(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(D)におけるIOB値が0.8〜4の多価アルコールが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びイソプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上のものである、請求項1〜8の何れか1項に記載の洗浄剤組成物。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する洗浄剤組成物であって、
(A)炭素数12〜22の脂肪酸又はその塩、
(B)成分(A)を除く、親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤、
(C)両性界面活性剤、
(D)IOB値が0.8〜4の多価アルコール、又は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物、
(E)水;
酸としての換算質量で、成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が35質量%以上60質量%以下であり、
成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が0.06以上0.65以下であり、
成分(C)の含有量が1.5質量%以上15質量%以下であり、
成分(D)の含有量が6質量%以上18質量%以下である、洗浄剤組成物に関する。
【0007】
上記のように、種々の研究がなされているが、特許文献1では、高濃度界面活性剤系の低温での低粘度を維持することを意図したものではないため、組成物の粘度上昇やその抑制に関する課題がある。特許文献2では、界面活性剤濃度が低い条件で、低温や高温での優れた保存安定性を示すものであり、高濃度界面活性剤系における低温での粘度上昇の問題を解決するものではなかった。
【0008】
近年、環境保護、および消費者の携帯しやすさ、使いやすさなどのニーズから、界面活性剤を高濃度に含有する洗浄剤組成物の開発が望まれているが、このように、高級脂肪酸塩を用いた、高濃度の界面活性剤を含有する洗浄剤組成物には、事例がなく、まだ十分なものが得られていないのが現状である。これは、高級脂肪酸塩の濃度が高くなるとヘキサゴナル構造と呼ばれる非常に粘度が高い相構造をとってしまい、実用上使用が困難になることが原因の一つであると考えられる。また、更に活性剤濃度を高くすると、ラメラ液晶と呼ばれる相構造をとることが学術的な研究等により知られているが、温度低下により著しい粘度の上昇が起こり、実用上の使用に大きな課題がある。従って、安定性、安全性、泡立ち性、使用感などが良好で、適度な粘度を有し、低温での粘度上昇の問題を解決できる高濃度洗浄剤組成物の開発が強く望まれていた。
【0009】
以上のことから、本発明の目的は、高濃度の界面活性剤を含有する洗浄剤組成物において、適度な粘度を有するラメラ構造を形成し、低温での粘度の著しい上昇が抑制され、且つ泡立ち性等の使用性能が優れた洗浄剤組成物を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、特定の脂肪酸又はその塩に、特定のカルボン酸型アニオン性界面活性剤と特定の両性界面活性剤、及びIOB値が0.8〜4の多価アルコール又はIOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物を特定の含有量で組み合わせることにより、ラメラ液晶構造を形成しながら、高濃度の界面活性剤の含有による粘度の上昇や結晶化を抑制することができ、低温での低粘度を確保することができることを見出した。
【0011】
本発明によれば、界面活性剤の高濃度化により課題であった低温での粘度の著しい上昇を抑制することに成功した。具体的には、洗浄成分である界面活性剤を高濃度含有して、ラメラ液晶構造を形成するにもかかわらず、低温で低粘度を保ち、更には泡立ち性などの使用性能にも優れた、寒い季節でも使いやすい洗浄剤組成物を提供することが可能になる。
【0012】
<成分(A)>
本発明で用いる成分(A)は、炭素数12〜22の脂肪酸またはその塩であり、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものである。特に、炭素数12〜14の直鎖脂肪酸またはその塩が、泡立ち性などの観点から好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられ、ラウリン酸、ミリスチン酸がより好ましい。このような市販のものとしては、PALMAC 98−12(ACIDCHEM社製)、PALMAC 98−14(ACIDCHEM社製)などが挙げられる。
【0013】
また、成分(A)の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アミノメチルプロパノール塩等のアルカノールアミン塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属塩、塩基性アミノ酸塩が好ましく、カリウム塩、アルギニン塩が好ましい。
成分(A)としては、ラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0014】
<成分(B)>
本発明で用いる成分(B)は、成分(A)を除く、親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤である。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩が好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩としては、次の一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0016】
(式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。)
【0017】
一般式(1)中、Rとしては、特に炭素数12〜16のアルキル基が好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数nは、2〜5であるのが好ましい。また、Xとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のアンモニウムなどが挙げられる。
【0018】
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンパルミチルエーテルカルボン酸のナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン又はアルギニン塩が好ましい。本発明の成分(A)との併用によって低温での粘度の上昇や結晶化をより効果的に抑制する観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸及びポリオキシエチレンミリスチルエーテルカルボン酸、またはこれらの塩の組み合わせが好ましい。このような市販のものとしては、AKYPO RLM 45CA(花王社製)、AKYPO LM 26C(花王社製)などが挙げられる。
【0019】
N−アシルアミノ酸塩としては、炭素数8〜24のアシル基及びカルボン酸残基を有するものが好ましく、具体的にはN−アシル−β−アラニン塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−L−アラニン塩、N−アシルアスパラギン酸塩等が挙げられる。これらのうち、N−アシルグリシンのアルギニン塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩又はナトリウム塩が好ましい。
成分(B)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が好ましい。
【0020】
本発明においては、成分(A)は、上記から選ばれる1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。成分(B)も上記から選ばれる1種で又は2種以上組み合わせて用いることができる。成分(A)と成分(B)を組み合わせることにより、高濃度の界面活性剤の含有による粘度の上昇や結晶化が抑制される。当該観点から、成分(A)と成分(B)の含有量の合計は、35質量%以上であり、40質量%以上が好ましく、また、60質量%以下であり、55質量%以下が好ましい。
また、配合処方中の成分(A)と成分(B)の中和率は低温における粘度の上昇や結晶化を抑制する観点から85〜110%が好ましく、95〜105%がより好ましい。
【0021】
また、成分(A)と成分(B)は、低温での粘度上昇を抑える観点から、成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕は、0.06以上であり、0.1以上が好ましく、さらに低温での流動性も維持できる観点から0.27以上がより好ましく、また、0.65以下であり、さらに低温での流動性も維持できる観点から0.45以下が好ましい。なお、成分(A)、成分(B)の含有量は、酸としての換算質量により示される。また、流動性とはガラス瓶に入れて保存したサンプルを傾けたとき、または軽く叩くとき内容物が流動する性質を指す。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物で用いる成分(B)の親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤は、疎水部としてアルキル基を有し、親水部としてカルボン酸を有する。このため、成分(A)の脂肪酸と構造が類似しており、成分(A)と成分(B)が分子の運動性が低下する低温条件でも均質に混ざりやすいと考える。しかし、成分(B)は、アルキル基とカルボニル基との間に、接続基(アルキレンオキサイドなど)を有するために運動性が高く、成分(A)の炭素数12〜22の脂肪酸と成分(B)とを組み合わせて用いる場合、成分(A)が結晶化しにくくなる。結果として、低温で粘度の著しい増加が起こらず、特に優れたものは透明性や流動性を保つことができると考えられる。一方、リン酸型、硫酸型、スルホン酸型などのアニオン性界面活性剤は、分子の運動性が低下する低温条件では成分(A)と均質に混ざりにくいと考えられ、結晶化を十分に抑制することができず、低温で粘度の著しい増加が起こると考える。
【0023】
<成分(C)>
本発明で用いる成分(C)は、両性界面活性剤である。
かかる両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアミドプロピルベタイン;ラウリルジメチルアミノヒドロキシプロピルスルホベタイン、ミリスチルジメチルアミノヒドロキシプロピルスルホベタインなどのスルホベタイン;ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミドゾリニウムベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミドゾリニウムベタインなどのイミドゾリニウムベタイン等が挙げられる。また、ラウリルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
これらのうち、アミドプロピルベタイン、スルホベタインが好ましく、スルホベタインがより好ましい。
【0024】
成分(C)の化合物は、上記から選ばれる1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。成分(C)の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に1.5質量%以上であり、3質量%以上がより好ましい。また、15質量%以下であり、10質量%以下がより好ましい。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されるので好ましい。
【0025】
<成分(D)>
本発明で用いる成分(D)は、IOB値が0.8〜4の多価アルコール、又は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物である。
【0026】
ここで、IOB値とは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域 Vol.11,No.10(1957)719−725)に基づいて求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、次式により求められる。
【0028】
かかるIOB値が0.8〜4の多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール(IOB3.3)、イソプロピレングリコール(IOB2.0)、ジプロピレングリコール(IOB1.8)、1,3−ブチレングリコール(IOB2.5)、ジエチレングリコール(IOB2.75)、ペンタエリスリトール(IOB4.0)、ポリプロピレングリコール−9(IOB0.8)等が挙げられる。これらのうち、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の炭素数3〜6の多価アルコールが好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコールがより好ましい。
【0029】
かかる炭素数3以下のモノアルコールとしては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらのうち、エタノールが好ましい。
【0030】
本発明で用いる成分(D)は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールである場合、この多価アルコールを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、成分(D)は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物である場合、この多価アルコール又はモノアルコールいずれも1種又は2種以上用いて混合することができる。
【0031】
成分(D)の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に6質量%以上であり、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。また、18質量%以下であり、16質量%以下がより好ましく、14質量%以下が更に好ましい。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温での粘度の上昇や結晶化が抑制されるので好ましい。
また、成分(D)は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物である場合、泡立ちの観点から、炭素数3以下のモノアルコールは10重量%以下が好ましく、4重量%以下が更に好ましい。
【0032】
また、成分(A)と成分(B)と成分(D)の含有量の合計は、45質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、また、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されることができるので好ましい。
【0033】
<成分(E)>
本発明の洗浄剤組成物には、成分(E)として、水を含む。本発明において、成分(E)水の含有量は原料に含まれている水と、単独の成分として添加される水の総量である。
【0034】
また、本発明の洗浄剤組成物では、成分(E)水の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。また、粘度の観点から成分(A)と成分(B)の含有量の合計と、成分(E)との質量比〔(A)+(B)〕/(E)は、1.0以上が好ましく、1.6以上がより好ましく、また、4.5以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物は、上記成分を混合することによりラメラ液晶構造を形成することがわかった。ラメラ液晶構造とは、光学的に異方性を有するものであり、層状構造やベシクル状構造を有するものなど様々なものがある。本発明におけるラメラ構造は、界面活性剤濃度が高いところで形成されるものであり、基本的にヘキサゴナル構造を形成する濃度より高い濃度で形成されるものである。このラメラ構造は、ヘキサゴナル構造を形成しているときに比べて粘度が1桁程度低くできる。本発明でいうラメラ構造には、厳密にはラメラ構造とヘキサゴナルの中間状態(あるいは遷移状態)のものもあるが、本発明においては、これらのものもラメラ構造に属すると定義する。これらの構造は、偏光顕微鏡で観察し、得られる画像の特徴から判断することができる。例えば、偏光顕微鏡で観察したときのラメラ構造、ヘキサゴナル構造の特長は、例えば、Langmuir 2004,20,p1641に掲載されている画像、「界面化学の化学と応用」の口絵に掲載の画像(大日本図書、妹尾、辻井著 1995年出版などを参照することができる。
【0036】
また、本発明の洗浄剤組成物には、更にノニオン性界面活性剤を含有させることができる。具体的には、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。この中、ノニオン性界面活性剤を構成するアルキル基は、長鎖アルコール又は長鎖脂肪酸の炭素数はC8〜22であるアルキル基が挙げられ、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘニロイル基が挙げられる。
【0037】
これらの中で、ノニオン性界面活性剤を構成するアルキル基のうち、少なくとも1つが分岐アルキル基であるものが好ましい。具体的には、(2−)エチルヘキシル基、イソデシル基、(2−)ブチルドデシル基、(2−)ヘプチルウンデシル基、(2−)イソヘプチルウンデシル基、(2−)イソヘプチルイソウンデシル基、(2−)ドデシルヘキシル基、(2−)オクチルドデシル基、イソステアリル基、オクチルドデシル基、デシルテトラデシル基などが挙げられ、(2−)エチルヘキシル基、イソデシル基が好適に例示できる。なお、アルキル基中の分岐鎖の位置は、特に特定されるものではない。
【0038】
具体的には、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル,ポリオキシエチレン(15)イソステアリルエーテル等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が5〜15のポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)オクチルドデシルエーテル,ポリオキシエチレ(10)オクチルドデシルエーテル等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜25のポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5)デシルテトラデシルエーテル,ポリオキシエチレ(10)デシルテトラデシルエーテル等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜25のポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、などのアルキル基の炭素数が8〜22の分岐アルキルポリオキシエチレンエーテル、イソステアリン酸ポリエチレングリコール等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜60分岐脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、イソステアリン酸グリセリルエステル等の分岐脂肪酸グリセリルエステル、イソステアリン酸ジグリセリルエステル、イソステアリン酸デカグリセリルエステル、ジイソステアリン酸ジグリセリルエステル等の分岐脂肪酸ポリグリセリルエステル、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル、イソデシルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル等の分岐アルキルグリセリルエーテル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜60のポリオキシエチレン分岐脂肪酸グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜60の分岐脂肪酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。これらの中で、分岐アルキルグリセリルエーテル、分岐アルキルポリオキシエチレンエーテルが好ましく、炭素数8〜22である分岐アルキルグリセリルエーテルがより好ましく、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル、イソデシルグリセリルエーテルがさらにより好ましい。
分岐鎖を有するノニオン性界面活性剤は、成分(A)、(B)と共に混合される際、分岐鎖を有するため、成分(A)、(B)のアルキル鎖の間隔を広げることができ、低温での粘度上昇を抑制することを助ける働きがあると考えられる。
【0039】
これらのノニオン性界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのノニオン性界面活性剤の含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、10質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下である。これらの範囲であれば、ラメラ構造を安定に形成でき、低温における粘度の上昇や結晶化が抑制されるので好ましい。
【0040】
また、本発明の洗浄剤組成物には、更にカチオンポリマー又は両性ポリマーを含有させることができる。本発明品は濃縮タイプの洗浄剤組成物であり、少量の使用量で速やかに泡立つという特徴があるが、これらのポリマーはさらに泡量を向上することができる。かかるポリマーとしては、通常の洗浄剤に用いられるものであれば制限されなく、例えば、特開2008−163237記載のカチオン性ポリマー及び両性ポリマーなどがあげられる。具体的には、(a)カチオン化セルロース、(b)カチオン化グアーガム、(c)ジアリル4級アンモニウム塩重合物、又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、(d)メタクリロイルオキシエチル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物などが挙げられる。また、具体的両性ポリマーとしては、(e)ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、アクリル酸/ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、(f)アクリル酸/メタクリルアミドプロピル4級アンモニウム塩/アクリル酸アルキルエステル共重合物が挙げられる。
【0041】
(a)カチオン化セルロース:
カチオン化セルロースのカチオン置換度は、0.01〜1、すなわちアンヒドログルコース単位あたりの平均値は、0.01〜1、好ましくは0.02〜0.5である。また、カチオン化セルロースの分子量は約10万〜800万の間である。
例えば、市販品としては、ポイズC−80H〔花王社製〕やポリマーJR−400(ダウケミカル社製)等が挙げられる。
【0042】
(b)カチオン化グアーガム:
カチオン化グアーガム誘導体のカチオン置換度は、0.01〜1、特に0.02〜0.5個のカチオン基が糖ユニットに導入されたものが好ましい。
例えば市販品としては、ローディア社(Rhodia Inc.)から商標名ジャガー(Jaguar)で市販されており、ジャガーC−13C等が挙げられる。
【0043】
(c)ジアリル4級アンモニウム塩重合物、又はジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物:
ジアリル4級アンモニウム塩重合物の分子量としては約3万〜100万、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量としては約3万〜200万、好ましくは10万〜100万の範囲が良い。
例えば、市販品としては、ノベオン社から商標名マーコートで市販されており、マーコート100(15万)やマーコート550(160万)等が挙げられる。
【0044】
(d)メタクリロイルオキシエチル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物:
メタクリロイルオキシエチル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量としては約100万〜1000万、好ましくは200万〜600万の範囲が良い。
例えば、市販品としては、ノベオン社から商標名マーコートで市販されており、マーコート5(400万)等が挙げられる。
【0045】
(e)ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、アクリル酸/ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物:
ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物、アクリル酸/ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物の分子量としては10万〜300万、好ましくは10万〜100万の範囲が良い。
例えば、市販品としては、ノベオン社から商標名マーコートで市販されており、マーコート280(45万)やマーコート295(19万)、およびマーコートプラス3330(150万)、マーコートプラス3331(160万)等が挙げられる。なお、マーコート280、295は、アクリルアミドを含まない。
【0046】
(f)アクリル酸/メタクリルアミドプロピル4級アンモニウム塩/アクリル酸アルキルエステル共重合物:
アクリル酸/メタクリルアミドプロピル4級アンモニウム塩/アクリル酸アルキルエステル共重合物の分子量としては60万〜300万、好ましくは100万〜200万の範囲が良い。
例えば、市販品としては、ノベオン社から商標名マーコートで市販されており、マーコート2001(120万)等が挙げられる。
【0047】
これらのうち、好ましいポリマーとしては、(c)ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、(e)ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物が挙げられ、マーコート295、280、550が特に好ましい。最も好ましいものはマーコート295、280である。
【0048】
これらのカチオンポリマー又は両性ポリマーを1種で又は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明の洗浄剤組成物中に0.1質量%以上が好ましく、更には0.4質量%以上が好ましく、4質量%以下が好ましく、更には2質量%以下を含有させるのが、低温での低粘度及び泡量向上の点で好ましい。
【0049】
また、本発明には、更に平均分子量40万以上の高重合ポリエチレングリコールを含有させることもできる。本発明品は濃縮タイプの洗浄剤組成物であり、少量の使用量で速やかに泡立つという特徴があるが、これらのポリマーはさらに泡量を向上することができる。かかる高重合ポリエチレングリコールとしては、平均分子量は、40万以上であり、好ましくは100万以上である。また、500万以下であり、好ましくは350万以下が好ましい。ここで、分子量は、重量平均分子量のことを言う。このような高重合ポリエチレングリコールとしては、分子量約300万のポリエチレングリコール(アルコックスE100、明成化学工業社製)、分子量約500万のポリエチレングリコール(アルコックスE240、明成化学工業社製)、分子量約40万のポリエチレングリコール(アルコックスE30G、明成化学工業社製)等を使用することができる。最も好ましいものは分子量約300万のポリエチレングリコールである。
【0050】
これらのポリエチレングリコールを1種で又は2種以上組み合わせて用いることができる。含有量は、本発明の洗浄剤組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.075質量%以上がより好ましく、0.25質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、低温での低粘度及び泡量向上の点で好ましい。
【0051】
<その他の成分>
また、本発明の洗浄剤組成物には、前記成分のほか、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、前記成分以外のアニオン性、ノニオン性ポリマー等の粘度調整剤;成分(D)以外のポリオール類等の保湿成分;アマイド等の増泡剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホスホン酸塩類等のキレート剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;ビタミンやその前駆体等の有効成分;レシチン、ゼラチン等の動植物抽出物又はその誘導体;植物エキス;ナイロンやポリエチレン等のポリマー微粉体;グリチルリチン酸ジカリウム等の消炎剤;トリクロサン、トリクロロカルバン、オクトピロックス、ジンクピリチオン等の殺菌剤や抗フケ剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;その他パール化剤、白化剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、色素、香料などを、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて含有することができる。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物は、常法により製造することができる。配合手順は特に制限されるものではないが、例えば前記成分(A)〜(D)を混合し、各成分の融点以上に加熱し、撹拌して均一にし、塩基と成分(E)水を加え中和した後、冷却する方法により製造することができる。成分(A)〜(D)、及び成分(E)水とともに混合することによって、ラメラ構造が形成され、半透明のゲル状のものになる。
【0053】
本発明の洗浄剤組成物の低温(−5℃)粘度は、500Pa・s以下が好ましく、300Pa・s以下がより好ましく、さらに、良好な流動性を有するという観点から100Pa・s以下がより好ましい。また、1Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましい。低温粘度がこの範囲であれば、この洗浄剤組成物はそのまま容器から排出するのが容易になるため、寒い季節にも使いやすいものである。
【0054】
また、本発明の洗浄剤組成物の室温(30℃)粘度は、100Pa・s以下が好ましく、さらに、泡立てるときの伸びのよさの観点から50Pa・s以下がより好ましい。また、1Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましい。30℃粘度がこの範囲であれば、この洗浄剤組成物は適度な粘度を有し、手に取りやすく、手にとっても手から流れ落ちにくく、泡立てるときに伸ばしやすい。
【0055】
このようにして得られる本発明の洗浄剤組成物は、全身洗浄料、洗顔料、ハンドソープ等の皮膚洗浄剤、シャンプー、食器用洗剤、衣料用洗剤等にすることができるが、これらの中でも特に、低温での低粘度及び流動性を維持することができるため、ポンプ付き容器などに充填した、寒い季節でも使用可能な洗浄剤組成物などとして好適である。特に、本発明の洗浄剤組成物は、全身洗浄料、洗顔料、ハンドソープ等の皮膚洗浄剤として好適である。
【0056】
また、本発明の洗浄剤組成物は、皮膚洗浄剤として使う場合、身体に適用する身体の洗浄方法に関するものである。具体的には、本発明の洗浄剤組成物は、容器から吐出させ手に取り、水で希釈し、よく泡立てた後、皮膚に塗布し、よくなじませた後、水ですすぎ流すことにより使用される。
【0057】
また、本発明の洗浄剤組成物は、身体の洗浄への使用に関するものである。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0058】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する洗浄剤組成物であって、
(A)炭素数12〜22の脂肪酸又はその塩、
(B)成分(A)を除く、親水基にカルボン酸又はその塩を有するアニオン性界面活性剤、
(C)両性界面活性剤、
(D)IOB値が0.8〜4の多価アルコール、又は、IOB値が0.8〜4の多価アルコールと炭素数3以下のモノアルコールとの混合物、
(E)水;
酸としての換算質量で、成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が35質量%以上60質量%以下であり、
成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が0.06以上0.65以下であり、
成分(C)の含有量が1.5質量%以上15質量%以下であり、
成分(D)の含有量が6質量%以上18質量%以下である、
洗浄剤組成物。
【0059】
<2>成分(A)と成分(B)の含有量の合計(A)+(B)が、好ましくは、40質量%以上55質量%以下である、前記<1>に記載の洗浄剤組成物。
<3>成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が、好ましくは、0.1以上0.65以下であって、0.27以上0.45以下がより好ましい、前記<1>又は<2>に記載の洗浄剤組成物。
<4>成分(A)と成分(B)と成分(D)の含有量の合計(A)+(B)+(D)が、好ましくは、45質量%以上70質量%以下である、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<5>成分(A)と成分(B)の含有量の合計と、成分(E)の含有量との質量比〔(A)+(B)〕/(E)が、好ましくは、1.0以上4.5以下である、前記<1>〜<4>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
【0060】
<6>−5℃での粘度が、好ましくは、1Pa・s以上500Pa・s以下であって、10Pa・s以上300Pa・s以下がより好ましく、10Pa・s以上100Pa・s以下がさらに好ましい、前記<1>〜<5>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<7>30℃での粘度が、好ましくは、1Pa・s以上100Pa・s以下であって、10Pa・s以上50Pa・s以下がより好ましい、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<8>成分(A)炭素数12〜22の脂肪酸又はその塩が、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のものである、前記<1>〜<7>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<9>成分(B)アニオン性界面活性剤が、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩、N−アシルアミノ酸又はその塩であって、一般式(1)
【0062】
(式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す。)
で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩がより好ましい、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
【0063】
<10>成分(C)両性界面活性剤が、好ましくは、アルキルベタイン、アミドプロピルベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アルキルジメチルアミンオキシドであって、アミドプロピルベタイン、スルホベタインがより好ましく、スルホベタインがさらに好ましい、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<11>成分(D)におけるIOB値が0.8〜4の多価アルコールが、好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコールであって、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコールがより好ましい、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<12>前記成分(D)における炭素数3以下のモノアルコールが、好ましくは、エタノールである、前記<1>〜<11>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
【0064】
<13>更に、ノニオン性界面活性剤を含有し、含有量が、好ましくは、0.1質量%以上10質量%以下であって、1質量%以上4質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<12>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<14>ノニオン性界面活性剤が、好ましくは、分岐アルキルグリセリルエーテル、分岐アルキルポリオキシエチレンエーテルから選ばれる1種又は2種以上のものであって、炭素数8〜22の分岐アルキルグリセリルエーテルがより好ましい、前記<13>に記載の洗浄剤組成物。
<15>ノニオン性界面活性剤が、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエーテル、イソデシルグリセリルエーテル及びこれらの混合物から選ばれる1種又は2種以上のものである、前記<13>又は<14>に記載の洗浄剤組成物。
<16>更に、カチオンポリマー又は両性ポリマーを含有し、含有量が、好ましくは、0.1質量%以上4質量%以下であって、0.4質量%以上2質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
【0065】
<17>更に、平均分子量40万以上500万以下の高重合ポリエチレングリコールを含有し、含有量が、好ましくは、0.01質量%以上0.25質量%以下であって、0.075質量%以上0.15質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<18>成分(C)の含有量が、好ましくは、3質量%以上10質量%以下であって、成分(D)の含有量が、好ましくは、8質量%以上16質量%以下であって、10質量%以上14質量%以下がより好ましい、前記<1>〜<17>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<19>成分(B)の含有量と、成分(A)と成分(B)の含有量の合計との質量比(B)/〔(A)+(B)〕が、好ましくは、0.1以上0.45以下であって、0.27以上0.45以下がより好ましい、前記<1>〜<18>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
【0066】
<20>成分(A)と成分(B)と成分(D)の含有量の合計(A)+(B)+(D)が、好ましくは、50質量%以上65質量%以下である、前記<1>〜<19>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<21>成分(A)と成分(B)の含有量の合計と、成分(E)の含有量との質量比〔(A)+(B)〕/(E)が、好ましくは、1.6以上3.5以下である、前記<1>〜<20>の何れか1に記載の洗浄剤組成物。
<22>前記<1>〜<21>の何れか1に記載の洗浄剤組成物を身体に適用する身体の洗浄方法。
<23>前記<1>〜<21>の何れか1に記載の洗浄剤組成物の身体の洗浄への使用。
【実施例】
【0067】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0068】
実施例1〜46、比較例1〜15
表1〜表11に示す組成の洗浄剤組成物を製造し、各温度での粘度、使用時の泡立ち、泡量について評価した。なお表中の記載は、いずれも有効成分量で表記した。
表1〜表11に示す各成分(成分(A)、(B)、(C)、(D))を80℃に加温し、溶解して均一にする。塩基と成分(E)水を加え中和したのち冷却し、必要に応じてエタノール、ポリマー、香料などの添加剤を添加し、実施例1〜46、比較例1〜15の洗浄剤組成物を得た。
得られた各洗浄剤組成物を用い、その室温粘度(30℃)、低温粘度(−5℃)、泡立ち、泡量について評価を行った。結果を表1〜表11に示す。
【0069】
(1)<粘度測定>
粘度の測定条件は次の通りである。
粘度計:VISCOMETER TVB−10(TOKI SANGYO CO.,LTD製)
ローターNo.:粘度に応じてT−B〜T−Fから選ばれるもの
T−B 20〜160Pa・s
T−C 160〜400Pa・s
T−D 400〜800Pa・s
T−E 800〜2000Pa・s
T−F 2000〜4000Pa・s
ローター回転数:5回転/分
測定時間:1分間
温度30℃:30℃±1℃の恒温槽にサンプルの入ったガラス瓶を1時間以上いれた後、取り出しすぐに測定した。
温度−5℃:−5℃±1℃の恒温槽にサンプルの入ったガラス瓶を12時間以上いれた後、取り出しすぐに測定した。
また、20Pa・s以下の粘度のサンプルについては、Brookfield社B型粘度計を用い、ローターS64、回転数30回転/分で回転し、回転開始から1分後の粘度を洗浄剤組成物の粘度とした。
【0070】
(2)<泡立ち評価>
5名の専門パネリストが、各洗浄剤組成物を0.15gを予め濡らした手にとり、両方の手のひらを10秒間擦り合わせる泡立て方で、下記の(I)4段階評価基準で泡立ちを評価した。評点の合計より、(II)3段階判定基準にしたがい、泡立ちを判定した。
(I)4段階評価基準:
3:泡が多い。
2:泡がやや多い。
1:泡が少ない。
0:泡がほとんどない。
(II)3段階判定基準:
A:評点合計10以上。
B:評点合計5以上10未満。
C:評点合計5未満。
【0071】
(3)泡もち評価:
5名の専門パネリストが、各洗浄剤組成物0.15gを手にとり、水を加えて泡立てて、顔を洗浄して、下記の4段階評価基準で泡量を評価した。実施例27を基準とし、下記の(I)4段階評価基準で泡量を評価した。評点の合計より、(II)3段階判定基準にしたがい、泡量を判定した。
(I)4段階評価基準:
基準:実施例27
3:泡量が基準より多い。
2:泡量が基準よりやや多い。
1:泡量が基準と同じ(実施例27と同じレベル)。
0:泡量が基準より少ない。
(II)3段階判定基準:
A:評点合計12〜15。
B:評点合計8〜11。
C:評点合計0〜7。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】
(注)表1〜11中の成分は以下のものである。
*1:PALMAC 98−12(ACIDCHEM社製)
*2:PALMAC 98−14(ACIDCHEM社製)
*3:AKYPO RLM 45CA(花王社製)
*4:Penetol GE−EH(花王社製)
*5:アンヒトール20 HD(花王社製)
*6:L−Arginine(味の素社製)
*7:アミソフト(味の素社製)
*8:Emulsogen DTC acid(Clariant社製)
*9:Estamit ME502(花王社製)
*10:Hostapon STCI(Clariant社製)
*11:Hostapur SAS93(Clariant社製)
*12:Emal270S(花王社製)
*13:アンヒトール20 AB(花王社製)
*14:Carbopol ETD2020(Lubrizol社製)
*15:Merquat 295(NOVEON社製)
*16:Merquat 550(NOVEON社製)
*17:アルコックスE−100(明成化学工業社製)
*18:PALMAC 98−16(ACIDCHEM社製)
*19:PALMAC 98−18(ACIDCHEM社製)
*20:AG−10LK(花王社製)
*21:アンヒトール55 AB(花王社製)
*22:アンヒトール20Y―B(花王社製)
*23:アンヒトール20N(花王社製)
*24:アンヒトール10N(花王社製)
*25:アンヒトール08N(花王社製)
*26:アンヒトール20BS(花王社製)
*27:アキポ LM−26C(Kao Chemicals GmbH社製)
【0084】
上記表1〜11からわかるように、実施例1〜46で得られた洗浄剤組成物はいずれも、低温での粘度の上昇が抑制され、更には泡立ち性にも優れたことが認められた。また、偏光顕微鏡によりラメラ構造を有していることが確認された。
【0085】
一方、表1〜11からわかるように、比較例1〜15では、成分(A)、(B)の合計含有量、成分(B)と成分(A)、(B)の合計含有量との質量比、成分(C)の含有量、成分(D)の含有量が、本発明の範囲以外である場合、適度な粘度を有するラメラ構造を形成できないこと、又は、低温で著しく増粘することも認められた。