特許第6240064号(P6240064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240064散乱媒質の深さ分解した物理的及び/又は光学的特性を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240064
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】散乱媒質の深さ分解した物理的及び/又は光学的特性を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20171120BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20171120BHJP
   A61B 3/14 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   A61B3/10ZDM
   G01N21/17 620
   A61B3/14 M
【請求項の数】23
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-508554(P2014-508554)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-516646(P2014-516646A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012035234
(87)【国際公開番号】WO2012149175
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】61/480,869
(32)【優先日】2011年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/585,916
(32)【優先日】2012年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】コーエンラード アー.フェルメール
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス エフ.デ ブール
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−088499(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/033064(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0306520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定する方法であって、
(a)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号を得る工程であって、前記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第一の深さから得られ、前記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第二の深さから得られ、前記第一の深さ前記第二の深さよりも浅い、工程と、
(b)前記信号、及び前記少なくとも一つの生物学的構造体の推定散乱特性に関する情報を決定する工程と、
(c)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、前記特定の深さより前記少なくとも一つの生物学的構造体の表面に近い前記第一及び第二の深さから提供される信号に関する前記情報の少なくとも一部を、工程(b)で決定された情報から除外することによって、前記信号に関する前記情報に基づいて少なくとも一つの算出減衰特性を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
(d)順(b)及び(c)を、前記推定散乱特性及び前記算出減衰特性が収束するまで繰り返し、前記推定散乱特性を手順(c)の前記算出減衰特性と交換して、前記少なくとも一つの生物学的構造体の前記少なくとも一つの特性を得る、工程、
を更に含む、方法。
【請求項3】
前記信号が光干渉断層解析信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの算出減衰特性が、前記少なくとも一つの生物学的構造体の散乱媒質の局所的な光学的特性を含んでおり、前記局所的な光学的特性を、前記特定の深さの範囲からの情報を使用して決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一及び第二の深さにおいて得られる情報使用して、前記局所的な光学的特性を決定する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一つの生物学的構造体へと届く放射強度の推定値を得るために、前記第二の深さから得られる情報を合計することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記情報が、前記少なくとも一つの生物学的構造体からの局所的な後方散乱エネルギーである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記局所的な後方散乱エネルギーを、光干渉断層解析手順で測定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記局所的な光学的特性が減衰係数を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも一つの算出減衰特性が、前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の様々な深さにおいて推定された情報から反復的に決定された、少なくとも一つの光学的特性、又は少なくとも一つの物理的特性を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一つの算出減衰特性を、手動セグメント化若しくは自動セグメント化の少なくとも一つのために使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定するためのシステムであって、
(a)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号であって、前記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第一の深さから得られ、前記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第二の深さから得られ、前記第一の深さ前記第二の深さよりも浅い信号を得て
(b)前記信号、及び前記少なくとも一つの生物学的構造体の推定散乱特性に関する情報を決定し;並びに
(c)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、前記特定の深さより前記少なくとも一つの生物学的構造体の表面に近い前記第一及び第二の深さから提供された信号に関する前記情報の少なくとも一部を、工程(b)で決定された情報から除外することによって、前記信号に関する前記情報に基づいて少なくとも一つの算出減衰特性を決定する
よう構成された、少なくとも一つのンピューティング装置含む、システム。
【請求項13】
前記少なくとも一つのンピューティング装置が、
(d)順(b)及び(c)を前記推定散乱特性及び前記算出減衰特性が収束するまで繰り返し、前記推定散乱特性を手順(c)の前記算出減衰特性と交換して、前記少なくとも一つの生物学的構造体の前記少なくとも一つの特性を得るように、
更に構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号が光干渉断層解析信号である、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つの算出減衰特性が、前記少なくとも一つの生物学的構造体の散乱媒質の局所的な光学的特性を含んでおり、前記少なくとも一つのンピューティング装置が、前記特定の深さの範囲からの情報を用いて、前記局所的な光学的特性を決定するよう更に構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのンピューティング装置が、前記第一及び第二の深さにおいて得られる情報を用いて、前記局所的な光学的特性を決定するよう構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つのンピューティング装置が、前記少なくとも一つの生物学的構造体へと届く放射強度の推定値を得るために、前記第二の深さから得られる情報を合計するよう更に構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記情報が、前記少なくとも一つの生物学的構造体からの局所的な後方散乱エネルギーである、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記局所的な後方散乱エネルギーが、光干渉断層解析手順によって測定される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記局所的な光学的特性が減衰係数を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも一つの算出減衰特性が、少なくとも一つの光学的特性、又は少なくとも一つの物理的特性を含んでおり、前記少なくとも一つのンピューティング装置が、前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、様々な深さにおいて推定された情報から、前記少なくとも一つの算出減衰特性を反復的に決定するよう、更に構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも一つのンピューティング装置が、前記少なくとも一つの算出減衰特性を、診断のため、又は手動セグメント化若しくは自動セグメント化の少なくとも一つのために使用するよう、更に構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定するためのソフトウェアを含む、非一時的コンピュータアクセス可能媒体であって、コンピューティング装置が前記ソフトウェアを実施する際に、前記コンピューティング装置が、
(a)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号の受け取りであって、前記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第一の深さから得られ、前記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは前記特定の深さの第二の深さから得られ、前記第一の深さ前記第二の深さよりも浅い、受け取りと;
(b)前記信号、及び前記少なくとも一つの生物学的構造体の推定散乱特性に基づく、情報の決定と;
(c)前記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、前記特定の深さより前記少なくとも一つの生物学的構造体の表面に近い前記第一及び第二の深さから提供された信号に関する前記情報の少なくとも一部を、工程(b)で決定された情報から除外することによる、前記信号に関する前記情報に基づく少なくとも一つの算出減衰特性の決定
を含む手順を行うよう構成されている、コンピュータアクセス可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2011年4月29日に出願された米国特許出願第61/480,869号、及び2012年1月12日に出願された米国特許出願第61/585,916号からの優先権を主張し、これらの開示の全体は引用により本出願に含まれる。
【0002】
本開示は、サンプルについての物理的及び/又は光学的な情報の決定、並びに特に、深さの範囲にわたって測定したデータを分析することによって、散乱媒質の深さ分解した物理的又は光学的特性を決定するための、システム、方法、及びコンピュータ可読媒体の例示的な実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
緑内障は、世界的に、二番目に主要な失明の原因である。緑内障の臨床診断は、主に視野損失の特徴的パターン、進行する網膜神経繊維層(RNFL)の菲薄化、及び視神経乳頭(ONH)の変化に基づいている。歴史的に、緑内障の検出の焦点は、RNFLの厚みに当てられている。異なる画像診断、例えば、共焦レーザー検眼鏡検査、スキャンレーザー偏光分析、及び光干渉断層解析(OCT)を使用するいくつかの装置は、これらの厚みの測定値を提供する。しかしながら、生のOCTデータは、組織の散乱特性の局所的な測定値を提供し、従って、更なるRNFLの測定が行われることがある。
【0004】
米国特許出願公開第2010/0208201号明細書は、強度データをセグメント化し、及び単一の代表的な強度をセグメント化した部分に割り当てて、割り当てた強度の二次元の画像を表示することを記載している。緑内障の診断に関して、緑内障においては、RNFLの反射率が、特に初期の段階で、(Van der Schoot J他、IOVS 2010;51:ARVO E―Abstract212;Vermeer KA他、IOVS 2011;52:ARVO E―Abstract3666に記載されているように)減少することが示されている。セグメント化手順は、米国特許第7,782,464号明細書に先に記載されており、解剖学上の層の間の境界を識別している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのような記載されているシステム、方法、及び手順はいずれも、データを規格化して、機器のエラー、眼の不透明部等を考慮する方法を記載していない。
【0006】
いくつかの技術、例えば共焦顕微鏡検査、及び/又は光干渉断層解析(OCT)が、散乱媒質の深さ分解した画像化のために使用されている。これらの技術において、入射光は、媒質を通過し、媒質(例えば解剖学的サンプル)と相互作用し、一つ以上の検出器によって集められる。相互作用は単一の深さでのみ起こるものではないため、光及び媒質の相互作用は、複雑である可能性がある。その代わりに、入射束は一般に、通過する層の多く及び/又は全てと相互作用し、いくつかの深さにおいて散乱して、散乱光は、検出器に到達するまで、媒質と再び相互作用する。
【0007】
例えば、OCT技術では、サンプルを可干渉光源によって精査し、深さ分解した後方散乱信号の強度を記録する。例示的なOCT技術は、固定した又は可動なリファレンスミラーを用いて、分光計又は掃引源システムを用いてなど、多くの方法で実施することができる。しかしながら、そのような場合、OCT信号は一般に、検出器に達した後方散乱光のエネルギーに依存する。ラインに沿った多くのこれらの測定値を組み合わせて、図1に示すような画像を生成している。
【0008】
例示的なOCT画像において、一定の深さから測定した強度は、白は強い信号を示すことができ、黒は弱い信号を又は信号がないことを示すことができるコード化したグレースケールとすることができる。OCT光は一般に、組織の上からの入射である。残念ながら、これらの画像は、組織の物理的又は光学的特性を反映しないようである。その代わりに、それらは、同じ組織が異なる位置で異なって見えうる(すなわち、図1の矢印20によって示す位置におけるRPEの異なる信号強度によって示される、異なる信号強度を有する)ことを意味する可能性がある、周囲組織がどのように構築されているかによって決まる複雑な相互作用の結果を示すのみである。この理由は、例示的なOCT信号は、結果として後方散乱信号となる、いくつかの深さにおける媒質の光学特性のみには依存しないからである。その代わりに、例示的なOCT信号は、最初に通過する媒質によって影響を受ける、その位置における入射光の強さにもまた依存する。更に、得られた後方散乱光は、検出器に達する前に、媒質のいくつかの部分を再び通過しなければならず、従って更に減衰する。これは、OCT画像において頻繁に観察されるアーチファクトにつながる可能性がある。一つの例としては、血管のシェーディングである。血管は、入射光の強度の大きな減少を引き起こすので、より深い位置における散乱強度は大部分が減少し、及び検出器に戻る道のりで更に減衰する。これは、下にある組織の組織構造を明確に模していない、外見上の隙間につながることがある(図1の矢印10を参照)。他のアーチファクトとしては、脈絡膜及び強膜の非常に暗い外観であり、両者は、他の高散乱層、特に網膜神経繊維層(RNFL)及び網膜色素上皮(RPE)における入射光の減衰による、散乱させる組織型である。更に他のアーチファクトとしては、入射光の強度を減衰させる浮遊物又は媒質不透明部(例えば角膜、水晶体、又は硝子体の中)の場合の、画像における減少した強度である。
【0009】
更に、測定値はこの複雑な相互作用の結果であるので、単一の深さの測定値に対応する信号強度は、その深さにおける媒質の物理的又は光学的特性を直接表していない。その代わりに、しばしば画像で視覚化される、測定物の形態上の特徴のみ評価される。しかしながら、これらの形態上の特徴もまた信号強度に依存し、従ってOCT画像において必ずしも明確に定まらない。
【0010】
本開示の例示的な実施形態によれば、媒質の物理的及び/又は光学的特性を、測定から決定することができる。この決定のために、より深い位置の他の情報を、再構成処理に含むことができる。そのような再構成の例としては、OCTデータからの減衰係数の決定である。この場合、より近く、かつより深い位置からのOCTデータを用いて、反復的に、局所的な散乱強度、及び局所的な減衰係数を決定する。
【0011】
眼科学において、長年、OCT法を用いて網膜を画像化してきた。典型的に、測定は、網膜の単一の横断面の位置における、深さ分解した後方散乱データを含む、A―ラインとして定義される。光学走査を使用することで、多くのA―ラインは、横断経路、例えば直線、又は円に沿って記録している。ここ数年において、OCTは網膜を横断するラスタスキャンを行うことによって体積測定3次元(3D)走査の取得を促進する、増加したスキャン速度のために、人気を得ている。
【0012】
OCT走査の全てのデータが、手近な臨床作業のために有用であるというわけではない。例えば、緑内障において、RNFLが最も関心のある組織層である可能性がある。セグメント化手順を使用して、OCTデータ上のNFLをセグメント化することができる。従来の試験との対応性のため、及び解釈が簡単なため、セグメント化OCT走査は、データセットにおけるそれぞれのA―ラインについての、一つのRNFLの厚みの測定へと単純化される可能性がある。二次元(2D)のデータセット、例えば乳頭のまわりの円形の走査の場合、これは結果として、その位置における厚みに対する円の角度のプロットとすることができる。そのようなプロットは、TSNIT―プロットと呼ぶことがある。3Dデータセット、例えば乳頭周囲領域のラスタスキャンの場合、結果は、走査した全ての位置におけるRNFLの厚みを視覚的に示す、厚みのマップであることができる。
【0013】
セグメント化OCTデータを、これらの(例えば単一の組織、若しくは複数の組織の)厚み、又は(ある組織型の一つの境界から、同じ又は異なる組織型の他の境界への)距離へと単純化する場合、OCTデータそのものは使用されない。従って、生成したデータは、下部にある組織型に関する情報を提供しない可能性がある。緑内障の場合、RNFLは、悪化し、組織が失われ、従ってRNFLの厚みが減少することが知られている。しかしながら、悪化しているRNFLの後方散乱特性は、健康なRNFLの後方散乱特性とは異なることがある。単に絶対測定値を処理することは、信頼できない結果を生ずる。例えば、媒質不透明部は、測定された組織自体に起因しない、より低い測定された後方散乱につながることがある。従って、これらの測定値は、均一な散乱特性を有する無影響の構造体、例えば網膜色素上皮(RPE)の後方散乱に対する、測定された後方散乱の比率を算出することによって、規格化しなければならない。
【0014】
従って、本明細書において上記に記載した欠陥の少なくともいくつかを解決する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのような欠陥の少なくともいくつかは、深さの範囲にわたって測定したデータを分析することによって、散乱媒質の深さ分解した物理的又は光学的特性を決定するためのシステム、方法、及びコンピュータ可読媒体を提供する本開示の例示的な実施形態を用いて、解決することができる。
【0016】
本開示の特定の例示的な実施形態によれば、単一の層(及び/又は層の組合せ)の測定値は、機器のエラー、眼の不透明部、及び他のアーチファクトが効果的にキャンセルされうるように、他の層(及び/又は層の組合せ)の測定値と比較して、算出することができる。これらの規格化した値は、更なる処理、例えば緑内障の評価をするための、例えば診断スコアを作成するため、又はマップとして値を視覚化するために、使用することができる。
【0017】
散乱媒質の深さ分解した画像化において、入射光は、信号が検出器に達する前に、複雑に組織と相互作用する。例えば、光は光源と特定の深さとの間の媒質と相互作用し、その深さにおいて散乱して、後方散乱光は、検出器への道のりで、媒質と再び相互作用する。従って、得られる深さ分解した信号は、それらの深さにおける媒質の物理的又は光学的特性を直接表していないようである。本開示の一つの例示的な実施形態によれば、そのような深さ分解した信号に基づく物理的又は光学的特性を決定するための、システム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を提供する。例えば、ほとんどすべての光は媒質と相互作用することができ、従って一定の深さにおける入射光のエネルギーは、全てのより深い位置からの散乱光の積分値に関連するようである。検出した信号に基づいて、媒質の特性を、反復的な方法で推定することができる。例示的なシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体は、例えば、網膜の光干渉断層解析データと共に用いることができ、深さ分解した減衰係数の算出を容易にすることができる。例えば、ある深さの範囲における、光と媒質との複雑な相互作用から生じるデータを、ある深さの範囲における、組織の分離された物理的又は光学的特性を表すデータへと変換することができる。
【0018】
従って、例示的なシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体は、画像化処理を分析することができ、それによって、入射光と組織との間の相互作用の処理をモデル化し、その結果、OCT測定につながる。続いて、逆問題を解いて、例えば、OCTデータから局所的な減衰係数を生ずることができる。得られる画像は、原型のOCTデータセットにおけるアーチファクトの少し又は多くを有しないことができる、局所的な媒質の物理的及び/又は光学的特性を表すことができる。例示的な画像は、複雑な相互作用の結果よりもむしろ組織の特性を示すので、組織の信号強度は、組織層の周囲の構造体からほとんど独立している。従って、得られる例示的な画像は、より画像処理に適することができ、結果として、例えば、組織層のセグメント化になるようである。更に、これらの物理的又は光学的組織特性は、疾患及び/又は疾患の進行の、診断及び監視に有用であることができる。
【0019】
本開示の特定の例示的な実施形態によれば、少なくとも一つの生物学的構造体の少なくとも一つの特性を決定するための、システム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を提供することができる。例えば、そのような例示的なシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を用いて、生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号を得ることができる。信号のうち第一の信号の少なくとも一つは、特定の深さの第一の深さから得ることができ、信号のうち第二の信号の少なくとも一つは、特定の深さの第二の深さから得ることができる。第一及び第二の深さは、互いに異なることができる。更に、信号、及び生物学的構造体の推定特性に基づいて、情報を決定することができる。更に、情報に基づいて、生物学的構造体の範囲内の、所定の深さより近い特定の深さから提供された信号に関する情報の少なくとも一部を除くことによって、少なくとも一つの算出特性であって、減衰特性である算出特性を算出することができる。
【0020】
本開示の一つの例示的な実施形態によれば、情報を決定する際に、推定特性を、算出特性の決定における算出特性と置き換えて、生物学的構造体の特性を得ることができるように、情報及び算出特性の決定を、少なくとも一回繰り返すことができる。信号は、光干渉断層解析信号、又は超音波信号であることができる。算出特性は、生物学的構造体の散乱媒質の局所的な光学特性を含むことができ、局所的な光学特性は、ある特定の深さの範囲からの情報を使用して決定することができる。例えば、局所的な光学特性は、より浅い深さから得られる情報、及びより深い第二の深さから得られる情報を使用して、決定することができる。第二の深さから得られる情報を合計して、生物学的構造体に届く放射強度の推定値を得ることができる。
【0021】
例えば、局所的な光学特性は、減衰係数を含むことができる。算出特性は、構造体の範囲内の様々な深さにおいて評価される情報から反復的に決定される、少なくとも一つの光学的特性、又は少なくとも一つの物理的特性を含むことができる。算出特性は、診断のため、又は手動セグメント化若しくは自動セグメント化の少なくとも一つのために、使用することができる。更に、算出特性は算出した減衰を含むことができ、推定特性は推定した減衰であることができる。
【0022】
本開示の他の例示的な実施形態によれば、情報は、少なくとも一つの構造体からの局所的な後方散乱エネルギーに基づくことができる。局所的な後方散乱エネルギーは、光干渉断層解析方法によって測定することができる。
【0023】
本開示の他の例示的な実施形態において、OCTデータから組織特異的な後方散乱特性を得て、組織特異的な後方散乱特性を規格化して、これらの特性を分析する、及び/又はこれらの特性を記録する、及び/又はこれらの特性を画像で表示するための、方法、システム、及びコンピュータアクセス可能媒体を提供することができる。一つの例示的な実施形態において、OCTデータを得たあと、関心のある組織(又は一群の組織)を手動で、又は例示的なセグメント化手順によってセグメント化することができる。例示的なセグメント化手順は、例えば、組織型及び/又は解剖学上の層の境界を、提供及び/又は生ずることができる。その後、深さ分解した後方散乱データの選択的な組合せ(例えば、平均すること)によって、記録したそれぞれのA―ラインを、結果として、選択した組織の後方散乱特性を説明することができる測定値にすることができる。データの組合せは、選択した深さにわたるデータを平均することによって行うことができ、及び/又は特定の例示的な統計学的方法を使用して、データの他の統計学的特徴、例えば分散を決定することによって得ることができる。
【0024】
一つの例示的な実施形態において、例示的な測定系に誘発される変動に、又は特定の目の光学的特性、例えば水晶体若しくは硝子体の不透明部に関する変動に対して、データを堅牢にするために、このデータを規格化することもできる。例えば、関心のある組織型の平均と、参照用構造体、例えば組織型又は解剖学上の層のような、例えば網膜色素上皮(RPE)との比率を算出することによって、データを規格化することができる。これは、エラー、例えば機器のエラー、眼の不透明部、及び/又は他のアーチファクトを効果的にキャンセルすることができる。規格化したデータは、結果が疾患に関連するように、数値的に提示することができる。例えば、緑内障の診断において、規格化したRNFLの後方散乱信号の平均を算出することができ、並びに健康な目及び緑内障の目についての公知の平均の分布と比較することができる。規格化した後方散乱信号は、セクター、例えば、視神経乳頭若しくは黄斑の周辺のセクター、又は視神経乳頭若しくは黄斑におけるセクターに関して分析することができ、それぞれのセクターは、例えばそれぞれのスコアを受け取ることができる。更に、得られる規格化したデータは、同様の方法で、(例えば、ライン走査についてのプロットによる、及び/又はラスタスキャンについての画像における)厚みのデータとして、視覚化することができる。例えば、組織の後方散乱特性の正常範囲を決定することによって、病理学的組織を、その異常な後方散乱特性によって、自動的に識別することができる。
【0025】
例示的な実施形態は、OCTデータが不均一である様々な領域、例えば皮膚組織、血管などに、多数の用途を有する。
【0026】
本開示の他の例示的な実施形態によれば、例示的な光干渉断層解析(OCT)装置を用いて目を走査することによって得られる、目の内部の反射サイトの分布に対応する3D強度データセットから、部分的な画像を作るための、システム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を提供することができる。そのような例示的な実施形態を使用して、強度データをセグメント化して、間隔を置いて離れた参照用表面の第一の対を識別することができる。表面のこの第一の対の間に延在するZ軸に沿った強度データを処理して、複数のX及びYの位置のそれぞれに、第一の代表的な強度値を割り当てることができる。更に、強度データをセグメント化して、間隔を置いて離れた参照用表面の第二の対を識別することができる。次に、表面のこの第二の対の間に延在するZ軸に沿った強度データを処理して、複数のX及びYの位置のそれぞれに、第二の代表的な強度値を割り当てることができる。第一及び第二の代表的な値は、複数のX及びYの位置のそれぞれにおいて、単一の規格化した代表値に変形することができる。
【0027】
例えば、規格化した代表的な値に基づいて、目の位置に、及び/又は表面の対によって定義される空間の全体に、数値的なスコアを割り当てることができる。規格化した代表的な値は、画像として表示することができる。表面の対の間に延在するZ軸に沿って強度データを処理して、全てのX及びYの位置について、例えばそれぞれの対について、単一の代表的な強度値を割り当てることもできる。データのセグメント化は、コンピュータプログラムによって提供される手順に基づいて自動で、及び/又は手動で、行うことができる。セグメント化したデータは、例えば、同じ強度データセットの範囲内の、あるデータポイントと他のデータポイントとの強度データに基づいて、特徴を全てのデータポイントと関連させること、及びこれらの特徴に基づいて、機械学習分類器を適用することにより、参照用表面を識別することによって、生ずることができる。参照用表面の一つとしては、解剖学上の層、及び/又は網膜層に対応することができる。更に、例示的な二次元(2D)画像を用いて、3次元(3D)OCTの断面画像を記録することができる。サポートベクターマシンである機械学習分類器を使用することができる。機械学習分類器のアウトプットを更に処理して、参照用表面を作ることができる。
【0028】
本開示のこれら及び他の目的、特徴、及び利点は、本開示と共に提供される添付の図面、及び請求項と連携して考慮し、本開示の例示的な実施形態についての以下の詳細な記載を読むことにより、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の更なる目的、特徴、及び利点は、本開示の実施形態を示す添付の図面と連携して考慮される以下の詳細な記載から明らかとなる。
【0030】
図1図1は、健康な目の例示的なOCT走査である。
【0031】
図2図2は、本開示の例示的な実施形態に従いOCT画像を処理することによって生じた、例示的な減衰係数の画像である。
【0032】
図3図3は、本開示の例示的な実施形態による方法のフロー図である。
【0033】
図4図4は、本開示の例示的な実施形態による分析手順のフロー図である。
【0034】
図5A図5Aは、本開示によるシステム、方法、及び/又はコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を用いて得られた、通常の目の例示的なSD―OCT画像である。
【0035】
図5B図5Bは、本開示によるシステム、方法、及び/又はコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を用いて得られた、重度の緑内障の目の例示的なSD―OCT画像である。
【0036】
図6A図6Aは、本開示によるシステム、方法、及び/又はコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を用いて得られた、サンプルのRNFL及びGCIPLの反射率のグラフである。
【0037】
図6B図6Bは、本開示によるシステム、方法、及び/又はコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を用いて得られた、サンプルのRNFLとGCIPLとの間の比率のグラフである。
【0038】
図7図7は、通常の目、及び緑内障の目についての、視神経乳頭の周りのバンド上の、RNFLの規格化した反射率の平均のグラフである。
【0039】
図8図8は、通常の目、及び緑内障の目についての、異なる四半部における、RNFLの規格化した反射率の平均のグラフである。
【0040】
図9図9は、本開示によるシステム、方法、及び/又はコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を用いて得られた、通常の目、及び緑内障の目の、RNFLの規格化した反射率マップの、一連の例示的な画像である。
【0041】
図10図10は、本明細書に記載の例示的な手順、及び方法を行うことができ、及び/又は実施することができる、本開示の例示的な実施形態によるシステムの略図である。
【0042】
図面の全体にわたって、同一の参照番号及び文字は、あるとしても別途記述しない限り、例えば、説明された実施形態の特徴、要素、構成成分、又は部分を意味するために用いる。さらに、ここで図面を参照しながら主題の開示を詳細に記載するが、それは説明的な実施形態と関連してそのように行うものである。開示した主題の真の範囲及び精神、並びに本明細書と共に提供する添付の特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、記載する例示的な実施形態に変更、及び変形をすることができることを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
《例示的な手順》
提示する方法は、光と媒質との相互作用、及び検出器で得られた信号をモデル化し、反復的に逆問題を解いて、媒質の物理的又は光学的特性を局所的に算出する。
【0044】
〈例示的なモデル〉
(入射光の例示的な減衰)
局所的に均一な層を通る入射光の例示的な伝播の間、入射光の出力は、下式に従って減衰する。
【数1】
ここで、L(x)は、深さxにおける光の出力であり、μは層の減衰係数である。これを、境界条件L(0)=Lを用いて解き、入射光の出力を定義すると、結果として減衰光についての下式となる。
【数2】
ここで、減衰係数が一定のとき、L(x)=L−μxに減少する。式2の位置xにおける光L(x)の出力の例示的な算出は、位置xまでの減衰係数を知ることができ、及び入射光Lの出力を知ることができる。
【0045】
(例示的な局所的入射光出力、及び積分)
入射光の出力を定める他の方法としては、減衰出力A(x)を分析することである。
【数3】
この式を積分すること、及び全ての出力は最終的には媒質中に減衰することができるという事実を使用することで、結果として、
【数4】
となる。入射光の(残存する)出力は、
【数5】
によって定義することができる。
【0046】
式2とは対照的に、この例示的なL(x)の式は、Lが既知であることを必要としない。既知でなければならないことは、x以上の深い位置における減衰係数、並びにx以上の深い位置における強度L(x)である。
【0047】
(例示的な減衰及び後方散乱に関して)
例示的な減衰は、散乱及び吸収の両方から生じる可能性がある。減衰光の、一定の画分αが後方散乱した場合、深さxにおける後方散乱光のエネルギー密度は、
【数6】
で与えられる。
【0048】
(例示的なOCT信号)
そのような例示的な後方散乱は、例示的なOCTシステム、及び/又は手順によって実際に測定した信号でなくてもよい。その代わりに、信号は、検出器に達する前に、組織表面に戻る途中で、組織によって再び減衰される可能性があり、ここで、S(x)は、深さxにおいて散乱して組織表面に到達する光の強度を記述する。
【数7】
I(x)は、検出器による検出の後、例示的な測定されたデジタル信号を提供する、転換率βを掛けた、光の強度である。
【数8】
【0049】
〈例示的なμの決定〉
μ(x)を算出するために、式5を用いて、
【数9】
と書く。式6を置換し、分子及び分母の両者に、βを含ませることにより、
【数10】
を得る。
【0050】
組織内への光の浸透は、例えば画像の深さDに限られるため、μ(x)の算出は、
【数11】
によって近似される。
【0051】
(例示的な反復的な手順)
例示的な分析は、OCT画像データI(x)からμ(x)を直接算出する方法を提供しなくてもよいが、本開示の例示的な実施形態によれば、画像データから、及びμ(x)から後方散乱信号を算出/決定することができ、及び後方散乱信号からそのようなμ(x)を決定することができる。μ(x)及びβB(x)の両方が未知の場合、減衰係数は直接算出されそうにない。その代わりに、例示的な数値的手順を実施して、両方の値を推定することができる。
【0052】
そのような評価を行う一つの例示的な手順としては、例えば、反復的な手順によるOCT画像データI(x)からのμ(x)の算出が挙げられ、その例示的な実施形態を図3のフロー図に示す。図3に説明したこの例示的な手順において、減衰係数μ(x)は、小さい値に初期設定することができる。これらの初期値、及び画像データI(x)に基づいて、式8によってβB(x)を算出することができる。次に、算出したβB(x)に基づいて、式11によってμ(x)を算出することができる。この例示的な手順を、μ(x)が収束するまで繰り返す。図3に関して、この例示的な手順は、以下のように更に記載することができる。
1.μ(0)(x)を小さい値に初期設定し(ブロック310)、kを0に設定する(ブロック320)。
2.k←k+1(ブロック330)。
3.μ(k−1)(x)及びI(x)から、βB(k)(x)を算出する(式8)(ブロック340)。
4.βB(k)(x)から、μ(k)(x)を算出する(式11)(ブロック350)。
5.収束が起こったか否か決定し(ブロック360)、収束していなければ、収束に達するまで、手順2〜5(ブロック330〜360)を繰り返す。
6.μ(x)←μ(k)(x)を決定する(ブロック370)。
【0053】
例示的な局所的な減衰μ(x)は、μ(k)(x)によって得ることができる。例示的な収束は、様々な例示的な方法で定めることができる。例えば、一定数の繰り返しを用いることができる。代替として、更新ステップのサイズを分析することができ、それがいくらかの絶対値又は相対値未満である場合に、収束とみなすことができる。
【0054】
〈例示的な離散化〉
本明細書において示す例示的な数学的な式は、連続的な場合において使用できることがある。特定の現実の測定は離散的であることがあり、従って例示的な離散的な一連の式を導くべきである。それぞれ異なる仮定に基づく、様々な例示的な離散化を使用することができる。そのような例示的な離散化の一つは、以下のように記載される。
【0055】
例えば、サンプルの点に中心を置き、Δxの一定の間隔を用いて、一定の測定間隔を仮定することができる。I(x)の離散的な変形I[i]は、
【数12】
と定義することができる。
【0056】
同様に、μ(x)の離散的な変形を定義することができる。例えば、画素サイズにわたってμ(x)を一定とみなすことによって、式8の積分を、その離散的な変形によって置き換えて、結果として、
【数13】
となり、βB[i]について解いて、
【数14】
を得ることができる。
【0057】
同様に、離散的な減衰係数μ[i]の例示的な算出は、
【数15】
によって得ることができる。
【0058】
〈更に例示的な記載〉
本開示の更に例示的な実施形態によれば、システム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体は、更なる効果を含む更なる変形をすることができる。例えば、特定の例示的なOCT手順、及びシステムにおいて、限られた可干渉距離は、結果として、いわゆるゼロ―遅延ライン(静的ミラーの位置によって決定することができる)から増加する距離における深さについての、減少した信号になることがある。この信号の減少は、指数関数及び/又は他の崩壊関数によってモデル化することができ、並びに例示的な手順及び/又はシステムに含まれることができる。限られた焦点の深さは、同様の方法でモデル化することができ、ここで、正確な焦点のパラメーターを考慮に入れて、焦点内の軸方向の位置にわたる光の収集効率を修正する。本開示による例示的なシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体の、他の例示的な変形としては、ノイズの処理を挙げることができる。例えば、ショットノイズの算出、又はシステムノイズを記載する参照用測定に基づく可能性がある小さな値を、OCTデータから減算して、ほとんど信号を散乱させずに、領域におけるノイズの蓄積を減らすことができる。複数の散乱光を使用することは、結果としてバックグラウンド信号になることがある。この寄与は、本開示の例示的な実施形態による減算によって、モデル化することができ、及び説明することができる。隣接するピクセルのデータを結合して、局所的に散乱する信号のより良好な推定を得ることができる。当業者に知られている様々な規格化の方法は、βB(x)、及びμ(x)の両方の評価に用いることができ、それによって組織の構造についての事前知識を取り入れることができる。
【0059】
μ(x)の例示的な初期設定は、いくつかの方法で行うことができる。一つの例示的な手順によれば、初期設定は、全てのxについて小さい値を用いてμ(x)を初期設定することによって行うことができる。この例示的な小さい値は、画像の深さDにわたる全体の減衰が大きく、例えば99.9%となるように、選択することができる。μ(x)が一定のとき、式2はL(x)=L−μxに減少することができる。x=Dにおいて、この式を評価して、式を再編成すると、
【数16】
となる。比率
【数17】
を0.001に設定して、99.9%の減衰に合致させ、結果としてμについての初期値となる。
【0060】
他の場合において、例えば、大きなデータセットの平均値から得られるような、μ(x)の期待値についての事前知識を利用できてもよい。そのような更なる推定を使用してμ(x)を初期設定することは、例示的な手順のより速い収束につながる可能性がある。
【0061】
《更なる例》
本開示の例示的な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体は、更に一般的に適用可能であるが、健康な人の眼の例示的な網膜OCT画像10を示す、図1における例示的な図に注目が集まる。図1に示すように、血管は、下に横たわる組織(矢印10)の激しいシェーディングを生ずることがあり、均一であると推定される組織の層は、様々な明るさを示している(RPE、矢印20)。
【0062】
本開示の一つの例示的な実施形態によれば、本開示の例示的な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体を用いた、図1からの例示的なデータの処理は、結果として、図2に示すような減衰係数の画像にすることができる。
【0063】
例えば、図2に示す例示的な減衰係数の画像は、本開示の特定の例示的な実施形態に従ってOCT画像を処理することによって、生ずることができる。血管はおそらく結果としてほとんどシェーディングにならず、RPEは均一に明るい層として示され、脈絡膜及び強膜は実際に高減衰する組織として示され、(グレースケールバーを用いた図2に示すように、)ピクセルの明るさは物理的な意味を有する。血管によるシャドウイングは大部分を除去することができ、RPEはより均一の外観を有する。図2は、脈絡膜及び強膜の散乱特性を更に説明する。ノイズが多い外観は、網膜層を通過した後に残存する少量の入射光に起因する可能性がある。
【0064】
《更なる例示的な手順》
本開示の更に他の例示的な実施形態によれば、図4のフロー図において説明したように、更なる手順を提供することができる。例えば、図4に示すように、ブロック405において、データを得ることができ、ブロック410の取得データから網膜サンプルのOCTデータ(例えば画像OCTデータ)を決定/得ることができ、そのようなOCTデータの少なくともいくつかは、ブロック420において、網膜層に関してセグメント化することができる。ブロック410からの実際のOCTデータ、及びブロック420からのセグメント化データ(ブロック430を経て次に進められる)は、ブロック440において組み合わせて、例示的な特性、例えば平均強度、又は層からの分散を生ずることができる。特性の決定からの、規格化していない層データは、ブロック450において第二の層データについて標準化して、ブロック460における規格化したデータを生ずることができる。規格化したデータは、ブロック470における数値的な結果、例えば特定の網膜領域についての値へと処理することができ、及び/又は規格化したデータは、ブロック480における数値的な結果の画像的な表示、例えば画像へと処理することができる。そのような例示的な手順に関する更なる詳細を以下に提供する。
【0065】
〈例示的な取得〉
例えば、本開示の一つの例示的な実施形態において、(ブロック405における)データの取得は、例示的なOCTシステム、例えばスペクトラリス(Spectralis)OCT(ハイデルベルクエンジニアリング(Heidelberg Engineering)、ハイデルベルク(Heidelberg)、ドイツを参照)、又は例示的な光周波数領域干渉法(OFDI)システムによって行うことができる。そのような例示的なシステムからの、スペクトル分解した干渉データは、画像データへと処理することができる(ブロック410)。複数の走査又はA―ラインは、改善されたSNRのために平均することができる。異なる光学、波長、サンプリング密度、又は解像度を有するものを含む、任意の他の例示的なOCTシステムを、本開示の例示的な実施形態と共に使用することができることを理解すべきである。
【0066】
〈例示的なセグメント化〉
例示的なセグメント化手順(ブロック420を参照)の目的は、OCT画像における類似の組織型の可干渉領域を定めることであることができる。例えば、従って、OCTデータをセグメント化する一つの例示的な方法は、本明細書に記載されており、他の方法を用いることもできることを理解すべきである。そのような例示的な方法は、OCTデータポイント(又はピクセル)ごとに特徴ベクトルを定め、機械学習アルゴリズムによる自動的な分類を行い、任意の例示的な規格化手順を使用して、滑らかな結果を生ずることに基づいている。方法は、異なる組織型の間の界面に焦点を当てており、従って、セグメント化の結果は、関心のある界面「より上」又は「より下」である。界面を組み合わせることによって、組織をセグメント化することができる。
【0067】
(例示的な特徴ベクトル)
ピクセルの測定した後方散乱は、その分類についての不十分なデータを提供する。例えば、類似の後方散乱特性を有する異なる組織があり、従って、その特性のみに基づいて分離できないことがある。しかしながら、周囲組織の後方散乱に基づく特徴と組み合わせて、固有の標識化を行うことができる。従って、それぞれのピクセルは、ピクセルの領域を囲むデータによって増大することができ、結果としてそれぞれのピクセルについての特徴ベクトルになる。例示的な方法は、一度に一つのA―ラインにおいて見ることができるが、隣接するA―ラインもまた確実に考慮に入れることができる。
【0068】
ピクセルの分類は、一般に、これらのピクセルの一つ以上の特徴に基づいて行うことができる。OCTデータにおいて、最も基本的な特徴の一つは、例示的なOCT測定によって生じる値である可能性がある。しかしながら、例えば、後方散乱値が任意の組織について特有でないことがあるとしても、データはそれだけに基づいてセグメント化しなくてもよい。例えば、RNFL及びRPEは、一般に、網膜内の強く後方散乱する層である。
【0069】
例示的な特徴としては、以下のように定めることができる。第一に、本明細書に記載するように、ピクセルの値自体のみを取り入れることは、不十分であることがある。その代わりに、そのピクセルより上又はより下のピクセルからのデータを、同様に取り入れることができる。第二に、例示的な界面は、しばしばOCT信号の増加又は減少によって描くことができ、結果としてB―走査における強度エッジになる。それぞれのA―ラインに基づいて特徴を定めることができる。これは、例えば走査プロトコル(例えば、B―走査当たりのA―ライン数、又は空間当たりのB―走査数)にかかわりなく、同じ特徴の使用(及び従って分類器)を促進することができる。従って、例えば、一次元のハール的(Haar-like)特徴を利用することができる。本開示の一つの例示的な実施形態によれば、異なるスケールの、平均及び勾配の両者を取り入れることができる。例えば、ガウシアンの平均及び差にわたってハール的特徴を選択することができ、その理由は、それらは例えばルックアップテーブルを使用して素早く実施できるからである。
【0070】
例えば、本開示の一つの例示的な実施形態の手順によれば、A―ラインに沿った強度は、fx,y(z)によって表され、ここでx及びyはA―ラインの横座標であり、zは軸方向の深さ又は距離である。以下、横座標を省略し、f(z)と書くことができる。ここで、第一の特徴gは、単にf自体であることができる。
【数18】
次に、スケールdにおける平均gは、fを中心に2ピクセルを単に平均することによって定義される。
【数19】
同様に、勾配h
【数20】
によって算出することができる。及び、スケールdにおける勾配hを、
【数21】
によって定義することができる。
【0071】
これらの例示的な特徴に基づいて、発明者らは、それぞれのピクセルについてスケールdまでの完全な特徴ベクトル
【数22】
を、
【数23】
と定義する。スケールの最適な数は、異なる界面について調整することができる。それに加えて、更に高度な特徴、例えば視神経乳頭までの距離、他の(例えば、既にセグメント化した)層までの距離、他の目標までの距離、他の位置に中心を置いた平均及び勾配、並びに強度分布の他の統計学上の記載を用いることができる。
【0072】
(例示的な分類)
例示的な分類器は、それぞれの入力又は特徴ベクトル
【数24】
についての標識を生ずることができる。例示的な分類器の特定のタイプは、サポートベクターマシン(SVM)であることができる。この例示的なサポートベクターマシンは、訓練の間に、分類の境界と、その境界に最も近いサンプルとの間の最大差を生ずることを目的とすることができる。新規な、分類されてない特徴ベクトル
【数25】
が与えられたとき、例示的なサポートベクターマシンは、
【数26】
を評価することができ、及び、
【数27】
のサインを使用して、標識を生ずることができる。例えば、〈・,・〉は内積を意味し、
【数28】
は通常の(線形)分類の境界を意味し、bはいくつかのオフセットである。訓練段階において、
【数29】
は訓練サンプル
【数30】
の加重和として定義される。方法によって、例示的なサポートベクターマシンを最適化することができ、質量の多くはゼロになることがあり、及び効果的に、比較的少数のサンプルのみ、サポートベクトルを用いて
【数31】
を定義することができる。従って、式(21)は、
【数32】
と書き直すことができる。ここで、
【数33】
は、訓練サンプルの質量を意味し、
【数34】
及びyはその対応する標識(±1)を意味する。
【0073】
式(22)の分類器は、その結果が特徴ベクトル
【数35】
及びサポートベクトルの内積の線形の組合せであるとすれば、線形分類器であることができる。しかしながら、内積をカーネルK(・,・)と置き換えることによって、非線形の例示的なサポートベクターマシンを、以下のように構成することができる。
【数36】
【0074】
暗に、カーネルは、入力特徴を、場合によっては非常に高次元の空間にマップすることができる。この特徴空間において線形分類を行う。様々なカーネル、例えば多項式のカーネル、又は半径方向の基底関数を用いることができる。後者の場合、カーネルは入力特徴を無限の次元空間にマップすることができ、高次の非線形の分類境界を与える。多項式のカーネルを用いて、特徴空間の次元をよりよく制御することができる。
【0075】
一般に、式(23)によって与えられる例示的なカーネル―サポートベクターマシンは、おそらく式(21)又は式(22)のような明確な線形関数として書き直されないことがある。式(23)の潜在的な形態の短所は、全ての記憶したサポートベクトルを使用すること、及び新しいサンプルごとに、サポートベクトルごとカーネルを算出することが必要であることとすることができる。
【0076】
しかしながら、いくつかの例示的な場合において、カーネルを明確に記述することができる。これは、例えば、多項式のカーネル
【数37】
にあてはまり、ここでdは多項度である。より高度の多項式カーネルについて、得られる例示的なマッピングは、結果として高次元の特徴空間になることがあるが、より低度のカーネル(2、及び場合によっては3の程度)については明確な算出を行うことができる。これは、マッピングφ(・)の内積としてカーネルを記述することによって行うことができ、すなわち、
【数38】
である。
【0077】
例えば、程度1の多項式のカーネルについて、対応する例示的なマッピングは、
【数39】
であることができ、ここでxはn個の要素を含むベクトル
【数40】
のi番目の要素である。同様の方法で、多項式のカーネルについて明確なマッピングを見つけることができる。そのような例示的な、明確なマッピングφ(・)が存在する場合、式3は、
【数41】
と書き直すことができ、式(21)と同様の結果を得ることができる。その結果、
【数42】
を事前に計算することができ、新しいデータ
【数43】
について、マッピング
【数44】
、及びその
【数45】
との内積のみを算出することができる。
【0078】
本開示の一つの例示的な実施形態による例示的な用途において、ベクトル
【数46】
をn―次元空間から
【数47】
―次元空間へと変形する、対応するマッピング
【数48】
を用いて、程度が2の多項式のカーネルを選択することができる。
【数49】
を事前に計算することによって、記憶している全サポートベクトルは、もはや必要でなくてもよい。更に、例示的な算出は、得られた例示的なサポートベクターマシンの線形操作によって、非常に高速であることができる。
【0079】
それぞれのピクセルについて、例示的な特徴ベクトルは、標識へと変換すべきである。この作業のために、多くの例示的な機械学習分類器を使用することができる。本開示による方法の一つの例示的な実施形態において、低度の多項式のカーネルについては、例示的なサポートベクターマシンを用いることができる。この例示的なカーネルは非線形の分類挙動を促進することができ、比較的低次元の空間においてもなお作動することができる。この分類器の例示的な結果としては、現在のピクセルが、関心のある界面より上に又はより下に分類されるか否かを示す標識であることができる。例示的な分類器は、通常の健康な目の一連の手動セグメント化OCT走査に由来する例のデータ上で、訓練することができる。
【0080】
(例示的な規格化)
ピクセルの分類の例示的な処理は、分類標識を有するピクセルの体積につながる可能性がある。これらの例示的な標識は、例示的な分類手順によれば、ピクセルが、関心のある界面より上又はより下にある可能性があることを意味することができる。例示的な分類結果は、いくつかのエラーを含むことがあり、場合によっては結果として誤って割り当てられた標識となることがある。更に、誤分類されたA―ラインに画像アーチファクトが導かれることがあり、位置決めのエラーは界面における不連続性につながることがある。界面としての標識においてあらゆる変化を使用することは、場合によっては層の非現実的な形態につながる可能性がある。その代わりに、本開示の特定の例示的な実施形態によれば、いくつかの制約を適用することによって、検出した界面を規則化することができる。界面の曲率を制約することによって、平滑性を制御することができる。
【0081】
こうする一つの例示的な方法としては、界面を記載する非パラメーター的方法を提供することができる、例示的なレベル集合法を用いることによる方法とすることができる。パラメーター的方法、例えば界面の明確なパラメーター表示を提供するスネークとは対照的に、例示的なレベル集合法は暗に界面を埋めることができ、特定の計算上の利点(例えば、界面の伝播、及びトポロジーに関するもの)がある可能性がある。例示的なレベル集合関数φは、(体積測定OCTデータについての三次元の)入力データと同じ空間において定義することができ、及び入力座標
【数50】
をスカラーにマップすることができる。界面は、レベル集合がゼロである曲線C、すなわち
【数51】
として、定義することができる。例示的なレベル集合は、一般的なレベル集合の式
【数52】
に従って発展させることができる。φはレベル集合の更新ステップであり、Fはレベル集合を駆動するいくつかの力であり、及び∇φはレベル集合の勾配である。(
【数53】
によるレベル集合関数から直接に算出することができる曲率κに基づいて、)平滑性の制約を加えること、及び標識領域
【数54】
によってFを定めることは、結果として、
【数55】
となり、ここで、α及びβの比率は、両方の用語の相対的な寄与を定める。標識領域Lは、上記の節で説明した分類手順によって生じる。
【0082】
〈例示的な選択的な組み合わせ〉
それぞれの例示的なOCT後方散乱測定について、例示的なセグメント化手順(ブロック420)は、ピクセルが、関心のある組織型に属するか否かを意味する標識(例えば、ブロック430のセグメント化データ)を生ずることができる。それぞれのA―ラインについて、選択した組織型に対応するそれらの測定値は保持される。A―ラインの例示的な結果データを分析して(例えば、図4のブロック440)、例えば、そのデータのいくつかの特性を記載する単一の値、例えばその平均又は分散を生ずる(例えば、図4のブロック450)。それぞれのA―ラインについて、そのような例示的な処理を繰り返すことによって、A―ラインを得た位置にマップされることがある一連の値を生ずることができる。そのような例示的な値は、(例えばライン走査についての)プロットとして、又は(例えばラスタスキャンについての)画像として、表示される。
【0083】
A―ライン上の選択ポイントのそれぞれの組についての単一値をとることは、例示的な直接的方法の一つであることができるが、同様に複数の値を、例えば平均及び分散、又はパーセンタイル値を導くことができることを理解すべきである。更に、隣接したA―ラインの選択ポイントを組み合わせて、より大きいサンプルを得ることができ、従って、例えばより信頼性の高い統計値の推定を得ることができる。
【0084】
〈例示的な規格化〉
組織に到達する入射光の例示的な出力は、様々なパラメーター、例えば光源出力、媒質不透明部、他の組織層との相互作用等に依存する可能性がある。これらの例示的なパラメーターは、事前に既知でなくてもよく、経時的に変化することができ、いくつかのパラメーターはそれぞれの患者によって、又はそれぞれの場所によってさえ異なることがある。組織との相互作用の後、後方散乱光の強度は、同様のパラメーターによって再び影響を受ける可能性がある。
【0085】
従って、データを定量的に分析することができる前に、測定したデータの例示的な規格化(例えば、図4のブロック460)を行うことは、好ましいことであり得る。この規格化を行う一つの例示的な方法としては、例えば、参照用信号に対して相対的に信号を算出することによる方法であることができる。この例示的な参照用信号は、影響を受けていない網膜層の後方散乱によって提供することができる。緑内障が生じた場合、RPEをそのような参照用層として使用することができる。例えば、あらゆるOCTのA―ラインにおいて、測定したRNFL信号を、RPE信号の平均で割って、規格化したRNFL信号を生ずることができる。参照用層の更なる特性を用いて、より良好な参照用信号を生ずることができる。例えば、信号強度が、小さな横方向の置換について著しく変化しないと仮定する場合、RPE信号は、複数のA―ラインにわたって平均することができる。
【0086】
〈例示的な数値的なアウトプット〉
A―ライン当たりに組み合わせた後方散乱データを更に分析して(例えば、図4のブロック470)、選択した組織に関する更なる情報を提供することができる。例えば、緑内障においては、RNFLがより薄くなるだけでなく、通常、減少した後方散乱を示す。健康な目からのデータに基づいて、RNFLの後方散乱特性のための規範的なデータを導くことができる。新しいデータを分析するとき、後方散乱特性を規範的なデータと比較して、観察したRNFL後方散乱が正常範囲内であるか、又は範囲外であるかを容易に評価することができる。厚みのデータから従来的に導くことができるような、規範的なデータにおける一つの利点としては、厚みはしばしば特定の位置に依存するが、走査全体にわたって組織型が均一な後方散乱特性を有することがあるということである。これは、観察した値の正常範囲を減らし、従って感度の高い診断システム及び手順につながることがある。
【0087】
(第一の例示的なレビュー)
傍乳頭網膜領域の例示的な画像を、スペクトラリスOCTシステムで走査した10の通常の目、及び30の緑内障の目(例えば、軽度の、中度の、及び重度の緑内障の、それぞれ10の目)の4つの固定した場所で分析した。RNFL及びGCIPLの反射率を、網膜色素上皮に対して測定した。通常の目と緑内障の目との間の反射率の違いを調査した。RNFLの反射率は、通常の目より、緑内障の目において著しく低い(例えば、軽度においてp=0.018、中度においてp=0.001、及び高度な緑内障の目においてp<0.001)ことが決定された。通常の目と緑内障の目との間のGCIPLの反射率における著しい違いはなかった。RNFLとGCIPLとの間の比率は、通常の目より、緑内障の目において著しく低かった(軽度の、中度の、及び重度の緑内障の目についてp<0.001)。
【0088】
(画像の取得及び処理)
参加者らを、一度、スペクトラリスOCTシステムで走査した。両方の目の傍乳頭網膜領域は、20度×20度の体積走査によって走査した。この走査は、それぞれ約512のA―スキャンからなる約193のB―走査を含んだ。それぞれのB―走査は、(例えば、ART値5のスペクトラリスOCTシステム上の、内蔵視標追跡システムを使用した)同じ場所における平均5つのB―走査であった。各B―走査と次のB―操作との間の横方向の距離は、約30μmであった。体積走査は、私有の全体的な品質スコアが15dB未満である場合、又は内蔵された最大取得時間300秒のために体積走査が不完全であった場合、除外した。
【0089】
反射率を決定するために、0と1との間の線形スケール上で測定した強度を表す生データを利用した。例示的な装置は、これらの強度を、下式
【数56】
を適用した後に、グレースケール画像で表示することができた。ここで、Xは生データの値を表し、Y=0は反射率を表し、及びY=1は最大反射率を表す28
【0090】
反射率の例示的な分析は、固定した場所において、視神経乳頭(ONH)周辺の4つの四半部全てに行った。ONHの中心を手動で選択し、参照用として網膜色素上皮の境界をとった。このONHの中心から、1.3mm上側に、下側に、耳側に、及び鼻側に、関心領域を選択した。失敗したB―走査を修正するために、3つのB―走査の中から選択距離に最も近い最良のものを、分析のために選択した。一つのB―走査当たり、幅20ピクセルの分析のための領域を選択した。選択した20ピクセルの面積が、血管を少しでも含む場合、血管によって生じるいかなる散乱をも回避するために、幅20ピクセルの窓を、血管のない領域の方へB―走査に沿って移した。
【0091】
それぞれの網膜層の反射率を別々に得るために、層を手動でセグメント化し、マニュアルセグメント化手段、ITKSNAPによってカラーコーディングした。カラーコーディングは、訓練された医師によって手動で行った。RNFL、GCIPL(神経節細胞層(GCL)+内網上層(IPL))の反射率、及びRNFLとGCIPLとの間の比率を、分析のために用いた。反射率が類似するため、IPLを伴うGCLの反射率を決定した。光学的特性の違いを修正するために、RNFL及びGCIPLの反射率を、両者とも網膜色素上皮(RPE)との比率として表した。
【0092】
(第一の例示的なレビューの例示的な結果)
通常の目(510)、及び緑内障の目(520)の、例示的なスペクトル領域(SD)OCT画像を、それぞれ図5A、及び5Bに示す。図5A、及び5Bにおいて、緑内障の目のRNFLのグレースケールを通常の目と比較することができ、緑内障の目の減少した反射率を表している。反射率における例示的な結果を、図6A、及び6Bのグラフに示す。具体的には、図6Aは、通常の目、軽度の、中度の、及び重度の緑内障の目についての、RNFL(網膜神経繊維層)及びGCIPL(神経節細胞層+内網状層)の反射率を示すグラフを説明しており、平均(太いライン)として、場所、すなわち視神経乳頭に対して耳側、上側、鼻側、及び下側ごと別々に示す。図6Bは、同じものについての、RNFLとGCIPLとの間の比率を示すグラフを示す。図6Aに提供する例示的な反射率を、RPE(網膜色素上皮)の反射率に対する比率として表す。
【0093】
図6A、及び6Bに示すように、RNFLの規格化した平均反射率は、通常の目より、緑内障の目において低かった。緑内障がより重症になるにつれ、規格化した平均反射率は減少し、通常と軽度の緑内障との間で約1.53から0.85への変化を示し、中度について更に0.65に、及び重度の緑内障について0.53に落ちた。GCIPLにおいて、緑内障の目と通常の目と間に、反射率における統計的に有意な違いは見られなかった。RNFLとGCIPLとの間の比率は、通常の目より、緑内障の目において著しく低かった。これらの違いは、図5A及び5Bの例示的な画像において説明される。
【0094】
患者のRNFL及びGCIPLの例示的な反射率を、ONH周辺の4つの所定の場所、すなわち耳側、上側、鼻側、及び下側において測定した。RNFLの反射率、そしてRNFLとGCIPLとの間の比率は、図6A及び6Bのグラフに提供するように、他の場所より、鼻側においてより低かった。
【0095】
(第二の例示的なレビュー)
本開示の例示的な実施形態による例示的な方法は、領域にわたって規格化したRNFLの反射率を平均することによって、データから数値的なアウトプットを生ずることができる。この例示的な場合において、視神経乳頭の周りのバンドを使用した。10の通常の目、及び8つの緑内障の目について、この平均を算出し、結果を図7のグラフに示す。群間の大きな違いに注目されたい。両方の群についての分布の重複は、かなり小さくなることができ、診断ツールとして使用することができることを示している。血管を有する領域を除外し、単純な平均より高度な測定を使用することは、例示的な結果を更に改善することができる。更に、分析は、データの一部のみにすることもできる。図8のグラフにおいて、上側、鼻側、下側、及び耳側の四半部について、例示的な平均の分布を示す。
【0096】
〈例示的な画像的なアウトプット〉
対応するA―ラインの横断的な位置に一致することができる例示的な表示方法を選択することによって、それぞれ選択的に組み合わせたA―ラインについての例示的な値を、より良好な解釈のために表示することができる(例えば、図4のブロック480)。直線に沿った走査については、従来のプロットを用いることができる。乳頭を中心においた円形の走査については、例示的なTSNITプロットを用いることができる。この種の例示的なプロットにおいて、(乳頭に対する)角度を、x軸に沿ってプロットすることができ、対応する値をy軸に沿って示すことができる。x軸は、耳側に始まり、上側、鼻側、及び下側の領域を通って進み、並びに耳側で終わるように選択することができる。ラスタスキャンについては、それぞれのx及びy位置がラスタ点の位置に対応し、並びに値がグレースケールで、又は擬似カラーマップで示される、例示的な画像を生じることができる。一つのA―ライン当たりに複数の値が導かれる場合、そのような例示的な値を表示することができる。
【0097】
図9に、本開示によるシステム、方法、及びコンピュータアクセス可能媒体の、例示的な実施形態を使用した、通常の目及び緑内障の目の両方の、規格化したRNFL反射率マップの例の画像を示す。緑内障の目の例は、局在欠陥の可視性を説明する。例えば、通常の規格化したRNFL反射率マップの例を、画像の上列に提供し、緑内障の目を、画像の下列に提供する。RNFL反射率は、RPEで規格化した。緑内障の目において、ONHからそれぞれの像の左側まで、外へ伸びる減少した反射率の可視領域(例えばより暗い領域)がある。
【0098】
《例示的なシステム》
図10は、本開示によるシステムの例示的な実施形態の例示的な略図を示す。例えば、本明細書に記載された本開示による例示的な手順は、処理装置及び/又はコンピューティング装置102によって行うことができる。そのような処理/コンピューティング装置102は、例えば全体的に若しくは部分的に、限定されないが、例えば一つ以上のマイクロプロセッサを含むことができるコンピュータ/プロセッサ104、並びにコンピュータアクセス可能媒体(例えば、RAM、ROM、ハードディスク、又は他の記憶装置)に記憶された使用命令であることができ、又はこれを含むことができる。
【0099】
図4に示すように、例えば、コンピュータアクセス可能媒体106(例えば、上記に記載したように、記憶装置、例えばハードディスク、フロッピーディスク、メモリースティック、CD―ROM、RAM、ROM等、又はこれらの集合)を、(例えば処理装置102と通信して)提供することができる。コンピュータアクセス可能媒体106は、その中に実行可能命令108を含むことができる。これに加えて又はこれに代えて、記憶装置110を、例えば、本明細書において上記に記載したように、処理装置を構成して、特定の例示的な手順、処理、及び方法を実施するよう処理装置102に命令を提供することができるコンピュータアクセス可能媒体106とは別に、提供することができる。
【0100】
更に、例示的な処理装置102は、例えば有線ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット、イントラネット、データ収集調査機、少なくとも一つのセンサ等を含むことができるインプット/アウトプット装置114と共に、又はこれを含んで、提供することができる。インプット/アウトプット装置は、OCTシステム150からの情報/データを受け取って、処理装置102に情報を提供することができる。OCTシステム150から受け取るそのような情報を使用して、例示的な処理装置102は、命令を実施して、深さの範囲にわたって測定したデータを分析することによって、散乱媒質の深さ分解した物理的又は光学的特性を決定するよう構成することができる。図4に示すように、例示的な処理装置102は、本開示の特定の例示的な実施形態によれば、例えば情報を処理装置からアウトプットすることに加えて、情報を処理装置にインプットするために構成されたタッチスクリーンであることができる例示的な表示装置112と通信することができる。更に、例示的な表示112及び/又は記憶装置110を用いて、ユーザアクセス可能なフォーマット及び/又はユーザ可読なフォーマットで、データを表示及び/又は記憶することができる。
【0101】
以上は、単に本開示の原則を説明するものである。記載した実施形態に対する様々な変形及び変更は、本明細書の教示から見て、当業者にとって明らかである。実際、本開示の例示的な実施形態による装置、システム、及び方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD―OCTシステム、又は他の画像化システムと共に、並びに例えば、2005年5月26日に国際公開第2005/047813号として公開された、2004年9月8日に出願の国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2006年5月4日に米国特許出願公開第2006/0093276号として公開された、2005年11月2日に出願の米国特許出願第11/266,779号、及び2005年1月27日に米国特許出願公開第2005/0018201号として公開された、2004年7月9日に出願の米国特許出願第10/501,276号、並びに2002年5月9日に公開された米国特許出願公開第2002/0122246号に記載されているものと共に使用することができ、及び/又は実施することができ、これらの開示は、引用によりその全体が本明細書中に含まれる。従って、当業者であれば、本明細書において明確に示されず、又は記載されていないが、本開示の原則を具体化し、従って本開示の精神及び範囲内であることができる多数のシステム、装置、及び手順を想到することが可能であると認められる。更に、上記に引用した全ての刊行物及び引用は、引用によりその全体が本明細書中に含まれることができる。本明細書に記載されている例示的な手順は、ハードディスク、RAM、ROM、リムーバブルディスク、CD―ROM、メモリースティック等を含む任意のコンピュータアクセス可能媒体に記憶することができ、並びにハードウェアプロセッサ、マイクロプロセッサ、ミニ、マクロ、メインフレーム等の複数及び/又はこれらの組み合わせであることができ、及び/又はこれらを含むことができる、処理装置及び/又はコンピューティング装置によって実施することができることを理解すべきである。更に、明細書、図面、及び請求項を含む本開示において使用する特定の用語は、限定されないが、例えばデータ及び情報を含む特定の例において、同義的に使用することができる。互いに同義であることができるこれらの用語及び/又は他の用語は、本明細書において同義的に使用することができ、そのような用語を同義的に使用しないことを意図することができる例がありえることを理解すべきである。更に、上記の引用によって従来技術の知識が本明細書に明確に取り入れられない程度まで、従来技術は、明確に本明細書中にその全体が含まれることができる。上記に引用した全ての刊行物は、本明細書中にその全体が含まれることができる。以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定する方法であって、
(a)上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号を得る工程であって、上記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第一の深さから得られ、上記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第二の深さから得られ、上記第一の深さと上記第二の深さとが互いに異なる、工程と、
(b)上記信号、及び上記少なくとも一つの生物学的構造体の推定特性に基づいて、情報を決定する工程と、
(c)上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、所定の深さより近い上記特定の深さから提供される信号に関する上記情報の少なくとも一部を除外することによって、上記情報に基づいて少なくとも一つの算出特性を決定する工程であって、上記算出特性が減衰特性である工程と、
を含む、方法。
[2]
項目1に記載の方法であって、
(d)手順(b)において、上記少なくとも一つの生物学的構造体の上記少なくとも一つの特性を得るために、上記推定特性を手順(c)の上記算出特性と交換して、手順(b)及び(c)を少なくとも一回繰り返す工程、
を更に含む、方法。
[3]
上記信号が光干渉断層解析信号、又は超音波信号である、項目1に記載の方法。
[4]
上記少なくとも一つの算出特性が、上記少なくとも一つの生物学的構造体の散乱媒質の局所的な光学的特性を含んでおり、上記局所的な光学的特性を、上記特定の深さの範囲からの情報を使用して決定する、項目1に記載の方法。
[5]
より浅い深さから得られる情報と、より深い第二の深さにおいて得られる情報とを使用して、上記局所的な光学的特性を決定する、項目4に記載の方法。
[6]
上記少なくとも一つの構造体へと届く放射強度の推定値を得るために、上記第二の深さから得られる情報を合計することを更に含む、項目5に記載の方法。
[7]
上記情報が、上記少なくとも一つの構造体からの局所的な後方散乱エネルギーである、項目1に記載の方法。
[8]
上記局所的な後方散乱エネルギーを、光干渉断層解析手順で測定する、項目7に記載の方法。
[9]
上記局所的な光学的特性が減衰係数を含む、項目4に記載の方法。
[10]
上記少なくとも一つの算出特性が、上記少なくとも一つの構造体の範囲内の様々な深さにおいて推定された情報から反復的に決定された、少なくとも一つの光学的特性、又は少なくとも一つの物理的特性を含む、項目4に記載の方法。
[11]
上記少なくとも一つの算出特性を、診断のため、又は手動セグメント化若しくは自動セグメント化の少なくとも一つのために使用する、項目4に記載の方法。
[12]
上記少なくとも一つの算出特性が、算出した減衰を含む、項目1に記載の方法。
[13]
上記推定特性が推定した減衰である、項目1に記載の方法。
[14]
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定するためのシステムであって、
上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号を得るよう構成された、少なくとも一つの第一の装置であって、上記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第一の深さから得られ、上記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第二の深さから得られ、上記第一の深さと上記第二の深さとが互いに異なる、第一の装置と;
上記信号、及び上記少なくとも一つの生物学的構造体の推定特性に基づく情報、並びに
上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、所定の深さより近い上記特定の深さから提供された信号に関する上記情報の少なくとも一部を除外することによる上記情報に基づく、少なくとも一つの算出特性であって、減衰特性である少なくとも一つの算出特性
を決定するよう構成された、少なくとも一つの第二のコンピューティング装置と;
を含む、システム。
[15]
上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、
(d)手順(b)において、上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、上記少なくとも一つの生物学的構造体の上記少なくとも一つの特性を得るために、上記推定特性を手順(c)の上記算出特性と交換して、手順(b)及び(c)を少なくとも一回繰り返すように、
更に構成されている、項目14に記載のシステム。
[16]
上記信号が光干渉断層解析信号、又は超音波信号である、項目14に記載のシステム。
[17]
上記少なくとも一つの算出特性が、上記少なくとも一つの生物学的構造体の散乱媒質の局所的な光学的特性を含んでおり、上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、上記特定の深さの範囲からの情報を用いて、上記局所的な光学的特性を決定するよう更に構成されている、項目14に記載のシステム。
[18]
上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、より浅い深さから得られる情報、及びより深い第二の深さにおいて得られる情報を用いて、上記局所的な光学的特性を決定するよう構成されている、項目17に記載のシステム。
[19]
上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、上記少なくとも一つの構造体へと届く放射強度の推定値を得るために、上記第二の深さから得られる情報を合計するよう更に構成されている、項目18に記載のシステム。
[20]
上記情報が、上記少なくとも一つの構造体からの局所的な後方散乱エネルギーである、項目14に記載のシステム。
[21]
上記局所的な後方散乱エネルギーが、光干渉断層解析手順によって測定される、項目20に記載のシステム。
[22]
上記局所的な光学的特性が減衰係数を含む、項目17に記載のシステム。
[23]
上記少なくとも一つの算出特性が、少なくとも一つの光学的特性、又は少なくとも一つの物理的特性を含んでおり、上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、上記少なくとも一つの構造体の範囲内の、様々な深さにおいて推定された情報から、上記少なくとも一つの算出特性を反復的に決定するよう、更に構成されている、項目17に記載のシステム。
[24]
上記少なくとも一つの第二のコンピューティング装置が、上記少なくとも一つの算出特性を、診断のため、又は手動セグメント化若しくは自動セグメント化の少なくとも一つのために使用するよう、更に構成されている、項目17に記載のシステム。
[25]
上記少なくとも一つの算出特性が算出した減衰を含む、項目14に記載したシステム。
[26]
上記推定特性が推定した減衰である、項目14に記載したシステム。
[27]
少なくとも一つの生物学的構造体の、少なくとも一つの特性を決定するためのソフトウェアを含む、非一時的コンピュータアクセス可能媒体であって、コンピューティング装置が上記ソフトウェアを実施する際に、上記コンピューティング装置が、
(a)上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、複数の特定の深さにおいて受け取られる複数の信号の受け取りであって、上記信号のうち第一の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第一の深さから得られ、上記信号のうち第二の信号の少なくとも一つは上記特定の深さの第二の深さから得られ、上記第一の深さと上記第二の深さとが互いに異なる、受け取りと;
(b)上記信号、及び上記少なくとも一つの生物学的構造体の推定特性に基づく、情報の決定と;
(c)上記少なくとも一つの生物学的構造体の範囲内の、所定の深さより近い上記特定の深さから提供された信号に関する上記情報の少なくとも一部を除外することによる、上記情報に基づく少なくとも一つの算出特性の決定であって、上記算出特性が減衰特性である、決定と、
を含む手順を行うよう構成されている、コンピュータアクセス可能媒体。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10