるため形状に一定の制約があった。
【0049】
一方、本発明の実施形態に係る水冷冷却器100では、酸化膜を除去する必要がないため、フラックス塗布、乾燥などの前処理、フラックス除去などの後処理が必要なくなり、製造コストの上昇を抑制できる。また、熱圧着する際の温度がロウ付け工程に比べて低くなるため、熱歪などによる形状の変化を小さくすることができる。さらに、熱可塑性樹脂からなる冷媒入口部20および冷媒出口部22が、熱可塑性樹脂からなる接合部材24と一体化しているため、冷媒入口部20および冷媒出口部22の形状自由度を高めることができる。
【0050】
さらに、表面に処理をしたアルミニウム材を使用することで、接合強度が高くなり、高い内部圧力に耐えることができる。
【0051】
さらに、接着性プレコート層を形成することで、接合強度を向上させることができる。
【0052】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る水冷冷却器100は、製造コストの上昇を抑制しつつ、出入口部の形状自由度の向上を実現することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記実施形態においては、水冷式の水冷冷却器100について説明したが、液体冷媒として、水以外にも、例えば、アルコール類などの他の液体冷媒を用いてもよい。
【0054】
また、
図3の斜視分解図に示されるように、複数の流路壁26が設けられ、冷却媒体用の流路があらかじめ付与された状態の接合部材24を用いて水冷冷却器200を組み立ててもよい。接合部材に冷却流路があらかじめ付与されていることによって、第一のアルミニウム容器11、第二のアルミニウム容器12、冷媒入口部20、冷媒出口部22および接合部材24を熱圧着する際に、同時に液体冷媒用の流路も形成することが可能となり、高い冷却性能を有する水冷冷却器を低コストで製造することが可能になる。
【0055】
また、組み立てられた水冷冷却器100および水冷冷却器200の全体(発熱体接続部以外の箇所)を樹脂で覆ってもよい。こうすることで、水冷冷却器100および水冷冷却器200が、より一層高い内部圧力にまで耐えることができる。さらに、水冷冷却器100および水冷冷却器200の全体(発熱体接続部以外の箇所)が樹脂で覆われることによって、冷却媒体の漏れを確実に防ぐことができる。水冷冷却器100および水冷冷却器200の全体を樹脂で覆う方法は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、射出成形法が用いられる。また、
図4に示すように、射出成形後、発熱体接続部30の部分のみ樹脂40を除去し、発熱体接続部30を露出することによって、より一層高い内部圧力に耐えることができつつ、水冷冷却器100および水冷冷却器200の冷却性能を高く維持することができる。なお、
図4は、水冷冷却器100を上から見た時の部分模式図である。発熱体接続部30の部分のみ樹脂40を除去する方法は、本発明の効果を奏する範囲で適宜選択され、以下に限定されるものではないが、例えば、常法を用いて、破線状の切り込みが付与されるようにして水冷冷却器を樹脂の射出成形を用いて覆い、射出成形後に破線状の切り込みから発熱体接続部30の部分のみ、樹脂を除去する方法などが用いられる。
【0056】
上記実施形態においては、容器10が第一のアルミニウム容器11および第二のアルミニウム容器12を備え、冷媒入口部20と冷媒出口部22とが熱可塑性樹脂からなる接合部材24と一体に形成されている場合について説明したが、例えば、容器10が中空状の一部材であったり、冷媒入口部20と冷媒出口部22とが別部材であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、第一のアルミニウム容器11および第二のアルミニウム容器12を構成するアルミニウム合金として、アルミニウム材の表面に酸化皮膜が形成されている場合について説明したが、例えば、酸化皮膜が形成されていないアルミニウム材であってもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例の実施例1〜33ではアルミニウム材の表面に酸化皮膜層(多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層)が形成されている。また、実施例34〜44では、形成された酸化皮膜層上に、さらに接着性プライマー層が形成されている。
【0059】
(サンプル作製および測定)
アルミニウム材として、縦200mm×横400mm×板厚1.0mmのJIS5052−H34合金板を使用した。このアルミニウム合金板を一方の電極に用い、対電極には縦300mm×横500mm×板厚2.0mmの平板形状を有する黒鉛板又はチタン板を用いた。アルミニウム合金板の片面を対電極に対面させ、この対面した片面表層に、表面側の多孔性アルミニウム酸化皮膜層と素地側のバリア型アルミニウム酸化皮膜層が形成されるように、両電極を配置した。ピロリン酸ナトリウムを主成分とするアルカリ水溶液を、電解溶液として用いた。溶存アルミニウム濃度はICP発光分析装置(島津製作所製)を用いて測定し、所定の濃度とした。電解溶液のアルカリ成分濃度は、0.5モル/リットルとするとともに、塩酸および水酸化ナトリウム水溶液(いずれも濃度0.1モル/リットル)によってpHの調整を行なった。表1に示す電解条件にて、交流電解処理を実施して、多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層が形成された実施例1〜33の供試材を作製した。
【0060】
【表1】
【0061】
以上のようにして作製した供試材に対し、TEMにより断面観察を実施した。まず、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ、ならびに、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径を測定するために、ウルトラミクロトームを用いて供試材から実施例1〜33の断面観察用薄片試料を作製した。次いで、この薄片試料において観察視野(1μm×1μm)中の任意の10点を選択して、TEM断面観察により、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さ、ならびに、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径を各点で測定した(第1測定)。これらの厚さと直径については、10点の測定値の算術平均値を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
次いで、供試材全体の表面における多孔性アルミニウム酸化皮膜とバリア型アルミニウム酸化皮膜の合計厚さの変動を調べるために第2測定を行った。この第2測定では、第1測定に供した供試材から、第1測定で作製した薄片試料とは別個に、かつ、同様にして、ウルトラミクロトームにより薄片試料を更に9個作製した。そして、これら9個の薄片試料の各々についても第1測定と同様に、TEM断面観察によって、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さを10点測定した。そして、全部で10個の実施例1〜33の薄片試料における全100点の多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さの測定結果から、各点における多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さを足し算して合計厚さを求めて各点における酸化皮膜厚さとした。このようにして求めた100点の酸化皮膜厚さにおける最大値、最小値、ならびに、算術平均値を表2に示す。さらに、これら100点の酸化皮膜厚さの変動幅が算術平均値の±50%以内にあるか否かについて以下のように算出した。算術平均値をT(nm)とした場合に、最大値および最小値を含めた全ての合計厚さが(0.5×T)〜(1.5×T)の範囲にある場合を「優」(○)とし、範囲にない場合を「可」(△)として、表2に示す。
【0064】
次に、上記供試材を射出成形金型内に挿入し、表3に示す樹脂を、表4に示す条件にて日本製鋼所社製110ton射出成形機を用いて射出成形した。
【0065】
前述のように、実施例34〜38では、多孔性アルミニウム酸化皮膜層上に接着性プライマー層が形成されている。実施例34〜38では実施例1の供試材と同じ方法で、実施例39〜44では22、24、25、28、31、32の供試材と同じ方法で、表面に多孔質アルミニウム酸化皮膜層を形成させたアルミニウム材の表面に、塗料をバーコーターにて、膜厚1μmとなるように塗装した後、オーブンにて最高到達温度260℃となるように30秒間焼付けた。
【0066】
塗料の作製にあたっては、まず、水酸基含有ポリエステル樹脂(バイロンGK880)100重量部に対してポリフェニレンサルファイド樹脂(トレリナ(60μm))1重量部となるように加え、シクロヘキサノンにて塗料中の固形分重量が25%となるように加えた後加温することによって樹脂を溶解させ、冷却することで分散液を得た。このようにして得られた分散液に、さらにブロック化ポリイソシアネート化合物による硬化剤(ベスタナットB1379)を撹拌しながら、11.1重量部混合し、接着性プライマー層を形成するための塗料を得た。
【0067】
表3に、樹脂の流動状態を示すメルトマスフローレート(MFR)とその測定条件を示す。メルトマスフローレート(MFR)は東洋精機製メルトインデックサを用いて測定した。ここで、測定条件が、例えば、300℃/12Nとは、JIS−K7210に準拠し、300℃の温度にて12Nの荷重をかけたことを意味する。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
射出成形の形状として、各水準につき2種類を作製した。すなわち、後述する接合強度試験用として、幅25mm、長さ100mmに切断した供試材の表面全体に厚さ1mmとなる樹脂を射出成形したものを作製した。また、各水準の任意位置を3箇所切り出し、上述の酸化皮膜観察と同様の手順で、断面TEM観察により多孔性アルミニウム酸化皮膜層内に浸透した樹脂層の浸透深さを測定した。3箇所測定の平均浸透深さを、多孔性アルミニウム酸化皮膜層厚さに対する割合(%)として求めた。結果を表4に示す。
【0071】
このようにして得られた実施例1〜38の試験サンプルに対し、以下のようにして接合強度を評価した。
【0072】
(接合強度評価)
上記のように作製した幅25mm、長さ100mm、厚さ2mm(表面処理アルミニウム材:1mm、樹脂層:1mm)のサンプルにおいて、長さ方向の一端から長さ方向に沿った45mmと55mmの位置に印をつけ、45mm位置では樹脂に対してアルミニウム材に達する切れ目を幅方向に沿って入れた。一方、55mm位置ではアルミニウム材に対して樹脂に達する切れ目を幅方向に沿って入れた。次に、サンプルの長さ方向の両端を引張試験機によって100mm/分の速度にて長さ方向に沿って反対向きに引っ張り、その荷重(せん断応力に換算)および剥離状態によって、下記の基準で評価した。なお、せん断試験用サンプルは同じ供試材から10個の試験片を作製して、それぞれについて、以下の基準で評価した。
【0073】
◎:せん断応力が20N/mm
2以上で、かつ、樹脂層の破断又は樹脂層の凝集破壊が見られた状態
○:せん断応力が20N/mm
2以上であるものの、アルミニウム材と樹脂層が若干界面剥離した状態
△:せん断応力が20N/mm
2未満で、かつ、アルミニウム材と樹脂層が若干界面剥離した状態
評価結果を表5に示す。表5には、10個の試験片のうちの上記◎、○、△の個数をそれぞれ示すが、全てが◎の場合を「優」、◎が4個以上を「良」、それ以外を「可」と判定した。
【0074】
【表5】
【0075】
実施例1〜21はいずれも、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが20nm以上500nm以下の範囲であり、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化被膜層が直径5nm以上30nm以下の孔を備えていた。また、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。実施例1〜21では、接合強度の評価はいずれも「優」であった。
【0076】
実施例22では、交流電解処理における電解溶液が完全に新浴であり、溶存アルミニウムが存在していなかった。そのため、電解反応初期における酸化皮膜の形成反応が急激に生起し、部分的に酸化皮膜が厚く形成された場所が生じ、酸化皮膜合計厚さの変動幅が若干大きかった。しかしながら、第一測定での多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは20nm以上500nm以下の範囲であり、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化被膜層は直径5nm以上30nm以下の孔を備えていた。接合強度の評価は「良」であった。
【0077】
実施例23では、交流電解処理における電解溶液の溶存アルミニウム濃度が若干高かった。そのため、局部的に薄い酸化皮膜が形成され、酸化皮膜合計厚さの変動幅が若干大きかった。しかしながら、第一測定での多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは20nm以上500nm以下の範囲であり、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化被膜層は直径5nm以上30nm以下の孔を備えていた。接合強度は「良」であった。
【0078】
実施例24では、交流電解処理における電解溶液のpHが若干低かった。そのため、アルカリエッチング力が若干不足して、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の小孔の直径が若干小さかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは20nm以上500nm以下の範囲であり、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0079】
実施例25では、交流電解処理における電解溶液のpHが若干高かかった。そのため、アルカリエッチング力が若干強く、多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干不足し、また多孔性アルミニウム皮膜の小孔直径が若干大きかった。また、酸化皮膜合計厚さの変動幅も大きかった。接合強度は「可」であった。
【0080】
実施例26では、交流電解処理における電解溶液の温度が若干低かかった。そのため、アルカリエッチング力が若干不足し、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の多孔質構造が不完全となり、小孔直径が若干小さかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さは20nm以上500nm以下の範囲であり、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0081】
実施例27では、交流電解処理における電解溶液の温度が若干高かかった。そのため、アルカリエッチング力が若干高かった。それゆえ、多孔性アルミニウム皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干小さくなり、酸化皮膜合計厚さの変動幅も大きかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であった。接合強度は「可」であった。
【0082】
実施例28では、交流電解処理における周波数が若干低く、電気的状態が直流電解に近かった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0083】
実施例29では、交流電解処理における周波数が若干高かった。そのため、陽極と陰極の反転が若干早く、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の形成が極端に遅くなり、その厚さが若干小さかった。しかしながら、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0084】
実施例30では、交流電解処理における電流密度が若干低く、バリア型アルミニウム酸化皮膜層が優先的に形成された。そのため、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干小さかった。しかしながら、バリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さは3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0085】
実施例31では、交流電解処理における電流密度が若干高く、酸化膜全体が若干厚めに形成され、多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干大きかった。また、酸化皮膜合計厚さが極端に少ない部分が若干発生したため、酸化皮膜合計厚さの変動幅が大きかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であった。接合強度は「可」であった。
【0086】
実施例32では、交流電解処理における電解処理時間が若干短く、多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干小さかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0087】
実施例33では、交流電解処理における電解処理時間が若干長かった。そのため、酸化膜全体が若干厚めに形成され、多孔性アルミニウム酸化皮膜層およびバリア型アルミニウム酸化皮膜層の厚さが若干大きかった。しかしながら、多孔性アルミニウム酸化皮膜層の孔の直径は3nm以上30nm以下の範囲であり、多孔性アルミニウム酸化皮膜層とバリア型アルミニウム酸化皮膜層との合計厚さの変動幅は±50%以内であった。接合強度は「可」であった。
【0088】
実施例34〜38は、いずれも、接合強度の評価が「優」の供試材に接着性プライマー層を形成したものである。接合する樹脂によらず、接合強度の評価はいずれも「優」であった。
【0089】
実施例39は、接合強度の評価が「良」の実施例22の供試材に接着性プライマー層を形成したものである。接合強度の判定は「良」と同じであったが、◎の数が増えているように接合強度が向上した。
【0090】
実施例40〜44は、接合強度の評価が「可」の実施例22、24、25、28、31、32の供試材に接着性プライマー層を形成したものである。接合強度の判定は「可」と同じであったが、○の数が増えているように接合強度が向上した。