特許第6240159号(P6240159)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240159
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20171120BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H05K13/02 C
   H05K13/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-506416(P2015-506416)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2013057762
(87)【国際公開番号】WO2014147733
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】神田 知久
(72)【発明者】
【氏名】井土 武洋
(72)【発明者】
【氏名】笠井 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】吉野 朋治
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−277212(JP,A)
【文献】 特開2013−055106(JP,A)
【文献】 特開2011−082438(JP,A)
【文献】 特開2010−109109(JP,A)
【文献】 特開2011−054807(JP,A)
【文献】 特開2010−103439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が収納されたキャリアテープの上面側にトップテープが接着されてなる部品包装テープから前記部品を採取し、当該部品を基板上に移送して装着する部品実装機であって、
前記基板を部品実装位置へ搬送する基板搬送装置と、
前記部品包装テープをテープ剥離部に搬送し、前記トップテープを前記キャリアテープから剥離し、当該キャリアテープを部品供給位置に搬送するテープフィーダが、着脱可能に装着される部品供給装置と、
前記部品供給位置で前記キャリアテープに収納された前記部品を採取して移送し、前記部品供給位置よりも実装機本体の奥側に位置する前記部品実装位置に位置決めされる前記基板上に前記部品を装着する部品移載装置と、
前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側且つ前記基板搬送装置よりも前側に設けられ、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側且つ前記基板搬送装置よりも前側から前記テープ剥離部に向けて空気を送風する送風装置と、を備える部品実装機。
【請求項2】
前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側に設けられ、収納されている前記部品が採取された前記キャリアテープを回収するためのテープ回収ダクトを備え、
前記送風装置は、前記テープ回収ダクトにおいて前記部品の移送高さよりも低い位置となるように設けられている、請求項1の部品実装機。
【請求項3】
部品が収納されたキャリアテープの上面側にトップテープが接着されてなる部品包装テープから前記部品を採取し、当該部品を基板上に移送して装着する部品実装機であって、
前記部品包装テープをテープ剥離部に搬送し、前記トップテープを前記キャリアテープから剥離し、当該キャリアテープを部品供給位置に搬送するテープフィーダが、着脱可能に装着される部品供給装置と、
前記部品供給位置で前記キャリアテープに収納された前記部品を採取して移送し、前記部品供給位置よりも実装機本体の奥側に位置する部品実装位置に位置決めされる前記基板上に前記部品を装着する部品移載装置と、
前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側から前記テープ剥離部に向けて空気を送風する送風装置と、
前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側に設けられ、収納されている前記部品が採取された前記キャリアテープを回収するためのテープ回収ダクトと、を備え、
前記送風装置は、前記テープ回収ダクトにおいて前記部品の移送高さよりも低い位置となるように設けられている、部品実装機。
【請求項4】
前記送風装置は、空気を前記テープ剥離部に向けて送風可能な複数の穴が所定の間隔をあけて穿設された管状部材を備える、請求項1から3の何れか一項の部品実装機。
【請求項5】
前記テープ剥離部よりも前記実装機本体の手前側の上部に設けられ、前記送風装置から前記テープ剥離部に向けて送風された空気が前記実装機本体の上方に向かって流れるように当該空気を吸排気する上方向用吸排気装置、を備える請求項1から4の何れか一項の部品実装機。
【請求項6】
前記上方向用吸排気装置には、吸気した空気に含まれる埃を捕捉するフィルタが設けられている、請求項5の部品実装機。
【請求項7】
前記上方向用吸排気装置よりも前記実装機本体の奥側の上部に設けられ、前記上方向用吸排気装置から排出される空気が前記実装機本体の外側に排出されるように当該空気を吸排気する排出用吸排気装置、を備える請求項5又は6の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納されたキャリアテープの上面側にトップテープが接着されてなる部品包装テープから部品を採取し、当該部品を基板上に移送して装着する部品実装機に関し、特に、部品包装テープを供給するテープフィーダのテープ剥離部において、トップテープをキャリアテープから剥離する際に発生する埃の除去が可能な部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、部品採取後のキャリアテープを回収するテープ回収ダクト(テープ排出ダクト)内に、テープフィーダのテープ剥離部において発生する埃を含む空気を吸気する吸気ファンが設けられた部品実装機が記載されている。この部品実装機によれば、埃を含む空気は、テープ回収ダクトの入口からテープ回収ダクト内に吸気され、吸気ファンに付属のフィルタで埃と分離された後、テープ回収ダクトの出口から外部に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−82438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の部品実装機のテープ回収ダクトは、テープフィーダのテープ剥離部よりも実装機本体の奥側に設けられているため、埃を含む空気の一部が、テープ回収ダクト内に吸気されずに実装機本体の奥側に流れ込む場合がある。この場合、実装機本体の奥側に流れ込んだ空気に含まれる埃が、部品認識用カメラのレンズや基板上等に付着すると、部品実装不良が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、テープフィーダのテープ剥離部よりも実装機本体の奥側への埃を含む空気の流れ込みを防止することができる部品実装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、部品が収納されたキャリアテープの上面側にトップテープが接着されてなる部品包装テープから前記部品を採取し、当該部品を基板上に移送して装着する部品実装機であって、前記基板を部品実装位置へ搬送する基板搬送装置と、前記部品包装テープをテープ剥離部に搬送し、前記トップテープを前記キャリアテープから剥離し、当該キャリアテープを部品供給位置に搬送するテープフィーダが、着脱可能に装着される部品供給装置と、前記部品供給位置で前記キャリアテープに収納された前記部品を採取して移送し、前記部品供給位置よりも実装機本体の奥側に位置する前記部品実装位置に位置決めされる前記基板上に前記部品を装着する部品移載装置と、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側且つ前記基板搬送装置よりも前側に設けられ、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側且つ前記基板搬送装置よりも前側から前記テープ剥離部に向けて空気を送風する送風装置と、を備えることである。
【0007】
これによれば、送風装置から送風される空気は、実装機本体の奥側からテープフィーダのテープ剥離部を通って実装機本体の手前側に向かって流れるので、特にテープ剥離部で発生する埃が部品を撮像するための部品撮像カメラのレンズや基板等に付着することを防止することができる。これにより、部品の認識精度を高めることができ、また基板上における部品の接触不良等の製造不良を防止することができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側に設けられ、収納されている前記部品が採取された前記キャリアテープを回収するためのテープ回収ダクトを備え、前記送風装置は、前記テープ回収ダクトにおいて前記部品の移送高さよりも低い位置となるように設けられていることである。
これによれば、部品供給装置で供給され部品移載装置で採取された部品を基板上に移送する際に、部品と送風装置とが干渉するおそれはなく、実装不良の発生を未然に防止することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、部品が収納されたキャリアテープの上面側にトップテープが接着されてなる部品包装テープから前記部品を採取し、当該部品を基板上に移送して装着する部品実装機であって、前記部品包装テープをテープ剥離部に搬送し、前記トップテープを前記キャリアテープから剥離し、当該キャリアテープを部品供給位置に搬送するテープフィーダが、着脱可能に装着される部品供給装置と、前記部品供給位置で前記キャリアテープに収納された前記部品を採取して移送し、前記部品供給位置よりも実装機本体の奥側に位置する部品実装位置に位置決めされる前記基板上に前記部品を装着する部品移載装置と、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側から前記テープ剥離部に向けて空気を送風する送風装置と、前記部品供給位置よりも前記実装機本体の奥側に設けられ、収納されている前記部品が採取された前記キャリアテープを回収するためのテープ回収ダクトと、を備え、前記送風装置は、前記テープ回収ダクトにおいて前記部品の移送高さよりも低い位置となるように設けられている。
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記送風装置は、空気を前記テープ剥離部に向けて送風可能な複数の穴が所定の間隔をあけて穿設された管状部材を備えることである。
これによれば、送風装置の複数の穴を、横並びに配列されている各テープフィーダの間隔で穿設することにより、各テープフィーダのテープ剥離部に対し送風装置の各穴から空気を確実に送風することができる。
【0010】
請求項に係る発明は、請求項1からの何れか一項において、前記テープ剥離部よりも前記実装機本体の手前側の上部に設けられ、前記送風装置から前記テープ剥離部に向けて送風された空気が前記実装機本体の上方に向かって流れるように当該空気を吸排気する上方向用吸排気装置、を備えることである。
これによれば、送風装置からテープ剥離部に向けて送風された空気は、上方向用吸排気装置に吸排気されるので、実装機本体の奥側から前方側に向かい上方に向かって流れる空気流が発生し、実装機本体の奥側への空気の逆流を防止することができる。
【0011】
請求項に係る発明は、請求項において、前記上方向用吸排気装置には、吸気した空気に含まれる埃を捕捉するフィルタが設けられていることである。
これによれば、上方向用吸排気装置に吸気された空気に含まれる埃はフィルタで捕捉され、上方向用吸排気装置から排気される空気は清浄化されるので、実装機本体の上方に向かう空気による埃の拡散を防止することができる。
【0012】
請求項に係る発明は、請求項5又は6において、前記上方向用吸排気装置よりも前記実装機本体の奥側の上部に設けられ、前記上方向用吸排気装置から排出される空気が前記実装機本体の外側に排出されるように当該空気を吸排気する排出用吸排気装置、を備えることである。
【0013】
これによれば、上方向用吸排気装置から排出される空気は、排出用吸排気装置に吸排気されるので、実装機本体の上方において前方側から奥側に向かい、さらに実装機本体の外側に向かって流れる空気流が発生し、テープフィーダの駆動による発熱により上昇したテープフィーダ周辺の空気を実装機本体の外側に排出し、テープフィーダ周辺の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る部品実装機を示す斜視図である。
図2図1の部品実装機の概略構成を示す側面図である。
図3図1の部品実装機で使用される部品包装テープを示す斜視図である。
図4図1の部品実装機の送風装置の詳細を示す斜視図である。
図5図1の部品実装機の送風装置の配置および空気流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る部品実装機の一実施の形態について説明する。なお、図1においては2台の部品実装機1を1つの架台2に並べて搭載した状態を示しているが、部品実装ラインにおいては1台の部品実装機1のみで構成され、もしくは複数台の部品実装機1が横並びに配置されて構成されている場合もある。以下の説明において、2台の部品実装機1が並ぶ方向、すなわち基板Bの搬送方向をX軸方向と称し、水平面内においてX軸方向に直角な方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向とに直角な方向をZ軸方向と称する。
【0016】
図1および図2に示すように、部品実装機1は、実装機本体3の奥側(図1,2の右側)に設けられ、基板Bを搬送する基板搬送装置10と、実装機本体3の前面側(図1,2の左側)に設けられ、基板Bに装着する部品P(図3参照)を供給する部品供給装置20と、両装置10,20の上方に設けられ、部品供給装置20で供給された部品Pを採取して移送し、基板搬送装置10で搬送された基板Bに装着する部品移載装置30と、部品供給装置20のテープフィーダ21の部品供給部24よりも実装機本体3の奥側に設けられ、部品Pが採取された後の部品包装テープT(図3参照)を回収するテープ回収装置40等とを備えて構成される。
【0017】
さらに、部品実装機1は、テープ回収装置40上に配設され、テープフィーダ21の部品供給部24よりも実装機本体3の奥側からテープ剥離部25に向けて空気を送風する送風装置51と、部品供給装置20のテープ剥離部25よりも実装機本体3の手前側の上部に設けられ、送風装置51からテープ剥離部25に向けて送風された空気が実装機本体3の上方に向かって流れるように当該空気を吸排気する上方向用吸排気装置52と、上方向用吸排気装置52よりも実装機本体3の奥側の上部に設けられ、上方向用吸排気装置52から排出される空気が実装機本体3の外側に排出されるように当該空気を吸排気する排出用吸排気装置53等とを備えて構成される。
【0018】
基板搬送装置10は、基板Bを1枚ずつ2列で搬送可能ないわゆるダブルコンベアタイプの装置である。この基板搬送装置10は、一対のガイドレール11a,11bと、一対のコンベアベルト12a,12bと、クランプ装置13等とをそれぞれ2組備えている。一対のガイドレール11a,11bは、Y方向に延在し基板Bの幅と略同一の距離を隔てて互いに平行に配置されている。一対のコンベアベルト12a,12bは、ガイドレール11a,11bの直下に並設されている。クランプ装置13は、一対のガイドレール11a,11bの間であって部品実装位置(図1の点線で示す基板Bの位置)の下方に配設されている。
【0019】
この基板搬送装置10においては、基板Bが一対のガイドレール11a,11bによりY方向に案内されつつ一対のコンベアベルト12a,12bにより部品実装位置まで搬送され、クランプ装置13によりコンベアベルト12a,12bから押し上げられてクランプされ位置決め固定されるようになっている。
【0020】
部品供給装置20は、実装機本体3の前面側に複数のテープフィーダ21をY方向に並設して構成したカセットタイプの装置である。テープフィーダ21は、実装機本体3に着脱可能に装着されたフィーダ本体22と、フィーダ本体22の後部に着脱可能に装着した供給リール23と、フィーダ本体22の先端の部品供給位置に設けた部品供給部24と、部品供給部24よりも手前に設けられたテープ剥離部25等とを備えている。
【0021】
供給リール23には、部品包装テープTが巻回保持される。図3に示すように、部品包装テープTは、部品Pが所定ピッチで収納されたキャリアテープTcと、キャリアテープTcの上面に接着されて部品Pを覆うトップテープTtとを備えて構成される。部品包装テープTの一側縁部には、一定ピッチでスプロケット孔Thが穿孔されている。
【0022】
この部品供給装置20においては、テープフィーダ21に設けられている図略のスプロケットが回転することでスプロケットの歯がスプロケット孔Thに順番に嵌まり込み、供給リール23から部品包装テープTが所定ピッチで引き出される。そして、テープ剥離部25でトップテープTtがキャリアテープTcから引き剥がされ、封入状態を解除された部品Pが部品供給部24に順次送り込まれる。引き剥がされたトップテープTtは、フィーダ本体22の後方に搬送され、テープ回収装置40のテープ貯留ボックス42に送り込まれ、部品Pが吸着された後のキャリアテープTcは、フィーダ本体22の前方に搬送され、テープ回収装置40のテープ回収ダクト41を通してテープ貯留ボックス42に送り込まれるようになっている。
【0023】
部品移載装置30は、実装機本体3上部に装架されて基板搬送装置10および部品供給装置20の上方に配設されたXYロボットタイプの装置である。部品移載装置30は、ボールネジ31Bを介してY軸サーボモータ31Yによりレール31Rに沿ってY軸方向に移動されるY軸スライダ32Yと、図略のボールネジを介してX軸サーボモータ31XによりX軸方向に移動されるX軸スライダ32X等とを備えている。このX軸スライダ32Xは、Y軸スライダ32YにX軸方向に移動可能に案内されている。X軸スライダ32Xには、部品Pを基板Bに装着する部品装着ヘッド33が取付けられている。
【0024】
部品装着ヘッド33には、下方に突出して設けられ部品Pを吸着保持する部品吸着ノズル36を下端部に有するノズルホルダ部34と、部品実装位置に位置決め固定された基板Bを撮像する基板撮像カメラ35とが取り付けられている。ノズルホルダ部34は、部品装着ヘッド33に図略のサーボモータによりZ軸方向に昇降可能に且つZ軸周りで回転可能に支承されている。部品吸着ノズル36は、ノズル先端で部品を吸引可能なように図略の真空ポンプに接続されている。また、部品吸着ノズル36に吸着保持された部品Pを撮像する部品撮像カメラ37が、基板搬送装置10と部品供給装置20の間に設けられている。
【0025】
この部品移載装置30においては、部品供給装置20で部品供給部24(部品供給位置)に供給される部品Pは、部品吸着ノズル36に吸着保持され、Y軸スライダ32Y及びX軸スライダ32Xで部品撮像カメラ37の上方に移動され、部品撮像カメラ37で撮像され画像認識されて部品姿勢が補正される。そして、基板搬送装置10で部品供給位置よりも実装機本体3の奥側に位置する部品実装位置に搬送位置決めされる基板Pの上方に、Y軸スライダ32Y及びX軸スライダ32Xで移動され、基板P上の所定の装着位置に装着されるようになっている。
【0026】
テープ回収装置40は、キャリアテープTcを回収するテープ回収ダクト41と、テープ回収ダクト41の下方に配設され、キャリアテープTcから引き剥がされたトップテープTtおよびテープ回収ダクト41に導入されたキャリアテープTcを貯留するテープ貯留ボックス42等とを備えて構成される。
【0027】
テープ回収ダクト41には、Y方向に並設される複数のテープフィーダ21の部品供給部24に向かって矩形状に開口したテープ導入口41aおよびテープ貯留ボックス42の上面に接続された矩形状のテープ排出口41bが形成されている。そして、テープ回収ダクト41は、テープ導入口41aからテープ排出口41bに至る間が、実装機本体3の奥側に向かって凸となるように湾曲したダクト本体41cを備えている。ダクト本体41cが実装機本体3の奥側に向かって凸となるように湾曲しているので、テープフィーダ21の部品供給部24から送り出される部品Pが吸着された後のキャリアテープTcをテープ貯留ボックス42に向けてスムーズに案内することができる。
【0028】
図4に示すように、送風装置51は、複数の穴51aが所定間隔で穿設されている管状部材51bと、管状部材51bと図略の空気供給源とを接続するための配管51c等とを備えている。管状部材51bの複数の穴51aは、例えばY方向に並設されているテープフィーダ21の間隔で穿設されている。管状部材51bは、一端側が塞がれ、他端側が配管51cに接続され、テープ回収ダクト41のダクト本体41c上のテープ導入口41a近傍において、各穴51aが横並びに配列されている各テープフィーダ21のテープ剥離部25に向いてY方向に延びるように配置され固定されている。これにより、各テープフィーダ21のテープ剥離部25に対し送風装置51の各穴51aから空気を確実に送風することができる。
【0029】
送風装置51を設けることにより、配管51cを通って管状部材51bの各穴51aから送風される空気は、実装機本体3の奥側から各テープフィーダ21のテープ剥離部25を通って実装機本体3の手前側に向かって流れるので、特にテープ剥離部25で発生する埃が部品撮像カメラ35のレンズや基板P等に付着することを防止することができる。これにより、部品Pの認識精度を高めることができ、また基板B上における部品Pの接触不良等の製造不良を防止することができる。
【0030】
また、管状部材51bは、部品吸着ノズル36に吸着され移送される部品Pの移送高さよりも低い位置となるように設けられている。すなわち、図5に示すように、管状部材51bの上部の高さh1が、部品Pの移送高さh2よりも低くなるように、管状部材51bをダクト本体41c上に設けている。これにより、部品Pを基板B上に移送する際に、部品Pと管状部材43bとが干渉するおそれはなく、実装不良の発生を未然に防止することができる。
【0031】
図2に示すように、上方向用吸排気装置52は、実装機本体3の前面上部中央に取り付けられ、下方から上方に向かって空気を吸排気可能な電動ファン52aと、吸気した空気に含まれる埃を捕捉するフィルタ52b等とを備えている。上方向用吸排気装置52を設けることにより、図5に示すように、送風装置51からテープ剥離部25に向けて送風された空気は、上方向用吸排気装置52の電動ファン52aに吸排気されるので、実装機本体3の奥側から前方側に向かい上方に向かって流れる空気流Ffが発生し、実装機本体3の奥側への空気の逆流を防止することができる。そして、電動ファン52aに吸気された空気に含まれる埃はフィルタ52bで捕捉され、電動ファン52aから排気される空気は清浄化されるので、実装機本体3の上方に向かう空気による埃の拡散を防止することができる。
【0032】
図2に示すように、排出用吸排気装置53は、上方向用吸排気装置52よりも実装機本体3の奥側の上部、本例では実装機本体3の背面上部中央に取り付けられ、実装機本体3内から実装機本体3の外側に向かって空気を排出可能な電動ファン53a等を備えている。排出用吸排気装置53を設けることにより、図5に示すように、上方向用吸排気装置52から排出される空気は、排出用吸排気装置53の電動ファン53aに吸排気されるので、実装機本体3の上方において前方側から奥側に向かい、さらに実装機本体3の外側に向かって流れる空気流Fbが発生する。よって、従来はテープフィーダ21の駆動モータの発熱によりテープフィーダ21周辺の雰囲気温度が上昇していたが、上記空気流により温度上昇した空気が実装機本体3の外側に排出されるので、テープフィーダ21周辺の雰囲気温度の上昇を抑制することができる。
【0033】
なお、上述の実施形態では、実装機本体3の前面側に設けた部品供給装置20の複数のテープフィーダ21に対して実装機本体3の前面側に送風する送風装置51を設けた構成としたが、実装機本体3の前面側および背面側にそれぞれ部品供給装置20を設けるとともに、それぞれの部品供給装置20の複数のテープフィーダ21に対して実装機本体3の前面側に送風する送風装置51および実装機本体3の背面側に送風する送風装置51をそれぞれ設けた構成としてもよい。この場合、排出用吸排気装置53を天板に設け、空気を実装機本体3の外側上方に向かって排出するようにすると良い。なお、上述の実施形態においても、排出用吸排気装置53を天板に設け、空気を実装機本体3の外側上方に向かって排出するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、部品を部品包装テープやトレイ等で供給する部品実装機に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:部品実装機、10:基板搬送装置、20:部品供給装置、30:部品移載装置、40:テープ回収装置、41:テープ回収ダクト、42:テープ貯留ボックス、51:送風装置、51a:穴、51b:管状部材、51c:配管、52:上方向用吸排気装置、52a:ファン、52b:フィルタ、53:排出用吸排気装置、53a:ファン、T:部品包装テープ、Tt:トップテープ、Tc:キャリアテープ。
図1
図2
図3
図4
図5