(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(メタ)アクリル化用化合物(c2)がヒドロキシエチルアクリラート、グリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜6までのいずれか一項に記載の化合物。
ナノスケールフィラー(E)がシリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化アンチモンから選択され、組成物の有機不揮発分の総重量に対して、少なくとも10重量%の量で存在する、請求項12に記載の放射線硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の態様では、
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)少なくとも1種の連結化合物(b1)及び/又は(b2)であって、連結化合物(b1)が、環中に少なくとも1個の
【化2】
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択され、連結化合物(b2)がエピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される、連結化合物、
(c)(少なくとも1種の)(メタ)アクリル化用化合物
から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合し、
化合物(b13)が使用される場合、少なくとも1種の化合物(b2)が使用される、上記(メタ)アクリル化化合物(A)が提供される。
【0016】
本発明はさらに、
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)少なくとも1種の連結化合物(b1)及び/又は(b2)であって、連結化合物(b1)が、環中に少なくとも1個の
【化3】
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択され、連結化合物(b2)がエピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される、連結化合物、
(c)少なくとも1種の(メタ)アクリル化用化合物
を反応させるステップを含む、(メタ)アクリル化化合物(A)を作製するためのプロセスであって、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合し、
化合物(b13)が使用される場合、少なくとも1種の化合物(b2)が使用される、上記プロセスを開示する。
【0017】
別段の記載がない限り、単数を示す単語は複数も包含し、逆もまた同様である。
【0018】
「(メタ)アクリル化された」とは、本発明の化合物(A)が1個若しくは複数のアクリロイル基、1個若しくは複数のメタクリロイル基、又は両者の混合物を含有することを示すことが意図される。
【0019】
「ポリオール」とは2個以上のヒドロキシル基を有する有機化合物を示すことが意図される。ジオールが多くの場合好ましい。
【0020】
環状エーテルポリオール(a)は少なくとも1個の環状エーテル基及び少なくとも2個のヒドロキシル基を有する化合物である。好ましい環状エーテルポリオール(a)は、例えば農業、林業、植物、細菌又は動物原料などの再生可能な生物原料に由来する又はそれにより合成される化合物である、生物由来の環状エーテルポリオールである。そのような化合物の非網羅的な例はアンヒドロヘキシトールである。アンヒドロヘキシトールは、典型的にはいくつかの生物原料、例えばコムギ、トウモロコシ、セルロースに由来するヘキソース、例えばグルコース、マンノース、イドースのカルボニル基を還元することにより生成されるヘキシトール、例えばソルビトール、マンニトール、イジトールの脱水により得られる。アンヒドロヘキシトールは好ましくはジアンヒドロヘキシトール、例えばジアンヒドロマンニトール、ジアンヒドロソルビトール、ジアンヒドロイジトール、及びそれらの混合物である。ジアンヒドロヘキシトールは、好ましくはジアンヒドロソルビトールであり、最も好ましくはイソソルビドである。少数の会社がそれらの製造を専門としている。
【0021】
本発明による化合物(b)はそれぞれ独立に脂肪族又は芳香族の化合物であり得る。本発明による化合物(b)は好ましくは脂肪族化合物である。脂肪族化合物(b)の使用は有利なことに、芳香族の同等物と比較して、とりわけ耐黄変性の観点から改善された耐久性を有し、より低い粘度を有する(メタ)アクリル化化合物(A)の調製を可能にする。
【0022】
連結化合物(b1)とは、環状エーテルポリオール(a)を、存在する場合連結化合物(b2)と又は(メタ)アクリル化剤(c)と連結する部分を形成することが可能な化合物を示すことが意図される。化合物(b1)はヒドロキシル基に対して反応性がある少なくとも1個の基及び連結化合物(b2)又は(メタ)アクリル化剤(c)に対して反応性がある少なくとも1個の基を有する。この最後の基は化合物(b1)に元々存在していても、(b1)のポリオールとの反応の産物であってもよい。化合物(b1)は一般的に、環中に少なくとも1個の
【化4】
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(例えばグリコール酸)(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択される。化合物(b1)は好ましくは脂肪族化合物である。
【0023】
化合物(b11)は有利にはXが酸素である化合物である。化合物(b11)は典型的には脂肪族化合物である。好適な環式化合物(b11)としてはラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カルボナート、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好適なのは脂肪族のラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カルボナート、及びそれらの混合物である。好ましい環式化合物(b11)はラクトン、ラクチド、及びそれらの混合物である。特に好ましいラクトンは、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、並びにヒドロキシカルボン酸、例えば、2−ヒドロキシカルボン酸、例としてグリコール酸及び乳酸、3−ヒドロキシカルボン酸、例として3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、及びヒドロキシピバル酸のラクトンである。より好ましいのはε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、及びそれらの混合物であり、最も好ましいのはε−カプロラクトンである。特に好ましいラクチドはL−、メソ−及び/又はD−ラクチド、並びにそれらの混合物である。より好ましい環式化合物(b11)はラクチドである。ラクチドは有利には生物由来のラクチドである。
【0024】
化合物(b12)はヒドロキシ酸であり、1個のヒドロキシル基及び1個のカルボン酸基を有する化合物を意味する。化合物(b12)は上に挙げたラクトンの開環型に対応し得る。化合物(b12)は典型的には脂肪族ヒドロキシ酸である。好ましい化合物(b12)はグリコール酸であり、ヒドロキシ酢酸とも呼ばれる。
【0025】
好適な化合物(b13)としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましいのはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びそれらの混合物である。
【0026】
連結化合物(b2)は典型的にはエピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される。エピハロヒドリンは、ハロメチルオキシラン骨格(スキーム1)を有し、式中、Xがハロゲン原子である化合物である。エピハロヒドリンは典型的には脂肪族化合物である。好ましいエピハロヒドリンはエピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン(エピクロルヒドリンとしても知られている)、エピブロモヒドリン、及び/又はエピヨードヒドリンである。より好ましいのはエピクロルヒドリンである。
【化5】
【0027】
ポリイソシアナートとは、少なくとも2個のイソシアナート基を含有する化合物を示すことが意図される。典型的にはポリイソシアナートは6個以下のイソシアナート基を含有し、より好ましくは3個以下のイソシアナート基を含有する。ポリイソシアナートは1種又は複数の当技術分野で周知の脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式ポリイソシアナート及びそれらの混合物から選択され得る。使用され得る脂肪族及び脂環式のポリイソシアナートの例は1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)である。
【0028】
3個以上のイソシアナート基を含有するポリイソシアナートの例は、上述のジイソシアナートのビウレット及びイソシアヌラート誘導体である。3個以上のイソシアナート基を含有する脂肪族ポリイソシアナートは、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンビウレット及びイソシアヌラートなどの上述のジイソシアナートの誘導体である。
【0029】
使用され得る芳香族ポリイソシアナートの例は、1,4−ジイソシアナトベンゼン(BDI)、2,4−ジイソシアナトトルエン(TDI)、1,1’−メチレンビス[4−イソシアナトベンゼン](MDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリジンジイソシアナート(TODI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、及びp−フェニレンジイソシアナート(PPDI)である。本発明に関して使用され得るポリイソシアナートの他の例は、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、上述のジイソシアナートの2,4−ジイソシアナトジフェニルメタンとの工業用混合物及びさらには高級同族体、2,4−ジイソシアナトトルエン及びそれらの2,6−ジイソシアナトトルエンとの工業用混合物、並びに3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアナート(TMI)の共重合生成物である。好ましいのは脂肪族ポリイソシアナートである。
【0030】
本発明の一変形例では、ポリイソシアナートは好ましくはジイソシアナートである。ジイソシアナートは脂肪族ジイソシアナートであってもよく、芳香族ジイソシアナートであってもよい。
【0031】
別の変形例では、ポリイソシアナートは好ましくはトリイソシアナート、例えばイソシアヌラートである。トリイソシアナートは脂肪族トリイソシアナートであってもよく、芳香族ジイソシアナートであってもよい。トリイソシアナートの使用は有利なことに、形成される(メタ)アクリラート化合物(A)の耐衝撃性を改善する。
【0032】
さらに別の変形例では、ポリイソシアナートは少なくとも1種のジイソシアナートと少なくとも1種のトリイソシアナートとの混合物である。それらはそれぞれ独立に脂肪族ポリイソシアナート又は芳香族ポリイソシアナートでもよい。
【0033】
(メタ)アクリル化用化合物(c)とは、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、及び(メタ)アクリル化化合物(A)の調製のために使用される化合物に応じて化合物(b1)若しくは(b2)に対して反応性がある、又はその環状エーテルポリオール(a)との反応生成物に対して反応性がある少なくとも1個の基を含む化合物を示すことが意図される。典型的には、(メタ)アクリル化用化合物(c)は化合物(c1)から及び/又は化合物(c2)から選択される。
【0034】
化合物(c1)は不飽和酸及び/又はその好適な同等物から選択される。好適な同等物の例は、例えば不飽和酸のアシルハライド、不飽和酸の対応する無水物、及び/又は不飽和酸の低級アルキルエステルである。低級アルキルとはC
1〜C
4アルキルを意味する。本発明での使用に特に適しているのは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸ハライド、及び/又は(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルである。好適な(メタ)アクリル酸ハライドの例は(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド、及び/又は(メタ)アクリル酸ヨージドである。低級アルキルエステルとは特に、(メタ)アクリル酸などの不飽和酸の低級アルコールエステルを示すことが意図される。低級アルコールは好ましくは脂肪族C
1〜C
4アルコールである。好ましい低級アルキルエステルは例えば(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、及び/又はイソプロピルエステルである。(メタ)アクリル酸ハライド及び/又は(メタ)アクリル酸無水物が使用される場合、化合物の加水分解を避けるために無水条件で作業することが望ましい。本発明での使用に好ましいのは不飽和一塩基酸である。最も好ましい化合物(c1)は(メタ)アクリル酸である。
【0035】
化合物(c2)はイソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物である。典型的には、化合物(c2)は少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、及びイソシアナート基と反応することが可能な1個(又は実質的に1個)の求核官能基、例えばヒドロキシル基を含有する化合物である。他の可能な基はアミノ及び/又はチオール基である。しかし、ヒドロキシル基が好ましい。有用な化合物(c2)としては、約1の残留平均ヒドロキシル官能価を有する、脂肪族及び/又は芳香族のポリオールの(メタ)アクリル酸によるエステル化生成物が挙げられる。モノ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物及びポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物を使用することができる。
【0036】
好ましいモノ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物はヒドロキシメチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、及び/又はヒドロキシブチル(メタ)アクリラートである。より好ましいのはアクリラート誘導体である。
【0037】
ポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物は典型的には(メタ)アクリル酸の三、四、五若しくは六価ポリオール又はそれらの混合物による部分エステル化生成物である。そのようなポリオールの部分(メタ)アクリル化は1から6個の(メタ)アクリラート基を有する生成物の混合物へと進行すること、及び混合物を特徴付けるための可能な手法はそのヒドロキシル価の測定によることは当業者に公知である。本事例では、ヒドロキシル価は混合物の残留平均ヒドロキシル官能価が1(又は実質的に1)であるようなものである。ポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物の好ましい例は少なくとも2個の(メタ)アクリル官能基を含む化合物、例えばグリセロールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラート、グリセロールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリラート、並びにそれらの(ポリ)エトキシル化及び/又は(ポリ)プロポキシル化同等物である。より好ましいポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物はグリセロールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリラートである。別のより好ましいポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物はペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラートである。
【0038】
最も好ましいのはアクリラート誘導体である。
【0039】
これに関連して、そのようなポリオールと、開環反応においてこれらのポリオールに付加するエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はラクトンとの反応生成物を使用することも可能である。好適なラクトンの例はε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンである。グリコリド及びラクチドを同じ目的のために使用することができる。これらの変性又は非変性ポリオールは、所望の残留ヒドロキシル官能価に達するまで、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの混合物により部分的にエステル化される。このカテゴリーの有用な化合物の例は、Tone M100(Dow Chemicals)、Bisomer PEMCURE 12A(Cognis)、並びに/又は(メタ)アクリロイルヒドロキシ化合物及び例えばGalacid Slow release(GALACTIC SA)、FUTERRO(登録商標)Lactide LF(Futerro)、PURALACT(登録商標)L、PURALACT(登録商標)D若しくはPURASORB(登録商標)G(Purac)、若しくはこれらの(これらのうち任意のものの)混合物の反応生成物(又は付加物)である。
【0040】
1個のヒドロキシル官能基及び少なくとも1個の(メタ)アクリル官能基を有する化合物を形成する、(メタ)アクリル酸と、1個のエポキシ官能基を有する脂肪族、脂環式又は芳香族化合物との反応から得られる化合物(c2)も同様に使用することができる。
【0041】
最も好ましい化合物(c2)はヒドロキシエチルアクリラート、グリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、及びそれらの混合物である。別の最も好ましい化合物(c2)はペンタエリトリトールトリアクリラートである。
【0042】
本発明の特定の変形例では、モノ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物及びポリ(メタ)アクリロイルモノヒドロキシ化合物の混合物を使用することもできる。アクリラート誘導体の混合物、例えばヒドロキシエチルアクリラートとペンタエリトリトールトリアクリラート「PETIA」(トリアクリラートとテトラアクリラートとの混合物)との混合物が好ましい。
【0043】
本発明の第1の実行様式では、少なくとも1種の連結化合物(b2)が存在する。特に、
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)エピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)及び随意に、環中に少なくとも1個の
【化6】
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択される少なくとも1種の連結化合物(b1)、
(c)(少なくとも1種の)(メタ)アクリル化用化合物
から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合する、上記(メタ)アクリル化化合物(A)が提供される。
【0044】
本発明の第1の実行様式の第1の実施形態では、(メタ)アクリル化化合物(A)は環状エーテルポリオール(a)、エピハロヒドリンから選択される連結化合物(b2)、及び不飽和酸から選択される(メタ)アクリル化用化合物(c1)から調製される。この第1の実施形態では、化合物(b2)は環状エーテルポリオール(a)を(メタ)アクリル化用化合物(c1)と連結する。この第1の実施形態による化合物(A)は種々の手法で調製することができる。化合物(A)は例えば、1個又は複数のエポキシ基を有する生成物を形成するために環状エーテルポリオールをエピハロヒドリンと反応させる第1のステップと、第1のステップで得られた生成物を1種又は複数の好適な(メタ)アクリル化用化合物と反応させることを含む第2のステップとを含むプロセスにより調製してもよい。反応は一般的に、加熱下、1種又は複数の触媒の存在下で行われる。溶媒は必須ではないが、熱及び物質の移動を促進するために使用してもよく、1種又は複数の重合禁止剤を反応中又は反応後に加えてもよい。反応条件及び反応化学量論に応じて、環状エーテルポリオール(a)の連結化合物(b2)との反応は、(a)−(b2)連結の繰り返しを含みエポキシ基を末端とする伸長構造をもたらす場合がある。しかしながら、好ましい構造は伸長されていないものである。(メタ)アクリル化用化合物(c1)との反応の後、好ましい(メタ)アクリル化化合物(A)は残留エポキシ基を実質的に含有しない。典型的には、(メタ)アクリル化化合物(A)は化合物(A)1グラムあたり0.1ミリ当量未満の残留エポキシ価を有する。
【0045】
本発明の第1の実行様式の第2の実施形態では、(メタ)アクリル化化合物(A)は環状エーテルポリオール(a)、ポリイソシアナートから選択される連結化合物(b2)、(c2)化合物から選択される(メタ)アクリル化用化合物から調製される。この第2の実施形態では、化合物(b2)は環状エーテルポリオール(a)を(メタ)アクリル化用化合物(c2)と連結する。この第2の実施形態による化合物(A)は多くの手法で生成することができる。例えば、化合物(a)、(b2)、及び(c2)を一緒に一度に反応させてもよい。或いは、化合物(A)は、ポリイソシアナート(b2)を(メタ)アクリル化用化合物(c2)と予め反応させて、少なくとも1個の遊離イソシアナート基を有する付加物を形成し、これを後に環状エーテルポリオール(a)と反応させることにより作製してもよく;又は環状エーテルポリオール(a)及びポリイソシアナート(b2)を最初に反応させて、この生成物をさらに(メタ)アクリル化用化合物(c2)と反応させてもよい。反応は一般的に、加熱下、1種又は複数の触媒の存在下で行われる。溶媒は必須ではないが、熱及び物質の移動を促進するために使用してもよく、1種又は複数の重合禁止剤を反応中又は反応後に加えてもよい。反応条件及び反応化学量論に応じて、環状エーテルポリオール(a)の連結化合物(b2)との反応は、(a)−(b2)連結の繰り返しを含みイソシアナート基を末端とする伸長構造をもたらす場合がある。しかしながら、好ましい構造は伸長されていないものである。
【0046】
(メタ)アクリル化用化合物(c2)との反応の後、好ましい(メタ)アクリル化化合物(A)は残留イソシアナート基を実質的に含有しない。典型的には、(メタ)アクリル化化合物(A)は0.2% NCO未満の残留イソシアナート価を有する。
【0047】
これら2つの第1の実施形態の変形例では、少なくとも1種の連結化合物(b1)がさらに(メタ)アクリル化化合物(A)の調製のために使用される。この変形例の一実施形態では、少なくとも1種の連結化合物(b1)は脂肪族化合物である。別の実施形態では、それは芳香族化合物である。さらに別の実施形態では、それは脂肪族化合物と芳香族化合物との混合物である。好ましくは、少なくとも1種の連結化合物(b1)は脂肪族である。この変形例では、(メタ)アクリル化化合物(A)は環状エーテルポリオール(a)、連結化合物(b1)、連結化合物(b2)、及び(メタ)アクリル化用化合物(c)から調製される。連結化合物(b1)は、典型的には、化合物(b11)から、(b12)から、及び/又は(b13)から選択され、好ましくは(b11)化合物から選択される。好ましい化合物(b11)はラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カルボナート、及びそれらの混合物から選択され、より好ましい化合物(b11)はラクトン及びラクチド、並びにそれらの混合物から選択され、最も好ましくはラクチドから選択される。この変形例では、以下の順序で、化合物(b1)は環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)は(メタ)アクリル化用化合物(c)とも連結する:
(a)*−(b1)*−(b2)*−(c)*、ここで、
(a)*、(b2)*、及び(c)*はそれぞれ(a)、(b2)、及び(c)の残基であり、
(b1)*は(b1)から形成された部分である。
【0048】
化合物(b1)は典型的には、ヒドロキシル基に対して反応性がある少なくとも1個の基及び連結化合物(b2)に対して反応性がある少なくとも1個の基を有する。この最後の基は化合物(b1)に元々存在していても、(b1)のポリオールとの反応の産物であってもよい。典型的には、化合物(b11)が使用される場合、反応は開環反応である。(a)及び(b1)の間並びに(b1)及び(b2)の間の反応は任意の好適な方法により行うことができる。例えば、環状エーテルポリオール(a)と連結化合物(b1)との付加物を最初に形成し、続いて化合物(b2)及び化合物(c)と反応させてもよい。これらのステップは一般的に、加熱下、1種又は複数の触媒の存在下で行われる。溶媒は必須ではないが、熱及び物質の移動を促進するために使用してもよく、1種又は複数の重合禁止剤を反応中又は反応後に加えてもよい。当業者には明らかであるように、化合物(b1)と環状エーテルポリオール(a)のヒドロキシル基との当量比及び反応条件に応じて、化合物(b1)のいくらかのオリゴマー化又は重合が起こる場合がある。付加物の部分(b1)*の繰り返し単位の数は、一般的には1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1から2である。これらの単位は環状エーテルポリオール(a)のヒドロキシル基上にランダムに広がる。
【0049】
本発明の第1の実施形態及びこの第1の実施形態の変形例では、典型的に、化合物(a)、(b2)、(c1)、及び随意に(b1)の量は合計で100%になる。
【0050】
本発明の第2の実施形態及びこの第2の実施形態の変形例では、典型的に、化合物(a)、(b2)、(c2)、及び随意に(b1)の量は合計で100%になる。
【0051】
本発明の第2の実行様式では、少なくとも1種の脂肪族の連結化合物(b1)が存在する。特に、
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)環中に少なくとも1個の
【化7】
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択される少なくとも1種の脂肪族の連結化合物(b1)、随意に、エピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)、
(c)(少なくとも1種の)(メタ)アクリル化用化合物
から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合し、
化合物(b13)が使用される場合、少なくとも1種の化合物(b2)が使用される、上記(メタ)アクリル化化合物(A)が提供される。
【0052】
第2の実行様式による本発明の第3の実施形態では、(メタ)アクリル化化合物(A)は環状エーテルポリオール(a)、化合物(b11)から及び/又は化合物(b12)から選択される脂肪族の連結化合物(b1)、並びに不飽和酸及び/又はその好適な同等物から選択される(メタ)アクリル化用化合物(c1)から調製される。化合物(b11)及び化合物(b12)は好ましくは脂肪族化合物である。この第3の実施形態では、化合物(b1)は環状エーテルポリオール(a)を(メタ)アクリル化用化合物(c1)と連結する。この第2の実施形態による化合物(A)は多くの手法で生成することができる。化合物(A)は例えば、付加物を形成するために環状エーテルポリオールを上記の変形例に記載したような(b11)及び/又は(b12)から選択される連結化合物(b1)と反応させる第1のステップと、第1のステップで得られた付加物を1種又は複数の好適な(メタ)アクリル化用化合物(c1)と反応させることを含む第2のステップとを含むプロセスにより調製してもよい。反応は一般的に、加熱下、1種又は複数の触媒の存在下で行われる。溶媒は必須ではないが、熱及び物質の移動を促進するために使用してもよく、1種又は複数の重合禁止剤を反応中又は反応後に加えてもよい。この実施形態では、付加物の形成された部分(b1)*の繰り返し単位の数は、一般的には1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1から2である。この実施形態の好ましい連結化合物(b1)は(b11)化合物から選択され、より好ましくはラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カルボナート、及びそれらの混合物から選択され、最も好ましくはラクトン及びラクチド、並びにそれらの混合物から選択される。
【0053】
本発明のこの第3の実施形態では、典型的に、化合物(a)、(b11)及び/又は(b12)、並びに(c1)の量は合計で100%になる。
【0054】
第2の実行様式による本発明の第4の実施形態では、(メタ)アクリル化化合物(A)は環状エーテルポリオール(a)、脂肪族の連結化合物(b1)、連結化合物(b2)、及び(メタ)アクリル化用化合物(c)から調製される。連結化合物(b1)は、典型的には、化合物(b11)から、(b12)から、及び/又は(b13)から選択され、好ましくは(b11)化合物から選択される。好ましい化合物(b11)はラクトン、ラクタム、ラクチド、環状カルボナート、及びそれらの混合物から選択され、より好ましい化合物(b11)はラクトン及びラクチド、並びにそれらの混合物から選択され、最も好ましくはラクチドから選択される。この実施形態の変形例では、連結化合物(b2)は脂肪族化合物である。別の変形例では、それは芳香族化合物である。さらに別の変形例では、それは脂肪族化合物と芳香族化合物との混合物である。
【0055】
この実施形態では、上記の順序で、化合物(b1)は環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)は(メタ)アクリル化用化合物(c)とも連結する。
【0056】
化合物(b1)は典型的には、ヒドロキシル基に対して反応性がある少なくとも1個の基及び連結化合物(b2)に対して反応性がある少なくとも1個の基を有する。この最後の基は化合物(b1)に元々存在していても、(b1)のポリオールとの反応の産物であってもよい。典型的には、化合物(b11)が使用される場合、反応は開環反応である。(a)及び(b1)の間並びに(b1)及び(b2)の間の反応は任意の好適な方法により行うことができる。例えば、環状エーテルポリオール(a)と連結化合物(b1)との付加物を最初に形成し、続いて化合物(b2)及び化合物(c)と反応させてもよい。これらのステップは一般的に、加熱下、1種又は複数の触媒の存在下で行われる。溶媒は必須ではないが、熱及び物質の移動を促進するために使用してもよく、1種又は複数の重合禁止剤を反応中又は反応後に加えてもよい。当業者には明らかであるように、化合物(b1)と環状エーテルポリオール(a)のヒドロキシル基との当量比及び反応条件に応じて、化合物(b1)のいくらかのオリゴマー化又は重合が起こる場合がある。付加物の部分(b1)*の繰り返し単位の数は、一般的には1から10、好ましくは1から5、より好ましくは1から2である。これらの単位は環状エーテルポリオール(a)のヒドロキシル基上にランダムに広がる。
【0057】
この第4の実施形態では、典型的に、化合物(a)、(b1)、(b2)、及び(c)の量は合計で100%になる。
【0058】
この第4の実施形態の第1の変形例では、連結化合物(b2)はエピハロヒドリンから選択され、(メタ)アクリル化用化合物(c)は不飽和酸から選択される。(メタ)アクリル化用化合物(c)との反応の後、好ましい(メタ)アクリル化化合物(A)は残留エポキシ基を実質的に含有しない。典型的には、(メタ)アクリル化化合物(A)は化合物(A)1グラムあたり0.1ミリ当量未満の残留エポキシ価を有する。
【0059】
この第4の実施形態の第2の変形例では、連結化合物(b2)はポリイソシアナートから選択され、(メタ)アクリル化用化合物(c)は(c2)化合物から選択される。(メタ)アクリル化用化合物(c)との反応の後、好ましい(メタ)アクリル化化合物(A)は残留イソシアナート基を実質的に含有しない。典型的には、(メタ)アクリル化化合物(A)は0.2% NCO未満の残留イソシアナート価を有する。
【0060】
一般的に、本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)は溶媒の不在下で調製される。
【0061】
本発明による変形例では、(メタ)アクリル化化合物(A)の調製のために溶媒を使用して、熱及び物質の移動を促進することができる。それは一般的に、5重量%から90重量%の量で使用される。溶媒の量は、好ましくは少なくとも10重量%であり、より好ましくは少なくとも15重量%である。溶媒の量は、好ましくは最大で60重量%であり、より好ましくは最大で30重量%である。重量%は溶媒並びに化合物(a)、(b)及び(c)の総重量に基づく。
【0062】
使用に好適な溶媒の例は酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、及びプロピレングリコールモノメチルアセタートである。好ましい溶媒はメチルエチルケトン(MEK)である。
【0063】
本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)は典型的には、(メタ)アクリル化化合物(A)の1分子あたりの(メタ)アクリラート基の数として表される、少なくとも2の平均(メタ)アクリラート官能価を有する。本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)は、典型的には最大で20の平均(メタ)アクリラート官能価を有し、好ましくは平均官能価は16を超えず、より好ましくは12を超えない。2の平均官能価は良好な引っかき抵抗性及び/又は耐摩耗性を有する(メタ)アクリル化化合物(A)を生じる。より高い官能価は引っかき抵抗性及び/又は耐摩耗性の改善をもたらす。
【0064】
本発明による好ましい化合物(A)は好ましくはアクリル化された化合物(A)である。
【0065】
典型的には、本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)は、使用される試薬量に基づき理論的に計算すると200から2000ダルトンの分子量(MW)を有する。より典型的には分子量は少なくとも250ダルトンであり、より好ましくは少なくとも300ダルトンである。一般的には分子量は最大で1500ダルトンであり、より好ましくは最大で1000ダルトンである。典型的には分子量は最大で1400ダルトンであり、より好ましくは最大で1300ダルトンである。分子量は数平均分子量である。
【0066】
好ましくは、本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)は、25℃で測定される粘度が800から40,000mPa・sの範囲である。典型的には粘度は最大で25,000mPa・sであり、より好ましくは最大で10,000mPa・sである。
【0067】
(メタ)アクリル化化合物(A)が溶媒の存在下で調製される本発明の特定の変形例では、(メタ)アクリル化化合物(A)は典型的には500から200,000ダルトンのMWを有する。より典型的には分子量は少なくとも800ダルトンであり、より好ましくは少なくとも1000ダルトンである。一般的には分子量は最大で150,000ダルトンであり、より好ましくは最大で100,000ダルトンである。分子量は数平均分子量である。
【0068】
この変形例では、本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)は典型的には、25℃で測定される粘度が1から100,000mPa・sの範囲である。典型的には粘度は最大で80,000mPa・sであり、より好ましくは最大で50,000mPa・sである。
【0069】
本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)の一利点はその高い硬化速度である。本発明の化合物(A)はコーティング組成物での使用に非常に好適である。コーティング組成物は透明(例えばラッカー)であっても、着色されていてもよい。本発明の化合物(A)はハードコートの調製に特に適している。
【0070】
本発明の化合物(A)はさらにインク、ワニス、及び接着剤での使用にも好適である。本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)は複合材用マトリックス(透明又は着色)での使用にも好適である。それらはさらにステレオリソグラフィー用途での使用に適している。
【0071】
本発明は高い再生可能原料含有率を有する(メタ)アクリル化化合物(A)の作製を可能にする。例えば、化合物(A)の総重量に対して少なくとも1重量%の化合物の炭素含有量が再生可能材料に由来する、化合物(A)を調製することができる。典型的にはこの量は少なくとも2重量%であり、より好ましくは少なくとも5重量%である。天然由来炭素含有量は10%ほどまで高くてもよく、さらに高くてもよい。
【0072】
本発明の第2の態様は少なくとも1種の本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む放射線硬化性組成物に関する。
【0073】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の有機不揮発分の総重量に対して少なくとも5重量%の本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む。典型的にはこの量は少なくとも20重量%であり、より典型的には少なくとも50重量%である。典型的にはこの量は最大で90重量%であり、より典型的には最大で70重量%である。
【0074】
多くの場合、本発明の組成物はさらに、化合物(A)とは異なる少なくとも1種の化合物(B)を含む。化合物(B)は典型的には反応性希釈モノマーである。化合物(B)は典型的には、少なくとも1個の活性エネルギー線で硬化可能な基、より詳細には少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基、アリル基、及び/又はビニル基を含有する。最も典型的なのは(メタ)アクリロイル基である。
【0075】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の有機不揮発分の総重量に対して0から90重量%、より詳細には5から60重量%の化合物(B)を含む。存在する場合、それらは典型的には組成物の有機不揮発分の総重量に対して少なくとも10重量%、より典型的には少なくとも20重量%の量で存在する。典型的にはこの量は最大で80重量%であり、より典型的には最大で70重量%である。
【0076】
好適なモノマー(B)はモノ及びポリ(メタ)アクリル化モノマーである。そのようなモノマー(B)の例は、ブチル(メタ)アクリラート、メチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、n−ヘキシル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、n−ラウリル(メタ)アクリラート、オクチル/デシル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、フェノキシエチル(メタ)アクリラート、ノニルフェノールエトキシラートモノ(メタ)アクリラート、2−(−2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリラート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート(HDD(M)A)、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート(DPGD(M)A、TPGD(M)A)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート(PETI(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(TMPT(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジ−トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(diTMPT(M)A) グリセロールトリ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジアンヒドロヘキシトールジ(メタ)アクリラート(例えばイソソルビドジ(メタ)アクリラート)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化又は/及びプロポキシル化誘導体、脂肪族グリシジルエーテル、とりわけアルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含むもの、並びに/又は飽和及び不飽和のカルボン酸のグリシジルエステル、とりわけアルキル鎖が6から24個の炭素原子、より好ましくは8から18個の炭素原子を含む長鎖アルキルカルボン酸のグリシジルエステルの(メタ)アクリル酸によるエステル化から得られる(メタ)アクリラートである。
【0077】
好ましいモノマー(B)は、ジ及びトリ(メタ)アクリル化モノマー、例えば1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート(HDD(M)A)、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート(DPGD(M)A、TPGD(M)A)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート(TMPT(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラート(PETI(M)A)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、グリセロールトリ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジアンヒドロヘキシトールジ(メタ)アクリラート(例えばイソソルビドジ(メタ)アクリラート)並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート並びにそのエトキシル化及び/又はプロポキシル化誘導体である。
【0078】
本発明の組成物はさらに、(メタ)アクリル化化合物(A)及び化合物(B)とは異なる少なくとも1種の化合物(C)を含有し得る。
【0079】
典型的には、本発明の組成物は、組成物の有機不揮発分の総重量に対して少なくとも10重量%の化合物(C)を含む。典型的にはこの量は少なくとも20重量%であり、より典型的には少なくとも30重量%である。典型的にはこの量は最大で50重量%であり、より典型的には最大で70重量%である。
【0080】
化合物(C)は200から5,000ダルトンの分子量(MW)を有する1種又は複数の(メタ)アクリル化化合物から選択され得る。
【0081】
化合物(C)は典型的には200から5,000ダルトンの分子量(MW)、より詳細には重量平均分子量を有する。典型的にはこれらの化合物のMWは少なくとも300ダルトンであり、より好ましくは少なくとも500ダルトンである。典型的にはこれらの化合物のMWは最大で2,000ダルトンであり、より好ましくは最大で1,000ダルトンである。
【0082】
化合物(C)は典型的にはオリゴマー又はポリマーであり、より典型的にはオリゴマーである。
【0083】
好ましくは、化合物(C)は以下のうちの1種又は複数から選択される:ポリエステル(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、アルコキシル化(メタ)アクリル化オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリラート、アミノ化(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル化(メタ)アクリル、(メタ)アクリル(コ)ポリマー(フルアクリルとも称される)、及び塩素化されていてもよい不活性ポリエステル。
【0084】
好適なポリエステル(メタ)アクリラートの例は、EBECRYL(登録商標)860(Cytec)などのアクリル化エポキシ化大豆油化合物、EBECRYL(登録商標)870、EBECRYL(登録商標)657、EBECRYL(登録商標)450(Cytec)などのポリエステル(メタ)アクリラートを含有する脂肪酸、並びにEBECRYL(登録商標)800、EBECRYL(登録商標)884、EBECRYL(登録商標)810及びEBECRYL(登録商標)830(Cytec)などのポリエステル(メタ)アクリラートである。
【0085】
好適なエポキシ(メタ)アクリラートの例はビスフェノールAのジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリラート(BADGED(M)A)及びその変性物である(例えば、Cytec製のEBECRYL(登録商標)3700又はEBECRYL(登録商標)600、EBECRYL(登録商標)3701、EBECRYL(登録商標)3703、EBECRYL(登録商標)3708、及びEBECRYL(登録商標)3639参照)。
【0086】
好適なウレタン(メタ)アクリラートの例はEBECRYL(登録商標)284、EBECRYL(登録商標)264、EBECRYL(登録商標)210、EBECRYL(登録商標)230、EBECRYL(登録商標)1290(Cytec)である。
【0087】
好適なアミノ化(メタ)アクリラートの例はEBECRYL(登録商標)80、EBECRYL(登録商標)81、EBECRYL(登録商標)83、EBECRYL(登録商標)7100、P115などである。
【0088】
使用され得る好適な(メタ)アクリル(コ)ポリマーの例はEBECRYL(登録商標)745及び/又はEBECRYL(登録商標)1200である。
【0089】
好適な不活性ポリエステルの例としてはEBECRYL(登録商標)525及び塩素化されていてもよいその変形体(例えばEBECRYL(登録商標)436など)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
本発明の組成物は典型的には少なくとも1種の光開始剤(D)を含む。存在する場合、光開始剤(D)は典型的には、組成物の有機不揮発分の総重量に対して0.1から10重量%の量で加えられる。好適な光開始剤の例としてはアリールケトン系光開始剤(例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、アルキルアミノベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンゾインジメチルケタール、ベンゾイルベンゾアート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、又はα−アシルオキシムエステル)、含硫黄光重合開始剤(例えばスルフィド又はチオキサントン)、アシルホスフィンオキシド(例えばアシルジアリールホスフィンオキシド)、又は他の光重合開始剤が挙げられるがこれらに限定されない。光重合開始剤は少なくとも2種類のものを組み合わせた混合物として使用され得る。さらに、光重合開始剤はアミンなどの光増感剤と組み合わせて使用され得る。光開始剤(D)はポリマー光開始剤であってもよい。本発明に関して使用され得る好適なポリマー光開始剤の例はP36、P39等である。
【0091】
或いは又は加えて、本発明の組成物は少なくとも1種のラジカル重合開始剤、例えば過酸化ベンゾイル、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシド等を含み得る。
【0092】
本発明による組成物はフィラー(E)も含み得る。フィラー(E)が使用される場合、それは典型的には少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも50%の量で存在する。典型的にはこの量は最大で90重量%であり、より典型的には最大で80重量%である。これらの量は組成物の有機不揮発分の総重量に対するものである。
【0093】
フィラーとしての使用に好適な材料の例としてはシリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化アンチモン、及びそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。シリカフィラーが好ましい。フィラーは(メタ)アクリラート基などの官能基を随意に含んでもよい。
【0094】
好ましいフィラー(E)は、動的光散乱により決定される体積中位径が1から999nm、好ましくは1から100nmであるナノスケールフィラー(ナノ粒子又はナノ粒子フィラーとも呼ばれる)である。ナノ粒子の体積中位径は典型的には、例えば粒径分析器(例えば製品名「Nanotrac UPA−EX150」(日機装株式会社により供給))を使用する、公知のレーザー回折/散乱法により決定され得る。体積中位径とは、粒子の体積の半分がより大きい直径を有する粒子に含有され、半分がより小さい直径を有する粒子に含有されるような直径を意味する。
【0095】
最も好ましいフィラー(E)はシリカナノ粒子である。市販のシリカナノ粒子の非限定的な数例は、NANOCRYL C146(Hanse Chemie AG、ネオペンチルグリコールプロポキシジアクリラート分散液、シリカ含有量50重量%)、NANOCRYL C150(Hanse Chemie AG製、トリメチロールプロパントリアクリラート分散液、シリカ含有量50重量%)、MEK−ST(日産化学工業株式会社、MEK分散液、固形分30重量%)、MEK−ST−L(日産化学工業株式会社、MEK分散液、固形分30重量%)、MEK−ST−UP(日産化学工業株式会社により供給、MEK分散液、固形分20重量%)、MIBK−ST(日産化学工業株式会社により供給、MIBK分散液、固形分30重量%)、MIBK−SD(日産化学工業株式会社により供給、表面改質シリカ、MIBK分散液、固形分30重量%)、MIBK−SD−L(日産化学工業株式会社により供給、表面改質シリカ、MIBK分散液、固形分30重量%)、PL−3(扶桑化学工業株式会社により供給、コロイダルシリカ、MEK分散液、固形分20重量%の商品名で知られている。特に好ましいシリカナノ粒子はMEK−STである。
【0096】
本発明による組成物におけるフィラー(E)の使用は有利なことに、組成物から得られるコーティングの引っかき抵抗性及び/又は耐摩耗性を改善する。
【0097】
本発明の第1の実施形態では、フィラー(E)を含む組成物は少なくとも1種のアクリル化された化合物(A)を含む。第2の実施形態では、フィラー(E)を含む組成物は、ポリイソシアナートから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)の残基を含む少なくとも1種の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む。第3の実施形態では、フィラー(E)を含む組成物は、エピハロヒドリンから選択される連結化合物(b2)及び(メタ)アクリル化用化合物(c1)としてのアクリル酸から調製される少なくとも1種の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む。第4の実施形態では、フィラー(E)を含む組成物は、エピハロヒドリンから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)の残基及び少なくとも1種の連結化合物(b1)の残基を含む少なくとも1種の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む。第5の実施形態では、フィラー(E)を含む組成物は、少なくとも1種の連結化合物(b1)の残基を含む少なくとも1種の(メタ)アクリル化化合物(A)を含む。
【0098】
フィラー(E)を含む本発明による組成物は好ましくは少なくとも1種のアクリル化された化合物(A)を含む。
【0099】
本発明の特定の実施形態では、組成物はコーティング組成物である。コーティング組成物は透明(例えばラッカー又はワニス)であっても、着色されていてもよい。本発明の組成物は特に、プラスチック、例えばポリ塩化ビニル、ポリカーボナート、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー等に対して優れた接着性を示した。好ましい本発明の組成物はハードコート組成物である。それは好ましくはプラスチック用のハードコート組成物である。本発明に関するハードコート組成物とは、硬化の後典型的には、ガラス上の40ミクロン被膜に対して25℃で測定されるPersoz硬度が少なくとも150秒である組成物を示すことが意図される。コーティング硬度の特徴付けに使用される他の方法は、下に記載する引っかき抵抗性又は耐摩耗性である。本発明に関するハードコート組成物とは、硬化の後典型的には、光沢保持のパーセンテージで表される引っかき抵抗性が少なくとも90%である、及び/又は試験前後のヘイズ値の差として表される耐摩耗性が最大で10である組成物を示すことが意図される。
【0100】
本発明の別の特定の実施形態では、組成物はインク又はオーバープリントワニスであってもよい。インクはリトグラフ、フレキソ印刷、又はインクジェット用途に使用されるインクであってもよい。本発明のインクは包装産業において使用してもよく、食品包装での使用に、より詳細には間接的な食品との接触に好適である。
【0101】
本発明の組成物は接着剤であってもよく、さらに複合材料のポリマーマトリックスの作製に適している。本発明の組成物はステレオリソグラフィー用途に使用することもできる。
【0102】
本発明の組成物で処理又はコーティングされ得る基材としては、金属、木材、紙、コンクリート、プラスチック(多孔性及び非多孔性)、ガラス、並びにコーティング表面が挙げられる。コーティング組成物が塗布された物品又は材料は、例えば1つ又は複数のコーティング層を既に含有していてもよい(例えば、物品又は材料はプライマー又はベースコートを既に含有していてもよい)。
【0103】
本発明の組成物は、刷毛塗り、ディップコーティング、ローラーコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、真空コーティング、フレキソ印刷、グラビア印刷、リトグラフ印刷、インクジェット印刷等が挙げられるがこれらに限定されない、当技術分野において使用される任意の好適な技法によって基材に塗布することができる。
【0104】
本発明の組成物は典型的には400から150,000mPa・sの範囲の25℃における粘度を有する。より好ましくはこの温度における粘度は400から100,000mPa・sの範囲であり、最も好ましくは400から50,000mPa・sの範囲である。
【0105】
本発明の組成物は化学線、例えば紫外線、γ線、X線への曝露により又は電子ビームにより硬化させることができる。組成物は典型的には紫外線照射により、一般的に光開始剤の存在下で硬化され、光開始剤はポリマー光開始剤であってもよい。組成物は電子ビーム照射により硬化させることもでき、光開始剤を含まない組成物の使用を可能にする。本発明による組成物は、環状エーテルポリオールを全く含有しない従来技術の急速硬化配合物に匹敵する急速な硬化を実現する。
【0106】
硬化の時間及び条件は組成物の成分、コーティング被膜の厚さ、及び使用される活性エネルギー線源に応じて変動し得る。通常、硬化は約0.1から約60秒間の照射により達成される。さらに、硬化反応を完了させるために、活性エネルギー線の照射後に熱処理を行ってもよい。
【0107】
溶媒を使用してもよいが、本発明の組成物は典型的には最大で0.1重量%の溶媒を含む。通常この量は最大で0.01重量%であり、より好ましくは最大で0.001重量%である。
【0108】
本発明の(メタ)アクリル化化合物(A)は典型的には水不溶性化合物である。「水不溶性化合物」とは本発明では、化合物が自己乳化性又は自己分散性ではないが、好適な外部乳化剤の存在下において水中又は水溶液中でエマルジョン又は分散液を形成することを示すことが意図される。典型的には、そのような水性組成物(エマルジョン又は分散液)は最大で70重量%の水を含む。通常この量は最大で65重量%であり、より好ましくは最大で50重量%である。
【0109】
本発明のさらに別の態様は、本発明による少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の組成物を含むコーティング組成物、インク、オーバープリントワニス、接着剤、又は複合材マトリックスに関する。本発明による少なくとも1種の化合物及び/又は少なくとも1種の組成物から調製されるコーティング組成物、インク、オーバープリントワニス、接着剤、又は複合材マトリックスも提供される。
【0110】
本発明のさらに別の態様は、通常その表面の少なくとも1つに、本発明の組成物が塗布された物品又は基材に関する。特に、本発明の組成物で完全に又は部分的にコーティングされた物品又は基材が提供される。コーティング組成物は上に記載したハードコートであってもよい。
【0111】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1種の本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)及び/又は少なくとも1種の本発明による組成物を含むインク又はオーバープリントワニスで印刷された食品包装に関する。食品包装は特に間接的な食品との接触のためのものである。
【0112】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1種の本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)及び/又は少なくとも1種の本発明による組成物、並びに少なくとも1種の補強材料を含む複合材マトリックス(透明又は着色)に関する。使用される補強材料は繊維質であっても非繊維質であってもよい。非繊維質材料の例としてはアルミナ三水和物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、ガラス微小球、カオリン、金属フィラー、カーボンブラック、マイカ、有機フィラー(木粉、トウモロコシの穂軸、籾殻/落花生殻、及びナッツシェル)、シリカ、タルク、ワラストナイト、及び他のナノサイズ材料が挙げられるがこれらに限定されない。繊維質材料の例としては、US8012573、EP2226171、US7250209に記載されているようなホウ素繊維、炭素繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、天然(麻、ジュート、亜麻、ケナフ、葉繊維などであるがこれらに限定されない)又は合成繊維が挙げられるがこれらに限定されない。多くの場合、ガラスフィラーが補強材料として使用される。好適なガラスフィラーの例としてはガラス繊維、ガラスクロス、ガラス不織布、及び他のガラス繊維クロス、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、粉砕ガラス種等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、ガラス繊維、ガラスクロス、及びガラス不織布は、線膨張率の低減に非常に有効である点から見て好ましい。ガラスクロスが最も好ましい。
【0113】
本発明のさらに別の態様は、コーティングされた物品又はコーティングされた基材を調製するためのプロセスであって、本発明のコーティング組成物をその表面の少なくとも1つに塗布するステップと、続いて放射線で硬化させる(例えばUV及び/又は電子ビームによって)ステップとを含む、上記プロセスに関する。コーティング組成物は上に記載したハードコートであってもよい。
【0114】
本発明をこれから下の実施例においてより詳細に記載するが、それらは決して限定されることを意図するものではない。
【実施例】
【0115】
本発明の全体を通じて、特に実施例において、以下の測定方法を適用した。
【0116】
エポキシ価:エポキシ価は米国規格の方法(ASTM)D−1652に従い測定する。結果は生成物1グラムあたりのミリ当量のエポキシ官能基(meq/g)で報告する。
【0117】
酸価:酸価は米国規格の方法(ASTM)D974−64に従い測定し、生成物1gあたりのmgKOHで表す。
【0118】
ヒドロキシル価(OH価):ヒドロキシル価はASTM E222−73に従い測定し、生成物1gあたりのmgKOHで表す。
【0119】
イソシアナート価(NCO価):イソシアナート価はASTM D2572−87に従い測定し、%NCOで表す。
【0120】
ラクチド含有量:残留ラクチド含有量は
1H−NMR(分光計:Bruker Avance300)によってCDCl3を溶媒として使用して測定する。遊離ラクチド対重合ラクチドのモル%は環状ラクチドのメチルプロトン(化学シフトδ1.65の二重線)及び開環重合ラクチドのメチル基(δ1.49から1.60の広幅二重線)の積分により決定される。
【0121】
カプロラクトン含有量:残留カプロラクトン含有量の決定はガスクロマトグラフィーにより行い、サンプルの総重量に基づく重量%で表す。測定はスプリット/スプリットレス注入法を用いてキャピラリーカラムで、酢酸シクロヘキシルを内部標準として使用して実施する。ガスクロマトグラフ:スプリット/スプリットレス注入システム及びFID検出器又は同等物を備えたHewlett Packard6890。カラム:Chrompack CP Sil 5CB−25m−0.4μm−0.32mm。(HP−1又はOV−1相当)。
【0122】
天然由来炭素含有量(%NDC):天然由来炭素含有量は、以下の式に従い組成物の総炭素含有量に対して計算される天然由来炭素のパーセンテージである:
%NDC=100×天然由来炭素の量/(天然由来炭素+石油化学由来炭素の量)
【0123】
分子量(GPC):数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散性は、ポリスチレン標準物質であるPolymer Laboratories製のEasyCal(分子量範囲:200〜7,500,000g/mol)を用いて従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定される。サンプルのごく一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、4つのPLGel Mixed−AポリスチレンジビニルベンゼンGPCカラム(300mm×7.5mm×20μm)を備えた液体クロマトグラフ(Merck−Hitachi L7100)中に注入する。サンプルの成分を溶液中のそれらの分子サイズに基づいてGPCカラムにより分離し、屈折率検出器により検出する。データはPolymer Laboratories Cirrus GPCソフトウェアにより収集及び処理した。
【0124】
粘度:粘度はDIN EN ISO3219に従い、回転式粘度計を用いて25℃で(別段の指定がない限り)、一定のせん断速度20s−1で測定する。粘度値はmPa・sで表す。
【0125】
反応性:反応性測定とはコーティングを硬化させるために最低限必要なUV線量を評価することである。10μmの被膜を紙に塗布し、一定のコンベヤー速度で80W/cmの非収束中圧水銀ランプからのUV線に曝露する。完全に硬化した被膜を得るのに使用すべき最大のコンベヤー速度を決定するために、コンベヤー速度を変動させる。完全硬化性を、アセトンに浸した綿の小塊による50回の二重摩擦(double rubs)に被膜を供することにより評価する。完全に硬化した被膜はこの試験により視覚的な影響を受けない。アセトン二重摩擦試験の通過に必要なUV線量(コンベヤー速度(m/分)で表されるはコーティングの反応性と称される。
表3−1及び3−2で使用した判定基準:
A(優):50m/分以上
B(良):30m/分以上50m/分未満
C(可):10m/分以上30m/分未満
D(不可):10m/分未満
【0126】
ガラス転移温度(Tg):TgはASTM E1640−09に従い測定し、℃で表す。条件は以下の通りである:DMA Q800(TA instruments)引張モード、周波数:1Hz、歪み10〜30 引張モード、周波数:1Hz、歪み10〜30μm、加熱プロファイル:3℃/分で−50℃から250℃まで、サンプル寸法:12×7.5×0.08mm。
【0127】
ヤング率:ヤング率は自立フィルムサンプルに対して得られる応力−歪み曲線の直線部の傾きとして決定される。結果はMPaで表す。配合した樹脂を剥離基材にキャスティングし、次にUVコンベヤーベルト上で配合物の最大硬化速度で5回硬化させる。引張実験の測定条件:温度:23℃;相対湿度:50%;Zwick Z010引張試験機;クロスヘッド速度:50mm/分;長方形サンプル、寸法:30mm×10mm×0.08mm;試験片の数:3〜5。
【0128】
コーティングの硬度は下に記載する3つの方法、硬度(Persoz)、引っかき抵抗性、耐摩耗性に従い評価する。本発明の例5から7及び比較例1及び2はPersoz試験を利用し、例12から19及び比較例4及び5は引っかき抵抗性及び耐摩耗性試験を利用する。
【0129】
硬度(Persoz):振り子硬度は、最小硬化線量で2回硬化させたガラス上の40μm被膜に対して測定し、振り子の振幅が12°から4°まで低下するのに要する秒単位の時間として測定される。コーティングが硬いほど振動時間が長くなる(減衰効果が少ない)。
【0130】
引っかき抵抗性:試験前のサンプルのコーティングされた表面の60度光沢度を光沢度計で測定し、コーティングされた表面を、1kg/cm
2の荷重で#0000スチールウールの100回の往復運動によって摩擦した。試験の後、摩擦部分の光沢度を試験前と同様にして測定し、以下の等式に従う計算により光沢保持を決定し、計算された光沢保持を以下の判定基準に従い評価した。結果は表3−1及び3−2に「引っかき抵抗性」として示す。
光沢保持%=(試験後の光沢度)/(試験前の光沢度)×100
判定基準:
A(優):95%以上
B(良):90%以上95%未満
C(可):80%以上90%未満
D(不可):80%未満
【0131】
耐摩耗性:サンプルのコーティングされた表面のヘイズ値を、Taber摩耗試験機を使用する試験の前後にヘイズメーターを用いて測定し、試験の前後でのヘイズ値の差(Δヘイズ)を下に述べる判定基準に従い評価し、結果は表3−1及び3−2に「耐摩耗性」として示す。試験で使用するトラックホイール(研磨ホイール)は製品名「CS−10F」(TABER Industriesにより供給)であり、500gの荷重、1分あたり60回転の速度で100回回転させた。
判定基準:
A(優):5未満
B(良):5以上10未満
C(可):10以上15未満
D(不可):15以上
【0132】
耐衝撃性:1/4インチの衝撃ヘッド(500g荷重)をサンプルのコーティングされた表面に落とし、コーティングが破損しない最も高い衝撃ヘッド位置の高さを、Du Pon’t式衝撃試験機を使用して測定し、耐衝撃性を以下の判定基準に従い評価した。
判定基準:
A(優):40cm以上
B(良):30cm以上40cm未満
C(可):20cm以上30cm未満
D(不可):20cm未満
【0133】
促進耐候性:コーティングされた表面を有するサンプルを、Xenon Weather−Ometerを使用する促進耐候性試験に供し、試験開始後1500時間で表面を観察し、促進耐候性を以下の判定基準に従い評価した。
判定基準:
A(優):変化なし
B(良):亀裂はないが光沢がわずかに低下
C(可):亀裂はないが光沢が明らかに低下
D(不可):表面全体に亀裂
【0134】
動的光散乱:フィラーの体積中位径は典型的には、例えば粒径分析器(例えば製品名「Nanotrac UPA−EX150」(日機装株式会社により供給))を使用する公知のレーザー回折/散乱法により決定され得る。体積中位径とは、粒子の体積の半分がより大きい直径を有する粒子に含有され、半分がより小さい直径を有する粒子に含有されるような直径を意味する。
【0135】
(例1)
Dean−Starkカラムを備えた3つ口反応器に352gのイソソルビド(Polysorb P、Roquette製)及び2200gのエピクロロヒドリンを投入し、115℃に加熱する。10時間にわたり、400gの50% NaOH水溶液を反応器中に供給し、同時に水/エピクロロヒドリン混合物を連続的に蒸留する。分離の後、エピクロロヒドリンを反応器に戻し入れる。苛性溶液供給の終わりに全ての水を除去したら、反応混合物を減圧下150℃で蒸留して過剰のエピクロロヒドリンを除去する。次いで、600gのアセトンを加え、NaCl塩を濾過により除去する。エポキシ樹脂を再度150℃で蒸留してアセトンを除去する。4.5meq/gのエポキシ価を有する約525gのエポキシ樹脂が得られる。
【0136】
アクリル化のために、0.25gのクロム触媒(Hycat AO)を反応器に加える。95℃で、205gのアクリル酸、0.8gのクロム触媒、及び0.5gのヒドロキノンの混合物を約1時間かけてエポキシ樹脂に供給する。5mgKOH/g未満の酸価及び0.1meq/g未満のエポキシ価に達するまで反応を継続させる。樹脂をさらにTPGDAで希釈して70wt%の樹脂を含む組成物を得る。
【0137】
(例2)
145gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、360gのLラクチド(Puralact L、Purac製)、0.5gの第一スズオクトアート、0.5gのトリフェニルホスフィット、及び0.25gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部(connection to vacuum)、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。温度を140℃に上昇させ、遊離ラクチド含有量が3モル%未満になるまでこの温度で保持する。
【0138】
356gのトルエン、156gのアクリル酸、20gのメタンスルホン酸(水中70wt%)、0.15gの酸化銅、0.8gのMEHQを加えることにより、混合物を冷却する。水がそれ以上留出されなくなるまで混合物を120℃に加熱する。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに185gのトルエンを加える。混合物を150gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、30wt%のTPGDAによる希釈の後25℃で6000mPa・sの粘度を有する。
【0139】
(例3)
130gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、520gのε−カプロラクトン、0.3gのリン酸(水中85wt%)を、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。温度を140℃に上昇させ、遊離カプロラクトン含有量が1wt%未満になるまでこの温度で保持する。
【0140】
420gのトルエン、131gのアクリル酸、18gのメタンスルホン酸(水中70wt%)、0.1gの酸化銅、0.7gのMEHQを加えることにより、混合物を冷却する。水がそれ以上留出されなくなるまで混合物を120℃に加熱する。次いで、混合物を60℃まで冷却し、さらに310gのトルエンを加える。混合物を150gの水で3回洗浄し、共沸蒸留によって乾燥させる。その後、約30mmHgの減圧下でトルエンを留去し、反応生成物を濾過する。このようにして得られたポリエステルアクリラートは帯黄色であり、25℃で800mPa・sの粘度を有する。
【0141】
(例4)
ポリエステルポリオールを以下のように合成する:
45gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、180gのε−カプロラクトン、0.1gのリン酸(水中85wt%)を、撹拌機、温度調節器に取り付けられた熱電対、ガス導入管、真空装置との接続部、及び蒸留カラムを備えた二重壁ガラス反応器に投入する。温度を140℃に上昇させ、遊離カプロラクトン含有量が1%未満になるまでこの温度で保持する。
得られたポリエステルは147mgKOH/gのOH価を有する
【0142】
ウレタンアクリラートを以下のように作製する:
上記のポリエステルに、130gのイソホロンジイソシアナート(IPDI)、0.13gのジブチルスズジラウラート(DBTL)を投入し、混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後7%のNCO価で、67gのヒドロキシエチルアクリラート(HEA)と0.13gのMEHQとの混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.2%に達するまで反応を80℃で継続させる。混合物を冷却しながら追加量105gのHDDAを加える。
樹脂は25℃で34000mPa・sの粘度を有する。
【0143】
(例20)
100gのイソソルビド(Polysorb P、Roquette製)、238.5gのTDI(トルエンジイソシアナート)、213gのTPGDA、0.5gのBHT、及び0.12gのDBTLを、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物をゆっくりと50℃に加熱して反応を開始させる。4.0meq/gのNCO価に達したら、温度を65℃に上昇させ、159gのHEAを2時間かけて供給する。
NCO価が0.2%に達するまで反応を80℃で継続させる。
樹脂は60℃で100000mPa・sの粘度を有する。
【0144】
表1は例1から4で使用した主要な成分及びそれらの量、並びにそれらの特徴の一部をまとめている。2種の比較用樹脂(EBECRYL605及びEBECRYL284)も表1に記載されている。それらは環状エーテルポリオールを全く含有しない標準的なUV硬化性樹脂である。EBECRYL605はトリプロピレングリコールジアクリラート(TPGDA)で希釈したビスフェノールA系エポキシアクリラートである。これはいかなる再生可能原材料をもベースとせず、典型的には高い硬度及び硬化速度を組成物に付与する。EBECRYL284はヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)で希釈したカプロラクトン系ウレタンアクリラートである。これもいかなる再生可能原材料をもベースとしない。
【表1】
【0145】
(例5から7及び比較例1及び2)
例1、2及び4の樹脂、並びにEBECRYL605、EBECRYL284を表2に記載の通りに配合する。配合物を反応性、硬度、Tg、及びヤング率について上記の方法に従い評価する。測定の結果を表2にまとめる。
【表2】
【0146】
表2の評価結果は、本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)を含む組成物が、環状エーテルポリオールを全く含有しない従来技術の高速硬化組成物と同様の又はそれよりも高い反応性を有することを示す。結果は、それらがハードコート用途に有利となる、同様の又はより高いTg及び硬度も示す。特に、例5は比較例1と比較して、極めて高い反応性並びに近似した硬度及びTgを示す。例7は比較例2と比較して、同様の反応性並びにわずかに高い硬度及びTgを有する。
【0147】
(例8)
84gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、255gのイソホロンジイソシアナート(IPDI)、0.08gのジブチルスズジラウラート(DBTDL)、及び200gのメチルエチルケトン(MEK)を、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後9%のNCO価で、67gのヒドロキシエチルアクリラート(HEA)、394gのペンタエリトリトールトリアクリラート「PETIA」(トリアクリラートとテトラアクリラートとの混合物)、及び0.64gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)の混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.1%未満に達するまで反応を70℃で継続させる。ウレタンアクリラート1(UA1)が得られる。
【0148】
(例9)
79gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、240gのイソホロンジイソシアナート(IPDI)、0.08gのジブチルスズジラウラート(DBTDL)、及び200gのメチルエチルケトン(MEK)を、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後9%のNCO価で、481gのペンタエリトリトールトリアクリラート「PETIA」(トリアクリラートとテトラアクリラートとの混合物)と0.64gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)との混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.1%未満に達するまで反応を70℃で継続させる。ウレタンアクリラート2(UA2)が得られる。
【0149】
(例10)
38gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、294gのヘキサンジイソシアナートイソシアヌラート、0.08gのジブチルスズジラウラート(DBTDL)、及び200gのメチルエチルケトン(MEK)を、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後8%のNCO価で、468gのペンタエリトリトールトリアクリラート「PETIA」(トリアクリラートとテトラアクリラートとの混合物)と0.64gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)との混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.1%未満に達するまで反応を70℃で継続させる。ウレタンアクリラート3(UA3)が得られる。
【0150】
(例11)
67gのイソソルビド(Posysorb P、Roquette製)、518gのヘキサンジイソシアナートイソシアヌラート、0.08gのジブチルスズジラウラート(DBTDL)、及び200gのメチルエチルケトン(MEK)を、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後10%のNCO価で、215gのヒドロキシエチルアクリラート(HEA)と0.64gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)との混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.1%未満に達するまで反応を70℃で継続させる。ウレタンアクリラート4(UA4)が得られる。
【0151】
(比較例3)
162gのポリエチレングリコール(PEG600、MW600)、452gのヘキサンジイソシアナートイソシアヌラート、0.08gのジブチルスズジラウラート(DBTDL)、及び200gのメチルエチルケトン(MEK)を、撹拌機及び温度調節器に取り付けられた熱電対を備えた二重壁ガラス反応器中に投入する。混合物を50℃に加熱する。発熱反応の後8%のNCO価で、187gのヒドロキシエチルアクリラート(HEA)と0.64gのヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)との混合物を1時間かけて加える。NCO価が0.1%未満に達するまで反応を70℃で継続させる。比較用ウレタンアクリラート(比較例3)が得られる。
【0152】
(例12〜15及び比較例4)
例8から11及び比較例3の樹脂を表3−1に記載の通りに配合及び評価する。
【0153】
引っかき抵抗性、耐摩耗性、耐衝撃性、及び促進耐候性の評価に使用したサンプルは以下のように調製する。各組成物を12番のバーコーターを使用して2mm厚のポリカーボナートパネル(日本テストパネル株式会社により供給)に塗布し、コーティングされた層を80℃のオーブンで5分間乾燥させ、乾燥させた層をUV照射器(EYE INVERTOR GRANDAGE ECS−401GX、アイグラフィックス株式会社により供給)を400mW/cm
2のピーク照度及び860mJ/cm
2の積算光量で使用した照射によって硬化させることにより、それぞれ8から10μmのコーティング厚さを有するコーティングされたパネルを調製する。
【表3】
【0154】
表3−1の評価結果は、本発明による組成物が、引っかき抵抗性、耐摩耗性、耐衝撃性、促進耐候性、及び反応性の観点から、環状エーテルポリオールを全く含有しないウレタンアクリラートよりも良好な性能を有することを示す。より詳細には、例15の組成物は比較例4の組成物よりも良好な性能を有する。
【0155】
(例16から19及び比較例5)
例8から11及び比較例3の樹脂を表3−2に記載の通りに配合及び評価する。
【表4】
【0156】
組成物にシリカを加えると、比較例5の場合を含め、コーティングの引っかき抵抗性及び耐摩耗性における性能の上昇がもたらされる。さらに、本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)を含む組成物は、引っかき抵抗性、耐摩耗性、耐衝撃性、促進耐候性、及び反応性の観点から、環状エーテルポリオールを全く含有しないウレタンアクリラートよりも良好な性能をなおも有する。より詳細には、例19の組成物は比較例5の組成物よりも良好な性能を有する。
【0157】
したがって、再生可能原料から得ることができる環状エーテルポリオールを含有する本発明による(メタ)アクリル化化合物(A)は従来技術の石油化学由来樹脂の可能且つ持続可能な代替物である。
本願発明を以下に記す。
[請求項1]
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)少なくとも1種の連結化合物(b1)及び/又は(b2)であって、連結化合物(b1)が、環中に少なくとも1個の
[化1]
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択され、連結化合物(b2)がエピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される、連結化合物、
(c)(メタ)アクリル化用化合物
から調製される(メタ)アクリル化化合物(A)であって、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合し、
化合物(b13)が使用される場合、少なくとも1種の化合物(b2)が使用される、上記(メタ)アクリル化化合物(A)。
[請求項2]
環状エーテルポリオールがジアンヒドロヘキシトールから選択される、請求項1に記載の化合物。
[請求項3]
環状エーテルポリオールがイソソルビドである、請求項1又は2に記載の化合物。
[請求項4]
連結化合物(b11)がラクトン、ラクチド、ラクタム、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項5]
連結化合物(b12)がグリコール酸である、請求項1から4までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項6]
連結化合物(b13)がエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項7]
エピハロヒドリンがエピクロルヒドリンである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項8]
ポリイソシアナートが脂肪族ポリイソシアナートから選択される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項9]
(メタ)アクリル化用化合物(c)が、不飽和酸、不飽和酸のアシルハライド、不飽和酸の対応する無水物、不飽和酸のC1〜C4アルキルエステル(c1)から、又はイソシアナート基と反応することが可能な少なくとも1個の反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物(c2)から選択される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の化合物。
[請求項10]
(メタ)アクリル化用化合物(c1)がアクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の化合物。
[請求項11]
(メタ)アクリル化用化合物(c2)がヒドロキシエチルアクリラート、グリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、及びそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の化合物。
[請求項12]
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)エピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)、及び随意に、環中に少なくとも1個の
[化2]
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択される少なくとも1種の連結化合物(b1)、
(c)(少なくとも1種の)(メタ)アクリル化用化合物
から調製され、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化化合物(A)。
[請求項13]
(a)少なくとも1種の環状エーテルポリオール、
(b)環中に少なくとも1個の
[化3]
基を含有し、式中、X=O若しくはNHである環式化合物(b11)、ヒドロキシ酸(b12)、及び/又は2から4個の炭素原子を含有するアルキレンオキシド(b13)から選択される少なくとも1種の脂肪族の連結化合物(b1)、及び随意に、エピハロヒドリン又はポリイソシアナートから選択される少なくとも1種の連結化合物(b2)、
(c)(少なくとも1種の)(メタ)アクリル化用化合物
から調製され、
化合物(b1)及び(b2)の両方が使用される場合、化合物(b1)が環状エーテルポリオール(a)を連結化合物(b2)と連結する部分を形成し、連結化合物(b2)が(メタ)アクリル化用化合物(c)に結合し、
化合物(b13)が使用される場合、少なくとも1種の化合物(b2)が使用される、請求項1から11までのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化化合物(A)。
[請求項14]
−組成物の有機不揮発分の総重量に対して、少なくとも5重量%の少なくとも1種の請求項1から13までのいずれか一項に記載の(メタ)アクリル化化合物(A)、
−随意に反応性希釈モノマー(B)、
−随意に、ポリエステル(メタ)アクリラート、ウレタン(メタ)アクリラート、アルコキシル化(メタ)アクリル化オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリラート、アミノ化(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル化(メタ)アクリル、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、及び塩素化されていてもよい不活性ポリエステルから選択される少なくとも1種の化合物(C)、
−随意に少なくとも1種の光開始剤(D)
を含む放射線硬化性組成物。
[請求項15]
ナノスケールフィラー(E)をさらに含む、請求項14に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項16]
ナノスケールフィラー(E)がシリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化アンチモンから選択され、組成物の有機不揮発分の総重量に対して、少なくとも10重量%の量で存在する、請求項15に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項17]
フィラー(E)が1から100nmの体積中位径を有するナノ粒子シリカである、請求項15又は16に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項18]
コーティング、インク、又はオーバープリントワニスである、請求項14から17までのいずれか一項に記載の放射線硬化性組成物。
[請求項19]
その表面の1つの少なくとも一部に請求項14から18までのいずれか一項に記載の組成物を塗布した物品又は基材。