(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボトル部の内部にて、前記吸液芯の端面が、前記シースの先端から突出しており、かつ上記ボトル部の底面部と接触していることを特徴とする請求項1に記載の害虫防除器具。
前記ボトル部の内部にて、前記吸液芯の端面が、前記シースの先端と一致しており、かつ前記ボトル部の底面部と離間していることを特徴とする請求項1に記載の害虫防除器具。
第1開口部および第2開口部の上方を覆いかつ前記ボトル部との間に隙間を空けて上記ボトル部と係止されるカバー部をさらに備えていることを特徴する請求項1〜4のいずれか1項に記載の害虫防除器具。
前記カバー部が前記上面部を部分的に覆う場合、上記カバー部の端部から上記上面部までの距離が6.5mm以上であることを特徴とする請求項5に記載の害虫防除器具。
前記水性ベイト剤の適用対象が、網翅目、膜翅目、等翅目または軟甲綱等脚目に属する匍匐性衛生害虫であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の害虫防除器具。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図2a】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図2b】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図3a】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図3b】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図5b】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図5c】本発明の一実施形態の全体構成を示す側面図である。
【
図6a】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図6b】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図6c】本発明の一実施形態の全体構成を示す側面図である。
【
図7a】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図7b】本発明の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図7c】本発明の一実施形態の全体構成を示す側面図である。
【
図8a】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図8b】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図8c】本発明の一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【
図9a】本発明の一実施形態の要部構成を示す概略図である。
【
図9b】本発明の一実施形態の要部構成を示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態の要部構成を示す上方図および斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、匍匐性の衛生害虫を防除するための液体を収容する防除器具を提供する。本発明の防除器具は、地上を歩き回る性質(すなわち匍匐性)の衛生害虫(以下、匍匐性衛生害虫という。)を対象とし、その防除を目的としている。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る害虫防除器具10の斜視図であり、
図2〜4は、本発明の実施の形態に係る害虫防除器具10の断面図である。
【0018】
本実施形態の害虫防除器具10は、ボトル部1と、ボトル部1の内部に液体を収容した際にその液体をボトル部1の内部から外部へ吸い出すための吸液部2とを備えている。ボトル部1は、害虫防除器具10を床面上に配置する際に床面と対向する底部1bと、床面上に対向させることが意図されない上面部1aとからなり、ボトル部1の上面部1aには第1開口部3が設けられている。吸液部2は、第1開口部3を封止しかつ第1開口部3を介してボトル部1の内部と外部とを連通させる構成を有している。具体的には、吸液部2には、シース2aおよびシース2aの内腔を嵌通する吸液芯2bが設けられており、吸液芯2bは、ボトル部1の内部方向および外部方向の端面(それぞれ内部端および外部端ともいう。)とシース2aの内腔と密接する側面とを有しており、吸液芯2bの外部端の近傍の、シース2aの端部に、第1開口部3と密着する栓部2cが構成されている。
【0019】
図中、ボトル部1の上面部1aには、第2開口部4が設けられており、ボトル部1の内部に液体6を封止するための通気性の液体封止部5が、第2開口部4を覆っている。
【0020】
本実施形態の害虫防除器具10は、通気性の液体封止部5が、第2開口部4を覆っているため、ボトル部1が転倒したとしてもボトル部1の内部に収容された液体が第2開口部4から漏出しない。さらに、容器を配置した室温の上昇に伴って容器が加温されたとしても、膨張したボトル部1内部の空気は第2開口部4からボトル部1外部へ追い出されるため、ボトル部1の内部の液体が吸液芯2bを介してボトル部1の外部へ漏出することがない。
【0021】
ボトル部1の内部に液体を収容し、吸液部2を、第1開口部3を介してボトル部1の外部から内部へ向けて挿入し、栓部2cが第1開口部3と密着することによって、吸液芯2bの内部端が液体と接し、吸液芯2bの外部端がボトル部1の外部に面する。吸液部2によって第1開口部3が封止されており、かつシース2aの内腔が吸液芯2bと密接しているため、ボトル部1の内部と外部との間は、吸液芯2bおよび第2開口部4によってのみ連通されており、ボトル部1の内部の液体は吸液芯2bを通ってボトル部1の外部へ吸い出され、ボトル部1の内外の気体は第2開口部4を介してボトル部1の内外を移動し得る。
【0022】
このように、本実施形態の害虫防除器具10は、ボトル部1の上面部1aへ接近した匍匐性衛生害虫に、吸液部2の吸液芯2bの外部端の端面へ吸い上げられた液体を舐めさせることによって殺虫する、匍匐性衛生害虫を防除する器具である。
【0023】
本実施形態の害虫防除器具10は、ボトル部1から液体を漏出させることなく使用することができる器具である。ボトル部1の形状は、害虫が吸液芯2bの外部端へ到達することができればよく、図に示される半円球形状に限定されない。ボトル部1の内部へ収容する液体の量や、外観に関する使用者の嗜好を考慮して設計されてもよく、円柱形状、角柱形状(立方体または直方体)、あるいは円錐または角錐の形状であってもよい。
【0024】
第2開口部4は、底面部以外の領域に設けられていればよく、ボトル部1の上面部1aに限定されない。すなわち、第2開口部4は栓部2cに設けられていてもよい。第2開口部4が栓部2cに設けられている構成を
図2bおよび
図3bに示す。
【0025】
本実施形態の害虫防除器具10は、第2開口部4が設けられていることにより、ボトル部1の耐圧性が考慮されなくてもよい。ボトル部1の素材は、収容される液体に影響を及ぼさない限り、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等)、オレフィン樹脂(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)、ガラス、セラミックスなどが好適に用いられる。また、内部に残存する液体の量を目視するために、ボトル部1は透明であってもよい。
【0026】
シース2aの素材もまた、収容される液体に影響を及ぼさない限り、特に限定されず、ボトル部1の素材として例示したものが用いられてもよい。シース2aを設けることにより、露出された吸液芯2bの表面積を低減させ、浸み出しを防止することができる。容器が転倒した場合の浸み出しを防止することはいうまでもなく、正立している際のボトル部1の内圧の変動に伴う浸み出しも防止することができる。シース2aの長さは、内部に残存する液体の量が多い局面から少ない局面にわたって、液体と吸液芯2bとの接触面積が一定に保たれるように設定されればよく、シース2aから露出している吸液芯2bの長さが短いほど上記接触面積は一定に保たれる。すなわち、ボトル部1の内部にて、吸液芯2bの側面の全てがシース2aに覆われていることが好ましく、シース2aの端部は吸液芯2bの内部端の位置と一致することがより好ましい。この構成により、吸液芯2bは内部端の端面でのみ液体と接触する。
【0027】
ただし、この場合、吸液芯2bの内部端と液体との接触を妨げないためには、シース2aおよび吸液芯2bをボトル部1の底部1bから離間して、底部1bに接触させないようしなければならない。
【0028】
一方、吸液芯2bの内部端をボトル部1の底部1bに接触させることによって、吸液部2の位置を安定的に保持することができるとともに、ボトル部1の内部に収容された液体を余すところなく吸液芯2bの側面から吸い上げることができる。この場合、吸液芯2bの側面をシース2aから露出させることが必要であるが、シース2aの先端から突出する吸液芯2bの長さをできるだけ短くすることによって、液体の残存量が少量の場合を除いて液体と吸液芯2bとの接触面積が一定に保つことができ、かつ、ボトル部1の内部に収容された液体を余すところなく吸液芯2bの側面から吸い上げることができる。シース2aの先端から突出する吸液芯2bの長さは、単位時間あたりに吸い上げられるべき液体の量に基づいて、吸液芯2bの素材を考慮した上で設定されればよい。なお、
図4に示すように、ボトル部1の底面部1bは、上記吸液芯2bの下端の直下が、辺縁部よりも下方へ押し下げられた形状であることが好ましい。これにより、シース2aの先端から突出する吸液芯2bの近傍に液体が集められるので、液体の残存量を極めて少なくすることができる。
【0029】
吸液芯2bには、吸液性の素材が用いられればよく、合成繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等)、天然繊維(例えば、綿、麻等)、またはこれらの複合材などからなる不織布、ガラス繊維等が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルからなる不織布が用いられる。吸液芯2bの長さは、第1開口部3から底部1bの最深部までの長さと栓部2cから突出する高さを考慮して適宜設定されればよい。
【0030】
栓部2cは、シース2aの一部として一体構成されていても、シース2aと別部材がシース2aと接着された構成であってもよい。また、吸液部2によって第1開口部3を封止するに必要な構造として、第1開口部3および栓部2cには、例えば溝、突起等がそれぞれ対応して構成されていてもよい。さらに、吸液部2による第1開口部3の封止を容易にするために、シース2aの全体または第1開口部3との接触面は弾性素材によって構成されていてもよく、第1開口部3の栓部2cとの接触面は、弾性素材によって構成されていてもよい。
【0031】
第2開口部4を封止する通気性の液体封止部5は、通気性があり、水を通さない性能を有していれば、材質や形状は特に限定されず、本実施形態の害虫防除器具10の構成を容易にするために、通気性と防水性を兼ね備えているもの(例えば、含フッ素ポリエチレン系樹脂のフィルム)を、接着層を介してボトル部1の上面部1aまたは栓部2cに固着させる構成であってもよい。
【0032】
また、害虫防除器具10の使用時までにボトル部1の液体が蒸散することを避けるために、使用者によって容易に脱離し得るキャップまたはシールが使用時まで吸液芯2bの外端部および液体封止部5を覆っていることが好ましい。
【0033】
図5〜
図8に示される害虫防除器具10’は、
図1〜4に示される害虫防除器具10と同様の構成を有しかつボトル部1の上面部1aおよび吸液部2を覆うカバー部7をさらに備えている。
図5〜
図7は、本発明の実施の形態に係る害虫防除器具10’の斜視図であり、
図8は、本発明の実施の形態に係る害虫防除器具10の断面図である。
図1〜4に示される害虫防除器具10の構成は、吸液芯2bがボトル部1の外表面に露出しているので、乳幼児が触れる可能性がある。
図5に示されるように、害虫防除器具10’は、このような可能性を排除するために、チャイルドプルーフとして機能するカバー部7をさらに備えている。カバー部7は、第1開口部3および第2開口部4の上方を覆いかつボトル部1との間に隙間を空けてボトル部1と係止されている。カバー部7は、ボトル部1に繋ぎ止めるための係止部7aを有している。
図5に示した害虫防除器具10’では、カバー部7の辺縁部に形成された凸部7bが係止部7aと連絡しており、凹部が、害虫防除器具10’の外部から吸液芯2bへ匍匐性衛生害虫が接近するための侵入口8を形成している。
図6および
図7は
図5の侵入口8を広げた変形例である。凸部7bを構成する脚部7b’および引掛け部7b’’のうち、
図6では脚部7b’の高さを大きくした態様を示し、
図7では引掛け部7b’’の長さを長くした態様を示している。
【0034】
侵入口8は、乳幼児の指が入らなければよく、13mm未満であることが好ましい。このような構成を有していることにより、害虫防除器具10’は、目的の匍匐性衛生害虫が吸液芯2bへ接近することを妨げることなく、ボトル部1の外部から誤って吸液芯2bに触れることを防止することができる。
【0035】
なお、
図5〜
図8には、ボトル部1の上面部1aの形状に沿って、その全面を覆う構造のカバー部7を示したが、カバー部7は、乳幼児の指がボトル部1の吸液部2に触れることを避けるように第1開口部3および第2開口部4の上方を覆いかつボトル部1に係止されていればよく、かつ目的の匍匐性衛生害虫が吸液芯2bへ接近することを妨げないのであれば、上面部1aの全面が覆われていても上面部1aの一部が覆われていてもよい。
【0036】
ボトル部1とカバー部7との関係を示す概略図を
図9に示す。カバー部7が上面部1aを部分的に覆う場合(
図9a)、すなわち、侵入口8が上面部1aとカバー部7とによって規定される場合、カバー部7の辺縁部に凹部および/または凸部は必要ない。ボトル部1とカバー部7との間の隙間の距離d
1は、目的の匍匐性衛生害虫が出入りしやすい距離(3mm以上)であればよいが、カバー部7において侵入口8を規定する端部7cとボトル部1との最短距離d
2を6.5mm以上にすると、目的の匍匐性衛生害虫が吸液芯2bへ接近する効率を格段に向上させることができる。
【0037】
また、カバー部7が上面部1aの全面を覆う場合(
図9b)、すなわち、侵入口8が床面とカバー部7とによって規定される場合は、侵入口8として機能する凹部がカバー部7の辺縁部に設けられていればよい。ボトル部1とカバー部7との間の隙間の距離d
1、およびカバー部7において侵入口8を規定する端部7cと床面との距離d
3は、目的の匍匐性衛生害虫が出入りしやすい距離(3mm以上)であればよいが、ボトル部1の端部1cとカバー部7との最短距離d
4を6.5mm以上にすると、目的の匍匐性衛生害虫が吸液芯2bへ接近する効率を格段に向上させることができる。
【0038】
なお、カバー部7は、ボトル部1と同様にその形状が円柱形状、角柱形状(立方体または直方体)、あるいは円錐または角錐の形状であってもよく、
図5〜
図9に示された形状だけでなく
図10に示された形状であってもよい。
図10に示したカバー部には図中Z方向に垂直な方向(主にX方向)に侵入口8が形成されており、吸液部2と対向する領域を仮想線にて示した。
【0039】
また、害虫防除器具10’の使用時までにボトル部1の液体が蒸散することを避けるために、使用者によって容易に脱離し得るキャップまたはシールが使用時まで吸液芯2bの外端部を覆っていることが好ましい。このような構成を採用する場合、害虫防除器具10’はボトル部1およびカバー部7が分離して提供されてもよく、害虫防除器具10’使用時に、カバー部7は、キャップまたはシールを脱離したボトル部1に係止されればよい。
【0040】
本発明の適用対象とする害虫は、網翅目(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等)、膜翅目(クロヤマアリ等のアリ類)、等翅目(ヤマトシロアリ、イエシロアリ等)、鞘翅目(シバンブシ、ヒラタムシ等)の昆虫綱の害虫や、軟甲綱等脚目(ダンゴムシ等)、ムカデ綱(ジムカデ、オオムカデ、ゲジ等)、ヤスデ綱(フサヤスデ、タマヤスデ、ヒラタヤスデ、イトヤスデ、ジヤスデ等)といった匍匐性衛生害虫である。
【0041】
具体的な対象害虫としては、ゴキブリ、アリ、シロアリ、ダンゴムシ、ムカデ、ヤスデ、シバンムシ類、ヒラタムシ類、あるいは貯蔵害虫の幼虫(コクヌストモドキ、コクゾウ等)などが挙げられるが、ゴキブリ、アリ、ダンゴムシに好適であり、特にゴキブリ(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ)に対して有効である。
【0042】
本明細書中で使用される場合、匍匐性の衛生害虫を防除するための液体は、匍匐性の衛生害虫を防除するための水性ベイト剤(すなわち、匍匐性衛生害虫防除用水性ベイト剤)であり、匍匐性衛生害虫防除用の水性ベイト剤は、匍匐性衛生害虫防除用の薬剤が、水または水と水性媒体との混合溶剤に溶解された水溶液が意図される。
【0043】
匍匐性害虫防除用水性ベイト剤は、非飛散性または非揮発性であることが好ましく、基本的には有効成分と水より構成されるが、それ以外に食餌成分、誘引剤および/または芳香剤、界面活性剤、防腐剤、水溶性有機溶剤およびpH調節剤などの他の成分を適宜含有していてもよく、その形態としては水溶液、分散液、縣濁液であってもよいが、匍匐性衛生害虫が摂食しやすいように液体状態を保持していることが好ましい。
【0044】
上記水性ベイト剤中の有効成分の含量は通常0.0001質量%以上であり、上限は特に限定されないが、該水性ベイト剤を構成する媒体が水のみである場合には、溶解性の点で通常は0.001〜10質量%程度である。
【0045】
媒体として、水とともに水溶性有機溶剤を使用する場合、水溶性有機溶剤が多過ぎると水性ベイト剤としての特徴が損なわれることから、通常は水性ベイト剤中の含量として50質量%以下であるが、水含量と水溶性有機溶剤含量の対比において、水溶性有機溶剤の含量よりも水の含量が多いことが望ましい。
【0046】
水性ベイト剤を構成するための溶媒としては水が必須であり、その水は、特段の不純物が含まれていなければ精製されていなくてもよいが、蒸留水やイオン交換水などの精製水が好ましく使用される。溶媒として水とともに水溶性有機溶剤を用いる場合、該有機溶剤としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられるが、水と相溶性があればこれらに限定されない。
【0047】
界面活性剤を使用する場合、その使用量は、水性ベイト剤中の含量として10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0048】
水性ベイト剤は、害虫の食餌となる成分を含んでいてもよい。好ましい食餌成分としては、糖、脂質、デンプン、タンパク質、アミノ酸等が挙げられるがこれらに限定されず、具体的な成分としても特に限定されず、当該分野において公知の種々の物質が使用され、その含量は、水性ベイト剤中の含量として通常20質量%以下である。
【0049】
その他、水性ベイト剤は、害虫を誘引する誘引剤(および/または芳香剤)を含んでいてもよい。好ましい誘引剤としては、フレーバー類、動植物のエキス類、フェロモン類等が挙げられるがこれらに限定されず、具体的な成分としても特に限定されず、当該分野において公知の種々の物質を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いればよい。
【0050】
誘引剤や芳香剤を使用する場合、その使用量は任意であるが、一般的には水性ベイト剤中の含量としてそれぞれ1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下である。
【0051】
また、水性ベイト剤は、必要に応じて、防腐剤(酸化防止剤、保存剤等)、香料等を含んでいてもよく、これらを含む場合にその含量は0.5質量%程度以下である。これらについても、具体的な成分は特に限定されず、当該分野において公知の種々の物質を用いればよい。
【0052】
その他、必要に応じて色素など水性ベイト剤として通常使用される上記例示以外の各種成分を適宜含有していても何ら差し支えない。
【0053】
匍匐性衛生害虫防除用水性ベイト剤を用いて匍匐性衛生害虫を防除する場合、当該害虫の生息域あるいはその近辺に、該水性ベイト剤を領域1m
2あたりに有効成分の量として0.01〜500mg、好ましくは0.05〜100mgとなる範囲内で、水性ベイト剤を開口した容器等に入れたり、該水性ベイト剤を吸液した基材(例えばマット)を配置したりすればよい。
【0054】
本発明における水性ベイト剤の有効成分としては、ネオニコチノイド系化合物、フェニルピラゾール系化合物、その他の殺虫剤成分が挙げられる。例えば、ネオニコチノイド系化合物としては、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、イミダクロプリド(imidac1oprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、クロチアニジン(clothianidin)等が挙げられ、フェニルピラゾール系化合物としては、アセトプロール(acetoprole)、エチプロール(ethiprole)、バニリプロール(vaniliprole)、ピリプロール(pyriprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)等が挙げられ、その他の有効成分としては、ヒドラメチルノン、ホウ酸等が挙げられるが、本発明の有効成分として使用できるものはこれらに限定されない。
【0055】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0056】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
図1に示す構成において、底部1bの径が74mm、上面部1aの高さ37mmのボトル部1(最大容量60mL)を構成し、上面部1aに径5mmの第1開口部3および径1mmの第2開口部4を形成した。ボトル部1の内部に0.02%クロチアニジン水溶液を30mL注入した。次いで、吸液部2を第1開口部3からボトル部1へ底部1bまで押し込んだ。吸液部2の吸液芯2bには、ポリエステルからなる不織布を用いた。
【0058】
以下のサンプルを調製した:
サンプル1:第2開口部4を覆うように、ポリテトラフルオロエチレンフィルム(「TEMISH」(登録商標);(株)日東電工製)を上面部1aに固着したもの
サンプル2:第2開口部4を覆うように、セロファン粘着テープを上面部1aに固着したもの
サンプル3:第2開口部4を開放したもの(何も覆わない)
サンプル4:クロチアニジン水溶液の代わりに市販の消臭剤を注入したもの。
【0059】
以下の実験を行った:
実験A:サンプル1〜4を正置して室温にて保管した
実験B:サンプル1〜4を倒立させて室温にて保管した
実験C:サンプル1〜4を正置した40℃の恒温槽にて保管した。
【0060】
その結果、実験Aにおいて、保管1か月後にどのサンプルからも内容物の漏出が見られなかった。実験Bにおいて、サンプル1は、保管1か月後に内容物の漏出が見られなかったが、サンプル3、4は、倒立後直ちに内容物の漏出が見られた。サンプル2は、倒立直後に内容物の漏出は見られなかったが、時間が経過とともに、粘着テープ上に漏れた内容物によってテープの粘着性が弱まり、容器と粘着テープとの間に生じた隙間から内容物が漏出するようになった。実験Cにおいて、サンプル1、3および4は、保管1か月後に内容物の漏出が見られなかったが、サンプル2は、保管後直ちに吸液部2からの内容物の噴出が見られた。
【0061】
次いで、ボトル部1の内部に水性ベイト剤を注入した以外は上述した手順に従って調製したサンプル1の構成を有する器具にカバー部7を取り付けた害虫防除器具を作製した(
図5)。水性ベイト剤は、有効成分としてのクロチアニジン20mg、グラニュー糖15g、エチレングリコール5g、1%リン酸(pH調節剤)2g、プロキセルGXL(防腐剤)0.2gを水84,78gに加え、室温で10分間撹拌することによって作製した。カバー部7の最下端からボトル部1までの最短距離を6〜8mmに設定した。
【0062】
樹脂製容器(外径46cm×36cm×高さ15cm)を用意し、この樹脂製容器の内の底面に紙ウェスを敷き、ゴキブリの隠れ場所として、波型の紙製のシェルターを2枚重ねて設置した。シェルターの上にポリカップの蓋(直径10cm)を設置し、水を含ませた脱脂綿を置いた。逃亡防止のため、内部側面に、フルオンをあらかじめ塗っておいた。別にクロゴキブリ20頭(オス10頭、メス10頭)を樹脂製容器内に放飼し、樹脂製容器上部をナイロンゴースで覆い、約24時間馴化させた。放飼の翌日に、上記害虫防除器具1個および固形飼料1個を樹脂製容器内に配置した。3日後に樹脂製容器内の死虫数を調べ、死虫率を算出した。なお、試験期間中、樹脂製容器内の気温を約25℃に維持した。処理区は各2反復、無処理区は1反復実施した。死虫率を以下に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
カバー部7の最下端からボトル部1までの最短距離を6.5cm以上に設定するとゴキブリの死虫率が格段に向上していることから、上記距離が6.5cm以上の場合に吸液芯2bへゴキブリを効率よく接近させ得ることがわかった。