【実施例】
【0114】
(実施例1) 2-ブロモ-1-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン-1-オン
【0115】
【化19】
【0116】
1-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン-1-オン75 g(370 mmol)に t-ブチルメチルエーテル(750 mL)、および臭素1.18 g(7.4 mmol)を加えた。15〜30℃で約30分撹拌し臭素色が消えたことを確認後、0〜5℃に冷却し、0〜10℃に保ちながら臭素59.13 g(370 mmol)を加えて撹拌した。約2.5時間撹拌後、10 w/v%炭酸カリウム水溶液(300 mL)を0〜25℃に保ちながら加え、さらに亜硫酸ナトリウム(7.5 g)を加えた後、20〜30℃へと加熱した。この溶液を分液し、得られた有機層に水(225 mL)を加えて洗浄した後、有機層を減圧濃縮して標記化合物のt-ブチルメチルエーテル溶液(225 mL)を得た。
【0117】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.91(3H,d,J = 4.0 Hz)、4.97(1H,q,J = 6.7 Hz)、7.60〜7.74(4H,m).
【0118】
(実施例2) 2-シアノ-3-メチル-4-オキソ-4-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]ブタン酸エチル
【0119】
【化20】
【0120】
実施例1で得られた2-ブロモ-1-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン-1-オン / t-ブチルメチルエーテル溶液(220 mL)にジメチルアセトアミド(367 mL)、シアノ酢酸エチル53.39 g(472 mmol)、炭酸カリウム60.26 g(436 mmol)を順次加え、45〜55℃ に加熱して撹拌した。約2時間撹拌後、20〜30℃に冷却し、水(734 mL)およびトルエン(367 mL)を加えて抽出した後、有機層に水(513 mL)を加えて洗浄を行った(2回実施)。得られた有機層を減圧濃縮し、標記化合物のトルエン溶液(220 mL)を得た。
【0121】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.33〜1.38(6H,m)、3.80〜3.93(2H,m)、4.28〜4.33(2H,m)、7.58〜7.79(4H,m).
【0122】
(実施例3) 2-クロロ-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル
【0123】
【化21】
【0124】
実施例2の製造方法により得られた2-シアノ-3-メチル-4-オキソ-4-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]ブタン酸エチルのトルエン溶液(217 mL)に20〜30℃にて酢酸エチル(362 mL)、塩化チオニル 42.59 g(358 mmol)を加えた後、-10〜5℃に冷却し、塩酸ガス52.21 g(1432 mmol)を吹き込み、さらに濃硫酸17.83 g(179 mmol)を加えて、加熱し15〜30℃で撹拌した。約20時間撹拌後、酢酸エチル(1086 mL)を加え、30〜40℃に加温し、水(362 mL)を加えた後、分液した。分液した有機層に水(362 mL)を加え分液した後、さらに5w/v%炭酸水素ナトリウム水溶液(362 mL)を加え分液した。
【0125】
続いて有機層を減圧濃縮し、さらにトルエン(579 mL)を加えて減圧濃縮し、トルエン(72 mL)を加えて、0〜5℃に冷却した。約2時間撹拌した後、析出した結晶を濾過し、0〜5℃に冷却したトルエン(217 mL)を用いて結晶を洗浄した。得られた湿品結晶を40℃で減圧乾燥し、標記化合物を得た(97.55 g、収率 82.1%)。
【0126】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.38(3H,t,J = 7.1 Hz)、2.11(3H,s)、4.32(2H,q,J = 7.1 Hz)、7.39(1H,d,J = 7.3 Hz)、7.50〜7.62(2H,m)、7.77(1H,d,J = 8.0 Hz)、8.31(1H,br).
【0127】
(実施例4) 4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル
【0128】
【化22】
【0129】
実施例3の製造方法により得られた2-クロロ-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル 97.32 g(293 mmol)にエタノール(662 mL)、テトラヒドロフラン(117 mL)、水(49 mL)、蟻酸ナトリウム 25.91 g(381 mmol)および5% パラジウム-炭素触媒(水分52.1% 、10.16 g)を室温で加え、55〜65℃に加熱し撹拌した。約1時間撹拌後、40℃以下に冷却し、テトラヒドロフラン(97 mL)及びろ過助剤 (KC-フロック、日本製紙)4.87 gを加え、触媒を濾過し、残渣をエタノール(389 mL)を用いて洗浄した。ろ過液と洗浄に用いたエタノール溶液を合わせて減圧濃縮した後、水(778 mL)を加えて20〜30℃にて0.5時間以上撹拌した。析出した結晶を濾過し、エタノール/水= 7/8 に混合した溶液(292 mL)で結晶を洗浄した。得られた湿品結晶を40℃で減圧乾燥し、標記化合物を得た(86.23 g、収率 98.9%)。
【0130】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.35(3H,t,J = 7.1 Hz)、2.18(3H,s)、4.29(2H,m)、7.40〜7.61(4H,m)、7.77(1H,d,J = 7.9 Hz)、8.39(1H,br).
【0131】
(実施例5) (RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル
【0132】
【化23】
【0133】
実施例4の製造方法により得られた4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル65.15 g (219 mmol)にN,N-ジメチルアセトアミド(261 mL)、エチレンカルボナート 28.95 g(328.7 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン2.68 g(21.9 mmol)を室温にて順次加え、105〜120℃に加熱、撹拌した。約10時間撹拌後、20〜30℃に冷却してトルエン(1303 mL)、水(326 mL)を加えて有機層を抽出した。続いて、有機層に水(326 mL)を加えて洗浄を行った(3回実施)。得られた有機層を減圧濃縮し、エタノール(652 mL)を加え、さらに減圧濃縮した後、エタノール(130 mL)を加え、標記化合物のエタノール溶液(326 mL)を得た。
【0134】
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.35(3H,t,J = 7.1 Hz)、1.84(1H,broad singlet)、2.00(3H,s)、3.63〜3.77(4H,m)、4.27(2H,m)、7.35〜7.79(5H,m).
【0135】
(実施例6) (RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸
【0136】
【化24】
【0137】
実施例5の製造方法により得られた(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸エチル/エタノール溶液(321 mL)溶液に水(128.6 mL)、水酸化ナトリウム21.4 g (519 mmol)を室温にて加え、加熱して65〜78℃で撹拌した。約6時間撹拌後、20〜30℃に冷却し、水(193 mL)を加えた後、6 規定 塩酸を用いて20〜30℃を保ちながらpH 5.5〜6.5 に調整した。pH調製した液に種晶として(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 6.4 mgを加え、さらに水(193mL)を加えた。その後0〜5℃に冷却し、再度、濃塩酸を用いてpH 3〜4に調整し、約1時間撹拌した。その後、析出している結晶を濾過して、0〜5℃に冷却した20% エタノール水(93 mL)を用いて結晶を洗浄した。得られた湿品結晶を40℃にて減圧乾燥し、標記化合物を得た(64.32 g、収率95.0%)。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δ:1.87(3H,s)、3.38〜3.68(4H,m)、7.43〜7.89(5H,m).
【0138】
(実施例7) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩
(7−1) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩
実施例6の製造方法により得られた(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 50.00 g(160 mmol)に、N,N-ジメチルアセトアミド(25 mL)、酢酸エチル(85 mL)を室温にて加え溶解した(溶解液1)。
【0139】
キニーネ31.05 g(96 mmol)にN,N-ジメチルアセトアミド(25 mL)、酢酸エチル(350 mL)、水(15 mL)を加えて65〜70℃に加熱した後、溶解液1を滴下した。混合液を65〜70℃で約1時間撹拌後、ゆっくりと0〜5℃まで冷却し(冷却速度目安:約0.3 ℃/min)、その温度で約0.5時間撹拌した。結晶を濾過して、5℃以下に冷却した酢酸エチル(100 mL)を用いて結晶を洗浄し、得られた湿品結晶を40℃にて減圧乾燥し標記化合物 43.66 g を得た(収率42.9%)。また、得られた塩のジアステレオマー過剰率は98.3%deであった。
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δ: 1.30〜2.20(10H,m)、2.41〜2.49(2H,m)、2.85〜3.49(6H,m)、3.65〜3.66(1H,m)、3.88(3H,s)、4.82(1H,broad singlet)、4.92〜5.00(2H,m)、5.23〜5.25(1H,m)、5.60(1H,br)、5.80〜6.00(1H,m)、7.36〜7.92(9H,m)、8.67(1H,d,J = 4.6 Hz)
(7−2) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩のジアステレオマー過剰率(%de)のHPLC測定
標記化合物 約10 mgを採取し、50v/v%アセトニトリル水溶液で希釈して10 mLとしたものを試料溶液とした。
【0140】
カラム:DAICEL CHIRALPAK IC-3 (4.6 mmI.D.×250 mm, 3 μm)
移動相A:0.02mol/L リン酢緩衝溶液(pH 3)
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を以下の表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
検出 :UV 237 nm
流速 :約0.8 mL/min
カラム温度:30℃付近の一定温度
測定時間 :約20 min
注入量 :5 μL
ジアステレオマー過剰率(%de)は、標記化合物 (保持時間約12 min)、R体 (保持時間約13 min)のピーク面積比を用いて下記の式で算出した。
%de ={[(標記化合物(S体)ピーク面積比)−(R体 ピーク面積比)]÷[(標記化合物(S体)ピーク面積比)+ (R体ピーク面積比)]}×100
【0143】
(実施例8) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミド(化合物(A))
(8−1) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸
実施例7の製造方法により得られた(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸(8α,9R)-6’-メトキシシンコナン-9-オール 40.00 g(63 mmol)に酢酸エチル(400 mL)、2規定 塩酸水(100 mL)を加えて室温で撹拌し、分液した。得られた有機層を減圧濃縮し(120 mL)、酢酸エチル(200 mL)を加え、さらに減圧濃縮し標記化合物を含む溶液を得た(120 mL)。
(8−2) N-{[4-(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}オキサミド酸2-((S)-3-メチル-4-{[4-(メチルスルホニル)フェニル]カルバモイル}-2-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-1-イル)エチル
酢酸エチル(240 mL)、テトラヒドロフラン(80 mL)及び塩化オキサリル 20.72 g(163 mmol)を混合し、10〜15℃に冷却した。続いて10〜15℃を保ちながら実施例(8−1)で得られた溶液を加え、15〜20℃に加熱して約1時間撹拌した。撹拌後、アセトニトリル(120 mL)およびピリジン 2.46 g(31 mmol)を加え、反応液を減圧濃縮し(120 mL)、アセトニトリル(200 mL)を加え、さらに減圧濃縮した(120 mL)。
【0144】
減圧濃縮終了後、アセトニトリル(200 mL)を加え、10〜15℃に冷却した(反応液1)。
【0145】
アセトニトリル(240mL)、ピリジン12.39 g(157 mmol)、4-(メチルスルホニル)アニリン26.85 g(157 mmol)を順次加えた後、10〜15℃を保ちながら反応液1を加え、20〜25℃に加熱して約1時間撹拌した。
【0146】
得られた反応液にアセトニトリル(40 mL)、2規定 塩酸水(120 mL)、塩化ナトリウム(10.0 g)を加えて攪拌し、分液した。再度、有機層に2規定 塩酸水(120 mL)、塩化ナトリウム(10.0 g)を加えて攪拌し、分液した。得られた有機層をろ過後、減圧濃縮した(400 mL)。濃縮液に水(360 mL)を加え、約1時間攪拌後、結晶をろ過し、50v/v%アセトニトリル水溶液(120 mL)で洗浄し、標記化合物の湿品(未乾燥品、62.02 g)を得た。
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6) δ: 1.94 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.81 (t, 1H), 4.12 (t, 1H), 4.45 (t, 2H, J = 5.81 Hz), 7.62 (t, 1H, J = 4.39 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 3.68 Hz), 7.86 (dd, 3H), 7.92 (dd, 3H, J = 6.94, 2.13 Hz), 7.97 (dd, 2H, J = 6.80, 1.98 Hz), 8.02 (dd, 2H), 10.03 (s, 1H), 11.19 (s, 1H)
(8−3) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミド(化合物(A))
(8−2)で得られた湿品の結晶に、t-ブチルメチルエーテル(200 mL)、アセトニトリル(40 mL)、48w/w水酸化カリウム水溶液(16 g)と水(200 mL)を加え、25〜35℃で約2時間撹拌した。撹拌後、分液し、得られた有機層を減圧濃縮し(120 mL)、エタノール(240 mL)を加え、さらに減圧濃縮した(120 mL)。減圧濃縮終了後、エタノール(36 mL)、水(12 mL)を加えて35〜45℃に加熱し、35〜45℃を保ちながら水(280 mL)を滴下し、結晶を晶出させた。晶出液を室温まで冷却後、結晶を濾過した。その後、結晶を30v/v%エタノール水溶液(80 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥したところ、標記化合物を結晶で得た(26.26 g、収率89.7%)。また、得られた結晶のエナンチオマー量は0.3%であった。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.74(1H,broad singlet)、2.08(3H,s)、3.04(3H,s)、3.63〜3.80(4H,m)、7.36(1H,d,J = 7.2 Hz)、7.48(1H,s)、7.58〜7.67(2H,m)、7.77〜7.90(6H,m).
(8−4) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミドのエナンチオマー量(%)のHPLC測定法
標記化合物 約10 mgを採取し、50v/v%アセトニトリル水溶液で希釈して10 mLとしたものを試料溶液とした。
【0147】
カラム:DAICEL CHIRALPAK OJ-RH (4.6 mmI.D.×150 mm, 5 μm)
移動相A:アセトニトリル/水 = 9/16
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を以下の表2に示す。
【0148】
【表2】
【0149】
検出 :UV 287 nm
流速 :約0.8 mL/min
カラム温度 :30℃付近の一定温度
測定時間 :約30 min
注入量 :5 μL
標記化合物 (保持時間約9.2 min)の標準溶液、エナンチオマー (保持時間約8.2 min)のピーク面積を用いて下記の式で計算した。
エナンチオマー量(%) =(エナンチオマーのピーク面積 ÷標記化合物のピーク面積)×100
(8−5) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミドのX線回折測定
(8−3)で得られた表記化合物の結晶を、リガク社製 RINT2200V型 X線回折装置を用い、試料をガラス製サンプルホルダに充填し、下記条件にて測定した。得られた結晶の粉末X線回折(CuKα、λ=1.54オングストローム)の回折パターンを
図1に、
図1において最大ピーク強度を100とした場合の相対強度5以上のピークを表3に示す。
【0150】
【表3】
【0151】
<分析条件>
X線:Cu Kα1/40kV/40mA
ゴニオメータ:Ultima+水平ゴニオメータI型
2θ走査範囲:2〜45°
(8−6) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミドの示差走査熱量測定法
マック・サイエンス社製 DSC3100型 示差走査熱量測定装置を用い、被検化合物 約5mgを、測定用アルミ製パンに量り取り、パンをオープンの状態で、室温から250℃まで、毎分5℃の昇温速度で昇温して測定した。示差走査熱量測定により得られたDSC曲線図を
図2に示した。
【0152】
(実施例9) ラセミ体の光学分割による(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸の製造
(9−1)各種アミン又は各種溶媒による影響
(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸100 mg(319.2 mmol)、種々のアミン(0.5 当量)に室温で種々の溶媒を加えた。室温で約1時間攪拌又は、加熱して約1時間撹拌後、ゆっくりと20〜30℃まで冷却し、その温度で約0.5時間撹拌した。その後、結晶を濾過して、得られた湿品結晶を減圧乾燥し、結晶を得た。また、得られた塩のジアステレオマー過剰率を測定した。
(9−2)標記化合物 ジアステレオマー過剰率のHPLC測定方法
標記化合物 約10 mgを採取し、移動相で希釈して20 mLとしたものを試料溶液とした。
【0153】
カラム :DAICEL CHIRALCEL OD-RH (4.6 mmI.D.×150 mm, 5 μm)
移動相 :0.1v/v%酢酸水溶液(蒸留水1000mLに酢酸 1mLを混合して調製):アセトニトリル = 75:25
検出 :UV 220 nm
流速 :約1.0 mL/min
カラム温度:40℃付近の一定温度
測定時間 :約25 min
注入量 :5 μL
標記化合物 (保持時間約14.5 min)、R体 (保持時間約15.5 min)のピーク面積比を用いて下記の式で計算した。
%de ={[(標記化合物(S体)ピーク面積比)−(R体 ピーク面積比)]÷[(標記化合物(S体)ピーク面積比)+(R体ピーク面積比)]}×100
上記アミンにて結晶(ジアステレオマー塩)が得られた系にて、種々検討したところ、キニーネ、 キニジンが所望の絶対配置(S体)を有するジアステレオマー塩、シンコニジンは逆の絶対配置(R体)を有するジアステレオマー塩を与えた。主な結果を表4に示す。
【0154】
以下、表中、EtOAcは酢酸エチル、CH
3CNはアセトニトリル、DMEはジメトキシエタンを示す。
【0155】
【表4】
【0156】
(R)-(-)-α-フェニルグリシトール、(S)-(-)-N,N-ジメチル-1-フェニル-エチルアミン、L-リシン等を用いて同様の光学分割をおこなったところ、5%de以下のジアステレオマー過剰率であった。
【0157】
次に、ジアステレオマー量向上を目的に、アミンの当量数検討を行った。検討結果を表5に示す。
【0158】
【表5】
【0159】
以上の結果から、キニーネが所望の絶対配置(S体)を有するジアステレオマー塩、シンコニジンは逆の絶対配置(R体)を有するジアステレオマー塩を高純度かつ中〜高収率で与えた。
【0160】
(実施例10) (R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸のラセミ化による(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩の製造
(10−1) (R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸のラセミ化による(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩の製造
(実施例7)に記載の(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸の光学分割方法により得られた濾洗液(583.63 g、(R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸及び(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸の含量 22.23 g)を減圧濃縮(75.73 g)した。得られた濃縮液を140〜150℃に加熱し、約5時間撹拌後、冷却し、減圧濃縮した(反応液1、40 mL)。
【0161】
酢酸エチル(220 mL)、水(7.3 mL)、キニーネ19.18 g(59 mmol)を室温で混合後、同温で反応液1を添加した。混合液は約65℃に加熱後、ゆっくりと0〜5℃まで冷却し(冷却速度目安:約0.3 ℃/min)、その温度で約1時間撹拌した。結晶を濾過して、0〜5℃に冷却した酢酸エチル(40 mL)を用いて結晶を洗浄し、得られた湿品結晶を40℃にて減圧乾燥したところ、(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩を19.59 g 得た(収率43.3%)。また、得られた塩のジアステレオマー過剰率を(実施例7−2)の方法を用いて測定したところ、94.8%deであった。
(10−2−1)(R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸のラセミ化
(実施例7)に記載の(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸の光学分割方法により得られた濾洗液を減圧濃縮した。残渣15.46 g(泡沫状、R体84.6%ee、Net 14.38 g)にN,N-ジメチルホルムアミド(77 mL)を加え、140〜145℃に加熱し約6時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、水(77 mL)、トルエン(464 mL)を加え抽出し、得られた有機層を水(77 mL)で3回洗浄した。洗浄した有機層を減圧濃縮し(155 mL)、0〜5℃へ冷却してその温度で約1時間撹拌した。結晶を濾過して、0〜5℃に冷却したトルエン(31 mL)を用いて結晶を洗浄し、得られた湿品結晶を40℃ にて減圧乾燥したところ、(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸を得た(10.70 g、含量95.2%(Net 10.19 g)、0.5%ee、収率70.9%)。含量は(10−2−2)に記載の方法を用いて測定した。
【0162】
得られた(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸を出発物質とし、実施例7に記載の方法を用いることにより、(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 キニーネ塩を製造することができる
(10−2−2)含量のHPLC測定方法
(R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 約25 mgを採取し、移動相で希釈して50 mLとしたものを標準溶液または試料溶液とした。
【0163】
カラム:(財)化学物質評価研究機構L-column C8 (4.6 mmI.D.×250 mm, 5 μm)
移動相:A液 アセトニトリル:5 mMりん酸水素二ナトリウム水 = 20:80
B液 アセトニトリル:水 = 80:20
グラジェント組成を表6に示す。
【0164】
【表6】
【0165】
検出 :UV 254 nm
流速 :約1.0 mL/min
カラム温度:40℃付近の一定温度
測定時間 :約30 min
注入量 :5 μL
標記化合物 (保持時間約6.5 min)のピーク面積を用いて下記の式で計算した(絶対検量線法)。
【0166】
含量(%)=F×(Ws÷Wt)×(Qt÷Qs)
Ws:標準品の重量(mg)、Wt:未知試料の重量(mg)、Qs:標準溶液のピーク面積、Qt:試料溶液のピーク面積、F:標準品の含量(%)
【0167】
(実施例11) (R)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 シンコニジン塩
シンコニジン 46.98 g(159.6 mmol)に酢酸エチル(1400 mL)を加えて加熱し、還流撹拌を行っているところに(約78℃)、(RS)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸 50.00 g(159.6 mmol)を加えた。約1時間撹拌後、ゆっくりと20〜30℃まで冷却し、その温度で約1時間撹拌した。析出した結晶を濾過して、酢酸エチル(250 mL)を用いて結晶を洗浄し、得られた湿品結晶を40℃にて減圧乾燥したところ、標記化合物の粗生成物 52.73 g を得た(収率 54.4%)。また、得られた塩のジアステレオマー過剰率は71.9%deであった。
【0168】
得られた粗生成物50.00 gにエタノール(75 mL)、酢酸エチル(100 mL)を加え加熱し、還流撹拌を行った(約78℃)。約1時間撹拌後、酢酸エチル(825 mL)を加えて再度還流撹拌を約0.5時間行った。その後、0〜5℃へ冷却してその温度で約1時間撹拌した。結晶を濾過して、0〜5℃に冷却した酢酸エチル(200 mL)を用いて結晶を洗浄し、得られた湿品結晶を40℃ にて減圧乾燥したところ、標記化合物を得た(34.21 g、回収率68.4%、収率37.2%)。また、得られた塩のジアステレオマー過剰率は98.7%deであった。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.27〜1.67(m, 2H)、1.75〜2.04(m, 4H)、2.13〜2.33(m, 1H)、2.52〜2.94(m, 2H)、3.14〜3.23(m, 2H)、3.46〜4.12(m, 2H)、4.76〜5.10(m, 2H)、5.58〜5.90(m, 2H)、6.10〜6.95(m, 2H)、7.00〜8.25(m, 7H)、8.55〜9.01(m, 1H).
MS (ESI): 313、294
【0169】
(実施例12) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミド(化合物(A))の製法 その2
(12−1) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸
実施例7の製造方法により得られた(S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボン酸(8α,9R)-6’-メトキシシンコナン-9-オール 10.00 g(16 mmol)にt-ブチルメチルエーテル(90 mL)、水(10 mL)36w/w% 塩酸水(5 mL)を加えて室温で撹拌し、分液した。得られた有機層を減圧濃縮し(30 mL)、酢酸エチル(50 mL)を加え、さらに減圧濃縮し標記化合物を含む溶液を得た(30 mL)。
(12−2) N-{[4-(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}オキサミド酸2-((S)-3-メチル-4-{[4-(メチルスルホニル)フェニル]カルバモイル}-2-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-1-イル)エチル
酢酸エチル(50 mL)、テトラヒドロフラン(20 mL)及び塩化オキサリル5.18 g(41 mmol)を混合し、0〜5℃に冷却した。続いて0〜5℃を保ちながら実施例(12−1)で得られた溶液を加え、0〜10℃で6時間撹拌した。撹拌後、アセトニトリル(30 mL)およびピリジン0.62 g(8 mmol)を加え、反応液を減圧濃縮し(30 mL)、アセトニトリル(50 mL)を加え、さらに減圧濃縮した(30 mL)。
【0170】
減圧濃縮終了後、アセトニトリル(10 mL)及び塩化オキサリル0.10 g(1 mmol)を加え、0〜5℃に冷却した(反応液1)。
【0171】
アセトニトリル(30mL)、ピリジン3.15 g(40 mmol)、4-(メチルスルホニル)アニリン6.71 g(39 mmol)を順次加えた後、10〜15℃を保ちながら反応液1を加え、20〜25℃に加熱して約1時間撹拌した。
【0172】
得られた反応液から不溶物をろ過し、アセトニトリル(10 mL)で洗浄した後、水(15 mL)を加え約2時間攪拌し、その後、水(75 mL)を約1時間かけて滴下した。懸濁液を約1時間攪拌後、結晶をろ過し、50v/v%アセトニトリル水溶液(20 mL)で洗浄し、標記化合物の湿品(未乾燥品、15.78 g)を得た。
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6) δ: 1.94 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.81 (t, 1H), 4.12 (t, 1H), 4.45 (t, 2H, J = 5.81 Hz), 7.62 (t, 1H, J = 4.39 Hz), 7.74 (t, 2H, J = 3.68 Hz), 7.86 (dd, 3H), 7.92 (dd, 3H, J = 6.94, 2.13 Hz), 7.97 (dd, 2H, J = 6.80, 1.98 Hz), 8.02 (dd, 2H), 10.03 (s, 1H), 11.19 (s, 1H)
(12−3) (S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-5-[2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ピロール-3-カルボキサミド(化合物(A))
(12−2)で得られた湿品の結晶に、t-ブチルメチルエーテル(50 mL)、アセトニトリル(10 mL)、48w/w水酸化カリウム水溶液(4 g)と水(50 mL)を加え、15〜25℃で約2時間撹拌した。撹拌後、分液し、得られた有機層を減圧濃縮し(30 mL)、エタノール(60 mL)を加え、さらに減圧濃縮した(30 mL)。減圧濃縮終了後、エタノール(14 mL)、水(20 mL)を加えた後、種晶を加え、結晶を晶出させた。約1時間かけて水(50 mL)を滴下後、約1時間攪拌し、結晶を濾過した。その後、結晶を30v/v%エタノール水溶液(10 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥したところ、標記化合物を結晶で得た(6.36 g、収率87.0%)。また、得られた結晶のエナンチオマー量は0.05%であった。エナンチオマー量は、(実施例8−4)の方法で測定した。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ:1.74(1H,broad singlet)、2.08(3H,s)、3.04(3H,s)、3.63〜3.80(4H,m)、7.36(1H,d,J = 7.2 Hz)、7.48(1H,s)、7.58〜7.67(2H,m)、7.77〜7.90(6H,m).
【0173】
(製剤例1)<カプセル剤>
実施例8で得られた結晶5g、乳糖115g、トウモロコシデンプン58gおよびステアリン酸マグネシウム2gをV型混合機を用いて混合した後、カプセルに180mgずつ充填するとカプセル剤が得られる。
(製剤例2)<錠剤>
実施例8で得られた結晶5g、乳糖90g、トウモロコシデンプン34g、結晶セルロース20gおよびステアリン酸マグネシウム1gをV型混合機を用いて混合した後、1錠当り150mgの質量で錠剤機で打錠すると錠剤が得られる。
(製剤例3)<懸濁剤>
メチルセルロースを精製水に分散、溶解させた分散媒を調製し、実施例8で得られた結晶を乳鉢に量りとり、前述した分散媒を少量ずつ加えながらよく練り合わせ、精製水を加えて懸濁液100gを調製する。