特許第6240167号(P6240167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240167
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】切り屑制御構造を備える切削インサート
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/22 20060101AFI20171120BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20171120BHJP
   B23G 5/18 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B23B27/22
   B23B27/14 C
   B23G5/18
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-512192(P2015-512192)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公表番号】特表2015-520035(P2015-520035A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】IL2013050346
(87)【国際公開番号】WO2013171734
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】13/471,671
(32)【優先日】2012年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チスチャコフ,セルゲイ
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−064384(JP,U)
【文献】 特開2009−208216(JP,A)
【文献】 特開2003−220503(JP,A)
【文献】 特開2006−187864(JP,A)
【文献】 米国特許第03947937(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00−27/24,
B23G 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方向および後方向(D、D)を規定する切削部分軸(A)を有する切削部分(24)であって、前記切削部分(24)が、すくい面(28)と逃げ面(30)との交線に形成された切れ刃(26)を含み、前記切れ刃(26)は前方部分(25)を有する、切削部分(24)と、
前記すくい面(28)に配置された切り屑制御構造(22)と、を含む切削インサート(20)であって、
前記切り屑制御構造(22)が、
前記すくい面(28)以下に下方へと延在する、離間して配置された複数の凹部(50、74)と、
前記すくい面(28)から上方へと延在する複数の突起(52、72)と、を含み、
前記複数の凹部(50、74)は、前記切れ刃(26)の前記前方部分から前記後方向(D)に深さが増すパターンに従って形成され、
前記複数の突起(52、72)は、前記切れ刃(26)の前記前方部分から前記後方向(D)に向かうに従って高さが増すパターンに従って形成され、
前記複数の凹部(50、74)が、凹部列(54、56、58、60、84)に配置され、各凹部列(54)が、前記切削部分軸(A)に対して垂直な凹部平面(P)に延在し、
第1の凹部列(56)の各凹部(50、74)が、第1の凹部深さ(DE1)を有し、前記第1の凹部深さは、前記第1の凹部列(56)よりも前記切れ刃(26)から軸方向に遠方にある隣接する第2の凹部列(58)の各凹部(50、74)の第2の凹部深さ(DE2)よりも、浅
前記複数の突起(52)が、突起列(62、66、68、80)として配置され、各突起列(62、66、68、80)は、前記切削部分軸(A)に対して垂直な突起平面(P)に延在し、
各突起列(62、66、68、80)が、隣接して対を形成する凹部列(54)間に配置されている、切削インサート(20)。
【請求項2】
軸方向において前記切れ刃(26)に最も近い前記第1の凹部列(56)が、厳密に1つの凹部(50)を含む、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項3】
前記第1の凹部列(56)以外の各凹部列(58、60、84)が、厳密に2つの凹部(50)を含む、請求項2に記載の切削インサート(20)。
【請求項4】
隣接して対を形成する凹部列(54、56、58、60、84)間における凹部列間の距離(D1、D2)が、前記後方向(D)に向かうに従って増大する、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項5】
第3の凹部列(60)の前記凹部(50)間の距離が、前記第2の凹部列(58)の前記凹部(50)間の距離よりもさらに離間しており、前記第3の凹部列(60)は、前記第2の凹部列(56)よりも前記切れ刃(26)から軸方向に離れており、かつ前記第2の凹部列(56)に隣接している、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項6】
前記切削部分(24)を平面的に眺めたとき、各凹部列(54、56、58、60、84)の前記最も外側の凹部(50)は、前記切削部分軸(A)の少なくとも一方の側において、直線経路(P)に沿って存在し、
前記切削部分(24)を平面的に眺めたとき、前記直線経路(P)および前記切れ刃(26)が平行である、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項7】
前記複数の凹部(50)の各々が実質的に円錐台−球状である、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項8】
前記第2の凹部列(58)が、前記切れ刃(26)の最後尾部分の前方に配置されている、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項9】
1の突起列(66)の各突起(52、72)は、第1の突起高さ(HE1)を有し、前記第1の突起高さは、前記切れ刃(26)から前記第1の突起列(66)よりも軸方向に遠方にある隣接する第2の突起列(68)の各突起(52、72)の第2の突起高さ(HE2)よりも、低い、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項10】
隣接する凹部列(54)のうちの、前記切削部分軸(A)に対して同じ側にある2つの最も外側の凹部(50)間に、少なくとも部分的に、前記複数の突起(52)のうちの1つが配置されている、請求項に記載の切削インサート(20)。
【請求項11】
軸方向において前記切れ刃(26)に最も近い前記第1の突起列(66)が、厳密に1つの突起(52)を含む、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項12】
前記第1の突起列(66)以外の各突起列(68、80)が、厳密に2つの突起(52)を含む、請求項11に記載の切削インサート(20)。
【請求項13】
前記切り屑制御構造(22)が厳密に2つの突起列(62、66、68、80)を含む、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項14】
前記切り屑制御構造(22)が、さらに、前記後方向(D)において最も前方にある突起(72)から軸方向に延在する軸方向稜線部(76)を含む、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項15】
前記切り屑制御構造(22)が、さらに、2番目に前方にある突起列(80)における各最も外側の突起(52)から前記軸方向稜線部(76)の後部までそれぞれ延在する2つの中心凸状稜線部(78)を含む、請求項14に記載の切削インサート(20)。
【請求項16】
前記切り屑制御構造(22)が、さらに、前方向(D)に延在しかつ前記最後尾にある凹部列(84)の前記最も外側の凹部(50)間に配置された細長いノーズ(82)を含む、請求項9に記載の切削インサート(20)。
【請求項17】
前記切り屑制御構造(22)が、さらに、2番目に前方にある突起列(80)における各最も外側の突起(52)と前記細長いノーズ(82)の前方部分との間にそれぞれ延在する、2つの斜め凸状稜線部(86)を含む、請求項16に記載の切削インサート(20)。
【請求項18】
前記最も前方にある突起(72)が、前記最も前方にある凹部(74)の軸方向後方に配置される、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項19】
前記切り屑制御構造(22)がさらに傾斜面(88)を含み、前記傾斜面は、上方に延在し、かつ概して前記前方向(D)に面し、かつ前記最後尾にある凹部列(84)の後方に配置されている、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【請求項20】
さらに、前記切れ刃(26)と前記切り屑制御構造(22)との間で下方に延在する切り屑偏向面(48)を含む、請求項1に記載の切削インサート(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本出願の主題は、切削インサート用の切り屑制御構造に関する。そのような構造は、とりわけ、ねじ切り旋削(thread turning)作業用に構成されたインサートに形成できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002]切削インサートは、金属加工作業から生じる削り屑および破片の流れを制御する、および/またはそれら削り屑および破片の形状およびサイズを制御するための切り屑制御構造を備え得る。
【0003】
[003]そのような切り屑制御構造は、通常、インサートの切れ刃の近くに配置された凹部および/または突起からなる。凹部および/または突起と接触すると、特定の形状の金属切り屑が形成され、それらはその後、そこから排出され得る。
【0004】
[004]様々な切り屑制御構造が米国特許第7,182,555号、米国特許第4,214,845号、米国特許第6,742,971号、米国特許第6,676,339号、米国特許第8,137,035号および中国特許第101870017号に開示されている。
【0005】
[005]ねじ切削作業に関し、切削インサートの切れ刃の形状は、ねじ山自体の所望の尖った形状によって決定される。しかしながら、切れ刃の対応する尖った形状は、旋削作業に最も好都合な形状というわけではなく、切削インサートを損傷させ、かつ使用に不適当とし得る。この問題を克服するための1つの妥協案は、被加工物上を、1回の「通過(pass)」ではなく何回か「通過」させることより、ねじ山の切削深さを所望の深さにすることである。換言すると、切削作業は何度も行われる。所望のねじ山の深さにするまで、「通過」毎に被加工物をより深く切削できる。さらに、複数回の通過は、いくつかの切削方法のうちの1つにおいて実施できる。例えば、通過は、半径方向とし得る。すなわち、工具は、被加工物に対して直角に送り込まれる。あるいは、フランク送り込み(flank infeed)通過を実施でき、それにより、工具は、被加工物にある角度、通常3°〜5°で送り込まれる。実施される切削方法に関わらず、2回以上の通過が通常必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006]本出願の目的は、ねじ切りに特に効果的な、新しい切り屑制御構造を提供することである。
【0007】
[007]本出願の別の目的は、実施される各通過で効果的な、新しい切り屑制御構造を提供することである。換言すると、切り屑制御構造は、異なる切削深さで有効である。
【0008】
[008]本出願のさらに別の目的は、半径方向送り込み切削方法およびフランク送り込み切削方法の双方に効果的な、新しい切り屑制御構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
[009]本出願の第1の態様の主題によれば、
前後方向を規定する切削部分軸を有する切削部分であって、すくい面と逃げ面との間の交点に形成された切れ刃を含む切削部分;および
すくい面に配置された切り屑制御構造
を含む切削インサートであって、
切り屑制御構造が:
すくい面以下に下方へと延在する複数の凹部;および
すくい面から上方へと延在する複数の突起
を含み、
複数の凹部が、切れ刃の前方部分から後方向に向かうに従って深さを増すパターンに従って形成され;および
複数の突起が、切れ刃の前方部分から後方向に向かうに従って高さを増すパターンに従って形成されている、切削インサートが提供される。
【0010】
[0010]本出願の第2の態様の主題によれば、
前後方向を規定する切削部分軸を有し、すくい面と逃げ面との交点に形成された切れ刃を含む切削部分であって、切削部分を平面的に眺めたとき、切れ刃が切削部分軸によって二等分されている、切削部分;および
すくい面に配置された切り屑制御構造
を含む切削インサートであって、
切り屑制御構造が:
すくい面以下に下方へと延在する複数の凹部;および
すくい面から上方へと延在する複数の突起
を含み、
複数の凹部が、切れ刃が二等分される箇所から後方向に向かうに従って深さを増すパターンに従って形成され;および
複数の突起が、切れ刃が二等分される箇所から後方向に向かうに従って高さを増すパターンに従って形成されている、切削インサートが提供される。
【0011】
[0011]切り屑制御構造は、ねじ切削用切削インサートに、特にステンレス鋼の加工に好都合であることが分かった。しかしながら、そのような切り屑制御構造は、例えば、溝削りなどの他のタイプの作業に好都合である可能性を有し得る。
【0012】
[0012]上記は概要であり、および以下説明する特徴は、任意の組み合わせで本出願の主題に適用可能とし、例えば、以下の特徴のいずれかは、切削インサートまたは切り屑制御構造に適用可能とし得ることが理解される。
【0013】
[0013]複数の凹部は、凹部列に配置でき、各凹部列は、切削部分軸に対して垂直な凹部平面に延在し、および第1の凹部列の各凹部は、第1の凹部深さを有し、第1の凹部深さは、切れ刃から第1の凹部列よりも軸方向に遠方にある隣接する第2の凹部列の各凹部の第2の凹部深さよりも、浅い。
【0014】
[0014]軸方向において切れ刃に最も近い第1の凹部列は、厳密に1つの凹部を含み得る。
【0015】
[0015]軸方向において切れ刃に最も近い第1の凹部列以外の各凹部列は、厳密に2つの凹部を含み得る。
【0016】
[0016]切り屑制御構造は、厳密に3つの凹部列を含み得る。
【0017】
[0017]隣接する対の凹部列間における凹部列間の距離は、後方向に向かうに従って大きくなり得る。
【0018】
[0018]第3の凹部列内の凹部は、第2の凹部列内の凹部よりも、互いにさらに離間し、第3の凹部列は、切れ刃から第2の凹部列よりも軸方向に離れ、かつそれに隣接し得る。
【0019】
[0019]切削部分軸の少なくとも一方の側における、各凹部列内の最も外側の凹部は、切削部分を平面的に眺めたとき、直線経路に沿って存在し得る。
【0020】
[0020]直線経路および切れ刃は、切削部分を平面的に眺めたとき、平行とし得る。
【0021】
[0021]複数の凹部の各々は、実質的に円錐台−球状(frusto-spherical)とし得る。
【0022】
[0022]第2の凹部列は、切れ刃の最後尾部分の前方に配置し得る。
【0023】
[0023]切れ刃は、第1および第2の副切れ刃(side cutting edge)を含み、これら副切れ刃は、それらの交点にコーナ切れ刃を有し、第1および第2の切れ刃は、切削部分を平面的に眺めたとき、切削部分軸を横断し得る。
【0024】
[0024]切れ刃は、第1および第2の横方向切れ刃(lateral cutting edge)を含み、これら横方向切れ刃は、第1および第2の副切れ刃からそれぞれ延在し、かつそれらと鈍角の外角を作り、および切削部分を平面的に眺めたとき、切削部分軸に対して実質的に垂直とし得る。
【0025】
[0025]複数の突起は、突起列に配置でき、各突起列は、切削部分軸に対して垂直な突起部平面に延在でき、および第1の突起列の各突起は、第1の突起高さを有し、この第1の突起高さは、切れ刃から第1の突起列よりも軸方向に遠方にある隣接する第2の突起列の各突起の第2の突起高さよりも、低い。
【0026】
[0026]各突起列は、隣接して対を形成する凹部列間に配置され得る。
【0027】
[0027]隣接する凹部列のうちの、切削部分軸の同一側にある2つの最も外側の凹部間に、少なくとも部分的に、複数の突起のうちの1つが挿入配置される。
【0028】
[0028]軸方向において切れ刃に最も近い突起列は、厳密に1つの突起を含み得る。
【0029】
[0029]軸方向において切れ刃に最も近い第1の突起列以外の各突起列は、厳密に2つの突起を含み得る。
【0030】
[0030]切り屑制御構造は、厳密に2つの突起列を含み得る。
【0031】
[0031]切り屑制御構造は、最も前方にある突起から後方向へと軸方向に延在する軸方向稜線部を含み得る。
【0032】
[0032]切り屑制御構造は、2番目に前方にある突起列における各最も外側の突起から軸方向稜線部の後部までそれぞれ延在する2つの中心凸状稜線部を含み得る。
【0033】
[0033]切り屑制御構造は、前方向に延在しかつ最後尾にある凹部列の最も外側の凹部間に配置される細長いノーズを含み得る。
【0034】
[0034]切り屑制御構造は、2番目に前方にある突起列の各最も外側の突起と細長いノーズの前方部分との間にそれぞれ延在する2つの斜め凸状稜線部を含み得る。
【0035】
[0035]最も前方にある突起は、最も前方にある凹部の軸方向後方に配置され得る。
【0036】
[0036]切り屑制御構造は、上方に延在する傾斜面を含んでもよく、この傾斜面は、概して前方向に面し、かつ最後尾にある凹部列の後方に配置される。
【0037】
[0037]切削インサートは、切れ刃と切り屑制御構造との間で下方に延在する切り屑偏向面を含み得る。
【0038】
[0038]切削部分を平面的に眺めたとき、切り屑制御構造は、切削部分軸の周りに対称的に配置され得る。
【0039】
[0039]切削インサートは、切削インサート軸を有し、かつ切削インサートの周辺に延在するインサート周囲面によって接続されたインサートの第1および第2の側面を含み得る。切れ刃は、インサート周囲面に配置でき、かつインサートの第1の側面およびインサートの第2の側面から離間し、かつそれらの間に延在する。
【0040】
[0040]切削インサートは、厳密に5つの切れ刃を含み得る。
【0041】
[0041]切削部分を平面的に眺めたとき、切削部分軸は、切れ刃を二等分し得る。
【0042】
[0042]凹部列は、後方向において突起列と交互に配置し得る。
【0043】
[0043]切れ刃は、切削部分軸の周りで対称とし得る。
【0044】
[0044]軸方向において、切れ刃が二等分される箇所に最も近い第1の凹部列は、厳密に1つの凹部を含み得る。
【0045】
[0045]軸方向において、切れ刃が二等分される箇所に最も近い第1の突起列は、厳密に1つの突起を含み得る。
【0046】
図面の簡単な説明
[0046]本出願をより良く理解するため、および本出願を実際に実施し得る方法を示すために、以下、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】切削インサートの斜視図である。
図2図1の切削インサートの側面図である。
図3図1の切削インサートの平面図である。
図4図1〜3の切削インサートの切削部分の斜視図である。
図5図4の切削インサートの切削部分の平面図である。
図6図4の切削インサートの切削部分の平面図である。
図7図5の線VII−VIIに沿って取った断面図である。
図8図5の線VIII−VIIIに沿って取った断面図である。
図9図8の凹部平面に沿って取った3つの断面図を重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[0047]適切であると考えられる場合、参照符号をいくつかの図面で繰り返し使用し、対応するまたは類似の要素を示し得る。
【0049】
発明の詳細な説明
[0048]以下の記載では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明のために、特定の構造および詳細を十分に詳述して、本出願の主題の十分な理解をもたらす。しかしながら、当業者にはまた、本出願の主題は、本明細書で示した特定の構造および詳細がなくても、実施できることが明白である。
【0050】
[0049]初めに図1〜3に注目すると、切り屑制御構造22を備える切削インサート20が示されている。切削インサート20は切削部分24を含み、この切削部分は、前後方向D、Dを規定する切削部分軸Aを有する。当然のことながら、説明および特許請求の範囲を通して、用語「前方」および「後方」は、図3図5および図6では、概して左および右にそれぞれ向かう切削部分軸Aの方向の相対位置を指す。切削部分24は、すくい面28と逃げ面30との交点に形成された切れ刃26を含む。切れ刃26は、切削部分軸Aの周りで対称とし得る。切削部分軸Aは、切削部分24を平面的に眺めたとき、切れ刃26を二等分し得る。
【0051】
[0050]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切削インサート20は、切削インサート軸Iを有し得る。切削インサート20は、インサートの第1および第2の側面32A、32Bを含んでもよく、これら側面は、切削インサート20の周囲に延在するインサート周囲面34によって接続されている。この非限定的な例では、切削インサート20は、その中央にクランプ孔36が配置されて形成され(切削インサート20の側面図において)、この孔は、インサートの第1および第2の側面32A、32Bに開口し、かつクランプ部材(図示せず)を収容するように構成されることが分かる。インサートをインサートホルダに締結する代替的な方法、例えば掴み具を用いることができ、それゆえ、そのようなインサートにはクランプ孔36がないことがあることが理解される。
【0052】
[0051]図4を参照して説明すると、切れ刃26は、インサート周囲面34上に配置され、かつインサートの第1の側面32Aおよびインサートの第2の側面32Bから離間し、かつそれらの間に延在し得る。切れ刃26は、第1および第2の副切れ刃38、40を含み、それらの交点にコーナ切れ刃42を備え得る。第1および第2の副切れ刃38、40は、切削部分24を平面的に眺めたとき、切削部分軸Aに対して斜めとし得る。切れ刃26は、第1および第2の横方向切れ刃44、46を含むことができ、切削部分24を平面的に眺めたとき、これら横方向切れ刃は、第1および第2の副切れ刃38、40からそれぞれ延在し、かつそれらの間に鈍角の外角を作る。いくつかの実施形態では、第1および第2の横方向切れ刃44、46は、切削部分24を平面的に眺めたとき、切削部分軸Aに対して実質的に垂直である。第1および第2の横方向切れ刃38、40の目的は、山頂切り取りの高さが丸みを帯びたねじ山を設けることである。
【0053】
[0052]ここで図5の切削部分24の平面図を参照して説明すると、切削インサート20のコーナ切れ刃42は、予め決められた曲率半径Rで湾曲し得る。この非限定的な例では、コーナ切れ刃42は、125°のコーナ角θに対する。すなわち、コーナ切れ刃42は、曲率半径Rを有する125°の弧を形成する。別の非限定的な例では、コーナ切れ刃42は、120°のコーナ角θに対する。曲率半径Rを有するコーナ切れ刃42は、条件120°≦θ≦125°を満たすコーナ角θに対することが理解される。換言すると、第1および第2の副切れ刃32A、32Bは、55°以上から60°以下の範囲の角度を作り得る。コーナ切れ刃42および第1および第2の副切れ刃38、40の目的は、所望の尖ったねじ山形状を備えるねじ山を設けることである。具体的には、コーナ切れ刃42の形状は、ねじ山の谷底切り取りの高さの形状を規定する。
【0054】
[0053]切削インサート20は、厳密に5つの切れ刃26A、26B、26C、26D、26Eを含み得る。この非限定的な例では、切削インサート20は、切り屑制御構造22に形成されているそれら5つの切れ刃26A、26B、26C、26D、26Eの各々によって刃先交換式であるが、以下の記載では、切削部分24の切れ刃26のみを説明することで十分である。本出願の主題による切削インサートは、そのような切り屑制御構造22を備える1つ以上の切削部分24を、および切り屑制御構造が全くないかまたは異なる切り屑制御構造が形成されている1つ以上の他の切削部分を含み得ることも理解されたい。詳細に述べるために、例えば、切り屑制御構造22は、インサートが刃先交換式である場合、切削インサート20の任意の数の切削部分、および/またはその少なくとも2つ以上の切削部分に配置形成され得る。
【0055】
[0054]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切り屑偏向面48が、切れ刃26と切り屑制御構造22との間で下方に延在し得る。当然のことながら、説明および特許請求の範囲を通して、用語「上方」および「下方」は、切削部分軸Aに対して垂直な方向における相対位置、図7〜9では概してそれぞれ上方および下方を指す。
【0056】
[0055]ここで図5を参照して説明すると、切り屑制御構造22は、すくい面28に配置される。切り屑制御構造22は、すくい面28以下に下方へと延在する複数の凹部50、74と、すくい面28から上方へと延在する複数の突起52、72とを含む。切り屑制御構造22は、金属加工作業から生じる削り屑および破片の流れおよび/または形状およびサイズを制御するものである。ここで図9を参照して説明すると、この図は、各凹部平面Pに沿って取った3つの断面図を、切削部分軸Aに沿って後方向Dに互いに重ね合わせて見た図を示し、および複数の凹部50、74は、切れ刃26の前方部分25から後方向Dに向かうに従って、深さが大きくなるパターンに従って形成されている。深さは、最も浅い凹部の上に配置された任意の第1の平面P1から下方向Dに測定される。
【0057】
[0056]図6および図8を参照して説明すると、本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、複数の凹部50、74は、凹部列54、56、58、60、84に配置し得る。各凹部列54は、切削部分軸Aに対して垂直な凹部平面Pに延在し得る。図9に戻ると、第1の凹部列56の各凹部50は、第1の凹部深さDE1を有し、この第1の凹部深さは、第1の凹部列56よりも切れ刃26から軸方向に遠方にある隣接する第2の凹部列58の各凹部50の第2の凹部深さDE2よりも、浅いとし得る。すなわちDE1<DE2。同様に、第2の凹部列58の各凹部50の第2の凹部深さDE2は、第3の凹部列60の各凹部50の第3の凹部深さDE3よりも浅く、第3の凹部列60は、第2の凹部列58よりも切れ刃26から軸方向に離れており、かつ第2の凹部列に隣接している。すなわちDE2<DE3
【0058】
[0057]軸方向において切れ刃26に最も近い第1の凹部列56、すなわち軸方向において最も前方にある凹部列は、厳密に1つの凹部50を含み得る。図6に戻ると、軸方向において切れ刃26に最も近い第1の凹部列56は、切削部分軸Aをまたぐ単一の凹部50を有する。第1の凹部列56以外の各凹部列58、60、84は、厳密に2つの凹部50を含み得る。切削部分軸Aに沿った方向では、隣接する対の凹部列54、56、58、60、84の間における凹部列間の距離D1、D2は、図8に示すように、後方向Dに向かうに従って増えて、D2>D1とし得る。切削部分軸Aに対して垂直な方向において、第3の凹部列60の凹部50間の間隔は、第2の凹部列58の凹部50間の間隔よりも、さらに離れているとし得る。
【0059】
[0058]図5および図6から分かるように、切削部分24を平面的に眺めたとき、各凹部列54、56、58、60、84の最も外側の凹部50は、切削部分軸Aの少なくとも一方の側において、直線経路Pに沿って存在し得る。単一の凹部50のみを備える凹部列54は、単一の凹部50が最も外側の凹部50である。当然のことながら、説明および特許請求の範囲を通して、用語「最も外側の」は、それぞれ図5および図6に示すように、切削部分軸Aに対して垂直な方向において、切削部分軸Aから離れる相対位置を指す。直線経路Pおよび切れ刃26は、切削部分24を平面的に眺めたとき、平行とし得る。
【0060】
[0059]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、複数の凹部50の各々は、実質的に円錐台−球状を有する。
【0061】
[0060]図8に戻ると、複数の突起52、72は、切れ刃26の前方部分25から後方向Dに向かうに従って高さが増すパターンに従って形成されている。高さは、最も低い突起の下に配置された任意の第2の平面P2から上方向Dに測定される。
【0062】
[0061]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、複数の突起52は、突起列62、66、68、80として配置され得る。各突起列62、66、68、80は、切削部分軸Aに対して垂直な突起平面Pに延在し得る。第1の突起列66の各突起52は、第1の突起高さHE1を有し、この第1の突起高さは、第1の突起列66よりも切れ刃26から軸方向に遠方にある隣接する第2の突起列68の各突起52の第2の突起高さHE2よりも、低いとし得る。すなわちHE1<HE2。各突起列62、66、68、80は、隣接して対を形成している凹部列54の間に配置され得る。換言すると、凹部列54は、後方向Dにおいて突起列62と交互に配置される。隣接する凹部列54における、切削部分軸Aに対し同じ側の2つの最も外側の凹部50の間に、少なくとも部分的に、複数の突起52のうちの1つが配置され得る。軸方向において切れ刃26に最も近い第1の突起列66、すなわち軸方向に最も前方にある突起列は、厳密に1つの突起52を含み得る。軸方向において切れ刃26に最も近い第1の突起列66以外の各突起列68、80は、厳密に2つの突起52を含み得る。最も前方にある突起72は、最も前方にある凹部74の軸方向後方に配置され得る。
【0063】
[0062]本出願の主題のいくつかの実施形態によれば、切り屑制御構造22は、厳密に3つの凹部列54、56、58、60、84を含み得る。切り屑制御構造22は、厳密に2つの突起列62、66、68、80を含み得る。
【0064】
[0063]ここで図5を参照して説明すると、切り屑制御構造22は、後方向Dにおいて最も前方にある突起72から軸方向に延在する軸方向稜線部76を含み得る。切り屑制御構造22は、2番目に前方にある突起列80における各最も外側の突起52から軸方向稜線部76の後部の方へ延在する2つの中心凸状稜線部78を含み得る。2つの中心凸状稜線部78は、切削部分軸Aに対してほぼ垂直な方向に延在し得る。切り屑制御構造22は細長いノーズ82を含むことができ、細長いノーズは、前方向Dに延在し、かつ最後尾にある凹部列84の最も外側の凹部50間に配置されている。切り屑制御構造22は、2つの斜め凸状稜線部86を含むことができ、これら斜め凸状稜線部は、2番目に前方にある突起列80の最も外側の各突起52と細長いノーズ82の前方部分との間にそれぞれ延在する。切り屑制御構造22は、上方に延在する傾斜面88を含み、この傾斜面は、概して前方向Dに面し、かつ最後尾にある凹部列84の後方に配置され得る。切削部分の平面図では、切り屑制御構造22は、切削部分軸Aの周りに対称的に配置され得る。
【0065】
[0064]本出願の主題の1つの特徴は、切り屑制御構造22がねじ山切削作業に効果的であるということに留意されたい。
【0066】
[0065]本出願の主題の別の特徴は、切り屑制御構造22が異なる切削深さにおいて効果的であるということにさらに留意されたい。
【0067】
[0066]本出願の主題の別の特徴は、切り屑制御構造22は、半径方向送り込みおよびフランク送り込み切削方法の双方に効果的である。
【0068】
[0067]本出願の主題による切り屑制御構造22は、所望の切り屑制御を達成するために自由に要素を追加できることが理解される。換言すると、本出願の主題による切り屑制御構造は、a)すくい面28以下に下方へと延在し、切れ刃26の前方部分25から後方向Dに向かうに従って深さが増すパターンに従って形成されている複数の凹部50、およびb)すくい面28から上方へと延在し、切れ刃26の前方部分25から後方向Dに向かうに従って高さ増すパターンに従って形成されている複数の突起52のみを含み得る。換言すると、切り屑制御構造は、任意の追加的な凹部および/または突起がない可能性がある。
【0069】
[0068]本出願の主題をある程度詳細に説明したが、以下の特許請求の範囲にあるような本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、様々な代替例および修正例をなし得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9