特許第6240103号(P6240103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240103成形麺スナック菓子の製造方法、成形麺スナック菓子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240103
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】成形麺スナック菓子の製造方法、成形麺スナック菓子
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20171120BHJP
   A23L 7/109 20160101ALI20171120BHJP
【FI】
   A23G3/00 108
   A23L7/109 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-20908(P2015-20908)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-164419(P2015-164419A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2016年11月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-20551(P2014-20551)
(32)【優先日】2014年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314016801
【氏名又は名称】株式会社おやつカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】河村 朗子
(72)【発明者】
【氏名】本多 健吉
(72)【発明者】
【氏名】山田 英幸
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−065511(JP,A)
【文献】 特開2013−066462(JP,A)
【文献】 特開昭54−135247(JP,A)
【文献】 特開昭54−107537(JP,A)
【文献】 特開昭54−070447(JP,A)
【文献】 特開2013−198420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/00−3/56
A23L 7/109
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α化されていない澱粉およびα化澱粉で構成される主材と水を所定時間混合することで第一の生地を得る工程と、
前記第一の生地を圧延して第一の麺帯を得る圧延工程と、
前記第一の麺帯を切断して第一の麺線を得る切断工程と、
前記第一の麺線を蒸気中で所定時間加熱する蒸し工程と、
前記蒸し工程後の第一の麺線を油で揚げるフライ工程と、
を含む方法で澱粉麺の細片を製造し、
小麦粉と水を含む混合物を所定時間捏ねることで第二の生地を得る工程と、
前記第二の生地を圧延して第二の麺帯を得る圧延工程と、
前記第二麺帯を切断して第二麺線を得る切断工程と、
前記第二麺線を蒸気中で所定時間加熱する蒸し工程と、
前記蒸し工程後の第二麺線を油で揚げるフライ工程と、
を含む方法で小麦粉麺の細片を製造し、
前記各方法で製造された前記澱粉麺の細片および前記小麦粉麺の細片と、デキストロース当量が10以上18以下のマルトデキストリンと酸化澱粉を、質量比でマルトデキストリン:酸化澱粉=50〜99:50〜1の割合で含有する結着剤溶液と、を混合して麺片混合物を得る混合工程と、
前記麺片混合物を所定形状の成形体に加工にする成形工程と、
前記成形体を乾燥する乾燥工程と、
を行うことを特徴とする成形麺スナック菓子の製造方法。
【請求項2】
前記第一の生地を得る工程で使用する主材を構成するα化されていない澱粉とα化澱粉との含有割合(質量比)は、α化されていない澱粉:α化澱粉=144:40である請求項1記載の成形麺スナック菓子の製造方法。
【請求項3】
前記麺片混合物中の前記澱粉麺の細片と前記小麦粉麺の細片との含有割合は、質量比で、澱粉麺の細片:小麦粉麺の細片=25:75である請求項1または2記載の成形麺スナック菓子の製造方法。
【請求項4】
麺の細片が結着剤で結合されて所定形状に成形された成形麺スナック菓子であって、
前記麺の細片は、澱粉麺の細片と小麦粉麺の細片とからなり、前記各細片の配合比は、質量比で、澱粉麺の細片:小麦粉麺の細片=25:75であり、前記結着剤は、デキストロース当量が10以上18以下のマルトデキストリンと酸化澱粉を、質量比でマルトデキストリン:酸化澱粉=50〜99:50〜1の割合で含有することを特徴とする成形麺スナック菓子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、麺の細片が結着剤で結合されて所定形状に成形された成形麺スナック菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
細片状の麺が結着剤で結合されて所定形状に成形された麺スナック菓子の従来品としては、(株)ほくみんから販売されている「白クマ塩味ラーメンバー」が挙げられる。「白クマ塩味ラーメンバー」では、麺の細片が全て小麦粉麺の細片であり、結着剤としてプルランが使用されている。
特許文献1には、成形スナック菓子の製造方法の従来技術に関する記載がある。具体的には、粟おこしやグラノラバーが、通常、砂糖、水飴、卵白、ゼラチン等を結着剤として製造されていることと、即席食品等に利用される成形食品は、例えば具材のフリーズドライ時に大量のデキストリンを結着材として添加混合することによって製造されていることが記載されている。
【0003】
特許文献1には、また、食感、歯ざわりを積極的に持たせた成形食品の製造方法が記載されている。その方法は、複数個の可食素材片に結着剤を加えて混合する混合工程と、前記各可食素材片と結着剤の混合物を成形型内に投入する投入工程と、該成形型内の混合物に所定の圧力を加えることにより該成形型内で成形体を形成する加圧工程と、前記成形体を前記成形型内から離型させる離型工程を有する。
【0004】
この方法で使用する可食素材片の例として、粒状、細片状に形成した即席麺屑が記載され、結着剤の例としてα化澱粉粉末を使用することが記載されている。結着剤の具体例としては「α化穀類粉末に対して85vol %のエチルアルコール等の含水アルコールを添加した含水アルコール含浸α化穀類粉末結着剤」が好適であって、これを用いることで「α化穀類粉末の急速な餅化現象を抑制でき良好な結着効果が得られる」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2548591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来品には、食感が硬すぎて食べにくいという問題点がある。
この発明の課題は、細片状の麺が結着剤で結合されて所定形状に成形された成形麺スナック菓子として、従来品と比較して食べやすいものを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の一態様である成形麺スナック菓子の製造方法は、下記の構成(1) 〜(5) を有することを特徴とする。
(1) α化されていない澱粉およびα化澱粉で構成される主材と水を所定時間混合することで第一の生地を得る工程と、前記第一の生地を圧延して第一の麺帯を得る圧延工程と、前記第一の麺帯を切断して第一の麺線を得る切断工程と、前記第一の麺線を蒸気中で所定時間加熱する蒸し工程と、前記蒸し工程後の第一の麺線を油で揚げるフライ工程と、を含む方法で澱粉麺の細片を製造する。
【0008】
(2) 小麦粉と水を含む混合物を所定時間捏ねることで第二の生地を得る工程と、前記第二の生地を圧延して第二の麺帯を得る圧延工程と、前記第二麺帯を切断して第二麺線を得る切断工程と、前記第二麺線を蒸気中で所定時間加熱する蒸し工程と、前記蒸し工程後の第二麺線を油で揚げるフライ工程と、を含む方法で小麦粉麺の細片を製造する。
(3) 前記各方法で製造された前記澱粉麺の細片および前記小麦粉麺の細片と、デキストロース当量が10以上18以下のマルトデキストリンと酸化澱粉を、質量比でマルトデキストリン:酸化澱粉=50〜99:50〜1の割合で含有する結着剤溶液と、を混合して麺片混合物を得る混合工程を行う。
【0009】
(4) 前記麺片混合物を所定形状(例えば、直方体状、立方体状、円筒状、三角柱状など)の成形体に加工にする成形工程を行う。
(5) 前記成形体を乾燥する乾燥工程を行う。
前記一態様の成形麺スナック菓子の製造方法は、下記の構成(6) および(7) の少なくともいずれかを有することができる。
(6) 前記第一の生地を得る工程で使用する主材を構成するα化されていない澱粉とα化澱粉との含有割合は、質量比で、α化されていない澱粉:α化澱粉=144:40である。
(7) 前記麺片混合物中の前記澱粉麺の細片と前記小麦粉麺の細片との含有割合は、質量比で、澱粉麺の細片:小麦粉麺の細片=25:75である。
【0010】
この発明の別の態様である成形麺スナック菓子は、麺の細片が結着剤で結合されて所定形状に成形された成形麺スナック菓子であって、前記麺の細片は、澱粉麺の細片と小麦粉麺の細片とからなり、前記各細片の配合比は、質量比で、澱粉麺の細片:小麦粉麺の細片=25:75であり、前記結着剤は、デキストロース当量が10以上18以下のマルトデキストリンと酸化澱粉を、質量比でマルトデキストリン:酸化澱粉=50〜99:50〜1の割合で含有することを特徴とする。
【0011】
前記一態様の成形麺スナック菓子の製造方法によれば、従来品より柔らかく、噛んだ時に口の中で簡単に麺がほぐれる成形麺スナック菓子を得ることができる。
前記別の態様である成形麺スナック菓子は、従来品より柔らかく、噛んだ時に口の中で簡単に麺がほぐれるものである。
【0012】
デキストロース当量(DE)とは、澱粉の加水分解物や糖が、同量のデキストロース(グルコース、ブドウ糖)の何%に相当する還元力を持っているかを示す値である。デキストリン(ここでは「澱粉の加水分解物」と定義する)のDEは、加水分解の進み具合を示す指標となり、数値が大きいほど分解が進んでいて低分子の糖質が多く含まれていることを意味する。澱粉のデキストロース当量は0であり、デキストロースのデキストロース当量は100である。
マルトデキストリンは、澱粉の加水分解により生産された、デキストロースのモノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマーからなる混合物であって、各成分の割合は加水分解の進み具合に応じて様々である。なお、マルトデキストリンは「澱粉の加水分解物であってDEが10を超え20未満であるもの」と定義されることもある。
【0013】
前記一態様の方法では、DEが10以上18以下のマルトデキストリンを酸化澱粉に対して上述の割合で含有させた結着剤溶液を用いることで、成形工程での成形性と成形麺スナック菓子とした時の良好な食感とが両立できる。DEが18を超えるデキストリンを結着剤溶液に含有させた場合には、成形麺スナック菓子とした時の食感が不良になる(がりがりとした硬過ぎる食感となる)。結着剤溶液に含有させるマルトデキストリンのDEが10未満であると、成形工程での成形性が不良になり易い(採用する成形機械によっては成形できない場合がある)。
【0014】
マルトデキストリン:酸化澱粉=50〜99:50〜1とした理由は、マルトデキストリンが酸化澱粉よりも少ないと上述の作用が不十分となるからである。
なお、前記一態様の方法では、DEが10以上18以下のマルトデキストリンと酸化澱粉が上述の比率で含有している結着剤溶液を用いるが、必要に応じて、結着作用を有する他の成分を加えた結着剤溶液を用いてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明の方法によれば、細片状の麺が結着剤で結合されて所定形状に成形された成形麺スナック菓子であって、従来品と比較して食べやすいものが得られる。
この発明の成形麺スナック菓子は、従来品と比較して食べやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明はこの実施形態に限定されない。
この実施形態の成形麺スナック菓子の製造方法を以下に示す。
[澱粉麺の細片の製造]
先ず、容器内に、水84kgと、α化されていない澱粉144kgと、α化澱粉40kgと、粉末油脂10kgと、乾燥卵白6kgとを入れて、15分程度混合することで生地(第一の生地)を得た。この生地を圧延ロールにかけて、厚さが1.1〜1.2mm程度の麺帯(第一の麺帯)とした。次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約1.5mm×厚さ約1.1mmの麺線(第一の麺線)を得た。
次に、この麺線を92〜96℃で2分間蒸した後、フライ装置の油浴に入れ、185℃で1分30秒揚げた。このフライ工程後の麺線を、切断機で5〜10mm程度の長さに切断することで澱粉麺の細片1を得た。
【0018】
[小麦粉麺の細片の製造]
先ず、攪拌容器内に小麦粉を200kg入れ、水54リットルを注ぎ入れながら攪拌し、15分程度捏ねることで生地(第二の生地)を得た。この生地を圧延ロールにかけて、厚さが1.1〜1.2mm程度の麺帯(第二の麺帯)とした。次に、この麺帯を切刃を用いて切断して、幅約1.15mm×厚さ約1.6mmの麺線(第二の麺線)を得た。
次に、この麺線を約100℃で2分間蒸した後、フライ装置の油浴に入れ、180℃で1分30秒揚げた。このフライ工程後の麺線を、切断機で5〜10mm程度の長さに切断することで小麦粉麺の細片2を得た。
【0019】
[成形体の製造]
図1に示すように、結着剤と水を攪拌容器11に入れて加熱することで結着剤溶液3を作製した後、攪拌容器11内に、上述の方法で得られた澱粉麺の細片1および小麦粉麺の細片2と、具材4を入れて攪拌した。結着剤としては、DEが15のマルトデキストリンと酸化澱粉(BM型粘度計による20%溶液の30℃での粘度が、60rpmの条件で、17.5±2.5mPa・sであるもの)を、マルトデキストリン:酸化澱粉=12:7の質量比で入れた。
澱粉麺の細片1と小麦粉麺の細片2は、質量比で澱粉麺の細片:小麦粉麺の細片=25:75となる割合で入れた。また、澱粉麺の細片1と小麦粉麺の細片2の合計質量に対する結着剤の比率は、質量比で細片合計:マルトデキストリン:酸化澱粉=100:7.3:4.2である。
【0020】
この混合工程の後、得られた麺片混合物を用いて、型抜きまたは圧延後切断を行って直方体状の成形体に加工した。
型抜きの場合は、多数の長方形の穴を有する凹型と、各穴に入る長方形の凸部を有する押圧部材とからなる型を使用した。凹型の各穴内に混合物を入れて、押圧部材により押圧することにより、25mm×100mm×12〜14mmの直方体状の成形体5を得た。
圧延後切断の場合は、圧延ローラで混合物を所定厚さの帯状にした後、幅方向での切断を行い、次に、長さ方向での切断を行うことにより、25mm×100mm×12〜14mmの直方体状の成形体5を得た。
【0021】
次に、得られた成形体5を100℃で60分間乾燥することで、成形麺スナック菓子6を得た。
得られた成形麺スナック6は、従来品より柔らかく、噛んだ時に口の中で簡単に麺がほぐれた。つまり、得られた成形麺スナック6は、従来品と比較して食べやすいものであった。
【0022】
なお、着味は、麺線の蒸し工程とフライ工程との間に行ってもよいし、混合工程で行ってもよい。着味材としては、調味料(砂糖、しょうゆ、塩など)、シーズニング(所定の味となるように調味料や香料などが予め調合されている粉末)、および調味液(所定の味となるように調味料などが予め調合されている液体)が挙げられる。
また、混合物を直方体状の成形体に加工する方法としては、周面に長方形の凹部を多数有する一対のロールを、両ロールの凹部同士が対向するように上下に配置し、混合物をこれらのロール間に通す方法も挙げられる。
【符号の説明】
【0023】
1 澱粉麺
2 小麦粉麺
3 結着剤溶液
4 具材
5 直方体状の成形体
6 成形麺スナック菓子
11 攪拌容器
図1