特許第6240058号(P6240058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240058
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】新規なローダミン色素及び結合体
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/28 20060101AFI20171120BHJP
   G01N 33/533 20060101ALI20171120BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20171120BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20171120BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20171120BHJP
   A61K 49/04 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   C09B11/28 B
   G01N33/533
   C09B69/10 Z
   !C07K16/00
   !C12N15/00 A
   !A61K49/04
【請求項の数】21
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-222269(P2014-222269)
(22)【出願日】2014年10月31日
(62)【分割の表示】特願2013-502902(P2013-502902)の分割
【原出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-63693(P2015-63693A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2014年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/320,571
(32)【優先日】2010年4月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512253822
【氏名又は名称】ファーマコフォトニクス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレムベリ、ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】リングベリ、エリク
(72)【発明者】
【氏名】ベルトス、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】デ ベルデル、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ストリックランド、ジェイムズ エス.
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−523964(JP,A)
【文献】 国際公開第03/002715(WO,A1)
【文献】 米国特許第05459268(US,A)
【文献】 国際公開第2007/039502(WO,A1)
【文献】 特表2009−513753(JP,A)
【文献】 米国特許第05614386(US,A)
【文献】 国際公開第00/030632(WO,A1)
【文献】 特表2006−525022(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0295283(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0104380(US,A1)
【文献】 MIER WALTER,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY,2002年,V10 N8,P2543-2552
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00 − 69/10
C07D 201/00 − 521/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般構造を有するローダミン色素又はその塩と他の分子との結合体を含む組成物:
【化1】

式中、R及びRは水素であり、R〜Rのうちの1つのみが前記他の分子と結合している反応性の官能基であり、R、R及びRの群が独立して以下のように選択される、上記組成物:
が反応性の官能基である場合、Rは、
【化2】

又は
【化3】

あって及びRは水素であり;
が反応性の官能基である場合、Rは、
【化4】

又は
【化5】

あって、R及びRは水素であり;
が反応性の官能基の場合、Rは、
【化6】

【化7】

又は
【化8】

であってR及びRは水素であり、
又はRは、
【化9】

であり、R及びRのうちの他方は水素であり、
*はR、R及びRのそれぞれが、おのおのが結合しているフェニル環と結合する部位を示す。また、各式中において、記載を簡便化するため、窒素原子に水素原子が1個又は2個結合していることが化学的に明らかな箇所については、当該結合している水素原子の記載が省略されている。
【請求項2】
他の分子が巨大分子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
巨大分子が、ポリマー、タンパク質、多糖類、多糖類誘導体、脂質及び核酸からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
多糖類誘導体が、カルボキシメチル化デキストランである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
タンパク質が抗体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
核酸がDNA又はRNAである、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
塩が、トリフルオロ酢酸塩、塩化物、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカラート(saccharate)、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
塩が、トリフルオロ酢酸塩又は塩化物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
塩が、薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
以下の構造を有するローダミン色素およびその塩と他の分子との結合体を含む組成物であり、
【化12】

反応性の官能基であるNHが、前記他の分子に結合している、前記組成物。
【請求項11】
ローダミン色素が塩である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
塩が二塩化物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
他の分子が巨大分子である、請求項10の組成物。
【請求項14】
巨大分子が、ポリマー、タンパク質、多糖類、多糖類誘導体、脂質及び核酸からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
多糖類誘導体が、カルボキシメチル化デキストランである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
タンパク質が抗体である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
核酸がDNA又はRNAである、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
、R、R及びRが水素であり、R
【化13】

であり、巨大分子がカルボキシメチル化デキストランであり、
*はRが、Rが結合しているフェニル環と結合する部位を示し、
また上記式中において、記載を簡便化するため、窒素原子に結合していることが化学的に明らかな2個の水素原子については、当該結合している水素原子の記載が省略されている、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
、R、R及びRが水素であり、R
【化14】

であり、*はRが、Rが結合しているフェニル環と結合する部位を示し、又はR
【化15】

であり、R及びRのうちの他方は水素であり、巨大分子がカルボキシメチル化デキストランである、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
、R、R及びRが水素であり、R
【化16】

であり、巨大分子がカルボキシメチル化デキストランであり、
*はRが、Rが結合しているフェニル環と結合する部位を示し、
また上記式中において、記載を簡便化するため、窒素原子に結合していることが化学的に明らかな1個又は2個の水素原子については、当該結合している水素原子の記載が省略されている、請求項2に記載の組成物。
【請求項21】
、R、R及びRが水素であり、R
【化17】

であり、
*はRが、Rが結合しているフェニル環と結合する部位を示し、
また上記式中において、記載を簡便化するため、窒素原子に結合していることが化学的に明らかな2個の水素原子については、当該結合している水素原子の記載が省略されており、
巨大分子がカルボキシメチル化デキストランである、請求項2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2010年4月2日に出願された米国仮出願第61/320,571号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
なし。
【0003】
本発明は一般に、他の分子と結合すると単一異性体結合生成物を生成する、新規なローダミン色素に関する。
【0004】
発明の背景
ローダミン色素は蛍光を発し、遊離色素としても、また、例えばタンパク質及び抗体などのより大きい分子との結合体としても、広く研究に使用されてきた(Lee S、McAuliffe DJ、Kodama T、Doukas AG、In vivo transdermal delivery using a shock tube、Shock Waves(2000)10:307〜307;Janson LW、Ragsdale K、Luby−Phelps K、Mechanism and size cutoff for steric exclusion from actin−rich cytoplasmic domains.、Biophys J(1996)71:1228〜1234;Pu R、Robinson KR、Cytoplasmic calcium gradients and calmodulin in the early development of the fucoid alga Pelvetia compressa.、J Cell Sci(1998)111(Pt 21):3197〜3207;Nishiya T、Kajita E、Horinouchi T、Nishimoto A、Miwa S、Distinct roles of TIR and non−TIR regions in the subcellular localization and signaling properties of MyD88、FEBS Lett(2007)581:3223〜3229;Tanner GA、Sandoval RM、Dunn KW、Two−photon in vivo microscopy of sulfonefluorescein secretion in normal and cystic rat kidneys、Am J Physiol Renal Physiol(2004)286:F152〜F160)。
【0005】
構造的には、ローダミンは、キサンテン核を有する関連する多環式フルロン(flurone)色素のファミリーである。
【化1】
【0006】
ローダミンの一般構造は以下の通りである。
【化2】
【0007】
ローダミンのアミンは、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミンであってもよい。
【0008】
一般的に使用される蛍光ローダミン色素の1つは、ジュロリジン構造要素を含有するスルホローダミン101である。
【化3】
【0009】
スルホローダミン101は、以下に示す通りの二官能性スルホニル基を有する。
【化4】
【0010】
スルホニルローダミン101は、カルシウムイメージング法並びに星状膠細胞の対比染色を含む、神経生理学的実験に使用されてきた(Nimmerjahn,A.、Kirchhoff,F.、Kerr,J.N.、Helmchen,F.、Sulforhodamine 101 as a specific marker of astroglia in the neocortex in vivo、Nature Methods(2004)1:31〜7)。
【0011】
スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体は、Sigma Aldrich,Inc.(St.Louis、MO)から、Texas Red(登録商標)という商標で販売されている。それは、多数の官能基、特に第一級アミンとの結合に使用される。Texas Red(登録商標)は、約615nmで蛍光を発し、ピーク吸収は589nmである。Texas Red(登録商標)は典型的には、以下に示すように、交換可能なSO及びSOCl基を有する、2種のモノスルホニルクロリドの混合物として入手できる:
【化5】
【0012】
他のローダミン誘導体も、PCT国際出願(2009)、WO 2009108905 A2 20090903;米国特許出願公開第2004054162 A1 20040318号;米国特許第5728529号;米国特許第5686261号;PCT国際出願(1997)、WO 9700967 A1 19970109;英国特許出願(1995)、GB 2283744 A 19950517;及び、Kim etl al.によるもの(Kim,T.G.;Castro,J.C;Loudet,A.;Jiao,J.G.−S.;Hochstrasser,R.M.;Burgess,K.;Topp,M.R.、Journal of Physical Chemistry A(2006)、110(1)、20〜27)などに開示されている。
【0013】
幾つかの刊行物は、例えばTexas Red(登録商標)のスルホニルクロリド基のうちの1つの選択的反応によって、二官能性ローダミン色素を結合に使用する可能性を示しているが(Titus JA、Haugland R、Sharrow SO、Segal DM、Texas Red、a hydrophilic、red−emitting fluorophore for use with fluorescein in dual parameter flow microfluorometric and fluorescence microscopic studies、J.Immunol.Methods(1982)50(2):193〜204)、二重反応性の可能性により、単一異性体生成物のみをもたらす確実なプロセスを確立することが困難になる。それを図1に示すが、図1では、2つのスルホニル基を有する二官能性ローダミン色素が、第一級アミンと反応して2種の結合異性体の生成物を生成する。プロセス中に1種のみではなく2種の異性体構造があると、重大な不利点が2点生じる。すなわち、1)異性体の比率が、生成物に与える影響と共にバッチごとに変化し、2)1種ではなく2種の物質を取り扱うために、規制要件(毒性データ、安定性、特性評価など)が2倍となる。
【0014】
本発明は、ローダミン分子の結合生成物が単一異性体結合生成物となるように、結合のためのただ1つの単一官能基をその分子上に有する、ローダミン色素の新規な一官能性誘導体を使用することによって、こうした難点を回避する。
【0015】
本発明のこれらの及び他の側面及び特性を、以下の図面及び付随する詳細な説明に関して論じる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】2種の異性体結合生成物を生成する、二官能性ローダミン色素と巨大分子との結合を示す図である。
図2】1種のみの単一異性体結合生成物を生成する、一官能性ローダミン色素と巨大分子との結合を示す図である。
図3】8−ヒドロキシジュロリジン(2当量)及び置換ベンズアルデヒド(1当量)(式中、R、R、R、R、及びRは、Hであってもいかなる基であってもよい)からの、本発明の新規ローダミン色素の生成を示す図である。
図4】一官能性基を有するローダミン色素と巨大分子との間の、ウギ反応条件下での一般的な結合反応を示す図である。
図5】単一異性体結合生成物を生成する、単一官能性の第一級アミノ基を有する一官能性の2−スルホローダミン(2−SHR)色素とカルボクスメチル化(carboxmethylated)デキストランとのウギ反応での結合の例の図である。
図6】400nm/分のスキャン速度で200nmから800nmまでスキャンした、化合物18のUV吸収スペクトルの図である。
図7】化合物18の蛍光発光スキャンの図である。
図8】化合物18の蛍光励起スキャンの図である。
図9】化合物18の三次元蛍光スキャンの図である(図中、EMは発光波長、EXは励起波長である)。
図10】400nm/分のスキャン速度で200nmから800nmまでスキャンした、例26の結合体のUV吸収スペクトルの図である。
図11】例26の結合体の蛍光発光スキャンの図である。
図12】例26の結合体の蛍光励起スキャンの図である。
図13】例26の結合体の三次元蛍光スキャンの図である(図中、EMは発光波長、EXは励起波長である)。発明の詳細な説明
【0017】
本発明は、多くの異なる形態の態様を取ることが可能であるが、本開示は、本発明の原理を例示するものとみなされるべきであり、説明する具体的な態様に本発明を限定することを意図するものではないという了解の下に、本明細書に詳細に記述する具体的な態様が存在する。
【0018】
本発明の化合物を定義するために使用される化学構造は、それぞれの所与の構造を表すことができる可能な共鳴構造の1つをそれぞれ表現することが理解されよう。さらに、共鳴構造とは、定義によれば、電子の非局在化を表現するために当業者が使用する単なる図式的表現に過ぎず、所与の構造のある特定の共鳴構造を示すことによって本開示を限定するものでは決してないことが理解されよう。
【0019】
本発明の化合物を定義するために使用する化学構造は、それぞれの塩形態におけるその構造も含有することも理解されたい。
【0020】
本発明は概して、他の分子と結合すると単一異性体結合生成物を生成する、新規なローダミン色素に関する。
【0021】
幾つかの刊行物は、例えばTexas Red(登録商標)のスルホニルクロリド基のうちの1つの選択的反応によって、二官能性ローダミン色素を結合に使用する可能性を示しているが(Titus JA、Haugland R、Sharrow SO、Segal DM、Texas Red、a hydrophilic、red−emitting fluorophore for use with fluorescein in dual parameter flow microfluorometric and fluorescence microscopic studies、J.Immunol.Methods(1982)50(2):193〜204)、二重反応性の可能性により、単一異性体生成物のみをもたらす確実なプロセスを確立することが困難になる。図1に示す通り、2つのスルホニル基を有する二官能性ローダミン色素が、第一級アミンと反応して2種の結合異性体生成物を生成する。プロセス中に1種のみではなく2種の異性体構造があると、重大な不利点が2点生じる。すなわち、1)異性体の比率が、生成物に与える影響と共にバッチごとに変化し、また、2)1種ではなく2種の物質を取り扱うために、規制要件(毒性データ、安定性、特性評価など)が2倍となる。
【0022】
本発明は、図2に図示する通り、ローダミン分子の結合生成物が単一異性体結合生成物となるように、結合のためのただ1つの単一官能基をその分子上に有する、新規なローダミン色素の一官能性誘導体を使用することによってこうした難点を回避する。図2は、単一スルホニル基を有するローダミン(rohodamine)誘導体が第一級アミンと反応して単一異性体結合生成物のみを生成する、本発明の例を図示する。「官能基」とは、結合に適した基を意味する。結合に適した官能基は、巨大分子などの他の分子と反応性があり、共有結合を介して結合体を生成する。ただ1つの「官能基」を含有するローダミン誘導体は、一官能化又は一官能性誘導体(図2のモノスルホニルローダミンなど)として知られており、その点で、2つ以上の「官能基」を含有するローダミン誘導体、例えばスルホニルローダミン101又はTexas Red(登録商標)などと区別される。結合に適した官能基の例として、それだけには限らないが、アミン、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、カルボン酸などが挙げられる。本明細書では「官能化」とは、ローダミン誘導体が誘導体化されて「官能基」を含有することを意味する。一例は、官能基が反応性アミノ基を含有することを意味する「アミノ官能化」である。
【0023】
一態様では、本発明の新規ローダミン色素は、以下の一般構造
【化6】

を有し、式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、Hであっても、いかなる基であってもよい。しかし、ローダミン色素が、巨大分子などの他の分子と結合することができるただ1つの単一「官能基」を有し、単一結合異性体の生成物を生成するように、R1、R2、R3、R4及びR5のうち、これらの基の1つのみが「官能基」を有することができる。この一般構造は、図3に示す通り、8−ヒドロキシジュロジン(8−hydroxyjulodine)(2当量)と置換ベンズアルデヒド(1当量)とを反応させることによって生成することができる。8−ヒドロキシジュロジンと置換ベンズアルデヒドとを、60%の硫酸水溶液(11.1mL/mmolベンズアルデヒド)に混合し、150℃で24時間、空気雰囲気下で撹拌することができる。反応混合物を氷(28g/mmolベンズアルデヒド)に添加することができ、その後60%NaOHを慎重に添加してpH6〜7にし、粗生成物を沈殿させることができる。この粗生成物を、ジクロロメタン(DCM)と水との間で抽出することができる。有機相を分離し、ブラインで洗浄することができる。有機溶媒を除去し、最終生成物を、エタノールとトルエンと共に5回蒸発させることによって乾燥し、粗生成物を得ることができる。本発明のローダミン色素の具体例を調製する詳細な方法は、下記の例に記述する。
【0024】
単一異性体結合生成物を生成するのに適した一官能性ローダミン誘導体の一般構造の幾つかの例を、2−スルホローダミンの一般式:
【化7】

又は、4−カルボクスローダミン(carboxrhodamine)の一般式:
【化8】

又は、3−カルボクスローダミンの一般式:
【化9】

又は、4−アリールローダミンの一般式:
【化10】

で示す。式中、上の4つの一般式全てに関し、Arはアリール基であり、R1及び/又はR2は、他の分子との結合に適した単一の官能基をR1又はR2上に有するスペーサーを形成し、該スペーサーは、それだけには限らないが、水素、アルキル、アリール、アミド、アルキルスルホンアミド、アルキルエーテル、アルキルアミドなど、又はこれらの組み合わせであってもよい。上述のアルキル基は、好ましくは1から20の炭素鎖長を有する。R1及びR2は連結して、それだけには限らないが、以下に示す構造などの環状構造を形成してもよい。
【化11】
【0025】
上に示す例は、スルホ基を2位に、カルボクス(carbox)基を3又は4位に、またアリール基を4位に示しているが、「官能」基を含有するこれらの及び他の基は、2、3、又は4位にあってもよいことが留意されるべきである。下記の例(例4〜24)は、上述の群に属するメンバーの幾つかの合成を説明する。しかし、本発明の新規ローダミン色素のあらゆる所望の位置に位置するスルホ、カルボクス、アリール、又は他のあらゆる基を有する他の関連化合物の合成は、例の説明で当業者には明らかなはずである。
【0026】
好ましい一態様では、新規ローダミン誘導体は、それだけには限らないが、トリフルオロ酢酸塩、塩化物、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩及びp−トルエンスルホン酸塩などの、塩の形態である。さらに好ましい態様では、塩は、トリフルオロ酢酸塩又は塩化物である。さらに別の好ましい態様では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0027】
こうした新規一官能性ローダミン誘導体の用途の1つは、巨大分子などの他の分子と結合するその能力である。巨大分子などのこうした分子は、ローダミン色素と結合すると、容易に検出可能及び/又は定量化可能となり得る。本明細書で一般的に使用する巨大分子には、それだけには限らないが、ポリマー、タンパク質(抗体など)、デキストラン、セルロース、炭水化物、脂質、核酸(DNA及びRNAなど)などが挙げられる。ローダミン色素と巨大分子との結合及びその用途は、当業者にはよく知られており、Titus et al.によって(Titus JA、Haugland R、Sharrow SO、Segal DM、Texas Red、a hydrophilic,red−emitting fluorophore for use with fluorescein in dual parameter flow microfluorometric and fluorescence microscopic studies、J.Immunol.Methods 50(1982)2:193〜204)、及び米国特許第5,798,276号のHaugland et al.によって開示されるものなどの科学文献に詳細に記載されている。ローダミンと抗体などの巨大分子との結合体は、例えば、Abcam(Cambridge、MA)製の、ローダミンと結合したヒトIgG抗体、及びSigma Aldrich(St.Louis、MO)製の、ローダミン色素と結合した様々なタンパク質など、市販品として容易に入手できる。該色素の官能基と巨大分子との間の共有結合を作成するあらゆる合成法を結合に使用することができる。ローダミン色素と巨大分子との間のウギ反応条件下での一般的な結合反応を図4に図示し、図5に示すような、アミノ官能化スルホンアミド色素(例6に示す化合物1)のカルボキシメチル化デキストランへのウギ反応での結合によって例示する。
【0028】
本発明を説明するために、下記の例6〜24に示す、結合に適した多数の構造(化合物1〜19)を合成した。結合のさらなる例の実験の詳細を、カルボキシメチル化デキストラン(CMデキストラン)と結合して合成した例(化合物18、化合物3、化合物15、及び化合物16)の色素を使用して、下記の例25〜28に示す。
【0029】
本発明を、現在では最も実際的で好ましい態様であると考えられるものに関連して記述するが、本発明は開示する態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に包含される様々な改変及び等価な配合を包含することを意図していることを認識すべきである。特許請求の範囲に規定する本発明の新規側面から逸脱することなく、本発明における改変及び変形を行うことができる。添付の特許請求の範囲は、本明細書の発明の趣旨及び範囲に一致する形で広く解釈されるべきである。
【0030】
溶媒及び試薬は、Labscan(Gliwice、Poland)及びSigma Aldrich(St.Louis、MO)からそれぞれ受け取った状態で使用する。G1379B脱気装置、G1312Aバイナリポンプ、G1329A自動注入装置、G1316Aカラムオーブン、G1365B UV−Vis検出器(最大吸光度を検出するために使用する)及び6110 Quadrupole MS検出器から構成される、Agilent Technologies(Santa Clara、CA)製の液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)システムを使用する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度は、0.1%トリフルオラル酢酸(trifluoral acetic acid)(TFA)中の10〜97%のアセトニトリルで3分の勾配で溶出する、35℃に保持されたACE−C8カラム(50×4.6mm)で測定する。
【0031】
以下の例の化合物は、構造の命名に優先IUPAC名設定を使用する、Marvin Sketch 5.2.6に基づいて命名する。しかし、こうした化合物を命名するために他の命名法体系を採用してもよい。
【0032】
(例1):調製中間体1
以下の化合物を調製する。
【化12】
【0033】
60%HSO水溶液(10mL)中の8−ヒドロキシジュロリジン(1.1g、5.8mmol)と2−ホルミルベンゼン−1−スルホン酸ナトリウム(0.6g、2.9mmol)との反応混合物を、150℃で2時間、空気雰囲気下で撹拌する。その後、出発材料は予想生成物に完全に変換された。60%のNaOH水溶液で反応物のpHを約7に調整し、この操作で予想生成物が沈殿する。沈殿物を濾過し、トルエン(3×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥する。この粗生成物を温エタノール(EtOH)に溶解し、濾過する。不溶性の固体を廃棄し、濾液を真空中でトルエン(3×50mL)で蒸発させ、1.1gの表題分子を、90%のHPLC純度及び73%の収率で得る。
【0034】
例2:中間体2の調製
以下の化合物を調製する。
【化13】
【0035】
8−ヒドロキシジュロリジン(1.4g、7.2mmol)と4−ホルミル安息香酸(500mg、3.6mmol)とを60%硫酸水溶液(40mL)に混合し、150℃で24時間、空気雰囲気下で撹拌する。反応混合物を氷(100g)に添加し、その後60%NaOHを慎重に添加してpH6〜7にし、粗生成物を沈殿させる。この粗生成物を、ジクロロメタン(DCM)と水との間で抽出する。有機相を分離し、ブラインで洗浄する。有機溶媒を除去し、最終生成物を、EtOHとトルエンとで5回蒸発させることによって乾燥し、1.1gの生成物(収率61%)を生じる。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=491。
【0036】
例3:中間体3の調製
以下の化合物を調製する。
【化14】
【0037】
8−ヒドロキシジュロリジン(1.4g、7.2mmol)と3−ホルミル安息香酸(500mg、3.6mmol)とを60%硫酸水溶液(40mL)に混合し、150℃で24時間、空気雰囲気下で撹拌する。反応混合物を氷(100g)に添加し、その後60%NaOHを慎重に添加してpH6〜7にし、粗生成物を沈殿させる。この粗生成物を、DCMと水との間で抽出する。有機相を分離し、ブラインで洗浄する。有機溶媒を除去し、最終生成物を、EtOHとトルエンとで5回蒸発させることによって乾燥し、1.7gの3−酸生成物(収率94%)を生じる。HPLCにより決定した純度は95%である。MS(ESI)[M+]=491。
【0038】
例4:中間体4の調製
以下の化合物を調製する。
【化15】
【0039】
8−ヒドロキシジュロリジン(1.4g、7.2mmol)と4−ブロモベンズアルデヒド(670mg、3.6mmol)とを60%硫酸水溶液(40mL)に混合し、150℃で24時間、空気雰囲気下で撹拌する。反応混合物を氷(100g)に添加し、その後60%NaOHを慎重に添加してpH6〜7にし、粗生成物を沈殿させ、真空下で一晩乾燥させて、1.12gの黒色固体とする。この粗生成物を90/10 CHCl/メタノール(5mL)に溶解し、シリカのカラム(35×100mm)上に適用し、CHCl中の10〜18%のメタノールで溶出する。純粋な画分をプールし、溶媒を減圧で蒸発させ、448mgの生成物を生じる。
【0040】
例5:中間体5の調製
以下の化合物を調製する。
【化16】
【0041】
例4に記述した通りに調製した中間体4(236mg、0.45mmol)とtert−ブチルN−{[4−(ジヒドロキシボラニル)フェニル]メチル}カルバメート(225mg、0.90mmol)とを、エタノールを有する50mLのフラスコに移し、2M KCO水溶液(672μL、1.34mmol)を添加する。反応混合物を短時間脱気し、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II).DCM(18mg、0.022mmol)を添加し、再度脱気し、窒素下において室温で撹拌する。50分間撹拌した後、さらに[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II).DCM(13mg、0.016mmol)を添加し、この混合物を1時間65℃に加熱する。続いてこれを蒸発させ、DCMに溶解し、シリカ4gを添加し、蒸発させ、5〜20%のメタノール(MeOH)のDCM溶液で溶出する、DCMを充填した12×2.5cmのカラムを通すシリカクロマトグラフィーにかけ、純粋な画分を蒸発させると、236mgの金茶色の粘着性の固体を90%のHPLC純度で得た。
【0042】
例6:2−スルホローダミントリフルオロアセテート(化合物1)の調製
以下の化合物を調製する。
【化17】
【0043】
化合物1は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{2−[(6−アミノヘキシル)スルファモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体1(0.66mmol、350mg)をDCM(10mL)及びジメチルホルムアミド(DMF)1滴中に溶解する。塩化オキサリル(3.98mmol、500mg)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。気体の発生がすぐに認められる。溶媒を蒸発させ、トルエン(10mL)を混合し、再蒸発させ、残渣をDCM(12mL)に溶解し、氷浴中で冷却し、等量に2つに分ける。一方の部分を、DCM(5mL)中のヘキサメチレンジアミン(1.06mmol、120mg)とDCM(5mL)中のトリエチルアミン(0.40mmol、40mg)との氷冷溶液に慎重に(5分以内)添加する。暗青色の溶液が、すぐに暗赤色に変わる。反応は30分以内に完了する。粗混合物の一部を分取HPLC、すなわち0.1%TFA含有水中のメタノール勾配を用いるACE−C8カラムで精製し、58mg(24%)の生成物を暗青銅色のかすかに光るガラス状物質として得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=625。最大吸光度は586nmである。
【0044】
例7:2−スルホローダミントリフルオロアセテート(化合物2)の調製
以下の化合物を調製する。
【化18】
【0045】
化合物2は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{2−[3−(アミノメチル)ピロリジン−1−スルホニル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体1(0.66mmol、350mg)をDCM(10mL)及びDMF1滴中に溶解する。塩化オキサリル(3.98mmol、500mg)を添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。気体の発生がすぐに認められる。溶媒を蒸発させ、トルエン(10mL)を混合し、再蒸発させ、残渣をDCM(12mL)に溶解し、氷浴中で冷却し、等量に2つに分ける。一方の部分を、DCM(5mL)中のtert−ブチルN−(ピロリジン−3−イルメチル)カルバメート(1.06mmol、90mg)とDCM(5mL)中のトリエチルアミン(0.40mmol、40mg)との氷冷溶液に慎重に(5分以内)添加する。暗青色の溶液が、すぐに暗赤色に変わる。反応は30分以内に完了する。TFAを添加し(約2mLのDCMに1mL)、1時間で脱保護を完了する。未精製物の一部を分取HPLC、すなわち0.1%TFA含有水中のメタノール勾配を用いるACE−C8カラムで精製し、95mg(39%)を暗青銅色のかすかに光るガラス状物質として得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=605。最大吸光度は590nmである。
【0046】
例8:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物3)の調製
以下の化合物を調製する。
【化19】
【0047】
化合物3は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[(2−アミノエチル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体2(150mg、0.31mmol)をDMF−CHCN(1〜4、7mL)に溶解する。トリエチルアミン(94mg、0.93mmol)と2,4,6−トリプロピル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリホスホリナン−2,4,6−トリオキシドの酢酸エチル溶液(592μL、0.93mmol)とを添加し、この混合物を室温で15分間撹拌する。6分の1を取り出し、1,2−ジアミノエタン(19mg、0.31mmol)に添加し、この反応混合物を室温で1.5時間撹拌する。精製を分取HPLC、すなわち0.1%TFA含有水中のメタノール勾配を用いるACE−C8カラムで前もって生成し(preformed)、24mg(72%)を暗紺色のガラス状物質として得る。HPLCにより決定した純度は93%である。MS(ESI)[M+]=533。最大吸光度は586nmである。
【0048】
例9:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物4)の調製
以下の化合物を調製する。
【化20】
【0049】
化合物4は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[3−(アミノプロピル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて1,3−ジアミノプロパン(23mg、0.31mmol)を用い、25mg(収率73%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=547。最大吸光度は584nmである。
【0050】
例10:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物5)の調製
以下の化合物を調製する。
【化21】
【0051】
化合物5は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[2,2−(ジメトキシエチル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて2,2−ジメトキシエタン−1−アミン(33mg、0.31mmol)を用い、26mg(収率73%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=578。最大吸光度は584nmである。
【0052】
例11:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物6)の調製
以下の化合物を調製する。
【化22】
【0053】
化合物6は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[(6−アミノヘキシル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて1,6−ジアミノヘキサン(36mg、0.31mmol)を用い、32mg(収率88%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=589。最大吸光度は586nmである。
【0054】
例12:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物7)の調製
以下の化合物を調製する。
【化23】
【0055】
化合物7は、本発明者らが使用する命名法体系による16−[4−({[4−(アミノメチル)フェニル]メチル}カルバモイル)フェニル]−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて[4−(アミノメチル)フェニル]メタンアミン(42mg、0.31mmol)を用い、36mg(収率96%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は99%である。MS(ESI)[M+]=609。最大吸光度は590nmである。
【0056】
例13:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物8)の調製
以下の化合物を調製する。
【化24】
【0057】
化合物8は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[(4−オキソピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えてピペリジン−4−オン(31mg、0.31mmol)を用い、28mg(収率79%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は82%である。MS(ESI)[M+]=572。最大吸光度は588nmである。
【0058】
例14:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物9)の調製
以下の化合物を調製する。
【化25】
【0059】
化合物9は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{3−[(2−(アミノエチル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物3を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて中間体3を酸として、1,2−ジアミノエタン(19mg、0.31mmol)をアミンとして用い、20mg(収率60%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=533。最大吸光度は586nmである。
【0060】
例15:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物10)の調製
以下の化合物を調製する。
【化26】
【0061】
化合物10は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{3−[(3−(アミノプロピル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物9を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて1,3−ジアミノプロパン(23mg、0.31mmol)を用い、19mg(収率56%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=547。最大吸光度は584nmである。
【0062】
例16:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物11)の調製
以下の化合物を調製する。
【化27】
【0063】
化合物11は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{3−[(6−(アミノヘキシル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物9を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて1,6−ジアミノヘキサン(36mg、0.31mmol)を用い、27mg(収率74%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=589。最大吸光度は584nmである。
【0064】
例17:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物12)の調製
以下の化合物を調製する。
【化28】
【0065】
化合物12は、本発明者らが使用する命名法体系による16−[3−({[(4−(アミノメチル)フェニル]メチル}カルバモイル)フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物9を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて[4−(アミノメチル)フェニル]メタンアミン(42mg、0.31mmol)を用い、32mg(収率86%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は100%である。MS(ESI)[M+]=609。最大吸光度は587nmである。
【0066】
例18:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物13)の調製
以下の化合物を調製する。
【化29】
【0067】
化合物13は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{3−[(4−(オキソピペリジン−1−イル)カルボニル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物9を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えてピペリジン−4−オン(31mg、0.31mmol)を用い、34mg(収率96%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は80%である。MS(ESI)[M+]=572。最大吸光度は584nmである。
【0068】
例19:3−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物14)の調製
以下の化合物を調製する。
【化30】
【0069】
化合物14は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{3−[(2,2−ジメトキシエチル)カルバモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、化合物9を調製するために使用したのと同じ操作を使用して調製するが、1,2−ジアミノエタンに替えて2,2−ジメトキシエタン−1−アミン(33mg、0.31mmol)を用い、29mg(収率81%)の生成物を得る。HPLCにより決定した純度は98%である。MS(ESI)[M+]=578。最大吸光度は588nmである。
【0070】
例20:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物15)の調製
以下の化合物を調製する。
【化31】
【0071】
化合物15は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{4−[4−(アミノメチル)フェニル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体5(236mg、0.35mmol)を4mLのDCM/TFA(3/1)に溶解する。30分後、溶媒を空気で飛ばす。この粗生成物を、0.1%TFA中の20〜100%のメタノールで溶出するACE−C8(150×30mm)カラム上で精製する。純粋な画分を蒸発させると、115mg(収率%)の緑色を帯びた濃青色/赤色固体を生じる。HPLCにより決定した純度は98%である。MS(ESI)[M+]=552。最大吸光度は578nmである。
【0072】
例21:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物16)の調製
以下の化合物を調製する。
【化32】
【0073】
化合物16は、本発明者らが使用する命名法体系による16−[4−(2−アミノ−4−メチルフェニル)フェニル]−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体4(152mg、0.29mmol)と5−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル)−(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(135mg、0.58mmol)とをエタノール(10mL)に溶解し、2M KCO(434μL、0.87mmol)と[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)DCM(11mg、0.015mmol)とで処理する。反応混合物を65℃で1時間加熱する。この粗生成物を、セライトを通して濾過し、0.1%TFA中の60〜100%のメタノールで溶出するACE−C8(150×30mm)カラム上で精製し、純粋な画分を蒸発させると、80mg(収率50%)の緑色を帯びた濃青色/赤色固体を生じる。HPLCにより決定した純度は90%である。MS(ESI)[M+]=552。最大吸光度は580nmである。
【0074】
例22:4−カルボクスローダミントリフルオロアセテート(化合物17)の調製
以下の化合物を調製する。
【化33】
【0075】
化合物17は、本発明者らが使用する命名法体系による16−[4−(4−アセチルフェニル)フェニル]−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;2,2,2−トリフルオロアセテートであり、以下の通りに調製する。中間体4(152mg、0.29mmol)と4−エタノンフェニルボロン酸(95mg、0.58mmol)とをエタノール(10mL)に溶解し、2M KCO(434μL、0.87mmol)と[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II).DCM(11mg、0.015mmol)とで処理する。この反応混合物を65℃で1時間加熱する。この粗生成物を、セライトを通して濾過し、0.1%TFA中の60〜100%のメタノールで溶出するACE−C8(150×30mm)カラム上で精製し、純粋な画分を蒸発させると、54mg(収率33%)の緑色を帯びた濃青色/赤色固体を生じる。HPLCにより決定した純度は92%である。MS(ESI)[M+]=565。最大吸光度は580nmである。
【0076】
例23:2−スルホローダミンジクロリド(化合物18)の調製、精製、及び結晶化
以下の化合物を調製する。
【化34】
【0077】
化合物18は、本発明者らが使用する命名法体系による16−{2−[(6−アミノヘキシル)スルファモイル]フェニル}−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;ジクロリドであり、以下の通りに調製する。
【0078】
合成ステップ1:8−ヒドロキシジュロリジン(200g)と2−ホルミルベンゼン−1−スルホン酸ナトリウム(110g)との混合物を、150℃に予温した1.8Lの60%H2SO4水溶液に添加し、4時間撹拌する。LC−MSでモニターして反応が終了した後、反応混合物を0℃に冷却する。60%の水酸化ナトリウム(水溶液)を、反応混合物のpH値が2になるまでゆっくりと添加する(生成物が沈殿する)。沈殿した未精製生成物を有する反応混合物にセライト(800g)を添加し、この反応混合物を濾過する。セライトを含む生じた固体を、トルエン(3×500mL)で洗浄し、無水エタノール(4L)に添加し、撹拌しながら60℃で0.5時間加熱する。この反応混合物を次に濾過する。濾液を真空下で濃縮し、次いでトルエンと共に蒸発させて微量の水を取り除き、粗ローダミンスルホン酸中間体(270g)を暗青色の固体として得る。
【0079】
合成ステップ2:ステップ1の粗ローダミンスルホン酸中間体(100g、0.19mol)を、溶媒であるジクロロメタン(500mL)とDMF(13.9g)との混合物に溶解する。反応溶液を0℃に冷却し、塩化オキサリル(48.1g、0.379mol)を滴加する。反応混合物をさらに2時間0℃で撹拌する。反応混合物を次いで真空中で濃縮し、生じた残渣に、トルエン(100mL)の添加と蒸発を4回繰り返して行う。この粗ローダミンスルホン酸クロリド中間体を、減圧下で6時間乾燥した後に、次のステップで直接使用する。
【0080】
合成ステップ3:ヘキサン−1,6−ジアミン(176g、1.52mol)のジクロロメタン溶液(800mL)を、0℃に冷却する。ステップ2で得られた粗ローダミンスルホン酸クロリド中間体全てのジクロロメタン溶液(500mL)を、継続して0℃に冷却しながら滴加する。反応混合物を0℃でさらに4時間撹拌する。薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて反応の完了を制御した後、反応混合物を、セライト−濾紙を通す濾過によってクエンチし、真空中で4回、毎回トルエン(150mL)を追加しながら濾液を蒸発させる。生じた固体を減圧下で乾燥する。
【0081】
精製:シリカゲルを通すクロマトグラフィーによる精製を、HClガスで飽和した、溶媒であるジクロロメタンとMeOHとの混合物(15:1から1:1への勾配)を使用して行う。2回目のシリカゲルクロマトグラフィーにより、12.5gの2−スルホローダミンジクロリド(化合物18)が、緑黒色の固体として得られる(HPLCによる純度>98%)。3ステップ全ての全収率は、11.0%である。
【0082】
結晶化:約88%の純度の2−スルホローダミンジクロリド(化合物18)2.5gを、エタノール(約50mL)に溶解し、酢酸エチル(約150mL)を添加すると、粘着性の固体が沈殿する。上澄みをシリカゲル(5g)で処理し、濾過する。このシリカを1M HCl(200mL)で浸出し、次いで、生じた紫色の溶液を使用して、前ステップにおいて酢酸エチルで沈殿した粘着性の固体を溶解する。この溶液を沸騰寸前まで加熱し、温かいブライン(400mL、室温で飽和させたNaCl水溶液)で処理する。この溶液を室温まで放冷し、わずかな沈殿が観察される。pHを、固体のNaHCOを慎重に添加することによって、−0.2から+0.3まで調整する。この混合物を加熱して沸騰させ、この溶液の冷却した一定分量を分析するとpH0.0である。固体のNaHCOを、冷却した試料がpH0.1を示すまで温溶液に添加する。この懸濁液を室温まで放冷し、2日後に上澄みを分析するとpH0.0である。この混合物に、これ以上沈殿物が観察されないように(赤色灯を使用する!)固体のNaHCOを慎重に添加する。この固体を遠心分離で分離し、上澄みを廃棄する(pH0.0)。この固体を、前回の沈殿に使用したのと同じ容量の20%NaCl溶液で懸濁させ、遠心分離し、上澄みを廃棄する(pH0.5)。この固体を同じ容量でさらに懸濁させ、遠心分離し、上澄みを廃棄する(pH0.55)。2回目の上澄みは無色ではなく、洗浄操作を終了する。この固体を真空オーブンで乾燥すると、SyntagonのHPLC法で96%の純度である、1.8gの金緑色の物質が生じる。上述の結晶化プロセスは、化合物18の二塩化物塩の代わりに、2−スルホローダミンの酢酸塩(化合物1におけるトリフルオロアセエート(trifluoroaceate)塩など)で使用することができる。
【0083】
図6は、400nm/分のスキャン速度で200nmから800nmまでスキャンした、化合物18のUV吸収スペクトルである。最大UV吸収は586nmである。図7は、化合物18の蛍光発光スキャンであり、図8は蛍光励起スキャンである。図9は、化合物18の三次元蛍光スキャンであり、図中、EMは発光波長、EXは励起波長である。最大吸収波長である励起(最大)は566nm、最大発光強度を有する波長である発光(最大)は618nmである。
【0084】
例24:異性体(化合物19)を生成するための化合物18の転位
以下の化合物を調製する。
【化35】
【0085】
化合物18は、転位を受けて異性体化合物19を生成することができる。化合物19は、巨大分子などの他の分子と結合体を生成して単一異性体結合生成物を生成することにおいて、その親化合物である化合物18及び本発明の他の新規ローダミン色素のように使用することができる。化合物19は、本発明者らが使用する命名法体系による16−[N−(6−アザニウムイルヘキシル(azaniumylhexyl))ベンゼンスルホンアミド]−3−オキサ−9λ,23−ジアザヘプタシクロ[17.7.1.15,9.02,17.04,15.023,27.013,28]オクタコサ−1(27),2(17),4,9(28),13,15,18−ヘプタエン−9−イリウム;ジクロリドであり、以下の通りに調製する。二塩化物塩としての化合物18(1.16g、1.6mmol)をメタノール(30mL)に溶解する。水酸化ナトリウム水溶液(1.0M、16mL)を2−SHR溶液に室温で滴加する。生じた無色の溶液を30分間室温で撹拌し、次いでエタノール(10mL)とトルエン(10mL)とで蒸発させると、無色の固体を生じる。この固体をメタノール(20mL)に溶解し、塩酸水溶液(1.0M、16mL)を添加すると、深紅色を再生成する。この混合物を蒸発させ、固体残渣を、0.1%濃塩酸を含有するクロロホルム中のメタノール(10%〜12.5%)で溶出するシリカクロマトグラフィーで精製する。選択した純粋な画分を、エタノールとトルエンと共に蒸発させ、高真空で一晩乾燥すると、120mgの2−SHR−イソ(収率11%)を金属光沢のある緑色の固体として生じる。HPLCにより決定した純度は97.8%である。MS(ESI)[M+]=625。最大吸光度は586nmである。
【0086】
同様に、化合物1又は2−スルホローダミンの他のいかなる塩も、化合物18と同じ転位を受けて、相当する塩を有する相当する異性体生成物を生成することができる。
【0087】
例25:化合物15とカルボキシメチル化デキストラン(CMデキストラン)との結合体の合成
ジメチルスルホキシド(DMSO)(3mL)に溶解した化合物15(Mw:665.77g/mol、n:0.038mmol、m:25mg)の溶液に、原液の冷アセトアルデヒド(118μL)を撹拌しながら添加する。15分後にCM−dextran 150(300mg)の蒸留水溶液(3ml)を高速で撹拌しながら添加し、続いてシクロヘキシルイソニトリル(Mw:109.1g/mol、n:0.21mmol、m:22.9mg、δ:0.878g ml、V:26.5μl)を添加する。1M HCl水溶液数滴で、pHを5.9に調整する。反応混合物を撹拌しながら4時間放置する。
【0088】
4時間後に、pHは6.02に上がった。エタノールアミン(Mw:61.08g/mol、n:3.34mmol、m:0.204g、δ:1.02、V:200μl)を添加し、反応物を撹拌しながら90分間放置する。
【0089】
エタノールアミンを添加した90分後に、pHは11.2に上がった。飽和塩化ナトリウム(0.5ml)を添加した後、反応混合物をゆっくりとエタノール(96%、50ml)に高速で撹拌しながら注入し、その後、沈殿した青色の固体を一晩沈降させておく。上澄みをデカントし、残渣をガラスフィルター漏斗(p3)上で濾過する。沈殿物をエタノール(3×10ml)で洗浄し、濾過する。生成物を、未反応の色素が無くなるまで再沈殿させる。それを60℃で15時間、真空中で乾燥する。収率は225mgである。
【0090】
励起(最大)は587nm、発光(最大)は608である。
【0091】
例26:化合物18とCMデキストランとの結合体の合成
DMSO(14mL)に溶解した化合物18(塩化物塩、Mw:697.7g/mol、n:0.136mmol、m:95.4mg)の溶液に、原液(391μl)の冷アセトアルデヒドを撹拌しながら添加する。15分後にCM−dextran 150(1.8g)の蒸留水溶液(19.2mL)を高速で撹拌しながら添加し、続いてシクロヘキシルイソニトリル(Mw:109.1g/mol、n:1.4mmol、m:152.6mg、δ:0.878g/mL、V:172μl)を添加する。1M HCl水溶液数滴で、pHを5に調整する。反応混合物を撹拌しながら一晩放置する。
【0092】
エタノールアミン(Mw:61.08g/mol、n:6.64mmol、m:0.40g、δ:1.02、V:400μl)を添加し、反応物を撹拌しながら60分間放置する。
【0093】
エタノールアミンを添加した90分後に、pHは11.2に上がった。飽和塩化ナトリウム(0.5ml)を添加した後、反応混合物をゆっくりとエタノール(96%、50ml)に高速で撹拌しながら注入し、その後、沈殿した青色の固体を一晩沈降させておく。
【0094】
上澄みをデカントし、残渣をガラスフィルター漏斗(p3)上で濾過する。沈殿物をエタノール(3×10ml)で洗浄し、濾過する。生成物を、未反応の色素が無くなるまで再沈殿させる。それを60℃で15時間、真空中で乾燥する。収率は1.3gである。
【0095】
図10は、400nm/分のスキャン速度で200nmから800nmまでスキャンした、結合体のUV吸収スペクトルである。最大UV吸収は589.5nmである。図11は、結合体の蛍光発光スキャンであり、図12は蛍光励起スキャンである。図13は、結合体の三次元蛍光スキャンであり、図中、EMは発光波長、EXは励起波長である。
【0096】
励起(最大)は589nm、発光(最大)は608nmである。
【0097】
例27:化合物3とCMデキストランとの結合体の合成
DMSO(3mL)に溶解した化合物3(TFA塩、Mw:646.7g/mol、n:0.037mmol、m:24mg)の溶液に、原液の冷アセトアルデヒド(118μL)を撹拌しながら添加する。15分後にCM−dextran 150(300mg)の蒸留水溶液(3mL)を高速で撹拌しながら添加し、続いてシクロヘキシルイソニトリル(Mw:109.1g/mol、n:0.21mmol、m:22.9mg、δ:0.878g/ml、V:26.5μL)を添加する。1M HCl水溶液数滴で、pHを5に調整する。反応混合物を撹拌しながら4時間放置する。
【0098】
エタノールアミン(Mw:61.08g/mol、n:6.64mmol、m:0.20g、δ:1.02、V:200μL)を添加し、反応物を撹拌しながら60分間放置する。反応生成物を、飽和塩化ナトリウム(0.5ml)を添加した後に、ゆっくりとエタノール(96%、50ml)に高速で撹拌しながら注入し、その後、沈殿した青色の固体を一晩沈降させておく。
【0099】
上澄みをデカントし、残渣をガラスフィルター漏斗(p3)上で濾過する。沈殿物をエタノール(3×10ml)で洗浄し、濾過する。生成物を、未反応の色素が無くなるまで再沈殿させる。それを60℃で15時間、真空中で乾燥する。収率は339mgである。
【0100】
励起(最大)は588nm、発光(最大)は609nmである。
【0101】
例28:化合物16とCMデキストランとの結合体の合成
DMSO(3mL)に溶解した化合物16(TFA塩、Mw:665.7g/mol、n:0.038mmol、m:25mg)の溶液に、原液の冷アセトアルデヒド(118μL)を撹拌しながら添加する。15分後にCM−dextran 150(300mg)の蒸留水溶液(3mL)を高速で撹拌しながら添加し、続いてシクロヘキシルイソニトリル(Mw:109.1g/mol、n:0.21mmol、m:22.9mg、δ:0.878g/mL、V:26.5μL)を添加する。1M HCl水溶液数滴で、pHを5に調整する。反応混合物を撹拌しながら4時間放置する。
【0102】
エタノールアミン(Mw:61.08g/mol、n:6.64mmol、m:0.20g、δ:1.02、V:200μL)を添加し、反応物を撹拌しながら60分間放置する。反応生成物を、飽和塩化ナトリウム(0.5ml)を添加した後、ゆっくりとエタノール(96%、50ml)に高速で撹拌しながら注入し、その後、沈殿した青色の固体を一晩沈降させておく。上澄みをデカントし、残渣をガラスフィルター漏斗(p3)上で濾過する。沈殿物をエタノール(3×10ml)で洗浄し、濾過する。生成物を、未反応の色素が無くなるまで再沈殿させる。それを60℃で15時間、真空中で乾燥する。収率は167mgである。
【0103】
励起(最大)は585nm、発光(最大)は606nmである。
(参考文献)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13