特許第6240081号(P6240081)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240081
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/193 20060101AFI20171120BHJP
   H03F 3/217 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H03F3/193
   H03F3/217
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-543036(P2014-543036)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(86)【国際出願番号】JP2014000671
(87)【国際公開番号】WO2014132577
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2016年9月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-35618(P2013-35618)
(32)【優先日】2013年2月26日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、総務省、マルチバンド・マルチモード対応センサー無線通信基盤技術に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸二
(72)【発明者】
【氏名】中村 重紀
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57-57014(JP,A)
【文献】 特表2011-524079(JP,A)
【文献】 特開2011-182107(JP,A)
【文献】 特開平3-20082(JP,A)
【文献】 特開2000-323966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00− 3/45、3/50− 3/52、
3/62− 3/64、3/68− 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲートフィンガーを有するMOSトランジスタ、または単一のゲートフィンガーを有する複数のMOSトランジスタを具備する増幅器であって、
前記増幅器は、
前記ゲートフィンガーの各々に付加された容量性誘電体と、
交流信号を入力するゲートの入力端子及び前記ゲートの入力端子の間に接続された可変抵抗と、
を有し、
前記可変抵抗、前記ゲートフィンガーの各々のゲート抵抗、及び、前記容量性誘電体により、所望の周波数特性を有する複数のローパスフィルタを形成し、前記ゲートの入力端子からOD(Oxide Diffusion)領域境界までの各々のゲートフィンガーの幅または長さが異なる、
増幅器。
【請求項2】
前記交流信号が前記OD領域内部の前記ゲートフィンガーへ入力されるタイミングがそれぞれ異なる、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記ゲートフィンガーの電極用ビアが、前記OD領域外部の片側のみに接続される、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項4】
前記交流信号は、一系統で入力される、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項5】
前記容量性誘電体は、容量可変である、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項6】
前記ゲートの入力端子から入力された前記交流信号が、前記OD領域内の前記ゲートフィンガーの各々に到達するまでの信号伝搬遅延時間を一定の間隔とする、
請求項1に記載の増幅器。
【請求項7】
前記信号伝搬遅延時間は、前記交流信号の周波数をSIGfreq、前記複数のローパスフィルタの個数をNとした場合、1/(2×SIGfreq×N)未満となる最大値DelayMaxを超えない最大値とする、
請求項6に記載の増幅器。
【請求項8】
前記最大値DelayMaxは、それぞれの前記ローパスフィルタの抵抗値と、それぞれの前記ローパスフィルタの容量値との積によって決まる、
請求項7に記載の増幅器。
【請求項9】
請求項1に記載の増幅器を有する半導体集積回路。
【請求項10】
請求項1に記載の増幅器を有する送信装置。
【請求項11】
請求項1に記載の増幅器を有する電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタを用いた増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アンテナから電波を放射するために大振幅の信号を出力する回路として増幅器がある。
【0003】
以前より、増幅器としては、図1に示すように、Nチャネル形MOSスイッチングトランジスタ12、13と、インダクタ14と、帯域フィルタ15とで構成され、増幅器の入力には、ゲインコントロールバッファ11で増幅されたパルス波形信号(送信信号)を用いた回路が広く利用されている。また、増幅器の出力は、アンテナ16から放射される。
【0004】
図2は、Nチャネル形MOSスイッチングトランジスタ12、13のレイアウトを示す平面図である。図2において、ゲートフィンガー21、22は、それぞれの両端が入力信号を入力する入力端子25を有する金属配線(図中、METAL1)に接続され、ゲートフィンガー23、24は、それぞれの両端が入力信号を入力する入力端子26を有する金属配線(図中、METAL1)に接続される。
【0005】
ドレイン27、28は、それぞれの一端が出力端子29に接続され、ソース30〜33は、それぞれの一端がバルク34に接続され、グランドに接地される。
【0006】
しかしながら、この構成では、増幅器の出力はパルス波形に近く、高調波成分を含む信号になる。
【0007】
また、図1とは別に、図3に示すように、Nチャネル形MOSスイッチングトランジスタ12、13と、Pチャネル形MOSスイッチングトランジスタ41、42とで構成されるインバータを用いたパルス型増幅器がある。この構成でも、出力に高調波が発生する。
【0008】
従来、特に奇数次高調波を抑制するため、複数の増幅器の入力パルス波のデューティー比と位相とをそれぞれ独立に設定し、複数の増幅器の出力を合成する回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図4は、特許文献1に記載された増幅器の構成を示す回路図であり、図5は、図4の増幅器の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図4の増幅器は、Nチャネル形MOSトランジスタ13とPチャネル形MOSトランジスタ42とで構成されるインバータの出力と、Nチャネル形MOSトランジスタ12とPチャネル形MOSトランジスタ41とで構成されるインバータの出力とから、出力信号を合成している。スイッチングトランジスタ入力信号S1〜S3は、図5に示す電圧波形のように、デューティー比と位相とがデューティー調整及び遅延調整回路43にてそれぞれ独立に設定され、これにより出力波形を正弦波に近づけて奇数次高調波を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2008/032782号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図4の増幅器では、高調波、特に奇数次高調波を抑制するために、デューティー調整回路と、遅延調整回路が必要になる。また、複数の出力波形を生成する回路と、スイッチングトランジスタを駆動するためのゲインコントロールバッファ11がスイッチングトランジスタ毎に必要になる。このため、回路規模の増大、コスト増大、及び、これらの回路における消費電力の増大という課題を有していた。
【0012】
本発明の目的は、回路規模の増大及び消費電力の増大を抑制し、容易に奇数次高調波を抑制する増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る増幅器は、複数のゲートフィンガーを有するMOSトランジスタ、または単一のゲートフィンガーを有する複数のMOSトランジスタを具備する増幅器であって、前記増幅器は、前記ゲートフィンガーの各々に付加された容量性誘電体と、交流信号を入力するゲートの入力端子及び前記ゲートの入力端子の間に接続された可変抵抗と、を有し、前記可変抵抗、前記ゲートフィンガーの各々のゲート抵抗、及び、前記容量性誘電体により、所望の周波数特性を有する複数のローパスフィルタを形成し、前記ゲートの入力端子からOD(Oxide Diffusion)領域境界までの各々のゲートフィンガーの幅または長さが異なる構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路規模の増大及び消費電力の増大を抑制し、容易に奇数次高調波を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一般的な増幅器の構成を示す回路図
図2】Nチャネル形MOSスイッチングトランジスタのレイアウトを示す平面図
図3】インバータを用いたパルス型増幅器の構成を示す回路図
図4】特許文献1に記載された増幅器の構成を示す回路図
図5図4の増幅器の各部の信号波形を示すタイミングチャート
図6】本発明の実施の形態1に係る増幅器のスイッチングトランジスタのレイアウトを示す平面図
図7】本発明の実施の形態2に係るカレントミラー型カスコード回路からなる増幅器を備える無線送信装置の回路図
図8図7の回路におけるゲインコントロールバッファの出力信号の波形と、スイッチングトランジスタのドレインの出力端子における信号の電流波形を示す図
図9】本発明の実施の形態3に係るスイッチングトランジスタを使用したインバータ形増幅器を備える無線送信装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施の形態において、同一の構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(実施の形態1)
図6は、本発明の実施の形態1に係る増幅器のスイッチングトランジスタのレイアウトを示す平面図である。
【0018】
図6に示すように、実施の形態1における増幅器は、複数のNMOS(N-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)トランジスタ100、101を備えている。NMOSトランジスタ100は、NMOSトランジスタ100の複数のゲートフィンガー102、103と、ソース108、109と、ドレイン106とを備えている。また、NMOSトランジスタ101は、複数のゲートフィンガー104、105と、ソース110、111と、ドレイン107とを備えている。
【0019】
なお、ソースとドレインは、ソースがドレイン、ドレインがソースとなる接続であってもよい。また、NMOSトランジスタは、PMOS(P-channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)トランジスタであってもよく、複数のNMOSトランジスタとは、二つ以上のNMOSトランジスタを示す。
【0020】
図6において、ゲートフィンガー102、103は、NMOSトランジスタ100のOD(Oxide Diffusion)領域からゲートの入力端子119側に大きく突出しており、ゲートフィンガー104、105もNMOSトランジスタ101のOD領域からゲートの入力端子119側に大きく突出している。
【0021】
ゲートフィンガー102〜105は、ゲートの入力端子119と接続する電極用ビアがOD領域外部の片側のみに接続されている。これにより、ゲートフィンガーへの送信信号による印加電圧が電極用ビア側から順にかかるため、OD領域(素子が形成される活性領域であり、素子領域をさす)内において生成される空乏層の形成時間が変わり、遅延時間を設けることができる。
【0022】
また、ゲートフィンガー103と104とは、アルミ配線(図中、METAL1で示す網掛け)で接続されている。
【0023】
ゲートフィンガー102〜105には、それぞれ容量性誘電体112〜115が接続されており、ビア抵抗及びゲート抵抗と、容量性誘電体によってローパスフィルタが形成される。
【0024】
なお、図6では、説明の便宜上、ゲートフィンガーの各位置をポジションP1〜P11として定義する。ポジションP1、P4、P7は、ゲートフィンガー102〜105がゲートの入力端子119と接続する側の一端を示す。また、ポジションP2、P5、P8、P10は、OD領域内におけるゲートフィンガー102〜105のゲートの入力端子119側を示す。さらに、ポジションP3、P6、P9、P11は、OD領域内におけるゲートフィンガー102〜105のゲートの入力端子119と反対側を示す。
【0025】
図6の増幅器のスイッチングトランジスタは、NMOSトランジスタ100、101で構成され、入力端子116より交流信号(送信信号)が入力される。図6のスイッチングトランジスタでは、可変抵抗120と、ゲートの入力端子119及びポジションP2間のビア抵抗及びゲート抵抗と、容量性誘電体112とによって形成された第1のローパスフィルタが形成される。
【0026】
入力された交流信号は、第1のローパスフィルタによって遅延されることにより、図6のポジションP2におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングが決定される。また、ポジションP3におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、ポジションP2に対して、交流信号がP2〜P3のゲート抵抗を介して伝達されるため、ポジションP2よりも遅いタイミングでON/OFFされる。
【0027】
また、ポジションP5におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、第1のローパスフィルタを介し、P1〜P5のゲート抵抗と容量性誘電体113によって形成された第2のローパスフィルタが交流信号を遅延させることによって決定される。また、ポジションP6におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、ポジションP5に対して、交流信号がP5〜P6のゲート抵抗を介して伝達されるため、ポジションP5よりも遅いタイミングでON/OFFされる。
【0028】
また、ポジションP8におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、第1のローパスフィルタ及び第2のローパスフィルタを介し、P4〜P8のビア抵抗、配線抵抗及びゲート抵抗と容量性誘電体114とによって形成された第3のローパスフィルタが交流信号を遅延させることによって決定される。また、ポジションP9におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、ポジションP8に対して、交流信号がP8〜P9のゲート抵抗を介して伝達されるため、ポジションP8よりも遅いタイミングでON/OFFされる。
【0029】
さらに、ポジションP10におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、第1のローパスフィルタ、第2のローパスフィルタ、及び、第3のローパスフィルタを介し、P7〜P10のゲート抵抗と容量性誘電体115とによって形成された第4のローパスフィルタが交流信号を遅延させることによって決定される。また、ポジションP11におけるドレインソース間の電流ON/OFFのタイミングは、ポジションP10に対して、交流信号がP10〜P11のゲート抵抗を介して伝達されるため、ポジションP10よりも遅いタイミングでON/OFFされる。
【0030】
これら一連の動作により、ポジションごとのドレインソース間の電流は、早い方からポジションP2、P3、P5、P6、P8、P9、P10、P11の順にそれぞれ一定間隔の遅延時間を有し、電流がON/OFFされる。
【0031】
ここで、それぞれの遅延時間は、入力される交流信号の周波数をSIGfreq、前記ローパスフィルタ個数をNとした場合に、次式(1)を満たす遅延量の最大値DelayMaxを超えない最大値をとるように設計される。
DelayMax < 1/(2×SIGfreq×N) …(1)
【0032】
なお、それぞれのローパスフィルタの抵抗値をRes、それぞれの前記ローパスフィルタの容量値をCapとすると、遅延量の最大値DelayMaxは、抵抗値Resと容量値Capの積によって一義的に求められる。
【0033】
この抵抗値Resは、配線やビアにおける寄生抵抗を含む抵抗値であり、抵抗値の設計は、ゲート抵抗の幅及び長さ、または配線の幅及び長さ、配線層及びビアの個数などを調整して行われる。また、容量値Capの設計は、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量、MOS容量、MOM(Metal-Oxide-Metal)容量、配線間の寄生容量など、容量形成部分の面積及び距離を調整して行われる。
【0034】
このように、実施の形態1のMOSトランジスタは、複数のゲートフィンガーを有し、複数のゲートフィンガーのそれぞれに容量性誘電体を付加し、それぞれのゲート抵抗と、それぞれの容量性誘電体とにより、所望の周波数特性を有する複数のローパスフィルタを形成する。
【0035】
これにより、MOSトランジスタは、一系統の入力交流信号にて、ドレインソース間にON/OFFされる電流波形を矩形波から、より正弦波に近い波形を生成することができるため、容易に奇数次高調波を抑制することができる。
【0036】
また、デューティー制御回路、遅延調整回路および個別駆動するための複数のゲインコントロールバッファを用いる必要がないので、回路規模の増大及び消費電力の増大を抑制することができる。
【0037】
なお、図6の容量性誘電体112〜115は、上述したローパスフィルタの遅延特性を満足できれば、どのような構造及び接続箇所でもよい。また、容量性誘電体112〜115は、容量値を可変できるような構造でもよく、例えば、容量性誘電体とスイッチを直列に接続した構造を複数並列接続し、前記スイッチを短絡した分だけ容量値として付加される構成であってもよい。
【0038】
同様に、可変抵抗120も上述したローパスフィルタの遅延特性を満足できれば、どのような構造及び接続箇所でもよく、例えばトランジスタのドレインとソースの各々を抵抗の両端子とし、このトランジスタのゲート電圧を制御するオン抵抗を利用する構成であってもよい。
【0039】
また、本実施の形態では、2つのゲートフィンガーを有するMOSトランジスタを2つ接続した場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、複数のゲートフィンガーを有する1つのMOSトランジスタを用いてもよいし、1つのゲートフィンガーを有する複数のMOSトランジスタを接続して用いてもよい。すなわち、増幅器内のMOSトランジスタが全体として複数のゲートフィンガーを備えていればよい。
【0040】
また、本実施の形態の増幅器は、電力増幅器やドライバー回路などを含む。
【0041】
また、本実施の形態では、配線層を2層で示しているが(図6参照)、本発明はこれに限定するものではない。
【0042】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるカレントミラー型カスコード回路からなる増幅器を備える無線送信装置の回路図を示す。
【0043】
図7のNMOSトランジスタ200〜203は、カレントミラー回路を構成し、定電流回路205より電流供給される。NMOSトランジスタ100、101、211は、実施の形態1に示したスイッチングトランジスタであり、ここでは、一つのトランジスタにつき一つのゲートフィンガーを有する場合を示している。
【0044】
各々のゲートには、ローパスフィルタを形成するための容量性誘電体112、114、212の一方の電極がそれぞれ接続され、他方の電極はバルク117を介してグランドに接地する。なお、接地点は電源でもよい。
【0045】
また、図7では、各々のドレインは同一の出力端子118に束ねられているが、個別にNMOSトランジスタ100のドレインがNMOSトランジスタ201のソースに接続され、NMOSトランジスタ101のドレインがNMOSトランジスタ202のソースに接続され、NMOSトランジスタ211のドレインがNMOSトランジスタ203のソースに接続される回路でもよい。
【0046】
NMOSトランジスタ204は、カレントミラー回路の各々の電流密度を合わせるためのON抵抗として扱われる。インダクタ206は、本増幅器の負荷用チョークインダクタであり、NMOSトランジスタ201〜203のドレイン210からのスイッチング電流を電流電圧変換する。ドレイン210の出力波形は、フィルタ207を介し、アンテナ208に出力される。
【0047】
ゲインコントロールバッファ209は、入力された送信信号を増幅し、増幅した信号一系統で、NMOSトランジスタ100、101、211を駆動する。なお、ゲインコントロールバッファ209の出力からNMOSトランジスタ100、101、211のゲートまでの信号ノードは、図6における入力端子116から可変抵抗120を介し、各ゲートまでの平面構造に相当し、NMOSトランジスタ100、101、211のゲートに入力される送信信号は、同一周期内にてタイミングが異なった波形となる。また、ゲインコントロールバッファ209は、固定ゲインバッファを含むものとする。
【0048】
図8は、図7の回路におけるゲインコントロールバッファ209の出力信号S11の波形と、スイッチングトランジスタのドレインの出力端子118における信号S12の電流波形を示す。図8から分かるように、ゲインコントロールバッファ209から出力された矩形波、すなわち、増幅器の入力信号は、ドレインの出力端子118にて正弦波に近い波形に変換されるため、奇数次高調波を抑制することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、送信信号の波形を無変調波形で示しているが、実使用においては、周波数変調などの変調波形が用いられる。
【0050】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3に係るスイッチングトランジスタを使用したインバータ形増幅器を備える無線送信装置の回路図を示す。
【0051】
図9のNMOSトランジスタ100、101および、PMOSトランジスタ300、301は実施の形態1に示したスイッチングトランジスタであり、ここでは、一つのトランジスタにつき一つのゲートフィンガーを有する場合を示している。
【0052】
NMOSトランジスタ100、101の各ゲートには、ローパスフィルタを形成するための容量性誘電体112、114の一方の電極が接続され、他方の電極はバルク117を介してグランドに接地する。なお、接地点は電源でもよい。
【0053】
また、PMOSトランジスタ300、301のゲートには、ローパスフィルタを形成するための容量性誘電体312、314の一方の電極が接続され、他方の電極は電源に接続される。なお、接地点はグランドでもよい。
【0054】
また、NMOSトランジスタ100、101のソースは117のグランドに接地され、PMOSトランジスタ300、301のソースは電源に接続される。NMOSトランジスタ100、101のドレインと、PMOSトランジスタ300、301のドレインは、出力端子118に接続される。
【0055】
ゲインコントロールバッファ209は、入力された送信信号を増幅し、増幅した信号一系統で、NMOSトランジスタ100、101、PMOSトランジスタ300、301を駆動する。なお、ゲインコントロールバッファ209の出力からNMOSトランジスタ100、101、PMOSトランジスタ300、301までの信号ノードは、図6における入力端子116から可変抵抗120を介し、各ゲートまでの平面構造に相当し、NMOSトランジスタ100、101、PMOSトランジスタ300、301のゲートに入力される送信信号は、同一周期内にてタイミングが異なった波形となる。
【0056】
このように、ゲインコントロールバッファ209から出力された矩形波、すなわち、増幅器の入力信号は、出力端子118にて正弦波に近い波形に変換されるため、奇数次高調波を抑制することができる。
【0057】
2013年2月26日出願の特願2013−035618の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる増幅器は、入力交流信号が矩形波であり、増幅器またはドライバーなどの出力に奇数次高調波を含む可能性がある電子機器に利用可能である。電子機器の一例としては、無線送信装置、レーザー駆動ドライバーを用いたレーザープリンタ、光通信用送受信機、およびCD、DVD、ブルーレイなどのプレーヤー・レコーダー、さらにはHDD、FDDなどがある。
【符号の説明】
【0059】
100、101、201〜204、211 NMOSトランジスタ
102〜105 ゲートフィンガー
106、107、210 ドレイン
108〜111 ソース
112〜115、212、312、314 容量性誘電体
116 入力端子
117 バルク
118 出力端子
119 ゲートの入力端子
120 可変抵抗
205 定電流回路
206 インダクタ
207 フィルタ
208 アンテナ
209 ゲインコントロールバッファ
300、301 PMOSトランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9