(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下に、本願発明のデジタル方式の時分割階調表示について、
図1及び
図2を用いて説
明する。ここではnビットのデジタルデータ信号により2
n階調の表示を行う場合につい
て説明する。
【0060】
図1に本願発明のELディスプレイの画素部1500の構造を示す。ゲート信号を入力
するゲート信号線(G1〜Gy)は各画素が有するスイッチング用TFT1501のゲー
ト電極に接続されている。また各画素の有するスイッチング用TFT1501のソース領
域とドレイン領域は、一方がデジタルデータ信号を入力するソース信号線(データ信号線
ともいう)(S1〜Sx)に、もう一方が各画素が有するEL駆動用TFT1504のゲ
ート電極及び各画素が有するコンデンサ1508にそれぞれ接続されている。なお本実施
例ではコンデンサ1508を有する構成としたが、コンデンサ1508がない構成であっ
ても良い。本願発明はコンデンサの有無に限定されない。
【0061】
各画素が有するEL駆動用TFT1504のソース領域とドレイン領域はそれぞれ、一
方は電源供給線(V1〜Vx)に、もう一方はEL素子1506に接続されている。電源
供給線(V1〜Vx)の電位を電源電位と呼ぶ。また電源供給線(V1〜Vx)は、各画
素が有するコンデンサ1508に接続されている。なおデジタルデータ信号とは、アナロ
グまたはデジタルのビデオ信号を、時分割階調を行うために変換したデジタルの信号した
信号であり、画像情報を含む信号である。
【0062】
EL素子1506は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。
陽極がEL駆動用TFT1504のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、
言い換えると陽極が画素電極の場合、陰極は対向電極となる。
逆に陰極がEL駆動用TFT1504のソース領域またはドレイン領域と接続している場
合、言い換えると陰極が画素電極の場合、陽極は対向電極となる。また本明細書において
、対向電極の電位を定常電位と呼ぶ。なお対向電極に定常電位を与える電源を定常電源と
呼ぶ。
【0063】
対向電極の定常電位と画素電極の電源電位との電位差がEL駆動電圧であり、このEL
駆動電圧がEL層にかかる。電源電位は常に一定である。
【0064】
図2に、本願発明のELディスプレイのデジタル駆動におけるタイミングチャートを示
す。まず、1フレーム期間(F)をn個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)に分割す
る。なお、画素部の全ての画素が1つの画像を表示する期間を1フレーム期間(F)と呼
ぶ。
【0065】
通常のELディスプレイでは1秒間に60以上のフレーム期間が設けられており、1秒
間に60以上の画像が表示されている。1秒間に表示される画像の数が60より少なくな
ると、視覚的にフリッカ等の画像のちらつきが目立ち始める。
【0066】
なお、1フレーム期間をさらに複数に分割した期間をサブフレーム期間と呼ぶ。階調数
が多くなるにつれて1フレーム期間の分割数も増え、駆動回路を高い周波数で駆動しなけ
ればならない。
【0067】
サブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサステイン期間(Ts)とに分けられる。
アドレス期間とは、1サブフレーム期間中、全画素にデジタルデータ信号を入力するのに
要する時間であり、サステイン期間(点灯期間とも呼ぶ)とは、EL素子を発光させる期
間を示している。
【0068】
SF1〜SFnがそれぞれ有するアドレス期間(Ta)をそれぞれTa1〜Tanとす
る。SF1〜SFnがそれぞれ有するサステイン期間(Ts)をそれぞれTs1〜Tsn
とする。
【0069】
まずアドレス期間において、EL素子1506の対向電極は、電源電位と同じ高さの定
常電位に保たれている。本実施の形態において、デジタル駆動のアドレス期間における定
常電位をオフの定常電位と呼ぶ。なおオフの定常電位の高さは、EL素子1506が発光
しない範囲で、電源電位の高さと同じであれば良い。
なおこのときのEL駆動電圧をオフのEL駆動電圧と呼ぶ。理想的にはオフのEL駆動電
圧は0Vであることが望ましいが、EL素子1506が発光しない程度の大きさであれば
良い。
【0070】
そしてゲート信号線G1にゲート信号が入力され、ゲート信号線G1に接続されているス
イッチング用TFT1501全てがONの状態になる。
【0071】
そしてゲート信号線G1に接続されているスイッチング用TFT1501がONにされ
た状態で、全てのソース信号線(S1〜Sx)に同時にデジタルデータ信号が入力される
。デジタルデータ信号は「0」または「1」の情報を有しており、「0」と「1」のデジ
タルデータ信号は、一方がHi、一方がLoの電圧を有する信号である。
【0072】
そしてソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号は、オン(ON)
の状態のスイッチング用TFT1501を介してEL駆動用TFT1504のゲート電極
に入力される。またゲート信号線G1に接続された全ての画素のコンデンサ1508にも
デジタルデータ信号が入力され、電荷が保持される。
【0073】
次にゲート信号線G2にゲート信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているス
イッチング用TFT1501全てがONの状態になる。そしてゲート信号線G2に接続さ
れているスイッチング用TFT1501をONにした状態で、全てのソース信号線(S1
〜Sx)に同時にデジタルデータ信号が入力される。
ソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号は、スイッチング用TFT
1501を介してEL駆動用TFT1504のゲート電極に入力される。またゲート信号
線G2に接続された全ての画素のコンデンサ1508にもデジタルデータ信号が入力され
保持される。
【0074】
上述した動作をゲート信号線Gyまで繰り返し、全ての画素にデジタルデータ信号が入
力される。全ての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間がアドレス期間であ
る。
【0075】
アドレス期間が終了すると同時にサステイン期間となる。サステイン期間になると、対
向電極の電位は、オフの定常電位からオンの定常電位に変わる。本実施の形態において、
デジタル駆動のサステイン期間における定常電位をオンの定常電位と呼ぶ。オンの定常電
位は、EL素子が発光する程度に電源電位との間に電位差を有していればよい。なおこの
電位差をオンのEL駆動電圧と呼ぶ。なおオフの定常電位とオンの定常電位とを総称して
定常電位と呼ぶ。またオンのEL駆動電圧とオフのEL駆動電圧を総称してEL駆動電圧
と呼ぶ。
【0076】
そしてサステイン期間において、全てのスイッチング用TFT1501はオフ状態とな
る。そしてコンデンサ1508において保持されたデジタルデータ信号が、EL駆動用T
FT1504のゲート電極に入力される。
【0077】
本実施の形態では、デジタルデータ信号が「0」の情報を有していた場合、EL駆動用
TFT1504はオフ状態となる。よってEL素子1506の画素電極はオフの定常電位
に保たれたままである。その結果、「0」の情報を有するデジタルデータ信号が印加され
た画素が有するEL素子1506は発光しない。
【0078】
逆に本実施の形態では、「1」の情報を有していた場合、EL駆動用TFT1504は
オン状態となる。よってEL素子1506の画素電極に電源電位が与えられる。その結果
、「1」の情報を有するデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素子1506
は発光する。
【0079】
サステイン期間が終了すると再びアドレス期間に入り、全画素にデータ信号を入力した
らサステイン期間に入る。このときはTs1〜Ts(n−1)のいずれかの期間がサステ
イン期間となる。ここではTs(n−1)の期間、所定の画素を点灯させたとする。
【0080】
以下、残りのn−2個のサブフレームについて同様の動作を繰り返し、順次Ts(n−
2)、Ts(n−3)、…、Ts1とサステイン期間を設定し、それぞれのサブフレーム
で所定の画素を点灯させたとする。
【0081】
n個のサブフレーム期間が終了したら、1フレーム期間が終了する。
【0082】
なお、本願発明において、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、少なくと
も1つのサステイン期間において、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間におけるE
L素子の発光輝度よりも、常に低くなるように設定する。
【0083】
発光輝度が他のサステイン期間の1/mであるサステイン期間をTsp(pは1以上n
以下の任意の数である)とすると、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、サ
ステイン期間Tsp以外のサステイン期間の長さは、2
-(n-1)T(Tは正の定数)で表さ
れる。また、サステイン期間Tspの長さは2
-(p-1)T×mで表される。なお、mは1よ
り大きい正数である。よって、サステイン期間TspにおいてEL素子の発光輝度が他の
サステイン期間の1/mであっても、サステイン期間Tspの長さが2
-(p-1)T×mに設
定されているので、所望の階調表示が得られる。
【0084】
よって、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、どのサステイン期間をサス
テイン期間Tspとしても、またサステイン期間Tspをいくつ設けてたとしても、全て
のサステイン期間Ts1、…、TsnにおいてEL素子が発する光の量をLm1、…、L
mnとすると、Lm1:Lm2:Lm3:…:Lm(n−1):Lmn=2
0:2
-1:2
-
2:…:2
-(n-2):2
-(n-1)となる。但し、SF1〜SFnを出現させる順序はどのよう
にしても良く、よってサステイン期間Ts1、…、Tsnを出現させる順序も任意である
。このサステイン期間の組み合わせで2
n階調のうち所望の階調表示を行うことができる
。
【0085】
各画素の階調は、1フレーム期間においてどのサブフレーム期間を選択して発光させる
かによって決まる。例えば、n=8のとき、全部のサステイン期間で発光した場合の画素
の輝度を100%とすると、Ts1とTs2において画素が発光した場合には75%の輝
度が表現でき、Ts3とTs5とTs8を選択した場合には16%の輝度が表現できる。
【0086】
本願発明では上記構成によって、TFTによってId−Vg特性に多少のばらつきがあ
っても、等しいゲート電圧がかかったときに出力される電流量のばらつきを抑えることが
できる。よってId−Vg特性のバラツキによって、同じ電圧の信号を入力してもEL素
子の発光量が隣接画素で大きく異なってしまうという事態を避けることが可能になる。
【0087】
また、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間の1/mであるサステイン期間Tsp
において、EL素子の発光時間を2
-(p-1)T×m(Tは正の定数)とすることができる。
上記構成によって、画像の階調数が高くなることによってビット数nが大きくなり、2
-(
n-1)Tで表されるあるサステイン期間の長さが短くなっても、EL素子の発光輝度を他の
サステイン期間の1/mに調整することでサステイン期間の長さを2
-(p-1)T×mとし、
延ばすことが可能になる。
【0088】
なお上述した本願発明の構成では、電源電位を常に一定に保ち、対向電極の電位をアドレ
ス期間とサステイン期間とで変化させて、オフのEL駆動電圧またはオンのEL駆動電圧
をEL層に加えていた。しかし本願発明はこの構成に限定されない。逆に対向電極の電位
を常に一定に保ち、電源電位をアドレス期間とサステイン期間とで変化させることで、オ
フのEL駆動電圧またはオンのEL駆動電圧をEL層に加えても良い。この場合EL素子
の輝度の調整は、電源電位の制御によって行われる。
【0089】
また上述した本願発明の構成では、オフのEL駆動電圧を0としてEL素子を発光させ
なかったが、オフのEL駆動電圧をオンのEL駆動電圧と同じ電圧とし、アドレス期間も
発光させるようにしても良い。この場合、電源電位と定常電位を常に一定の値に保つ。た
だしこの場合、サブフレーム期間が発光する期間となるので、サブフレーム期間の長さを
、SF1、SF2、…、SFn=2
0T、2
-1T、…、2
-(n-1)Tとし、輝度が1/mで
あるサブフレーム期間の長さを2
-(n-1)T×mとする。上記構成により、アドレス期間を
発光させない駆動方法に比べて、高い輝度の画像が得られる。
【0090】
また本実施の形態ではノン・インターレース走査で駆動した例について説明したが、イ
ンターレースで駆動することも可能である。
【0091】
以下に、本願発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0092】
本願発明の構成を、デジタル駆動方式の時分割階調表示を行うELディスプレイの例を
用いて説明する。
図4に本願発明の回路構成の一例を示す。
【0093】
図4(A)のELディスプレイは、基板上に形成されたTFTによって画素部101、
画素部101の周辺に配置されたソース信号側駆動回路102及びゲート信号側駆動回路
103を有している。なお、本実施例でELディスプレイはソース信号側駆動回路とゲー
ト信号側駆動回路とを1つづつ有しているが、本願発明においてソース信号側駆動回路は
2つあってもよい。またゲート信号側駆動回路も2つあってもよい。
【0094】
ソース信号側駆動回路102は基本的にシフトレジスタ102a、ラッチ(A)102b
、ラッチ(B)102cを含む。また、シフトレジスタ102aにはクロック信号(CK)
及びスタートパルス(SP)が入力され、ラッチ(A)102bにはデジタルデータ信号
(Digital Data Signals)が入力され、ラッチ(B)102cにはラッチ信号(Latch Sig
nals)が入力される。
【0095】
また図示しないが、ゲート信号側駆動回路103はシフトレジスタ、バッファを有する
。バッファの出力側にマルチプレクサを設けても良い。
【0096】
画素部に入力されるデジタルデータ信号は、時分割階調データ信号発生回路114にて
形成される。この回路ではアナログ信号又はデジタル信号でなるビデオ信号(画像情報を
含む信号)を、時分割階調を行うためのデジタルデータ信号に変換すると共に、時分割階
調表示を行うために必要なタイミングパルス等を発生させる回路である。
【0097】
典型的には、時分割階調データ信号発生回路114には、1フレーム期間をnビット(
nは2以上の整数)の階調に対応した複数のサブフレーム期間に分割する手段と、それら
複数のサブフレーム期間においてアドレス期間及びサステイン期間を選択する手段と、そ
のサステイン期間の長さを設定する手段とが含まれる。
【0098】
この時分割階調データ信号発生回路114は、本願発明のELディスプレイの外部に設
けられても良い。その場合、そこで形成されたデジタルデータ信号が本願発明のELディ
スプレイに入力される構成となる。この場合、本願発明のELディスプレイを表示ディス
プレイとして有する電子機器(EL表示装置)は、本願発明のELディスプレイと時分割
階調データ信号発生回路を別の部品として含むことになる。
【0099】
また、時分割階調データ信号発生回路114をICチップなどの形で本願発明のELデ
ィスプレイに実装しても良い。その場合、そのICチップで形成されたデジタルデータ信
号が本願発明のELディスプレイに入力される構成となる。この場合、本願発明のELデ
ィスプレイをディスプレイとして有する電子機器は、時分割階調データ信号発生回路を含
むICチップを実装した本願発明のELディスプレイを部品として含むことになる。
【0100】
また最終的には、時分割階調データ信号発生回路114を画素部101、ソース信号側
駆動回路102及びゲート信号側駆動回路103と同一の基板上にTFTでもって形成し
うる。この場合、ELディスプレイに画像情報を含むビデオ信号を入力すれば全て基板上
で処理することができる。この場合の時分割階調データ信号発生回路はポリシリコン膜を
活性層とするTFTで形成しても良い。また、この場合、本願発明のELディスプレイを
ディスプレイとして有する電子機器は、時分割階調データ信号発生回路がELディスプレ
イ自体に内蔵されており、電子機器の小型化を図ることが可能である。
【0101】
画素部101にはマトリクス状に複数の画素104が配列される。画素104の拡大図
を
図4(B)に示す。
図4(B)において、105はスイッチング用TFTである。スイ
ッチング用TFT105のゲート電極は、ゲート信号を入力するゲート信号線106に接
続されている。スイッチング用TFT105のソース領域とドレイン領域は、一方がデジ
タルデータ信号を入力するソース信号線107に、もう一方がEL駆動用TFT108の
ゲート電極及び各画素が有するコンデンサ113にそれぞれ接続されている。
【0102】
また、EL駆動用TFT108のソース領域とドレイン領域は、一方が電源供給線11
1に接続され、もう一方はEL素子110に接続される。電源供給線111はコンデンサ
113に接続されている。コンデンサ113はスイッチング用TFT105が非選択状態
(オフ状態)にある時、EL駆動用TFT108のゲート電圧を保持するために設けられ
ている。
【0103】
EL素子110は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。陽
極がEL駆動用TFT110のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、言い
換えると陽極が画素電極の場合、対向電極である陰極は一定の電位に保たれる。逆に陰極
がEL駆動用TFT110のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、言い換
えると陰極が画素電極の場合、対向電極である陽極は一定の電位に保たれる。
【0104】
電源供給線111は電源電位に保たれている。
【0105】
なお、EL駆動用TFT108のドレイン領域またはソース領域と、EL素子110と
の間に抵抗体を設けても良い。抵抗体を設けることによって、EL駆動用TFTからEL
素子へ供給される電流量を制御し、EL駆動用TFTの特性のバラツキの影響を防ぐこと
が可能になる。抵抗体はEL駆動用TFT108のオン抵抗よりも十分に大きい抵抗値を
示す素子であれば良いため構造等に限定はない。なお、オン抵抗とは、TFTがオン状態
の時に、TFTのドレイン電圧をその時に流れているドレイン電流で割った値である。抵
抗体の抵抗値としては1kΩ〜50MΩ(好ましくは10kΩ〜10MΩ、さらに好まし
くは50kΩ〜1MΩ)の範囲から選択すれば良い。抵抗体として抵抗値の高い半導体層
を用いると形成が容易であり好ましい。
【0106】
次に、本願発明のELディスプレイの断面構造の概略について、
図5を用いて説明する
。
【0107】
図5において、11は基板、12は下地となる絶縁膜(以下、下地膜という)
である。基板11としては透光性基板、代表的にはガラス基板、石英基板、ガラスセラミ
ックス基板、又は結晶化ガラス基板を用いることができる。但し、作製プロセス中の最高
処理温度に耐えるものでなくてはならない。
【0108】
また、下地膜12は特に可動イオンを含む基板や導電性を有する基板を用いる場合に有
効であるが、石英基板には設けなくても構わない。下地膜12としては、珪素(シリコン
)を含む絶縁膜を用いれば良い。なお、本明細書において「珪素を含む絶縁膜」とは、具
体的には酸化珪素膜、窒化珪素膜若しくは窒化酸化珪素膜(SiOxNy:x、yは任意
の整数、で示される)など珪素に対して酸素若しくは窒素を所定の割合で含ませた絶縁膜
を指す。
【0109】
201はスイッチング用TFT、202はEL駆動用TFTであり、それぞれnチャネ
ル型TFT、pチャネル型TFTで形成されている。ELの発光方向が基板の下面(TF
T及びEL層が設けられていない面)の場合、上記構成であることが好ましい。しかし本
願発明はこの構成に限定されない。スイッチング用TFTとEL駆動用TFTは、nチャ
ネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、どちらでも構わない。
【0110】
スイッチング用TFT201は、ソース領域13、ドレイン領域14、LDD領域15
a〜15d、分離領域16及びチャネル形成領域17a、17bを含む活性層と、ゲート絶縁
膜18と、ゲート電極19a、19bと、第1層間絶縁膜20と、ソース配線(ソース信号
線の一部)21と、ドレイン配線22とを有している。なお、ゲート絶縁膜18又は第1
層間絶縁膜20は基板上の全TFTに共通であっても良いし、回路又は素子に応じて異な
らせても良い。
【0111】
また、
図5に示すスイッチング用TFT201はゲート電極19aとゲート電極19bが
電気的に接続されており、いわゆるダブルゲート構造となっている。
勿論、ダブルゲート構造だけでなく、トリプルゲート構造などいわゆるマルチゲート構造
(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領域を有する活性層を含む構造)であっても
良い。
【0112】
マルチゲート構造はオフ電流を低減する上で極めて有効であり、スイッチング用TFT
のオフ電流を十分に低くすれば、それだけEL駆動用TFT202のゲート電極に接続さ
れたコンデンサが必要とする最低限の容量を抑えることができる。即ち、コンデンサの面
積を小さくすることができるので、マルチゲート構造とすることはEL素子の有効発光面
積を広げる上でも有効である。
【0113】
さらに、スイッチング用TFT201においては、LDD領域15a〜15dは、ゲート
絶縁膜18を介してゲート電極19a、19bと重ならないように設ける。このような構造
はオフ電流を低減する上で非常に効果的である。また、LDD領域15a〜15dの長さ(
幅)は0.5〜3.5μm、代表的には2.0〜2.5μmとすれば良い。
【0114】
なお、チャネル形成領域とLDD領域との間にオフセット領域(チャネル形成領域と同
一組成の半導体層でなり、ゲート電圧が加えられない領域)を設けることはオフ電流を下
げる上でさらに好ましい。また、二つ以上のゲート電極を有するマルチゲート構造の場合
、チャネル形成領域の間に設けられた分離領域16(ソース領域又はドレイン領域と同一
の濃度で同一の不純物元素が添加された領域)がオフ電流の低減に効果的である。
【0115】
次に、EL駆動用TFT202は、ソース領域26、ドレイン領域27及びチャネル形
成領域29を含む活性層と、ゲート絶縁膜18と、ゲート電極30と、第1層間絶縁膜2
0と、ソース配線(ソース信号線の一部)31並びにドレイン配線32を有して形成され
る。本実施例においてEL駆動用TFT202はpチャネル型TFTである。
【0116】
また、スイッチング用TFT201のドレイン領域14はEL駆動用TFT202のゲ
ート電極30に接続されている。図示してはいないが、具体的にはEL駆動用TFT20
2のゲート電極30はスイッチング用TFT201のドレイン領域14とドレイン配線(
接続配線とも言える)22を介して電気的に接続されている。なお、ゲート電極30はシ
ングルゲート構造となっているが、マルチゲート構造であっても良い。また、EL駆動用
TFT202のソース配線31は電源供給線(図示せず)に接続される。
【0117】
EL駆動用TFT202はEL素子に注入される電流量を制御するための素子であり、
比較的多くの電流が流れる。そのため、チャネル幅(W)はスイッチング用TFTのチャ
ネル幅よりも大きく設計することが好ましい。また、EL駆動用TFT202に過剰な電
流が流れないように、チャネル長(L)は長めに設計することが好ましい。望ましくは一
画素あたり0.5〜2μA(好ましくは1〜1.5μA)となるようにする。
【0118】
またさらに、EL駆動用TFT202の活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を厚く
する(好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは60〜80nm)ことによって、
TFTの劣化を抑えてもよい。逆に、スイッチング用TFT201の場合はオフ電流を小
さくするという観点から見れば、活性層(特にチャネル形成領域)の膜厚を薄くする(好
ましくは20〜50nm、さらに好ましくは25〜40nm)ことも有効である。
【0119】
以上は画素内に設けられたTFTの構造について説明したが、このとき同時に駆動回路
も形成される。
図5には駆動回路を形成する基本単位となるCMOS回路が図示されてい
る。
【0120】
図5においては極力動作速度を落とさないようにしつつホットキャリア注入を低減させ
る構造を有するTFTをCMOS回路のnチャネル型TFT204として用いる。なお、
ここでいう駆動回路としては、ソース信号側駆動回路、ゲート信号側駆動回路を指す。勿
論、他の論理回路(レベルシフタ、A/Dコンバータ、信号分割回路等)を形成すること
も可能である。
【0121】
CMOS回路のnチャネル型TFT204の活性層は、ソース領域35、ドレイン領域
36、LDD領域37及びチャネル形成領域38を含み、LDD領域37はゲート絶縁膜
18を介してゲート電極39と重なっている。
【0122】
ドレイン領域36側のみにLDD領域37を形成しているのは、動作速度を落とさない
ための配慮である。また、このnチャネル型TFT204はオフ電流値をあまり気にする
必要はなく、それよりも動作速度を重視した方が良い。従って、LDD領域37は完全に
ゲート電極に重ねてしまい、極力抵抗成分を少なくすることが望ましい。即ち、いわゆる
オフセットはなくした方がよい。
【0123】
また、CMOS回路のpチャネル型TFT205は、ホットキャリア注入による劣化が
殆ど気にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。従って活性層はソース領域
40、ドレイン領域41及びチャネル形成領域42を含み、その上にはゲート絶縁膜18
とゲート電極43が設けられる。勿論、nチャネル型TFT204と同様にLDD領域を
設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0124】
また、nチャネル型TFT204及びpチャネル型TFT205はそれぞれソース領域
上に第1層間絶縁膜20を間に介して、ソース配線(ソース信号線の一部)44、45を
有している。また、ドレイン配線46によってnチャネル型TFT204とpチャネル型
TFT205とのドレイン領域は互いに電気的に接続される。
【0125】
次に、47は第1パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは2
00〜500nm)とすれば良い。材料としては、珪素を含む絶縁膜(特に窒化酸化珪素
膜又は窒化珪素膜が好ましい)を用いることができる。このパッシベーション膜47は形
成されたTFTをアルカリ金属や水分から保護する役割金属を有する。最終的にTFT(
特にEL駆動用TFT)の上方に設けられるEL層にはナトリウム等のアルカリ金属が含
まれている。即ち、第1パッシベーション膜47はこれらのアルカリ金属(可動イオン)
をTFT側に侵入させない保護層としても働く。
【0126】
また、48は第2層間絶縁膜であり、TFTによってできる段差の平坦化を行う平坦化
膜としての機能を有する。第2層間絶縁膜48としては、有機樹脂膜が好ましく、ポリイ
ミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)
等を用いると良い。これらの有機樹脂膜は良好な平坦面を形成しやすく、比誘電率が低い
という利点を有する。EL層は凹凸に非常に敏感であるため、TFTによる段差は第2層
間絶縁膜48で殆ど吸収してしまうことが望ましい。また、ゲート信号線やデータ信号線
とEL素子の陰極との間に形成される寄生容量を低減する上で、比誘電率の低い材料を厚
く設けておくことが望ましい。従って、膜厚は0.5〜5μm(好ましくは1.5〜2.
5μm)が好ましい。
【0127】
また、49は透明導電膜でなる画素電極(EL素子の陽極)であり、第2層間絶縁膜4
8及び第1パッシベーション膜47にコンタクトホール(開孔)を開けた後、形成された
開孔部においてEL駆動用TFT202のドレイン配線32に接続されるように形成され
る。なお、
図5のように画素電極49とドレイン領域27とが直接接続されないようにし
ておくと、EL層のアルカリ金属が画素電極を経由して活性層へ侵入することを防ぐこと
ができる。
【0128】
画素電極49の上には酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜または有機樹脂膜でなる第3層間絶
縁膜50が0.3〜1μmの厚さに設けられる。この第3層間絶縁膜50は画素電極49
の上にエッチングにより開口部が設けられ、その開口部の縁はテーパー形状となるように
エッチングする。テーパーの角度は10〜60°(好ましくは30〜50°)とすると良
い。
【0129】
第3層間絶縁膜50の上にはEL層51が設けられる。EL層51は単層又は積層構造
で用いられるが、積層構造で用いた方が発光効率は良い。一般的には画素電極上に正孔注
入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順に形成されるが、正孔輸送層/発光層/電子
輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層のような構造
でも良い。本願発明では公知のいずれの構造を用いても良いし、EL層に対して蛍光性色
素等をドーピングしても良い。
【0130】
有機EL材料としては、例えば、以下の米国特許又は公開公報に開示された材料を用い
ることができる。米国特許第4,356,429号、 米国特許第4,539,507号
、 米国特許第4,720,432号、 米国特許第4,769,292号、 米国特許
第4,885,211号、 米国特許第4,950,950号、 米国特許第5,059
,861号、 米国特許第5,047,687号、 米国特許第5,073,446号、
米国特許第5,059,862号、 米国特許第5,061,617号、 米国特許第
5,151,629号、 米国特許第5,294,869号、 米国特許第5,294,
870号、特開平10−189525号公報、特開平8−241048号公報、特開平8
−78159号公報。
【0131】
なお、ELディスプレイには大きく分けて四つのカラー化表示方式があり、R(赤)G
(緑)B(青)に対応した三種類のEL素子を形成する方式、白色発光のEL素子とカラ
ーフィルターを組み合わせた方式、青色又は青緑発光のEL素子と蛍光体(蛍光性の色変
換層:CCM)とを組み合わせた方式、陰極(対向電極)に透明電極を使用してRGBに
対応したEL素子を重ねる方式、がある。
【0132】
図5の構造はRGBに対応した三種類のEL素子を形成する方式を用いた場合の例であ
る。なお、
図5には一つの画素しか図示していないが、同一構造の画素が赤、緑又は青の
それぞれの色に対応して形成され、これによりカラー表示を行うことができる。
【0133】
本願発明は発光方式に関わらず実施することが可能であり、上記四つの全ての方式を本
願発明に用いることができる。しかし、蛍光体はELに比べて応答速度が遅く残光が問題
となりうるので、蛍光体を用いない方式が望ましい。また、発光輝度を落とす要因となる
カラーフィルターもなるべく使わない方が望ましいと言える。
【0134】
EL層51の上にはEL素子の陰極52が設けられる。陰極52としては、仕事関数の
小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)若しくはカルシウム(Ca)を含む材料
を用いる。好ましくはMgAg(MgとAgをMg:Ag=10:1で混合した材料)で
なる電極を用いれば良い。他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、LiFAl電
極が挙げられる。
【0135】
なお、本明細書中では、画素電極(陽極)、EL層及び陰極で形成される発光素子をE
L素子206と呼ぶ。
【0136】
EL層51と陰極52とでなる積層体は、各画素で個別に形成する必要があるが、EL
層51は水分に極めて弱いため、通常のフォトリソグラフィ技術を用いることができない
。従って、メタルマスク等の物理的なマスク材を用い、真空蒸着法、スパッタ法、プラズ
マCVD法等の気相法で選択的に形成することが好ましい。
【0137】
なお、EL層を選択的に形成する方法として、インクジェット法、スクリーン印刷法又
はスピンコート法等を用いることも可能であるが、これらは現状では陰極の連続形成がで
きないので、上述の方法の方が好ましいと言える。
【0138】
また、53は保護電極であり、陰極52を外部の水分等から保護すると同時に、各画素
の陰極52を接続するための電極である。保護電極53としては、アルミニウム(Al)
、銅(Cu)若しくは銀(Ag)を含む低抵抗な材料を用いることが好ましい。この保護
電極53にはEL層の発熱を緩和する放熱効果も期待できる。また、上記陰極52を形成
した後、大気解放しないで連続的に保護電極53まで形成することも有効である。
【0139】
また、54は第2パッシベーション膜であり、膜厚は10nm〜1μm(好ましくは2
00〜500nm)とすれば良い。第2パッシベーション膜54を設ける目的は、EL層
51を水分から保護する目的が主であるが、放熱効果をもたせることも有効である。但し
、上述のようにEL層は熱に弱いので、なるべく低温(好ましくは室温から120℃まで
の温度範囲)で成膜するのが望ましい。従って、プラズマCVD法、スパッタ法、真空蒸
着法、イオンプレーティング法又は溶液塗布法(スピンコーティング法)が望ましい成膜
方法と言える。
【0140】
なお、
図5に図示されたTFTは全て、本願発明で用いるポリシリコン膜を活性層とし
て有していても良いことは言うまでもない。
【0141】
本願発明は、
図5のELディスプレイの構造に限定されるものではなく、
図5の構造は
本願発明を実施する上での好ましい形態の一つに過ぎない。
【実施例2】
【0142】
以下に、本願発明のデジタル方式の時分割階調表示について、
図6を用いて説明する。
ここでは4ビットのデジタルデータ信号により2
4階調の表示を行う場合について説明す
る。
【0143】
本願発明のELディスプレイの画素部の構造は、
図1に示した物と同じである。ゲート
信号を入力するゲート信号線(G1〜Gy)は各画素が有するスイッチング用TFTのゲ
ート電極に接続されている。また各画素の有するスイッチング用TFTのソース領域とド
レイン領域は、一方がデジタルデータ信号を入力するソース信号線(データ信号線ともい
う)(S1〜Sx)に、もう一方が各画素が有するEL駆動用TFTのゲート電極及び各
画素が有するコンデンサにそれぞれ接続されている。なお本実施例ではコンデンサを有す
る構成としたが、コンデンサがない構成であっても良い。本願発明はコンデンサの有無に
限定されない。
【0144】
各画素が有するEL駆動用TFTのソース領域とドレイン領域はそれぞれ、一方は電源
供給線(V1〜Vx)に、もう一方はEL素子に接続されている。電源供給線(V1〜V
x)の電位を電源電位と呼ぶ。また電源供給線(V1〜Vx)
は、各画素が有するコンデンサに接続されている。
【0145】
EL素子は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。
陽極がEL駆動用TFTのソース領域またはドレイン領域と接続している場合、言い換え
ると陽極が画素電極の場合、陰極は対向電極である。逆に陰極がEL駆動用TFTのソー
ス領域またはドレイン領域と接続している場合、言い換えると陰極が画素電極の場合、陽
極は対向電極である。また本明細書において、対向電極の電位を定常電位と呼ぶ。なお対
向電極に定常電位を与える電源を定常電源と呼ぶ。
【0146】
対向電極の定常電位と画素電極の電源電位との電位差がEL駆動電圧であり、このEL
駆動電圧がEL層にかかる。
【0147】
図6に、本願発明のELディスプレイのデジタル駆動におけるタイミングチャートを示
す。まず、1フレーム期間(F)を4個のサブフレーム期間(SF1〜SF4)に分割す
る。なお、画素部の全ての画素が1つの画像を表示する期間を1フレーム期間(F)と呼
ぶ。
【0148】
サブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサステイン期間(Ts)とに分けられる。
アドレス期間とは、1サブフレーム期間中、全画素にデジタルデータ信号を入力するのに
要する時間であり、サステイン期間(点灯期間とも呼ぶ)とは、EL素子を発光させる期
間を示している。
【0149】
SF1〜SF4がそれぞれ有するアドレス期間(Ta)をそれぞれTa1〜Ta4とす
る。SF1〜SF4がそれぞれ有するサステイン期間(Ts)をそれぞれTs1〜Ts4
とする。
【0150】
まずアドレス期間において、対向電極は電源電位と同じ高さの定常電位に保たれている
。本実施例において、デジタル駆動のアドレス期間における定常電位をオフの定常電位と
呼ぶ。なおオフの定常電位の高さは、EL素子が発光しない範囲で、電源電位の高さと同
じであれば良い。なおこのときのEL駆動電圧をオフのEL駆動電圧と呼ぶ。理想的には
オフのEL駆動電圧は0Vであることが望ましいが、EL素子が発光しない程度の大きさ
であれば良い。
【0151】
そしてゲート信号線G1にゲート信号が入力され、ゲート信号線G1に接続されているス
イッチング用TFT全てがONの状態になる。
【0152】
そしてゲート信号線G1に接続されているスイッチング用TFTがONの状態で、全て
のソース信号線(S1〜Sx)に同時にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデー
タ信号は「0」または「1」の情報を有しており、「0」と「1」のデジタルデータ信号
は、一方がHi、一方がLoの電圧を有する信号である。
【0153】
そしてソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号は、オン(ON)
の状態のスイッチング用TFTを介してEL駆動用TFTのゲート電極に入力される。ま
たゲート信号線G1に接続された全ての画素のコンデンサにもデジタルデータ信号が入力
され、電荷が保持される。
【0154】
次にゲート信号線G2にゲート信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているス
イッチング用TFT全てがONの状態になる。そしてゲート信号線G2に接続されている
スイッチング用TFTをONにした状態で、全てのソース信号線(S1〜Sx)に同時に
デジタルデータ信号が入力される。ソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデ
ータ信号は、スイッチング用TFTを介してEL駆動用TFTのゲート電極に入力される
。またゲート信号線G2に接続された全ての画素のコンデンサにもデジタルデータ信号が
入力され保持される。
【0155】
上述した動作をゲート信号線Gyまで繰り返し、全ての画素にデジタルデータ信号が入
力される。全ての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間がアドレス期間であ
る。
【0156】
アドレス期間が終了すると同時にサステイン期間となる。サステイン期間になると、対
向電極の電位は、オフの定常電位からオンの定常電位に変わる。本実施例において、デジ
タル駆動のサステイン期間における定常電位をオンの定常電位と呼ぶ。オンの定常電位は
、EL素子が発光する程度に電源電位との間に電位差を有していればよい。なおこの電位
差をオンのEL駆動電圧と呼ぶ。なおオフの定常電位とオンの定常電位とを総称して電源
電位と呼ぶ。またオンのEL駆動電圧とオフのEL駆動電圧を総称してEL駆動電圧と呼
ぶ。
【0157】
そしてサステイン期間において、全てのスイッチング用TFTはオフ状態となる。そし
てコンデンサにおいて保持されたデジタルデータ信号が、EL駆動用TFTのゲート電極
に入力される。
【0158】
本実施例では、デジタルデータ信号が「0」の情報を有していた場合、EL駆動用TF
Tはオフ状態となる。よってEL素子の画素電極はオフの定常電位に保たれたままである
。その結果、「0」の情報を有するデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素
子は発光しない。
【0159】
逆に本実施例では、「1」の情報を有していた場合、EL駆動用TFTはオン状態とな
る。よってEL素子の画素電極に電源電位が与えられる。その結果、「1」の情報を有す
るデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素子は発光する。
【0160】
サステイン期間が終了すると再びアドレス期間に入り、全画素にデータ信号を入力した
らサステイン期間に入る。このときはTs1〜Ts3のいずれかの期間がサステイン期間
となる。ここではTs3の期間、所定の画素を点灯させたとする。
【0161】
以下、残りの2個のサブフレームについて同様の動作を繰り返し、順次Ts2、Ts1
とサステイン期間を設定し、それぞれのサブフレームで所定の画素を点灯させたとする。
【0162】
4個のサブフレーム期間が終了したら、1フレーム期間が終了する。
【0163】
なお、本願発明において、4個のサステイン期間Ts1、…、Ts4のうち、少なくと
も1つのサステイン期間において、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間におけるE
L素子の発光輝度よりも、常に低くなるように設定する。本実施例ではサステイン期間T
s3とTs4におけるEL素子の発光輝度が、ほかのサステイン期間Ts1とTs2にお
けるEL素子の発光輝度の1/2である。つまりサステイン期間Ts3とTs4における
オンのEL駆動電圧が、ほかのサステイン期間Ts1とTs2におけるEL駆動電圧の1
/2である。
【0164】
発光輝度が他のサステイン期間の1/2であるサステイン期間Ts3とTs4以外のサ
ステイン期間Ts1とTs2の長さは、それぞれT、2
-1T(Tは正の定数)で表される
。また、サステイン期間Ts3とTs4の長さは、それぞれ2
-2T×2、2
-3T×2で表
される。つまりサステイン期間Ts1〜Ts4の長さの比は、1:2
-1:2
-1:2
-2とな
る。よって、サステイン期間Ts3とTs4の発光輝度が他のサステイン期間の1/2で
あっても、全てのサステイン期間におけるサステイン期間Ts3とTs4の長さ割合が、
発光輝度を1/2にしない場合に比べて2倍になっている。よって、サステイン期間Ts
3とTs4においてEL素子の発光輝度が他のサステイン期間の1/2であっても、サス
テイン期間Ts3とTs4の長さの割合が2倍に設定されているので、所望の階調表示が
得られる。
【0165】
よって、本実施例ではサステイン期間Ts3とTs4においてEL素子の輝度を1/2
としたが、4個のサステイン期間Ts1、…、Ts4のうち、どのサステイン期間の輝度
をどのぐらい低くしても、また輝度の低いサステイン期間をいくつ設けてたとしても、全
てのサステイン期間Ts1、…、Ts4においてEL素子が発する光の量をLm1、…、
Lm4とすると、Lm1:Lm2:Lm3:Lm4=2
0:2
-1:2
-2:2
-3となる。但
し、SF1〜SF4を出現させる順序はどのようにしても良く、よってサステイン期間T
s1、…、Ts4を出現させる順序も任意である。このサステイン期間の組み合わせで2
4階調のうち所望の階調表示を行うことができる。
【0166】
各画素の階調は、1フレーム期間においてどのサブフレーム期間を選択して発光させる
かによって決まる。例えば、n=4のとき、全部のサステイン期間で発光した場合の画素
の輝度を100%とすると、Ts1とTs2において画素が発光した場合には80%の輝
度が表現でき、Ts2とTs3とTs4を選択した場合には47%の輝度が表現できる。
【0167】
本願発明では上記構成によって、TFTによってId−Vg特性に多少のばらつきがあ
っても、等しいゲート電圧がかかったときに出力される電流量のばらつきを抑えることが
できる。よってId−Vg特性のバラツキによって、同じビデオ信号を入力してもEL素
子の発光量が隣接画素で大きく異なってしまうという事態を避けることが可能になる。
【0168】
また、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間Ts1〜Tsnの1/mであるサステ
イン期間Tspにおいて、他のサステイン期間Ts1〜Tsnの長さを2
-(n-1)T(Tは
正の定数)とすると、EL素子の発光時間を2
-(p-1)T×mとすることができる。上記構
成によって、サステイン期間TspのEL素子の発光輝度を他のサステイン期間の1/m
に調整することで、全てのサステイン期間におけるサステイン期間Tspの長さの割合を
、サステイン期間Tspの発光輝度を1/mにしない場合に比べてm倍に延ばすことが可
能になる。よって画像の階調数が高くなることによってビット数nが大きくなり最短のサ
ステイン期間の長さが短くなっても、EL素子の発光輝度を低くすることでサステイン期
間の長さを延ばすことができる。
【0169】
また本実施例ではノン・インターレース走査で駆動した例について説明したが、インタ
ーレースで駆動することも可能である。
【0170】
なお本実施例は、実施例1と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例3】
【0171】
本実施例では、画素部とその周辺に設けられる駆動回路部のTFTを同時に作製する方
法について説明する。但し、説明を簡単にするために、駆動回路に関しては基本単位であ
るCMOS回路を図示することとする。
【0172】
まず、
図7(A)に示すように、下地膜(図示せず)を表面に設けた基板501を用意
する。本実施例では結晶化ガラス上に下地膜として100nm厚の窒化酸化珪素膜を20
0nm厚の窒化酸化珪素膜とを積層して用いる。この時、結晶化ガラス基板に接する方の
窒素濃度を10〜25wt%としておくと良い。勿論、下地膜を設けずに石英基板上に直
接素子を形成しても良い。
【0173】
次に基板501の上に45nmの厚さのアモルファスシリコン膜502を公知の成膜法
で形成する。なお、アモルファスシリコン膜に限定する必要はなく、非晶質構造を含む半
導体膜(微結晶半導体膜を含む)であれば良い。さらに非晶質シリコンゲルマニウム膜な
どの非晶質構造を含む化合物半導体膜でも良い。
【0174】
ここから
図7(C)までの工程は本出願人による特開平10−247735号公報を完
全に引用することができる。同公報ではNi等の元素を触媒として用いた半導体膜の結晶
化方法に関する技術を開示している。
【0175】
まず、開口部503a、503bを有する保護膜504を形成する。本実施例では150
nm厚の酸化珪素膜を用いる。そして、保護膜504の上にスピンコート法によりニッケ
ル(Ni)を含有する層(Ni含有層)505を形成する。このNi含有層の形成に関し
ては、前記公報を参考にすれば良い。
【0176】
次に、
図7(B)に示すように、不活性雰囲気中で570℃14時間の加熱処理を加え
、アモルファスシリコン膜502を結晶化する。この際、Niが接した領域(以下、Ni
添加領域という)506a、506bを起点として、基板と概略平行に結晶化が進行し、棒
状結晶が集まって並んだ結晶構造でなるポリシリコン膜507が形成される。
【0177】
次に、
図7(C)に示すように、保護膜504をそのままマスクとして15族に属する
元素(好ましくはリン)をNi添加領域506a、506bに添加する。
こうして高濃度にリンが添加された領域(以下、リン添加領域という)508a、508b
が形成される。
【0178】
次に、
図7(C)に示すように、不活性雰囲気中で600℃12時間の加熱処理を加え
る。この熱処理によりポリシリコン膜507中に存在するNiは移動し、最終的には殆ど
全て矢印が示すようにリン添加領域508a、508bに捕獲されてしまう。これはリンに
よる金属元素(本実施例ではNi)のゲッタリング効果による現象であると考えられる。
【0179】
この工程によりポリシリコン膜509中に残るNiの濃度はSIMS(質量二次イオン
分析)による測定値で少なくとも2×10
17atoms/cm
3にまで低減される。Niは半導体
にとってライフタイムキラーであるが、この程度まで低減されるとTFT特性には何ら悪
影響を与えることはない。また、この濃度は殆ど現状のSIMS分析の測定限界であるの
で、実際にはさらに低い濃度(2×10
17atoms/cm
3以下)であると考えられる。
【0180】
こうして触媒を用いた結晶化され、且つ、その触媒がTFTの動作に支障を与えないレ
ベルにまで低減されたポリシリコン膜509が得られる。その後、このポリシリコン膜5
09のみを用いた活性層510〜513をパターニング工程により形成する。また、この
時、後のパターニングにおいてマスク合わせを行うためのマーカーを、上記ポリシリコン
膜を用いて形成すると良い。(
図7(D))
【0181】
次に、
図7(E)に示すように、50nm厚の窒化酸化シリコン膜をプラズマCVD法
により形成し、その上で酸化雰囲気中で950℃1時間の加熱処理を加え、熱酸化工程を
行う。なお、酸化雰囲気は酸素雰囲気でも良いし、ハロゲン元素を添加した酸素雰囲気で
も良い。
【0182】
この熱酸化工程では活性層と上記窒化酸化シリコン膜との界面で酸化が進行し、約15
nm厚のポリシリコン膜が酸化されて約30nm厚の酸化シリコン膜が形成される。即ち
、30nm厚の酸化シリコン膜と50nm厚の窒化酸化シリコン膜が積層されてなる80
nm厚のゲート絶縁膜514が形成される。また、活性層510〜513の膜厚はこの熱
酸化工程によって30nmとなる。
【0183】
次に、
図8(A)に示すように、レジストマスク515を形成し、ゲート絶縁膜514
を介してp型を付与する不純物元素(以下、p型不純物元素という)を添加する。p型不
純物元素としては、代表的には13族に属する元素、典型的にはボロンまたはガリウムを
用いることができる。この工程(チャネルドープ工程という)はTFTのしきい値電圧を
制御するための工程である。
【0184】
なお、本実施例ではジボラン(B
2H
6)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンド
ープ法でボロンを添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用い
ても良い。この工程により1×10
15〜1×10
18atoms/cm
3(代表的には5×10
16〜
5×10
17atoms/cm
3)の濃度でボロンを含む不純物領域516〜518が形成される。
【0185】
次に、
図8(B)に示すように、レジストマスク519a、519bを形成し、ゲート絶
縁膜514を介してn型を付与する不純物元素(以下、n型不純物元素という)を添加す
る。なお、n型不純物元素としては、代表的には15族に属する元素、典型的にはリン又
は砒素を用いることができる。なお、本実施例ではフォスフィン(PH
3)を質量分離し
ないでプラズマ励起したプラズマドーピング法を用い、リンを1×10
18atoms/cm
3の濃
度で添加する。勿論、質量分離を行うイオンインプランテーション法を用いても良い。
【0186】
この工程により形成されるn型不純物領域520、521には、n型不純物元素が2×
10
16〜5×10
19atoms/cm
3(代表的には5×10
17〜5×10
18atoms/cm
3)の濃度で
含まれるようにドーズ量を調節する。
【0187】
次に、
図8(C)に示すように、添加されたn型不純物元素及びp型不純物元素の活性
化工程を行う。活性化手段を限定する必要はないが、ゲート絶縁膜514が設けられてい
るので電熱炉を用いたファーネスアニール処理が好ましい。また、
図8(A)の工程でチ
ャネル形成領域となる部分の活性層/ゲート絶縁膜界面にダメージを与えてしまっている
可能性があるため、なるべく高い温度で加熱処理を行うことが望ましい。
【0188】
本実施例の場合には耐熱性の高い結晶化ガラスを用いているので、活性化工程を800
℃1時間のファーネスアニール処理により行う。なお、処理雰囲気を酸化性雰囲気にして
熱酸化を行っても良いし、不活性雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0189】
この工程によりn型不純物領域520、521の端部、即ち、n型不純物領域520、
521の周囲に存在するn型不純物元素を添加していない領域(
図8(A)の工程で形成
されたp型不純物領域)との境界部(接合部)が明確になる。
このことは、後にTFTが完成した時点において、LDD領域とチャネル形成領域とが非
常に良好な接合部を形成しうることを意味する。
【0190】
次に、200〜400nm厚の導電膜を形成し、パターニングしてゲート電極522〜
525を形成する。このゲート電極522〜525の線幅によって各TFTのチャネル長
の長さが決定する。
【0191】
なお、ゲート電極は単層の導電膜で形成しても良いが、必要に応じて二層、三層といっ
た積層膜とすることが好ましい。ゲート電極の材料としては公知の導電膜を用いることが
できる。具体的には、アルミ(Al)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン
(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、シリコン(Si)から選ばれた元素で
なる膜、または前記元素の窒化物でなる膜(代表的には窒化タンタル膜、窒化タングステ
ン膜、窒化チタン膜)、または前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金
、Mo−Ta合金)、または前記元素のシリサイド膜(代表的にはタングステンシリサイ
ド膜、チタンシリサイド膜)を用いることができる。勿論、単層で用いても積層して用い
ても良い。
【0192】
本実施例では、50nm厚の窒化タングステン(WN)膜と、350nm厚のタングス
テン(W)膜とでなる積層膜を用いる。これはスパッタ法で形成すれば良い。また、スパ
ッタガスとしてキセノン(Xe)、ネオン(Ne)等の不活性ガスを添加すると応力によ
る膜はがれを防止することができる。
【0193】
またこの時、ゲート電極523、525はそれぞれn型不純物領域520、521の一
部とゲート絶縁膜514を介して重なるように形成する。この重なった部分が後にゲート
電極と重なったLDD領域となる。なお、ゲート電極524a、524bは断面では二つに
見えるが、実際は電気的に接続されている。
【0194】
次に、
図9(A)に示すように、ゲート電極522〜525をマスクとして自己整合的
にn型不純物元素(本実施例ではリン)を添加する。こうして形成される不純物領域52
7〜533にはn型不純物領域520、521の1/2〜1/10(代表的には1/3〜
1/4)の濃度でリンが添加されるように調節する。
具体的には、1×10
16〜5×10
18atoms/cm
3(典型的には3×10
17〜3×10
18ato
ms/cm
3)の濃度が好ましい。
【0195】
次に、
図9(B)に示すように、ゲート電極等を覆う形でレジストマスク534a〜5
34dを形成し、n型不純物元素(本実施例ではリン)を添加して高濃度にリンを含む不
純物領域535〜541を形成する。ここでもフォスフィン(PH
3)を用いたイオンド
ープ法で行い、この領域のリンの濃度は1×10
20〜1×10
21atoms/cm
3(代表的には
2×10
20〜5×10
21atoms/cm
3)となるように調節する。
【0196】
この工程によってnチャネル型TFTのソース領域若しくはドレイン領域が形成される
が、スイッチング用TFTは、
図9(A)の工程で形成したn型不純物領域530〜53
2の一部を残す。
【0197】
次に、
図9(C)に示すように、レジストマスク534a〜534dを除去し、新たにレ
ジストマスク543を形成する。そして、p型不純物元素(本実施例ではボロン)を添加
し、高濃度にボロンを含む不純物領域544、545を形成する。ここではジボラン(B
2H
6)を用いたイオンドープ法により3×10
20〜3×10
21atoms/cm
3(代表的には5
×10
20〜1×10
21atoms/cm
3ノ)濃度となるようにボロンを添加する。
【0198】
なお、不純物領域544、545には既に1×10
20〜1×10
21atoms/cm
3の濃度で
リンが添加されているが、ここで添加されるボロンはその少なくとも3倍以上の濃度で添
加される。そのため、予め形成されていたn型の不純物領域は完全にP型に反転し、P型
の不純物領域として機能する。
【0199】
次に、
図9(D)に示すように、レジストマスク543を除去した後、第1層間絶縁膜
546を形成する。第1層間絶縁膜546としては、珪素を含む絶縁膜を単層で用いるか
、その中で組み合わせた積層膜を用いれば良い。また、膜厚は400nm〜1.5μmと
すれば良い。本実施例では、200nm厚の窒化酸化珪素膜の上に800nm厚の酸化珪
素膜を積層した構造とする。
【0200】
その後、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型不純物元素を活性化する。活性化
手段としては、ファーネスアニール法が好ましい。本実施例では電熱炉において窒素雰囲
気中、550℃、4時間の熱処理を行う。
【0201】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱
処理を行い水素化処理を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体膜の不対結
合手を水素終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマに
より励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0202】
なお、水素化処理は第1層間絶縁膜546を形成する間に入れても良い。即ち、200
nm厚の窒化酸化珪素膜を形成した後で上記のように水素化処理を行い、その後で残り8
00nm厚の酸化珪素膜を形成しても構わない。
【0203】
次に、
図10(A)に示すように、第1層間絶縁膜546及びゲート絶縁膜514に対
してコンタクトホールを形成し、ソース信号線547〜550と、ドレイン配線551〜
553を形成する。なお、本実施例ではこの電極を、Ti膜を100nm、Tiを含むア
ルミニウム膜を300nm、Ti膜150nmをスパッタ法で連続形成した3層構造の積
層膜とする。勿論、他の導電膜でも良い。
【0204】
次に、50〜500nm(代表的には200〜300nm)の厚さで第1パッシベーシ
ョン膜554を形成する。本実施例では第1パッシベーション膜554として300nm
厚の窒化酸化シリコン膜を用いる。これは窒化シリコン膜で代用しても良い。
【0205】
この時、窒化酸化シリコン膜の形成に先立ってH
2、NH
3等水素を含むガスを用いてプ
ラズマ処理を行うことは有効である。この前処理により励起された水素が第1層間絶縁膜
546に供給され、熱処理を行うことで、第1パッシベーション膜554の膜質が改善さ
れる。それと同時に、第1層間絶縁膜546に添加された水素が下層側に拡散するため、
効果的に活性層を水素化することができる。
【0206】
次に、
図10(B)に示すように、有機樹脂からなる第2層間絶縁膜555を形成する
。有機樹脂としてはポリイミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用する
ことができる。特に、第2層間絶縁膜555はTFTが形成する段差を平坦化する必要が
あるので、平坦性に優れたアクリル膜が好ましい。本実施例では2.5μmの厚さでアク
リル膜を形成する。
【0207】
次に、第2層間絶縁膜555、第1パッシベーション膜554にドレイン配線553に
達するコンタクトホールを形成し、次に保護電極556を形成する。保護電極556とし
てはアルミニウムを主成分とする導電膜を用いれば良い。保護電極556は真空蒸着法で
形成すれば良い。
【0208】
次に、珪素を含む絶縁膜(本実施例では酸化珪素膜)を500nmの厚さに形成し、画
素電極となる部分に対応する位置に開口部を形成して第3層間絶縁膜557を形成する。
開口部を形成する際、ウェットエッチング法を用いることで容易にテーパー形状の側壁と
することができる。開口部の側壁が十分になだらかでないと段差に起因するEL層の劣化
が顕著な問題となってしまう。
【0209】
次にEL素子の陰極である対向電極(MgAg電極)558を形成する。MgAg電極
558は真空蒸着法を用いて、厚さが180〜300nm(典型的には200〜250n
m)になるように形成する。
【0210】
次に、EL層559を、真空蒸着法を用いて形成する。なお、EL層559の膜厚は8
00〜200nm(典型的には100〜120nm)、画素電極(陽極)560を110
nmの厚さとすれば良い。
【0211】
本実施例におけるの工程では、赤色に対応する画素、緑色に対応する画素及び青色に対
応する画素に対して順次EL層及び画素電極(陽極)を形成する。但し、EL層は溶液に
対する耐性に乏しいためフォトリソグラフィ技術を用いずに各色個別に形成しなくてはな
らない。そこでメタルマスクを用いて所望の画素以外を隠し、必要箇所だけ選択的にEL
層及び画素電極(陽極)を形成するのが好ましい。
【0212】
即ち、まず赤色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて
赤色発光のEL層及び画素電極(陽極)を選択的に形成する。次いで、緑色に対応する画
素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて緑色発光のEL層及び画素電極
(陽極)を選択的に形成する。次いで、同様に青色に対応する画素以外を全て隠すマスク
をセットし、そのマスクを用いて青色発光のEL層及び画素電極(陽極)を選択的に形成
する。なお、ここでは全て異なるマスクを用いるように記載しているが、同じマスクを使
いまわしても構わない。また、全画素にEL層及び画素電極(陽極)を形成するまで真空
を破らずに処理することが好ましい。
【0213】
なお、EL層559としては公知の材料を用いることができる。公知の材料としては、
駆動電圧を考慮すると有機材料を用いるのが好ましい。例えば正孔注入層、正孔輸送層、
発光層及び電子注入層でなる4層構造をEL層とすれば良い。
また、本実施例ではEL素子の画素電極(陽極)560として酸化インジウム・スズ(I
TO)膜を形成する。また、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合し
た透明導電膜を用いても良いし、公知の他の材料であっても良い。
【0214】
最後に、窒化珪素膜でなる第2パッシベーション膜561を300nmの厚さに形成す
る。
【0215】
こうして
図10(C)に示すような構造のELディスプレイが完成する。なお、実際に
は、
図10(C)まで完成したら、さらに外気に曝されないように気密性の高い保護フィ
ルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やセラミックス製シーリングカ
ンなどのハウジング材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際、ハウジン
グ材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム)を配置す
ることでEL層の信頼性(寿命)が向上する。
【0216】
なお本実施例は、実施例2と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例4】
【0217】
本実施例では本願発明のELディスプレイの構成を
図11の斜視図を用いて説明する。
【0218】
本実施例のELディスプレイは、ガラス基板2201上に形成された、画素部2202
と、ゲート信号側駆動回路2203と、ソース信号側駆動回路2204とで構成される。
画素部2202のスイッチング用TFT2205はnチャネル型TFTであり、ゲート信
号側駆動回路2203に接続されたゲート信号線2206、ソース信号側駆動回路220
4に接続されたソース信号線2207の交点に配置されている。また、スイッチング用T
FT2205のドレイン領域はEL駆動用TFT2208のゲート電極に接続されている
。
【0219】
さらに、EL駆動用TFT2208のソース領域は電源供給線2209に接続される。
またEL駆動用TFT2208のゲート電極と電源供給線2209とに接続されたコンデ
ンサ2216が設けられている。本実施例では、電源供給線2209には電源電位が与え
られている。また、このEL素子2211の対向電極(本実施例では陰極)は定常電位が
与えられている。
【0220】
そして、外部入出力端子となるFPC2212には駆動回路まで信号を伝達するための
入出力配線(接続配線)2213、2214、及び電源供給線2209に接続された入出
力配線2215が設けられている。
【0221】
さらに、ハウジング材をも含めた本実施例のELモジュールについて
図12(A)、(
B)を用いて説明する。なお、必要に応じて
図11で用いた符号を引用することにする。
【0222】
ガラス基板2201上には画素部2202、ゲート信号側駆動回路2203、ソース信
号側駆動回路2204が形成されている。それぞれの駆動回路からの各種配線は、入出力
配線2213〜2215を経てFPC2212に至り外部機器へと接続される。
【0223】
このとき少なくとも画素部2202、好ましくは駆動回路2203、2204及び画素
部2202を覆うようにして基板2304を設ける。なお、保護基板2304はシール材
2305によって、ガラス基板2201と共同して密閉空間を形成するようにしてガラス
基板2201に固着される。このとき、EL素子は完全に前記密閉空間に封入された状態
となり、外気から完全に遮断される。このガラス基板2201と保護基板2304とシー
ル材2305とで形成される空間をセル2306と呼ぶ。なおセル2306は、保護基板
2304を複数設けることで、複数形成しても構わない。
【0224】
また、保護基板2304の材質はガラス、ポリマー等の絶縁性物質が好ましい。例えば
、非晶質ガラス(硼硅酸塩ガラス、石英等)、結晶化ガラス、セラミックスガラス、有機
系樹脂(アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂等
)、シリコーン系樹脂が挙げられる。また、セラミックスを用いても良い。また、シール
材2305が絶縁性物質であるならステンレス合金等の金属材料を用いることも可能であ
る。
【0225】
また、シール材2305の材質は、エポキシ系樹脂、アクリレート系樹脂等のシール材
を用いることが可能である。さらに、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂をシール材として用い
ることもできる。但し、可能な限り酸素、水分を透過しない材質であることが必要である
。
【0226】
セル2306には充填材を注入しておくことが望ましい。充填材としては、PVC(ポ
リビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブラチル)
、EVA(エチレンビニルアセテート)、アクリルまたはポリイミド等を用いることがで
きる。
【0227】
また、セル2306に乾燥剤を設けておくことも有効である。乾燥剤としては特開平9
−148066号公報に記載されているような材料を用いることができる。一般的には酸
化バリウムが用いられている。
【0228】
また、
図12(B)に示すように、画素部には個々に孤立したEL素子を有する複数の
画素が設けられ、それらは全て保護電極2307を共通電極として有している。本実施例
では、EL層、陰極(MgAg電極)及び保護電極を大気解放しないで連続形成すること
が好ましいとしたが、EL層と陰極とを同じマスク材を用いて形成し、保護電極だけ別の
マスク材で形成すれば
図12(B)の構造を実現することができる。
【0229】
このとき、EL層と陰極は画素部の上にのみ設ければよく、駆動回路の上に設ける必要
はない。勿論、駆動回路上に設けられていても問題とはならないが、EL層にアルカリ金
属が含まれていることを考慮すると設けない方が好ましい。
【0230】
なお、保護電極2307は2308で示される領域において、画素電極と同一材料でな
る接続配線2309を介して入出力配線2310に接続される。入出力配線2310は保
護電極2307に電源電位を加えるための電源供給線であり、導電性ペースト材料231
1を介してFPC2212に接続される。
【0231】
なお本実施例は、実施例1または実施例2と自由に組み合わせて実施することが可能で
ある。
【実施例5】
【0232】
本実施例では、本願発明におけるELディスプレイの画素の構成について説明する。
【0233】
本願発明におけるELディスプレイの画素部には、マトリクス状に複数の画素が配列さ
れている。画素の回路図の一例を
図13(A)に示す。
図13(A)において、画素10
00の中にスイッチング用TFT1001が設けられている。
なお本願発明において、スイッチング用TFT1001はnチャネル型TFTでもpチャ
ネル型TFTでも、どちらでも用いることが可能である。
図13(A)
において、スイッチング用TFT1001にはnチャネル型TFTを用いる。
【0234】
スイッチング用TFT1001のゲート電極は、ゲート信号を入力するゲート信号線1
002に接続されている。スイッチング用TFT1001のソース領域とドレイン領域は
、一方はデジタルデータ信号を入力するデータ信号線(ソース信号線ともいう)1003
に接続されている。またもう一方はEL駆動用TFT1004のゲート電極に接続される
。
【0235】
EL駆動用TFT1004のソース領域とドレイン領域は、一方は電源供給線1005
に接続され、もう一方はドレイン領域はEL素子1006に接続される。
【0236】
EL素子1006は陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とでなる。
なお本願発明において、陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、EL駆動用TFT10
04のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1006の陽極に接続される。逆に陽
極が対向電極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT1004のソース領域またはド
レイン領域は、EL素子1006の陰極に接続される。
【0237】
なおEL駆動用TFT1004はnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでもどち
らでも用いることが可能であるが、EL素子1006の陽極が画素電極で陰極が対向電極
の場合、EL駆動用TFT1004はpチャネル型TFTであることが好ましい。また逆
にEL素子1006の陽極が対向電極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT100
4はnチャネル型TFTであることが好ましい。
図13(A)ではEL駆動用TFT10
04にpチャネル型TFTを用いており、EL素子1006の陰極は定常電源1007に
接続されている。
【0238】
また、スイッチング用TFT1001が非選択状態(オフの状態)にある時、EL駆動
用TFT1004のゲート電圧を保持するためにコンデンサを設けても良い。コンデンサ
を設ける場合、スイッチング用TFT1001のソース領域とドレイン領域のソース信号
線に接続されていない方と、電源供給線1005との間にコンデンサを接続するようにす
る。
図13(A)に示した回路図において、電源供給線1005はソース信号線1003
と平行に並んでいる。
【0239】
またEL駆動用TFT1004の活性層中にLDD領域を設け、LDD領域とゲート電極
とがゲート絶縁膜を介して重なる領域(Lov領域)を形成しても良い。EL駆動用TF
T1004がnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、活性層のドレイン領域側
にLov領域を形成することで、EL駆動用TFT1004のゲート電極とLov領域と
の間に容量を形成することができ、EL駆動用TFT1004のゲート電圧を保持するこ
とができる。特にEL駆動用TFT1004がnチャネル型TFTの場合、活性層のドレ
イン領域側にLov領域を形成することでオン電流を増加させることができる。
【0240】
EL駆動用TFTのLov領域をEL駆動用TFT1004のゲート電圧を保持するた
めのコンデンサとして用いるには、例えば画素のサイズが22μm×22μm、ゲート絶
縁膜の厚さが800Å、ゲート絶縁膜の比誘電率が4.1であった場合約19.8fFの
容量値が必要である。よってLov領域の面積(LDD領域とゲート電極とがゲート絶縁
膜を介して重なる面積)は、約66μm
2必要となる。
【0241】
なお
図13(A)に示した回路図において、スイッチング用TFT1001またはEL
駆動用TFT1004をマルチゲート構造(直列に接続された二つ以上のチャネル形成領
域を有する活性層を含む構造)としても良い。
図13(A)に示した画素のスイッチング
用TFT1001をマルチゲート構造とした画素の回路図を
図14(A)に示す。
【0242】
スイッチング用TFT1001aとスイッチング用TFT1001bとが直列に接続して
設けられている。スイッチング用TFT1001a、1001b以外は
図13(A)に示
した回路図と構成が同じである。スイッチング用TFTをマルチゲート構造にすることに
よって、オフ電流を下げることができ、コンデンサを特に設けなくともEL駆動用TFT
1004のゲート電圧を保持することができる。よって、新たにEL駆動用TFT100
4のゲート電圧を保持するためのコンデンサを設けなくとも良い。なお
図14(A)では
ダブルゲート構造としたが、本実施例はダブルゲートに限定されることはなく、マルチゲ
ート構造であれば良い。
【0243】
また図には示してはいないが、EL駆動用TFTをマルチゲート構造にした場合、熱によ
るEL駆動用TFTの劣化を抑えることができる。
【0244】
次に本願発明の画素の回路図の別の一例を
図13(B)に示す。
図13(B)において、
画素1100の中にスイッチング用TFT1101が設けられている。
なお本願発明において、スイッチング用TFT1101はnチャネル型TFTでもpチャ
ネル型TFTでも、どちらでも用いることが可能である。
図13(B)
において、スイッチング用TFT1101にはnチャネル型TFTを用いる。スイッチン
グ用TFT1101のゲート電極は、ゲート信号を入力するゲート信号線1102に接続
されている。スイッチング用TFT1101のソース領域とドレイン領域のいずれか一方
はデジタルデータ信号を入力するデータ信号線(ソース信号線ともいう)1103に接続
されている。またもう一方はEL駆動用TFT1104のゲート電極に接続される。
【0245】
そして、EL駆動用TFT1104のソース領域とドレイン領域は、一方は電源供給線
1105に接続され、もう一方はEL素子1106に接続される。
【0246】
EL素子1106は陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とでなる。
なお本願発明において、陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、EL駆動用TFT11
04のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1106の陽極に接続される。逆に陽
極が対向電極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT1104のソース領域またはド
レイン領域は、EL素子1106の陰極に接続される。なおEL駆動用TFT1104は
nチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでもどちらでも用いることが可能であるが、
EL素子1106の陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、EL駆動用TFT1104
はpチャネル型TFTであることが好ましい。また逆にEL素子1106の陽極が対向電
極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT1104はnチャネル型TFTであること
が好ましい。
図13(B)ではEL駆動用TFT1104にpチャネル型TFTを用いて
おり、EL素子1106の陰極は定常電源1107に接続されている。
【0247】
また、スイッチング用TFT1101が非選択状態(オフの状態)にある時、EL駆動
用TFT1104のゲート電圧を保持するためにコンデンサを設けても良い。コンデンサ
を設ける場合、スイッチング用TFT1101のソース領域とドレイン領域のソース信号
線に接続されていない方と、電源供給線1105との間にコンデンサを接続するようにす
る。
図13(B)に示した回路図において、電源供給線1105はゲート信号線1102
と平行に並んでいる。
【0248】
またEL駆動用TFT1104の活性層中にLDD領域を設け、LDD領域とゲート電極
とがゲート絶縁膜を介して重なる領域(Lov領域)を形成しても良い。EL駆動用TF
T1104がnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、活性層のドレイン領域側
にLov領域を形成することで、EL駆動用TFT1004のゲート電極とLov領域と
の間に容量を形成することができ、EL駆動用TFT1004のゲート電圧を保持するこ
とができる。特にEL駆動用TFT1104がnチャネル型TFTの場合、活性層のドレ
イン領域側にLov領域を形成することでオン電流を増加させることができる。
【0249】
なお
図13(B)に示した回路図において、スイッチング用TFT1101またはEL
駆動用TFT1104をマルチゲート構造としても良い。
図13(B)
に示した画素のスイッチング用TFT1101をマルチゲート構造とした画素の回路図を
図14(B)に示す。
【0250】
スイッチング用TFT1101aとスイッチング用TFT1101bとが直列に接続して
設けられている。スイッチング用TFT1101a、1101b以外は
図13(B)に示
した回路図と構成が同じである。スイッチング用TFTをマルチゲート構造にすることに
よって、オフ電流を下げることができ、コンデンサを特に設けなくともEL駆動用TFT
1104のゲート電圧を保持することができる。よって、新たにEL駆動用TFT110
4のゲート電圧を保持するためのコンデンサを設けなくとも良い。なお
図14(B)では
ダブルゲート構造としたが、本実施例はダブルゲートに限定されることはなく、マルチゲ
ート構造であれば良い。
【0251】
また図には示してはいないが、EL駆動用TFTをマルチゲート構造にした場合、熱によ
るEL駆動用TFTの劣化を抑えることができる。
【0252】
次に本願発明の画素の回路図の別の一例を
図15(A)に示す。
図15(A)
において、画素1200と画素1210とが隣接して設けられている。
図15(A)にお
いて、1201及び1211はスイッチング用TFTである。なお本願発明において、ス
イッチング用TFT1201及び1211はnチャネル型TFTでもpチャネル型TFT
でも、どちらでも用いることが可能である。
図15(A)において、スイッチング用TF
T1201及び1211にはnチャネル型TFTを用いる。スイッチング用TFT120
1及び1211のゲート電極は、ゲート信号を入力するゲート信号線1202に接続され
ている。スイッチング用TFT1201及び1211のソース領域とドレイン領域は、一
方はデジタルデータ信号を入力するデータ信号線(ソース信号線ともいう)1203と1
204とにそれぞれ接続されている。またもう一方はEL駆動用TFT1204及び12
14のゲート電極にそれぞれ接続される。
【0253】
そして、EL駆動用TFT1204及び1214のソース領域とドレイン領域の一方は
電源供給線1220に接続され、もう一方はEL素子1205及び1215にそれぞれ接
続される。このように本実施例では隣り合う2つの画素で1つの電源供給線1220を共
有している。これにより、
図13及び
図14で示した構成に比べて、電源供給線の数を減
らすことができる。配線の画素部全体に対する割合が小さいと、EL層の発光する方向に
配線が設けられている場合において、配線による光の遮蔽が抑えられる。
【0254】
EL素子1205及び1215はそれぞれ陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けら
れたEL層とでなる。なお本願発明において、陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、
EL駆動用TFT1204及び1214のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1
205及び1215の陽極に接続される。逆に陽極が対向電極で陰極が画素電極の場合、
EL駆動用TFT1204及び1214のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1
205及び1215の陰極に接続される。なおEL駆動用1204及び1214はnチャ
ネル型TFTでもpチャネル型TFTでもどちらでも用いることが可能であるが、EL素
子1205及び1215の陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、EL駆動用TFT1
204及び1214はpチャネル型TFTであることが好ましい。また逆にEL素子12
05及び1215の陽極が対向電極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT1204
及び1214はnチャネル型TFTであることが好ましい。
図15(A)ではEL駆動用
TFT1204及び1214にpチャネル型TFTを用いており、EL素子1205及び
1215の陰極は定常電源1206及び1216に接続されている。
【0255】
また、スイッチング用TFT1201及び1211が非選択状態(オフの状態)にある
時、EL駆動用TFT1204及び1214のゲート電圧を保持するためにコンデンサを
設けても良い。コンデンサを設ける場合、スイッチング用TFT1201のソース領域と
ドレイン領域のソース信号線に接続されていない方と、電源供給線1220との間にコン
デンサを接続するようにする。
【0256】
またEL駆動用TFT1204及び1214の活性層中にLDD領域を設け、LDD領
域とゲート電極とがゲート絶縁膜を介して重なる領域(Lov領域)を形成しても良い。
EL駆動用TFT1204がnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでも、活性層の
ドレイン領域側にLov領域を形成することで、EL駆動用TFT1204及び1214
のゲート電極とLov領域との間に容量を形成することができ、EL駆動用TFT120
4及び1214のゲート電圧を保持することができる。特にEL駆動用TFT1204及
び1214がnチャネル型TFTの場合、活性層のドレイン領域側にLov領域を形成す
ることでオン電流を増加させることができる。
【0257】
なお
図15(A)に示した回路図において、スイッチング用TFT1201、1211
またはEL駆動用TFT1204、1214をマルチゲート構造としても良い。
図15(
A)に示した画素のスイッチング用TFT1201、1211をマルチゲート構造とした
画素の回路図を
図16(A)に示す。
【0258】
スイッチング用TFT1201aとスイッチング用TFT1201bとが直列に接続し
て設けられている。またスイッチング用TFT1211aとスイッチング用TFT121
1bとが直列に接続して設けられている。スイッチング用TFT1201a、1201b
及びスイッチング用TFT1211a及び1211b以外は
図15(A)に示した回路図
と構成が同じである。スイッチング用TFTをマルチゲート構造にすることによって、オ
フ電流を下げることができ、コンデンサを特に設けなくともEL駆動用TFT1204及
び1214のゲート電圧を保持することができる。よって、新たにEL駆動用TFT12
04及び1214のゲート電圧を保持するためのコンデンサを設けなくとも良い。なお図
16(A)ではダブルゲート構造としたが、本実施例はダブルゲートに限定されることは
なく、マルチゲート構造であれば良い。
【0259】
また図には示してはいないが、EL駆動用TFTをマルチゲート構造にした場合、熱に
よるEL駆動用TFTの劣化を抑えることができる。
【0260】
次に本願発明の画素の回路図の別の一例を
図15(B)に示す。
図15(B)
において、画素1300と画素1310とが隣接して設けられている。
図15(B)にお
いて、1301及び1311はスイッチング用TFTである。なお本願発明において、ス
イッチング用TFT1301及び1311はnチャネル型TFTでもpチャネル型TFT
でも、どちらでも用いることが可能である。
図15(B)において、スイッチング用TF
T1301及び1311にはnチャネル型TFTを用いる。スイッチング用TFT130
1及び1311のゲート電極は、ゲート信号を入力するゲート信号線1302及び131
2にそれぞれ接続されている。スイッチング用TFT1301及び1311のソース領域
とドレイン領域は、一方はデジタルデータ信号を入力するデータ信号線(ソース信号線と
もいう)
1303にそれぞれ接続されている。またもう一方はEL駆動用TFT1304及び13
14のゲート電極にそれぞれ接続される。
【0261】
そして、EL駆動用TFT1304及び1314のソース領域とドレイン領域は、一方
は電源供給線1320に接続され、もう一方はEL素子1305及び1315にそれぞれ
接続される。このように本実施例では隣り合う2つの画素で1つの電源供給線1320を
共有している。これにより、
図13及び
図14で示した構成に比べて、電源供給線の数を
減らすことができる。配線の画素部全体に対する割合が小さいと、EL層の発光する方向
に配線が設けられている場合において、配線による光の遮蔽が抑えられる。そして
図16
(B)に示した回路図において、電源供給線1320はゲート信号線1302、1312
と平行に並んでいる。
【0262】
EL素子1305及び1315はそれぞれ陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けら
れたEL層とでなる。なお本願発明において、陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、
EL駆動用TFT1304及び1314のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1
305及び1315の陽極に接続される。逆に陽極が対向電極で陰極が画素電極の場合、
EL駆動用TFT1304及び1314のソース領域またはドレイン領域は、EL素子1
305及び1315の陰極に接続される。なおEL駆動用1304及び1314はnチャ
ネル型TFTでもpチャネル型TFTでもどちらでも用いることが可能であるが、EL素
子1305及び1315の陽極が画素電極で陰極が対向電極の場合、EL駆動用TFT1
304及び1314はpチャネル型TFTであることが好ましい。また逆にEL素子13
05及び1315の陽極が対向電極で陰極が画素電極の場合、EL駆動用TFT1304
及び1314はnチャネル型TFTであることが好ましい。
図15(B)ではEL駆動用
TFT1304及び1314にpチャネル型TFTを用いており、EL素子1305及び
1315の陰極は定常電源1306及び1316に接続されている。
【0263】
また、スイッチング用TFT1301及び1311が非選択状態(オフの状態)にある
時、EL駆動用TFT1304及び1314のゲート電圧を保持するためにコンデンサを
設けても良い。コンデンサを設ける場合、スイッチング用TFT1301、1311のソ
ース領域とドレイン領域のソース信号線に接続されていない方と、電源供給線1320と
の間にコンデンサを接続するようにする。
【0264】
またEL駆動用TFT1304及び1314の活性層中にLDD領域を設け、LDD領
域とゲート電極とがゲート絶縁膜を介して重なる領域(Lov領域)を形成しても良い。
EL駆動用TFT1304及び1314がnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTで
も、活性層のドレイン領域側にLov領域を形成することで、EL駆動用TFT1304
及び1314のゲート電極とLov領域との間に容量を形成することができ、EL駆動用
TFT1304及び1314のゲート電圧を保持することができる。特にEL駆動用TF
T1304及び1314がnチャネル型TFTの場合、活性層のドレイン領域側にLov
領域を形成することでオン電流を増加させることができる。
【0265】
なお
図15(B)に示した回路図において、スイッチング用TFT1301、1311
またはEL駆動用TFT1304、1314をマルチゲート構造としても良い。
図15(
B)に示した画素のスイッチング用TFT1301、1311をマルチゲート構造とした
画素の回路図を
図16(B)に示す。
【0266】
スイッチング用TFT1301aとスイッチング用TFT1301bとが直列に接続し
て設けられている。またスイッチング用TFT1311aとスイッチング用TFT131
1bとが直列に接続して設けられている。スイッチング用TFT1301a、1301b
及びスイッチング用TFT1311a及び1311b以外は
図15(B)に示した回路図
と構成が同じである。スイッチング用TFTをマルチゲート構造にすることによって、オ
フ電流を下げることができ、コンデンサを特に設けなくともEL駆動用TFT1304及
び1314のゲート電圧を保持することができる。よって、新たにEL駆動用TFT13
04及び1314のゲート電圧を保持するためのコンデンサを設けなくとも良い。なお図
16(B)ではダブルゲート構造としたが、本実施例はダブルゲートに限定されることは
なく、マルチゲート構造であれば良い。
【0267】
また図には示してはいないが、EL駆動用TFTをマルチゲート構造にした場合、熱に
よるEL駆動用TFTの劣化を抑えることができる。
【0268】
なお本実施例において、EL駆動用TFTのドレイン領域とEL素子が有する画素電極
との間に抵抗体を設けても良い。抵抗体を設けることによって、EL駆動用TFTからE
L素子へ供給される電流量を制御し、EL駆動用TFTの特性のバラツキの影響を防ぐこ
とが可能になる。抵抗体はEL駆動用TFTのオン抵抗よりも十分に大きい抵抗値を示す
素子であれば良いため構造等に限定はない。
なお、オン抵抗とは、TFTがオンの状態の時に、TFTのドレイン電圧をその時に流れ
ているドレイン電流で割った値である。抵抗体の抵抗値としては1kΩ〜50MΩ(好ま
しくは10kΩ〜10MΩ、さらに好ましくは50kΩ〜1MΩ)の範囲から選択すれば
良い。抵抗体として抵抗値の高い半導体層を用いると形成が容易であり好ましい。
【0269】
本実施例は、実施例1〜3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例6】
【0270】
発光装置が画像を表示するのに、必要に応じて様々な補正が必要になる場合がある。例
えばガンマ補正や自発光素子の発光強度の補正などである。また、CRT用にガンマ補正
をかけた信号を扱う場合、逆のガンマ補正が必要となる場合がある。本実施例では、本願
発明に用いられるデジタルのビデオ信号に補正をかけることができる補正システムについ
て説明する。
【0271】
以下に4ビットのデジタルのビデオ信号に補正をかける補正システムを例にとって説明
する。なお本実施例はこのビット数に限定されない。本実施例で用いられる補正システム
は、
図4(A)で示した時分割階調データ信号発生回路114に入力される前のビデオ信
号に補正をかける。なお、補正にかけるビデオ信号はデジタルの信号である必要があるた
め、ビデオ信号がアナログの場合はデジタル信号に変換してから補正をかける。
【0272】
図20は横軸に補正システムに入力する前のビデオ信号(補正前ビデオ信号)
、縦軸に補正システムから出力されるビデオ信号(補正後ビデオ信号)を示したものであ
る。ビデオ信号にこのような補正をかけたい場合、具体的には
図21に示すような補正シ
ステムを、時分割階調データ信号発生回路の前に設ける。
【0273】
図21(A)に示すのは、本願発明で用いられる補正システムの1つの例である。
図2
1(A)に示す補正システムには、ビデオ信号のビット数と同じ数の不揮発性メモリ(9
01〜904)が設けられている。
【0274】
in1〜in4には補正前ビデオ信号の各ビットの情報が順に入力される。なおin1
には補正前ビデオ信号の1ビット目(LSB)が、in4には補正前ビデオ信号の4ビッ
ト目(MSB)が入力される。
【0275】
全ての不揮発性メモリ(901〜904)に、4ビットの情報を有する補正前ビデオ信
号が入力される。
【0276】
不揮発性メモリ901には、入力された補正前ビデオ信号に対して出力される1ビット
目の補正後ビデオ信号の情報が内蔵されている。よって不揮発性メモリ901に入力され
た補正前ビデオ信号は、1ビット目の補正後ビデオ信号に変換されてout1から出力さ
れる。なお本願発明において、入力された補正前ビデオ信号に対して出力される補正後ビ
デオ信号の情報を、補正データと呼ぶ。
【0277】
同様に不揮発性メモリ902〜904には、入力された補正前ビデオ信号に対して出力
される2〜4ビット目の補正後ビデオ信号の情報がそれぞれ内蔵されている。よって不揮
発性メモリ902〜904に入力された補正前ビデオ信号は、2〜4ビット目の補正後ビ
デオ信号に変換されてout2〜out4から出力される。
【0278】
補正前ビデオ信号が補正後ビデオ信号に変換される様子を、具体的に
図22に示す。i
n1〜in4に入力された補正前ビデオ信号が(0000)という情報を有していた場合
、不揮発性メモリ901〜904から全て0の情報が出力される。そのため、out1〜
out4から出力される補正後ビデオ信号は(0000)という情報を有することとなる
。
【0279】
in1〜in4に入力された補正前ビデオ信号が(1000)という情報を有していた
場合、不揮発性メモリ901、903、904から0の情報が出力される。また不揮発性
メモリ902から1の情報が出力される。そのため、out1〜out4から出力される
補正後ビデオ信号は(0100)という情報を有することとなる。
【0280】
また、in1〜in4に入力された補正前ビデオ信号が(1111)という情報を有し
ていた場合、不揮発性メモリ901〜904から全て1の情報が出力される。そのため、
out1〜out4から出力される補正後ビデオ信号は(1111)という情報を有する
こととなる。
【0281】
このように、不揮発性メモリ901〜904を用いた補正システムによって、
図20に
示したような補正をビデオ信号にかけることができる。
【0282】
図21(B)に、本願発明に用いられる補正システムの、
図21(A)に示したものと
は別の例を示す。
図21(B)に示す補正システムには、ビデオ信号のビット数と同じ数
の揮発性メモリ(911〜914)と記憶用不揮発性メモリ(921〜924)が設けら
れている。
【0283】
in1〜in4には補正前ビデオ信号の各ビットの情報が順に入力される。なおin1
には補正前ビデオ信号の1ビット目(LSB)が、in4には補正前ビデオ信号の4ビッ
ト目(MSB)が入力される。
【0284】
全ての記憶用不揮発性メモリ(921〜924)に、4ビットの情報を有する補正前ビ
デオ信号が入力される。
【0285】
記憶用不揮発性メモリ921には、入力された補正前ビデオ信号に対して出力される1
ビット目の補正後ビデオ信号の情報が内蔵されている。同様に記憶用不揮発性メモリ92
2〜924には、入力された補正前ビデオ信号に対して出力される2〜4ビット目の補正
後ビデオ信号の情報がそれぞれ内蔵されている。そして、記憶用不揮発性メモリ921〜
924に内蔵されている情報は、それぞれ揮発性メモリ911〜914において読み込ま
れ、一定の期間保持される。
【0286】
よって揮発性メモリ911に入力された補正前ビデオ信号は、1ビット目の補正後ビデ
オ信号に変換されてout1から出力される。また同様に不揮発性メモリ902〜904
に入力された補正前ビデオ信号も、それぞれ2〜4ビット目の補正後ビデオ信号に変換さ
れてout2〜out4から出力される。
【0287】
このように、
図21(B)に示した補正システムによって、補正前ビデオ信号を補正後
ビデオ信号に変換することができる。なお、不揮発性メモリに比べて揮発性メモリは高速
で動作することが可能であることから、
図21(B)に示した補正システムは、
図21(
A)に示した補正システムに比べて高速で動作させることが可能である。
【0288】
図21に示した補正システムは、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、記憶用不揮発性メモ
リ等のメモリ回路をビデオ信号のビット数と同じ数に分割して設けているが、これらのメ
モリ回路は同一のICチップ上のものであっても良い。また半導体を用いてELディスプ
レイと同一基板上に形成しても良い。
【0289】
なお、本実施例の補正システムにおいて、メモリ回路に記憶された補正データは、本実
施例で用いたものに限られない。
【0290】
本実施例は、実施例1〜5と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例7】
【0291】
本願発明のELディスプレイにおいて、EL素子が有するEL層に用いられる材料は、
有機EL材料に限定されず、無機EL材料を用いても実施できる。但し、現在の無機EL
材料は非常に駆動電圧が高いため、そのような駆動電圧に耐えうる耐圧特性を有するTF
Tを用いなければならない。
【0292】
または、将来的にさらに駆動電圧の低い無機EL材料が開発されれば、本願発明に適用
することは可能である。
【0293】
また、本実施例の構成は、実施例1〜6のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例8】
【0294】
本願発明において、EL層として用いる有機物質は低分子系有機物質であってもポリマ
ー系(高分子系)有機物質であっても良い。低分子系有機物質はAlq
3(トリス−8−
キノリライト−アルミニウム)、TPD(トリフェニルアミン誘導体)等を中心とした材
料が知られている。ポリマー系有機物質として、π共役ポリマー系の物質が挙げられる。
代表的には、PPV(ポリフェニレンビニレン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、
ポリカーボネート等が挙げられる。
【0295】
ポリマー系(高分子系)有機物質は、スピンコーティング法(溶液塗布法ともいう)、デ
ィッピング法、ディスペンス法、印刷法またはインクジェット法など簡易な薄膜形成方法
で形成でき、低分子系有機物質に比べて耐熱性が高い。
【0296】
また本願発明のELディスプレイが有するEL素子において、そのEL素子が有するEL
層が、電子輸送層と生孔輸送層とを有している場合、電子輸送層と生孔輸送層とを無機の
材料、例えば非晶質のSiまたは非晶質のSi
1-xC
x等の非晶質半導体で構成しても良い
。
【0297】
非晶質半導体には多量のトラップ準位が存在し、かつ非晶質半導体が他の層と接する界面
において多量の界面準位を形成する。そのため、EL素子は低い電圧で発光させることが
できるとともに、高輝度化を図ることもできる。
【0298】
また有機EL層にドーパント(不純物)を添加し、有機EL層の発光の色を変化させて
も良い。ドーパントとして、DCM1、ナイルレッド、ルブレン、クマリン6、TPB、
キナクリドン等が挙げられる。
【0299】
また、本実施例の構成は、実施例1〜7のいずれの構成とも自由に組み合わせることが
可能である。
【実施例9】
【0300】
次に
図1に示した本願発明のELディスプレイの、別の駆動方法について説明する。こ
こではnビットデジタル駆動方式により2
n階調の表示を行う場合について説明する。な
おタイミングチャートは実施の形態で示した場合と同じであるので、
図2を参照する。
【0301】
図1に本実施例のELディスプレイの画素部1500の構造を示す。ゲート信号を入力
するゲート信号線(G1〜Gy)は各画素が有するスイッチング用TFT1501のゲー
ト電極に接続されている。また各画素の有するスイッチング用TFT1501のソース領
域とドレイン領域は、一方がデジタルデータ信号を入力するソース信号線(データ信号線
ともいう)(S1〜Sx)に、もう一方が各画素が有するEL駆動用TFT1504のゲ
ート電極及び各画素が有するコンデンサ1508にそれぞれ接続されている。なお本実施
例ではコンデンサ1508を有する構成としたが、コンデンサ1508がない構成であっ
ても良い。本願発明はコンデンサの有無に限定されない。
【0302】
各画素が有するEL駆動用TFT1504のソース領域とドレイン領域はそれぞれ、一
方は電源供給線(V1〜Vx)に、もう一方はEL素子1506に接続されている。電源
供給線(V1〜Vx)の電位を電源電位と呼ぶ。また電源供給線(V1〜Vx)は、各画
素が有するコンデンサ1508に接続されている。なおデジタルデータ信号とは、アナロ
グまたはデジタルのビデオ信号を、時分割階調を行うために変換したデジタル信号であり
、画像情報を含む信号である。
【0303】
EL素子1506は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。
陽極がEL駆動用TFT1504のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、
言い換えると陽極が画素電極の場合、対向電極である陰極は一定の電位に保たれる。逆に
陰極がEL駆動用TFT1504のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、
言い換えると陰極が画素電極の場合、対向電極である陽極は一定の電位に保たれる。
【0304】
対向電極の定常電位と画素電極の電源電位との電位差がEL駆動電圧であり、このEL
駆動電圧がEL層にかかる。
【0305】
まず、1フレーム期間(F)をn個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)に分割する
。なお、画素部の全ての画素が1つの画像を表示する期間を1フレーム期間(F)と呼ぶ
。
【0306】
サブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサステイン期間(Ts)とに分けられる。
アドレス期間とは、1サブフレーム期間中、全画素にデジタルデータ信号を入力するのに
要する時間であり、サステイン期間(点灯期間とも呼ぶ)とは、EL素子を発光させる期
間を示している。
【0307】
SF1〜SFnがそれぞれ有するアドレス期間(Ta)をそれぞれTa1〜Tanとす
る。SF1〜SFnがそれぞれ有するサステイン期間(Ts)をそれぞれTs1〜Tsn
とする。
【0308】
まずアドレス期間において、電源供給線(V1〜Vx)は定常電位と同じ高さの電源電
位に保たれている。本実施例において、デジタル駆動のアドレス期間における電源電位を
オフの電源電位と呼ぶ。なおオフの電源電位の高さは、EL素子1506が発光しない範
囲で、定常電位の高さと同じであれば良い。なおこのときのEL駆動電圧をオフのEL駆
動電圧と呼ぶ。理想的にはオフのEL駆動電圧は0Vであることが望ましいが、EL素子
1506が発光しない程度の大きさであれば良い。
【0309】
そしてゲート信号線G1にゲート信号が入力され、ゲート信号線G1に接続されているス
イッチング用TFT1501全てがONの状態になる。
【0310】
そしてゲート信号線G1に接続されているスイッチング用TFT1501がONにされ
た状態で、ソース信号線(S1〜Sx)に順にデジタルデータ信号が入力される。
【0311】
そしてソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号は、オン(ON)
の状態のスイッチング用TFT1501を介してEL駆動用TFT1504のゲート電極
に入力される。またゲート信号線G1に接続された全ての画素のコンデンサ1508にも
デジタルデータ信号が入力され、電荷が保持される。
【0312】
次にゲート信号線G2にゲート信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているス
イッチング用TFT1501全てがONの状態になる。そしてゲート信号線G2に接続さ
れているスイッチング用TFT1501をONにした状態で、ソース信号線(S1〜Sx
)に順にデジタルデータ信号が入力される。ソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデ
ジタルデータ信号は、スイッチング用TFT1501を介してEL駆動用TFT1504
のゲート電極に入力される。またゲート信号線G2に接続された全ての画素のコンデンサ
1508にもデジタルデータ信号が入力され保持される。
【0313】
上述した動作をゲート信号線Gyまで繰り返し、全ての画素にデジタルデータ信号が入
力される。全ての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間がアドレス期間であ
る。
【0314】
アドレス期間が終了すると同時にサステイン期間となる。サステイン期間になると、電
源供給線(V1〜Vx)の電位は、オフの電源電位からオンの電源電位に変わる。本実施
例において、デジタル駆動のサステイン期間における電源電位をオンの電源電位と呼ぶ。
オンの電源電位は、EL素子が発光する程度に定常電位との間に電位差を有していればよ
い。なおこの電位差をオンのEL駆動電圧と呼ぶ。なおオフの電源電位とオンの電源電位
とを総称して電源電位と呼ぶ。またオンのEL駆動電圧とオフのEL駆動電圧を総称して
EL駆動電圧と呼ぶ。
【0315】
そしてサステイン期間において、全てのスイッチング用TFT1501はオフ状態とな
る。そしてコンデンサ1508において保持されたデジタルデータ信号が、EL駆動用T
FT1504のゲート電極に入力される。
【0316】
本実施例では、デジタルデータ信号が「0」の情報を有していた場合、EL駆動用TF
T1504はオフ状態となる。よってEL素子1506の画素電極はオフの電源電位に保
たれたままである。その結果、「0」の情報を有するデジタルデータ信号が印加された画
素が有するEL素子1506は発光しない。
【0317】
逆に本実施例では、「1」の情報を有していた場合、EL駆動用TFT1504はオン
状態となる。よってEL素子1506の画素電極はオンの電源電位になる。その結果、「
1」の情報を有するデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素子1506は発
光する。
【0318】
サステイン期間が終了すると再びアドレス期間に入り、全画素にデータ信号を入力した
らサステイン期間に入る。このときはTs1〜Ts(n−1)のいずれかの期間がサステ
イン期間となる。ここではTs(n−1)の期間、所定の画素を点灯させたとする。
【0319】
以下、残りのn−2個のサブフレームについて同様の動作を繰り返し、順次Ts(n−
2)、Ts(n−3)、…、Ts1とサステイン期間を設定し、それぞれのサブフレーム
で所定の画素を点灯させたとする。
【0320】
n個のサブフレーム期間が終了したら、1フレーム期間が終了する。
【0321】
なお、本願発明において、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、少なくと
も1つのサステイン期間において、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間におけるE
L素子の発光輝度よりも、常に低くなるように設定する。
【0322】
発光輝度が他のサステイン期間の1/mであるサステイン期間をTsp(pは1以上n
以下の任意の数である)とすると、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、サ
ステイン期間Tsp以外のサステイン期間の長さは、2
-(n-1)T(Tは正の定数)で表さ
れる。また、サステイン期間Tspの長さは2
-(p-1)T×mで表される。なお、mは1よ
り大きい正数である。よって、サステイン期間TspにおいてEL素子の発光輝度が他の
サステイン期間の1/mであっても、サステイン期間Tspの長さが2
-(p-1)T×mに設
定されているので、所望の階調表示が得られる。
【0323】
よって、n個のサステイン期間Ts1、…、Tsnのうち、どのサステイン期間をサス
テイン期間Tspとしても、またサステイン期間Tspをいくつ設けてたとしても、全て
のサステイン期間Ts1、…、TsnにおいてEL素子が発する光の量をLm1、…、L
mnとすると、Lm1:Lm2:Lm3:…:Lm(n−1):Lmn=2
0:2
-1:2
-
2:…:2
-(n-2):2
-(n-1)となる。但し、SF1〜SFnを出現させる順序はどのよう
にしても良く、よってサステイン期間Ts1、…、Tsnを出現させる順序も任意である
。このサステイン期間の組み合わせで2
n階調のうち所望の階調表示を行うことができる
。
【0324】
各画素の階調は、1フレーム期間においてどのサブフレーム期間を選択して発光させる
かによって決まる。例えば、n=8のとき、全部のサステイン期間で発光した場合の画素
の輝度を100%とすると、Ts1とTs2において画素が発光した場合には75%の輝
度が表現でき、Ts3とTs5とTs8を選択した場合には16%の輝度が表現できる。
【0325】
本願発明では上記構成によって、TFTによってId−Vg特性に多少のばらつきがあ
っても、等しいゲート電圧がかかったときに出力される電流量のばらつきを抑えることが
できる。よってId−Vg特性のバラツキによって、同じ電圧の信号を入力してもEL素
子の発光量が隣接画素で大きく異なってしまうという事態を避けることが可能になる。
【0326】
また、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間の1/mであるサステイン期間Tsp
において、EL素子の発光時間を2
-(p-1)T×m(Tは正の定数)とすることができる。
上記構成によって、画像の階調数が高くなることによってビット数nが大きくなり、2
-(
n-1)Tで表されるあるサステイン期間の長さが短くなっても、EL素子の発光輝度を他の
サステイン期間の1/mに調整することでサステイン期間の長さを2
-(p-1)T×mとし、
延ばすことが可能になる。
【0327】
なお上述した本実施例の構成では、対向電極の電位を常に一定に保ち、画素電極の電位を
アドレス期間とサステイン期間とで変化させて、オフのEL駆動電圧またはオンのEL駆
動電圧をEL層に加えていた。しかし本願発明はこの構成に限定されない。逆に画素電極
の電位を常に一定に保ち、対向電極の電位をアドレス期間とサステイン期間とで変化させ
ることで、オフのEL駆動電圧またはオンのEL駆動電圧をEL層に加えても良い。この
場合EL素子の輝度の調整は、対向電極の電位の制御によって行われる。
【0328】
また上述した本実施例の構成では、オフのEL駆動電圧を0としてEL素子を発光させ
なかったが、オフのEL駆動電圧をオンのEL駆動電圧と同じ電圧とし、アドレス期間も
発光させるようにしても良い。この場合、電源電位と定常電位を常に一定の値に保つ。た
だしこの場合、サブフレーム期間が発光する期間となるので、サブフレーム期間の長さを
、SF1、SF2、…、SFn=2
0T、2
-1T、…、2
-(n-1)Tとし、輝度が1/mで
あるサブフレーム期間の長さを2
-(n-1)T×mとする。上記構成により、アドレス期間を
発光させない駆動方法に比べて、高い輝度の画像が得られる。
【0329】
また本実施例ではノン・インターレース走査で駆動した例について説明したが、インタ
ーレースで駆動することも可能である。
【0330】
また、本実施例の構成は、実施例1、3〜8のいずれの構成とも自由に組み合わせるこ
とが可能である。
【実施例10】
【0331】
次に本願発明のELディスプレイの、別の駆動方法について説明する。ここでは4ビッ
トのデジタルデータ信号により2
4階調の表示を行う場合について説明する。なおタイミ
ングチャートは実施例2で示した場合と同じであるので、
図6を参照する。
【0332】
本実施例のELディスプレイの画素部の構造は、
図1に示した物と同じである。ゲート
信号を入力するゲート信号線(G1〜Gy)は各画素が有するスイッチング用TFTのゲ
ート電極に接続されている。また各画素の有するスイッチング用TFTのソース領域とド
レイン領域は、一方がデジタルデータ信号を入力するソース信号線(S1〜Sx)に、も
う一方が各画素が有するEL駆動用TFTのゲート電極及び各画素が有するコンデンサに
それぞれ接続されている。なお本実施例ではコンデンサを有する構成としたが、コンデン
サがない構成であっても良い。本願発明はコンデンサの有無に限定されない。
【0333】
各画素が有するEL駆動用TFTのソース領域とドレイン領域はそれぞれ、一方は電源
供給線(V1〜Vx)に、もう一方はEL素子に接続されている。電源供給線(V1〜V
x)の電位を電源電位と呼ぶ。また電源供給線(V1〜Vx)
は、各画素が有するコンデンサに接続されている。
【0334】
EL素子は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。
陽極がEL駆動用TFTのソース領域またはドレイン領域と接続している場合、言い換え
ると陽極が画素電極の場合、対向電極である陰極は一定の電位に保たれる。逆に陰極がE
L駆動用TFTのソース領域またはドレイン領域と接続している場合、言い換えると陰極
が画素電極の場合、対向電極である陽極は一定の電位に保たれる。また本明細書において
、対向電極の電位を定常電位と呼ぶ。なお対向電極に定常電位を与える電源を定常電源と
呼ぶ。
【0335】
対向電極の定常電位と画素電極の電源電位との電位差がEL駆動電圧であり、このEL
駆動電圧がEL層にかかる。
【0336】
図6に、本実施例のELディスプレイのデジタル駆動におけるタイミングチャートを示
す。まず、1フレーム期間(F)を4個のサブフレーム期間(SF1〜SF4)に分割す
る。
【0337】
サブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサステイン期間(Ts)とに分けられる。
アドレス期間とは、1サブフレーム期間中、全画素にデジタルデータ信号を入力するのに
要する時間であり、サステイン期間(点灯期間とも呼ぶ)とは、EL素子を発光させる期
間を示している。
【0338】
SF1〜SF4がそれぞれ有するアドレス期間(Ta)をそれぞれTa1〜Ta4とす
る。SF1〜SF4がそれぞれ有するサステイン期間(Ts)をそれぞれTs1〜Ts4
とする。
【0339】
まずアドレス期間において、電源供給線(V1〜Vx)は定常電位と同じ高さの電源電
位に保たれている。本実施例において、デジタル駆動のアドレス期間における電源電位を
オフの電源電位と呼ぶ。なおオフの電源電位の高さは、EL素子が発光しない範囲で、定
常電位の高さと同じであれば良い。なおこのときのEL駆動電圧をオフのEL駆動電圧と
呼ぶ。理想的にはオフのEL駆動電圧は0Vであることが望ましいが、EL素子が発光し
ない程度の大きさであれば良い。
【0340】
そしてゲート信号線G1にゲート信号が入力され、ゲート信号線G1に接続されているス
イッチング用TFT全てがONの状態になる。
【0341】
そしてゲート信号線G1に接続されているスイッチング用TFTがONにされた状態で
、ソース信号線(S1〜Sx)に順にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデータ
信号は「0」または「1」の情報を有しており、「0」と「1」のデジタルデータ信号は
、一方がHi、一方がLoの電圧を有する信号である。
【0342】
そしてソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号は、オン(ON)
の状態のスイッチング用TFTを介してEL駆動用TFTのゲート電極に入力される。ま
たゲート信号線G1に接続された全ての画素のコンデンサにもデジタルデータ信号が入力
され、電荷が保持される。
【0343】
次にゲート信号線G2にゲート信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているス
イッチング用TFT全てがONの状態になる。そしてゲート信号線G2に接続されている
スイッチング用TFTをONにした状態で、ソース信号線(S1〜Sx)に順にデジタル
データ信号が入力される。ソース信号線(S1〜Sx)に入力されたデジタルデータ信号
は、スイッチング用TFTを介してEL駆動用TFTのゲート電極に入力される。またゲ
ート信号線G2に接続された全ての画素のコンデンサにもデジタルデータ信号が入力され
保持される。
【0344】
上述した動作をゲート信号線Gyまで繰り返し、全ての画素にデジタルデータ信号が入
力される。全ての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間がアドレス期間であ
る。
【0345】
アドレス期間が終了すると同時にサステイン期間となる。サステイン期間になると、電
源供給線(V1〜Vx)の電位は、オフの電源電位からオンの電源電位に変わる。本実施
例において、デジタル駆動のサステイン期間における電源電位をオンの電源電位と呼ぶ。
オンの電源電位は、EL素子が発光する程度に定常電位との間に電位差を有していればよ
い。なおこの電位差をオンのEL駆動電圧と呼ぶ。なおオフの電源電位とオンの電源電位
とを総称して電源電位と呼ぶ。またオンのEL駆動電圧とオフのEL駆動電圧を総称して
EL駆動電圧と呼ぶ。
【0346】
そしてサステイン期間において、全てのスイッチング用TFTはオフ状態となる。そし
てコンデンサにおいて保持されたデジタルデータ信号が、EL駆動用TFTのゲート電極
に入力される。
【0347】
本実施例では、デジタルデータ信号が「0」の情報を有していた場合、EL駆動用TF
Tはオフ状態となる。よってEL素子の画素電極はオフの電源電位に保たれたままである
。その結果、「0」の情報を有するデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素
子は発光しない。
【0348】
逆に本実施例では、「1」の情報を有していた場合、EL駆動用TFTはオン状態とな
る。よってEL素子の画素電極はオンの電源電位になる。その結果、「1」の情報を有す
るデジタルデータ信号が印加された画素が有するEL素子は発光する。
【0349】
サステイン期間が終了すると再びアドレス期間に入り、全画素にデータ信号を入力した
らサステイン期間に入る。このときはTs1〜Ts3のいずれかの期間がサステイン期間
となる。ここではTs3の期間、所定の画素を点灯させたとする。
【0350】
以下、残りの2個のサブフレームについて同様の動作を繰り返し、順次Ts2、Ts1
とサステイン期間を設定し、それぞれのサブフレームで所定の画素を点灯させたとする。
【0351】
4個のサブフレーム期間が終了したら、1フレーム期間が終了する。
【0352】
なお、本願発明において、4個のサステイン期間Ts1、…、Ts4のうち、少なくと
も1つのサステイン期間において、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間におけるE
L素子の発光輝度よりも、常に低くなるように設定する。本実施例ではサステイン期間T
s3とTs4におけるEL素子の発光輝度が、ほかのサステイン期間Ts1とTs2にお
けるEL素子の発光輝度の1/2である。つまりサステイン期間Ts3とTs4における
オンのEL駆動電圧が、ほかのサステイン期間Ts1とTs2におけるEL駆動電圧の1
/2である。
【0353】
発光輝度が他のサステイン期間の1/2であるサステイン期間Ts3とTs4以外のサ
ステイン期間Ts1とTs2の長さは、それぞれT、2
-1T(Tは正の定数)で表される
。また、サステイン期間Ts3とTs4の長さは、それぞれ2
-2T×2、2
-3T×2で表
される。つまりサステイン期間Ts1〜Ts4の長さの比は、1:2
-1:2
-1:2
-2とな
る。よって、サステイン期間Ts3とTs4の発光輝度が他のサステイン期間の1/2で
あっても、全てのサステイン期間におけるサステイン期間Ts3とTs4の長さ割合が、
発光輝度を1/2にしない場合に比べて2倍になっている。よって、サステイン期間Ts
3とTs4においてEL素子の発光輝度が他のサステイン期間の1/2であっても、サス
テイン期間Ts3とTs4の長さの割合が2倍に設定されているので、所望の階調表示が
得られる。
【0354】
よって、本実施例ではサステイン期間Ts3とTs4においてEL素子の輝度を1/2
としたが、4個のサステイン期間Ts1、…、Ts4のうち、どのサステイン期間の輝度
をどのぐらい低くしても、また輝度の低いサステイン期間をいくつ設けてたとしても、全
てのサステイン期間Ts1、…、Ts4においてEL素子が発する光の量をLm1、…、
Lm4とすると、Lm1:Lm2:Lm3:Lm4=2
0:2
-1:2
-2:2
-3となる。但
し、SF1〜SF4を出現させる順序はどのようにしても良く、よってサステイン期間T
s1、…、Ts4を出現させる順序も任意である。このサステイン期間の組み合わせで2
4階調のうち所望の階調表示を行うことができる。
【0355】
各画素の階調は、1フレーム期間においてどのサブフレーム期間を選択して発光させる
かによって決まる。例えば、n=4のとき、全部のサステイン期間で発光した場合の画素
の輝度を100%とすると、Ts1とTs2において画素が発光した場合には80%の輝
度が表現でき、Ts2とTs3とTs4を選択した場合には47%の輝度が表現できる。
【0356】
本願発明では上記構成によって、TFTによってId−Vg特性に多少のばらつきがあ
っても、等しいゲート電圧がかかったときに出力される電流量のばらつきを抑えることが
できる。よってId−Vg特性のバラツキによって、同じビデオ信号を入力してもEL素
子の発光量が隣接画素で大きく異なってしまうという事態を避けることが可能になる。
【0357】
また、EL素子の発光輝度が他のサステイン期間Ts1〜Tsnの1/mであるサステ
イン期間Tspにおいて、他のサステイン期間Ts1〜Tsnの長さを2
-(n-1)T(Tは
正の定数)とすると、EL素子の発光時間を2
-(p-1)T×mとすることができる。上記構
成によって、サステイン期間TspのEL素子の発光輝度を他のサステイン期間の1/m
に調整することで、全てのサステイン期間におけるサステイン期間Tspの長さの割合を
、サステイン期間Tspの発光輝度を1/mにしない場合に比べてm倍に延ばすことが可
能になる。よって画像の階調数が高くなることによってビット数nが大きくなり最短のサ
ステイン期間の長さが短くなっても、EL素子の発光輝度を低くすることでサステイン期
間の長さを延ばすことができる。
【0358】
また本実施例ではノン・インターレース走査で駆動した例について説明したが、インタ
ーレースで駆動することも可能である。
【0359】
また、本実施例の構成は、実施例1、3〜8のいずれの構成とも自由に組み合わせるこ
とが可能である。
【実施例11】
【0360】
本願発明を実施して形成されたELディスプレイ(ELモジュール)は、自発光型であ
るため液晶表示装置に比べて明るい場所での視認性に優れている。そのため本願発明は直
視型のELディスプレイ(ELモジュールを組み込んだ表示ディスプレイを指す)に対し
て実施することが可能である。ELディスプレイとしてはパソコンモニタ、TV放送受信
用モニタ、広告表示モニタ等が挙げられる。
【0361】
また、本願発明は上述のELディスプレイも含めて、表示ディスプレイを部品として含
むあらゆる電子機器に対して実施することが可能である。
【0362】
そのような電子機器としては、EL表示装置、ビデオカメラ、デジタルカメラ、頭部取り付け型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ等)、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはコンパクトディスク(CD)、レーザーディスク
(登録商標)(LD)又はデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の例を
図17に示す。
【0363】
図17(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、筐体2002、表示装
置2003、キーボード2004等を含む。本願発明の表示装置はパーソナルコンピュー
タの表示装置2003に用いることができる。
【0364】
図17(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示装置2102、音声入力部2
103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本願発
明のELディスプレイはビデオカメラの表示装置2102に用いることができる。
【0365】
図17(C)は頭部取り付け型のゴーグルの一部(右片側)であり、本体2301、信
号ケーブル2302、頭部固定バンド2303、表示モニタ2304、光学系2305、
表示装置2306等を含む。本願発明のELディスプレイは表示装置2306に用いるこ
とができる。
【0366】
図17(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体2401、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2402、操作スイッチ
2403、表示装置(a)2404、表示装置(b)2405等を含む。表示装置(a)
2404は主として画像情報を表示し、表示装置(b)2405は主として文字情報を表
示するが、本願発明のELディスプレイは記録媒体を備えた画像再生装置の表示装置(a
)2404と表示装置(b)2405に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画
像再生装置としては、CD再生装置、ゲーム機器などに本願発明を用いることができる。
【0367】
図17(E)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体2501、カメラ部25
02、受像部2503、操作スイッチ2504、表示装置2505等を含む。本願発明の
ELディスプレイは携帯型(モバイル)コンピュータの表示装置2505に用いることが
できる。
【0368】
また、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、フロント型若しくはリア型のプロジ
ェクターに用いることも可能となる。
【0369】
以上の様に、本願発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用するこ
とが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜10のどのような組み合わせか
らなる構成を用いても実現することができる。