【文献】
Eugen Baumgart and Ulrich Kubitscheck,Scanned light sheet microscopy with confocal slit detection,OPTICS EXPRESS,2012年 9月 7日,Vol. 20, No. 19, p. 21805-21814
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明による画像取得装置、及び撮像装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態の画像取得装置1の構成を模式的に示す平面図であり、
図2は、
図1の画像取得装置1の側面図である。本実施形態による画像取得装置1は、サンプル(対象物)Sに対して照明光を照射してその結果生じた蛍光像(画像)を取得するための装置である。以下の説明において、サンプルSに対して照射される照明光の照射光学系の光軸に沿った方向をX軸方向とし、その方向に垂直なサンプルSからの蛍光の検出光学系の光軸に沿った方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向をZ軸方向とする。なお、画像取得装置1は、サンプルSの蛍光像を取得する構成には限定されず、サンプルSの反射像、透過像、散乱像を取得する構成であってもよく、明視野顕微鏡装置、暗視野顕微鏡装置、反射型顕微鏡装置などの様々な構成の顕微鏡装置やフローサイトメータなどの様々な画像取得装置であってもよい。
【0017】
画像取得装置1は、サンプルS中の蛍光物質を励起する所定の波長の照明光を出射する光源3と、光源3からの照明光を導光手段5を介して受ける光スキャナ(光走査部)7と、光スキャナ7を制御する光スキャナ制御部(光走査制御部)9と、光スキャナ7からの照明光を導くリレー光学系(照射光学系)11と、リレー光学系11によって導かれた照明光をサンプルSに向けて集光する対物レンズ(照射光学系)13と、サンプルSからの蛍光を集光する対物レンズ(検出光学系)15と、対物レンズ15からの蛍光を導光するリレー光学系(検出光学系)17と、リレー光学系17によって導光されたサンプルSからの蛍光像を撮像する撮像装置19と、撮像装置19及び光スキャナ制御部9に電気的に接続された算出部21とを含んで構成されている。撮像装置19によって撮像された蛍光像は、画像取得装置1に接続されるディスプレイ装置等の出力手段(図示せず)によって出力される。
【0018】
導光手段5は、シングルモードファイバ等の光ファイバによって構成されてもよいし、他の種類の光ファイバやレンズによって構成されてもよい。光スキャナ7は、導光手段5からの照明光を少なくとも一方向(例えば、
図2のXZ平面に沿った一方向)に走査する。例えば、光スキャナ7は、ガルバノミラーによって構成されるガルバノスキャナである。光スキャナ7は、照明光を走査することにより、リレー光学系11及び対物レンズ13を経由してサンプルS中に集光される照明光の被照射領域を、少なくとも一方向(例えば、
図2のZ軸方向に)に移動させることを可能にする。ここで、光源3から導光手段5、光スキャナ7、リレー光学系11、対物レンズ13を経由してサンプルSに照射される照明光は、スポット状の光であってもよいし、一方向(例えば、Y軸方向)に広がったシート形状の光であってもよい。
【0019】
撮像装置19は、複数の画素列が配列された受光部を含む撮像素子19aと、撮像素子19aの露光及び信号読み出しを制御する撮像制御部19bとを含み、受光部から複数の画素列ごとのローリング読み出しによる信号読み出しが可能な装置である。例えば、撮像装置19は、CMOSイメージセンサを含むカメラ装置であり、CMOSイメージセンサのいわゆるローリングシャッターによって露光及び信号読出しを可能とする。この撮像装置19に接続された算出部21は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、光スキャナ制御部9から光スキャナ7の走査速度に関する信号を受けて、その信号を基に撮像装置19における画素列毎の露光及び信号読み出しを制御するための信号を生成し、撮像装置19の撮像制御部19bに向けて送出する(詳細は、後述する。)。
【0020】
ここで、
図3を参照して、画像取得装置1におけるサンプルSに対する照明光の走査状態と撮像素子19aにおける蛍光像の被照射領域との関係について説明する。
図3(a)〜(d)は、サンプルSに対する照明光の走査状態を時系列に示す側面図であり、
図3(e)〜(h)は、それぞれ、
図3(a)〜(d)の走査状態に対応した撮像素子19aにおける蛍光像の結像状態を示している。
【0021】
図3(a)〜(d)に示すように、光スキャナ7の走査によりサンプルS中に照射される照明光は一方向(Z軸方向)に沿って移動する(走査される)。ここで、
図3(e)〜(h)に示すように、撮像素子19aは、その受光面(受光部)19cが検出光学系の光軸(Y軸方向)に垂直になるように配置され、その受光面19cには、受光面19c上に結像された蛍光像を撮像する複数の画素列19dがZ軸方向に沿って配列されている。このような撮像素子19aの配置及び構成により、光スキャナ7による照明光の走査によるサンプルS中の蛍光発生個所の移動に応じて、受光面19cに結像されるサンプルSの蛍光像の被照射領域R1は、複数の画素列19dの配列方向(Z軸方向)に沿って移動する(走査される)。被照射領域R1の範囲は、様々な範囲に設定されうるが、
図3の例では4列の画素列19dをカバーする範囲になるように全体の照射光学系及び検出光学系が設定されている。
【0022】
次に、
図4を参照して、サンプルSの被照射領域の走査に応じた撮像装置19の露光及び信号読み出しの動作について説明する。
図4(a)〜(e)は、撮像装置19の受光面19c上における被照射領域R1の走査状態を時系列に示す側面図であり、
図4(f)〜(j)は、それぞれ、
図4(a)〜(e)の走査状態に対応して制御された受光面19cの各画素列19dにおける露光及び信号読み出しのタイミングを示すタイミングチャートである。
【0023】
図4(a)〜(e)に示すように、光スキャナ制御部9により、受光面19c上の移動速度が所定速度SP1になるように光スキャナ7の走査速度SP0が制御される。このような走査速度SP0と移動速度SP1との関係は、光スキャナ7の構成と、リレー光学系11及び対物レンズ13を含む照射光学系の構成によって定まるパラメータと、対物レンズ15及びリレー光学系17を含む検出光学系によって定まるパラメータとによって決定される。
【0024】
このような被照射領域R1の走査状態に対応して、撮像制御部19bによって各画素列19dにおける露光及び信号読み出しのタイミングが制御される。具体的には、撮像制御部19bは、各画素列19d毎に、蛍光像を露光して電荷信号を蓄積する期間である露光期間の直後に、その電荷信号を読み出す信号読み出し期間を設定し、その露光期間と信号読み出し期間とを含む期間を所定周期で繰り返すように制御する。このような露光期間及び信号読み出し期間の長さ、それらの開始タイミング、及び終了タイミングは、内部で発生する駆動クロックを基に設定する。
【0025】
より詳しくは、撮像制御部19bは、ある画素列19dn(nは任意の自然数)が光スキャナ7の走査に応じて被照射領域R1に入る駆動クロックに同期したタイミングで、リセット信号RSTを発生させてその画素列19dnの電荷を排出させると共に露光処理を開始させる(
図4(a)、(f))。その後、撮像制御部19bは、駆動クロックをカウントすることにより走査方向に隣接する画素列19d(n+1)の露光期間を所定期間だけ空けて開始させるようにリセット信号RSTを発生させる(
図4(b)、(g))。このように、走査方向に隣接する各画素列19d間で所定期間だけずらして、順次受光面19cの全画素列19dの露光が開始される。
【0026】
また、撮像制御部19bは、画素列19dnの露光期間を駆動クロックをカウントすることにより所定期間T1nほど継続させたタイミングで、読み出し開始信号S1を発生させることにより、画素列19dnの電荷信号の読み出しを開始させるように制御する(
図4(c)、(h))。すなわち、画素列19dnで蓄積された電荷信号が電圧に変換されて読み出される。さらに、撮像制御部19bは、画素列19dnの信号読み出し期間を駆動クロックをカウントすることにより所定期間T2nほど継続させたタイミングで、読み出し終了信号S2を発生させることにより、画素列19dnの電荷信号の読み出しを終了させるように制御する(
図4(d),(i))。
【0027】
同様にして、撮像制御部19bは、画素列19dnに隣接する画素列19d(n+1)の信号読み出し期間T2(n+1)を設定する。撮像装置19におけるローリング読み出しによる信号読み出しでは、画素列19dごとに読み出すタイミングを異ならせる必要があり、画素列19d毎の露光期間を同一に揃えるためには露光開始のタイミングを画素列毎にずらす必要がある。
図4の例では、撮像制御部19bにより、隣接する画素列19d間の読み出し開始信号S1の発生タイミングを所定間隔ΔT1だけ空けるように設定することにより、隣接する画素列19d間の信号読み出しの開始タイミングが所定間隔ΔT1だけずらされている。
【0028】
ここで、撮像制御部19bによって設定される信号読み出しの開始タイミングのずれ(間隔)ΔT1は、算出部21から撮像制御部19bに送出される制御信号によって可変にされている。詳細には、算出部21は、光スキャナ制御部9から光スキャナ7の走査速度SP0に関する情報を取得し、走査速度SP0、照射光学系の倍率等によって定まるパラメータ、及び検出光学系の倍率等によって定まるパラメータを基に、受光面19c上の被照射領域R1の移動速度SP1を算出する。さらに、算出部21は、算出した移動速度SP1を基に、受光面19c上の被照射領域R1の移動に同期して被照射領域R1に入った画素列19dが順次露光開始されるように露光期間の開始タイミングの間隔を計算し、それに合わせて、隣接する画素列19d間の信号読み出しの間隔として、隣接する画素列19d間の信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’を決定する。そして、算出部21は、算出した信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’を、外部信号として、撮像装置19の外部信号受信部19eに送出する。受信された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’は、撮像制御部19bにデータとして送られる。これにより、撮像制御部19bは、算出部21で設定された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に基づいて、各画素列の信号読み出し、例えば、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを制御する。なお、撮像装置19が算出部21を備えてもよい。その場合、撮像装置19の外部信号受信部19eは、外部信号として、走査速度SP0、照射光学系の倍率等によって定まるパラメータ、及び検出光学系の倍率等によって定まるパラメータなどのデータを受信する。また、外部信号としては、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’を設定するためのデータやパラメータであれば、これらに限るものではない。
【0029】
次に、
図5を参照して、撮像制御部19bによる信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1の調整動作について、より詳細に説明する。
図5は、撮像装置19における各画素列19dに設定される露光期間及び信号読み出し期間の関係を示すタイミングチャートである。
【0030】
図5(a)は、通常のローリング読出しの際の露光期間及び信号読み出し期間の関係を示すタイミングチャートである。通常のローリング読出しの場合、信号読出し期間T2は、信号読出しにかかる時間に設定され、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1は、信号読出し期間T2となるように設定される。従って、撮像制御部19bは、前の画素列19dに対する読み出し開始信号S1から、所定周期T0で繰り返される駆動クロックCLKを信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1に相当する数だけカウントすることによって、隣接する次の画素列19dに対する読み出し開始信号S1を発生させる。これに対して、
図5(b)では、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1を設定された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’とするために、信号読出しにかかる時間に相当する信号読出し期間T2の後に可変の遅延期間T3を設けている。詳細には、
図5(b)において、撮像制御部19bは、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’および信号読出し期間T2から遅延時間T3を算出し、駆動クロックCLKにおいて信号読出し期間T2に相当するクロック数に達する一つ前の駆動クロックCLKの後(読み出し開始信号S1の発生直前)のタイミングで遅延期間T3を設けるように駆動クロックを調整する。このとき、撮像制御部19bは、遅延期間T3では、駆動クロックを発生させないため、
図5(a)のΔT1に相当する駆動クロックCLKの数と同じ数だけ駆動クロックCLKの数をカウントすることによって、次の列の画素列19dに対して読み出し開始信号S1を発生させる。その結果、隣接する画素列19d間の信号読み出しの開始タイミングの間隔が時間ΔT1’=T2+T3に設定される。このようにすることで、撮像制御部19bは、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを、算出部21によって算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に応じて可変に制御することが可能である。なお、遅延期間T3を設けるタイミングは、読み出し開始信号S1の発生直前のタイミングに限らず、信号読出し期間T2中に設けても良い。
【0031】
また、撮像制御部19bは、画素列19d毎の露光期間を調整することで同時に露光する受光面19c上の露光領域の画素列の段数を可変に設定することも可能に構成されている。
図6には、撮像装置19の受光面19c上の被照射領域R1と、それに対して撮像制御部19bによって設定された受光面19c上の露光領域R2とを示している。一般に、受光面19cに入射するサンプルSからの蛍光をスリット状にすることは光学的に難しい。そこで、撮像制御部19bにより、同時に露光する画素列19dを含む露光領域R2の範囲(段数)を設定することで疑似的にスリット状の蛍光が入射した状態で撮像することが可能である。
【0032】
具体的には、
図7〜
図9には、撮像制御部19bによって露光領域R2の段数が制御された際の受光面19c上の各画素列19dに対して設定される露光期間を示している。それぞれの図において、(a)には、受光面19c上に設定される露光領域R2を示しており、(b)には、(a)に示す露光領域R2に対応して設定される各画素列19dの露光期間T1及び信号読み出し期間T2を示している。それぞれにおいて設定される露光期間T1及び信号読み出し期間T2は、隣接する画素列19d間のそれぞれの開始タイミングの間隔が、算出部21の算出結果を基に、受光面19c上の被照射領域R1の移動に同期するように設定される。
【0033】
図7に示すように、露光領域R2が4段に設定される場合には、撮像制御部19bによって、露光期間T1が重複する画素列19dの段数が4段になるように露光期間T1の長さが設定される。すなわち、算出部21が、光スキャナ制御部9から光スキャナ7の走査速度SP0に関する情報を取得し、走査速度SP0を基に算出した受光面19c上の被照射領域R1の移動速度SP1、受光面19cの走査方向(ローリング読み出し方向)における画素列19dの幅W1(
図6)、及び設定したい露光領域R2の画素列19dの段数に基づいて、各画素列19dに設定する露光期間の長さT1を算出する。さらに、算出部21は、算出した露光期間の長さT1を、外部信号として、撮像装置19の外部信号受信部19eに送出する。受信された外部信号は、撮像制御部19bに送出される。これにより、撮像制御部19bによって露光期間の長さT1が可変に調整される。例えば、撮像制御部19bにおいて露光期間の長さを規定する駆動クロック数が変更されることにより露光期間の長さT1が変更される。なお、算出部21は、露光期間の長さT1を決める露光領域R2の画素列19dの段数が可変に設定可能なように構成されている。このように、露光領域R2が複数段に設定されることにより、蛍光像の撮像の感度が向上する。
【0034】
同様に、
図8に示すように、露光領域R2が1段に設定される場合には、算出部21の算出結果を基に、撮像制御部19bによって、隣接する画素列19dの露光期間T1が重複しないように露光期間T1の長さが設定される。このように、露光領域R2が1段などの比較的少ない段数に設定されることにより、蛍光像の撮像の空間分解能が向上する。
【0035】
さらに、
図9に示すように、露光領域R2が1段に設定され、算出部21の算出結果を基に、撮像制御部19bによって、隣接する画素列19dの露光期間T1が重複しないように露光期間T1の長さが設定される。このとき、
図8に比較して被照射領域R1の移動速度SP1が遅く設定されているため、露光期間T1及び信号読み出し期間T2の長さが比較的長く設定される。このように、露光領域R2が比較的少ない段数で設定されることで、蛍光像の撮像の空間分解能が向上し、
図7及び
図8の場合に比較して各画素列19dの露光時間が長くなるので感度が向上する。一方で、
図7及び
図8の場合は、
図9に比較して走査速度が速いために時間分解能が優れている。
【0036】
さらに、画素列19dを構成する複数の画素のうち、信号を読み出す画素数を設定し、その画素数を、露光期間T1を算出するパラメータとしてもよい。この場合、画素列19d全体を読み出す必要がない場合、必要な画素だけ読み出すことが可能になる。また、信号読出し期間T2を短く設定することも可能となり、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1の設定にさらに自由度を持たせることが可能となる。
【0037】
従来の顕微鏡装置においては、CMOSセンサのローリングシャッターの動作に励起ビームのスキャンを同期するとしているため、励起光のスキャン速度に自由度を持たせることが困難である。その結果、様々な観察対象物に対する多様な条件での柔軟な観察ができない傾向にあった。
【0038】
そこで、本実施形態は、かかる課題に鑑みて観察対象物に対する照明光のスキャン速度の自由度を高めて柔軟な観察を可能とすることを1つの目的としている。
【0039】
以上説明した画像取得装置1によれば、光源3から出射された照明光が光スキャナ7によってサンプルSに対して走査され、それに応じてサンプルSから発せられた蛍光が検出光学系を介して撮像装置19によって撮像される。その際、照明光の走査による撮像装置19の受光面19c上の被照射領域R1の移動速度を基に、受光面19cの隣接する画素列19d間の信号読み出しの開始タイミングの間隔が算出され、算出結果を基に各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングが制御される。これにより、照明光の走査速度を変更してもそれに合わせて撮像素子における信号読み出しタイミングを最適化できるので、サンプルSに対する照明光の走査速度に自由度を持たせることで柔軟なサンプルSの観察が実現される。また、蛍光が照射されている間のみ必要な画素列の露光を行うことで、サンプルSの光走査範囲全体の像における散乱光等の背景ノイズの影響を低減して空間分解能を向上させることができる。
【0040】
ここで、撮像装置19は、信号読み出しの開始タイミングが駆動クロックに基づいて制御され、信号読み出しの開始タイミングの間隔が駆動クロックに遅延期間を設けることで調整される。これにより、駆動クロックをカウントするためのカウンターの上限に制限されること無く、各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングが簡易かつ確実に設定できる。また、各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングの間隔を細かく設定することができる。さらに、駆動クロックの周波数は維持されるため周波数変更によるローリング読み出しタイミングの最適化処理が不要になる。
【0041】
また、受光面19cによる各画素列19dの露光期間を設定することにより、受光面19c上の露光領域R2の段数を必要に応じて設定することができるので、観察や測定に応じて、空間分解能、時間分解能、及び撮像の感度を適宜調整することができる。
【0042】
また、各画素列19dを構成する複数の画素のうち、信号読出しを行う画素数を可変に設定できる。これにより、信号読出し期間T2の調整が可能となり、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1の設定にさらに自由度を持たせることが可能となる。
【0043】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、撮像制御部19bによる信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1の調整方法は、他の調整方法が採用されてもよい。
【0044】
図10は、本発明の変形例の撮像装置19における各画素列19dに設定される露光期間及び信号読み出し期間の関係を示すタイミングチャートである。同図に示す場合は、撮像制御部19bは、隣接する画素列19dの信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1を、各画素列の信号読み出し期間T2を規定する駆動クロック数を調整することによって設定する。すなわち、撮像制御部19bは、算出部21で算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’、及び駆動クロックCLKの周波数1/T0を基に、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に相当する駆動クロックCLKのクロック数を算出し、信号読み出し期間T2aに対応するクロック数として、駆動クロック数を調整する。従って、撮像制御部19bは、前の画素列19dに対する読み出し開始信号S1から、所定周期T0で繰り返される駆動クロックCLKを信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に相当する数だけカウントすることによって、隣接する次の画素列19dに対する読み出し開始信号S1を発生させる。このようにすることで、撮像制御部19bは、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを、算出部21によって算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1に応じて可変に制御することが可能である。この場合、各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングが簡易かつ確実に設定できる。また、各画素列19dの信号読み出しが終了したタイミングで駆動クロックが供給されても、空読み出しが行われるので信号読み出し処理には影響は与えない。さらに、駆動クロックの周波数は維持されるため周波数変更によるローリング読み出しタイミングの最適化処理が不要になる。
【0045】
さらに、
図11は、本発明の別の変形例の撮像装置19における各画素列19dに設定される露光期間及び信号読み出し期間の関係を示すタイミングチャートである。同図に示す場合は、撮像制御部19bは、各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングを、各画素列の信号読み出し期間T2を規定する駆動クロックの周波数を調整することによって設定する。すなわち、算出部21で算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’、及び信号読み出し期間T2を規定するクロック数を基に、信号読み出し期間T2bに対応する周波数に変更するように、駆動クロックの周波数1/T0aを算出し、駆動クロックCLKの周波数を算出された周波数1/T0aに調整する。従って、撮像制御部19bは、前の画素列19dに対する読み出し開始信号S1から、所定周期T0aで繰り返される駆動クロックCLKを信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に相当する数だけカウントすることによって、隣接する次の画素列19dに対する読み出し開始信号S1を発生させる。このようにすることで、撮像制御部19bは、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを、算出部21の算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1に応じて可変に制御することが可能である。この場合、駆動クロックをカウントするためのカウンターの上限に制限されること無く、各画素列19dの信号読み出しの開始タイミングが簡易かつ確実に設定できる。
【0046】
図12は、本発明の別の変形例の撮像装置19における各画素列19dに設定される露光期間及び信号読み出し期間の関係を示すタイミングチャートである。同図に示す場合は、撮像制御部19bは、前段の画素列19dの信号読み出しの終了タイミングと、次段の画素列の信号読み出しの開始タイミングとの間隔ΔT2を、その間隔ΔT2を規定する駆動クロック数を調整することによって設定する。すなわち、算出部21で算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’、及び信号読み出し期間T2、駆動クロックCLKの周波数1/T0を基に、間隔ΔT2を算出する。詳細すると、撮像制御部19bは、まず、前の画素列19dに対する読み出し開始信号S1から、所定周期T0で繰り返される駆動クロックCLKを信号読み出し期間T2に相当する数だけカウントすることによって、読出し終了信号S2を発生させる。そして、読出し終了信号S2から間隔ΔT2に相当するクロック数をカウントし、隣接する次の画素列19dに対する読み出し開始信号S1を発生させる。つまり、撮像制御部19bは、信号読み出し期間T2と間隔ΔT2を加えた期間T2cに相当するクロック数をカウントするため、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを、算出部21の算出された信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1に応じて可変に制御することが可能である。この場合、駆動クロックの周波数は維持されるため周波数変更によるローリング読み出しタイミングの最適化処理が不要になる。
【0047】
なお、
図5、
図10〜12に示した信号読み出しの開始タイミングの間隔の設定方法は、適宜組み合わせるように構成されていてもよい。また、
図5、
図10〜12に示した設定方法の中から、信号読み出しの開始タイミングの間隔ΔT1’に応じて、選択しても良い。
【0048】
また、撮像制御部19bは、イメージセンサが内蔵されていてもよい。また、上述の実施形態では、信号読み出しの間隔として、信号読み出しの開始タイミングの間隔を算出し(設定し)、撮像制御部19bは、各画素列の信号読み出しの開始タイミングを制御したが、これに限らず、例えば、信号読み出しの終了タイミングの間隔を算出し(設定し)、各画素列の信号読み出しの終了タイミングを制御してもよい。
【0049】
ここで、撮像装置は、信号読み出しが駆動クロックに基づいて制御され、撮像制御部は、算出された信号読み出しの間隔に基づいて、駆動クロックを調整することが好適である。かかる構成を採れば、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔が簡易かつ確実に設定できる。
【0050】
また、撮像制御部は、遅延期間を設けることで駆動クロックを調整することも好適である。この場合、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔を細かく設定することができる。
【0051】
さらに、撮像制御部は、遅延期間を信号読み出しの前に設定することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0052】
またさらに、撮像制御部は、駆動クロックの周波数を変更することで駆動クロックを調整することも好適である。こうすれば、各画素列の信号読み出しの間隔を簡易に設定できる。
【0053】
また、撮像装置は、信号読み出しが駆動クロックに基づいて制御され、撮像制御部は、算出された信号読み出しの間隔と駆動クロックの周波数に基づいて、信号読み出しを規定する駆動クロックの数を調整することが好適である。かかる構成を採れば、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔が簡易かつ確実に設定できる。
【0054】
さらに、撮像制御部は、信号読み出しの間隔を規定する駆動クロックの数を調整することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0055】
またさらに、撮像制御部は、信号読み出しの期間を規定する駆動クロックの数を調整することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0056】
また、算出部は、被照射領域の移動速度、画素列の幅、及び被照射領域に対応する画素列の段数に基づいて、受光部による露光期間を設定することが好適である。かかる構成を採れば、同時に露光可能な画素列の段数を必要に応じて設定することができるので、空間分解能及び時間分解能を適宜調整することができる。
【0057】
またさらに、被照射領域に対応する画素列の段数は可変に設定されることも好適である。この場合、空間分解能を自由に調整することができる。
【0058】
さらにまた、撮像制御部は、それぞれの画素列を構成する複数の画素のうち、信号読み出しを行う画素数を可変に設定することも好適である。この場合、信号読み出し期間の調整が容易であり、信号読み出しの間隔の設定にさらに自由度を持たせることが可能となる。
【0059】
或いは、本発明の撮像装置は、複数の画素列ごとのローリング読み出しによる信号読み出しが可能な撮像装置であって、複数の画素列が配列された受光部と、受光部の信号読み出しを制御する撮像制御部とを備え、撮像制御部は、駆動クロックに基づいて信号読み出しを制御し、隣接する画素列間の信号読み出しの間隔を可変に設定することが可能なように構成されている。
【0060】
このような撮像装置によれば、駆動クロックを基に受光部の隣接する画素列間の信号読み出しの間隔が変更される。これにより、観察対象物の画像信号の各画素列の信号読み出しのずれに自由度を持たせることで柔軟な対象物の観察を実現することができる。
【0061】
ここで、隣接する画素列間の信号読み出しの間隔は、受光部上の被照射領域の移動速度に基づいて設定されることが好適である。こうすれば、対象物の光走査範囲全体の像における散乱光等の背景ノイズの影響を低減して空間分解能を向上させることができる。
【0062】
また、撮像制御部は、受光部上の被照射領域の移動速度を基に算出された信号読み出しの間隔に基づいて、駆動クロックを調整することが好適である。かかる構成を採れば、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔が簡易かつ確実に設定できる。
【0063】
また、撮像制御部は、遅延期間を設けることで駆動クロックを調整することも好適である。この場合、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔を細かく設定することができる。
【0064】
さらに、撮像制御部は、遅延期間を信号読み出しの前に設定することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0065】
またさらに、撮像制御部は、駆動クロックの周波数を変更することで駆動クロックを調整することも好適である。こうすれば、各画素列の信号読み出しの間隔を簡易に設定できる。
【0066】
また、撮像制御部は、受光部上の被照射領域の移動速度を基に算出された信号読み出しの間隔と駆動クロックの周波数に基づいて、信号読み出しを規定する駆動クロックの数を調整することが好適である。かかる構成を採れば、撮像装置の各画素列の信号読み出しの間隔が簡易かつ確実に設定できる。
【0067】
さらに、撮像制御部は、信号読み出しの間隔を規定する駆動クロックの数を調整することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0068】
またさらに、撮像制御部は、信号読み出しの期間を規定する駆動クロックの数を調整することも好適である。こうすれば、各画素列間の信号読み出しのずれを容易に設定できる。
【0069】
また、被照射領域の移動速度、画素列の幅、及び被照射領域に対応する画素列の段数に基づいて、受光部による露光期間が設定されることが好適である。かかる構成を採れば、同時に露光可能な画素列の段数を必要に応じて設定することができるので、空間分解能及び時間分解能を適宜調整することができる。
【0070】
またさらに、被照射領域に対応する画素列の段数は可変に設定されることも好適である。この場合、空間分解能を自由に調整することができる。
【0071】
さらにまた、外部信号を受信する外部信号受信部をさらに備え、隣接する画素列間の信号読み出しの間隔は、外部信号に基づいて設定される、ことも好適である。かかる構成を採れば、観察対象物の画像信号の各画素列の信号読み出しの間隔を容易に設定することができ、柔軟な対象物の観察を実現することができる。
【0072】
また、撮像制御部は、それぞれの前記画素列を構成する複数の画素のうち、信号読み出しを行う画素数を可変に設定することも好適である。この場合、信号読み出し期間の調整が容易であり、信号読み出しの間隔の設定にさらに自由度を持たせることが可能となる。