特許第6240169号(P6240169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240169血管内変換器配送装置及び血管腔内において狭窄病変に関する情報を収集する装置の作動方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240169
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】血管内変換器配送装置及び血管腔内において狭窄病変に関する情報を収集する装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A61B8/12
【請求項の数】43
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-512718(P2015-512718)
(86)(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公表番号】特表2015-520641(P2015-520641A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】US2013040765
(87)【国際公開番号】WO2013173224
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年4月20日
(31)【優先権主張番号】61/646,561
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/834,031
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508286762
【氏名又は名称】アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エフ.ヒルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ケンドール アール.ウォーターズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シー.ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ゼレンカ
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−518638(JP,A)
【文献】 特開平04−329938(JP,A)
【文献】 特開2008−136855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に使用するための血管内変換器配送装置であって、
(a)医療用ガイドワイヤを滑動式に受け入れるためのガイド用管腔を有する遠位スリーブと、
(b)前記遠位スリーブに結合された近位部と、
(c)前記遠位スリーブ又は前記近位部に結合された第1の圧力変換器であって、前記第1の圧力変換器が、第1の血管内流体圧力測定値を取得し且つ前記第1の血管内流体圧力測定値を表す第1の圧力信号を発生するようにされている、第1の圧力変換器と、
(d)前記第1の圧力変換器と通信する第1の圧力変換器導線であって、前記第1の圧力変換器導線が、前記近位部を通して患者の体外へ前記第1の圧力信号を通信するようにされている、第1の圧力変換器導線と、
(e)前記遠位スリーブ又は前記近位部に結合された第1の超音波変換器であって、前記第1の超音波変換器が、第1の血管内物理的寸法測定値を取得し且つ前記第1の血管内物理的寸法測定値を表す第1の超音波信号を発生するようにされている、第1の超音波変換器と、
(f)前記遠位スリーブ又は前記近位部に結合された第2の超音波変換器であって、前記第2の超音波変換器が、第2の血管内物理的寸法測定値を取得し且つ前記第2の血管内物理的寸法測定値を表す第2の超音波信号を発生するようにされている、第2の超音波変換器と、
(g)前記遠位スリーブ又は前記近位部に結合された第3の超音波変換器であって、前記第3の超音波変換器が、第3の血管内物理的寸法測定値を取得し且つ前記第3の血管内物理的寸法測定値を表す第3の超音波信号を発生するようにされている、第3の超音波変換器と、
(h)前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器、と通信する1本又はそれ以上の変換器導線であって、前記1本又はそれ以上の超音波変換器導線が、前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器の各々に対して刺激信号を与えるように構成されており、前記1本又はそれ以上の超音波変換器導線が、前記近位部を通して前記患者の体外へ前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を通信するようにされている、1本又はそれ以上の超音波変換器導線と、
を備え、
前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器が、前記遠位スリーブ又は前記近位部の円周の周りに位置付けられ、且つ、
前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号が、各々相互に異なる周波数を備え、
前記第1の超音波変換器が、第1の周波数の刺激信号に応答して第1の血管内物理的寸法測定値を取得するようにされ、
前記第2の超音波変換器が、第2の周波数の刺激信号に応答して第2の血管内物理的寸法測定値を取得するようにされ、
前記第3の超音波変換器が、第3の周波数の刺激信号に応答して第3の血管内物理的寸法測定値を取得するようにされている、
血管内変換器配送装置。
【請求項2】
前記第1の圧力変換器が光ファイバ圧力変換器である、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項3】
更に、
(i)前記遠位スリーブ又は前記近位部に結合された第2の圧力変換器であって、前記第2の圧力変換器が、第2の血管内流体圧力測定値を取得し且つ前記第2の血管内流体圧力測定値を表す第2の圧力信号を発生するようにされている、第2の圧力変換器、
を備え、
前記第2の圧力変換器が、狭窄病変に相当する距離だけ、前記第1の圧力変換器から軸方向に離間されている、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項4】
前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器が、前記遠位スリーブ又は前記近位部の円周に広がるように位置付けられる、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項5】
前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器が、前記遠位スリーブ又は前記近位部の円周の周りで相互から約120度離間する、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項6】
前記1本又はそれ以上の超音波変換器導線が、前記近位部を通して前記患者の体外へ、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を通信するようにされた、単一の超音波変換器導線を含む、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項7】
更に、前記1本又はそれ以上の変換器導線が、
(i)前記第1の超音波変換器と通信する第1の超音波変換器導線であって、前記第1の超音波変換器導線が、前記第1の超音波変換器に対して前記第1の周波数の刺激信号を与えるようにされ、前記近位部を通して前記患者の体外へ前記第1の超音波信号を通信するようにされた、第1の超音波変換器導線と、
(ii)前記第2の超音波変換器と通信する第2の超音波変換器導線であって、前記第2の超音波変換器導線が、前記第2の超音波変換器に対して前記第2の周波数の刺激信号を与えるようにされ、前記近位部を通して前記患者の体外へ前記第2の超音波信号を通信するようにされた、第2の超音波変換器導線と、
(iii)前記第3の超音波変換器と通信する第3の超音波変換器導線であって、前記第3の超音波変換器導線が、前記第3の超音波変換器に対して前記第3の周波数の刺激信号を与えるようにされ、前記近位部を通して前記患者の体外へ前記第3の超音波信号を通信するようにされている、第3の超音波変換器導線と、
を備える、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項8】
前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器が、前記遠位スリーブに結合される、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項9】
前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器が、前記第1の圧力変換器の遠位に位置付けられる、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項10】
前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値が、各々、それぞれ前記第1の超音波変換器、前記第2の超音波変換器、及び前記第3の超音波変換器、から血管壁までの半径方向距離を含む、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【請求項11】
血管腔内において狭窄病変に関する情報を収集する装置の作動方法であって、
(a)血管内変換器配送装置を、前記血管腔を通して医療用ガイドワイヤに被せて滑動させ、前記狭窄病変の付近に、第1の圧力変換器、第1の超音波変換器、第2の超音波変換器、及び第3の超音波変換器、を位置付けるステップと、
(b)(i)前記第1の圧力変換器を用いて前記狭窄病変の付近で第1の血管内流体圧力測定値を取得し、同時期に(ii)前記第1の超音波変換器を用いて前記狭窄病変の付近で第1の血管内物理的寸法測定値を、第1の周波数の刺激信号に応答して取得し、前記第2の超音波変換器を用いて前記狭窄病変の付近で第2の血管内物理的寸法測定値を、第2の周波数の刺激信号に応答して取得し、前記第3の超音波変換器を用いて前記狭窄病変の付近で第3の血管内物理的寸法測定値を、第3の周波数の刺激信号に応答して取得するステップと、
を含む、作動方法。
【請求項12】
前記第1の血管内流体圧力測定値が前記狭窄病変の遠位の場所から取得される、請求項11に記載の作動方法。
【請求項13】
更に、
(c)前記第1の血管内流体圧力測定値を使用して前記狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップ、
を含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項14】
前記狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップがFFRを計算するステップを含む、請求項13に記載の作動方法。
【請求項15】
(i)前記血管内変換器配送装置を、前記医療用ガイドワイヤに被せて滑動させるステップが、更に前記狭窄病変の付近に第2の圧力変換器を位置付け、且つ(ii)前記方法が、更に前記第1の血管内流体圧力測定値、前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記前記第3の血管内物理的寸法測定値、と同時期に、前記第2の圧力変換器を用いて前記狭窄病変の付近で第2の血管内流体圧力測定値、を取得するステップを含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項16】
前記第1の血管内流体圧力測定値が、前記狭窄病変の遠位にある第1の場所から取得され、且つ前記第2の血管内流体圧力測定値が、前記狭窄病変の近位にある第2の場所から取得され、
前記方法が、更に
(c)前記第1の血管内流体圧力測定値及び前記第2の血管内流体圧力測定値を使用して、前記狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップ、
を含む、請求項15に記載の作動方法。
【請求項17】
更に、
(c)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、を使用して、前記狭窄病変に隣接する前記血管腔の直径又は断面プロファイルを計算するステップ、
を含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項18】
更に、
(d)前記第1の血管内流体圧力測定値を使用して、前記狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップ、
を含む、請求項16に記載の作動方法。
【請求項19】
前記方法が、更に相互から約120度において、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を取得するステップを含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項20】
更に、
(c)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、を使用して、前記狭窄病変に隣接する前記血管腔の直径又は断面プロファイルを計算するステップ、
を含む、請求項19に記載の作動方法。
【請求項21】
更に、
c)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、と同時期に、前記狭窄病変の付近で、第4の血管内物理的寸法測定値、を取得するステップであり、前記第4の血管内物理的寸法測定値が、前記血管腔において、前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、が取得される第1の場所から軸方向に離間している、第2の場所から取得される、ステップ、
を含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項22】
更に、
(d)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、を使用して、前記第1の場所における前記血管腔の第1の直径又は第1の断面プロファイルを計算するステップと、
(e)前記第4の血管内物理的寸法測定値を使用して、前記第2の場所における前記血管腔の第2の直径又は第2の断面プロファイルを計算するステップと、
を含む、請求項21に記載の作動方法。
【請求項23】
更に、
(c)(i)前記第1の血管内流体圧力測定値に基づく前記狭窄病変を横切る圧力低下に関する情報、及び(ii)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、に基づく、前記狭窄病変に隣接する前記血管腔の直径又は断面プロファイルに関する情報、を表示するステップ、
を含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項24】
前記表示が注入装置制御パネルにおける表示である、請求項23に記載の作動方法。
【請求項25】
前記第1の血管内流体圧力測定値、前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値が、相互に1分以内に取得される、請求項11に記載の作動方法。
【請求項26】
更に、
(c)前記血管内変換器配送装置を、前記医療用ガイドワイヤを引き戻すことなく前記医療用ガイドワイヤに被せて引き戻すステップと、
(d)同じ前記医療用ガイドワイヤを用いて、介入治療装置を前記狭窄病変に展開するステップと、
を含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項27】
流体注入装置であって、
(a)前記流体注入装置と患者との間に流体流通を与えるようにされた流体チューブと、
(b)(i)前記患者の狭窄病変の遠位の血管腔において取得された第1の血管内流体圧力測定値を表す第1の圧力信号と、(ii)前記狭窄病変の付近の前記血管腔において第1の周波数の刺激信号に応答して取得された第1の血管内物理的寸法測定値を表す第1の超音波信号と、(iii)前記狭窄病変の付近で第2の周波数の刺激信号に応答して取得された第2の血管内物理的寸法測定値を表す第2の超音波信号と、(iv)前記狭窄病変の付近で第3の周波数の刺激信号に応答して取得された第3の血管内物理的寸法測定値を表す第3の超音波信号と、を同時期に受信し、
前記第1の血管内流体圧力測定値に基づいて前記狭窄病変を横切る圧力勾配を計算するようにされている、プロセッサと、
(c)(i)前記プロセッサから(A)前記狭窄病変を横切る前記圧力勾配、及び(B)前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内寸法測定値、に基づく超音波情報の第1のセット、を受け取り、(ii)前記狭窄病変を横切る前記圧力勾配及び前記超音波情報の第1のセットを表示する、ようにされている、制御パネルと、
を備え、
前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、の取得が、前記血管腔の血管壁の円周に広がる、流体注入装置。
【請求項28】
前記第1の血管内流体圧力測定値が前記狭窄病変の遠位の場所から取得される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記狭窄病変を横切る前記圧力勾配がFFR測定値を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記プロセッサが、更に、前記第1の圧力信号及び前記第1の超音波信号と同時期に、(v)前記狭窄病変の近位で取得された第2の血管内流体圧力測定値を表す第2の圧力信号、を受信するようにされている、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記プロセッサが、更に、前記第1の血管内流体圧力測定値及び前記第2の血管内流体圧力測定値に基づき前記狭窄病変を横切る前記圧力勾配を計算するようにされている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記超音波情報の第1のセットが前記狭窄病変に隣接する前記血管腔の直径又は断面プロファイルに関する情報を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号が、相互に約120度において取得される、請求項27に記載の装置。
【請求項34】
前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値が、各々、前記狭窄病変の付近の前記血管腔において第1の場所から取得される、請求項27に記載の装置。
【請求項35】
前記超音波情報の第1のセットが、前記狭窄病変に隣接する前記血管腔の直径又は断面プロファイルに関する情報を含む、請求項27の装置。
【請求項36】
前記プロセッサが、更に、前記第1の圧力信号及び前記第1の超音波信号と同時期に、(v)前記狭窄病変の付近で取得された第4の血管内物理的寸法測定値を表す第4の超音波信号、を受信するようにされ、
前記第4の血管内物理的寸法測定値が、前記血管腔において、前記第1の血管内物理的寸法測定値、前記第2の血管内物理的寸法測定値、及び前記第3の血管内物理的寸法測定値、が取得される第1の場所から軸方向に離間する、第2の場所から取得され、且つ、
前記制御パネルが、更に、(i)前記プロセッサから(C)前記第4の血管内物理的寸法測定値に基づく超音波情報の第2のセット、を受け取り、且つ(ii)前記超音波情報の第2のセットを表示する、ようにされている、
請求項27に記載の装置。
【請求項37】
前記超音波情報の第1のセットが前記第1の場所における前記血管腔の第1の直径又は第1の断面プロファイルに関する情報を含み、前記超音波情報の第4のセットが前記第2の場所における前記血管腔の第2の直径又は第2の断面プロファイルに関する情報を含む、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記プロセッサが、前記第1の圧力信号、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を相互に1分以内に受信するようにされている、請求項27に記載の装置。
【請求項39】
前記方法が、更に、相互に異なる公称搬送周波数で、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を取得するステップを含む、請求項11に記載の作動方法。
【請求項40】
前記方法が、更に、(c)それぞれの超音波信号の異なる公称搬送周波数に基づいて、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を相互から区別するステップ、を含む、請求項39に記載の作動方法。
【請求項41】
前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号が、各々、相互に異なる公称搬送周波数を持つ、請求項27に記載の装置。
【請求項42】
前記制御パネルが、更に、(iii)それぞれの超音波信号の異なる公称搬送周波数に基づいて、前記第1の超音波信号、前記第2の超音波信号、及び前記第3の超音波信号、を相互から区別するようにされている、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記刺激信号が、第1の時刻では前記第1の周波数で与えられ、第2の時刻では前記第2の周波数で与えられ、第3の時刻では前記第3の周波数で与えられている、請求項1に記載の血管内変換器配送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の血管系における狭窄病変の重症度を評価するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
狭窄病変の重症度の評価は、治療の選択肢を推奨する際の重要な部分である。いくつかの事例において、狭窄病変を抑制せずに成長を許してしまうと、血流の閉塞を引き起こす可能性があり、血流の閉塞は非常に重症度な多様な問題の原因になり得る。ステント、血管形成など、一般的な治療の選択肢が、狭窄病変の成長を抑制又は後退させるためにしばしば推奨される。しかしながら、この治療選択肢は、それ自体のよくない影響を生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、狭窄病変の特徴が、血管を通る血流に小さい影響しか与えないようなものである場合、時間をかけて狭窄病変を監視し、投薬治療以外の介入処置を講じないことを推奨することができる。血管造影は、狭窄病変の重症度を評価する一般的方法であるが、多くの場合、狭窄病変をより十分に特徴付けるために、情報を収集する更なる手段が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、狭窄病変を横切る圧力低下及び狭窄病変に隣接する血管腔のサイズの両方を、狭窄病変部位に血管内配送されたそれぞれのセンサを用いて測定することによって、狭窄病変をより十分に特徴付けられるようにする。好ましい実施形態において、狭窄病変に隣接する血管腔のサイズ(例えば内径、断面プロファイルなど)は、1つ又はそれ以上の血管内超音波変換器を介して測定できる。好ましい実施形態において、血管内超音波変換器は、圧力変換器を運ぶのと同じ配送装置を用いて狭窄病変部位へ配送することができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、患者に使用するための血管内変換器配送装置が提供される。血管内変換器配送装置は、医療用ガイドワイヤを滑動可能に受け入れるためのガイドワイヤ用管腔を持つことができる遠位スリーブを含むことができる。血管内変換器配送装置は、遠位スリーブに結合できる近位部を含むことができる。血管内変換器配送装置は、遠位スリーブ及び/又は近位部に結合できる第1の圧力変換器を含むことができる。第1の圧力変換器は、第1の血管内流体圧力測定値を取得して、第1の血管内流体圧力測定値を表す第1の圧力信号を発生できる。血管内変換器配送装置は、第1の圧力変換器と通信する第1の圧力変換器導線を含むことができる。第1の圧力変換器導線は、近位部を通して患者の体外へ第1の圧力信号を通信できる。血管内変換器配送装置は、遠位スリーブ及び/又は近位部に結合できる第1の超音波変換器を含むことができる。第1の超音波変換器は、第1の血管内物理的寸法測定値を取得して、第一血管内物理的寸法測定値を表す第1の超音波信号を発生できる。血管内変換器配送装置は、第1の超音波変換器と通信する第1の超音波変換器導線を含むことができる。第1の超音波変換器導線は、近位部を通して患者の体外へ第1の超音波信号を通信できる。
【0006】
血管内変換器配送装置のいくつかの実施形態は、下記の特徴の1つ又はそれ以上を持つことができる。いくつかの実施形態において、第1の圧力変換器は、光ファイバ圧力変換器である。いくつかの実施形態は、遠位スリーブ及び/又は近位部に結合された第2の圧力変換器を含むことができる。この種のいくつかの実施形態において、第2の圧力変換器は、第2の血管内流体圧力測定値を取得して、第2の流体圧力測定値を表す第2の圧力信号を発生できる。この種のいくつかの実施形態において、第2の圧力変換器は、血管腔において狭窄病変に相当する距離だけ、第1の圧力変換器から離間することができる。いくつかの実施形態において、第1の圧力変換器は、遠位スリーブに結合できる。いくつかの実施形態において、第1の超音波変換器は、超音波変換器リングを含むことができる。いくつかの実施形態において、第1の超音波変換器は、遠位スリーブに結合できる。いくつかの実施形態において、第1の超音波変換器は、第1の圧力変換器の遠位に位置付けできる。いくつかの実施形態において、第1の血管内物理的寸法測定値は、超音波変換器から血管壁までの半径方向距離を含むことができる。
【0007】
血管内変換器配送装置のいくつかの実施形態は、第2の超音波変換器及び/又は第3の超音波変換器を含むことができ、両方とも遠位スリーブ及び/又は近位部に結合される。いくつかの実施形態において、第2の超音波変換器は、第2の血管内物理的寸法測定値を取得して、第2の血管内物理的寸法測定値を表す第2の超音波信号を発生できる。この種の実施形態において、第3の超音波変換器は、第3の血管内物理的寸法測定値を取得して、第3の血管内物理的寸法測定値を表す第3の超音波信号を発生できる。この種の実施形態において、第1の超音波変換器、第2の超音波変換器、及び第3の超音波変換器は、遠位スリーブ及び/又は近位の部の円周の周りで相互から約120度離間できる。いくつかのこの種の実施形態において、第1の超音波変換器導線は、第2の超音波変換器及び第3の超音波変換器と通信できる。いくつかのこの種の実施形態において、第1の超音波変換器導線は、近位部を通して患者の体外へ第2の超音波信号及び第3の超音波信号を通信できる。いくつかの実施形態において、血管内変換器配送装置は、第2の超音波変換器と通信する第2の超音波変換器導線を含むことができる。いくつかのこの種の実施形態において、第2の超音波変換器導線は、近位部を通して患者の体外へ第2の超音波信号を通信できる。いくつかの実施形態において、血管内変換器配送装置は、第3の超音波変換器と通信する第3の超音波変換器導線を含むことができる。いくつかのこの種の実施形態において、第3の超音波変換器導線は、近位部を通して患者の体外へ第3の超音波信号を通信できる。
【0008】
いくつかの実施形態において、狭窄病変に関する情報を収集する方法が提供される。いくつかの実施形態は、血管内変換器配送装置を、医療用ガイドワイヤに被せて滑動させて、狭窄病変の付近に第1の圧力変換器及び第1の超音波変換器を位置付けるステップを含む。いくつかの実施形態は、第1の圧力変換器を用いて狭窄病変の付近で第1の血管内流体圧力測定値を取得するステップを含む。いくつかの実施形態は、第1の超音波変換器を用いて狭窄病変の付近で第1の血管内物理的寸法測定値を取得するステップを含む。いくつかの好ましい実施形態は、第1の血管内流体圧力測定値及び第1の血管内物理的寸法測定値を同時期に(例えば、(a)狭窄病変の付近に圧力変換器を位置付け、(b)血管内流体圧力測定値を取得し(一般に充血状態で)、(c)患者の体内から圧力変換器を引き戻し、(d)患者の体内へ超音波変換器を挿入し、(e)狭窄病変の付近に超音波変換器を位置付け、(f)血管内物理的寸法測定値を取得する、のを妨げるのに十分に時間的に接近して)取得するステップを含む。いくつかの実施形態において、第1の血管内流体圧力測定値及び第1の血管内物理的寸法測定値は、相互に例えば2分、1分半、1分、50秒、40秒、30秒、20秒、又は10秒以内に取得できる。
【0009】
狭窄病変に関する情報を収集する方法のいくつかの実施形態は、下記の特徴の1つ又はそれ以上を持つことができる。いくつかの実施形態において、第1の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の遠位の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内流体圧力測定値を使用して狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップを含むことができる。いくつかのこの種の実施形態において、狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップは、FFR又はiFRを計算するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内物理的寸法測定値を使用して狭窄病変に隣接する血管腔の直径又は断面プロファイルを計算するステップ及び/又は第1の血管内流体圧力測定値を使用して狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に第1の超音波変換器を用いて狭窄病変の付近で第2の血管内物理的寸法測定値を取得する(例えば、同時期に)ステップを含むことができる。いくつかのこの種の実施形態において、第2の血管内物理的寸法測定値は、血管腔において第1の血管内物理的寸法測定値が取得される第1の場所から軸方向に離間する第2の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内物理的寸法測定値を使用して第1の場所における血管腔の第1の直径又は第1の断面プロファイルを計算するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第2の血管内物理的寸法測定値を使用して第2の場所における血管腔の第2の直径又は第2の断面プロファイルを計算するステップを含むことができる。いくつかのこの種の実施形態において、狭窄病変に隣接する血管腔の直径及び/又は断面積の、軸方向のプロファイルを取得できる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内流体圧力測定値に基づく狭窄病変を横切る圧力低下に関する情報を表示するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内物理的寸法測定値に基づく狭窄病変に隣接する血管腔の直径又は断面プロファイルに関する情報を表示するステップを含むことができる。いくつかの好ましい実施形態において、表示は注入装置制御パネル上の表示とすることができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、医療用ガイドワイヤを引き戻すことなく医療用ガイドワイヤに被せて血管内変換器配送装置を引き戻すステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、同じ医療用ガイドワイヤを用いて介入治療装置を狭窄病変に展開するステップを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、1つ又はそれ以上の更なる変換器を狭窄病変の付近に位置付けできる。いくつかの実施形態において、血管内変換器配送装置を、医療用ガイドワイヤに被せて滑動させるステップは、更に、狭窄病変の付近に第2の圧力変換器を位置付けることができる。いくつかのこの種の実施形態において、方法は、更に、第2の圧力変換器を用いて狭窄病変の付近で第2の血管内流体圧力測定値を取得するステップを含むことができる。いくつかの好ましい実施形態において、第2の血管内流体圧力測定値は、第1の血管内流体圧力測定値及び第1の血管内物理的寸法測定値と同時期に取得できる。いくつかの実施形態において、第1の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の遠位にある第1の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、第2の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の近位にある第2の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内流体圧力測定値及び第2の血管内流体圧力測定値を使用して狭窄病変を横切る圧力低下を評価するステップを含むことができる。いくつかの実施形態において、血管内変換器配送装置を、医療用ガイドワイヤに被せて滑動させるステップは、更に、狭窄病変の付近に第2の超音波変換器及び第3の超音波変換器を位置付けることができる。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第2の超音波変換器を用いて狭窄病変の付近で第2の血管内物理的寸法測定値を、また第3の超音波変換器を用いて狭窄病変の付近で第3の血管内物理的寸法測定値を取得するステップを含むことができる。いくつかの好ましい実施形態において、第2の血管内物理的寸法測定値及び第3の血管内物理的寸法測定値は、相互に、及び第1の血管内流体圧力測定値及び第1の血管内物理的寸法測定値と同時期に、取得される。いくつかの実施形態において、方法は、更に、第1の血管内物理的寸法測定値、第2の血管内物理的寸法測定値、及び第3の血管内物理的寸法測定値、を使用して狭窄病変に近接する血管腔の直径又は断面プロファイルを計算するステップを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、流体注入装置が提供される。流体注入装置は、流体注入装置と患者との間に流動的接続を与える流体チューブを含むことができる。流体注入装置は、患者の狭窄病変の付近で取得された第1の血管内流体圧力測定値を表す第1の圧力信号を受信するプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、狭窄病変の付近で取得された第1の血管内物理的寸法測定値を表す第1の超音波信号を受信できる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、同時期に(例えば相互に2分、1分半、1分、50秒、40秒、30秒、20秒、又は10秒以内)第1の圧力信号及び第1の超音波信号を受信できる。いくつかの流体注入装置は、制御パネルを含むことができる。制御パネルは、第1の血管内流体圧力測定値に基づく圧力情報の第1のセット及び/又は第1の血管内物理的寸法測定値に基づく超音波情報の第1のセットをプロセッサから受け取ることができる。制御パネルは、圧力情報の第1のセット及び超音波情報の第1のセットを表示できる。
【0012】
流体注入装置のいくつかの実施形態は、下記の特徴の1つ又はそれ以上を持つことができる。いくつかの実施形態において、第1の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の遠位の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、圧力情報の第1のセットは、狭窄病変を横切る圧力低下に関する情報を含むことができる。いくつかの事例にいて、圧力情報の第1のセットは、FFR又はiFRを含むことができる。いくつかの実施形態において、超音波情報の第1のセットは、狭窄病変の直径又は断面プロファイルに関する情報を含むことができ、及び/又は圧力情報の第1のセットは、狭窄病変を横切る圧力低下に関する情報を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、更に、更なる信号を受信できる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、更に狭窄病変の付近で取得された第2の血管内流体圧力測定値を表す第2の圧力信号を受信できる。いくつかの好ましい実施形態において、プロセッサは、第1の圧力信号及び第1の超音波信号と同時期に第2の圧力信号を受信できる。いくつかの実施形態において、圧力上の第1のセットは第1の血管内流体圧力測定値及び第2の血管内流体圧力測定値に基づくことができる。いくつかの実施形態において、第1の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の遠位にある第1の場所から取得でき、第2の血管内流体圧力測定値は、狭窄病変の近位にある第2の場所から取得できる。いくつかのこの種の実施形態において、圧力情報の第1のセットは、狭窄病変を横切る圧力低下に関する情報を含むことができる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、更に狭窄病変の付近で取得された第2の血管内物理的寸法測定値を表す第2の超音波信号を受信できる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、更に、狭窄病変の付近で取得された第3の血管内物理的寸法測定値を表す第3の超音波信号を受信できる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、相互に及び/又は第1の圧力信号及び第1の超音波信号と同時期に第2の超音波信号及び/又は第3の超音波信号を受信できる。いくつかの実施形態において、超音波情報の第1のセットは、第1の血管内物理的寸法測定値、第2の血管内物理的寸法測定値及び/又は第3の血管内物理的寸法測定値に基づくことができる。いくつかの実施形態において、超音波情報の第1のセットは、狭窄病変に隣接する血管腔の直径又は断面プロファイルに関する情報を含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の血管内物理的寸法測定値は、血管腔において第1の血管内物理的寸法測定値が取得される第1の場所から軸方向に離間する第2の場所から取得できる。いくつかの実施形態において、制御パネルは、更に、第2の血管内物理的寸法測定値に基づく超音波情報の第2のセットをプロセッサから受け取ることができる。いくつかのこの種の実施形態において、制御パネルは、超音波情報の第2のセットを表示できる。いくつかの事例において、超音波情報の第1のセットは、第1の場所における血管腔の第1の直径又は第1の断面プロファイルに関する情報を含み、超音波情報の第2のセットは、第2の場所における血管腔の第2の直径又は第2の断面プロファイルに関する情報を含むことができる。
【0014】
1つ又はそれ以上の実施例の詳細を添付図面に示し、下で説明する。他の特徴、目的及び利点は、説明、図面及び請求項から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図3】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図4】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図5】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図6】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図7】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図8】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図9】本発明の実施形態による血管感知装置の斜視図である。
図10A】血液を超音波媒体とする、時間と対比した2つの超音波変換器からの応答信号を説明する波形である。
図10B】血液置換流体を超音波媒体とする、時間と対比した2つの超音波変換器からの応答信号を説明する波形である。
図11A】複数の超音波変換器の場合の、時間と対比した刺激信号の周波数を説明する波形である。
図11B】変動する刺激周波数に対して3つの異なる超音波変換器がどのように反応するかを説明する波形である。
図11C】時間と対比した3つの異なる超音波変換器からの応答信号の大きさを説明する波形である。
図12A】時間と対比した3つの異なる超音波変換器からの応答信号の大きさを説明する波形である。
図12B】本発明の実施形態による血管感知装置と患者の血管の端面図である。
図13】時間と対比した超音波変換器リングからの応答信号の大きさを説明する波形である。
図14】本発明の実施形態に関連して使用される、説明のための超音波変換器リングの概略端面図である。
図15】本発明の実施形態に関連して使用される、説明のための超音波変換器リングの概略端面図である。
図16a】本発明の実施形態に関連して使用される、説明のための超音波変換器リングと遠位シースの概略側面図である。
図16b】本発明の実施形態に関連して使用される、説明のための超音波受信器リングの概略端面図である。
図16c】本発明の実施形態に関連して使用される、説明のための超音波送信器リングの概略端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は代表的なものであり、決して本発明の範囲、応用性又は形態を限定するためのものではない。むしろ、以下の説明は、本発明の代表的実施形態を実施するための実用的例を示す。構造、材料、寸法及び製造プロセスの例は、選択された要素について示されが、他の全ての要素は当業者には既知のものを採用する。当業者、示される例の多くが利用できる適切な対案を持つことが分かるだろう。
【0017】
図1〜8は、血管感知装置10の様々な実施形態を示す。血管壁32は、血管内部を示すために切り取られている。矢印Dは、遠位方向を向き、矢印Dの反対方向は近位方向又は患者の体外へ導く方向である。図1〜8は、血管壁32に形成された狭窄病変36を示す。
【0018】
血管感知装置10の実施形態は、介入処置を講じるべきか否かを判定するために狭窄病変36の少なくとも2つの特徴を明確にできる。血管感知装置10は、血液が狭窄病変36を通って流れるとき狭窄病変36が血圧にどのように影響するかを測定するために使用できる圧力変換器40を含むことができる。更に、血管感知装置10は、特に狭窄病変36に隣接する血管腔の内径(及び/又は非円形プロファイルを持つ病変の場合の断面積/断面プロファイル)及び血管自体の内径を測定できる超音波変換器(例えば、図1、4及び7に示す超音波変換器リング70、又は図2、3、5、6及び8に示す個別超音波変換器71の配列体)を含むことができる。これらの特徴−狭窄病変36を横切る圧力低下及び狭窄病変36に隣接する血管腔の内径−は、介入処置を講じるべきか否かの医療提供者の決定に役立つ貴重な情報を提供できる。いくつかの実施形態において、これらの特徴の一方又は両方は、血管造影によって与えられた情報と組み合わせて、血管形成術が実施すべきか、ステントを留置すべきかなどの医療提供者の判定に役立てることができる。
【0019】
本発明の実施形態に使用できる圧力センサは、様々な形式をとることができる。例えば、いくつかの実施形態において、圧力変換器40は、例えば光ファイバ圧力センサである。光ファイバ圧力センサの例は、市販のセンサであるファブリーペロー光ファイバ圧力センサである。ファブリーペロー光ファイバセンサの例は、Opsens(カナダ、ケベック州)が製造する“OPP−M”MEMSベースの光ファイバ圧力センサ(400ミクロンサイズ)及びFiso Technologies,Inc.(カナダ、ケベック州)が製造する“FOP−MIV”センサ(515ミクロンサイズ)である。圧力変換器40としてファブリーペロー光ファイバ圧力センサを使用する本発明の実施形態において、変換器は、隔膜に対する圧力に応じて空洞長さ測定値を変化させる反射性隔膜を有することによって作用する。光源からの可干渉光は、ファイバを下ってセンサ端において小さい空洞を横切る。反射性隔膜は、光信号の一部を反射してファイバの中へ戻す。反射光は、ファイバを通ってファイバの光源端の検出器へ戻る。2つの光波即ち光源光及び反射光は、反対方向へ進み、相互に干渉する。干渉パターンは空洞長さに応じて変化する。空洞長さは、隔膜が圧力を受けて偏向するとき変化する。干渉パターンは、フリンジパターン検出器によって記録される。いくつかの実施形態において、圧力変換器40は、例えばピエゾ抵抗圧力センサ(例えば、MEMSピエゾ抵抗圧力センサ)である。いくつかの実施形態において、圧力変換器40は、容量型圧力センサ(例えば、MEMS容量型圧力センサ)である。約−50mmHg〜約+300mmHg(気圧に対して)の範囲の圧力感知が、圧力変換器40による生理的測定を行うのに望ましい。
【0020】
いくつかの実施形態において、複数の圧力センサを血管腔において軸方向に相互から離間できる。例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれ以上の圧力変換器を等間隔又は不等間隔で相互から離間できる。いくつかの実施形態において、複数の圧力変換器間の距離は可変的とすることができる。この点に関して、更に詳しく本出願において論じる(例えば、図9及びその論証)。
【0021】
血管感知装置10に関連して使用される超音波変換器70、71は、多様な特徴を持つことができる。一般に、超音波変換器は、設定された周波数の電気信号に反応して変形する圧電結晶を備える。結晶が変形する周波数は、結晶がどのように製造されるかによって決まる。結晶が超音波周波数で変形したとき、結晶は、超音波エネルギーを放射する。血管内超音波の応用において、超音波エネルギーが概ね半径方向に血液(又はその他の流体)を通して伝播するように、結晶は、一般に概ね軸方向に位置付けられる。超音波エネルギーは、その後部分的に反射されて結晶へ戻る。結晶は、電気リターン信号を発するように再び変形する。信号は、処理のために処理装置へ与えることができる。結晶がどのように製造されるかは、結晶が反応できる周波数にも影響する。より高い周波数(例えば50MHzより高い周波数)の超音波エネルギーは、非常に優れた解像度を与えるが、血液(又はその他の流体)と血管壁32との間の区別はそれほど優れていない。逆に、より低い周波数の超音波エネルギーは、非常に優れた区別を与えることができるが、解像度はあまり優れていない。超音波変換器は、あらゆる半径方向にほぼ均等に超音波エネルギーを放射する超音波変換器リング70とすることができる。いくつかの実施形態において、複数の個別超音波変換器71は、明確な半径方向に超音波エネルギーを放射するように、リングを形成するように配列できる。例えば、いくつかの実施形態において、3つの個別超音波変換器71を、円周の周りに均等に離間し、それによって、相互から120度離間して半径方向に超音波エネルギーを放射できる。これより多い又は少ない数(例えば2、3、4、5、6、7、又はそれ以上)の個別超音波変換器71を使用でき、変換器間の間隔は均等でも不均等でもよい。別の実施例において、複数の個別超音波変換器71を円周の周りで離間でき、信号の位相は、その結果得られる超音波に集束するように制御できる。集束位置は、ピークを識別するために実質的に連続的に変化させることができる。
【0022】
狭窄病変に隣接する血管腔の直径又は断面積/断面プロファイルの測定は、病変を特徴づけるために貴重となり得る。いくつかの事例において、直径又は断面積/断面プロファイルを使用して、狭窄病変が患者の生理に対してどの程度の影響を持つかを評価できる。いくつかの事例において、直径又は断面積/断面プロファイルを使用して、病変に隣接する血管腔に在る物体に基づきFFR計算の誤差を補正できる。いくつかの事例において、直径又は断面積/断面プロファイルを使用して、直径又は断面積/断面プロファイルが血管造影を介して推定される場合より確実に適切なステントを選択できる。いくつかの事例において、ステント展開後にステントが完全に展開されているか否かを測定するために直径又は断面積/断面プロファイルを使用できる。
【0023】
いくつかの実施形態において、患者の他の生理的パラメータを測定するための変換器を使用できる。例えば、いくつかの実施形態は、血液温度、血液pH、血液酸素飽和度などの血液パラメータを測定するための変換器を組み込む。変換器は、生理的パラメータを表す信号を発生するように構成できる。圧力変換器及び/又は超音波変換器捕捉するためにこの種の変換器を使用するか、又は圧力変換器及び/又は超音波変換器の代わりにこの種の変換器を使用できる。更に狭窄病変を特徴付けるか又はその他の目的のために、この種の変換器によって提供された情報を使用できる。
【0024】
血管感知装置10の実施形態は、超音波変換器70、71及び圧力変換器40を狭窄病変36へ配送するための具体的構造体を含むことができる。いくつかの実施形態において、前記具体的構造体は、近位部50に結合された遠位スリーブ20を含む。遠位スリーブ20は、ガイドワイヤ用管腔22を含むことができ、ガイドワイヤ30は、管腔22を通ることができる。このようにして、ガイドワイヤ30をまず対象エリア(例えば狭窄病を含むエリア)へ配送でき、ガイドワイヤ30の近位端(即ち、患者の体外にある端部)は、近位スリーブ20をガイドワイヤ30に沿って対象エリアまで案内できるように、遠位スリーブ20のガイドワイヤ用管腔22へ挿入できる。近位部を遠位スリーブ20に結合した状態で、近位部50は、同様にガイドワイヤ30を介して対象エリアへ配送できる。
【0025】
図1〜9において、導線60は、圧力変換器40に接続され、各種導線80、81、82は、超音波変換器70、71に接続される。導線の例は、同軸ケーブル、より対ケーブルなどを含む。本出願において論じるように、電気信号は、それぞれの導線を介して変換器へ又は変換器から送受信される。図示するように、導線60、80、81、82は、近位部50の1つ又はそれ以上の管腔内を延びる。実用的には、導線60、80、81、82は、典型的には、血管腔を流れる血液(又は血液置換流体)に曝されない。いくつかの形態において、導線60、80、81、82を血管腔から絶縁するために、遠位シース20の周りにカバーを巻き付けることができる。いくつかの形態において、1本又はそれ以上の導線60、80、81、82を、遠位シース20の中に埋め込める。導線60、80、81、82の電気インピーダンスは、それぞれの変換器40、70、71のインピーダンス(典型的には、10オーム〜100オーム)に適合するように設計/選択できる。いくつかの事例において、導線60、80、81、82は、それぞれの変換器40、70、71への及びこれからの電気信号の損失を最小化するように(例えば、1〜2dB)設計/選択できる。多くの事例において、導線60、80、81、82の各々の直径は、導線60、80、81、82の剛性の付加によるカテーテルの配送性の低下を最小化するように、最小化できる(他の設計上の制約の中で)。
【0026】
図示するように、遠位スリーブ20の軸長さは、ガイドワイヤ30の長さに比べて比較的短い。ガイドワイヤは、狭窄病変36を含む対象エリアから近位方向へ患者の体外まで延びる。これによって、患者の体外から対象エリアまでずっとガイドワイヤ30に被って延びるカテーテルに比べて重大な利点を与えることができる、例えば、ガイドワイヤ30を対象エリアまで前進させた後、医療処置が要求するまで引き戻さずそこにガイドワイヤを残すことが非常に有利である可能性がある。一方、血管感知装置10を患者の血管内に導入し、関連測定値を取得し、血管感知装置10を取り外し、他の目的のため(例えば、狭窄病変36へステントを配送するため)にガイドワイヤ30を使用することが好ましい可能性がある。圧力変換器40及び超音波変換器70、71が、対象エリアから患者の体外までずっと延びるカテーテルによって配送されたとすると、ガイドワイヤ30の位置を維持しながら患者の体内からカテーテルを取り外すのは非常に難しい。逆に、比較的短い軸長さを有する遠位スリーブ20を持つ血管感知装置10は、ガイドワイヤ30を所定の位置に保持しながら患者の体内から取り除ける。この種の遠位スリーブ20を使用する利点に関する詳細は、同時譲渡された米国特許出願第12/557685号「生理的センサ配送装置及び方法」(参照によりその全体が本出願に組み込まれる)から分かる。
【0027】
圧力変換器40及び超音波変換器70、71は、血管感知装置10の様々な場所に位置付けることができる。図1、2、及び3は、圧力変換器40の遠位で遠位スリーブ20に結合された超音波変換器70、71を示す。図4、5、及び6は、圧力変換器40の近位で遠位スリーブ20に結合された超音波変換器70、71を示す。図7及び8は、近位部50に結合された超音波変換器70、71を示す。図は同様の場所で遠位スリーブ20に結合された圧力変換器40を示すが、圧力変換器40は、遠位スリーブ20又は近位部50においてもっと近位に又はもっと遠位に配置できる。いくつかの実施形態において、圧力変換器40及び/又は超音波変換器70、71は、遠位スリーブ20及び/又は近位部50の円周の周りの様々な位置に離間できる。本出願において述べるように、複数の圧力変換器を設置−血管腔において軸方向に及び/又は遠位スリーブ20及び近位部50の円周の周りで離間−できる。いくつかの実施形態において、複数の超音波変換器(及び/又は超音波変換器のセット)は、血管腔において遠位スリーブ20及び/又は近位部50に沿って軸方向に相互から離間できる。特定の応用次第で、多くの他の変形が想定される。
【0028】
使用時に、圧力変換器40を使用して狭窄病変36を横切る圧力低下を測定できる。狭窄病変36が血管を通る流れを妨害する程度を評価する技法は、冠血流予備量比(FFR)測定と呼ばれる。特定の狭窄病変についてFFRを計算する際、2つの血圧値が読み取られる。1つは、狭窄の遠位側(例えば、狭窄の下流)において、他方の血圧値は、狭窄の近位側(例えば、狭窄から大動脈へ向かって上流)において読み取られる。FFRは、正常最大血流に対する病変の遠位において取得された狭窄動脈における最大血流の比として定義され、典型的には、近位血圧(マイナス静脈圧)に対する遠位血圧(マイナス静脈圧)の圧力測定値勾配に基づいて計算される。従って、FFRは、遠位血圧と近位血圧の無単位比である。狭窄病変を横切る圧力勾配又は圧力低下は、狭窄の重症度の指標であり、FFRは、圧力低下を評価する際の有益な道具である。狭窄がより制限的であれば、圧力低下はより大きく、結果としてFFRは低くなる。FFR測定値は、有益な診断ツールとなり得る。例えば、臨床研究は、約0.75未満のFFRは特定の治療決定の基礎とするのに有益な基準となりうることを示している。Pijls,Debruyne他「冠動脈狭窄の機能的重症性を評価するための冠血流予備量比の測定」334:1703〜1708、New England Journal of Medicine,1996年6月27日。例えば、特定の狭窄病変のFFRが0.75を下回るとき、医師は介入手術(例えば、血管形成又はステント留置)の実施を決定し、FFRが0.75を上回る病変に対しては、これらの治療をしないことを決定するかも知れない。FFRに関する更なる詳細は、同時譲渡の米国特許出願第12/557685号「生理的センサ配送装置及び方法」(上で参照により組み込まれる)に記される。
【0029】
いくつかの事例において、FFRは、狭窄病変36に隣接する血管腔における配送設備の存在を説明するように調節できる。例えば、遠位スリーブ20が、圧力変換器40を、狭窄病変36を通過させて遠位位置へ運ぶ時、遠位スリーブ20自体の一部が、狭窄病変36によって形成された狭隘血管腔に留まる可能性がある。これは、遠位スリーブ20及びガイドワイヤ30の断面サイズに起因する誤りを導く可能性がある。遠位スリーブ20及びガイドワイヤ30が病変を横切るとき、病変自体によって引き起こされる閉塞に加えて、更に閉塞を引き起こす。従って、測定された遠位圧力は、この更なる血流障害がない場合より多少低くなり、病変を横切る測定圧力勾配を誇張する。この種の誤差を補正する方法は、同時譲渡の米国特許出願第13/469485号「血管内感知方法及び装置」(参照によりその全体が本出願に組み込まれる)において教示される。いくつかの実施形態において、本出願において論じる手段によって収集された狭窄病変36に関する追加の情報を使用して、FFRの誤差の補正を向上させることができる。
【0030】
多くの事例において、患者のFFRを計算するために使用される圧力測定値は、患者が充血状態の時に取得される。患者を充血状態にするために、一般に、患者にはアデノシン(又はその他の血管拡張剤)が投与される。アデノシンは、患者の下流循環に入って、血管拡張を生じ、下流の血管を開く。これによって、血流に対する下流の抵抗における変動性を最小化でき、FFR比が狭窄病変によって生じる圧力低下をより良く表すようにする。下流血流における変動性の最小化は、FFR比の「標準化」の効果を持ち、充血状態で取得される他のFFR比との比較をより容易にする。
【0031】
いくつかの事例において、アデノシンなどの血管拡張剤の患者への投与は、欠点を持つ可能性がある。これは、かなりの余分な準備時間量を追加し、効率に悪影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態において、血管拡張剤は、一部の患者に不快を生じる可能性がある。以上の及びその他の理由により、医療提供者によっては、狭窄病変の重症度を評価する際患者への血管拡張剤の投与を回避することを好む。
【0032】
最近のある研究は、血管拡張剤を使用せずに狭窄病変を横切る圧力低下を測定する方法を提案している。この方法は、瞬時血流予備量比(instantaneous wave-Free Ratio: iFR)と呼ばれ、血流に対する下流抵抗が比較的安定する冠状動脈波形の短い区分に依存する。冠状動脈波形のこの区分の近位値及び遠位値は、相互に比較されて、FFRと同様に、病変を横切る圧力低下に関する情報を提供する比率を形成し、介入処置(例えばステント又は血管形成)が正当であるか否かを医療提供者が決定する際の助けとなる。
【0033】
図9は、血管腔において軸方向に相互から離間された複数の圧力変換器40、41を持つ血管感知装置10を示す。いくつかの実施形態において、圧力変換器40、41は、両方とも近位部50に、両方とも遠位スリーブ20に、1つは近位部50に及び1つは遠位スリーブ20になど、位置付けできる。複数の圧力変換器40、41を持つ実施形態は、FFR及びiFRの両方を測定する際に有利になり得る。FFR及びiFR測定の両方において、圧力変換器40を狭窄病変36の遠位に位置付けて、圧力変換器導線60を介して遠位圧力測定値を処理設備へ提供できる。狭窄病変36の近位で圧力を測定するために、第2の圧力変換器41は、狭窄病変36の近位に位置付けて、圧力変換器導線を介して近位圧力測定値を処理設備へ提供できる。いくつかの事例において、近位圧力は、外部圧力変換器に物理的に結合されたガイドカテーテル内の流体を介して近位圧力を測定する外部圧力変換器を介するより、第2の圧力変換器41のように侵襲的圧力変換器を介する方が正確で確実に測定できる。なぜなら、波形の形状は、ガイドカテーテル、ガイドカテーテル内の流体、及び外部圧力変換器の、「リング化」の効果及び「ダンピング」の効果の影響を受ける可能性があるからである。侵襲的圧力変換器を用いて増大する正確性及び確実性は、特に、血管拡張剤を伴わない処置(例えばiFR)にとって有利になり得る。なぜなら、iFRなどの処置は、典型的には、冠状動脈波形の特定区分において取得された圧力値に基づくのに対して、FFRは、典型的には、平均近位圧力のみを使用する。
【0034】
再び図1〜9を参照すると、超音波変換器70、71を使用して、狭窄病変36に隣接する血管腔の内径(又は、非円形狭窄病変の場合には例えば断面積)を測定できる。いくつかの実施形態において、超音波変換器70、71を使用して、狭窄病変36の軸方向のプロファイル全体を横切って内径を測定できる。超音波変換器70、71は、狭窄病変36の一方の側から他方の側へ血管腔の中を軸方向へ移動するとき超音波エネルギーを放射しこれを受け取ることによって、病変の軸方向のプロファイル全体を横切って狭窄病変36に隣接する血管腔の内径を測定できる。いくつかの実施形態において、近位部50及び遠位スリーブ20は、超音波変換器70、71が病変の軸方向プロファイルを横切って並進するとき(例えば、近位部50を引き戻すとき)、回転(例えば手動で)できる。いくつかのこの種の実施形態において、回転位置は、送受された超音波信号と相関できる。いくつかのこの種の実施形態を使用して、多様な回転位置における寸法情報を提供できる。これによって、狭窄病変36に隣接する血管腔を効果的に特徴付けることができる。超音波変換器70、71は、設定された周波数の刺激信号に反応して超音波エネルギーを放射するように製造できる。超音波変換器70、71によって放射される超音波エネルギーのタイプは、血管を流れる流体(例えば、血液、生理食塩水など血液置換流体)と血管壁32との間を明確に区別するように較正できる。より高い周波数で放射された超音波エネルギーは、より大きい解像度を与えるが、血管流体と血管壁32との間をあまり区別できず、より低い周波数で放射される超音波エネルギーは、血管流体と血管壁32との間の区別は優れているが、解像度はあまり良くない。多くの事例において、狭窄病変36の全体画像ではなく狭窄病変36に隣接する血管腔の内径を知りたい場合、高解像度よりはっきりした区別がより重要である可能性がある。圧力変換器40、41が光ファイバセンサを備える実施形態は、高周波数超音波エネルギー及び/又はRF電気ノイズが光ファイバセンサの作動に最小限の影響しか持たない点で有利であるかもしれない。
【0035】
いくつかの事例において、第1の流体において超音波エネルギーを伝播させることによって入手された内径算定値を第2の流体において超音波エネルギーを伝播させることによって入手された内径算定値と比較すると有利である可能性がある。例えば、内径算定値の第1のセットは、患者の血管を通って流れる血管において超音波エネルギーを伝播させることによって入手でき、内径算定値の第2のセットは、患者血管を通って流れる血管置換流体(例えば、生理食塩水)において超音波エネルギーを伝播させることによって入手できる。内径算定値の第1のセットと第2のセットを相互に比較して、より信頼できる測定値を取得できる。図10A〜10Bは、説明的な波形を示し、図10Aは血液の場合の応答信号を示し、図10Bは、血液置換流体の場合の応答信号を示す。各応答信号の第1のピークT1B及びT1Sは、病変の内壁に対応し、各応答信号の第2のピークT2B及びT2Sは、血管の外壁に対応できる。T1BとT0との間の差は、T1SとT0との間の差に合致しない。なぜなら、超音波エネルギーは、2つの流体の間で異なる速度で進むからである。他方、T2BとT1Bとの間の差は、T2SとT1Sとの間の差に合致するはずである。なぜなら、超音波エネルギーは、両方の時間において病変及び血管壁から反射するからである。この関係は、第1のピークを特定しやすくする。第1のピークを使用して、超音波送信器と内側壁及び病変との間の距離を測定できる。
【0036】
再び図1〜9を参照すると、超音波変換器リング70を使用する実施形態において、単一の超音波変換器導線80によって単一の刺激信号を超音波変換器リング70へ与えることができる。超音波変換器リング70は、あらゆる半径方向へほぼ均等に超音波エネルギーを放射できる。超音波変換器リング70は、反射して超音波変換器へ戻る超音波エネルギーに基づいて電気信号を生成して、超音波変換器導線80を介してこの電気信号を送信できる。その後、電気信号を使用して、狭窄病変36に隣接する血管腔の内径を測定できる。超音波変換器リング70による超音波エネルギーの送受プロセスは、超音波変換器リング70が血管腔において狭窄病変36を横切って軸方向へ移動するとき複数ポイントにおいて複数回実施できる。同様に、個別超音波変換器71は、共通導線81から又は別個の個別導線82から刺激信号を受信できる。いくつかの実施形態において、個別超音波変換器71は、ほぼ同じ周波数の刺激信号を受信したら超音波エネルギーを放射し始めるように構成できる。いくつかの実施形態において、個別超音波変換器71は、異なる周波数の刺激信号に反応して超音波エネルギーを放射し始めるように構成できる。例えば、刺激周波数を、時間と共に変動して、a)第1の超音波変換器71は第1の時刻及び第1の周波数において超音波エネルギーを放射し始め、b)第2の超音波変換器71は、第2の時刻及び第2の周波数において超音波エネルギーを放射し始め、c)第3の超音波変換器71は、第3の時刻及び第3の周波数において超音波エネルギーを放射し始めるようにできる。いくつかの実施形態において、複数の個別超音波変換器は、電気的に連結できる(例えば、1本の同軸導線が3つの超音波変換器と接続される)。いくつかのこの種の実施形態において、非常に広帯域の信号(例えば、短時間パルス又は広帯域音)を刺激信号として与えることができる。これは、個別超音波変換器が感知できる周波数のみを励起できる。個別超音波変換器71が超音波エネルギーを受け取った時、変換器は受け取った超音波エネルギーを電気信号に変換して、実施形態に応じて共通導線81又は個別導線82を介して電気信号を送信する。
【0037】
図14、15及び16a〜16bは、説明的な超音波変換器リングの実施形態を示す。図14は、10MHz〜80MHz、更に典型的には20MHz〜60MHzの公称搬送周波数で作動できるリング変換器要素70a、70b、70cを持つ超音波変換器リング70を示す。リング変換器要素70a、70b、70cは、リング変換器要素70a、70b、70c間の機械的混線を防止するために切り口72によって機械的に分離できる。図15は、3つの変換器要素70’a、70’b、70’cを含む区分化リング変換器70’を示す。区分化リング変換器要素70’a、70’b、70’cのサイズは、感度と空間解像度を均衡化するように最適化できる。感度と空間解像度は、部分的には変換器開口サイズによって決まる。いくつかの実施形態において、変換器要素70’a、70’b、70’cは、10MHz〜80MHz、更に典型的には20MHz〜60MHzの公称搬送周波数で作動できる。いくつかの実施形態において、変換器要素70’a、70’b、70’cの各々は、10MHz〜80MHz、更に典型的には20MHz〜60MHzの異なる公称搬送周波数で作動できる。異なる周波数で作動する区分化リング変換器要素70’a、70’b、70’cの利点は、明確な信号周波数のみを検出でき、それによって物理的寸法測定を容易にできることである。それぞれ図14及び15に示す変換器リング70及び区分化リング変換器70’は、送信器及び受信器の両方として作動できる。図16aは、別個の送信器70”t及び受信器70”rを備える超音波変換器70”を含む別の実施形態を示す。図16cは、10MHz〜80MHz、更に典型的には20MHz〜60MHzの公称搬送周波数で作動できる単一要素リング変換器70”tを示す。図16bは、3つの変換器要素70”ra、70”rb、70”rcを含むリング変換器70”rを示す。別個の送信器70”t及び受信器70”rを含む図16a、16b、16cの変換器70”は、より単純な超音波送信器を可能にしながら、複数要素の受信器変換器の改良された空間解像度を保持できる。
【0038】
超音波変換器70、71と圧力変換器40の相対的設置位置は、内径及び圧力低下測定の正確度に影響する可能性がある。多くの実施形態において、圧力低下は、狭窄病変36の遠位に圧力変換器40を配置することによって測定される。近位圧力は、血管感知装置10の近位において取得された流体圧力(例えば、大動脈血圧)によって、又は、例えば近位部50に結合された第2の圧力変換器(図9)によって、測定できる。狭窄病変36の遠位の圧力測定は、遠位スリーブ20、近位部50など、狭窄病変36に隣接する血管腔内の他の物体の影響を受ける可能性がある。圧力変換器40が狭窄病変36の遠位の圧力を測定するとき、狭窄病変36内に超音波変換器70、71を配置するのを避けることが好ましい可能性がある。従って、超音波変換器70、71が圧力変換器40の遠位に位置付けられる実施形態(例えば、図1〜3)は、遠位圧力測定時に狭窄病変36に隣接する血管腔に存在する物体を少なくするので、狭窄病変36に隣接する血管腔内に物体が在ることによって生じる誤差を小さくする。いくつかの事例において、狭窄病変36の遠位の血管直径は、実質的に短い距離で減少する場合がある。このような事例において、圧力変換器40の遠位に超音波変換器70、71を配置すると、圧力変換器40を適切に位置付けるために十分遠位まで遠位スリーブ20が移動するのを、妨げる可能性がある。このような場合、圧力変換器40の近位に超音波変換器70、71を配置すると、好ましいかも知れない(狭窄病変36を完全に横切って超音波変換器70、71を移動させることは、同様に、遠位の圧力変換器40によって妨げられる可能性があるが)。多くの実施形態において、超音波変換器70、71は、圧力変換器40に対して軸方向に比較的近接して配置することが望ましい可能性がある。
【0039】
遠位圧力を測定するとき狭窄病変36に隣接する血管腔を比較的物体のない状態に維持しようとすることは、個別の超音波変換器71を接続するために個別の導線82を使用するか共通導線81を使用するかにも影響を及ぼすだろう。各超音波導線81、82は、刺激リード線及び基準又は接地線を含むことができる。3つの個別の超音波変換器71が遠位スリーブ20の円周の周りに位置付けられ、各超音波変換器71が共通超音波導線81に接続される場合、リード線は6本(各個別超音波変換器71に2本のリード線)となる。狭窄病変36に隣接する血管腔内にこのようなボリュームがあると、リード線のサイズ、血管のサイズ、狭窄病変36のサイズ及びその他の要因次第では、圧力低下測定に過大な誤差を生じかねない。
【0040】
図11A〜11Cは、各々異なる刺激周波数で超音波エネルギーを放射するように構成された3つの個別超音波変換器を有する実施形態を図解する。刺激信号を変動しながら(図11A)、刺激信号周波数が3つの個別超音波変換器の各々を起動(trigger)する時を記録する。応答信号を分析する際(図11B)、第1のピークは第1の変換器が起動された時に合致し、第2のピークは第2の変換器が起動されたときに合致し、第3のピークは第3の変換器が起動されたときに合致すると想定できる。ピークは、超音波エネルギーが血管を流れる流体ではなく血管壁から反射したことを意味する。各超音波変換器と血管壁との間の半径方向距離は、超音波変換器のそれぞれの半径方向の位置と共に、超音波変換器が起動されたときと第1のピーク応答信号が受信された時との間に経過した時間に基づいて得られる。半径方向距離は、血管を流れる流体の特性(例えば、どの程度の速度で超音波エネルギーが流体を流れるか)に基づいて得ることができる。距離の計算の多くは、超音波散乱効果によっている。
【0041】
図12A〜12Bは、各々ほぼ同じ刺激周波数で超音波エネルギーを放射するように構成された3つの個別超音波変換器を有する実施形態を示す。図12Bは、3つの個別超音波変換器271を運び、血管232内に位置付けられる血管感知装置210を示す。いくつかの実施形態において、応答信号を分析して、血管232の平均内径を推定できる。例えば、
avg=2/3(D1+D2+D3)+Dvss
であり
2/3(D1+D2+D3)は、2/3(T1+T2+T3)に比例する。ここで、Davgは関係する軸位置の平均内径であり、D1、D2及びD3は各超音波変換器271からの応答信号に基づいて計算された距離であり、Dvssは、3つの個別超音波変換器271を運ぶ血管感知装置の直径であり、T1、T2及びT3は、リターン信号のピークの時刻である。いくつかの事例において、血管腔は、円形断面プロファイルを持つものとしてモデル化できるが、血管腔は、多様な断面プロファイルを持ち得ることが分かるはずである。
【0042】
図13は、概ね均等に放射状に超音波エネルギーを放射する超音波変換器を有する実施形態を示す。いくつかの実施形態において、応答信号曲線の下方の加重中心WCは、既知の方法で測定できる。加重中心WCに対応する時刻TWCを使用して、関連する軸位置における超音波器リングから病変までの平均距離を推定できる。この種の波形が比較的狭い場合、超音波変換器リングが患者の血管内のほぼ中心にあると推論できる。この種の波形が比較的広い場合、超音波変換器リングが患者の血管内の中心にないと推論できる。
【0043】
上の説明において、本発明は、具体的実施形態を参照して説明されている。但し、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を加えることができることが分かるだろう。従って、本出願において説明する好ましい実施形態の特徴のいくつかは、別の用途のための本発明の好ましい実施形態に必ずしも含まれない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c