【実施例】
【0044】
実施例1
ワクチン処方物
表1に記載のとおりワクチン組成物を処方した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
水、トリスおよびアルハイドロゲルを15mL試験管に入れ、ボルテックスミキサーにより混合した。この15mL試験管にSpeA/Bを添加し、ボルテックス処理することにより混合した。混合物を室温で30分間温置した。マンノース−1−ホスフェートを添加し、続いて1M NaClの添加を行った。混合物全体をボルテックス処理することにより混合し、この混合物を室温で30分間温置した。
【0048】
【表3】
【0049】
水、トリスおよびアルハイドロゲルを15mL試験管に入れ、ボルテックスミキサーにより混合した。この15mL試験管にSpeA/Bを添加し、ボルテックス処理することにより混合した。混合物を室温で30分間温置した。マンナンを添加し、続いて1M NaClの添加を行った。混合物全体をボルテックス処理することにより混合し、この混合物を室温で30分間温置した。
【0050】
実施例2
ワクチン処方物の安定性
【0051】
下記のように試料中の炭水化物量の測定を行った。50μLのブランク、標準物質および試料を96ウェルマイクロプレートの適切なウェルにピペットで分注した。150μLの濃硫酸を各ウェルにピペットで分注し、次に30μLの5%フェノールを各ウェルにピペットで分注した。このプレートを90℃で5分間温置し、次いで室温まで冷却した。次に、490nmでの吸収を測定した。試料の炭水化物濃度が最大濃度の標準物質よりも高かった場合、試料の希釈液を調製し、結果がアッセイの直線範囲に入るようにした。
【0052】
次のようにアジュバント付加処方物中の%吸収抗原の測定を行った。10,000rcfで5分間、試料を遠心した。実験用BCA試薬を調製し、A対Bが50:1となる割合で試薬を混合した。96ウェルプレートの適切なウェルにおいて25μLの標準物質および試料を三つ組みでピペットで分注し、200μLのBCA試薬を各ウェルに添加した。このプレートを37℃で30分間温置し、次いで室温まで冷却した。プレート中のウェルの吸収を570nmでマイクロプレートリーダーにより読み取った。標準曲線を用いて各試料中の抗原濃度。
【0053】
次のようにアジュバント付加処方物中の%抗原脱着の測定を行った。10,000rcfで5分間、試料を遠心した。上清を除去し、微小遠心管中で保管した。除去した上清の量と等体積の脱着緩衝液中でペレットを再懸濁し、室温で30分間温置した。実験用BCA試薬を調製し、A対Bの3:1の割合で試薬を混合した。10,000rcfで5分間、試料を遠心した。96ウェルプレートの適切なウェルにおいて三つ組みで50μLの標準物質および試料をピペットで分注し、150μLのBCA試薬を各ウェルに添加した。このプレートを37℃で30分間温置し、次いで室温まで冷ました。このプレート中のウェルの吸収を570nmでマイクロプレートリーダーにより測定し、標準曲線を用いて各試料中の抗原濃度を計算した。
【0054】
実施例3
インビボでのアジュバント系の活性
ヒト病原菌に対して確立された動物モデルにおいて本アジュバント系の効力をインビボで評価した。
【0055】
【表4】
【0056】
AH−オキシ水酸化アルミニウム
第0日および第21日に表4に記載のように筋肉内または経口経路でラットに免疫付与することによって、ラットにおいて処方物11VF001−008を試験した。第7日、第14日および第35日にラットから血清を回収し、抗原特異的な総IgG、さらにIgG2aおよびIgG2bについてアッセイした。
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
抗体力価を測定するために、次の手順を行った。コーティング緩衝液中2μg/mLのコーティング抗原の溶液を調製した。100mLの2μg/mL抗原を96ウェルプレートの各ウェルに入れ、37℃で1時間温置した。このプレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液で1回洗浄し、100μLのブロッキング緩衝液を各ウェルにピペットで分注し、プレートを37℃で1時間温置した。洗浄緩衝液中の未知血清の2倍連続希釈液を調製した。早い時点では、希釈は通常1:50希釈であった。より遅い時点では、希釈は1:10,000以上であった。このプレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液で2回洗浄した。2つ組の100μLの各血清希釈液を適切なプレートウェルにピペットで分注し、プレートを37℃で1時間温置した。ブロッキング緩衝液中の検出抗体の適切な希釈液を調製した。プレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄し、100μLの検出抗体を各ウェルにピペットで分注し、プレートを37℃で1時間温置した。このプレートを100μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄した。1部の溶液Aを1部の溶液Bと合わせることによって適切な体積のTMB実験用試薬を調製した。100μLのTMBを各ウェルにピペットで分注し、プレートを室温で15分間温置した。プレートの発色が完了しなかった場合、発色するまで温置時間を5分間延長した。100μLの3M硫酸を各ウェルにピペットで分注して反応を停止させ、450nmでの吸収を各ウェルについて測定した。バックグラウンド吸収の2倍に等しい4パラメーター最良適合曲線の点として力価を決定した。
【0061】
図4は、アジュバント系のこれらの実施形態が、非アジュバント付加抗原と比較して1を超える対数分、総血清IgGを増加させることができたことを示す。これにより、本アジュバント系の利用による抗原用量節約の可能性が明らかとなる。
図5は、本アジュバント系のこれらの実施形態が、IgG2a抗体の産生を促進したことを示す。総IgGおよびIgG2a力価は同等ではなかったので、実際は免疫反応は、混合型Th1/Th2である。
図6は、本アジュバント系のこれらの実施形態が、IgG2b抗体の産生を促進したことを示す。総IgGおよびIgG2b力価は同等ではなかったので、実際は免疫反応は、混合型Th1/Th2である。
【0062】
実施例4
BSA溶液のコアセルベーション
800μg/mLマンナン、pH7.4の20mMトリス中のウシ血清アルブミン(BSA)の200μg/mL溶液に、0.5、0.1および0.02%のオイドラギットを添加した。この溶液をpH4の150mM酢酸緩衝液に滴下して添加して、オイドラギットを沈殿させた。沈殿した粒子を遠心し、上清を除去し、50mMリン酸緩衝液中で再構成して、オイドラギットを溶解させた。BSAがオイドラギット中で封入されたか否かを調べるために、この過程中の各段階での溶液中のBSAの量を監視した。
図7は試験の結果を示す。
【0063】
実施例5
吸着BSAのコアセルベーション1
実施例4を繰り返したが、マンナン−アルハイドロゲルにBSAを吸着させた。0.5、0.1および0.02%のオイドラギットを800μg/mLマンナン、3.4mg/mLアルハイドロゲル中のウシ血清アルブミン(BSA)の200μg/mL溶液に添加した。
図8Aおよび8Bは試験の結果を示す。
【0064】
実施例6
吸着BSAのコアセルベーション2
実施例5を繰り返したが、このとき、オイドラギットの量を減少させた。0.1、0.05、0.025、0.13%のオイドラギットを800μg/mLマンナン、3.4mg/mLアルハイドロゲル中のウシ血清アルブミン(BSA)の200μg/mL溶液に添加した。
図9Aおよび9Bは試験の結果を示す。
【0065】
実施例7
吸着SpeA/Bのコアセルベーション
100mg/mL SpeA/B、0.1%オイドラギット、3.4mg/mLアルハイドロゲル、20mMトリスおよび600mg/mL M1Pまたはマンナンの何れかを一緒に添加したことを除き、実施例6を繰り返した。総アルミニウムの半分にSpeA/Bを吸着させた。残りのアルミニウムを酢酸塩に添加した。これは、腸管での酵素分解から保護するために行った。トリプシンおよびキモトリプシンは、アルミニウムに吸着し、活性低下しているはずである。
図10のデータによって、ほぼ全てのSpeA/Bがアジュバントに吸着したままであったことが明らかとなった。
【0066】
実施例8
オイドラギットL100−55を用いたSpeA/Bのコアセルベーション
0.1%オイドラギット(登録商標)L100−55が入っているかまたは入っていない、200μg/mLのタンパク質、pH7.5の20mMトリスを等体積の150mM酢酸ナトリウムpH4に滴下して添加した。試料を37℃で24時間保存した。50mMリン酸緩衝液中で試料を溶解した。10mM PO
4、150mM NaCl中の試料および標準物質の100μLの連続希釈液を96ウェルプレートに添加し、37℃で1時間温置した。このプレートを10mM PO
4、150mM NaCl、0.05%Tween20で洗浄した。100μLの10mM PO
4、150mM NaCl、1%BSAを各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。このプレートを再び洗浄した。100μLの抗SpeABラット血清1:25,000希釈液を各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。プレートを再び洗浄した。100μLの抗ラットIgG−HRPの1:75,000希釈液を各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。プレートを再び洗浄した。100μLのTMBを各ウェルに添加し、室温で15分間温置した。100μLの3M H
2SO
4で反応を停止させ、吸収を450nmで読み取った。各試料の濃度を標準曲線から計算した。
【0067】
実施例9
抗体試験
試験の第0日、14日および35日に各群の個々のラットに対して抗原特異的な血清総IgGを測定した。10mM PO4、150mM NaCl中の100μLの2μg/mL SpeABを96ウェルプレートに添加し、37℃で1時間温置した。このプレートを10mM PO4、150mM NaCl、0.05%Tween20で洗浄した。100μLの10mM PO4、150mM NaCl、1%BSAを各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。このプレートを再び洗浄した。1:50から開始して2倍希釈でプレート上で血清を連続希釈し、37℃で1時間温置した。このプレートを再び洗浄した。100μLの抗ラットIgG−HRPの1:75,000希釈液を各ウェルに添加し、37℃で1時間温置した。プレートを再び洗浄した。100μLのTMBを各ウェルに添加し、室温で15分間温置した。100μLの3M H
2SO
4で反応を停止させ、吸収を450nmで読み取った。各試料の濃度を標準曲線から計算した。結果を
図12で示す。
【0068】
ワクチン接種した動物の血清による野生型SpeA毒素の中和。血清を1:500希釈し、400ng/mLのSpeA毒素と合わせた。混合物を37℃で1時間温置した。ヒトPBMCの細胞2.5×10
6個/ウェルに50μLの血清/毒素混合物を添加し、37℃で24時間温置した。上清を回収し、蛍光マイクロアレイを用いてINF−γ産生についてアッセイした。中央値蛍光強度を対照ラット血清に対して正規化した。結果を
図13で示す。
【0069】
実施例10
AFSDコーティング
様々な抗凍結剤と組み合わせてSpeA/B、アルハイドロゲル、マンナンおよびオイドラギットL100−55ポリマーを含む様々な抗原を様々な噴霧ノズルで液体窒素浴に噴霧して、小滴を形成させ、これを維持する。ASFD過程によって小滴を昇華させ、乾燥させる。乾燥固形粒子の物理学的特性は、粒径分布(レーザー回折)、タンパク質含量および均一性(UV分光法、IR、HPLC)および形態(ヘリウムイオン顕微鏡およびSEM)により調べる。
【0070】
実施例11
AFSDコーティング2
様々な免疫原(SpeA/Bを含む。)周囲で、緩衝液(pH4.0)中で腸溶性ポリマー(オイドラギットL100−55)を沈殿させ、沈殿した免疫原コロイド状溶液に様々な凍結保護物質を添加し、その溶液を霧化し、乾燥させ、実施例10のように特徴を調べる。
【0071】
実施例12
AFSDコーティング3
この実施例は、持続的なGI放出機構の試験のために2種類のpH感受性腸溶性ポリマーにおいて免疫原のカプセル化を組み合わせる。(SpeA/Bを含む)抗原、アルハイドロゲル(登録商標)、マンナンおよびpH<7.0で沈殿する腸溶性ポリマー、オイドラギットL100を霧化し、pH6.0の液体緩衝液に噴霧する。オイドラギットL100−55をこのコロイド状縣濁液に添加し、得られた縣濁液を霧化し、pH4.0の液体緩衝液に噴霧する。この時点で、コロイド状縣濁液を抗凍結剤と合わせ、ASFD過程によって昇華させ、乾燥させ、得られた粒子の特徴を実施例10のように調べる。
【0072】
実施例13
GI分解評価
人工胃液および腸液に実施例10から12で作製した処方物を曝露して、分解からの免疫原保護を評価する。適切なpHに加えて、人工溶液に適切な酵素を添加し(胃:ペプシン;腸:リパーゼ、プロテアーゼおよびパンクレアーゼ)、様々なGI構成要素の段階的な評価によって送達粒子の安定性が検証され得るようにする。ELISA、ウエスタンブロット、SDS−PAGE、外的蛍光およびBCAアッセイによって抗原安定性を監視する。送達粒子を37℃でも保存し、ELISA、ウエスタンブロット、SDS−PAGE、外的蛍光およびBCAアッセイによって抗原(SpeA/B)の安定性を監視する。
【0073】
実施例14
免疫細胞刺激
熱安定性および胃分解からの保護の向上を示す実施例12からのワクチン処方物を、その免疫細胞増殖刺激能について評価する。ワクチンが、処理、保存および人工胃液への曝露後に免疫刺激機能を保持するか否かを判定するために、ワクチンをヒトPBMCと合わせる。
【0074】
実施例15
CRM経口縣濁液を用いた安定性試験
この安定性試験のために利用した溶液および経口縣濁液処方物を表8で示す。溶液処方物については、1.143mLの3.5mg/mL CRM(20mMトリス pH7.5中)、1.6gのマンニトール、0.4gのスクロースおよび18.8mLの20mMトリス pH7.5を処方容器中で合わせ、30分間混合した。次に、この溶液を20mLのpH4の150mM酢酸ナトリウム溶液に噴霧した。次いで、得られた溶液を1mLアリコートに分注し、半分を25℃で保存し、残り半分を37℃で保存した。
【0075】
経口縣濁液処方については、1.143mLの3.5mg/mL CRM(20mMトリス pH7.5中)、1mLの1%オイドラギット溶液(20mMトリス pH7.5中)、1.6gのマンニトール、0.4gのスクロースおよび17.8mLの20mMトリス pH7.5を処方容器中で合わせ、30分間混合した。次に、この溶液を20mLのpH4の150mM酢酸ナトリウム溶液に噴霧した。得られた懸濁液を1mLアリコートに分注し、pH4で半分を25℃で保存し、残り半分を37℃で保存した。
【0076】
【表8】
【0077】
25℃保存から0、1、14、28、42および56日に、37℃保存から0、1、7、14、21および28日に、溶液および経口縣濁液の両試料を採取した。採取後、保存試料をすぐに−20℃で凍結させた。次いで各試料中のCRMのエピトープ利用能を測定した。
【0078】
抗原特異的なELISAアッセイからの反応をBCAアッセイにより測定したときの試料中の総タンパク質に対して正規化することによって、エピトープ利用能を測定した。アッセイ前に、3mLのpH9の20mMトリスで試料を希釈することによって、経口縣濁液試料を溶解させた。ELISAおよびBCAアッセイに対する標準物質として−20℃で保存したストックCRMを使用し、20mMトリス、8%マンニトールおよび2%スクロース中で適切な濃度に希釈した。BCAアッセイの場合、25μLの各標準物質および各試料を三つ組みで96ウェルプレートに入れた。次に、200mLのBCA試薬を各ウェルに添加し、このプレートを37℃で45分間温置した。プレートを室温まで冷却した後、各ウェルの吸収を570nmで測定した。次に、標準曲線から計算することによってタンパク質濃度を決定した。
【0079】
ELISAの場合、試料を20mMトリス pH9で1μg/mL CRMに希釈し、100μLを2つ組で96ウェルプレートに入れた。標準物質も20mMトリス pH9で希釈し、100μLを2つ組で96ウェルプレートに入れた。プレートを37℃で1時間温置し、次いで100μL/ウェル、20mM PO
4、150mM NaClおよび0.05%Tween20洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、100μL/ウェルBSAブロッキング緩衝液をプレートに添加し、このプレートを37℃で1時間温置した。このプレートを100μL/ウェル洗浄緩衝液で3回洗浄した。次いで、100μL/ウェルの抗CRM−ビオチン抗体1:250希釈液を各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間温置した。プレートを再び3回、100μL/ウェル洗浄緩衝液で洗浄した。次に、100μL/ウェルのストレプトアビジン−HRPの1:3,000希釈液を各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間温置した。プレートを100μL/ウェル洗浄緩衝液で3回洗浄した。次に、100μL/ウェルのTMB試薬を各ウェルに添加し、プレートを室温で20分間温置した。温置後、反応を停止させるために、100μL/ウェルの3M H
2SO
4をプレートに添加した。450nmで吸収を測定した。標準曲線から各試料の濃度を決定した。
【0080】
エピトープ利用能を得るためにBCAにより決定されたタンパク質濃度をELISAにより決定されたエピトープ濃度で除することによって、各処方物のエピトープ利用能を決定した(表9)。このデータから、経口縣濁液としての処方物がCRMの安定性を向上させることが明らかとなる(
図14)。両温度で各処方物に対して一次分解速度定数を決定した(表10)。これらの結果から、CRMが経口縣濁液として処方され、25℃で保存される場合は安定性が68%向上し、37℃で保存される場合は安定性が54%向上することが明らかとなる。時間経過にわたり喪失される抗原の累積率としてデータをプロットする場合、経口縣濁液がCRMの安定性をどのように向上させるかも見ることができる(
図15)。25℃または37℃の何れかで保存することによる溶液処方物中のエピトープの50%喪失に要する時間は1日未満である。しかし、経口縣濁液の場合、50%喪失に要する時間は、25℃で12日、37℃で7日間まで延長する。全データから、経口縣濁液として処方された場合、従来からの液体処方物と比べて、CRMの安定性の顕著な向上が明らかとなる。
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
実施例16
CRM乾燥粉末を用いた安定性試験
この安定性試験で利用した溶液および乾燥粉末処方物を表11で示す。溶液処方物の場合、1.143mLの3.5mg/mL CRM(20mM PO
4 pH7.5中)、1%オイドラギット溶液(20mM PO
4 pH7.5中)、1.6gのマンニトール、0.4gのスクロースおよび17.8mLの20mM PO
4 pH7.5を処方容器中で合わせ、30分間混合した。次に、得られた溶液を1mLアリコートに分注し、半分を25℃で保存し、残り半分を37℃で保存した。
【0084】
乾燥粉末処方物の場合、1.143mLの3.5mg/mL CRM(20mMトリス pH7.5中)、1mLの1%オイドラギット溶液(20mM PO
4 pH7.5中)、1.6gのマンニトール、0.4gのスクロースおよび17.8mLの20mM PO
4 pH7.5を処方容器中で合わせ、30分間混合した。次に、この溶液を20mLのpH4の150mM酢酸ナトリウム溶液に噴霧した。次いで、常圧噴霧凍結乾燥を利用して、得られた縣濁液を乾燥させて粉末にした。この粉末を100mg試料に分け、半分を25℃で保存し、残り半分を37℃で保存した。
【0085】
【表11】
【0086】
安定性試験の場合、試料を25℃保存物から0、1、14、28、42および56日に、37℃保存物から0、1、7、14、21および28日に採取した。保存物からの採取後、試料を−20℃ですぐに凍結した。実施例15に記載のように各試料中のCRMのエピトープ利用能を測定した。処理後、最初に乾燥粉末におけるエピトープ利用能の幾分かの喪失があったが、一方で、残りのCRMエピトープは37℃でも非常に安定であった(表12)(
図16)。乾燥粉末としての処方物は、CRMの安定性をさらに促進する。
【0087】
【表12】
【0088】
本明細書中で範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、別段の断りがない限り、または内容および当業者の理解から別段明らかとならない限り、範囲として表される値は、内容から明らかに別段指示されない限り、その範囲の下限の単位の10分の1まで、何らかの具体的な値または、本発明の異なる実施形態における定められた範囲内の小領域を想定し得る。
【0089】
本明細書で引用される刊行物および特許は全て、それぞれ個々の刊行物または特許が具体的におよび個々に参照により組み込まれることが示されるように、参照により本明細書中に組み込まれる。何らかの刊行物の引用は、提出日前のその開示に対するものであり、本発明が、先行発明の効力によってこのような刊行物に先行することを認められないことを承認するものとして解釈してはならない。
【0090】
本発明の実施例実施形態を参照して、本発明を特に示し、記載してきたが、付属の特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がそこでなされ得ることが当業者により理解されよう。
【0091】
当業者は、本明細書中に記載の実施形態に基づき、したがって、具体的には本発明の範囲内で、本発明の免疫学的組成物およびアジュバントのさらなる長所を得ることができる。
他の実施態様
1.1つ以上のC型レクチン(CTL)受容体リガンドと、1つ以上のアルミニウムアジュバントと、1つ以上の抗原と、1つ以上のポリマーとを含む、経口投与のための免疫学的組成物。
2.前記ポリマーがアクリル樹脂である、実施態様1に記載の免疫学的組成物。
3.前記アクリル樹脂が、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MM)およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリラート塩化物の不水溶性のコポリマーである、実施態様1に記載の免疫学的組成物。
4.前記アクリル樹脂がオイドラギットである、実施態様1に記載の免疫学的組成物。
5.抗凍結剤をさらに含む、実施態様1に記載の免疫学的組成物。
6.前記抗凍結剤が、トレハロース、マンニトール、ラクトース、ソルビトールおよびスクロースおよびそれらの組合せからなる群から選択される、実施態様5に記載の免疫学的組成物。
7.前記抗凍結剤がトレハロースである、実施態様5に記載の免疫学的組成物。
8.経口投与可能な免疫原性組成物を作成する方法であって、
アルミニウムアジュバントに抗原およびCTL−アゴニストを吸着させる工程;
pH依存性の溶解度を有するポリマーを添加してワクチン処方物を形成する工程;および
低pH溶液に前記ワクチン処方物を添加して前記ポリマーを沈殿させ、それによって経口投与可能な免疫原性組成物を作成する工程、を含む方法。
9.前記アルミニウムアジュバントがオキシ水酸化アルミニウムである、実施態様8に記載の方法。
10.前記CTL−アゴニストが糖類である、実施態様8に記載の方法。
11.前記ポリマーがアクリル樹脂である、実施態様8に記載の方法。
12.前記アクリル樹脂が、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MM)およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリラート塩化物の不水溶性のコポリマーである、実施態様11に記載の方法。
13.前記アクリル樹脂がオイドラギットである、実施態様11に記載の方法。
14.前記経口投与可能な免疫原性組成物を常圧噴霧凍結乾燥させる段階をさらに含む、実施態様8に記載の方法。
15.経口投与される乾燥粉末処方物を処方する方法であって、
リン酸緩衝液中でアクリル樹脂およびマンニトールおよびスクロースと抗原を混合して、混合物を作成する工程;
低pHの緩衝溶液に前記混合物を噴霧して、懸濁液を生成する工程;および
前記懸濁液を乾燥させて粉末にする工程;を含む方法。
16.前記アクリル樹脂が、アクリル酸エチル(EA)、メタクリル酸メチル(MM)およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリラート塩化物の不水溶性のコポリマーである、実施態様15に記載の方法。
17.前記アクリル樹脂がオイドラギットである、実施態様16に記載の方法。
18.前記乾燥が、常圧噴霧凍結乾燥により達成される、実施態様15に記載の方法。
19.前記緩衝液が酢酸ナトリウムである、実施態様15に記載の方法。
20.前記pHが約7.0以下である、実施態様19に記載の方法。
21.前記pHが約6.5以下である、実施態様19に記載の方法。
22.前記pHが約6.0以下である、実施態様19に記載の方法。
23.前記pHが約5.5以下である、実施態様19に記載の方法。
24.前記pHが約3.0から約7.0の間である、実施態様19に記載の方法。
25.前記pHが約4.0から約7.0の間である、実施態様19に記載の方法。
26.前記pHが約5.0から約7.0の間である、実施態様19に記載の方法。
27.2種類のアクリル樹脂がある、実施態様15に記載の方法。
28.3種類のアクリル樹脂がある、実施態様15に記載の方法。
29.前記樹脂が、前記免疫学的組成物が投与される場合に、前記組成物が前記抗原を消化管に沿ってゆっくりと放出するように選択される、実施態様27または28に記載の方法。
30.前記樹脂が、オイドラギットL100−55、オイドラギット(登録商標)RL PO(Type A)およびオイドラギット(登録商標)RS PO、L30D55、L100、(L12,5)、S100、(S12,5)およびFS30Dおよびそれらの組合せからなる群から選択される、実施態様29に記載の方法。