(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240166
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】生物学的に関連性のある酸の選択的検知のための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
G01N27/62 102
G01N27/62 X
G01N27/62 V
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-512145(P2015-512145)
(86)(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公表番号】特表2015-516579(P2015-516579A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】IB2013000965
(87)【国際公開番号】WO2013171571
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】61/649,063
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン, イーブス
【審査官】
吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−527734(JP,A)
【文献】
米国特許第04551624(US,A)
【文献】
特表2011−522363(JP,A)
【文献】
米国特許第06774360(US,B1)
【文献】
特表2010−535345(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0085740(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0068264(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0306144(US,A1)
【文献】
特表2010−519532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60−70、92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法であって、前記方法は、
a.試料をイオン化することにより複数の分析物イオンを生成するステップであって、前記試料は、目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる、ステップと、
b.CO2および液体修飾剤を含むドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して前記複数の分析物イオンを移送することにより、前記イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンからの前記目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすステップと
を含み、
ここで、前記修飾剤は、アセトンを含む、方法。
【請求項2】
前記ドリフトガスは、80%よりも高いCO2濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ドリフトガスは、98.5%よりも高いCO2濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ドリフトガスは、CO2から本質的に成る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記目的の酸性分析物は、メチルマロン酸(MMA)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記干渉酸性分析物は、コハク酸(SA)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記目的の酸性分析物のイオンおよび前記干渉酸性分析物のイオンは、同重体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記目的の分析物および前記干渉分析物は、カルボン酸官能基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
イオン化のために試料を調製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記試料調製は、AP−MALDI、DESI、DART、およびLDTDのうちの任意の1つを介した直接的な試料導入のために、前記試料を固体支持体上で乾燥させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン移動度スペクトロメータは、微分型移動度スペクトロメータを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記イオン移動度スペクトロメータは、FAIMSを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記イオン移動度スペクトロメータは、LC−MS/MSに連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン移動度スペクトロメータは、LC−MSに連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップbは、前記イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンから、前記目的の酸性分析物のイオンのピークを分解することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(a)において、前記試料がMMAおよびSAを含み、
前記方法が、前記修飾されたドリフトガスを使用して、前記イオン移動度スペクトロメータを通して前記イオン化された試料を移送することにより、SAからのMMAの分離をもたらすステップの前に前記ドリフトガスをアセトンで修飾するステップをさらに含み、
前記方法が、MMAおよびSAのうちの少なくとも1つを定量化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年5月18日出願の米国仮出願第61/649,063号への優先権を主張し、その米国仮出願は、本明細書で参照によってその全体が援用される。
【0002】
本発明は、概して、マススペクトロメトリに関し、より特定すると、イオン移動度スペクトロメトリを使用した酸の分離のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マススペクトロメトリ(MS)は試料中の特定の分析物の量を定量化するために有用であり得るが、MS技法は、時として、2つのイオン種間の判別が不十分である。一例として、ジカルボン酸であるメチルマロン酸(MMA)は、化学式C
4H
6O
4を有し、コバラミン欠乏症(すなわち、ビタミンB
12欠乏症)に対する臨床マーカーである。ガスクロマトグラフィ−マススペクトロメトリ(GC−MS)を使用して、患者の血液中のMMAを定量化する臨床アッセイは、敏感であり得るが、しばしば、同様に化学式C
4H
6O
4を有するジカルボン酸であるコハク酸(SA)の内因性レベルに由来する干渉の結果、特異性が欠如する。さらに、下記に示されるように、SAは、MMAのものと同じ主要フラグメントおよび小フラグメントのMRM遷移を呈し、さらに、生物学的試料中のMMAよりもはるかに高いレベルで存在し、その結果として、しばしば、MMAの検出/判別に干渉する。
【化1】
【0004】
LC分離の前の誘導体化、固相抽出、または乱流クロマトグラフィ等のさらなる試料調製方法が、より大量のSAからのMMAの分離を改善するために試みられてきた。しかしながら、これらの技法は、時間がかかり、かつ/または複雑な試料調製を必要とし、コストを増加させ、かつ/または処理量を低下させ、MMAの臨床診断定量化を不正確、非実践的、または不採算にし得る。
【0005】
種々の分析物に関する上記で述べられているMSの欠点のため、改良された感度および選択性のために、イオン移動度スペクトロメトリ(IMS)等の技法が、時として、MSの代替として、またはMSと組み合わせて頼られる。MSはイオンの質量電荷比に基づいてイオンを分析するが、IMSは、代わりに、イオンが、ドリフト管の軸方向長に沿って印加される一定の静電場において(典型的には、大気圧における)ガスを通してドリフトするために必要とされる時間の差異に基づいて、イオンを分離する。IMSでは、イオンは、単一の運動方向(軸方向)を有し、これらの低電場条件(E<1000V/cm)下におけるガスを通したその移動度に従って分離される。飛行管を通したドリフト時間は、イオンのサイズおよび形状ならびに背景ガスとのその相互作用の特性であり、したがって、イオンの移動度も、イオンのサイズおよび形状ならびに背景ガスとのその相互作用の特性である。
【0006】
高電場非対称波形イオン移動度スペクトロメトリ(FAIMS)または電場イオンマススペクトロメトリ(FIS)とも呼ばれる微分型移動度スペクトロメトリは、IMSの変形である。DMSでは、分離電圧(SV)としばしば呼ばれるRF電圧が、ドリフトガス流の方向と垂直な方向に、ドリフト管にわたって印加される。所与の種のイオンは、高電場および低電場の部分中の移動度の差に起因して、RF波形の各サイクル中の特性量によって、移送チャンバの軸から半径方向に離れて移動する傾向がある。ドリフト管に印加される補償電圧(CVまたはCoV)と一般に呼ばれるDC電位は、SVのものに対抗する静電気力を提供する。CVは、目的のイオン種のドリフトを優先的に防止するように調整されることができる。適用に応じて、CVは、固定値に設定されることにより、特定の微分移動度を有するイオン種のみ通過させることができる一方で、残りのイオン種は、電極に向かってドリフトされ、中性化される。代替として、試料がDMS内に継続的に導入されるときにCVが固定SVに対して走査される場合、DMSが異なる微分移動度のイオンを伝送するにつれて、移動度スペクトルが、作り出され得る。
【0007】
IMSおよびDMSでは、ドリフトガスの分子は、ドリフト管を通して流れるにつれて試料イオンと相互作用する。理想的には、ドリフトガスは、種々の干渉分析物と相互作用することにより、それらの移動度をさらに区別するように選択される。加えて、ドリフトガスに添加され得る修飾剤は、SVの高電場部分中および低電場部分中、異なる程度にイオンとクラスタ化し、それによって、これらのイオンの微分移動度をシフトさせる。しかしながら、特定の種に及ぼされるDMS条件の影響は、しばしば、予測不可能であり、重複検出ピークの間の判別は、常には容易に達成されない。実際、個々の種のDMS検出ピークは、しばしば、質量スペクトロメータのものに対して非常に広範であり、その結果として、重複が、しばしば、種同定に干渉する。一例として、その移動度に基づいてMMAおよびSAを分離しようとするこれまでの試みは、成功していない。
【0008】
ゆえに、種の間の判別が向上した生物学的に関連性のある酸の改良された検出の必要性が残っている。同様に、試料調製を低減しながらの試料からのMMAの改良された定量化の必要性も残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
予想外にも、微分型移動度スペクトロメータにおけるCO
2のドリフトガスとしての使用は、有利なことに、MMAおよびSA等のジカルボン酸を含む同重体カルボン酸に対応するイオン信号を分解することを可能にすることができることが発見された。そして、イオン信号の分解能は、それらを含む試料中のそのような酸の正確な定量化を可能にすることができる。多くの実施形態では、試料中に存在する同重体ジカルボン酸のそのような定量化は、誘導体化等の時間がかかる調製ステップに試料を曝す必要なく、本明細書の教示に従って達成されることができる。ある場合には、ドリフトガスとしてのCO
2とアセトン等の修飾剤との組み合わせ(例えば、約10%未満、ガス体積においてアセトンの約1%〜約10%、約1.5%アセトンの濃度範囲内)は、予想外かつ有利なことに、同重体カルボン酸に対応するイオン信号の分解能をさらに向上させる。
【0010】
一局面によると、本出願人の教示のある実施形態は、イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法に関する。本方法によると、目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる試料が、微分型移動度スペクトロメータ内に伝送され得る。試料は、CO
2およびアセトンを含むドリフトガスを使用して、微分型移動度スペクトロメータを通して移送されることにより、試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンからの目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすことができる。
【0011】
別の局面によると、本出願人の教示のある実施形態は、イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法に関する。本方法によると、目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる試料が、複数の分析物イオンを生成するためにイオン化され得る。複数の分析物イオンは、CO
2を含むドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して移送されることにより、イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンからの目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすことができる。
【0012】
いくつかの局面では、ドリフトガスは、約80%よりも高いか、約90%よりも高いか、約95%よりも高いか、または98.5%よりも高いCO
2濃度を有することができる。いくつかの局面では、ドリフトガスは、CO
2から本質的に成ることができる。種々の局面では、ドリフトガスは、CO
2およびアセトンから本質的に成ることができる。
【0013】
種々の局面では、目的の酸性分析物のイオンおよび干渉酸性分析物のイオンは、同重体であり得る。いくつかの局面では、目的の分析物および干渉分析物は、カルボン酸官能基を有する。いくつかの局面では、目的の酸性分析物および干渉酸性分析物は、カルボン酸を含むことができる。例えば、カルボン酸は、ロイシンおよびイソロイシンを含むことができる。いくつかの局面では、目的の酸性分析物は、MMAであり得、干渉酸性分析物は、SAであり得る。
【0014】
本教示による種々の実施形態のいくつかの局面では、本方法は、修飾剤をドリフトガスに供給することを含むことができる。修飾剤は、極性化合物であり得る。例えば、修飾剤は、アセトンを含むことができる。
【0015】
種々の局面では、本方法は、イオン化のために試料を調製することをさらに含むことができる。例えば、試料は、フローインジェクション分析(FIA)によって直接的に導入されるか、またはAP−MALDI、DESI、DART、およびLDTD等(限定されない)の直接的な試料導入のために固体支持体上で乾燥されるかのいずれかであることができる。いくつかの局面では、試料調製は、目的の酸性分析物の誘導体化を含まない。例えば、試料調製は、液体クロマトグラフィを含む。
【0016】
種々の局面では、イオン移動度スペクトロメータは、微分型移動度スペクトロメータ、FAIMSデバイスを備えることができ、かつ/またはLC−MS/MSに連結されることができる。
【0017】
別の局面によると、本出願人の教示のある実施形態は、イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法に関する。本方法によると、試料は、複数の分析物イオン(目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる試料)を生成するためにイオン化されることができる。複数の分析物イオンは、CO
2を含むドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して移送され、イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンのピークから目的の酸性分析物のイオンのピークを分解することができる。
【0018】
別の局面によると、本出願人の教示のある実施形態は、イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法に関する。本方法によると、MMAおよびSAを含む試料は、イオン化されることができる。CO
2を含むドリフトガスは、アセトンで修飾されることができる。イオン化された試料は、修飾されたドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して移送され、SAからのMMAの分離をもたらすことができ、そのうちの少なくとも1つは、定量化されることができる。
【0019】
本出願人の教示のこれらの特徴および他の特徴が、本明細書に記載される。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法であって、前記方法は、
a.試料をイオン化することにより複数の分析物イオンを生成するステップであって、前記試料は、目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる、ステップと、
b.CO2を含むドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して前記複数の分析物イオンを移送することにより、前記イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンからの前記目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記ドリフトガスは、約80%よりも高いCO2濃度を有する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ドリフトガスは、約98.5%よりも高いCO2濃度を有する、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ドリフトガスは、CO2から本質的に成る、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記目的の酸性分析物は、メチルマロン酸(MMA)を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記干渉酸性分析物は、コハク酸(SA)を含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記目的の酸性分析物のイオンおよび前記干渉酸性分析物のイオンは、同重体である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記目的の分析物および前記干渉分析物は、カルボン酸官能基を有する、項目1に記載の方法。
(項目9)
修飾剤を前記ドリフトガスに供給することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記修飾剤は、極性化合物を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記修飾剤は、アセトンを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
イオン化のために試料を調製することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記試料調製は、AP−MALDI、DESI、DART、およびLDTDのうちの任意の1つを介した直接的な試料導入のために、前記試料を固体支持体上で乾燥させることを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記イオン移動度スペクトロメータは、微分型移動度スペクトロメータを備える、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記イオン移動度スペクトロメータは、FAIMSを備える、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記イオン移動度スペクトロメータは、LC−MS/MSに連結される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記イオン移動度スペクトロメータは、LC−MSに連結される、項目1に記載の方法。
(項目18)
ステップbは、前記イオン化された試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンから、前記目的の酸性分析物のイオンのピークを分解することを含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
マススペクトロメトリの方法であって、
a.MMAおよびSAを含む試料をイオン化することと、
b.CO2を含むドリフトガスを提供することと、
c.前記ドリフトガスをアセトンで修飾することと、
d.前記修飾されたドリフトガスを使用して、イオン移動度スペクトロメータを通して前記イオン化された試料を移送することにより、SAからのMMAの分離をもたらすことと、
e.MMAおよびSAのうちの少なくとも1つを定量化することと
を含む、方法。
(項目20)
イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法であって、
a.目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる試料を、微分型移動度スペクトロメータ内に導入することと、
b.CO2およびアセトンを含むドリフトガスを使用して、前記微分型移動度スペクトロメータを通して前記試料を移送することにより、前記試料中に存在する干渉酸性分析物のイオンからの前記目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすことと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0020】
当業者は、下記で説明される図面が、例証の目的に過ぎないことを理解する。図面は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図されない。
【0021】
【
図1】
図1は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、概略図において、カーテンガス供給部とカーテンガスへの修飾剤供給部とを含む例示的な微分型移動度スペクトロメータ/質量スペクトロメータシステムを図示する。
【0022】
【
図2】
図2は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、概略図において、カーテンガス供給部とカーテンガスへの修飾剤供給部とを含む例示的な微分型移動度スペクトロメータシステムを図示する。
【0023】
【
図3】
図3は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、カーテンガスとして純N
2および純CO
2を用いる微分型移動度スペクトロメータによって伝送され、続いて、検出されたMMAイオンを比較したデータを描写する。
【0024】
【
図4】
図4は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、カーテンガスとして純N
2および純CO
2を用いて修飾剤としてIPAを用いる微分型移動度スペクトロメータによって伝送され、続いて、検出されたMMAイオンを比較したデータを描写する。
【0025】
【
図5】
図5は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、カーテンガスとして純N
2および純CO
2を用いて修飾剤としてアセトンを用いる微分型移動度スペクトロメータによって伝送され、続いて、検出されたMMAイオンを比較したデータを描写する。
【0026】
【
図6】
図6は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、カーテンガスとして純CO
2を用いて修飾剤としてアセトンを用いる微分型移動度スペクトロメータによる伝送、およびその後に続くMMAイオンの検出とSAイオンの検出とを比較したデータを描写する。
【0027】
【
図7】
図7は、本出願人の教示の種々の実施形態の局面に従い、MMAおよび/またはSAを含む試料の微分型移動度スペクトロメータの移動度スペクトルを描写し、その微分型移動度スペクトロメータは、カーテンガスとして純CO
2を用い、修飾剤としてアセトンを用いる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
明確にするために、下記の議論は、本出願人の教示の実施形態の局面を詳説するが、そうすることが便宜的または適切である場合には何らかの具体的詳細を省略することが、理解される。例えば、代替実施形態における同様または類似の特徴についての議論は、ある程度、短縮され得る。周知の思想または概念もまた、簡潔にするために、あまり詳細に論じられない場合がある。当業者は、本出願人の教示のいくつかの実施形態が、具体的に説明される詳細の一部をすべての実装において要求しなくてもよいことを認識し、その具体的に説明される詳細の一部は、実施形態の徹底的な理解を提供するためだけに本明細書に記載される。同様に、説明される実施形態は、共通の一般的な知識に従って、本開示の範囲から逸脱することなく若干の代替または変形を許容可能であってもよいことが、明白である。下記の実施形態の詳細な説明は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定するものと見なされない。
【0029】
イオン移動度スペクトロメトリを行うための方法およびシステムが、本明細書に提供される。本出願人の教示の種々の局面によると、本方法およびシステムは、生物学的に関連性のある酸の分離を提供することができ、そのような酸は、例えば、従来のMS技法を用いて分離することが困難であり得る。種々の局面では、本出願人の教示による方法およびシステムは、微分型移動度スペクトロメータが、同重体ジカルボン酸、ロイシンおよびイソロイシン、ならびにMMAおよびSA(全て非限定的例)等の試料の生物学的に関連性のある酸を分解する(resolve)ことを可能にし得る。
【0030】
次に
図1を参照すると、本出願人の教示の種々の実施形態による例示的な微分型移動度スペクトロメータ/質量スペクトロメータシステム100が、図式的に図示される。
図1に示されるように、微分型移動度スペクトロメータ/質量スペクトロメータシステム100は、概して、質量スペクトロメータ(本明細書では以下、質量スペクトロメータ150として概して指定される)の第1の真空レンズ要素150と流体連通する微分型移動度スペクトロメータ110を備える。当業者によって理解されるように、微分型移動度スペクトロメータ/質量スペクトロメータシステム100は、本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法の種々の局面に従い、使用のための1つの可能な構成のみを表す。移動度スペクトロメータ110は、種々の構成を有することができるが、概して、固定電場または可変電場を通るイオンの移動度に基づいて、イオンを分解するように構成される。例えば、移動度スペクトロメータは、とりわけ、平行プレート、湾曲電極、または円筒形FAIMSデバイス等の種々の幾何学形状のイオン移動度スペクトロメータ、微分型移動度スペクトロメータ、またはFAIMSデバイスであることができる。
【0031】
図1に描写される例示的な実施形態では、微分型移動度スペクトロメータ110は、電気絶縁体114によって囲繞される一対の対向電極プレート112を備え、その電気絶縁体は、電極プレート112を支持し、それらを他の伝導性要素から絶縁する。電極プレート112は、ドリフトガス116を囲繞し、そのドリフトガスは、微分型移動度スペクトロメータ110の入口118から微分型移動度スペクトロメータ110の出口120へとドリフトする。微分型移動度スペクトロメータ110の出口120は、質量スペクトロメータ150を含む真空チャンバ152の入口154内にドリフトガス116を放出する。
【0032】
微分型移動度スペクトロメータ110は、カーテンチャンバ130内に含まれることができ、そのカーテンチャンバは、カーテンプレートまたは境界部材132によって画定され、カーテンガス供給部134からカーテンガスが供給される。特定すると、カーテンガス供給部134からのカーテンガスは、流量コントローラおよび弁によって決定されている流速でカーテンガス導管136を通って流れることができる。カーテンガス供給部134は、任意の純組成物または混合組成物のカーテンガスをカーテンガスチャンバに提供することができる。非限定的例として、カーテンガスは、空気、O
2、He、N
2、CO
2、または任意のそれらの組み合わせであることができる。いくつかの局面では、カーテンガスは、少なくとも約80%CO
2、少なくとも約90%CO
2、少なくとも約95%CO
2、少なくとも約98.5%CO
2、または実質的に100%CO
2の濃度を有することができる。カーテンチャンバ130におけるカーテンガスの圧力は、大気圧(すなわち、760Torr)またはその近傍に維持されることができる。
【0033】
システム100はまた、修飾剤をカーテンガスに供給するための修飾剤供給部138を含むことができる。上記で説明されているように、修飾剤は、カーテンガスに添加されることにより、SVの高電場部分中および低電場部分中でイオンと特異的にクラスタ化することができる。当業者によって理解されるように、修飾剤供給部は、固体、液体、またはガスのリザーバであることができ、それを通して、カーテンガスは、カーテンチャンバ130に送達される。一例として、カーテンガスは、液体修飾剤供給部を通して気泡化されることができる。代替として、修飾剤の液体またはガスは、例えばLCポンプ、シリンジポンプ、または既知の率で修飾剤をカーテンガス中に分注するための他の分注デバイスを通して、カーテンガス内にメータを介して供給される(metered)ことができる。例えば、修飾剤は、カーテンガス中の修飾剤について最終濃度約1.5%をもたらすように、ポンプを使用して導入されることができる。修飾剤供給部134は、非限定的例としてアセトン、水、メタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、臭化メチレン、またはそれらの任意の組み合わせを含む任意の修飾剤を提供することができる。
【0034】
随意に、カーテンガス導管136および/またはカーテンチャンバ130は、カーテンガスと修飾剤との混合物を加熱するためのヒータを含むことにより、カーテンガス中の修飾剤の割合をさらに制御することができる。
【0035】
イオン102は、イオン源(図示せず)から提供されることができ、カーテンチャンバ入口150を介してカーテンチャンバ130内に放出されることができる。当業者によって理解されるように、イオン源は、事実上、当技術分野において公知の任意のイオン源であることができ、そのイオン源は、とりわけ、例えば、連続イオン源、パルスイオン源、大気圧化学イオン化(APCI)源、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)イオン源、グロー放電イオン源、電子衝突イオン源、化学イオン化源、または光イオン化イオン源を含む。カーテンチャンバ130におけるカーテンガスの圧力(例えば、約760Torr)は、カーテンガスチャンバ入口144からのカーテンガス流出142と、微分型移動度スペクトロメータ110内へのカーテンガス流入137との両方を提供することができ、流入144は、カーテンチャンバ130よりはるかに低い圧力に維持され得る真空チャンバ152内に含まれる質量スペクトロメータ150内に、微分型移動度スペクトロメータ110を通してイオン102を搬送するドリフトガス116になる。例えば、真空チャンバ152は、真空ポンプ156によって圧力2.3Torrに維持されることができる。カーテンチャンバ130内のカーテンガスは修飾剤を含み得るため、ドリフトガス116もまた、修飾剤を含み得る。例示的な実施形態では、カーテンガス/ドリフトガスは、アセトンを用いて修飾された純CO
2であることができる。
【0036】
当業者によって理解されるように、質量スペクトロメータ150は、加えて、真空チャンバ152の下流にマスアナライザ要素150aを含むことができる。イオンは、真空チャンバ152を通して移送されることができ、1つまたはそれよりも多くのマスアナライザ要素150aを含む1つまたはそれよりも多くの差動的にポンプ作用を与えられるさらなる真空段階を通して移送されてもよい。例えば、一実施形態では、三連四重極質量スペクトロメータは、圧力が約2.3Torrに維持される第1の段階、圧力が約6mTorrに維持される第2の段階、および圧力が約10
−5Torrに維持される第3の段階を含む3つの差動的にポンプ作用を与えられる真空段階を備えてもよい。第3の真空段階は、検出器と、2つの四重極マスアナライザとを含むことができ、その2つの四重極マスアナライザは、それらの間に位置する衝突セルを有する。システムに多数の他のイオン光学要素が存在してもよいことは、当業者には明白である。単一の四重極、イオントラップ(3Dまたは2D)、ハイブリッドアナライザ(四重極時間飛行、四重極線形イオントラップ、四重極オービトラップ)、オービトラップまたは飛行時間等の他のタイプのマスアナライザもまた、使用され得る。
【0037】
動作において、目的の酸性分析物を含むか、または含むことが疑われる試料(例えば、血液、血清、尿、唾液等)は、微分型移動度スペクトロメータ110内への導入のために、当技術分野において公知の種々の方法に従って調製されることができる。イオン102は、カーテンチャンバ130の入口150の隣で生成され、次いで、微分型移動度スペクトロメータ110を通して移送されることにより、干渉種からの目的の酸性分析物のイオンの分離をもたらすことができる。種々の局面によると、微分型移動度スペクトロメータ110は、種々のイオンを逐次的に通過させるように走査されるCVを用いて、固定SVで動作させられることができる。代替として、印加されるCVは、印加される条件下における既知の移動度に基づいた例えばルックアップテーブルに基づいて、目的の酸性イオンを優先的に通過させるように選択されることができる。微分型移動度スペクトロメータによって伝送されるイオンは、次いで、さらなる分析または検出のために、下流マスアナライザ要素150、150aに送られることができる。
【0038】
当業者によって理解されるように、微分型移動度スペクトロメータ110は、本出願人の教示に従って改変された種々の公知のシステムにおいて利用されることができる。例えば、次に
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態の局面に従い、微分型移動度スペクトロメータシステム200が、概略図に図示される。明確にするために、
図1のシステム200の要素に類似する
図2のシステム200の要素は、100が加算された
図1における同一の参照番号を使用して指定される。簡潔にするために、
図1の説明は、
図2に関して繰り返されない。
【0039】
示されるように、
図2の微分型移動度スペクトロメータシステム200は、
図1のシステム100の一部に類似するが、
図1のマススペクトロメータ150、150aおよび真空チャンバ要素152を欠いている。むしろ、微分型移動度スペクトロメータ210は、任意の数の異なる質量スペクトロメータ要素の上流に設置されることができるか、または単に、微分型移動度スペクトロメータ210を通してイオン202およびドリフトガス216を引き込むために効果的な減圧領域の上流に設置されてもよい。代替として、微分型移動度スペクトロメータ210の出口220に配置される検出器250(例えば、ファラデーカップまたは他のイオン電流測定デバイス)は、微分型移動度スペクトロメータ210によって伝送されたイオンを検出するために効果的であることができる。
【0040】
微分型移動度スペクトロメータ210は、カーテンチャンバ230内に含まれる。カーテンチャンバ230は、
図1に関して上記で説明されているものと同様の様式で、カーテンガス供給部234からのカーテンガスを供給されることができ、そのカーテンガスは、修飾剤供給部138によって修飾されている。
【実施例】
【0041】
本出願人の教示は、本明細書の教示の種々の局面に従い、微分型移動度スペクトロメトリを使用して試料中に存在する種々の生物学的酸の分離を実証する下記の実施例および
図3〜7に提示されているデータの参照によって、よりいっそう十分に理解され得る。本出願人の教示の他の実施形態は、本明細書の検討および本明細書に開示されている本教示の実践から、当業者に明白となる。これらの実施例は、例示に過ぎないものと見なされることが意図される。
【0042】
上記で説明されているように、MMAおよびSAは、血液等の生物学的試料中に存在する同重体ジカルボン酸である。MMAはビタミンB
12欠乏症の既知のマーカーであるが、質量分光技法は、臨床診断アッセイにおいて概して回避されるコストおよび/または時間がかかる試料調製がない場合、しばしば、SA干渉に起因して、その特定的定量化に関する難点を有する。次に
図3〜7を参照すると、データが、DMSを使用してMMAをSAから分離する結果を描写する。データは、
図2に描写されるシステムを参照して論じられるように、下流操作なしで微分型移動度スペクトロメータによって伝送されるMMAイオンおよびSAイオンの強度を描写するが、イオン移動度スペクトロメータが、代替として、質量スペクトロメータのフロントエンドに位置し、伝送されたイオンのさらなる分析を可能にすることができることを、当業者は理解する。
【0043】
次に
図3を特定して参照すると、このプロットは、x−軸およびy−軸によってそれぞれ示されている種々のCVおよびSVで動作させられた微分型移動度スペクトロメータによって伝送されるMMAイオンの強度を描写し(各泡のサイズは、検出されたイオンの絶対強度を反映する)、その微分型移動度スペクトロメータは、微分型移動度セルにおける滞留時間を増加させるために、ガス流3.3L/分で動作させられるカーテンガスとして純N
2および純CO
2を使用し、かつ0.3L/分(10psi)で動作させられるN
2スロットルガス(DMR)を使用する。修飾剤は、使用されなかった。微分型移動度スペクトロメータは、CO
2ガスのための較正されたフローコントローラを介して手動制御を提供するように改変されたSelexION
TMであった。イオンを、AB Sciexが市販しているQTRAP(登録商標)5500システムを用いて検出した。
【0044】
図3に示されるように、カーテンガスとして純N
2を用いる場合、MMAイオンは、その移動度の初期増加(すなわち、CVの増幅振幅)によって示されるようにb−タイプイオンとして挙動し、その後、電場強度が増加するにつれて、後続のその移動度の減少(すなわち、上側「尾状物」)が続く。さらに、MMAイオンは、高SVでは、泡のサイズの減少によって示されるように、有意な強度損失を呈する。しかしながら、カーテンガスとして純CO
2を用いる場合、MMAイオンは、高SVでは、移動度の増加および強度の増加の両方を呈する。
【0045】
次に
図4を参照すると、このプロットは、修飾剤としてカーテンガスに添加したイソプロピルアルコール(IPA、1.5%)を除き、
図3のものと類似する条件で動作させる微分型移動度スペクトロメータの出口で記録したMMAイオンの強度を描写する。
図4に示すように、カーテンガスおよび修飾剤として純粋なN
2+IPAを用いる場合、MMAイオンは、電場強度の増加に伴うそれらの移動度の増加によって示されるように、a−タイプイオンとして挙動する。それにもかかわらず、MMAイオンは、依然として、高SVでは有意な強度損失を呈する。しかしながら、カーテンガスおよび修飾剤として純粋なCO
2+IPAを用いる場合、MMAイオンは、高SVでは移動度の増加および強度の増加の両方を呈する。
【0046】
次に
図5を参照すると、このプロットは、IPAの代わりにカーテンガスに添加したアセトン(1.5%)を除き、
図4のものと類似の条件で動作させる微分型移動度スペクトロメータの出口において記録したMMAイオンの強度を描写する。
図5に示すように、カーテンガスおよび修飾剤として純粋なN
2+アセトンを用いる場合、MMAイオンは、電場強度の増加に伴うそれらの移動度の増加によって示されるように、a−タイプイオンとして挙動し続ける。しかしながら、MMAイオンは、修飾剤としてIPAを用いたMMAイオンによって示されるものと比較して、高SVにおいてよりいっそう有意な強度損失を呈する。カーテンガスおよび修飾剤として純粋なCO
2+アセトンを用いる場合、MMAイオンは、高SVでは移動度の増加および強度の増加の両方を呈する。
【0047】
次に
図6を参照すると、このプロットは、
図5のものに類似する条件で動作させる微分型移動度スペクトロメータの出口で記録したMMAイオンおよびSAイオンの両方の強度を描写する。すなわち、MMAイオンおよびSAイオンの各々を、カーテンガスとして純CO
2を用いて修飾剤としてアセトン(1.5%)を用いた微分質量スペクトロメータの出口端で検出した。
図6に示すように、MMAイオンおよびSAイオンは両方とも、電場強度の増加に伴うそれらの移動度の増加によって示すように、a−タイプイオンとして挙動した。しかしながら、約2500Vを上回る所与のSVでは、種の各々についてのCVを、区別し得る。例えば、
図6は、3600VのSVにおいて、MMA(−31.3V)とSA(−28.5V)との間の測定されたCVに約10%の分離が存在したことを示す。
【0048】
図7でさらに詳細に示すように、修飾剤としてアセトン(1.5%)を伴って3L/分の率でDMSを通して流れるカーテンガスとしてCO
2を用いて動作させるDMSは、MMAおよびSAを単一の試料から十分に分離することができる。最初に、
図7aを特定して参照すると、このプロットは、CVを3600Vの固定SVで走査するとき、MMA(約250pg/μL)のみをスパイクしたブランク(0.1%ギ酸を含む水:メタノール(50:50(v:v)))の、DMSから伝送して検出したイオンの数を描写する。単一のピークが、CV=−31.0Vにおいて移動度スペクトルに現れる。
【0049】
次に
図7bを参照すると、このプロットは、CVを3600Vの固定SVで走査するとき、SA(約250pg/μL)のみをスパイクしたブランク(0.1%ギ酸を含む水:メタノール(50:50(v:v)))の、DMSから伝送して検出したイオンの数を描写する。単一のピークが、CV=−28.5Vにおいて移動度スペクトルに現れる。
【0050】
次に
図7cを参照すると、このプロットは、CVを3600Vの固定SVで走査するとき、MMA:SA(1:1)(各々、約250pg/μL)をスパイクしたブランク(0.1%ギ酸を含む水:メタノール(50:50(v:v)))の、DMSから伝送して検出したイオンの数を描写する。2つの別個のピークが、
図7aに示すような、MMAのみを含む試料で検出したピークのものに実質的に対応する−31.3VのCVと、
図7bに示すような、SAのみを含む試料で検出したピークのものに実質的に対応する−28.5VのCVとにおいて移動度スペクトルに現れる。MMAおよびSAの伝送に対するCV値の差異は、SAからの干渉なしでMMAの選択的な監視/定量化を可能にするために十分である。
【0051】
驚くことに、これらのデータは、ドリフトガスとしてのCO
2と修飾剤としてのアセトンとの組み合わせが、ジカルボン酸のためのDMSの分離能力を増加させることを実証する。その結果、単一の試料中に存在する酸を、最小限の試料調製を伴って、本明細書の教示に従って、その特定的定量化を可能にするために十分に分解することができる。
【0052】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、編成目的にすぎず、限定とは解釈されない。本出願人の教示が、種々の実施形態と併せて説明されているが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることは、意図されない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるような種々の代替、改変、および均等物を包含する。