特許第6240117号(P6240117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240117文字の表示幅の自動変更機能を有する数値制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240117
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】文字の表示幅の自動変更機能を有する数値制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G05B19/409 C
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-76424(P2015-76424)
(22)【出願日】2015年4月3日
(65)【公開番号】特開2016-197306(P2016-197306A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩村 大和
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−099813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416;19/42−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の制御処理において用いられる値である制御関連情報を表示する機能を備えた数値制御装置において、
前記数値制御装置に係る設定情報を記憶する設定情報記憶領域と、
前記機械に係る情報を取得する機械情報取得部と、
前記制御関連情報と、前記設定情報記憶領域に記憶されている前記数値制御装置に係る設定情報、および前記機械情報取得部が取得した機械に係る情報の内、前記制御関連情報が取り得る値の範囲に影響する情報を関連付けて記憶する桁数決定要因定義テーブルと、
前記制御関連情報毎に、前記桁数決定要因定義テーブルを参照して前記制御関連情報が取り得る値の範囲に影響する情報を特定し、特定した情報に基づいて前記制御関連情報の最大表示桁数を推定する表示桁数推定部と、
前記表示桁数推定部が推定したそれぞれの要素の最大表示桁数に基づいて表示レイアウトを設定する表示レイアウト設定部と、
前記表示レイアウト設定部が設定した前記表示レイアウトに基づいて前記要素の表示を行う表示部と、
を備えたことを特徴とする数値制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置に関し、特に情報を適切に表示しつつ、一度に確認できる情報を増やすことが可能な数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置における制御処理において用いられる工具オフセット値や座標値などの各要素の値は予め取りうる値の範囲が定められており、これら各要素を数値制御装置の表示画面に表示する際には、それぞれの値がその範囲内において正しく表示されるような領域を確保したレイアウトで画面を構成して表示する(例えば、特許文献1の図14など)。
【0003】
このような表示方法においては、例えば図5に示すように、工具径オフセットや工具長オフセットの設定可能な値の範囲が、−9999999.999〜9999999.999に定められている場合、工具径オフセットや工具長オフセットの値が表示される際には最大で12桁となるため、工具長オフセットの表示領域や工具径オフセットの表示領域は予め12桁の表示幅が確保され、その領域に工具径オフセットの値や工具長オフセットの値が表示される。
【0004】
また、従来技術では、制御対象となる機械が想定外の位置に移動することを防ぐための移動可能な範囲を設定する機能や、オフセット値における誤入力を防ぐための入力可能範囲の指定する機能により、上記した各要素の値が取り得る範囲よりも狭い範囲に入力可能な範囲を狭めることができる数値制御装置が開示されている(例えば、特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−044348号公報
【特許文献2】特開2009−080621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した各要素が取り得る値の範囲は、当該値が理論的に取り得る値であって、実際の機械の制御において取る値の範囲とは乖離している場合が多い。そのため、各要素が取り得る値の範囲に基づいて表示欄の幅を確保したとしても、図5の工具径の表示欄のように実際には使われない無駄な空白が確保されることとなり、その分、画面に表示できる情報の量が少なくなってしまうという課題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、機械の設定などに基づいて推定した幅でデータを表示することで、情報を適切に表示しつつ、一度に確認できる情報を増やすことが可能な数値制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、機械の制御処理において用いられる値である制御関連情報を表示する機能を備えた数値制御装置において、前記数値制御装置に係る設定情報を記憶する設定情報記憶領域と、前記機械に係る情報を取得する機械情報取得部と、前記制御関連情報と、前記設定情報記憶領域に記憶されている前記数値制御装置に係る設定情報、および前記機械情報取得部が取得した機械に係る情報の内、前記制御関連情報が取り得る値の範囲に影響する情報を関連付けて記憶する桁数決定要因定義テーブルと、前記制御関連情報毎に、前記桁数決定要因定義テーブルを参照して前記制御関連情報が取り得る値の範囲に影響する情報を特定し、特定した情報に基づいて前記制御関連情報の最大表示桁数を推定する表示桁数推定部と、前記表示桁数推定部が推定したそれぞれの要素の最大表示桁数に基づいて表示レイアウトを設定する表示レイアウト設定部と、前記表示レイアウト設定部が設定した前記表示レイアウトに基づいて前記要素の表示を行う表示部と、を備えたことを特徴とする数値制御装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、数値制御装置が取り扱う各要素の表示幅を、該要素が取り得ると推定される値の幅に抑えることができるようになるため、数値制御装置の表示画面上に一度に多くの情報を表示できるようになり、オペレータが一度に確認できる情報量が増加する。
また、入力可能欄に対して本発明を適用することで、入力値が設定されている範囲内の値であるかを桁数の範囲で事前にチェックできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明における制御処理において用いられる各要素の表示例である。
図2】本発明の実施形態における機能ブロック図を示す図である。
図3】本発明の実施形態における桁数決定要因定義テーブルの例である。
図4】本発明の他の実施形態を説明する図である。
図5】従来技術における制御処理において用いられる各要素の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明では、数値制御装置が取得可能な情報に基づいて、数値制御装置が制御処理に用いる取り扱う工具長オフセット、工具径オフセット、座標値などの各要素(以下、制御関連情報という)が実際に取り得る値の範囲を推定し、推定した範囲に基づいて表示レイアウトの調整などを行う機能を提供する。
【0013】
例えば、座標値を表示する画面の表示レイアウトを調整する場合、数値制御装置に接続されている工作機械のOT(機械の移動範囲)の情報や、最小設定単位(小数点以下の桁数情報)、オフセット値の入力範囲などの情報に基づいて、座標値の取り得る値の範囲を推定し、更に、対象となる軸が回転軸である場合には、取り得る範囲が0〜360の範囲に限定されることも視野に入れて推定処理を行う。そして、該推定した範囲に基づいて座標値を表示する表示欄の表示幅を決定する。
【0014】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態における数値制御装置の機能ブロック図である。本実施形態の数値制御装置1は、表示部10、表示レイアウト設定部11、表示桁数推定部12、機械情報取得部13、設定情報記憶領域20、および桁数決定要因定義テーブル21を備える。
【0015】
表示部10は、オペレータの操作などに基づいて数値制御装置の状態や加工状況などを画面に表示する。表示部10は、これら状態や状況を示す各種情報を画面に表示する際に、表示レイアウト設定部11が設定した表示レイアウトに基づいて表示対象となる各制御関連情報の表示を行う。
【0016】
表示レイアウト設定部11は、表示部10が画面に書く制御関連情報を表示する際の表示レイアウトを設定する。表示レイアウト設定部11は、予め実装されているレイアウト処理ルーチン等に基づいて表示レイアウトを決定するが、その際に各制御関連情報の表示に用いる表示領域を、該制御関連情報の値が取り得る最大表示桁数に基づいて決定する。各制御関連情報の値が取り合える最大表示桁数は、表示桁数推定部12の推定処理に基づいて決定される。
【0017】
表示桁数推定部12は、数値制御装置1の各種設定情報を記憶している設定情報記憶領域20、機械情報取得部13が取得した機械の設定情報、および、各制御関連情報の桁数の決定に係る要因を定義する桁数決定要因定義テーブル21に定義されている内容とに基づいて、各制御関連情報の桁数を推定し、結果を表示レイアウト設定部11に対して出力する。
【0018】
設定情報記憶領域20には、数値制御装置1の設定情報が定義されている。設定情報には、各制御関連情報について数値制御装置1上での設定可能範囲や最小設定単位などが含まれている。
【0019】
機械情報取得部13は、制御対象となる機械に係る情報を取得して表示桁数推定部12に出力する。制御対象となる機械に係る情報は、オペレータにより数値制御装置1のメモリ領域に予め設定されていた値から取得してもよいし、制御対象となる機械からインタフェースを介して取得するようにしてもよい。機械に係る情報には、当該機械における各軸の移動範囲(座標値の範囲)や最小設定単位(小数点以下の桁数情報)、オフセット値の入力範囲、各軸の種類(直線軸か、回転軸か)などといった情報が含まれる。
【0020】
桁数決定要因定義テーブル21には、それぞれの制御関連情報について、当該制御関連情報の値の範囲に影響を与える情報を関連付けて記憶されている。図3は、桁数決定要因定義テーブルの例を示している。図3の例では、例えば工具長オフセットの値の取り得る範囲には、数値制御装置の設定情報である「工具長オフセットの数値制御装置上での設定可能範囲」、機械に係る情報である「機械において設定可能な工具長オフセットの範囲の最大値」、「機械の最小設定単位」などが関連付けられて定義されている。
【0021】
表示桁数推定部12は、表示レイアウト設定部11から特定の制御関連情報の値が取り得る最大表示桁数に関する問い合わせを受けると、まずに桁数決定要因定義テーブル21を参照し、当該制御関連情報の値の範囲に影響を与える情報を特定する。そして、特定した情報を、設定情報記憶領域20、および機械情報取得部13から取得し、取得した情報に基づいて当該制御関連情報の値が取り得る最大表示桁数を推定する。推定方法の一例としては、設定情報記憶領域20、および機械情報取得部13から取得した情報から、最も桁数に対して制約を与える情報を抽出して行う。
【0022】
例えば、表示レイアウト設定部11から制御関連情報であるX座標の最大表示桁数について問い合わせを受けた場合、桁数決定要因定義テーブルを参照し、X座標の値の取り得る範囲には数値制御装置の設定情報である「X座標の数値制御装置上での設定可能範囲」、機械に係る情報である「機械のX座標移動範囲の情報」、「機械の最小設定単位」などが影響することが特定される。この内、「X座標の数値制御装置上での設定可能範囲」については、設定情報記憶領域20を参照することで、数値制御装置上ではX座標の座標値は、例えば−9999999.999〜9999999.999の範囲を取り得ることがわかる。また、「機械のX座標移動範囲の情報」、「機械の最小設定単位」については、機械情報取得部13から取得された情報を参照することで、機械上ではX座標の移動範囲は、−2000〜2000であること、X座標の最小設定単位は小数点以下3桁であることがわかる。表示桁数推定部12は、X座標の値が取り得る範囲が「機械のX座標移動範囲の情報」により小数点以上は最大でも符号1桁+数値4桁に制限され、「機械の最小設定単位」により小数点以下は3桁に制限されることから、X座標が取り得る最大の桁数は当該機械を制御している限り最大で9桁に制限されることを推定し、結果を表示レイアウト設定部11に対して出力する。
【0023】
このように、本実施形態の数値制御装置1では、表示桁数推定部12が推定した各制御関連情報が取り得る最大表示桁数に基づいて、表示レイアウト設定部11が画面の表示レイアウトを決定し、決定した表示レイアウトに基づいて表示部10が各種情報の表示を行うため、従来技術と比較して画面上から無駄な空白を排除した表示を行うことができるため、より多くの情報を画面上に同時に表示することが可能となる。
【0024】
<その他の実施形態>
上記した実施形態では、表示桁数推定部12により推定された各制御関連情報の最大表示桁数を画面上の表示レイアウトの作成に用いているが、これを入力欄に応用することにより、オペレータが入力しようとしている制御関連情報の値が実際に制御処理で用いられる値の範囲内であるかを桁数の範囲で事前にチェックすることができる。このようにすることで、数値制御装置1の設定情報や、機械に係る情報に基づいて各制御関連情報の値が取り得る範囲が自動的に推定されるため、特許文献2に開示される従来技術のように、各制御関連情報の値が取り得る範囲をわざわざ設定する手間を省くことができる。
【0025】
また、本発明を図4に示すような機械のステータスをアイコン表示で表示する場合に応用する例を示す。図4に示すようなステータスアイコンによる状態表示では、機械の運転状態や、機械と接続している周辺機器などの情報などがアイコンにより表示される。オプションやパラメータ構成によっては、それらの中のいくつかのアイコンは運転状態や接続状態によらず表示領域は確保されたまま常に非表示となる。そこで、本発明を適用することにより、機械が備えたオプション構成の情報やパラメータの情報などを取得して、表示が無駄になるステータスアイコンを判断し、そのような表示が無駄になるアイコンの表示領域を省略して他の情報を表示したり、1つ1つのアイコンを大きくしたりすることで、視認性を高めることができるようになる。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 数値制御装置
10 表示部
11 表示レイアウト設定部
12 表示桁数推定部
13 機械情報取得部
20 設定情報記憶領域
21 桁数決定要因定義テーブル
図1
図2
図3
図4
図5