(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマーモノマー単位が、ポリエステルモノマー単位、ポリアミドモノマー単位、ポリウレタンモノマー単位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー着色剤。
前記ポリマーモノマー単位が生物由来であるか、前記アリザリンが、生物によって再生可能であるか、または、前記ポリマーモノマー単位が生物由来であり、かつ、前記アリザリンが、生物によって再生可能である、請求項1に記載のポリマー着色剤。
前記ポリマーが、(i)(a)グリセリンカーボネートおよび/またはグリセロール;および(b)アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるロジン酸のポリ縮合生成物と、(ii)コハク酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸およびアゼライン酸からなる群から選択されるポリ酸とを含む、生物由来の分枝鎖ポリエステル樹脂である、請求項1に記載のポリマー着色剤。
前記アリザリンが、1,3−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、1,6−ジヒドロキシアントラキノン、1,7−ジヒドロキシアントラキノン、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、2,3−ジヒドロキシアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、2,7−ジヒドロキシアントラキノン、並びにこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポリマー着色剤。
トナー、インク、玩具、塗料、繊維、機械部品、成型した製品、押出成型した製品およびそれらの組合せからなる群から選択される物品に含まれている、請求項1に記載のポリマー着色剤。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ポリマー着色剤は、モノマー単位を含むポリマーと、このポリマーに組み込まれ、ポリマー着色剤に色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位とを含む。ポリマー着色剤は、1つ以上のアリザリン単位を、ポリエステル構造のモノマー単位として含む。
【0015】
ポリマー着色剤は、生物由来モノマー構成要素に対するエステル結合によって化学結合し、永久的に着色したポリマー構造を与える、天然から誘導される(生物由来)着色分子部分であるアリザリンを与える。着色したポリマーは、天然着色剤であるアリザリンと、生物由来および石油由来のモノマーとを重合することによって調製することができる。100%の生物由来ポリマーおよび部分的に生物由来のポリマーの両方が合成される。
【0016】
さらに、ポリマー着色剤と、場合により、媒染剤とを含むポリマー組成物が提供される。ポリマー組成物は、ポリマーモノマー単位と;ポリマーに組み込まれ、ポリマーに色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位とを含み、ポリマー組成物の色は、アリザリンおよびモノマーを含むポリマー組成物の合計モルパーセントを基準として、アリザリンのモルパーセントを選択することによって調整される。
【0017】
トナー(いくつかの実施形態では、乳化凝集トナー)は、ポリマーモノマー単位を含むポリマーと;ポリマーに組み込まれ、ポリマーに色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位と;場合により、結晶性ポリエステル樹脂、アモルファスポリエステル樹脂、着色剤、ワックス、凝固剤、媒染剤、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の成分とを含む。
【0018】
乳化凝集トナーの場合、乳化凝集プロセス中に着色剤を加え、トナー粒子に色を付与する。トナーの色は、トナー組成物全体に対するポリマー着色剤の量を選択することによって調整することができる。ポリマー着色剤に加え、さらなる着色剤を加え、種々の色のトナーを与えることができる。任意要素のさらなる着色剤は、染料、顔料、またはこれらの混合物またはこれらの組み合わせであってもよい。トナー製造プロセスの乳化凝集プロセス中および/または洗浄段階中に顔料がはじかれ、それによって、トナーの最終色が変わることがあるが、本発明のトナーは、着色剤がポリマー骨格の一部であり、トナー樹脂自体の一部を形成する本発明のポリマー着色剤を含み、それによって、このはじかれる課題を軽減するか、またはなくす。
【0019】
ポリマー着色剤を、トナー、インク、玩具、塗料、繊維、機械部品、成型した物品または製品、押出成型した物品または製品、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物品で与えることができる。
【0020】
ポリマー着色剤を種々の産業(プラスチック製食器および玩具のポリマー押出成型)で使用することができる。以前だと、多くの着色剤が高温ポリマーの融点より低い温度で軟化、溶融または分解する物品成型中に着色剤を加え、着色剤が押出成型機の部品に接着し、一貫性のない色を有する最終的なポリマー製品を生じる。生物由来であり、天然の色を有する本発明のポリマー材料は、色が、物品自体を形成する樹脂材料の一部である着色した物品を作成することができる。
【0021】
生物由来着色剤、樹脂、ポリエステル組成物、または製品は、本明細書では、U.S.Office of the Federal Environmental Executiveで定義されるように、生体生成物または再生可能な国内農業材料(植物、動物または海洋材料を含む)および/または森林材料の全体またはかなりの部分で構成されてもよい市販製品および/または工業製品(食べ物または餌以外)を含む。
【0022】
ポリマー着色剤およびポリマー組成物または樹脂は、生物由来着色剤または生物由来樹脂モノマー単位を含んでいてもよい。ポリマーモノマー単位が生物由来であるか、アリザリンが、生物によって再生可能であるか、または、ポリマーモノマー単位が生物由来であり、かつ、アリザリンが、生物によって再生可能である。生物由来着色剤または生物由来樹脂またはモノマー単位は、着色剤、樹脂、樹脂配合物、ポリマーを形成し得るモノマー単位、または生体源(例えば、石油化学物質ではなく、植物油)に由来するポリマーである。
【0023】
「生物由来」は、生体生成物または再生可能な材料(植物、動物または海洋材料を含む)または森林材料の全体またはかなりの部分(例えば、90重量%〜100重量%、95重量%〜100重量%、98重量%〜100重量%)で構成される化合物または生成物を意味することができる。生物由来材料は、生分解性である。
【0024】
「生分解性」は、一般的に、化合物または材料が、微生物作用による変化または環境中の存在または持続を制限する固有の不安定化を受けやすいことに関する。生物由来化合物は、一般的に生分解性である。環境中の持続は、1日、1週間、1ヶ月または最低限の年(例えば、2年、3年など)にわたる、特定の分解度または変化度、例えば、50%の分解に必要な時間として測定されてもよい。
【0025】
環境への影響が低い再生可能な材料として、これらの主な利点には、限りある石油化学物質資源への依存を減らし、大気から炭素を捕捉することが挙げられる。生物由来ポリマー着色剤は、ポリマーの少なくとも一部が天然の生体材料(例えば、動物、植物、これらの組み合わせ)から誘導されるポリマーを含む。いくつかの実施形態では、生物由来ポリマー着色剤は、ポリエステルモノマー単位を含むポリマーと、このポリマーに組み込まれ、ポリマー着色剤に色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位とを含み、ポリエステルモノマー単位またはアリザリン単位、またはポリエステルモノマー単位およびアリザリン単位の両方のうち、1つ以上が天然の生体材料から誘導される。
【0026】
本発明のポリマー着色剤は、モノマー単位をアリザリン単位とともに重合させ、ポリマー着色剤を作成する任意の適切なモノマー単位を含むポリマーを含んでいてもよい。すなわち、ポリマー着色剤は、1つ以上のモノマー単位と、1つ以上のアリザリン単位とを含み、これらが重合し、ポリマー着色剤を与える。
【0027】
ポリマーモノマー単位は、ポリエステルモノマー単位、ポリアミドモノマー単位、ポリウレタンモノマー単位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
本発明のポリマー着色剤は、直鎖および分枝鎖のポリエステルを含む任意の適切なポリエステルを含んでいてもよい。モノマー単位は、ポリエステルを与え、このポリエステルは、アモルファスポリエステル、結晶性ポリエステル、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0029】
「直鎖」ポリマーは、分岐または架橋した構造を含まない長鎖を形成する。直鎖ポリマーの分子鎖は、絡み合っていってもよいが、分子を保持する傾向がある力は、化学的な力というより物理的な力であり、そのため、例えば、熱の形態で加えられるエネルギーによって弱めることができる。
【0030】
「分枝鎖」ポリマーは、1つの鎖の中および/または2つ以上の鎖の間にある部位を接続(例えば、共有結合)する分岐点を含む鎖を含み、モノマーの部分単位の置換基、例えば、水素原子を、このポリマーまたは別のポリマーの別の共有結合した鎖と置き換えることによって分岐させることができる。このように、分子を保持する力は、例えば、熱の形態で加えられるエネルギーによって弱められにくい(例えば、同じ温度範囲で、同様のMwの直鎖ポリマーと比較した場合、粘度変化への大きな耐性を示し、粘度が平坦状態である)。本明細書で与えられるように、目的の分枝鎖ポリマーは、分岐相互作用を与えるが、網目構造およびゲルを形成する傾向がない、もっと短い鎖を有する。
【0031】
モノマーは、アモルファス樹脂、結晶性樹脂、またはこれらの混合物またはこれらの組み合わせを生成することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、樹脂は、ポリエステル、アモルファスポリエステル、結晶性ポリエステル、またはこれらの混合物である。
【0033】
結晶性ポリエステルを作成するために、1つ以上のポリオール分枝鎖モノマーを、任意要素の触媒および結晶性樹脂を作成するのに適したさらなる有機ジオール存在下、二酸と反応させることができ、有機ジオールとしては、炭素原子を2〜36個含む脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせを挙げることができ、これらの構造異性体を含む。脂肪族ジオールは、任意の適切な(例えば、樹脂の25〜60)モルパーセントで存在していてもよい。第3のジオールは、樹脂の0〜25モルパーセントまたは1〜10モルパーセントの量の上述のジオールから選択することができる。
【0034】
結晶性樹脂を調製するために選択可能な有機二酸またはジエステル(ビニル二酸またはビニルジエステルを含む)としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸、これらのジエステルまたは無水物、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸は、任意の量で、いくつかの実施形態では、25〜60モルパーセントで存在していてもよい。第2の二酸は、上述の二酸から選択することができ、樹脂の0〜25モルパーセントの量で存在していてもよい。
【0035】
結晶性ポリエステルを作成するために、1つ以上のポリ酸分枝鎖モノマーを、任意要素の触媒およびさらなる有機二酸またはジエステル存在下、ジオールと反応させることができる。分枝鎖モノマーは、0.1〜15、5モルパーセントの量で与えることができる。第2の分枝鎖モノマーは、堅牢性の高い樹脂の0〜10モルパーセントの量になるように選択することができる。
【0036】
アモルファスポリエステル樹脂を調製するために用いられるビニル二酸またはビニルジエステルを含む、本発明の樹脂を作成するときに使用するのに適した二酸またはジエステルとしては、ジカルボン酸またはジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、cis−1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチル、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
有機二酸またはジエステルは、任意の量で、例えば、樹脂の35〜60モルパーセントの量で存在していてもよい。
【0038】
アモルファスポリエステルを調製するために使用可能なジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)酸化物、ジプロピレングリコール、ジブチレン、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
有機ジオールは、任意の量で、例えば、樹脂の35〜60モルパーセントの量で存在していてもよい。
【0040】
生物由来ポリエステルは、生物由来アモルファスポリエステル、生物由来結晶性ポリエステル、または生物由来アモルファスポリエステルと生物由来結晶性ポリエステルの組み合わせであってもよい。
【0041】
利用可能なアモルファス生物由来ポリマー樹脂としては、脂肪酸ダイマー酸または大豆油のジオール、D−イソソルビド、および/またはアミノ酸、例えば、L−チロシンおよびグルタミン酸のようなモノマーから誘導されるポリエステルが挙げられる。
【0042】
利用可能な生物由来ポリマー樹脂としては、脂肪族ダイマー酸またはジオール、D−イソソルビド、ナフタレンジカルボキシレート、ジカルボン酸、例えば、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサン二酸、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、グルタミン酸、およびこれらの組み合わせ、および場合によりエチレングリコール、プロピレングリコールおよび1,3−プロパンジオールのようなモノマーから誘導されるポリエステルが挙げられる。
【0043】
場合により、1つ以上の触媒存在下、環状ポリアルコール(場合により官能基化されていてもよい)と、ポリ酸との重縮合によってポリエステルポリマーが得られてもよい。
【0044】
本発明の実施形態のために選択されるポリエステルは、米国特許出願第13/718,424号に記載されるようなポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステルは、(i)(a)ヒドロキシル供与体;(b)環状ポリヒドロキシル受容体;および(c)任意要素の触媒の縮合生成物と、(ii)ポリ酸とを含み、90%より多くが生物由来である、生物由来の分枝鎖ポリエステル樹脂であってもよい。
【0045】
場合により、1つ以上の触媒存在下、環状ポリアルコール(場合により官能基化されていてもよい)と、ポリ酸との重縮合によってポリエステルポリマーが得られてもよい。再生可能な供給源から簡単に得ることができる(すなわち、生物由来であり、生分解性である)材料から、ポリエステルポリマーを全体的に、または部分的に調製することができる。
【0046】
環状ヒドロキシル受容体の例は、木の中に広く生じるロジンまたは樹脂酸、例えば、アビエチン酸である。アビエチン酸は、樹脂酸の主な構成要素であり、松の木および樹脂の主な刺激物質であり、ロジンから単離され、ほとんどのロジンを構成する数種類の密接に関連するカルボン酸を最も豊富に含み、針葉樹の含有樹脂の固体部分である。アビエチン酸は、さまざまな種類の細菌およびカビによる液内培養嫌気性発酵中、シュウ酸、フマル酸およびリンゴ酸を一緒に用いて製造することができる。他のロジン酸としては、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ピマール酸、イソピマール酸、およびこれらの組み合わせが挙げられ、これらは、ロジンから単離されるか、または市販されている。
【0047】
環状ポリヒドロキシル受容体とヒドロキシル供与体とを反応させることによって得られるもの以外のポリオールをエステル化反応に使用することができる。
【0048】
エステル化反応中、得られた環状ポリオールをポリ酸と合わせる。ポリ酸に対する環状ポリオールの比率は、一般的に1であるが、同量の比率から逸脱した相対量を設計上の選択として使用することができる。反応条件および反応剤が当該技術分野で知られている。反応物は、触媒を含んでいてもよい。
【0049】
エステル化反応に適切なポリエステルモノマーおよびポリ酸モノマーとしては、生物由来のものが挙げられ、既知のポリカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、トラウマチン酸、ムコン酸、グルチン酸、ジアボリン酸、メチレンコハク酸など、これらの異性体、他の二酸、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、トリメシン酸、メリト酸、トリカルバリル酸、トリメシン酸、これらの異性体、他の三酸が挙げられる。本質的に、少なくとも2個のカルボン酸を含む任意の化合物は、生分解性であるか、または生分解性ではなく、本発明の主題の実施に使用することができる。
【0050】
重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジアルキルスズ酸化物;テトラアルキルスズ;ジアルキルスズオキシド水酸化物;酸化亜鉛;およびこれらの組み合わせが挙げられる。触媒を、分枝鎖ポリエステル樹脂を作成するために用いられる出発物質のポリ酸/ポリエステルおよび環状ポリオールを基準として、0.001mol%〜0.55mol%の量で使用してもよい。
【0051】
重縮合温度は、150℃〜250℃の範囲である。作成した減圧下、過剰なポリオールを除去してもよい。総反応時間は、1〜32時間の範囲であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ポリエステルは、(i)(a)グリセリンカーボネートおよび/またはグリセロール;および(b)アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、レボピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるロジン酸のポリ縮合生成物と、(ii)コハク酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ドデシルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸およびアゼライン酸からなる群から選択されるポリ酸とを含む、生物由来の分枝鎖ポリエステル樹脂である。
【0053】
いくつかの実施形態では、ポリエステルは、以下の式の1−デシル−12−メチルドデカンジオエートであり、
【化1】
式中、nは、1〜1,000であり、以下の反応スキームにしたがって調製することができる。
【化2】
【0054】
本発明の実施形態のために選択されるポリエステルは、さらに、米国特許出願第13/423,851号に記載されるようなポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステルは、以下の式
【化3】
の化合物を含む分枝鎖ポリエステルであってもよく、式中、Rは、直鎖および分枝鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキレン基から選択されるアルキレン基であり、ヘテロ原子がアルキレン基の中に存在していてもよく、
R’は、直鎖および分枝鎖、飽和および不飽和、環状および非環状、置換および非置換のアルキレン基から選択されるアルキレン基であり、ヘテロ原子がアルキレン基の中に存在していてもよく;R’に隣接するすべてのカルボニル炭素が、2個の原子が単結合によって分断されている場合には、この少なくとも2個の原子によって分断されているか;または
R’に隣接するすべてのカルボニル炭素が、連続して共有結合した少なくとも3個の原子によって分断されており;
mは、1〜1,000であり;
nは、1〜1,000である。
【0055】
分枝鎖ポリエステルは、無溶媒乳化プロセスで使用するのに適した分枝鎖ポリエステルを調製するためのプロセスによって調製することができ、分枝鎖ポリエステルは、アルコールから誘導される分岐部または酸から誘導される分岐部のうち、少なくとも1つを含み、無溶媒乳化プロセス中に分枝鎖ポリエステルの分解を制限するか、または防ぎ、その結果、分枝鎖ポリエステルは、無溶媒乳化後に20%未満の重量平均分子量の低下を示し、このプロセスは、少なくとも1種類の分岐剤と、少なくとも1種類の二酸、少なくとも1種類のジエステル、またはこれらの混合物または組み合わせとを接触させることと、これらを反応させて分枝鎖ポリエステルを製造することとを含み、少なくとも1種類の分岐剤は、アルコールから誘導される分岐部または酸から誘導される分岐部のうち、少なくとも1つがポリエステルに与えられ、無溶媒乳化プロセス中に分枝鎖ポリエステルの分解を制限するか、または防ぎ、その結果、分枝鎖ポリエステルは、無溶媒乳化後に20%未満の重量平均分子量の低下を示すのに十分である。
【0056】
ポリアミドの非限定例としては、ポリ(エチレン−アジパミド)、ポリ(プロピレン−アジパミド)、ポリ(ブチレン−アジパミド)、ポリ(ペンチレン−アジパミド)、ポリ(ヘキシレン−アジパミド)、ポリ(オクチレン−アジパミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)およびポリ(プロピレン−セバカミド)が挙げられる。
【0057】
ポリウレタンは、以下の式のウレタン基を含むポリマーである。
【化4】
【0058】
いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、脂肪族ポリウレタンである。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、単一の構成要素のポリエステル系ポリウレタンエラストマーである。ポリウレタンエラストマーを室温で硬化させることができる。ポリウレタンは、低コスト材料であり、したがって、このエラストマーを使用すると、製造コストを下げるのに役立つ。
【0059】
ポリマー着色剤は、少なくとも1種類のアリザリン単位を含み、この単位が少なくとも1種類のモノマーと重合し、ポリマー着色剤を生成し、そのため、アリザリンをポリマー着色剤自体の一部としてポリマー着色剤に組み込み、アリザリンがポリマーに色を付与する着色したポリマーを生成する。アリザリンは、天然の生物によって再生可能な着色剤であり、Rubia植物(Madder genus)の乾燥した根から抽出することができる。アリザリンは、アカネ植物から誘導される卓越した染料であり、Rubia tinctorum植物の「アリザリ」根にちなんだ名前である。アリザリンは、主に繊維布地を染色するための赤色染料として歴史の中で使用されてきた有機化合物である。本発明のいくつかの実施形態では、アリザリンは、アリザリンが1位および2位で置換された2個のヒドロキシル基を有するという事実を利用し、カルボン酸化モノマーを用いて重合される。
【0060】
アリザリンは、Color IndexでC.I.Mordant Red 11(C.I.58000としてリスト化)と呼ばれ、アリザリンの改変体は「古代赤」として知られる。本発明のアリザリンは、1,3−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、1,6−ジヒドロキシアントラキノン、1,7−ジヒドロキシアントラキノン、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、2,3−ジヒドロキシアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、2,7−ジヒドロキシアントラキノン、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
本発明のポリマー着色剤単位は、以下の式のアリザリンを含んでいてもよい。
【化5】
【0062】
本発明のアリザリンポリマー着色剤単位は、以下の式のアリザリンプルプリンから誘導することができる(C.I.Natural Red 8およびC.I.Natural Red 16と呼ばれ、C.I.75410としてリスト化され、Indigo Redとしても知られる)。
【化6】
【0063】
本発明のポリマー着色剤の色は、ポリマーモノマー単位およびアリザリン着色剤単位を含むポリマー着色剤を含むポリマー単位全体の合計モルパーセントを基準として、アリザリンの所望のモルパーセントを選択することによって調整することができる。
【0064】
ポリマー着色剤は、ポリエステル構造中に、1つ以上のアリザリン単位をモノマー単位として含んでいてもよい。
【0065】
アリザリンモノマー単位と、ポリマー着色剤を含む他のモノマーとの相互作用は、生成するポリマー着色剤の色に影響を与える。したがって、本開示は、ポリマー着色剤の最終色を調整するか、または決定するように、ポリマー着色剤のモノマーまたは複数のモノマーの種類を選択すること、モノマーまたは複数のモノマーの量を選択すること、アリザリン単位の量を選択すること、またはこれらの組み合わせを想定している。本発明の得られたポリマー着色剤の色は、アリザリン自体の色とは異なる。いくつかの実施形態では、ポリマー着色剤は、桃色、褐色、灰色または黒色である。いくつかの実施形態では、本発明のポリマー着色剤は、アリザリンと、ポリマー着色剤が黒色または黒褐色であるように選択される1つ以上のモノマーとを含む。本発明のポリマー着色剤は、黒色または黒褐色であるポリマー着色剤を与えるように、少なくとも1種類のアリザリン単位と、1,6−ヘキサンジオール、コハク酸、テレフタル酸ジメチル、1,12−ドデカン二酸、プロパンジオール、イソフタル酸、アゼライン酸、イソソルビド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のモノマーとを含んでいてもよい。
【0066】
ポリマー着色剤を媒染剤と合わせてもよい。媒染剤は、最終的なポリマー着色剤の色を変えるように選択することができる。例えば、ポリマー着色剤を媒染剤と合わせ、ポリマー着色剤の色を桃色から暗褐色または黒色に変えることができる。いくつかの実施形態では、アリザリンを、例えば、ミョウバン/アルカリで処理することができ、その結果、水溶性の形態が、固体の不溶性アリザリン顔料になる。いくつかの実施形態では、アリザリンを金属塩(例えば、鉄またはスズ)で処理し、選択する塩に依存して、種々の色のアカネ系顔料を与えることができる。モノマーまたは複数のモノマーを用いた重合の前、重合中または重合後にアリザリンを処理し、ポリマー着色剤を作成することができる。または、生成したポリマー着色剤を用い、媒染剤または他の材料を与えることができ、これらを用いて製造される物品の色に影響を与えることができる。
【0067】
媒染剤は、三価クロム錯体、クロム(III)カリウムサルフェート、金属水酸化物、塩化ナトリウム、タンニン酸、ミョウバン、尿、およびアルミニウム、クロム、銅、鉄、ヨウ素、カリウム、ナトリウムおよびスズの塩、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0068】
したがって、本発明のポリマー組成物は、本発明のポリマー着色剤と、媒染剤または媒染剤の組み合わせとを含んでいてもよい。さらに、本発明のトナーは、本発明のポリマー着色剤と、媒染剤または媒染剤の組み合わせとを含んでいてもよい。
【0069】
その中のアリザリンまたはアリザリン自体は、鮮やかな赤色、深紅色または紫色の着色剤または染料である。本発明のポリマー着色剤は、ポリマー着色剤中に存在するアリザリン単位の量、ポリマー着色剤中に存在するモノマーの種類および量、ポリマー着色剤を調製する前に、アリザリンを媒染剤で処理、ポリマー着色剤の調製中に、アリザリンを媒染剤で処理、ポリマー着色剤を調製した後に、ポリマー着色剤を処理、ポリマー着色剤を用いて調製される組成物、トナー、ラテックス、生成物、物品または他の材料の中で媒染剤を提供(すなわち、モノマーとともに重合してポリマー着色剤を作成する前に、アリザリンを処理してもよく、または処理しなくてもよいが、調製したポリマー着色剤をその後使用するとき、媒染剤が場合により与えられる)のうち、1つ以上を選択することによって調整される最終色を有し、その結果、ポリマー着色剤またはこれを用いて調製される物品の最終色は、上述の選択に基づいて達成される。いくつかの実施形態では、ポリマー着色剤は、アリザリン単位の量、モノマー単位の種類、モノマー単位の量、アリザリンを媒染剤で処理、アリザリンモノマー単位と、ポリマー着色剤を含む他のモノマーとの相互作用のうち1つ以上によって決定される最終色を有する。
【0070】
モノマー単位とともに重合し、アリザリン単位が、得られるポリマー着色剤の骨格に存在するアリザリン単位を含むポリマー着色剤が提供され、得られるポリマー着色剤の色は、アリザリン自体の色とは異なる。ポリマー着色剤は、ポリマーモノマー単位と、ポリマー着色剤に色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位とを含んでいてもよく、ポリマー着色剤の色は、桃色、褐色、灰色または黒色である。
【0071】
ポリマー着色剤は、少なくとも1種類のポリマーモノマーと、少なくとも1種類のアリザリン単位とを接触させ、重合させ、ポリマー着色剤を作成し、ここで、アリザリンがこのポリマーに組み込まれ、アリザリンがポリマー着色剤に色を付与することと;(a)ポリマーモノマー単位に対するアリザリン単位の比率を選択すること、(b)モノマー単位の種類を選択すること、(c)重合前に、アリザリンを媒染剤で処理すること、(d)重合中に、アリザリンを媒染剤で処理すること、(e)重合後に、ポリマー着色剤を媒染剤で処理すること、(f)アリザリンモノマー単位と、ポリマー着色剤を含む他のモノマーとの相互作用を制御するために、ポリマーモノマー単位に対するアリザリン単位の比率を選択すること、およびモノマー単位の種類を選択すること、のうち1つ以上によってポリマー着色剤の最終色を決定することとによって調製することができる。
【0072】
ポリエステル組成物は、ポリエステルモノマー単位を含むポリマーと、ポリマーに組み込まれ、ポリマーに色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位とを含み;ポリエステル組成物の色は、ポリエステル組成物の合計モルパーセントを基準として、アリザリンのモルパーセントを選択することによって調整される。
【0073】
ポリマーは、ポリエステルモノマー単位およびアリザリン単位を任意の適切な量で含んでいてもよい。ポリエステルモノマー単位およびアリザリン単位の割合は、ポリエステル組成物の色を調整するように調節することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエステル組成物の構成要素全体の合計モルパーセントを基準として0.005〜0.80モルパーセントのアリザリンまたは0.02〜0.5モルパーセントのアリザリンを含む。
【0074】
本発明のポリマー着色剤またはポリマー組成物は、それ自体の色を有しており、したがって、このような着色剤またはポリマー組成物を利用して製造される任意の物品は、着色した物品を得るために、さらなる顔料、染料および/または着色剤を必要としなくてもよい。これらから製造されるこのようなポリマー着色剤、ポリマー組成物または物品は、本明細書で「天然色」および/または「天然で着色した」および/または「固有に着色した」と呼ばれてもよい。
【0075】
任意の物品は、ポリマー着色剤またはポリマー組成物を含んでいてもよい。物品は、トナー、インク、玩具、塗料、繊維、機械部品、成型した物品または製品、押出成型した物品または製品からなる群から選択されてもよい。ポリマー材料は、天然色を有し、これらから作られるポリマーに色を付与する少なくとも1種類のモノマーを含む。したがって、本開示の生物由来ポリマー材料を用いて製造される物品は、着色剤の存在を必要としなくてもよい。本開示の生物由来ポリマー材料は、天然色を有していてもよく、その結果、ポリマー材料から製造されるトナーは、非生物由来顔料を必要としなくてもよい。得られるポリマーは、着色剤または顔料がポリマー構造の一部であるため、着色しており、トナー、インク、プラスチック(成型または押出成型した製品、例えば、玩具、機械部品、家庭用材料、例えば、限定されないが、調理器具、ボウル、カップ、器具、ブラシ用ハンドル、ビン、バケツ、台所用品、衣服用ハンガー、製氷皿)、塗料、繊維、成型製品、押出成型製品、本明細書のポリマー着色剤に適した任意の適切な作成プロセスによって作られる製品のための組成物として適用することができる。
【0076】
トナーは、ポリエステルモノマー単位を含むポリマーと、このポリマーに組み込まれ、ポリマーに色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位と、場合により、結晶性ポリエステル樹脂、アモルファスポリエステル樹脂、着色剤、ワックス、凝固剤、媒染剤、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の成分とを含む。
【0077】
トナーは、生物由来ポリエステル、生物によって再生可能なアリザリン、または生物由来ポリエステルおよび生物によって再生可能なアリザリンの両方を含むポリマーを含む。
【0078】
本発明のポリマーは、トナー中に任意の適切な量で、例えば、トナーの60〜100重量%、70〜95重量%、または80〜90重量%の量で存在していてもよい。
【0079】
トナーは、アリザリンおよび以下の式の1−デシル−12−メチルドデカンジオエートを含むポリマーを含んでいてもよく、
【化7】
式中、nは、1〜1,000である。
【0080】
トナーは、1,3−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、1,5−ジヒドロキシアントラキノン、1,6−ジヒドロキシアントラキノン、1,7−ジヒドロキシアントラキノン、1,8−ジヒドロキシアントラキノン、2,3−ジヒドロキシアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラキノン、2,7−ジヒドロキシアントラキノン、およびこれらの混合物およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるアリザリン単位を含むポリマーを含んでいてもよい。
【0081】
トナーの色は、トナーを含む構成要素の合計モルパーセントを基準として、アリザリンのモルパーセントを選択することによって調整される。
【0082】
ポリマーモノマー単位とアリザリンモノマー単位とを含むポリマーに加え、ポリマー着色剤、ポリマー組成物、これらから得られる物品、またはトナーは、さらに、望ましい結果を得るために、当該技術分野で知られる1つ以上のさらなる樹脂材料を含んでいてもよい。1つ以上のさらなる樹脂材料は、アモルファス、半結晶性または結晶性であってもよく、石油源から誘導されてもよく、または再生可能な供給源から得られる生物由来であってもよい。さらなる樹脂材料は、アクリレート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂であってもよい。多くの適切なこのような樹脂が知られている。
【0083】
利用可能な半結晶性樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレートおよびポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、これらの組み合わせが挙げられる。適切なポリヒドロキシアルカノエート半結晶性樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、および3−ヒドロキシブチレート(HB)および/または3−ヒドロキシバレレート(HV)のランダムに配列した単位を含むコポリエステル、例えば、ポリ−β−ヒドロキシブチレート−コ−β−ヒドロキシバレレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
ポリマー着色剤またはポリエステル組成物と、1つ以上のさらなる樹脂(例えば結晶性樹脂)との重量部の比率は、任意の適切な比率、例えば、ポリマー着色剤またはポリエステル組成物とさらなる樹脂または複数の樹脂の合計重量に対し、100:0〜50:50重量部であってもよい。
【0085】
ポリマー着色剤、ポリマー組成物、物品またはトナーは、本明細書に記載するポリマー着色剤に加え、場合により、1つ以上の着色剤を含んでいてもよい。さらなる着色剤を含むことを利用し、着色したポリマー着色剤、ポリマー組成物、物品またはトナーを固有にさらに調整することができる。
【0086】
さらなる着色剤は、カーボンブラック、マグネタイト、および表面処理されたマグネタイトを含む任意の適切な着色剤または望ましい着色剤を含んでいてもよい。
【0087】
また、着色した顔料、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、グリーン、ブラウン、ブルーまたはこれらの混合物を使用してもよい。さらなる顔料または複数の顔料を水系顔料分散物として使用してもよい。
【0088】
マゼンタ顔料の例としては、2,9−ジメチル置換キナクリドン、Color IndexでCl 60710として特定されるアントラキノン染料、Color IndexでCl 26050として特定されるCl Dispersed Red 15ジアゾ染料、Cl Solvent Red 19が挙げられる。
【0089】
シアン顔料としては、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、Color IndexでCl 74160、CI Pigment Blue、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4として特定される銅フタロシアニン顔料、Color IndexでCI 69810で特定されるAnthrazine Blue、Special Blue X−2137が挙げられる。
【0090】
イエロー顔料としては、ジアリーリドイエロー 3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、Color IndexでC.I.12700、C.I.Solvent Yellow 16として特定されるモノアゾ顔料、Color IndexでForon Yellow SE/GLNで特定されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI Disperse Yellow 3、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリドおよびPermanent Yellow FGLが挙げられる。
【0091】
トナー組成物は、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい。
【0092】
界面活性剤または合計量の界面活性剤は、任意の量で用いられてもよく、例えば、トナーを作成する組成物の0.01重量%〜5重量%の量で使用されてもよい。
【0093】
本明細書のトナーは、ワックスを含んでいてもよく、ワックスは、1種類のワックスであってもよく、2種類以上の異なるワックスの混合物であってもよい。
【0094】
ワックスを、トナー粒子を作成するためのポリエステルモノマー単位とアリザリン単位とを含むポリマーと合わせてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスは、任意の量で、例えば、トナー粒子の1〜25重量%の量で存在していてもよい。
【0095】
凝集因子を用いてもよく、凝集因子は、無機カチオン性凝固剤、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)、硫酸アルミニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ベリリウム、アルミニウム、ナトリウムの塩化物、一価および二価のハロゲン化物を含む他の金属ハロゲン化物であってもよい。
【0096】
凝集因子は、エマルション中に、トナーの合計固形分を基準として0〜10重量%の量で存在していてもよい。
【0097】
凝集が終了した後に捕捉剤またはキレート化剤を入れ、凝集プロセスから金属錯化イオン(例えば、アルミニウム)を錯化または抽出してもよく、錯化する構成要素、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含んでいてもよい。
【0098】
トナー粒子は、当業者の技術常識の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよい。
【0099】
乳化/凝集プロセスに関連する実施形態では、樹脂(すなわち、本明細書で記載するポリエステル−アリザリンポリマー)を溶媒に溶解してもよく、乳化媒体(例えば、脱イオン水のような水、場合により、安定化剤を含み、場合により、界面活性剤を含む)内で混合してもよい。安定化剤を用いる場合、安定化剤は、樹脂の0.1重量%〜5重量%の量で存在していてもよい。
【0100】
界面活性剤を水系乳化媒体に加えてもよい。
【0101】
乳化凝集プロセスに関連する実施形態では、乳化後、樹脂、任意要素の着色剤、任意要素のワックスおよび任意の他の望ましい反応剤の混合物をエマルション中で、場合により、上述の界面活性剤を用いて凝集させ、次いで、場合により、凝集した混合物を融着させることによって、トナー組成物を調製してもよい。混合物は、任意要素のワックス、任意要素の着色剤または他の材料(場合により、界面活性剤を含む分散剤であってもよい)を、樹脂を作成する材料を含むエマルション(必要な試薬を含む2種類以上のエマルションの混合物であってもよい)に加えることによって調製されてもよい。得られる混合物のpHを、酸を用いて2〜4.5に調節してもよい。
【0103】
上述の化合物を調製した後、多くは、初期の重合反応からの小さな粒子(多くは、ナノメートル程度の大きさ)から、大きな粒子または凝集物(多くは、マイクロメートル程度の大きさ)を生成することが望ましい。この混合物に凝集因子を加えてもよい。適切な凝集因子としては、例えば、二価カチオン、多価カチオンまたはこれらを含む化合物、および金属イオンを含む化合物の水溶液が挙げられる。
【0104】
凝集因子は、上に与えたように、ポリハロゲン化アルミニウム、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)であってもよい。
【0105】
樹脂またはポリマーのT
gより低い温度で、凝集因子を混合物に加えてもよい。
【0106】
反応混合物の0.1〜1pphの量で、混合物に凝集因子を加え、トナーを作成してもよい。
【0107】
凝集因子を、時間をかけて混合物に秤量して加えてもよい。
【0108】
さらに、混合物を撹拌状態に維持しつつ、例えば、約50rpm〜約1,000rpmで、樹脂またはポリマーのT
gより低い温度で(30℃〜90℃で)凝集因子を加えてもよい。
【0109】
所定の望ましい粒径が得られるまで、粒子を凝集させてもよい。平均粒径の場合、成長プロセス中に、COULTER COUNTERを用いて粒径を監視してもよい。したがって、所望の凝集した粒子を得るために、撹拌を維持しつつ、例えば、混合物を高温に維持することによって、または、その温度までゆっくりと上げ(例えば、40℃から100℃)、混合物をこの温度に0.5時間〜6時間維持することによって、凝集を進めてもよい。所定の望ましい粒径に到達したら、成長プロセスを止める。
【0110】
トナー粒子の特徴は、任意の適切な技術および装置によって決定されてもよい。容積平均粒径および幾何標準偏差は、製造業者の指示にしたがって操作されるBeckman Coulter MULTISIZER 3といった装置を用いて測定されてもよい。
【0111】
凝集粒子は、大きさが6μm未満、2〜5μm、または2.5μm〜4.5μmであってもよい。
【0112】
所望の粒径になるまで凝集させ、任意要素の任意のシェルを塗布した後、粒子が所望の最終形状(例えば、円形)になるまで融着させ、例えば、形状および粒径の不規則性を修正し、融着は、例えば、混合物を45℃〜100℃(トナー粒子を作成するために用いられる樹脂のT
g以上であってもよい)まで加熱することによって達成されるか、および/または、例えば、1000rpmから100rpmまで撹拌を遅くすることによって達成されてもよい。融着を0.01〜9時間行ってもよい。
【0113】
凝集および/または融着の後、混合物を室温まで冷却してもよい。冷却した後、トナー粒子を、水で洗浄し、その後乾燥させてもよい。
【0114】
安息香酸アルキルエステルを含む融着剤を使用してもよい。
【0115】
融着剤が蒸発する(すなわち、樹脂またはポリマーのT
gより高い温度で)。したがって、最終的なトナー粒子は、残留する融着剤を含まないか、または本質的に含まないか、または実質的に含まない。
【0116】
融着工程または融合工程の前に、任意の量で、例えば、反応媒体中の固形分含有量を基準として0.01〜10重量%の量で融着剤を加えてもよい。
【0117】
生成したトナー粒子、凝集物または融着した粒子に任意要素のシェルを塗布してもよい。コアに適しているとして上に記載したものを含む任意のポリマー(例えば、ポリエステル−アリザリンポリマー)をシェルに使用してもよい。当業者の技術常識の範囲内にある任意の方法によって、シェルポリマーを粒子または凝集物に塗布してもよい。
【0118】
アモルファスポリエステル樹脂を使用し、粒子または凝集物の上にシェルを作成し、コア−シェル構造を有するトナー粒子または凝集物を作成してもよい。低分子量アモルファスポリエステル樹脂を使用し、粒子または凝集物の上にシェルを作成してもよい。
【0119】
凝集粒子の上でのシェルの作成は、30℃〜80℃の温度まで加熱しつつ行ってもよい。シェルの作成は、5分〜10時間かけて行われてもよい。
【0120】
シェルは、トナー構成要素の1重量%〜80重量%の量で存在していてもよい。
【0121】
トナーは、既知の電荷制御剤をトナーの0.1〜10重量%の量で含んでいてもよい。
【0122】
例えば、洗浄または乾燥の後、表面添加剤をトナーに加えてもよい。
【0123】
このようにして作成したトナー粒子を担体粒子と混合することによって、現像剤配合物に配合し、2成分系現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナーの濃度は、現像剤の合計重量の1重量%〜25重量%であってもよく、現像剤組成物の残りの部分は担体である。トナー粒子と混合するための担体粒子の例としては、トナー粒子と反対の極性を有する電荷を摩擦電気によって得ることが可能な粒子が挙げられ、例えば、顆粒状ジルコン、顆粒状ケイ素、ガラス、鋼鉄、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素および1つ以上のポリマーが挙げられる。
【0124】
適切な担体は、例えば、大きさが25〜100μmのコアを備えていてもよい。
【0125】
担体粒子は、コアと、その上にコーティングを備えていてもよく、コーティングは、帯電列に近い位置にはないポリマーまたはポリマー混合物から作られてもよい。コーティングは、フルオロポリマー、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレン、メタクリル酸メチル、シラン、例えば、トリエトキシシラン、テトラフルオロエチレンのターポリマーを含んでいてもよい。コーティングは、コーティング重量が担体の0.1〜5重量%であってもよい。コーティングは、カーボンブラックを含んでいてもよい。
【0126】
担体粒子は、担体コアとポリマーとを、コーティングされた担体粒子の重量を基準として0.05〜10重量%の量で、例えば、機械的な衝撃および/または静電引力によって担体コアへの接着が得られるまで混合することによって調製されてもよい。
【0127】
本明細書のポリマー着色剤ラテックスは、ポリマー着色剤の水性分散物を含み、ポリマー着色剤は、ポリマーモノマー単位と、ポリマーに組み込まれ、ポリマー着色剤に色を付与する少なくとも1種類のアリザリン単位と、場合により、ラテックスに適した任意の構成要素から選択される1つ以上のさらなる構成要素とを含む。さらなる構成要素は、ポリマー着色剤ラテックスを使用すべき用途に基づいて選択することができる。
【0128】
本発明のポリマー着色剤を含むポリマーラテックスは、さらに、任意の適切なポリマー材料またはラテックス添加剤を含んでいてもよい。ポリマー着色剤またはトナーの調製について本明細書で上に記載したさらなるモノマー、ポリマーおよび他の材料が、本発明のポリマー着色剤を含む本発明のポリマーラテックスに含まれていてもよい。
【0129】
本発明のポリマーラテックスは、ポリエステルの水性分散物をさらに含んでいてもよい。本発明のインク組成物に任意の適切なポリエステルを使用してもよい。
【0130】
本発明のポリマーラテックスは、本発明のポリマー着色剤、アモルファスポリエステル、結晶性ポリエステル、またはアモルファスポリエステルと結晶性ポリエステルの混合物を含んでいてもよい。
【実施例】
【0131】
(実施例1)
ポリマー全体の重量に基づいて、71重量%のポリマー着色剤が生物由来であり、残りの15%が石油由来である、14重量%の生物由来アリザリンを含む生物によって再生可能なポリマー着色剤の製造。250ミリリットル(ml)の丸底フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られた250ミリモル(mmol)、0.31当量(eq.)、29.5グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたアリザリン(250mmol、0.074eq.、14.30グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたコハク酸(500mmol、0.621eq.、59.0グラム)、ブチル水素タンニン酸塩触媒(Fascat(登録商標)4100、5mmol、0.0062eq.、1.124g)を入れた。フラスコにオーバーヘッドスターラー、加熱マントル、窒素ライン、凝縮器およびDean−Starkトラップを取り付けた。重合を190〜195℃で15時間行った。縮重合中に水が生成し、トラップに集めた。酸価が1mg KOH/g樹脂未満になったら、フラスコからポリマーを取り出した。
【0132】
(実施例2)
4%の生物由来構成要素を含む生物によって再生可能なポリマー着色剤の製造(アリザリンは、唯一の生物由来の構成要素である)。すなわち、実施例2は、4重量%の生物由来ポリマー着色剤を含み、アリザリンは、ポリマー全体を基準として、唯一の生物由来構成要素である。250ml丸底フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD、300mmol、0.40eq.、35.5グラム)、アリザリン(22.5mmol、0.03eq.、5.40グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたテレフタル酸ジメチル(DMT、450mmol、0.60eq.、87.0g)、ブチル水素タンニン酸塩触媒(Fascat(登録商標)4100、5mmol、0.0067eq.、1.124グラム)を入れた。フラスコにオーバーヘッドスターラー、加熱マントル、窒素ライン、凝縮器およびDean−Starkトラップを取り付けた。重合を190〜195℃で15時間行った。縮重合中に水が生成し、トラップに集めた。軟化点(Ts)が100℃より大きくなったら、フラスコからポリマーを取り出した。樹脂のTsは、FP80 Central ProcessorおよびFP83 Dropping CellからなるMettler FP 800 Thermosystemによって決定した。目標Tsに達するまで、温度が1℃/分で上昇するようにプログラミングした。
【0133】
(実施例3)
60重量%の生物由来の1,12−ドデカン二酸と、20重量%の石油系1,12−ドデカン二酸とを含む、生物によって再生可能なポリマー着色剤の製造。60重量%の実施例3のポリマー着色剤は、アリザリン(7重量%)と、ポリマー着色剤を含む他の生物由来材料とを含む生物由来である。250mlの丸底フラスコに、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られた1,3−プロパンジオール(180mmol、0.30eq.、13.70グラム)、アリザリン(30mmol、0.05eq.、7.21グラム)、テレフタル酸ジメチル(DMT、210mmol、0.35eq.、40.8グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られた1,12−ドデカン二酸(180mmol、0.30eq.、41.50グラム)、ブチル水素タンニン酸塩触媒(Fascat(登録商標)4100、5mmol、0.0083eq.、1.124グラム)を入れた。フラスコにオーバーヘッドスターラー、加熱マントル、窒素ライン、凝縮器およびDean−Starkトラップを取り付けた。重合を195〜205℃で20時間行った。縮重合中に水が生成し、トラップに集めた。材料が非常に砕けやすく/粉状であったため、分析することなくポリマーをフラスコから取り出した。このポリマー材料で色分析を行った。
【0134】
(実施例4)
ポリマー着色剤の合計重量を基準として4重量%の生物由来構成要素を含む、生物によって再生可能なポリマー着色剤の製造(アリザリンは、唯一の生物由来の構成要素である)。250ml丸底フラスコに、1,6−ヘキサンジオール(400mmol、0.95eq.、47.3グラム)、アリザリン(21.05mmol、0.05eq.、5.06グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたイソフタル酸(421mmol、1.0eq.、69.9グラム)、ブチル水素タンニン酸塩触媒(Fascat(登録商標)4100、7.16mmol、0.017eq.、1.495グラム)を入れた。フラスコにオーバーヘッドスターラー、加熱マントル、窒素ライン、凝縮器およびDean−Starkトラップを取り付けた。重合を200〜210℃で24時間行った。縮重合中に水が生成し、トラップに集めた。軟化点(Ts)が80℃より大きくなったら、フラスコからポリマーを取り出した。樹脂のTsは、FP80 Central ProcessorおよびFP83 Dropping CellからなるMettler FP 800 Thermosystemによって決定した。目標Tsに達するまで、温度が1℃/分で上昇するようにプログラミングした。
【0135】
(実施例5)
3.5重量%の生物由来アリザリンを含む、生物によって再生可能なポリマー着色剤の製造。実施例5は、100重量%の生物由来ポリマーを含み、すなわち、すべてのモノマーが生物由来であり、3.5重量%がアリザリンである。250ml丸底フラスコに、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたアゼライン酸(69.8mmol、0.10eq.、13.13グラム)、アリザリン(13.95mmol、0.02eq.、3.35グラム)、コハク酸(314mmol、0.45eq.、37.1グラム)、Sigma−Aldrich(登録商標)から得られたイソソルビド(300mmol、0.43eq.、43.8グラム)、ブチル水素タンニン酸塩触媒(Fascat(登録商標)4100、13.95mmol、0.01eq.、1.457グラム)を入れた。フラスコにオーバーヘッドスターラー、加熱マントル、窒素ライン、凝縮器およびDean−Starkトラップを取り付けた。重合を200℃(17時間)から開始し、240℃(8時間)までの範囲の温度で行った。縮重合中に水が生成し、トラップに集めた。軟化点(Ts)が95℃より大きくなったら、フラスコからポリマーを取り出した。樹脂のTsは、FP80 Central ProcessorおよびFP83 Dropping CellからなるMettler FP 800 Thermosystemによって決定した。目標Tsに達するまで、温度が1℃/分で上昇するようにプログラミングした。
【0136】
(比較例6)
実施例1と同様であるが、但し、コハク酸(0.415eq.)、イソソルビド(0.488eq.)およびアゼライン酸(0.098eq.)を用い、比較例を調製した。比較例6は、100%生物由来であるが、実施例5のアリザリン系生物由来ポリマーと同じ色向上特性を示さない。
【0137】
(比較例7)
花王株式会社(日本)から得られるプロポキシル化ビスフェノールAポリエステルおよびエトキシル化ビスフェノールAポリエステルを含む高分子量アモルファスポリマー。実施例7のポリマーは、着色剤を含んでいない。
【0138】
(比較例8)
花王株式会社(日本)から得られるプロポキシル化ビスフェノールAポリエステルを含む低分子量アモルファスポリマー。実施例8のポリマーは、着色剤を含んでいない。
【0139】
表1は、実施例1〜5のアリザリン系ポリマーと、実施例6〜8の比較となるポリマーの分析データを示す。
【表1】
【0140】
(実施例9)
実施例1〜5の5種類のアリザリン系ポリマーを、Xerox(登録商標)Digital Color Elite紙基材に膜として塗布した。この目的のために、実施例1〜5のポリマー着色剤を加熱して溶融し、次いで、ギャップが10milの3インチ平方のブレードを用い、コーティングした。このサンプルを熱い表面からすぐに取り出し、室温まで冷却した。実施例1〜5の合成したポリマーの物理属性は、色がマホガニーブラウンから黒褐色であり、柔軟性は、柔らかい/展性から硬い/脆いの範囲であり、物理特性は、使用するポリエステル配合物およびモノマーの種類に依存した。
【0141】
(実施例10)
色の測定は、例えば、一般的にCIELABと呼ばれるCIE(Commission International de I’Eclairage)仕様によって特徴づけられ、L
*、a
*およびb
*は、修正された反対色座標であり、3次元空間を形成し、L
*は、色の明度を特性決定し、a
*は、赤みを概算的に特性決定し、b
*は、色の黄色みを概算的に特性決定する。実施例1〜5のポリマー着色剤の色測定は、光源D50を用い、視野2°でGretagMacbeth Spectrolino Colorimeterを用いて行った。
図1は、CIE L
*a
*b
*(CIELAB)色空間のa
*およびb
*を示す。Pantone(登録商標)原色は、赤/マゼンタ(+ve値)および緑(−ve値)、a
*および黄色(+ve値)および青色(−ve値)、b
*の間にある。実施例1〜5のポリマーのa
*b
*値は、すべて黒色領域(四分円の中央部)にあり、Pantone(登録商標)黒色と線状になっている。
図1の垂直方向の点線は、実施例の値が両方0,0に非常に近いことを強調している。
【0142】
(実施例11)
実施例1〜5のアリザリン系ポリマー着色剤の光沢測定は、BYK Gardner Micro−Gloss 60°Gloss Meterを用いて測定した。いくつかの実施形態では、本発明の生物によって再生可能なポリマー着色剤は、使用する生物によって再生可能なモノマー、架橋の量、ある場合には、ポリマーの結晶度:結晶性、半結晶性またはアモルファスの関数として、樹脂の光沢を調整することができる。表2は、アリザリン系ポリマーの光沢測定を示す。
【表2】
【0143】
(実施例12)
1リットルのステンレス反応器に、コハク酸(0.48eq.)およびアリザリン(0.02eq.)を入れ(両方ともSigma−Aldrich(登録商標)製)、少量の窒素を流しつつ、攪拌しながら温度を190℃まで上げた。次いで、TCI Chemicals製の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(0.50eq.)を、滴下ラインから、周囲圧力下、溶融したコハク酸/アリザリンを40rpmで攪拌しつつ、溶融したコハク酸/アリザリンに連続して約2時間かけて滴下した。滴下中に、内温を連続して250℃まで上げた。1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを滴下しつつ、水を蒸留し、部分的な凝縮器によって反応系から除去し、凝縮器全体はそれぞれ100℃に維持しておいた。このバッチ重合容器は、水蒸気およびジアミンを部分的な凝縮器に分離し、ジアミンを重合容器に戻すように、部分的な凝縮器を備えることが必要であり、それによって、ジアミン成分が逃げるのを効果的に防ぐ。ヘキサン−1,6−ジアミンの滴下が終わったら、温度を0.2℃/分の速度で挙げつつ、連続的に攪拌しながら圧力を周囲圧力に20分間保持した。次いで、圧力を5分かけて80kPaまで下げ、そのまま15分間保持した。その後、設定点での攪拌トルクを測定した。攪拌トルクを測定した直後に、着色したポリアミドを取り出し、水で冷却することによって固化させた。
【0144】
(実施例13)
工程1。200.88グラム(2.64mol)の1,3−プロパンジオール、121.35グラム(0.6mol)のあらかじめ溶融させておいたセバシン酸(両方ともSigma−Aldrich(登録商標)製)を500ミリリットル反応器に入れ、混合物を攪拌しつつ、透明物質が得られるまで、約100℃まで加熱した。次いで、116.4グラム(0.6mol)のテレフタル酸ジメチルおよび4.8グラム(0.02mol)のアリザリン(両方ともSigma−Aldrich(登録商標)製)を加え、次いで、混合物を150℃まで加熱し、次いで、1.3グラム(反応剤の合計重量に対して0.3重量%)の酢酸亜鉛二水和物(Sigma−Aldrich(登録商標))を加えた。エステル交換から生成するメタノール/水を除去するために、反応混合物の温度を150℃で3時間維持し、次いで、45分かけて200℃まで上げ、3時間維持した。次いで、攪拌を遅くしつつ、混合物を室温まで戻した。温度が50℃に達したら、300ミリリットルの1,2−ジクロロエタンを加えた。次いで、この溶液を1.7リットルの1,2−ジクロロエタンで希釈し、さらに、水で洗浄することによって精製した。次いで、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後濾過し、減圧下で蒸発させることによって抽出溶媒を除去した。約300グラムの予想されるポリエステルマクロジオールを得た。
【0145】
工程2。78.6グラム(0.3mol)のジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび150グラムの1,2−ジクロロエタンを、窒素下、1リットル反応器に入れた。窒素流の下で混合物を30分間環流させ、次いで、80℃で30分間攪拌した。80.0グラム(0.15mol)の工程1の着色したポリエステルマクロジオールを、あらかじめ200グラムの1,2−ジクロロエタンに溶解しておき、これを80℃で15分間かけて滴下した。3時間後、4.8グラム(0.075mol)のエタノールアミンを50グラムの1,2−ジクロロエタンに溶解したものを加え、反応を1時間かけて進めた。10.05グラム(0.075mol)のジメチロールプロピオン酸をあらかじめ30グラムのジメチルホルムアミドに溶解しておき、これを入れ、次いで、0.45グラムのスズ 2−エチルヘキサノエートを入れた。80℃で12時間後、残留イソシアネート基が存在しないことを赤外線によって確認した。(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの消費が完全ではない場合、100グラムのエタノールを混合物に加え、環流状態であと数時間反応を進める。)冷却した後、着色したポリエステル/ポリウレタンの溶液をシクロヘキサン中、沈殿によって精製し、オーブン中、沈殿を50℃、減圧下で乾燥させた。
【0146】
本発明のポリマー着色剤は、低分子染料および顔料の利点を与える。本発明のポリマー着色剤によって達成される利点は、低分子染料と比較して、着色剤がポリマー構造に組み込まれているため、化学安定性および熱安定性が高いこと;着色剤の移動が少ないこと、顔料と比較したときに、類似する化学構造に起因して、マーキング材料の基本成分との相溶性が優れていること、生物によって再生可能なコモノマーを変えることによって色を調整すること、を含む。
【0147】
アリザリンを含むポリマー着色剤は、多くのプラスチック材料において、カーボンブラックの良好な代替品を与えるだろう。カーボンブラックのような顔料を着色剤として加えるには、適切な程度の黒度(光吸収−漆黒性)および底色(散乱)を確保するのに良好な分散品質を必要とする。化合物に組み込まれる場合、カーボンブラックの粒径は、水分の取り込みに主に影響を与え、プラスチックの特性、例えば、可塑化および水遮蔽性(例えば、包装)に起因するTgを変えてしまうだろう。プラスチック化合物の性能に影響を与え得るさらなるカーボンブラックの特性としては、硫黄、灰分、残渣などのような、カーボンブラックの他の構成要素、その物理的形態(例えば、粉末またはビーズ)が挙げられる。本発明の固有の着色したポリマー着色剤を、ポリマー(プラスチック)の一部として使用し、カーボンブラック系プラスチックが有しているであろう多くの問題を解決することができる。
【0148】
ポリエステルを含むポリマー着色剤は、乳化凝集トナーの製造に特に適しており、生物によって再生可能であり、部分的または完全な着色/色のための生物由来の代替物として、生物によって再生可能なアリザリンおよび種々のレベルの生物によって再生可能なコポリマー構成要素を含む着色したポリマーが与えられ、アリザリン単位が巨大分子構造内に組み込まれているため、低分子染料と比較したとき、色移動性が低下することによって色安定性が高まり、ほとんどの有機ポリマーとの相溶性が高まり、このことは、面倒で資源集約的なプロセスとなり得る顔料分散の必要性がないことによって、着色剤を組み込んだ物質の組成物を製造するとき、顔料系組成物と比較したときに有益であり、配合物に加えるアリザリンのモルパーセントおよびアリザリンと組み合わせて使用するモノマーの種類によって色を制御し、本発明のポリマー着色剤を褐色がかった赤色から黒色に調整するという色調整特徴を与え、したがって、個々の望ましい色のために個々の物質を合成する代わりに、1つの物質を用いてスポット色の設計を可能にする。アリザリン顔料と特定のモノマーの組み合わせ/当量を含み、異なる色−濃淡を有するアリザリン系ポリマーを得ることができる。最低限の量のカーボンブラック、マゼンタ、シアンなどを加えることによって、ポリマー着色剤を使用し、CMKYブラックの代わりに単一のスポット色として、寒色、リッチブラック、褐色がかった黒色、ルビーブラック、暖色系の黒などを再現することができる。