(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<全体構成>
図1,
図2には、本実施形態に係る電動車両10が例示されている。
図1には、電動車両10の側面図が例示され、
図2には電動車両10の平面図が例示されている。なお、
図1では、電池パック12と前席14及び後部座席16との位置関係を明確にするために、ドアやセンターピラー等の図示を省略している。
【0016】
電動車両10は、充電インレット18、充電器20、電池パック12、パワーコントロールユニットPCU、第1の回転電機MG1、第2の回転電機MG2、内燃機関23、及び制御部ECUを備える。
図1,
図2に例示する電動車両10は、第1,第2の回転電機MG1,MG2及び内燃機関23を駆動源とするハイブリッド車両である。
【0017】
第2の回転電機MG2のみによって電動車両10を駆動させるEVモード走行時には、主に、電池パック12の高容量型電池ユニット22から第2の回転電機MG2に電力が供給される。また、高容量型電池ユニット22の最大出力[W]を超過するような出力要求が生じた際には、高容量型電池ユニット22に代わって、電池パック12の高出力型電池ユニット24から第2の回転電機MG2に電力が供給される。
【0018】
また、高容量型電池ユニット22や高出力型電池ユニット24のSOC(State Of Charge、充電率)が所定の値まで減少した際には、EVモード走行に代えて、第2の回転電機MG2と内燃機関23との協働によって電動車両10を駆動させるHVモード走行に移行する。内燃機関23の駆動力は図示しない駆動輪と第1の回転電機MG1とに分配され、第1の回転電機MG1が発電駆動される。第1の回転電機MG1の発電電力の一部は第2の回転電機MG2に分配され、第2の回転電機MG2の駆動力が駆動輪に伝達される。また、第1の回転電機MG1の発電電力の残りの一部は高容量型電池ユニット22や高出力型電池ユニット24に供給される。
【0019】
また、車両制動時には、第2の回転電機MG2による回生制動が実行される。このとき得られた回生電力は高容量型電池ユニット22や高出力型電池ユニット24に供給される。
【0020】
さらに、電動車両10は、図示しない外部電源からの充電(外部充電)が可能な、いわゆるプラグイン型の車両となっている。電動車両10には、図示しない外部電源の受電口となる充電インレット18が設けられている。
【0021】
後述するように、高容量型電池ユニット22は、高出力型電池ユニット24よりも充電インレット18からの充電電力量が多くなるように構成されている。加えて本実施形態では、相対的に(高出力型電池ユニット24と比較して)高容量型電池ユニット22が充電インレット18の近くに配置されている。このような配置にすることで、高容量型電池ユニット22と充電インレット18とを結ぶ配線を短くすることができ、外部充電時の配線抵抗による電力損失の増加を抑制できる。
【0022】
<各構成の詳細>
充電インレット18は、外部電源の受電口であって、エレクトリックビークルチャージケーブルとも呼ばれる。例えば充電インレット18はメス型のコネクタを備え、外部電源に接続された充電ケーブルのオス型コネクタと接続される。また、充電インレット18は充電配線19を介して電池パック12の高容量型電池ユニット22と接続される。なお、
図1,
図2に示す例では、充電インレット18は車両右側面後方に設けられる。
【0023】
充電器20はEVチャージャとも呼ばれ、充電インレット18と電池パック12との間に接続される。充電器20は例えば図示しない力率改善回路(PFC)及びDC/DCコンバータを備えている。外部電源である家庭用電源(例えばAC100V又は200V)から供給された交流電力は力率改善回路にて直流電力に変換される。変換後の直流電力はDC/DCコンバータにて昇圧されて電池パック12に供給される。
【0024】
電池パック12は、ケース26、高容量型電池ユニット22、高出力型電池ユニット24、第1ジャンクションブロック25、第2ジャンクションブロック27、第1の冷却ファン34及び第2の冷却ファン51を備える。
【0025】
図1に示されているように、電池パック12は電動車両10のフロアパネル30下に配置される。電動車両10の構成部材のうち比較的重量のある高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24をフロアパネル30下に配置することで、電動車両10が低重心となり、走行が安定する。
【0026】
ケース26は、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の保護部材であり、フロアパネル30下に配置される。単一のケース26に高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24を収容することで、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の脱着を一度に行うことができる。
【0027】
第1の冷却ファン34は、高容量型電池ユニット22の各電池モジュール32,32・・・に冷却空気を供給する。第1の冷却ファン34は、
図1に示すように、電動車両10の後部座席16下に配置される。上述したように、高容量型電池ユニット22は第2の回転電機MG2のみにて走行する(内燃機関23の駆動を伴わない)比較的静粛なEVモード走行時に電力を供給する。電力供給に際して高容量型電池ユニット22の温度が上昇するので、これに併せて第1の冷却ファン34が駆動される。EV走行モードのような比較的静粛な車内環境において第1の冷却ファン34を駆動させるに当たり、第1の冷却ファン34の位置を前席から離間させることで、前席の運転者等に対する、第1の冷却ファン34の駆動音等による不快感を軽減することができる。
【0028】
第2の冷却ファン51は、高出力型電池ユニット24の電池スタック50,50・・・に冷却空気を供給する。第2の冷却ファン51は、
図1に示すように、電動車両10の前席14下に配置される。上述したように、高出力型電池ユニット24は、EVモード走行時において、高容量型電池ユニット22の補助として用いられる。したがって、EVモード走行時に第2の冷却ファン51が駆動される頻度は相対的に低く、前席に配置されていたとしても運転者等の不快感には殆ど繋がらない。
【0029】
第1ジャンクションブロック25は、高容量型電池ユニット22と充電器20との接続/遮断、及び、高容量型電池ユニット22とパワーコントロールユニットPCUとの接続/遮断を行う接続部材である。
図3上段に第1ジャンクションブロック25を例示する。第1ジャンクションブロック25は、システムメインリレーSMR1及び充電リレーCHRを備える。
【0030】
システムメインリレーSMR1は、高容量型電池ユニット22とパワーコントロールユニットPCUとの接続/遮断を行う。システムメインリレーSMR1は、高圧側(プラス側)にプラス側リレーSMRB1が接続され、低圧側(マイナス側)に、マイナス側リレーSMRG1が接続される。さらに、マイナス側リレーSMRG1とは並列に、プリチャージリレーSMRP1が接続される。プリチャージリレーSMRP1はレジスタ抵抗RR1に接続される。プリチャージリレーSMRP1及びレジスタ抵抗RR1は、高容量型電池ユニット22とパワーコントロールユニットPCUを回路に繋ぐ際の突入電流を防止するために用いられる。
【0031】
充電リレーCHRは、高容量型電池ユニット22と充電器20との接続/遮断を行う。充電リレーCHRは、高圧側(プラス側)にプラス側リレーCHRBが接続され、低圧側(マイナス側)に、マイナス側リレーCHRGが接続される。
【0032】
図3下段には、第2ジャンクションブロック27が例示されている。上述したように、
図1、
図2で示した実施形態では、高出力型電池ユニット24は充電インレット18や充電器20に直接接続される配線を持たず、パワーコントロールユニットPCUに接続される配線のみ設けられている。このことから、第2ジャンクションブロック27は、パワーコントロールユニットPCUの接続に用いられるシステムメインリレーSMR2のみが備えられる。
【0033】
システムメインリレーSMR2は、第1ジャンクションブロック25のシステムメインリレーSMR1と同様に、高圧側(プラス側)にプラス側リレーSMRB2が接続され、低圧側(マイナス側)に、マイナス側リレーSMRG2が接続される。さらに、マイナス側リレーSMRG2とは並列に、プリチャージリレーSMRP2が接続される。プリチャージリレーSMRP2はレジスタ抵抗RR2に接続される。
【0034】
高容量型電池ユニット22は、複数の電池モジュール32,32・・・を備える。
図4には電池モジュール32の例が示されている。電池モジュール32は、複数の円筒電池36,36・・・とこれらを接続する正極バスバーアセンブリ46及び負極バスバーアセンブリ48を備える。
【0035】
円筒電池36は、充放電可能な二次電池であり、例えば、円筒型のケースに収められたニッケル水素電池、リチウムイオン電池等である。具体例として、円筒電池36は18650型のリチウムイオン電池である。
【0036】
複数の円筒電池36,36・・・は樹脂製のカバー40に収容され、カバー40上面に設けられた穴から各円筒電池36のプラス側の電極が突出する。突出したプラス電極に正極バスバーアセンブリ46が取り付けられる。
【0037】
正極バスバーアセンブリ46は導電体が複数分割され、さらに分割体間が絶縁されている。したがって正極バスバーアセンブリ46を円筒電池36,36・・・のプラス電極に取り付けると、いくつかのグループに分かれてプラス電極同士が並列接続される。
【0038】
円筒電池36の負極側は散熱板38の穴にそれぞれ差し込まれる。穴から突出した円筒電池36,36・・・のマイナス電極に負極バスバーアセンブリ48が取り付けられる。
【0039】
負極バスバーアセンブリ48は、正極バスバーアセンブリ46と同様に導電体が複数分割され、さらに分割体間が絶縁されている。したがって負極バスバーアセンブリ48を円筒電池36,36・・・のマイナス電極に取り付けると、いくつかのグループに分かれてマイナス電極同士が並列接続される。
【0040】
正極バスバーアセンブリ46と負極バスバーアセンブリ48により、円筒電池36,36・・・は並列接続された複数のグループに分けられる。さらに図示しない接続バスバーによりこれらのグループが直列接続される。
【0041】
高出力型電池ユニット24は、複数の電池スタック50,50・・・を備える。
図5に電池スタック50を例示する。電池スタック50は、複数の角型電池52が積層されて構成されている。また、電池スタック50は、角型電池52,52間に挿入される通風用スペーサ54、電池スタック50の両端に設けられるエンドプレート56、これらの積層体を拘束する拘束バンド58、及びバスバー60A,60Bを備える。
【0042】
角型電池52は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池から構成される。積層に当たり、正極端子と負極端子が交互に並ぶようにして、角型電池52,52・・・が積層される。バスバー60A,60Bは、角型電池52の積層方向を長手方向として角型電池52,52・・・の正極端子と負極端子を接続する。バスバー60A,60Bによって各角型電池52,52・・・は直列接続される。さらに電池スタック50,50・・・同士を直列接続させることで、複数の角型電池52,52・・・が直列接続された組電池が構成される。
【0043】
次に、高容量型電池ユニット22と高出力型電池ユニット24の特性を比較する。2つの電池ユニットのうち、高容量型電池ユニット22は相対的に高容量[Ah]であり、高出力型電池ユニット24は相対的に高出力[W]となるように、円筒電池36又は角型電池52が接続されている。
【0044】
具体的には、高容量型電池ユニット22は、高出力型電池ユニット24よりも電力容量密度よりも高くなるように構成されている。電力容量密度は、例えば、各電池ユニットの単位質量当たりの容量(単位[Wh/kg])や、各電池ユニットの単位体積当たりの容量(単位[Wh/m^3])として表すことができる。つまり、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の質量又は体積を等しくしたとき、高容量型電池ユニット22の電力容量[Wh]は、高出力型電池ユニット24の電力容量[Wh]よりも大きくなる。充電時を想定すると、SOC下限値から満充電に至るまでの電力量[Wh]は、高容量型電池ユニット22の方が高出力型電池ユニット24よりも多くなる。
【0045】
また、高容量型電池ユニット22は、高出力型電池ユニット24よりも容量密度が高くなるように構成されている。容量密度は、例えば、各電池ユニットの単位質量当たりの容量(単位[Ah/kg])や、各電池ユニットの単位体積当たりの容量(単位[Ah/m^3])として表すことができる。つまり、高容量型電池ユニット22と高出力型電池ユニット24の質量又は体積が等しいとき、高容量型電池ユニット22の容量[Ah]は、高出力型電池ユニット24の容量[Ah]よりも大きくなる。
【0046】
一方、高出力型電池ユニット24は、高容量型電池ユニット22よりも出力密度が高くなるように構成されている。出力密度は、例えば、各電池ユニットの単位質量当たりの電力(単位[W/kg])や、各電池ユニットの単位体積当たりの電力(単位[W/m^3])として表すことができる。つまり、高出力型電池ユニット24及び高容量型電池ユニット22の質量又は体積を等しくしたとき、高出力型電池ユニット24の出力[W]は、高容量型電池ユニット22の出力[W]よりも高くなる。
【0047】
また、出力密度を電池ユニットの単位面積当たりの電流値(単位[A/m^2])として表すこともできる。つまり、高容量型電池ユニット22と高出力型電池ユニット24の面積が等しいとき、高出力型電池ユニット24に流すことが可能な電流値[A]は、高容量型電池ユニット22に流すことが可能な電流値[A]よりも大きくなる。
【0048】
このような特性に基づいて、本実施形態では、高容量型電池ユニット22への外部充電による充電電力量を、高出力型電池ユニット24への外部充電による充電電力量よりも相対的に多くなるようにしている。例えば、高容量型電池ユニット22を主に外部充電によって充電させ、高出力型電池ユニット24については外部充電の対象とはせずに、第1及び第2の回転電機MG1,MG2の電力(回生電力または発電電力)のみによって充電させる(外部充電電力量=0)。相対的に容量(充電量)の大きい高容量型電池ユニット22の充電を外部充電により行うことで、回転電機MG1,MG2の充電負担が軽減される。
【0049】
また、本実施形態では、
図2に示すように、高容量型電池ユニット22を高出力型電池ユニット24よりも充電インレット18の近くに配置させている。このようにすることで、高容量型電池ユニット22と充電インレット18とを結ぶ配線長(配索長さ)を短くすることができ、外部充電時の配線抵抗に起因する電力損失の増加を抑制できる。
【0050】
加えて、本実施形態では、高出力型電池ユニット24を、高容量型電池ユニット22よりも、充電源である第1、第2の回転電機MG1,MG2の近くに配置させている。このようにすることで、高出力型電池ユニット24と第1、第2の回転電機MG1,MG2とを結ぶ配線長(配索長さ)を短くすることができ、充電時の配線抵抗に起因する電力損失の増加を抑制できる。
【0051】
上記のような配置の具体例として、本実施形態では、車両前方から後方に向かって、第1,第2の回転電機MG1,MG2、高出力型電池ユニット24、高容量型電池ユニット22、充電インレット18の順に各構成を配列させている。
【0052】
図2に戻り、パワーコントロールユニットPCUは、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24と第1及び第2の回転電機MG1,MG2との間に設けられて電力の昇降圧や直交変換等を行う。パワーコントロールユニットPCUは、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の直流電力を昇圧させるDC/DCコンバータと、昇圧後の直流電力を三相交流電力に変換するインバータを備える。また、第1及び第2の回転電機MG1,MG2にて回生または発電された三相交流電力は、インバータによって直流電力となり、またDC/DCコンバータによって降圧されて高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24に供給される。
【0053】
第1の回転電機MG1は、内燃機関23によって駆動されて発電する。発電電力は第2の回転電機MG2や高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24に供給される。また、停止状態の内燃機関23を始動させる際には第1の回転電機MG1に電力が供給されて内燃機関23をクランキングする。クランキングに要する電力[kW]は比較的高いため、高出力型電池ユニット24から第1の回転電機MG1に電力が供給される。
【0054】
第2の回転電機MG2は、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24から電力供給を受け、第1の回転電機MG1が駆動中である場合には第1の回転電機MG1からも電力供給を受けて、電動車両10の駆動輪に駆動力を伝達する。また、電動車両の制動時には第2の回転電機MG2による回生制動が行われる。回生制動にて得られた電力は、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24に供給される。
【0055】
制御部ECUは、パワーマネジメントコントロールコンピュータとも呼ばれ、電動車両10に設けられたセンサ等の信号をもとに、内燃機関23、第1,第2の回転電機MG1,MG2の出力制御を行う。また、制御部ECUは第1及び第2ジャンクションブロック25,27のリレーのオンオフ動作を制御する。さらに制御部ECUは高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24のSOC(State Of Charge)監視や電力管理を行う。例えば制御部ECUは、図示しない電流センサや電圧センサ等により高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の電流値及び電圧値を取得し、これらの値に基づいて、各電池ユニット22,24のSOCを算出または推定する。電流値及び電圧値からSOCを算出または推定する方法は既知であることから、ここでは説明を省略する。
【0056】
また、制御部ECUは、第1,第2の回転電機MG1,MG2に供給する電力量[Wh]のうち、高容量型電池ユニット22から供給される電力量の割合が、高出力型電池ユニット24から供給される電力量の割合よりも大きくなるように、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24の電力管理を行っている。
【0057】
電力管理の具体例として、制御部ECUは、充電された電力を使い切るCD(Charge Depleting)モードに基づいて高容量型電池ユニット22の電力管理を行う。CDモードでは、高容量型電池ユニット22のSOCが、劣化に繋がるような過放電に至る前段階のSOC下限値に至るまで、高容量型電池ユニット22からの放電が継続される。
【0058】
また、制御部ECUは、充電された電力を使い切る前にHVモード走行に切り替えてSOCの回復を図る、CS(Charge Sustaining)モードに基づいて、高出力型電池ユニット24の電力管理を行う。CSモードでは、SOC下限値よりも十分に余裕を持った高い値にEV/HV切替判定値が設定され、高出力型電池ユニット24のSOCがEV/HV切替判定値に至るまで放電が継続される。高出力型電池ユニット24のSOCがEV/HV切替判定値に至ると、制御部ECUは内燃機関23を始動させて第1の回転電機MG1を駆動させる。この駆動による発電電力が高出力型電池ユニット24に供給されて、高出力型電池ユニット24のSOCが回復する。以降、高出力型電池ユニット24のSOCがEV/HV切替判定値を割り込まないように電力管理が行われる。
【0059】
相対的に容量[Ah]の大きい高容量型電池ユニット22に対してSOC下限値まで充電電力を使い切るCDモードを設定し、相対的に容量の小さい高出力型電池ユニット24に対してSOCをある程度高い水準に維持させるCSモードを設定することで、高容量型電池ユニット22の放電電力量[Wh]は高出力型電池ユニット24の放電電力量[Wh]よりも多くなる。その結果、第1,第2の回転電機MG1,MG2へ供給される電力量[Wh]のうち、高容量型電池ユニット22から供給される電力量の割合が、高出力型電池ユニット24から供給される電力量の割合よりも大きくなる。
【0060】
また、放電電力量が相対的に多いことから当然に、高容量型電池ユニット22は高出力型電池ユニット24よりも満充電に至るまでの充電電力量が相対的に多くなる。このような特性に基づいて、本実施形態では、高容量型電池ユニット22を主に外部充電によって充電させている。相対的に充電電力量が多くなる高容量型電池ユニット22の充電を外部充電により行うことで、回転電機MG1,MG2の充電負担が軽減される。
【0061】
<充電時の動作>
各電池ユニット22,24の充電時には以下の様な動作が実行される。まず、外部充電について説明すると、外部充電に先立ち、電動車両10はイグニッションオフ状態(例えば制御部ECUがオフ状態)となる。このとき、第1ジャンクションブロック25のシステムメインリレーSMR1及び充電リレーCHRならびに第2ジャンクションブロック27のシステムメインリレーSMR2はオフ状態となっている。
【0062】
充電インレット18に充電ケーブルが接続されると制御部ECUが起動し、制御部ECUは第1ジャンクションブロック25の充電リレーCHRをオン状態とする(システムメインリレーSMR1,SMR2はオフ状態のまま維持される)。充電インレット18、充電器20、及び第1ジャンクションブロック25を介して外部電源から高容量型電池ユニット22に電力が供給される。制御部ECUは、図示しない電流センサ及び電圧センサから電流値及び電圧値を取得して高容量型電池ユニット22のSOCの回復状況を監視する。さらに高容量型電池ユニット22が満充電に至ると、制御部ECUは第1ジャンクションブロック25の充電リレーCHRをオフ状態とする。制御部ECUは高容量型電池ユニット22が満充電であることを図示しないインジケータ等で示し(例えばインジケータランプが点灯から消灯に切り替わる)、その後制御部ECUがオフ状態となる。
【0063】
また、上述したように、高出力型電池ユニット24の充電は、専ら回転電機MG1,MG2によって行われる。図示しないイグニッションスイッチが押されて制御部ECUがオン状態になると、制御部ECUはオフ状態であった第1ジャンクションブロック25のシステムメインリレーSMR1をオン状態とする。第1ジャンクションブロック25の充電リレーCHR及び第2ジャンクションブロック27のシステムメインリレーSMR2はオフ状態のまま維持される。システムメインリレーSMR1がオン状態となることで高容量型電池ユニット22から回転電機MG2に電力が供給され、電動車両10は上述したEV走行が可能となる。
【0064】
さらに電動車両10の走行モードがEV走行モードから上述したHVモードに切り替わると、内燃機関23が始動して回転電機MG1が発電駆動される。制御部ECUは第1ジャンクションブロック25のシステムメインリレーSMR1をオフ状態に切り替え、第2ジャンクションブロック27のシステムメインリレーSMR2をオン状態に切り替える。第1ジャンクションブロック25の充電リレーCHRはオフ状態のまま維持される。第2ジャンクションブロック27のシステムメインリレーSMR2がオンになることで、パワーコントロールユニットPCU及び第2ジャンクションブロック27を経由して、回転電機MG2の発電電力が高出力型電池ユニット24に供給される。
【0065】
また、高出力型電池ユニット24が満充電状態であり、回転電機MG1の発電駆動が継続される場合には、第2ジャンクションブロック27のシステムメインリレーSMR2をオンからオフ状態に切り替えるとともに、第1ジャンクションブロック25のシステムメインリレーSMR1をオフからオン状態に切り替えて、回転電機MG1の電力を高容量型電池ユニット22に送るようにしてもよい。
【0066】
<第2の実施形態>
図6には、本実施形態の別例に係る電動車両10の平面図が例示されている。この図で示す電動車両10では、高容量型電池ユニット22と充電器20を直接繋ぐ第1の配線64(プラスとマイナスがあるため実際には1組の配線)に加えて、高出力型電池ユニット24と充電器20を直接繋ぐ配線66(1組の配線)を設けている点が、
図2で示した電動車両10とは異なる。さらにこれを受けて、
図7に示すように、第2ジャンクションブロック27には、システムメインリレーSMR2(プラス側リレーSMRB2、マイナス側リレーSMRG2、プリチャージリレーSMRP2、及びレジスタ抵抗RR2)と充電リレーCHR2(プラス側リレーCHRB2及びマイナス側リレーCHRG2)が設けられる。
【0067】
また、第1の配線64は、第2の配線66よりも短くなるように、それぞれの配線長が定められている。具体的には、充電インレット18から充電器20までの配線は共通化され、充電器20から第1ジャンクションブロック25までの配線を、充電器20から第2ジャンクションブロック27までの配線よりも短くしている。
【0068】
本実施形態においても、高容量型電池ユニット22は、高出力型電池ユニット24よりも外部充電による充電電力量が多くなるように構成されている。例えば両電池ユニットに対して外部充電を行うに当たり、外部充電前の高容量型電池ユニット22を満充電とするのに要する充電電力量[Wh]が、高出力型電池ユニット24を満充電とするのに要する充電電力量[Wh]よりも多くなるように、制御部ECUは各電池ユニットの電力管理を行う。
【0069】
上述したように、高容量型電池ユニット22はSOCが下限値に至るまで充電電力を使い切るCDモードに基づいて電力管理され、高出力型電池ユニット24は、SOCをある程度高い水準に保つCSモードに基づいて電力管理される。このような電力管理モードの違いから、電動車両10の走行を経て外部充電に至るまでに、高容量型電池ユニット22のSOCは高出力型電池ユニット24のSOCよりも低くなる。相対的に高容量[Ah]の高容量型電池ユニット22のSOCが、相対的に低容量の高出力型電池ユニット24のSOCよりも低くなることから、高容量型電池ユニット22が満充電に至るまでに掛かる電力量[Wh]は、高出力型電池ユニット24が満充電に至るまでに掛かる電力量よりも多くなる。満充電までに掛かる電力量が相対的に多い高容量型電池ユニット22と充電インレット18とを結ぶ第1の配線64を、高出力型電池ユニット24と充電インレット18とを結ぶ第2の配線66よりも短くすることで、外部充電時の配線抵抗による電力損失の増加を抑制することができる。
【0070】
外部充電時には、例えば以下のような動作が実行される。外部充電開始時に第1及び第2ジャンクションブロック25,27の充電リレーCHR1,CHR2がともにオフ状態からオン状態に切り替わり、高容量型電池ユニット22及び高出力型電池ユニット24への充電が行われる(システムメインリレーSMR1,2はオフのまま維持される)。制御部ECUは、図示しない電流センサや電圧センサ等から取得した各電池ユニット22,24の電流値や電圧値を監視して各電池ユニット22,24のSOCの回復状況を算出する。さらに時間が経過すると高出力型電池ユニット24が先に満充電となって充電リレーCHR2がオフ状態となる。さらにその後高容量型電池ユニット22が満充電となって充電リレーCHR1がオフ状態となる。また、電動車両10がHV走行モードであるときの充電については、上述したものと同様の制御が実行される(なお、充電リレーCHR1、CHR2はともにオフ状態のまま維持される)。