特許第6240069号(P6240069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240069エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物、並びに、硬化性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240069
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物、並びに、硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/26 20060101AFI20171120BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C08G59/26
   C08L63/00
【請求項の数】3
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-520060(P2014-520060)
(86)(22)【出願日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】JP2013065756
(87)【国際公開番号】WO2013183736
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2012-129406(P2012-129406)
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-129408(P2012-129408)
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 政隆
(72)【発明者】
【氏名】江原 清二
(72)【発明者】
【氏名】井上 一真
(72)【発明者】
【氏名】小淵 香津美
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許第01158606(GB,B)
【文献】 特開平08−092231(JP,A)
【文献】 特開平01−108217(JP,A)
【文献】 特開平01−108218(JP,A)
【文献】 特開2005−154719(JP,A)
【文献】 特開2010−241872(JP,A)
【文献】 特開2004−099744(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/069893(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/140008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 63/00−63/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2)で表され、軟化点が80〜110℃であるエポキシ樹脂と、フェノール樹脂および/または重合触媒とを含有する硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
【請求項2】
フェノール樹脂がフェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)である請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
重合触媒がカチオン重合触媒である請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気電子材料用途、特に光学材料用途に好適なエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物に関する。さらに、他の本発明は耐熱性、難燃性が要求される電気電子材料用途に好適な硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からLED製品、透明基板材料などの用途において、エポキシ樹脂組成物が性能と経済性のバランスの点で採用されてきた。特に耐熱性、透明性、機械特性のバランスに優れたビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物が広く使用されてきた(特許文献1〜3)。
【0003】
前述のようにビスフェノールA型エポキシ樹脂は光学用樹脂としては汎用性があるが、これらは一般に液状であり、シート化やプリプレグ化の際にタックが出るなどの問題がある、また分子量を大きくし、固形化したものもあるが直線に伸びるだけであるため、硬化物がやわらかすぎ、耐熱性が出にくい。
【0004】
一方、透明材料の一つとしてガラスクロスに含浸後、硬化させることにより、ガラスの代替品を作製する技術の開発が進んでいる。このような、ガラス代替用として様々なエポキシ樹脂組成物を用いることができることが知られているところ、従来のエポキシ樹脂では、ガラスクロスとの屈折率の差が大きい場合や、複屈折率が高い場合には、乱反射等により視認性が低下し、LCDや偏向光として用いることが困難であった。また、特に、偏向を利用するLCD向けのガラス代替エポキシ樹脂等の透明基材においては、低複屈折率であることが強く要求されている。
そこで、上記要求特性を満たす光学材料用のエポキシ樹脂の開発が強く望まれていた。
【0005】
また、上記とは別に、硬化性樹脂組成物は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0006】
しかし近年、電気・電子分野においてはその発展に伴い、樹脂組成物の高純度化をはじめ耐湿性、密着性、誘電特性、フィラー(無機または有機充填剤)を高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性のアップ等の諸特性の一層の向上が求められている。又、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。特に半導体封止分野、基板(基板自体、もしくはその周辺材料)においては、その半導体の変遷に従い、薄層化、スタック化、システム化、三次元化と複雑になっていき、非常に高いレベルの耐熱性や高流動性といった要求特性が求められる。なお、特にプラスチックパッケージの車載用途への拡大に伴い、耐熱性の向上要求がいっそう厳しくなっており、高Tgで低線膨張率の樹脂で、かつ当然ながら半田リフローへの対応が必要となっており、同時に吸水率の低下、もしくは維持が求められる。更に環境問題から、近年、難燃剤としてハロゲン系エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが特に電気電子部品の難燃剤として多用されているが、これらを使用した製品はその廃棄後の不適切な処理により、ダイオキシン等の有毒物質の発生に寄与することが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開平07−157536号公報
【特許文献2】日本国特開2005−082798号公報
【特許文献3】日本国特開2007−284680号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“2008年 STRJ報告 半導体ロードマップ専門委員会 平成20年度報告”、第8章、p1−17、[online]、平成21年3月、JEITA (社)電子情報技術産業協会 半導体技術ロードマップ専門委員会、[平成24年5月30日検索]、<http://strj-jeita.elisasp.net/strj/nenjihoukoku-2008.cfm>
【非特許文献2】高倉信之他、松下電工技報 車関連デバイス技術 車載用高温動作IC、74号、日本、2001年5月31日、35−40頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような光学材料用途の問題に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と同様ベンジルメチレン結合を有さない構造を有する、トリスフェノール体のエポキシ樹脂であるプリンテック製VG3105などが使用されている。しかしながら、これらは初期の着色があり、光学材料として使用するには一段の透明性が求められている。
このような問題を解決する方法として、シルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂の適用も検討されているが、シルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂は耐熱性においては高いものの、脆さが際立ち、線膨張率も高くなる傾向がある、さらには屈折率が低くなってしまう。また、脂環式エポキシ樹脂もガラス転移点という意味合いでの耐熱性は向上するが、脆さやその屈折率の低さが課題となり、光学特性がよくさらには強靭性の高い、芳香族グリシジルエーテル化合物が望まれている。
【0010】
また、上記の電気・電子分野の用途における問題を解決する方法の一つとして、リン原子を骨格に有するエポキシ樹脂が提案されている。特に、通常のリン酸エステルタイプの化合物はその安定性が低いため、安定性の良い、環状リン酸エステル化合物が使用されている。またリン酸エステル化合物を使用しなくても、樹脂骨格を選ぶことで従来のエポキシ樹脂に比べ難燃性に優れたものが開発されてきている。しかしながら、現在、特に半導体封止材の分野においては、リン系難燃剤も使用せずに難燃化できるようなシステムの開発が検討されており、一般にノンハロゲン、ノンアンチモン、ノンリンと呼ばれる難燃性が求められていている。
【0011】
そこで、本発明の第1は、透明性、耐熱性に優れ、かつ屈折率が高く、複屈折率が低く、またリタデーションが低いことから、高度な光学特性が求められる光学部材への適用が可能なエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明の第2は、高い耐熱性と難燃性を両立させることができる、電気・電子分野の用途に有利な硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記したような実状に鑑み、鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(11)に関する。
(1)
下記式(1)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂と、カルボン酸類および/またはカチオン重合触媒とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂は、ガードナー比色法(40%MEK溶液)における色相が2以下であるエポキシ樹脂組成物。
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
(2)
エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留フェノールフタレイン誘導体の量が2%以下である前項(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)
エピハロヒドリンと反応させるフェノール樹脂中の残留鉄分が50ppm以下である前項(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)
遷移金属塩を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)
4級ホスホニウム塩を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)
カチオン重合開始剤を含有する前項(3)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)
前項(4)〜(6)のいずれか一項のエポキシ樹脂組成物を硬化したエポキシ樹脂硬化物。
(8)
前項(1)〜(6)のいずれか一項のガラス代替用エポキシ樹脂組成物。
【0015】
(9)
下記式(2)で表されるエポキシ樹脂と、フェノール樹脂および/または重合触媒とを含有する硬化性樹脂組成物。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
(10)
フェノール樹脂がフェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)である前項(9)に記載の硬化性樹脂組成物。
(11)
重合触媒がカチオン重合触媒である前項(9)に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1であるエポキシ樹脂組成物は透明性、耐熱性に優れ、かつ屈折率が高い、また複屈折が低いことから、高度な光学特性が求められる光学部材への適用が可能である。
また、本発明の第2である硬化性樹脂組成物は、十分な硬化性を確保しつつ、難燃剤、リン系化合物を使用しなくても難燃性を発現し、組成物中の難燃剤、リン系化合物の低減に寄与するエポキシ樹脂であり、電気電子部品用絶縁材料及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。特に半導体素子を保護する半導体封止材料や基板材料にきわめて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1(以下、「第1の発明」とも称す)は、下記式(1)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂と、カルボン酸類および/またはカチオン重合触媒とを含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂は、ガードナー比色法(40%MEK溶液)における色相が2以下であるエポキシ樹脂組成物である。
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
【0022】
また、本発明の第2(以下、「第2の発明」とも称す)は、下記式(2)で表されるエポキシ樹脂と、フェノール樹脂および/または重合触媒とを含有する硬化性樹脂組成物である。
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
【0025】
第1及び第2の各発明である樹脂組成物が含有するエポキシ樹脂は、フェノールフタルイミド骨格を有するエポキシ樹脂である。該エポキシ樹脂の基礎骨格はイギリス特許1158606号公報(特許文献4)にて開示されている。特許文献4によるとepoxy equivalents per kg 3.4(現在のエポキシ当量に換算すると294g/eq.)、色相 ガードナー8(40% in メチルグリコール)、軟化点 66℃(kolfer heater)、塩素含有量 2.2%という結果が開示されている。また、DDS(ジアミノジフェニルスルホン)との硬化物性が開示されている。
このままでは光学材料への展開は困難であり、より透明性の高い樹脂が要求される。
また、上記特許文献4のデータから本樹脂は塩素量が非常に多く、電子材料用途には不向きであり、また非常に着色があることから色味の必要とされる用途においては使用が困難であることが示唆される。また、エポキシ当量が294g/eq.と理論値(252.7g/eq.)と比較し大きいこと、また塩素量からエポキシが閉環せずに残留したエピハロヒドリン構造が多く含有されることが示唆され、二官能であるにも関わらず、このようなエポキシ環が完成されていない構造であれば、架橋がうまく進まず、フェノール樹脂による硬化や、イミダゾール等の塩基性触媒によるアニオン重合、オニウム塩等によるカチオン重合を行った際、その機械特性や吸水性といった特性において課題が生じる場合が多い。特に電子材料用途においてはこれらの硬化だけでなく、アミン系の硬化においても硬化時の塩素の遊離が起因となる配線の腐食等が予想され、電気信頼性を落とす要因となる。
近年特に半導体のチップと基板との接合に銅のワイヤを使用することが多くなってきており、こういった電気腐食の課題はいっそう重要となっており、解決すべき課題点となる。
また、本特許文献4においては難燃性についての記載が無い。
【0026】
第1の発明であるエポキシ樹脂組成物において用いるエポキシ樹脂は、下記式(1)
【0027】
【化5】
【0028】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂であり、具体的には下記式(2)
【0029】
【化6】
【0030】
(式中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、もしくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)で表されるエポキシ樹脂である。
【0031】
ここで、第1の発明であるエポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂は、上記のエポキシ化合物を、好ましくは70〜95%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 面積%)、より好ましくは70〜93%含有するエポキシ樹脂である。ここで、上記のエポキシ化合物の含有量が95%を上回る純度のエポキシ樹脂を合成するにあたっては、多大なエネルギーを有することがあり、また純度が高すぎる場合、結晶性が高くなる可能性や、強靭性の低下が見られることがある。70%を下回ると、エポキシの環が閉環しきらず、官能基を有さない化合物が多く含まれることがある。またこれら閉環しきらなかった化合物の多くには塩素が含有されている場合が多く、電子材料用途としては高温多湿条件での塩素イオンの遊離、およびそれによる配線の腐食が懸念されることがある。
【0032】
また、本エポキシ樹脂内にフェノールフタレイン構造を有するエポキシ樹脂が残留する場合、電気信頼性の低下、大きな着色原因となることからフェノールフタレイン構造を有するエポキシ樹脂の残留は好ましくなく、好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。このフェノールフタレイン構造を有するエポキシ樹脂は原料由来の不純物の影響が大きい。2%を超えると特に着色が強くなるため、好ましくない。
【0033】
前記式(1)及び(2)において、Rで最も好ましいのは水素原子である。Rが示す、上記炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖、分岐鎖または環状構造を有するアルキル基が挙げられる。ここで、Rはメチル基、エチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rが示す、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の直鎖、分岐鎖または環状構造を有するアルコキシ基が挙げられる。ここで、Rはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0034】
前記式(2)のエポキシ樹脂の好ましい樹脂特性としては、エポキシ当量が理論エポキシ当量(252.7g/eq.)に対し1.02倍〜1.13倍である。より好ましくは1.03〜1.10倍である。1.02倍を下回る場合、エポキシの合成、精製に多大な費用がかかるため、産業上好ましくなく、また1.13倍を超えた場合、上述同様塩素量による課題が懸念される。
また、得られたエポキシ樹脂中に残存している全塩素としては5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、特に2000ppm以下であることが好ましい。塩素量による悪影響については前述同様である。なお、塩素イオン、ナトリウムイオンについては各々5ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。塩素イオンは先に記載し、いうまでも無いが、ナトリウムイオン等のカチオンも、特にパワーデバイス用途においては非常に重要なファクターとなり、高電圧がかかった際の不良モードの一員となる。
ここで、理論エポキシ当量とは、前記式(1)のフェノール化合物のフェノール性水酸基が過不足なくグリシジル化した時に算出されるエポキシ当量を示す。
また、具体的なエポキシ当量の値としては、Rが全て水素原子の場合、257.8g/eq.〜285.6g/eq.が好ましく、260.3g/eq.〜278.0g/eq.が特に好ましい。エポキシ当量が上記範囲内にあることで、硬化物の耐熱性、電気信頼性に優れたエポキシ樹脂を得ることができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂(単に「本発明のエポキシ樹脂」とも称する)は軟化点を有する樹脂状の形態を有する。ここで、軟化点としては70〜130℃が好ましく、より好ましくは80〜120℃である。置換基Rが全て水素原子である場合は、特に70〜120℃、より好ましくは80〜110℃である。軟化点が低すぎると保管時のブロッキングが問題となり、低温で取り扱いをしないといけない等、課題が多い。逆に軟化点が高すぎる場合、他の樹脂との混練の際に、ハンドリングが悪くなる等の問題が生じる。また、溶融粘度は1Pa・s(ICI 溶融粘度 150℃ コーンプレート法)以下であることが好ましい。無機材料(フィラー等)を混合して用いる場合、流動性が悪くなることがあり、また、ガラスクロス等もその網目がより微細になっており、含浸性に劣ることがある。
【0036】
第1の発明で用いるエポキシ樹脂は透明性(色相)に優れる。ガードナー比色法(目視 40%メチルエチルケトン溶液)で2以下、好ましくは1.5以下である。特に光学材料への展開はもちろん、通常のPCB基板等においても基板の色に影響するため、着色の少ないものが求められる。
第2の発明で用いるエポキシ樹脂は、上記のように透明性(色相)に優れるものである必要はないが、同じように優れていることが好ましい。
また本発明のエポキシ樹脂は高い屈折率を有する。好ましくは1.61以上であり、より好ましくは1.62以上、特に好ましくは1.62〜1.65である。特に屈折率調整が必要な分野においては屈折率が高ければ用いる組成物の芳香環量を低減することができ、耐光特性の向上に貢献できる。また、レンズ等の用途においては高屈折率ほどより歪みの小さなレンズを作成する事ができ、好ましい。
【0037】
以下、本発明のエポキシ樹脂の製造法について述べる。
前記式(2)の化合物は、フェノールフタレイン誘導体とアミノベンゼン誘導体から合成される(例えば、日本国特開2005−290378号公報が挙げられる)フェノール化合物(DPPI)とエピハロヒドリンとの反応で得られる。本発明のエポキシ樹脂の具体的な製造方法例を以下に示す。
【0038】
フェノールフタレイン誘導体としてはフタル酸と該当する各種フェノール類で合成が可能であることは公知であり、使用するフェノール類がフェノールであればフェノールフタレインが、クレゾールであればクレゾールフタレインが得られる。
ここで、前記各種フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、キシレノール、メチルブチルフェノールなどが挙げられる。
また、前記反応により得られるフェノールフタレイン誘導体として、例えば下記の構造が挙げられる。
【0039】
【化7】
【0040】
(式中、Rは前記と同じ意味を示し、nは1〜2の整数を表す。)
【0041】
アミノベンゼン誘導体としては、下記の構造のものが挙げられる。
【0042】
【化8】
【0043】
(式中、Rは前記と同じ意味を示し、mは1〜2の整数を表す。)
【0044】
フェノール化合物(DPPI)における残留フェノールフタレイン誘導体の量は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは特に0.5%以下、特に好ましくは0.1%以下である(高速液体クロマトグラフィーで測定)。このフェノールフタレイン誘導体が残留する場合、反応時に着色が大きくなる傾向がある。アミノベンゼン誘導体も同様である。また残留する鉄分(ICP発光分析)量も着色に起因するファクターの一つである。残留鉄分は100ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下、特に10ppm以下が好ましい。また本体であるフェノール化合物(DPPI)は98%以上の純度が望まれる。
残存フェノールフタレイン誘導体の量はDPPIの精製(洗浄、再結晶、再沈殿等)によって調整可能である。
【0045】
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、エピハロヒドリンとしては工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量はフェノール化合物(DPPI)の水酸基1モルに対し通常3.0〜15モル、好ましくは3.0〜10モル、より好ましくは3.5〜8.5モルであり、特に好ましくは5.5〜8.5モルである。
3.0モルを下回るとエポキシ当量が大きくなることがあり、また、できたエポキシ樹脂の作業性が悪くなることがある。15モルを超えると溶剤量が多量となる。
【0046】
上記のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応においては、アルカリ金属水酸化物を使用できるが、使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよいが、本発明においては特に、溶解性、ハンドリングの面からフレーク状に成型された固形物の使用が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
【0047】
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。4級アンモニウム塩の使用量としては原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
【0048】
本反応においては上記エピハロヒドリンに加え、非極性プロトン溶媒(ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジメチルイミダゾリジノン等)や、炭素数1〜5のアルコールを併用することが好ましい。炭素数1〜5のアルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類である。非極性プロトン溶媒もしくは炭素数1〜5のアルコールの使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜25重量%である。また、共沸脱水等の手法により、系内の水分をコントロールしながらエポキシ化を行ってもかまわない。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなるため好ましくなく、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性に優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
【0049】
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。特に本発明においては、より高純度なエポキシ化のために60℃以上が好ましく、還流条件に近い条件での反応が特に好ましい。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間、特に好ましくは1〜3時間である。反応時間が短いと反応が進みきらず、反応時間が長くなると副生成物ができることがある。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4〜7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した原料フェノール混合物の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
またエピハロヒドリンとの反応においては反応初期から窒素等の不活性ガスで置換されていることが好ましく、空腔内の酸素濃度は10%以下であることが好ましい。酸素の残留は着色に影響をする。手法としてはフェノール化合物(DPPI)を仕込む前に窒素等の不活性ガスを吹き込み(気中、もしくは液中)、もしくは、いったん減圧で真空にした後、不活性ガスで置換する方法が挙げられる。不活性ガスでの置換が無い場合、得られる樹脂に着色が生じる場合がある。不活性ガスの吹き込みを行う場合、その量はその釜の容積によっても異なるが、0.5〜10時間でその釜の容積の1〜3倍量が置換できる量の不活性ガスの吹き込みが好ましい。
【0050】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
【0051】
以下、本発明のエポキシ樹脂を含む第1の発明と第2の発明の硬化性樹脂組成物について記載する。
第1の発明のエポキシ樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」とも称する)は本発明のエポキシ樹脂を必須成分として含有する。
第1の発明の硬化性樹脂組成物においては、カルボン酸類を必須成分とする硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物A)と酸などのカチオン重合触媒を硬化触媒とするカチオン硬化(硬化性樹脂組成物B)の二種の方法が適応できる。
【0052】
硬化性樹脂組成物Aと硬化性樹脂組成物Bにおいて本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30質量%以上が好ましく、特に40質量%以上が好ましい。ただし、本発明のエポキシ樹脂を硬化性樹脂組成物の改質剤として使用する場合は、1〜30質量%の割合で添加しても構わない。
【0053】
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類並びにアルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
特に本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合、本発明のエポキシ樹脂と脂環式エポキシ樹脂やシルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂とを併用して用いることが好ましい。特に脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が特に好ましい。
シクロヘキセン構造を有する化合物としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(日本国特開2003−170059号公報、日本国特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(日本国特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物が挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
【0055】
さらに上記以外のシクロヘキセン構造を有する化合物として、シクロヘキセンアルデヒド誘導体と、アルコール体とのアセタール反応によるアセタール化合物が挙げられる。反応手法としては一般のアセタール化反応を応用すれば製造でき、例えば、反応媒体にトルエン、キシレンなどの溶媒を用いて共沸脱水しながら反応を行う方法(米国特許第2945008号明細書)、濃塩酸に多価アルコールを溶解した後アルデヒド類を徐々に添加しながら反応を行う方法(日本国特開昭48−96590号公報)、反応媒体に水を用いる方法(米国特許第3092640号明細書)、反応媒体に有機溶媒を用いる方法(日本国特開平7−215979号公報)、固体酸触媒を用いる方法(日本国特開2007−230992号公報)等が開示されている。構造の安定性から環状アセタール構造が好ましい。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0056】
以下それぞれの硬化性樹脂組成物について言及する。
硬化性樹脂組成物A(硬化剤による熱硬化)
本発明の硬化性樹脂組成物Aが含有する硬化剤としては、カルボン酸構造を有する樹脂(以下カルボン酸類と称す。)を必須成分とする。カルボン酸類としては、特に2〜4官能のカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは2〜4官能の多価アルコールと、酸無水物を付加反応させることで得られるポリカルボン酸が好ましい。またシクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物等の酸無水物とカルボン酸を有する構造も好ましい。一般に光学材料用途においては酸無水物が使用されるが、本発明の硬化性組成物Aにおいては揮発性を抑える面からもカルボン酸を必須成分とする。
2〜4官能の多価アルコールとしては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類などが挙げられる。
特に好ましくは、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1.3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどの分岐鎖状や環状の多価アルコールである。
【0057】
酸無水物としては、特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物などが好ましい。
特に好ましくは下記式(5)
【0058】
【化9】
【0059】
(式中、Qは、水素原子、メチル基、カルボキシル基の少なくとも1種を表す。)で表されるヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物が好ましい。
【0060】
これらカルボン酸類と併用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂などの含窒素化合物(アミン、アミド化合物);無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、などの酸無水物;各種アルコール、カルビノール変性シリコーン、と前述の酸無水物との付加反応により得られるカルボン酸樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物などのポリフェノール類;イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0061】
本発明の硬化性樹脂組成物Aにおける硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られないことがある。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物Aにおいては、硬化剤とともに硬化促進剤(硬化触媒)を併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノールや1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルアンモニウム塩、トリイソプロピルメチルアンモニウム塩、トリメチルデカニルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩、トリフェニルベンジルフォスフォニウム塩、トリフェニルエチルフォスフォニウム塩、テトラブチルフォスフォニウム塩などの4級フォスフォニウム塩(4級塩のカウンターイオンはハロゲン、有機酸イオン、水酸化物イオンなど、特に指定は無いが、特に有機酸イオン、水酸化物イオンが好ましい。)、オクチル酸スズ、カルボン酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物等の遷移金属化合物(遷移金属塩)等が挙げられる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100に対して0.01〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明においては特に光学特性を保持する為に、4級フォスフォニウム塩や遷移金属化合物(遷移金属塩)を用いることが好ましい。
【0063】
本発明の硬化性樹脂組成物Aは、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有することもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)及び4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドや10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ樹脂が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ樹脂が特に好ましい。リン含有化合物の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物A中のエポキシ樹脂成分の総量に対して0.6倍以下が好ましい。0.6倍を超える場合には硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0064】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物Aには、必要に応じて酸化防止剤を添加しても構わない。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物中Aの樹脂成分100重量部に対して、通常0.008〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0065】
フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
【0066】
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。
【0067】
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
【0068】
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
【0069】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物Aには、必要に応じて光安定剤を添加しても構わない。
光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤、特にHALS等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0070】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物Aには、必要に応じてバインダー樹脂を添加することが出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、本発明の硬化性樹脂組成物A中の樹脂成分(エポキシ樹脂とバインダー樹脂の総量)100重量部に対して通常0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部が必要に応じて用いられる。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物Aには、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中Aにおいて95質量%以下を占める量が用いられる。更に本発明の硬化性樹脂組成物Aには、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、カルボン酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ミスチリン酸亜鉛)やリン酸エステル亜鉛(オクチルリン酸亜鉛、ステアリルリン酸亜鉛等)等の亜鉛化合物、界面活性剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物Aを光半導体封止剤に使用する場合、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、硬化性樹脂組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができ、例えば、希土類元素のアルミン酸塩、チオ没食子酸塩、オルトケイ酸塩等が例示される。より具体的には、YAG蛍光体、TAG蛍光体、オルトシリケート蛍光体、チオガレート蛍光体、硫化物蛍光体等の蛍光体が挙げられ、YAlO:Ce、YAl12:Ce,YAl2:Ce、YS:Eu、Sr(POCl:Eu、(SrEu)O・Alなどが例示される。係る蛍光体の粒径としては、この分野で公知の粒径のものが使用されるが、平均粒径としては、1〜250μm、特に2〜50μmが好ましい。これらの蛍光体を使用する場合、その添加量は、樹脂成分100重量部に対して、1〜80重量部が好ましくは、5〜60重量部が特に好ましい。
【0073】
本発明の硬化性樹脂組成物Aは、前記各成分を均一に混合することにより得られる。本発明の硬化性樹脂組成物Aは、従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合物、バインダー樹脂、無機充填材及び配合剤とを、必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して硬化性樹脂組成物を得、その硬化性樹脂組成物をポッティング、溶融後(液状の場合は溶融無しに)注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0074】
また本発明の硬化性樹脂組成物Aを必要に応じてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物Aの硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物Aと該溶剤の混合物中で通常10〜70質量%、好ましくは15〜70質量%を占める量を用いる。また液状組成物であれば、そのまま例えば、RTM方式でカーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
【0075】
また本発明の硬化性樹脂組成物Aをフィルム又はシート形状で用いた場合、Bステージにおけるフレキシビリティ特性等に優れるという特性を有する。このようなフィルム又はシート形状の樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物Aを前記硬化性樹脂組成物ワニスとして剥離フィルム上に塗布し、加熱下で溶剤を除去した後、Bステージ化を行うことにより得られる。このフィルム又はシート状の樹脂組成物は多層基板などにおける接着剤(層間絶縁層)として使用することが出来る。
【0076】
硬化性樹脂組成物B(酸性硬化触媒によるカチオン硬化)
酸性硬化触媒(カチオン重合触媒)を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物Bは、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有する。さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよい。また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
【0077】
酸性硬化触媒としてはカチオン重合開始剤が好ましく、光もしくは熱カチオン重合開始剤が特に好ましい。活性エネルギー線によって活性化するカチオン重合開始剤及び/又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤を配合することで、硬化性樹脂組成物Bとして使用することができる。
【0078】
活性エネルギー線の照射により本発明の硬化性樹脂組成物Bのカチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、フォスフォニウム塩、及びチオピリリニウム塩等が挙げられ、好ましくはヨードニウム塩及びスルフォニウム塩であり、さらに好ましくはジアリールヨードニウム塩及びジアルキルフェナシルスルホニウム塩であり、特にジアリールヨードニウム塩が好適に使用できる。
【0079】
ヨードニウム塩及びスルフォニウム塩等の光カチオン重合開始剤を本発明のカチオン硬化性樹脂組成物Bに使用する場合、アニオンとしてはBF、AsF、SbF、PF、及びB(C等が挙げられ、好ましくはSbF、PF、又はB(Cであり、特に好ましくはSbF又はB(Cである。
【0080】
光カチオン重合開始剤の具体例を挙げると、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(GE東芝シリコーン社製、UV−9380Cの主成分)、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローディア社製、PHOTOINITIATOR2074)、ビス(アルキル(C=10〜14)フェニルヨードニウム)ヘキサフルオロアンチモネート(和光純薬製光カチオン重合開始剤WPI−016)等が挙げられる。
【0081】
本発明の硬化性樹脂組成物Bを硬化させるときの活性エネルギー線としては、X線、電子線、紫外線及び可視光等を使用することもできるが、好ましくは紫外線又は可視光であり、特に好ましくは紫外線である。紫外線を使用する場合、その波長範囲は特に限定されないが、好ましくは150〜400nm、さらに好ましくは200〜380nmである。紫外線を用いる場合、カチオン重合を効率よく開始できる。
【0082】
また、本発明の硬化性樹脂組成物Bには、必要に応じてさらに光カチオン重合開始剤の活性を高めるため、増感剤を併用することもできる。本発明で用いることができる増感剤として、例えばクリベロがアドバンスドイン ポリマーサイエンス(Adv. in Plymer Sci.,62,1(1984))で開示している化合物を用いることが可能である。具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン及びペンゾフラビン等がある。また、光ラジカル重合開始剤として広く使用されている化合物も使用することができ、具体的には、ベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、カンファーキノン等のα−ジカルボニル化合物等が挙げられる。本発明においては、チオキサントン類やα−ヒドロキシアルキルフェノン類が特に好適に使用できる。
【0083】
本発明の硬化性樹脂組成物Bへの光カチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線の種類や照射量に応じて適宜に調整できる。例えば紫外線の場合、カチオン硬化性樹脂組成物Bの合計100質量部に対し、0.1〜10質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜5部であり、さらに好ましくは1〜3部である。カチオン重合開始剤の配合量が0.1部よりも少ない場合は硬化性に劣ることがあり、逆に10質量部より多い場合は硬化物に真に必要な成分を減少させて硬化物の物性が低下する場合や、硬化物の着色が激しくなることがある。
【0084】
本発明の硬化性樹脂組成物Bに増感剤を添加する場合の配合量は、活性エネルギー線の種類や照射量に応じて適宜に調整できる。例えば紫外線の場合、硬化性樹脂組成物Bの合計100質量部に対し、5質量部以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2部である。増感剤の配合量が5質量部より多い場合は硬化物に真に必要な成分を減少させて硬化物の物性が低下する場合や、硬化物の着色が激しくなる場合がある。
【0085】
活性エネルギー線が紫外線や可視光である場合、カチオン硬化性樹脂組成物が空気にさらされるが、このとき雰囲気の湿度は低いことが好ましく、好ましくは湿度80%R.H.以下であり、70%R.H.以下であることがさらに好ましい。ここで、紫外線や可視光を生産ラインの中に設置する場合、光照射装置の手前に乾燥空気を送る方法や、加熱装置を取り付けて湿度を下げる方法も採用できる。
【0086】
熱により活性化してカチオン重合を開始させる化合物、すなわち熱カチオン重合開始剤を本発明の硬化性樹脂組成物Bに用いることもできる。このものとしては、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩等の各種オニウム塩類や、アルコキシシランとアルミニウム錯体の組み合わせ等が例示できる。入手可能な製品としては、アデカオプトンCP−66及びアデカオプトンCP−77(いずれも商品名、旭電化工業(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L及びサンエイドSI−100L(いずれも商品名、三新化学工業(株)製)、及びCIシリーズ(日本曹達(株)製)等が挙げられる。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物Bへの熱カチオン重合開始剤の配合割合は、カチオン硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜5部であり、さらに好ましくは0.5〜3部である。この配合割合が0.01質量部未満の場合には、熱の作用によりこれが活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことが有る。また、これを10質量部超えて配合したとしても、重合を進行させる作用はそれ以上高まらず、また硬化物の物性が低下する事があるので好ましくない。
【0088】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物Bには、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂の種々の配合剤を添加することができる。具体的な例としては前述の通りである。
【0089】
本発明の硬化性樹脂組成物Bは、各成分を均一に混合することにより得られる。また本発明の硬化性樹脂組成物Bをポリエチレングリコールモノエチルエーテルやシクロヘキサノン、γブチロラクトン等の有機溶剤に均一に溶解させた後、乾燥により溶剤を除去して使用することも可能である。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物Bと該溶剤の混合物中で通常10〜70質量%、好ましくは15〜70質量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物Bは、加熱及び/または紫外線照射により硬化できる(例えば、参考文献:総説エポキシ樹脂 第1巻 基礎編I p82−84)が、その際の熱量及び/または紫外線照射量は硬化性樹脂組成物Bの組成に依存して異なるため、それぞれの組成に合わせて硬化条件が決定される。基本的には、硬化物が使用目的において必要とされる強度を発現できる硬化条件であれば良い。通常、これら硬化性樹脂組成物は光照射のみで完全に硬化させることが難しいため、耐熱性が求められる用途においては光照射後に加熱により完全に反応を終了させる必要がある。また、光硬化の際の照射光を細部まで透過させることが必要なため、本発明のエポキシ樹脂および硬化性樹脂組成物Bにおいては透明性の高い化合物および組成物が望まれる。
【0090】
光照射後に加熱を行なう場合は、通常の硬化性樹脂組成物Bの硬化温度域で行なうことができる。例えば常温〜150℃で30分間〜7日間の範囲が好適である。硬化性樹脂組成物Bの配合により変化するが、特に高い温度域であればあるほど光照射後の硬化促進に効果があり、短時間の熱処理で効果がある。また、低温であればあるほど長時間の熱処理を要する。このような熱アフターキュアすることで、エージング処理になるという効果も出る。
【0091】
また、これら硬化性樹脂組成物Bを硬化させて得られる硬化物の形状も用途に応じて種々とりうるので特に限定されないが、例えばフィルム状、シート状、バルク状などの形状とすることができる。成形する方法は適応する部位、部材によって異なるが、例えば、キャスト法、注型法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレー法、転写法、ディスペンサー方式などが挙げられるが、これらに限定されず所望の形状を得るために適当な方法を採用すればよい。成形型には研磨ガラス、硬質ステンレス研磨板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリメチルメタクリレート板等を用いることができる。また、成形型と硬化性樹脂組成物Bとの離型性を向上させるためポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。
【0092】
例えばカチオン硬化性のレジストに使用する際においては、まず、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルやシクロヘキサノン、γブチロラクトン等の有機溶剤に溶解させた硬化性樹脂組成物Bを、銅張積層板やセラミック基板、ガラス基板等の基板上にスクリーン印刷、スピンコート法などの手法によって5〜160μmの膜厚で塗布し、塗膜を60〜110℃で予備乾燥させる。得られた基板上の硬化性樹脂組成物Bに所望のパターンの描かれたネガフィルムを通して紫外線(例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、レーザー光等)を照射し、次いで、70〜120℃で露光後ベーク処理を行う。その後ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等の溶剤で未露光部分を溶解除去(現像)し、さらに必要があれば紫外線の照射及び/または加熱(例えば100〜200℃で0.5〜3時間)によって十分な硬化を行うことで硬化物を得る。このようにしてプリント配線板を得ることも可能である。尚、前述の方法はネガ型レジストの場合であるが、本発明の硬化性樹脂組成物Bはポジ型レジストとして用いることも可能である。
【0093】
本発明の硬化性樹脂組成物Aおよび硬化性樹脂組成物Bを硬化してなる硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線及びレーザーなどの光が、その材料中を通過する用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、表示体関連分野では、液晶ディスプレイの基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤及び偏光子保護フィルムをはじめとする液晶用フィルムなどが、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、LED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤及び偏光子保護フィルムなどが、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料及び接着剤などが挙げられる。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)及び光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材及び接着剤などが挙げられる。
【0094】
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー及び受光センサー部などが、ビデオカメラの撮影レンズ、及びファインダーなどが、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、及び接着剤などが、光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤及びフィルムなどが挙げられる。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材及び接着剤などが、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材及び接着剤などが、光受動部品や光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材及び接着剤などが、光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材及び接着剤などが挙げられる。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなどが、工業用途のセンサー類及び表示・標識類などが、通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーなどが挙げられる。半導体集積回路周辺材料では、LSIや超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料などが挙げられる。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーハーネス、燃料ホース、自動車ランプ及びガラス代替品などが、鉄道車輌用の複層ガラスなどが、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーハーネス及び耐蝕コートなどが挙げられる。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品及び太陽電池周辺材料などが挙げられる。農業用では、ハウス被覆用フィルムなどが挙げられる。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材及び接着剤などが挙げられる。
【0095】
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC及びLSIなどに用いられるポッティング、ディッピング及びトランスファーモールド封止、ICやLSI類のCOB、COF及びTABなどに用いられるポッティング封止、フリップチップなどに用いられるアンダーフィル、BGAやCSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィル)などを挙げることができる。
【0096】
光学用材料の他の用途としては、硬化性樹脂組成物Aまたは硬化性樹脂組成物Bが使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤及び他の樹脂等への添加剤等が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物Aまたは硬化性樹脂組成物Bを他樹脂への添加剤として用いる場合には、例えば、封止材あるいは基板用のシアネート樹脂組成物へ硬化剤として用いる場合や、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等に用いる場合が挙げられる。接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用及び電子材料用が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤及びアンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)及び異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
【0097】
第2の発明の硬化性樹脂組成物について、以下に説明する。
第2の発明の硬化性樹脂組成物においては、フェノール樹脂または重合触媒を必須成分として使用する。
【0098】
第2の発明が含有するフェノール樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物などのポリフェノール類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
好ましいフェノール樹脂としては、フェノールアラルキル樹脂(芳香族アルキレン構造を有する樹脂)が挙げられ、特に好ましくはフェノール、ナフトール、クレゾールから選ばれる少なくとも一種を有する構造であり、そのリンカーとなるアルキレン部が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、ナフタレン構造から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする樹脂(具体的にはザイロック、ナフトールザイロック、フェノールビフェニレンノボラック樹脂、クレゾール−ビフェニレンノボラック樹脂、フェノール−ナフタレンノボラック樹脂などが挙げられる。)である。
【0099】
第2の発明の硬化性樹脂組成物においてフェノール樹脂を含めた硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0100】
第2の発明の硬化性樹脂組成物が含有する重合触媒としては、熱または光により重合を開始させる触媒であれば限定なく使用できるが、具体的には、硬化促進剤または酸性硬化触媒が使用できる。
【0101】
用い得る硬化促進剤の具体例としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aにおいて用い得るものと同様のものが挙げられる。硬化促進剤を用いる場合は、その使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0102】
酸性硬化触媒としてはカチオン重合開始剤が好ましく、光もしくは熱カチオン重合開始剤が特に好ましい。活性エネルギー線によって活性化するカチオン重合開始剤及び/又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤を配合することで、後述する硬化性樹脂組成物2Bとして使用することができる。
【0103】
活性エネルギー線の照射により、後述する本発明の硬化性樹脂組成物2Bのカチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bにおいて用い得るものと同様のものが挙げられる。
【0104】
熱により活性化してカチオン重合を開始させる化合物、すなわち熱カチオン重合開始剤を本発明の硬化性樹脂組成物2Bに用いることもできる。このものとしても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bにおいて用い得るものと同様のものが挙げられる。
【0105】
第2の発明の硬化性樹脂組成物において、重合触媒を必須成分として使用するものは、硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物2A)と酸を硬化触媒とするカチオン硬化(硬化性樹脂組成物2B)の二種の方法が適応できる。
【0106】
前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物と同様に、硬化性樹脂組成物2Aと硬化性組樹脂成物2Bにおいて、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、併用し得る他のエポキシ樹脂の使用量、具体例としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物と同様である。
【0107】
以下それぞれの硬化性樹脂組成物について言及する。
硬化剤による熱硬化(硬化性樹脂組成物2A)
本発明の硬化性樹脂組成物2Aが含有する硬化剤としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aにおいて用い得るカルボン酸類や該カルボン酸類と併用できる他の硬化剤と同様である。
本発明においては特に前述の酸無水物、カルボン酸樹脂に代表される、酸無水物構造、及びまたはカルボン酸構造を有する化合物が好ましい。
【0108】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aにおいて硬化剤の使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0109】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aにおいては、硬化剤とともに硬化促進剤を併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては前記のものが挙げられる。硬化促進剤を用いる場合は、その使用量は、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0110】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有させることもできる。リン含有化合物の具体例及び使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0111】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物2Aには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、必要に応じて酸化防止剤を添加しても構わない。使用できる酸化防止剤の具体例及び使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0112】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物2Aには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、必要に応じて光安定剤を添加しても構わない。
光安定剤の具体例としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0113】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物2Aには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂の具体例及び使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0114】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤の具体例及び使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0115】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aを光半導体封止剤に使用する場合、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体の具体例及び使用量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様である。
【0116】
本発明の硬化性樹脂組成物2Aは、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、各成分を均一に混合することにより得られ、従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。
【0117】
また本発明の硬化性樹脂組成物Aは、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様の手法で、硬化物とすることができる。
【0118】
硬化性樹脂組成物2B(酸性硬化触媒によるカチオン硬化)
酸性硬化触媒を用いて硬化させる本発明の硬化性樹脂組成物2Bは、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様に、酸性硬化触媒として光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を含有し、さらに、希釈剤、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合開始補助剤、光増感剤等の各種公知の化合物、材料等を含有していてもよく、また、所望に応じて無機充填材、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤等、各種公知の添加剤を含有してもよい。
【0119】
前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様に、酸性硬化触媒としてはカチオン重合開始剤が好ましく、光もしくは熱カチオン重合開始剤が特に好ましい。活性エネルギー線によって活性化するカチオン重合開始剤及び/又は熱によって活性化するカチオン重合開始剤を配合することで、硬化性樹脂組成物2Bとして使用することができる。
【0120】
活性エネルギー線の照射により本発明の硬化性樹脂組成物2Bのカチオン重合を開始させるカチオン重合開始剤としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bにおいて用い得るものと同様のものが挙げられる。
【0121】
本発明の硬化性樹脂組成物2Bを硬化させるときの活性エネルギー線としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bの場合と同様である。
【0122】
また、本発明の硬化性樹脂組成物2Bには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様に、必要に応じてさらに光カチオン重合開始剤の活性を高めるため、増感剤を併用することもできる。本発明で用いることができる増感剤としては、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bにおいて用い得るものと同様のものが挙げられ好適に使用できるものも、配合量についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様である。
【0123】
本発明の硬化性樹脂組成物2Bに増感剤を添加する場合の配合量、活性エネルギー線の照射条件等についても、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様である。
【0124】
熱により活性化してカチオン重合を開始させる化合物、すなわち熱カチオン重合開始剤を本発明の硬化性樹脂組成物2Bに用いることもできるが、このものとしても、具体例や配合割合等については、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様である。
【0125】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物2Bには、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Bと同様に、必要に応じて前記のような無機充填剤やシランカップリング材、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
【0126】
本発明の硬化性樹脂組成物2Bは、前述の第1の発明の硬化性樹脂組成物Aと同様に、各成分を均一に混合することにより得られ、使用し、硬化させることができる。
【0127】
第2の発明の硬化性樹脂組成物2Aおよび硬化性樹脂組成物2Bを硬化してなる硬化物は各種用途に使用できる。
【0128】
硬化性樹脂組成物2Aまたは硬化性樹脂組成物2Bが使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
【0129】
封止剤、基板としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)およびパッケージ基板などを挙げることができる。またネットワーク基板や、モジュール基板といった機能性が求められる基板用途へも好適である。
【実施例】
【0130】
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
エポキシ当量: JIS K 7236 (ISO 3001) に準拠
ICI溶融粘度: JIS K 7117−2 (ISO 3219) に準拠
軟化点: JIS K 7234 に準拠
全塩素: JIS K 7243−3 (ISO 21672−3) に準拠
塩素イオン: JIS K 7243−1 (ISO 21672−1) に準拠
ナトリウムイオン: イオンクロマトグラフィーにて測定
鉄分: ICP発光分光分析
屈折率: ISO 5661 に準拠
ガードナー色数:ISO 4630−1 に準拠
GPC:
カラム(Shodex KF−603、KF−602x2、KF−601x2)
連結溶離液はテトラヒドロフラン
流速は0.5ml/min.
カラム温度は40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
【0131】
合成例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコをいったん真空にし、窒素置換した後、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)255部、エピクロロヒドリン842部、メタノール168部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン200部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液26部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP1)を301部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が88℃、ICI溶融粘度0.44Pa・s(150℃)、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。なお屈折率は1.63であった。(通常のエポキシ、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂は1.59であるため非常に大きい屈折率を示す。)
【0132】
合成例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lのフラスコに窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)255部、エピクロロヒドリン601部、メタノール180部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。窒素パージ開始から1.5時間(フラスコの約3倍の窒素量の吹き込み)経ち、さらに内温が65℃を越えたことを確認した後、フレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン200部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液5部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2)を300部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq.、軟化点が90℃、ICI溶融粘度0.46Pa・s(150℃)、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。なお屈折率は1.63であった。
【0133】
合成例3
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコにフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)256部、エピクロロヒドリン661部、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド3部を加え、水浴を70℃にまで昇温した。ここに49%水酸化ナトリウム水溶液100部を90分かけて滴下した後、更に70℃で4時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去することでエポキシ樹脂(EP3)を290部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は297g/eq.、軟化点が95℃、ICI溶融粘度0.70Pa・s(150℃)、全塩素量 10450ppm、加水分解性塩素 9700ppm、塩素イオン0.5ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相3(ガードナー 40%THF溶液)であった。また前記式(1)の構造は65面積%(GPC)であった。
【0134】
合成例4
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール15部、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物(新日本理化製 リカシッド MH)70部、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物(三菱ガス化学製 H−TMAn)15部を加え、40℃で3時間反応後70℃で1時間加熱撹拌を行うことで(GPCによりトリシクロデカンジメタノールの消失(1面積%以下)を確認した。)カルボン酸類と酸無水物を含有する硬化剤組成物(H−1)が100部得られた。得られた硬化剤組成物(H−1)は無色の液状樹脂であり、GPCによる純度はカルボン酸類(下記式6)を37面積%、酸無水物(シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸-1,2-無水物)が11面積%、酸無水物(メチルシクロヘキサンカルボン酸無水物)が52面積%であった。また、官能基当量は171g/eq.であった。
【0135】
【化10】
【0136】
実施例1、比較例1
実施例として合成例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)、比較例としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER828 三菱化学製)に対し、各々、脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド3150 ダイセル工業株式会社製)とカチオン硬化触媒(SI−150L 三新化学工業株式会社製)を53:47:2の割合で配合し、メチルエチルケトン55%溶液を作成した。得られた溶液に厚さ40ミクロンのEガラスのガラスクロス(ユニチカ製)を含浸し、150℃、4分で溶剤を揮発させ、プリプレグを作成した。その後、150℃、1分のプレヒートを行った後、150℃、30kg/cmで15分加圧プレスを行い、最後に150℃3時間かけて硬化を行った。得られたフィルムを10x40mmの大きさに切り出し、複屈折の指標であるリタデーションの測定を行った。なお、フィルムの厚みは56μmであった。
【0137】
リタデーションの測定方法は下記の条件で行った。
測定機器:エリプソM−220(日本分光製)
入射角:90度
バンド幅:1.0nm
測定範囲:0.1〜0.4kgf
測定波長:550nm
【0138】
その結果、エポキシ樹脂EP1を使用したものは0.4〜0.8μmのリタデーションを示し、比較であるビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いたものは0.7〜1.6μmの範囲でリタデーションを示した。
尚、リタデーションとは位相差であり、小さければ小さいほど好ましく、本結果より、本発明のエポキシ樹脂組成物は低いリタデーション、つまり低複屈折である事が確認できた。
【0139】
実施例2、3、4、比較例2
実施例として、合成例1、2で得られたエポキシ樹脂(EP1)と(EP2)を、比較例として合成例3で得られたエポキシ樹脂(EP3)を使用し、下記表1に記載の配合比で配合を行った。得られた硬化性樹脂組成物は実施例2、3、比較例2についてはテフロン(登録商標)板上で80℃、20分で溶剤を揮発させ、できたフィルムを、また実施例4については、溶剤揮発条件を150℃、3分で揮発させ、できたフィルムを切り出し、横7mm、縦5cm、の試験片用型に0.9g重ねて押し詰め、150℃、30kg/cmで15分間加圧プレスを行い、最後に160℃3時間かけて硬化を行うことで得られた。何れも0.7〜0.8mmの厚みに成型した。得られた板について透明性の評価を行った。なお、透明性の評価については日本電色製 色彩・濁度同時測定器 COH400を使用し、YIの測定値で比較した。結果を表1に示す。
【0140】
【表1】
【0141】
合成例2−1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度4.9%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)256部、エピクロロヒドリン842部、メタノール180部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム21部を90分けて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液26部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−1)を305部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が89℃、ICI溶融粘度0.42Pa・s(150℃)、全塩素量 1600ppm、加水分解性塩素 1540ppm、塩素イオン2ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%MEK(メチルエチルケトン)溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。
【0142】
合成例22
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度5.3%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI2)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)を用いた以外は合成例2−1と同様に反応を行った。得られたエポキシ樹脂(EP2−2)のエポキシ当量は266g/eq.、軟化点が90℃、ICI溶融粘度0.44Pa・s(150℃)、全塩素量 2000ppm、加水分解性塩素 1950ppm、塩素イオン1ppm、ナトリウムイオン0.3ppm、色相0.2(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は93面積%(GPC)であった。
【0143】
合成例2−3
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコに4L/hで30分窒素置換した後(酸素濃度6.5%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)256部、エピクロロヒドリン661部、メタノール165部を加え、水浴を75℃にまで昇温した。内温が65℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム57部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液5部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−3)を297部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は277g/eq.、軟化点が96℃、ICI溶融粘度0.62Pa・s(150℃)、全塩素量 2230ppm、加水分解性塩素 2100ppm、塩素イオン0.5ppm、ナトリウムイオン0.5ppm、色相0.2以下(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は82面積%(GPC)であった。
【0144】
合成例2−4
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えた1Lの4つ口フラスコをいったん真空にし、窒素置換した後(酸素濃度5.2%)、窒素パージ(2L/hr)を施しながらフェノール化合物(DPPI1)(前記式(1)において置換基Rがすべて水素原子の化合物 SABIC PPPBP)256部、エピクロロヒドリン661部、ジメチルスルホキシド 200部を加え、水浴を45℃にまで昇温した。内温が40℃を越えたところでフレーク状の水酸化ナトリウム57部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間後反応を行った。反応終了後水洗を行い、油層からロータリーエバポレータを用いて140℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン600部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液16部を加え、1時間反応を行った後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液を、ロータリーエバポレータを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することでエポキシ樹脂(EP2−4)を300部得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq.、軟化点が92℃、ICI溶融粘度0.48Pa・s(150℃)、全塩素量 1050ppm、加水分解性塩素 960ppm、塩素イオン0.3ppm、ナトリウムイオン0.1ppm、色相0.6(ガードナー 40%MEK溶液)であった。また前記式(1)の構造は90面積%(GPC)であった。
【0145】
実施例2−1、2−2、2−3および比較例2−1
前記で得られたエポキシ樹脂を用い、下記表2に示す配合で配合し、120℃2時間、160℃2時間、180℃4時間で硬化し、難燃性の試験を行った。なお、難燃性の試験の手法は以下に示す。
難燃性
・難燃性の判定:UL94に準拠して行った。ただし、サンプルサイズは幅12.5mm×長さ150mmとし、厚さは0.8mmで試験を行った。
【0146】
【表2】
【0147】
以上の結果から、本発明の硬化性樹脂組成物は高い耐熱性と難燃性を両立させることができるということが明らかとなった。
【0148】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2012年6月7日付で出願された日本特許出願(特願2012−129406及び特願2012−129408)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
第1の発明のエポキシ樹脂組成物は、光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。また第2の発明の硬化性樹脂組成物は、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等に使用できる。