特許第6240153号(P6240153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240153使用済み還元的アミノ化触媒からのレニウム回収
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240153
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】使用済み還元的アミノ化触媒からのレニウム回収
(51)【国際特許分類】
   B01J 38/00 20060101AFI20171120BHJP
   B01J 38/48 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 23/92 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 23/94 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 209/16 20060101ALN20171120BHJP
   C07C 211/10 20060101ALN20171120BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   B01J38/00 301S
   B01J38/48 B
   B01J23/92 Z
   B01J23/94 Z
   !C07C209/16
   !C07C211/10
   !C07B61/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-503247(P2015-503247)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公表番号】特表2015-517901(P2015-517901A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】US2013030233
(87)【国際公開番号】WO2013148140
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年2月25日
(31)【優先権主張番号】61/616,236
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ダブリュ・キング
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・シー・ホフマン
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭50−021998(JP,B1)
【文献】 特表2011−523437(JP,A)
【文献】 特表2003−525738(JP,A)
【文献】 特開平08−299798(JP,A)
【文献】 特表2001−501524(JP,A)
【文献】 特表2012−504610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
C22B 7/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、還元的アミノ化触媒からレニウムを回収する方法:
a)還元的アミノ化を行うために還元雰囲気で使用されている不均一触媒を、前記触媒は、基板とレニウムを含む少なくとも1種と前記基板に支持されたニッケルを含む少なくとも1種を含み、レニウムからを含む前記少なくとも1種は液体キャリアにおける第1の溶解度を有し、前記基板は前記基板の総重量に基づいて15重量%のアルミナを含む、与えること、
b)熱存在下及びRe含有種の少なくとも一部を前記液体キャリア中における第2の溶解度を有するRe含有製品に変換するのに有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、前記触媒を前記液体キャリアに接触させることであって、前記第2の溶解度は前記第1の溶解度より大きい、前記触媒を前記液体キャリアに接触させること、および
c)前記液体キャリアに前記Re含有製品を抽出すること。
【請求項2】
前記基板がアルミナ及びシリカを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不均一系触媒が、少なくとも1つのCo含有種及びCu含有種をさらに含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
以下のステップを含む、不均一系触媒を作製する方法:
a)還元的アミノ化を行うために還元雰囲気で使用されている触媒を与えることであって、前記触媒は、基板と7+未満の酸化状態のレニウムを含む少なくとも1種と前記基板に支持されたニッケルを含む少なくとも1種を含み、前記基板は前記基板の総重量に基づいて15重量%のアルミナを含む、触媒を与えること、
b)熱存在下及びRe含有種を前記液体に抽出することが有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、前記触媒を前記液体に接触させることであって、前記抽出されたRe含有種は7+の酸化状態のReを含む、前記触媒を前記液体に接触させること、
c)前記抽出されたRe含有種を含む含浸液を調製するため、前記抽出されたRe含有種を含む液体を用いること、および
d)少なくとも1つの前記Re含有種、および少なくとも1つの触媒的に活性なNi含有種を含む不均一系触媒調製するため前記含浸液を用いることであって、前記Re含有種におけるReの少なくとも一部は7+の酸化状態にある、前記含浸液を用いること、
e)任意に、還元的アミノ化の触媒活性を有する触媒を提供するため還元雰囲気下で前記不均一触媒を処理すること。
【請求項5】
以下のステップを含む、還元的アミノ化の触媒活性を持つ不均一系触媒においてReを用いる方法:
a)基板と7+未満の酸化状態のレニウムを含む少なくとも1種と前記基板に支持された触媒的に活性なニッケルを含む少なくとも1種とを含む第1の不均一系触媒を与えることであって、前記基板は前記基板の総重量に基づいて15重量%のアルミナを含む、第1の不均一系触媒を与えること、
b)還元的アミノ化処理を行う還元雰囲気で前記第1の不均一触媒を用いること、
c)熱存在下及び7+未満の酸化状態にあるレニウムを含む少なくともRe含有種の少なくとも一部を、7+の酸化状態にあるReを含む酸化Re含有製品に変換するのに有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、また、前記酸化Re含有製品が前記液体に抽出される条件下で、使用した第1の不均一系触媒を前記液体に接触させること、および
d)還元雰囲気下での還元的アミノ化触媒の触媒活性を有する第2の不均一系触媒を調製するため酸化Re含有製品を含む成分をもたらすこと、および
e)還元的アミノ化の還元雰囲気で前記第2の不均一系触媒をもたらすこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本非仮特許出願は、2012年3月27日付け、米国仮出願、シリアル番号61/616,236、「使用済み還元的アミノ化触媒からのレニウム回収」の35USC§119(e)に基づき優先権を主張し、記載された全ての記載内容を援用するものである。
【0002】
本発明は、還元環境に還元的アミノ化のための触媒を用いた使用後の不均一系触媒からのレニウムの選択的回収に関する。特に、本発明は、触媒がReをおよび、Ni、Co及び/又はCuのうち少なくとも1つを含む回収に関する。
【背景技術】
【0003】
還元的アミノ化は、アルコール類、ケトン類、アルデヒド等反応物がアミンに変換する重要な商業プロセスである。反応物はイミン中間体を形成する。次に、これらはアミン生成物を形成するため還元される。例えば、還元的アミノ化技術は、モノエタノールアミン(MEA)とアンモニアを反応させてアミンの反応生成物を形成するのに使用することができる。
【0004】
還元的アミノ化は、一般に還元環境に触媒の存在下で行う。代表的な触媒は、還元的アミノ化触媒の活性を有する少なくとも1つの触媒活性金属を含む。このような金属としては、Ni、Co及び/又はCuを含む。レニウム(Re)は、これらの触媒に組み込まれる。Reは自身の触媒活性を有していてもよいが、Reは、Ni、Co及び/又はCuの触媒活性を高めるためのプロモーターとして機能すると考えられる。
【0005】
フレッシュ触媒は、還元的アミノ化を触媒する活性、選択性のあるレベルを有している。選択性及び/又は活性は触媒年代として時間を低減して、使用される。ある時点で、触媒は使用されたと判断され、交換される。またある時には、触媒は活性と選択性を有することができるが、製造計画は変更され、触媒が不要となった。
【0006】
還元的アミノ化が有効であるために、触媒は、比較的大量のReを組み込む。例えば、触媒の総重量に基づいた0.5重量%より大きな積載量のRe(金属含有率)が一般に用いられている。こうして、Reの有効量が商業規模で還元的アミノ化を行うために使用される。その他の種類の触媒は、異なる条件で少ないReを用いる。例えば、エチレンオキシド(EO)触媒はより少量のReを用い、触媒は酸化環境で起こり、触媒はしばしば有効量のAgを有している。こうして、EO触媒によるReの典型的な回収において、触媒は酸化環境で使用され、ReはAgの相当量に対して選択的に回収される。
【0007】
レニウムも非常に高価で、希少金属である。レニウムコストは1kgあたり$10000と高くなった。使用されたReの量とそのコストに基づき、廃触媒からReを回収し、再利用することが非常に望ましい。詳細には、無用な汚染を回避するために他の触媒成分に対するReを選択的に回収し、Reのリサイクルを簡略化することが望ましい。
【0008】
抽出技術は、廃触媒からReを回収するのに使用されている。しかしながら、米国特許第7,763,096の報告では、水性抽出はReの選択性が低い。相当量の他の触媒成分は、Reと共に抽出されるため、Reは他の材料に汚染される。米国2009/0148361の報告においても、水性抽出は、非選択的にReと金属触媒を回収でき、Reの回収を妨げ、複雑にする。
【0009】
使用済み還元的アミノ化触媒から選択的にReを回収する必要性が根強くある。具体的には、使用済み還元的アミノ化触媒からNi、Co及び/又はCuに対してReを選択的に回収する必要性が根強くある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、還元的アミノ化触媒からReを選択的に回収する技術を有利に提供する。特に、本発明では、ReがNi、Co及び/又はCuに対してReを選択的に回収し、それは特に、還元的アミノ化触媒上に存在するNiである。回収したReは、Reを用いて所望のアプリケーションで再利用することができる。特に、回収したReは、新たな還元的アミノ化触媒の調製に使用することができる。回収したReが他の触媒用途、例えばエチレンオキシド触媒、炭化水素処理、ガソリン処理、触媒改質に有効である。回収したReは、Reを含む合金に組み込まれ、Ni基超耐熱合金における添加剤として使用されているようなハイテク分野で使用することもできる。
【0011】
本発明は、任意にシリカも存在する、アルミナのしきい値量を含む基板からNi、Co、及び/又はCuに対しReを選択的に回収するため、酸化・抽出技術の組合せを用いた。アルミナのしきい値量を有する基板を用いると、還元的アミノ化触媒からReを回収する際に多くの利点を有する。なお、触媒基板は、増大するアルミナ含量に還元的アミノ化によりロバストであることを見出した。特に、アルミナは、還元的アミノ化条件で粉砕に大きな抵抗を有する基板を提供することができる。これにより、触媒からReの回収を容易にする触媒の健全性を確保することができる。一方で、ロバスト基板が少ないと、粉砕あるいは劣化する傾向が実質的に大きくなり、Reの回収が実質的により困難となる。
【0012】
有利に、本発明に係るReの回収は、水溶液を抽出するために用いた場合であっても選択的である。酸化は、さらに水に可溶であり極性有機溶媒である形にReを再変換していると考えられる。しかし、驚くことに、選択性は、Ni、Co及び/又はCuに対して向上する。従来の経験から、単なる酸化は溶解度を向上させるが、選択性は向上しないことがわかった。理論に縛られなければ、還元的アミノ化、還元的アミノ化触媒の性質を実行する還元環境における触媒の使用は、Reを抽出するため酸化する際、観察される選択性に寄与していると考えられる。したがって、本発明は、触媒が使用される環境は、より最近の触媒からの選択的なReの回収に衝撃を与えることを高く評価する。理論に縛られなければ、基板のアルミナ含量はまた、Niとその他の触媒活性種がReよりアルミナにより強く結合する傾向があるという点において、この選択性を促進すると考えられる。その結果、酸化されたReは、Niと可能性のある他の種にも比べ触媒から抽出されやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様において、本発明は、以下のステップを含む、還元的アミノ化触媒からレニウムを回収する方法に関する。
a)還元的アミノ化を行うために還元雰囲気で使用されている不均一触媒を与えることであって、触媒は、基板とレニウムを含む少なくとも1種と前記基板に支持されたニッケルを含む少なくとも1種とを含み、レニウムを含む少なくとも1種は、液体キャリアにおいて第1の溶解度を有し、基板は基板の総重量に基づいて少なくとも15重量%のアルミナを含む、不均一触媒を与えること、
b)熱存在下及びRe含有種の少なくとも一部を液体キャリアにおいて第2の溶解度を有するRe含有製品に変換するのに有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、触媒を液体キャリアに接触させることであって、第2の溶解度は第1の溶解度より大きい、触媒を液体キャリアに接触させること、および
c)液体キャリアにRe含有製品を抽出すること。
【0014】
別の態様において、本発明は、以下のステップを含む、不均一系触媒を作製する方法に関する。
a)還元的アミノ化を行うために還元雰囲気で使用されている触媒を与えることであって、触媒は、基板と7+以下の酸化状態のレニウムを含む少なくとも1種と基板に支持されたニッケルを含む少なくとも1種とを含み、基板は基板の総重量に基づいて15重量%のアルミナを含む、触媒を与えること、
b)熱存在下及びRe含有種を液体に抽出することが有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、触媒を液体に接触させることであって、抽出されたRe含有種は7+の酸化状態のReを含む、触媒を液体に接触させること、
c)抽出されたRe含有種を含む含浸液を調製するため、抽出されたRe含有種を含む液を用いること、
d)少なくとも1つのRe含有種、および少なくとも1つの触媒的に活性なNi含有種を含む不均一系触媒調製するため含浸液を用いることであって、Re含有種におけるReの少なくとも一部は7+の酸化状態にある、含浸液を用いること、
e)任意に、還元的アミノ化の触媒活性を有する触媒を提供するため還元雰囲気下で不均一触媒を処理すること。
【0015】
その他の態様において、本発明は、以下のステップを含む、還元的アミノ化の触媒活性を持つ不均一系触媒においてReを用いる方法に関する。
a)基板と基板に支持された7+以下の酸化状態のレニウムを含む少なくとも1種と基板に支持された触媒的に活性なニッケルを含む少なくとも1種とを含む第1の不均一系触媒を与えることであって、基板は基板の総重量に基づいて15重量%のアルミナを含む、第1の不均一系触媒を与えること、
b)還元的アミノ化処理を行う還元雰囲気で第1の不均一触媒を用いること、
c)熱存在下及び7+の酸化状態にあるレニウムを含む少なくともRe含有種の少なくとも一部を、7+の酸化状態にあるReを含む酸化Re含有製品に変換するのに有効な条件にある少なくとも1つの酸化剤の存在下で、また、酸化Re含有製品が液体に抽出される条件下で、使用した第1の不均一系触媒を液体に接触させること、
d)還元雰囲気下での還元的アミノ化触媒の触媒活性を有する第2の不均一系触媒を調製するため酸化Re含有製品を含む成分をもたらすこと、および
e)還元的アミノ化の還元雰囲気で第2の不均一系触媒をもたらすこと。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に示す本発明の実施形態は、以下の詳細な説明に開示された正確な形態に本発明を限定するものではない。むしろ、選択され、説明された実施形態の目的は、本発明の原理と実践の当業者による認識・理解を容易にすることができる。
【0017】
本発明は、不均一触媒を還元環境に還元的アミノ化処理に使用した後不均一触媒からレニウムを選択的に回収するプロセスについて説明する。レニウムは、例えば、触媒活性種及び/又はプロモーターとして、適切に機能する。特定の実施形態において、レニウムを含む触媒は、固体担体に触媒活性種としてNi、Co及び/又はCuのうち少なくとも1つを含む還元的アミノ化触媒である。
【0018】
不均一系触媒は、還元雰囲気で行う還元的アミノ化処理に使用後、いつでもReの回収のため設けることができる。例えば、触媒は、触媒を熟成させ、ある程度使用済みとなった後にReの回収のため設けることができる。ここで、使用された、又は熟成された触媒が所望の還元的アミノ化プロセスにおける使用に対し活性及び/又は選択性の所望のレベルが消失した場合に、触媒は消費されている。例えば、触媒の選択性はフレッシュ触媒に比べ3%以上になった場合、いくつかの実施形態において触媒は消費されたと考えられる。さらに典型的には、選択比が5%以上になった場合に触媒は消費されたと考えられる。他の例として、最初に与えられたフレッシュ触媒として、所望の生産性を維持するためには、3°C以上、好ましくは5°C以上反応温度を高くする必要がある場合、触媒は消費されたと考えられる。このように温度を上げるということは、触媒活性が低下していることを示している。
【0019】
また、Reの回収は、触媒が相当量消費されていない場合でも、その他の理由の広範囲で実施することができる。例えば、Reの回収は、処理が処方の変更や、生産計画の変更により廃止になった場合、望ましい。Reの回収は、例えば、処理施設のメンテナンス、サービス又はリペアのために処理が一時的に停止された場合、実行してもよい。回収後、Reは、様々な方法で使用することができる。例えば、回収したReは、還元的アミノ化等の処理に使用するフレッシュ触媒成分として販売、格納、再利用することができる。
【0020】
本発明の実施において、不均一系触媒は、触媒の位相が、触媒により容易にされている反応の少なくとも一部の反応物の相と異なる触媒を指す。好ましくは、不均一系触媒は、適切な個体基板で支持される1つ以上の触媒活性材料を含む。基板は、例えば、粉末、粒子、ペレット、顆粒、押出成形体、繊維、シェル、ハニカム、膜、布、板等の種々の形状や組合せを有してもよい。粒子は形状的に一定、不規則、樹状、樹状でない、円形、正方形、四面体等にすることができる。好ましい支持体は、自然では微粒子である。
【0021】
微粒子の基板は、いわゆるゲスト・ホスト構造を有し、粗い(30メッシュより多い)粒子が、微細な(100μm以下、好ましくは50μm以下、最も好ましくはで10μm以下)粒子に吸着あるいは接着して作製することができる。小さな粒子をゲストとし、これらを支持する大きな粒子をホストとする。この小粒子支持の大粒子複合構造は、すなわち、低圧力損失、粗い粒子の所望のガス通過特性を保持したまま高全外表面領域を構成する。また、これらの複合粒子を構成するのに小さい粒子を用いることにより、安価で、粗い粒子を用いることができる。これにより、非常に安価で高活性触媒粒子は、触媒層の体積のバルクが安価で、根本的な、粗い粒子を巻き取ることができるので作製することができる。好ましくは、ゲスト・ホスト構造は、無用な周波数に触媒を補充するのを回避するために適宜の時間の反応環境に安定している。
【0022】
触媒活性材料は、ホスト粒子上ではなく、ゲスト粒子のみに支持され、本発明のしきい値アルミナ含有量は、好ましくはゲスト粒子に適用し、必要に応じてホスト粒子に適用した。同様に、基板は、触媒活性材料のみを基板の胴部上又は内部に設けたコア/シェル構造を有する場合には、本発明のしきい値アルミナ含量は、好ましくシェル部に、必要に応じてコア部に適用した。
【0023】
触媒活性物質はゲスト・ホスト粒子へ、又はゲスト・ホスト粒子に組み込むことができる。しばしば、触媒活性は主に、ゲスト・ホスト複合体を形成する前又は後に、ゲスト材料に組み込まれている。ゲスト・ホスト構造と、これらの製造方法は、米国公布2005/0095189A1にさらに説明する。
【0024】
随意に、触媒担体と使用前に還元焼成したものを用いた。焼成は、触媒製造時、例えば活物質を支持体上に設けられた前/後に生じる。一般に、焼成は、空気又は窒素、アルゴン、二酸化炭素、これらの組合せによるもの等の不活性雰囲気中で起こる。焼成は、約1000°C、好ましくは約200°C〜800°Cの多様な高温にて発生することができる。水素又は、水素と不活性(例えば窒素)の混合での還元は、約1000°Cまでの温度、好ましくは約250〜500°Cの多様な高温で発生することができる。
【0025】
本発明の実施において、基板は、好ましくは少なくともしきい値量のアルミナを備えている。理論に縛られなければ、この特徴によってより還元的アミノ化条件にロバストする基板ができると考えられる。この特徴は、触媒活性Niを含む種に対する基板から酸化したReを抽出する良好な選択性を促進することもできると考えている。好ましい実施例では、基板の総重量に対し、基板上に少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも75重量%のアルミナを含む。
【0026】
アルミナは、1以上の異なる相及び/又は構造に存在することができる。例えば、アルミナは、非晶質及び/又は結晶化することができる。結晶相が好ましい。また、アルミナは1つ以上のα−、β−、γ−、δ−、η−、θ−及び/又はχ−に存在してもよい。相過渡アルミナ(δ−、η−、θ−、χ−)が好ましい。コランダム、Fe、Ti及び/又はCr等の他の成分の少量を含むアルミナの結晶形である。
【0027】
アルミナに加え、基板は、多様な他の材料が挙げられる。代表的な例としては、1つ以上のポリマー、炭素質材料、浮石、シリカ系材料(シリカなど)、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属炭酸塩、これらの組合せ等の金属種として無機及び/又は有機材料が挙げられる。代表的な金属酸化物は、1以上のマグネシウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、鉄、錫、アンチモン、バリウム、ランタン、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、シリコン、銀、金、チタン、及び/又は白金の酸化物を含む。
【0028】
マグネシア、ジルコニア、チタニア、けいそう土、フラー土、炭化シリコン、シリカ、窒化シリコン、1以上の粘土、人工ゼオライト、天然ゼオライト、二酸化珪素、二酸化チタン、他のセラミックス及び/又はガラス、又はそれらの組合せを含むアルミナとの組合せで全ての又は一部の基板として適当な金属の例が挙げられる。多くの実施形態では、支持体は、ここで示すしきい値量のアルミナ及びシリカを含む。好ましくは、アルミナとシリカの重量比は、1:1〜50:1、好ましくは1.5:1〜20:1に、さらにより好ましくは約2:1〜8:1の範囲にある。基板の模範的な実施形態は、シリカの約20重量部に対してアルミナの80重量部を備えている。その他の構成要素の少量(例えば、アルミナの80重量部に対する各構成要素の10重量部未満、5質量部未満、又は、1重量部未満)が、このような実施形態で存在することができる。無機の微粒子の支持体の好ましい実施形態は、「支持体として酸性複合金属酸化物を含む低い金属触媒組成」と題する、Stephen W.King et al.による米国公開特許2010/0087682に記載されている。本発明の実施に好適な付加無機基板も、「低い金属積載、アルミナ支持体、触媒組成及びアミノ化処理」と題する、Stephen W.King et al.による米国公開特許2010/0137642に記載されている。
【0029】
アルミナと組み合わせた炭素質物質の例としては、活性炭、黒鉛等が挙げられる。適当な活性炭粒子は、石炭、ココナッツ、泥炭、ソースからの活性炭、これらの少なくとも2つの組合せ等を含む多様なソースから由来する。
【0030】
基板はしばしば、触媒活性物質と、プロモーター等の他の触媒成分を支持する高表面積を提供する形状を有している。このような形状は、テクスチャ、折り目、ループ、断面形状、孔等を用いて形成することができる。微粒子基板の実施形態がしばしば高表面積を付与するマクロ孔、ナノ細孔性、ミクロ孔、メソ多孔性の組合せを有する。多くの実施形態では、表面地形は、少なくとも50m/g、1500m/g、100m/gのBET比表面積を持つ基板を提供するのに有効である。
【0031】
触媒活性物質と、プロモーター等の他の触媒成分は、様々な方法で不均一系触媒に組み込んでもよい。実施手順は業界では周知であり、含浸液、沈殿液、物理的、化学的気相成長法による蒸着液を含む。いくつかの場合には、前駆体をまず支持体上に形成し、その前駆体を基板上にin situにて所望の成分に変換することができる。
【0032】
不均一系触媒は、還元環境に還元的アミノ化の活性を少なくとも1つの触媒活性種を備えている。少なくとも1つの触媒活性種は、Ni、Co及び/又はCuの少なくとも一方を含む。好ましくは、少なくとも1つの触媒活性種は、Niを含む。Ni含有種は、好ましくはCo及び/又はCuの少なくとも1つを含む少なくとも他の1つの触媒活性種と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、不均一系触媒は、Ni、Co及びCuを含む種を組み込んでいる。
【0033】
基板に内蔵された触媒活性と他の種は適切な形でよく、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属錯体、金属水素化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、等を含むことができる。
【0034】
Co(もしあれば)及びCu(もしあれば)各々へのNiの重量比は独立に広い範囲で変化させることができる。例えば、各Co、Cuへのニッケルの重量比は独立に1:1000〜1000:1、好ましくは、1:100〜100:1、より好ましくは、1:50〜50:1の範囲にすることができる。例示的な実施形態では、独立にCu(もしあれば)及びCo(もしあれば)各々へのNiの重量比を約3:1〜10:1で用いれば適したことになる。これらの比は、金属が、他の元素組成を含む種に組み込まれる場合にも金属基準で示される。
【0035】
基板に内蔵された触媒活性物質の総量を広い範囲で変化させることができる。一般に、十分な触媒を所望の還元的アミノ化触媒を行うことを容易に含まれている。多くの実施形態では、触媒は0.005〜45重量%の触媒活性金属から組み込まれ、好ましくは0.1〜15重量%から組み込まれる。これらの重量%は、金属が、他の元素組成を含む種に組み込まれる場合も金属基準で示される。
【0036】
アミノ基転移反応による環状ポリアミンの形成に使用した触媒の量は、所望の環状ポリアミンの製造に有効量である。バッチ条件は、触媒の量は、原料100重量部(s)あたりの金属に基づいて、約0.1〜約20重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲にしてもよい。
【0037】
Ni、Co及び/又はCuに加え、不均一系触媒は、随意に1以上の触媒活性種を組み込んでもよい。これらは、Pt、Pd又はIr、これらの組合せ等が挙げられる。
【0038】
不均一系触媒は、基板に支持されたレニウム等の少なくとも1種をさらに含む。本種は、例えばRe金属、Re酸化物、Re炭酸塩、Re錯体、Re水素、Re窒化物、Re炭化物、等のいかなる構成であり得る。Ni、Reを含む触媒は、「支持体として酸性複合金属酸化物を含む低い金属触媒組成」と題する、Stephen W.King et al.による米国公開特許2010/0087682及び「低い金属積載、アルミナ支持体、触媒組成及びアミノ化処理」と題する、Stephen W.King et al.による米国公開特許2010/0137642に記載されている。
【0039】
理論に縛られなければ、Reも触媒活性を有することが可能となっているが、不均一系触媒に含まれるReが少なくとも一部においてNi、Co及び/又はCuのプロモーターとして機能すると考えられる。したがって、Reは、存在し得るNi、Co、Cu及び/又は他の触媒活性種の活性を促進する有効量で触媒に組み込まれている。還元的アミノ化について、不均一系触媒は、一般にエチレンオキシド(EO)触媒等の触媒の他のタイプに使用され得るより多くの量のReを含む。こうして、EO触媒のReの促進量が、触媒の総重量に基づき0.001〜約1重量%のRe金属の比較的低い範囲にされ得ることに対し、還元的アミノ化に適した不均一触媒は、一般に、触媒の総重量に基づき、少なくとも0.5重量%のRe金属、好ましくは1〜15重量%Reを含む。
【0040】
Reは−1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7を含む種々の公知の酸化状態を有している。酸化は+7、+6、+4、+2の状態が最も一般的である。水溶液又は極性有機溶媒中でのRe含有種の溶解性は、酸化状態の機能である。一般に、溶解度は増加するに連れて酸化状態が増加傾向にある。こうして、Reが+7状態のReの酸化物は水性媒体、特に水性媒体を加熱した場合における比較的高い可溶の傾向がある。これに対し、Reが+6、+4、+2の状態、特に+4、+2状態Reの酸化物は、媒体を加熱しても水性媒体に対する溶解性が低い傾向がある。
【0041】
不均一系触媒は活性金属(例えば、Ni)を与えることを低減して、還元雰囲気下での還元的アミノ化触媒に使用された後、Reは、Reの酸化状態を低減させるように作用する低減条件に露出されている。これにより、(実質上全てのReであっても)Reを含む少なくとも1種は、より低い、少ない可溶性の酸化状態、すなわち+7以下の酸化状態、さらに+6以下、さらに+4以下の酸化状態に存在すると考えられる。したがって、このようなRe種は、Reがより高い酸化状態にあった場合の溶解度に比べて比較的低い水性媒体及び/又は極性有機溶媒での溶解度を有する。
【0042】
従来は、不均一系触媒からReを回収するため、抽出を利用すること、特に水性抽出を利用することは非選択的であると期待される。米国特許7,763,096や米国特許2009/0148361を参照。特に、米国特許7,763,096は、水性抽出は、Reと共に多数の他の触媒成分を回収することを報告する。したがって、Reが汚染された形で回収される。驚くことに、本発明の実施は、水性抽出溶媒を含む広範囲の溶媒を用いたReのより選択的な回収を図ることができる。とらわれないようにすることで、その結果、改良選択性は少なくとも以下の酸化及び抽出前に還元状態にReを使用した一部に起因すると考えられる。すなわち、Reを還元し、次に酸化することにより抽出を介して選択的に回収することができる。理論に縛られなければ、これらの条件は、還元的アミノ化触媒との関連でNi、Co及び/又はCuに対してReに選択的であると考えられるのに対し、従来の実施はEO触媒に対してRe回収を試みた。EO触媒は、銀及び/又は、還元状態ではなく、酸化でEO触媒に用いられる他のプロモーターを有する。こうして、Reが触媒EO処理では顕著に還元されない。
【0043】
不均一系触媒は任意に1つ以上の添加成分を有してもよい。他の成分の例としては、ボロン、ジルコニウム、亜鉛、これらの組合せ等の1つ以上の追加プロモーターを含む。他のプロモーターの例としては、Na、Li、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Cr、Co、Mn、Y、Mb、W、V、Ta、Nb、S、P、W、Hf、Ti、これらの組合せ等の少なくとも1つを含む1つ以上の種を含む。使用したいかなる追加プロモーターが廃触媒からレニウムを抽出するのに用いた溶媒に限られた溶解度を有する、もしくはプロモーターが得られたレニウム含有混和剤から容易に取り除ける(例えば結晶化より)ことが望ましい。
【0044】
Reの回収は、不均一系触媒の還元的アミノ化処理を行うと還元雰囲気で使用された後に実行される。一般に、還元的アミノ化(また還元アルキル化として知られている)は中間体イミンを経由するアミンにカルボニル基の変換を伴うアミノ化の形態である。還元的アミノ化は、直接又は間接的にすることができる。
【0045】
少なくとも還元的アミノ化の一部は、還元雰囲気で発生する。例えば、還元的アミノ化の第1の部分はカルボニルをイミンに変換することができる。この反応の一部は、全体又は一部に還元雰囲気で発生してもしなくてもよい。第2の部分の反応、イミンは還元してアミンを形成できた。この反応の一部は、全体又は一部に還元雰囲気である。還元雰囲気とは、イミンをアミンへ変換するのに有効である環境である。例示的な還元剤としては、水素、金属水素化物、ギ酸、シュウ酸及び/又はその組合せ等が挙げられる。
【0046】
ここで参照する出願人の同時係属の米国特許出願は、全ての理由において全体が参照により組み込まれ、還元的アミノ化に関する触媒及び還元剤に係る技術について記載する。
【0047】
不均一系触媒からReを回収する液は、+7酸化状態でRe含有種の抽出溶媒としての機能が選択されている。この酸化状態に、Re種は低酸化状態に対応するRe含有種の溶解度(第1の溶解度)のそれよりも大きい液体キャリアに対する溶解度(第2の溶解度)する傾向にある。例えば、7+以下の酸化状態、好ましくは6+以下、より好ましくは4+以下。例示的な液としては、水はもちろん極性有機溶媒も挙げられる。水と、1つ以上の極性有機溶媒の組合せから成る液体を使用することもできる。好適な極性有機溶媒は、酸素を含み、エーテル類、グリコール類、エステル類、ケトン類、アルデヒド溶媒を含むアルコール、及びこれらの組合せを含む。好適な極性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール、ヘキサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ネオペンチルグリコール、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸ビニル、炭酸ジメチル、乳酸エチル、エチレンカーボネート、アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、メチルビニルケトン、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、フラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジグライム、2−ブトキシエタノール、これらの組合せ等を含む。
【0048】
好ましい液体は水である。なお、本発明は、水性抽出媒体を用いた還元的アミノ化触媒上でのNi、Co及び/又はCuに対して、Reを選択的に回収する。驚くことに、従来の研究は、水性抽出は、EO触媒等の他のコンテキストにReより低い選択性を有することを報告した。EO触媒は、主として、酸化環境で用いられ、Reは従来の多くの実施において大量のAgに対して選択的に回収されなければならない。
【0049】
液体は中性、酸性、塩基性である。例示的な塩基性溶液は、NaOH水溶液、KOH水溶液及び/又はアンモニア水等が挙げられる。例示的な酸性溶液としては、硝酸及び/又は酸等が挙げられる。比較的中性の溶液としては、酸化物以外の他のレニウム塩の形成を小さくすることが好ましい。
【0050】
触媒は、液体にReの抽出を容易にするために酸化剤を接触させる。酸化は、+7以下の低酸化状態から+7の酸化状態に酸化する少なくともReの部分が発生する。これは、Re含有種の溶解性を調節する。すなわち、Reの酸化は、増加する溶解性の形で液体に存在するReを生じる。例えば、水溶性であり、酸化後触媒上にあり得るその他のより不溶性の金属及び金属酸化物に対し、水媒体に選択的に抽出できるRe及び/又はHReOの形でRe+7を酸化により得ると考えられる。Reの酸化なしでは、実質的に少ないReを抽出することができる。還元環境に予め触媒を用いることなく、Reの回収のための選択性に問題があると考えられる。
【0051】
酸化は、液体との接触前に及び/又は中に生じることがある。液体との接触の前に酸化すると、酸化剤を含む蒸気相又は気相は触媒に接触させてもよい。液体に接触すると同時に酸化すると、酸化剤は、液体に組み込まれてもよく、及び/又は周囲環境に存在してもよい。
【0052】
少なくとも1つの酸化剤は、多様なオプションから選択してもよい。例としては、空気、酸素、オゾン、二酸化塩素、酸化物、硝酸、硫酸、過マンガン酸塩、過硫酸に富む空気、これらとの組合せ等を含む。触媒に液体が接触する状態に応じて、酸化剤は、液体中及び/又は周囲環境に存在してもよい。例えば、不可欠の酸化力での好ましい液体は、過酸化水素水及び/又はオゾン水を含む。液体を触媒が処理過程での液体と環境に接触するように触媒上に散布し、酸化剤は、周囲に存在することができる。例えば、空気中の酸素は、液体を噴射等の触媒に飛散するとReの酸化剤として機能することができる。
【0053】
酸化条件の強度を広い範囲で変化させることができる。しかし、酸化力が強すぎると、Reの選択性は低減する。液体水(例えば純水)の存在下の空気は、適当な緩酸化能力を有している。また、30重量%以下の過酸化水素が適切であり、好ましくは10重量%以下である。
【0054】
緩酸化条件は、より積極的な酸化条件を用いるようにした場合よりもReがより遅く酸化するようにする。緩酸化は触媒の他の成分に対してReを制御可能に酸化し、還元的アミノ化に有効なNi、Co、Cu、及び/又はその他の成分に対してReの選択的回収を高める。
【0055】
液体が液中にRe含有種を抽出するのに有効な条件で触媒と接触させる。溶剤と触媒との接触するためのいかなる方法も用いることができる。例示的な技術としては、サイクルの適当な数に適した時間における、浸漬、噴霧、カーテンコート、および洗浄が挙げられる。溶媒と触媒との接触は、抽出時の攪拌の形態を含めて向上することができる。適当な攪拌方法の実例となる種類としては、例えば、混合物の攪拌、混合物の振とう、混合物の回転、混合物の発泡、混合物の沸騰を含む。その他の技術は、反転、チルト、開閉容器やパン内の混合物の回転を伴う。
【0056】
酸化及び/又は抽出は、独立して、又は一緒に、広い温度範囲で生じる。実例と成る実施形態では、酸化及び/又は抽出は独立して、又は一緒に、0°C〜300°Cの温度範囲で、好ましくは周囲温度から250°C、より好ましくは45°C〜100°Cで生じる。不必要な昇華損失を回避するのであれば、高温が好ましい。温度は、液体が第1の触媒に接触時の液体の温度をいう。
【0057】
酸化及び/又は抽出は独立して、又は一緒に、圧力の広い範囲にわたって生じる。周囲圧力、高圧又は減圧を用いることができる。実施的な形態において、例示的な圧力は、0.5atm〜10atm、好ましくは0.8〜5atmの範囲である。周囲圧力以上の使用がRe種の昇華損失を避けるためにより好ましい。また、圧力調節は、液体の温度を制御するために使用することができる。
【0058】
酸化及び/又は抽出は独立して、又は一緒に、時間の広い範囲にわたって生じる。酸化及び/又は抽出のための時間が短すぎる、少なすぎるReは、各処理のサイクル中に回収することができる。時間が長すぎると、Re後に選択性が不用意になる。一般的なガイドラインにより、1時間〜24_時間の範囲の時間、好ましくは2時間〜10時間が好適である。
【0059】
なお、1サイクル以上の酸化及び/又は液接触はRe回収を向上させることができる。
【0060】
処理の結果、Reは、液体抽出溶媒に回収される。酸化処理により、回収したReの少なくとも一部およびほぼ全てが、+7酸化状態にあると考えられる。回収したReを含む得られた液体は、様々に使用させることができる。好ましい実施態様によれば、液体をそのまま用いたり、含浸液を形成するように変更することができる。次に含浸液は、回収されたRe及び必要に応じて他の1以上の成分を含む新たな不均一系触媒の形成に使用することができる。他のオプションとして、回収したReを単離し、必要に応じて精製し、将来の格納することができる。
【0061】
抽出処理によって得られたレニウムを含む混和剤は、さらに処理することなくそのまま用いることができる。しかし、それどころか、さらなる処理は、混和剤及び/又は回収したReをより使用可能にする。例えば、レニウム混和剤を濃縮するのに好ましい。液を濃縮するための周知の方法を用いることができる。溶液を濃縮する好ましい方法は、例えば、加熱及び/又は減圧による液の一部の蒸発を含む。選択溶媒吸収や限外濾過法等の、他の方法による溶剤の除去を用いることもできる。なお、固体レニウム製品を提供するためレニウムを含む溶液から全ての溶媒を実質的に除去するのも好ましい。
【0062】
レニウム溶液は利用可能なレニウムを含む最終製品を実現するために他の加工法や化学反応を行うことができる。例えば、金属キレート剤、沈殿剤、ポリマー、又はその他の物質を、例えば、レニウム化合物の析出を発生するために、溶液に添加することができる。レニウム化合物は、例えば、レニウムの酸化物、硫化物、ハロゲン化物、錯体イオン(例えば、ケイ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、タングステン)等のレニウム−キレート錯体、レニウム−高分子錯体又はレニウム材料であり得る。また、溶液は、例えば、例えば冷却、加熱、電解(例えば、レニウム金属又は金属合金を得るため)され、適当なレニウム最終製品を得るための処理の一部として、指定された条件の下で一定時間放置され、あるいは酸化や還元剤に露出され得る。
【0063】
回収したReを含む液体剤をそのままあるいは、フレッシュ触媒を使用することができる含浸液を形成する前駆体として使用することができる。還元的アミノ化に有効な新しい不均一系触媒を形成する1つのオプションによると、回収Reを含む液抽出を任意に濃縮または他の方法で処理した後、全ての還元的アミノ化に適した新しい不均一系触媒を調製するのに必要な他の成分の全てまたは部分と組合せることができる。得られた含浸剤は、フレッシュ触媒の調製に使用することができる。このため、触媒活性、Ni含有材料や前駆体、触媒活性、Co含有材料や前駆体、及び/又は触媒活性、Cu含有材料や前駆体、の少なくとも1つを含む成分は、その使用に先立って含浸液に組み込まれている。
【0064】
実際の他のモードでは、回収Reを含む液体抽出物は、必要に応じ濃縮でき、あるいは処理でき、その後、添加成分を加えることなく含浸液として使用することができる。本研究ではフレッシュ触媒を調製し、Re含有含浸液を、フレッシュ触媒を調製するために1つ以上の他のソースと組み合わせて使用される。例えば、還元的アミノ化に用いる新規触媒を作製するためには、得られた触媒は他のソースから、回収Re、また任意に他のソースから任意に付加されたRe、及び少なくともNi、Co、Cuの1つを含有してもよい。
【0065】
なお、少なくともReの一部を提供する回収Reの使用は、触媒の製造コストを低下させるフレッシュ触媒に含まれる。
【0066】
レニウムを含む最終製品は、レニウムの取り込みを必要とするその他の最終製品を製造するのに使用することができる。例えば、回収レニウムは、EO触媒等の触媒の種類に適しているレニウムを含むフレッシュ触媒を得るのにレニウムを組み込むため触媒前駆体(例えば、触媒担体)を扱うのに利用できる。レニウムを含む液は、ガソリンと炭化水素処理に用いた白金−レニウム触媒を作製するために使用することもできる。レニウムはフィラメントと熱電対に役立つタングステン−レニウム合金化する際に用いることもできる。レニウムは、タービン翼とガスタービンエンジンの製造に用いるニッケル基超合金に添加剤として用いることもできる。また、プレデポジション、共蒸着、ポストデポジション等公知の手順のいずれも用いることができる。
【0067】
本発明は以下の実施例を参照してさらに説明する。
【0068】
実施例1
蒸留水100mlを丸底フラスコに加え、加熱マントルに設置した。ソックスレー用のシンブル抽出機に、6.2wt%Ni、アルミナ/シリカ基板に支持された4.8wt%Reが含まれている使用済還元的アミノ化触媒の1.0gを設置した。フラスコを空気中の酸素の存在下で温水に触媒を洗浄するために大気に開放して加熱還流した。これで、Reが水に抽出された。還流は、後のフラスコの内容を冷却して4時間後に認められた。10mlの試料液は新鮮な水10mlと除去、置換した。フラスコを、水に触媒抽出Reを洗浄する4時間還流に再度加熱した。この操作を3回繰り返した。3つの採取した試料は、Ni、Re、Al、Siの誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)により解析を行った。結果を以下に報告する。使用済みの還元的アミノ化触媒に含まれるReに基づいてReの37.4%の全還流の12時間後の使用済み触媒から回収した。表は、Ni、Al、Siに対するReを回収するための高選択性を示すものである。
【0069】
実施例2
アルミナ/シリカ基板に5.0wt%ニッケルと5.7wt%レニウムを含んだ使用済み還元的アミノ化触媒25gを活栓付きガラス管に充填した。触媒含むガラス管を介して水性抽出物を還流させるためにポンプを用いて8時間、70°C〜90°Cに空気の存在下で蒸留水の約100mlで、使用済み触媒を洗浄し続けた。100mlのフレッシュ蒸留水で、手順を6回繰り返した。水性抽出物を組み合わせ、七酸化レニウム/過レニウム酸溶液を付与する回転蒸発器に濃縮した。Re量はICP−MSを用いて測定し、硝酸ニッケル、ホウ酸を加え、触媒含浸液が得られた。アルミナ/シリカ基板、US6,534,441において説明した手順を用いて、含浸液と基板を用いて不均一系触媒を調製した。基板上に組み込まれたReは、+7酸化状態で回収された七酸化レニウム過レニウム酸の形であった。この触媒の性能は、比較の触媒を作製するために使用されたフレッシュ過レニウム酸以外の他の同一触媒と比較した。触媒はアンモニアとモノエタノールアミンの還元的アミノ化(MEA)に使用した。結果を以下の表に設けた。
【0070】
表は、回収Reによる触媒をフレッシュReと比較触媒よりも少し低い活性を有することを示している。また、回収Reによる触媒はEDA選択性が低いが、触媒は、比較より高いDETA選択性を示した。回収Re中の微量不純物(例えば、Na、K等)は、2つの触媒の活性と選択性の違いの原因と考えられた。回収Re液には、必要に応じてこれらの不純物を除去する当業者に周知の方法により精製することができた。
ここで挙げた全ての特許、出願、文献を個別に組み込まれた場合には参照により組み込まれている。特に断らない限り、全ての部分及び%は重量であり、全分子量は重量平均分子量である。以上の詳細な説明は、理解の便宜上付与されている。不要な制約がないことが理解されるようになっている。本発明は、当業者には自明の請求項に記載の発明に含まれることを示し、厳密な詳細に限定されない。