特許第6240184号(P6240184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240184
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】容器認識システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20171120BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20171120BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20171120BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20171120BHJP
   B65D 77/22 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A47J31/44 510
   A47J31/06 210
   B65D25/20 P
   B65D85/72 F
   B65D77/22
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-519193(P2015-519193)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公表番号】特表2015-527103(P2015-527103A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013063942
(87)【国際公開番号】WO2014006048
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】12175405.5
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12175406.3
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13160328.4
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13160324.3
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13160325.0
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13160326.8
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】13160342.5
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド・マレー・クロス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・トーマス・トゥーン
【審査官】 西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/010317(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/072508(WO,A1)
【文献】 特表2010−501305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00−31/60
B65D 25/20
77/22
85/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(4)を認識するための装置を備えている飲料製造機であって、前記装置は、
−各々がコイル(6a、6b)及びコンデンサを備えている二つの共振タンク回路と、
−コイルインピーダンスの変化を検出するための二つの電子検出回路と、
−前記コイルインピーダンスの変化を示す信号を生成するための手段と、及び
−前記信号に従って前記飲料製造機の少なくとも一つのパラメータを制御するための制御手段と、
を備えており、
前記飲料製造機は、前記機器内で前記容器を支持するための容器ホルダーであって、前記飲料製造機内の前記容器の位置及び整列をn個の固定方向(nは整数)のうちのいずれか一つの方向に管理するように前記容器と相互に作用をする容器ホルダーをさらに備えている、飲料製造機。
【請求項2】
前記制御手段は、ブルーイング液体の温度、圧力、体積または流速、ブルーイング液体が飲料製造機内を流れる通路、及び/またはブルーイング時間の一つ以上を制御する、請求項1に記載の飲料製造機。
【請求項3】
請求項1に記載の飲料製造機のための容器(4)であって、前記容器は、
−茶材料(34)を含む区分室(32)及びリム(51)を有するベースユニット(28)と、
−前記容器に関連付けられた導電材料(44)であって、前記区分室(32)の対向側に位置している二つの端部区域(42a、42b)を有している導電材料(44)と、及び
−前記容器内で茶材料(34)を含むように、前記リム(51)の周りで前記ベースユニット(28)に取り付けられた蓋(50)と、
を備えており、
前記蓋(50)は、
・少なくとも一つのミシン目(40)を備えている中心蓋部(38)
を備えており、
前記容器は、前記飲料製造機内でn個の固定方向(nは1、2、3、または4)のうちのいずれか一つの方向に整列され得る、容器(4)。
【請求項4】
前記リム(51)の周りに部分的に、または全体的に延在している突出リップ(30)を有している、請求項3に記載の容器(4)。
【請求項5】
前記導電材料(44)は前記突出リップ(30)に関連付けられており、前記蓋は前記突出リップ(30)を覆う周辺部(36)を備えている、請求項4に記載の容器(4)。
【請求項6】
前記蓋(50)は、前記導電材料(44)を備えている、請求項5に記載の容器(4)
【請求項7】
前記蓋(50)は、金属フォイル、好ましくはアルミニウムフォイルとポリエチレンの積層体を備えている、請求項6に記載の容器(4)。
【請求項8】
前記突出リップ(30)は底面を有しており、前記導電材料(44)は前記突出リップ(30)の底面に関連付けられている、請求項5に記載の容器(4)。
【請求項9】
前記突出リップ(30)は前記導電材料(44)を備えている、請求項5に記載の容器(4)。
【請求項10】
前記端部区域(42、42a、42b)は、互いに平行な、実質的に真っすぐな端部区域である、請求項5から9のいずれか一項に記載の容器(4)。
【請求項11】
前記端部区域(42、42a、42b)は、前記突出リップ(30)の幅全体にわたって延在している、請求項10に記載の容器(4)。
【請求項12】
前記ベースユニット(28)は非導電材料(46)から形成されている、請求項3から11のいずれか一項に記載の容器(4)。
【請求項13】
前記突出リップ(30)は、前記飲料製造機内で前記容器(4)の整列を管理するように成形されている、請求項4から12のいずれか一項に記載の容器(4)。
【請求項14】
請求項3から13のいずれか一項に記載の容器(4)を含む、請求項1または2に記載の飲料製造機。
【請求項15】
求項3から13のいずれか一項に記載の容器(4)を認識する方法であって、
−前記容器ホルダーに前記容器(4)を置く段階と、
−前記容器(4)が固定されている間に、前記二つのコイル(6a、6b)に交流電流を印加する段階であって、前記コイル(6a、6b)は、前記端部区域(42、42a、42b)に隣接する導電材料(44)内で渦電流を生成するように、前記飲料製造機内に位置されている、印加する段階と、
−各々の前記コイルに対してコイルインピーダンスの変化を検出する段階と、
−前記インピーダンスの変化を示す信号を生成する段階と、及び
−前記信号に従って前記容器(4)を識別する段階と、
を備えている方法。
【請求項16】
前記容器(4)は、前記信号を多数の参照信号と比較することによって識別され、各々の参照信号は特定の種類の容器に対応しており、前記容器(4)の識別は、前記飲料製造機の少なくとも一つのパラメータを制御している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項3から13のいずれか一項に記載の容器を複数含む、マルチパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の認識システムに関する。特に、本発明は、容器、例えば、飲料製造機における容器の認識を可能にするコード化システムに関する。本発明は同様に、そのような容器を認識するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
割り当てられた原料を用いるように設計された自動化飲料製造機は既に知られている。しばしばそのような機器は、飲料の原料(例えば、ひきコーヒー、ココア粉末、茶葉)の所定の添加を含む容器(例えば、カプセル、カートリッジ、ポッド)を用いる。そのような容器は使用するのに便利であり、味と品質の点で一貫性のある飲料の準備を容易にする。
【0003】
飲料製造機の加工パラメータは、準備される飲料の種類に従って変化する必要があり得る。これは、容器の特定の種類を一連の機械パラメータで関連づけることによって達成されることができる。容器を認識するためのいくつかのシステムが提案されてきた。
【0004】
特許文献1(欧州特許出願公開第0451980号明細書:Kraft General Foods Limited)は、飲料の準備のための食料品を含む容器であって、好ましくは認識手段を備えている容器に関する。いくつかの可能なシステムが想定され、それぞれが特定の認識手段及び適切なセンサーを備えている。例えば、認識手段は、容器本体に形成された一つ以上の表面特徴を備えていてもよく、これは機械的センサーまたは光学的センサーによって識別されることができる。容器本体に適用された一つ以上の磁気材料のストリップは磁気的センサーを適用することによって読み出されることができる。容器本体に適用された一つ以上の金属フォイルで成形されたか、もしくは分割された領域は、機器内での容器の移動において検出可能な誘導作用を引き起こす。容器本体に形成された一つ以上の導電性領域は電気的に検出されることができる。
【0005】
特許文献2(国際公開第2011/141532号:Nestec S.A.)は、遠心分離により飲料を準備するためのカプセル、システム、及び方法を述べている。カプセルは、カプセルを横断する回転軸を中心に回転する間に、読み出されるように配置されたコードを備えている。印刷、エンボス加工、またはレーザー彫刻によってカプセルに適用されたコードの光学的読み出しが好ましい。カプセル周縁の金属リムに提供された凸部または凹部により形成されたコードの誘導検出が同様に記載されている。
【0006】
特許文献3(国際公開第2012/010317号:Kruger GmbH & Co. KG)は、一つの特定の自動コーヒー機器においてだけ用いられることのできる飲料カプセルに関する。カプセルは、コーヒー機器によって走査される識別マークを有しており、識別マークのいくつかの可能な実施形態が提案されている。例えば、マークを識別することは、異なる光学的反射特性を有する領域、刻み目及び/または突出、バーコードのような印刷項目、蛍光領域、導電領域、金属領域、強磁性領域、または無線自動識別(RFID)チップ、を備え得る。
【0007】
飲料製造機内で容器を識別することの問題は、容器から情報を取り出すか読み出すことが、必ずしも信頼性があるか、または便利であるとは限らないことである。例えば、容器が移動している、及び/または(例えば、残余の飲料原料の存在に起因する)容器の周りの環境が清潔でない状況にある間に、容器が読み出されることを保証するために、高レベルの冗長性を有するコード化システムを使用する必要がしばしばある。さらに、容器が正確に識別されるように、容器に対して飲料製造機内で正確な方法で整列または位置合わせされる必要がしばしばある。これらの不都合を克服することが本願発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0451980号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/141532号
【特許文献3】国際公開第2012/010317号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、容器を認識するための装置を備えている飲料製造機に関連しており、前記装置は、
−各々がコイル及びコンデンサを備えている二つの共振タンク回路と、
−コイルインピーダンスの変化を検出するための二つの電子検出回路と、
−前記コイルインピーダンスの変化を示す信号を生成するための手段と、及び
−前記信号に従って前記飲料製造機の少なくとも一つのパラメータを制御するための制御手段と、
を備えており、
前記飲料製造機は、前記機器内で前記容器を支持するための容器ホルダーをさらに備えている。
【0010】
この配置は、電磁誘導及び金属検出の原理を用いて容器を認識する。二つのコイルの存在は、物理的許容範囲(例えば、装置内での容器の整列)に関して認識システムの構造安定性を増大させる。これは、シンプルでさらに信頼性のある方法でコード化された容器の認識を可能にし、特定の容器を識別するのに要求される時間を減少させ、及び/または識別の正確性を増大させる。
【0011】
第2の態様において、本発明は、飲料製造機のための容器に関連しており、前記容器は、
−茶材料を含む区分室及びリムを有するベースユニットと、
−前記容器に関連付けられた導電材料であって、前記区分室の対向側に位置している二つの端部区域を有している導電材料と、及び
−前記容器内で茶材料を含むように、前記リムの周りで前記ベースユニットに取り付けられた蓋と、
を備えており、
前記蓋は、
・少なくとも一つのミシン目を備えている中心蓋部
を備えている。
【0012】
前記導電材料の前記端部区域は、前記飲料製造機が前記容器を認識できるような情報をコード化している。さらに、前記コード化システムは、前記飲料製造機内の容器の位置、または、前記容器上の前記導電材料の位置のいくつかの変化を許容することができる。
【0013】
好ましい実施形態において、第2の態様の容器は、
−茶材料を含む区分室及びリムを有するベースユニットであって、前記リムは前記リムの周りを部分的に、または全体的に延在している突出リップを有している、ベースユニットと、
−前記突出リップに関連付けられた導電材料であって、前記区分室の対向側に位置している二つの端部区域を有している導電材料と、及び
−前記容器内に前記茶材料を含むように、前記リムの周りで前記ベースユニットに取り付けられた蓋と、
を備えており、
前記蓋は、
・前記突出リップを覆う周辺部と、
・少なくとも一つのミシン目を備えている中心蓋部と、
を備えている。
【0014】
使用において、本発明の第1の態様の飲料製造機は、本発明の第2の態様による容器を含む。
【0015】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による飲料製造機において、本発明の第2の態様による容器を認識する方法に関連しており、方法は、
−前記容器ホルダーに前記容器を置く段階と、
−前記容器が固定されている間に、二つのコイルに交流電流を印加する段階であって、前記コイルは、前記端部区域に隣接する前記導電材料内で渦電流を生成するように、前記飲料製造機内に位置されている、印加する段階と、
−各々の前記コイルに対してコイルインピーダンスの変化を検出する段階と、
−前記インピーダンスの変化を示す信号を生成する段階と、及び
−信号に従って容器を識別する段階と、
を備えている。
【0016】
本発明の方法は、容器の近距離及び非接触検出を可能にし、飲料製造機が限られた数のコード(すなわち、好ましくはわずか10コード)を認識する必要のある場合に特に適している。この方法の利点は、コイルが導電材料との物理的な接触を必要としないことである。これは、たとえコイルと容器の間に水及び/または残余の茶材料があるとしても容器認識が可能であることを意味している。さらに、この方法は、幅広い物理的及び電気的な許容範囲の範囲にわたってシンプルなコード化システムでコード化された容器の認識を可能にしている。容器は、認識の間に飲料製造機内で固定されているので、方法は、製造に対して経済的であることが予想される複雑性が減少された(例えば、より少ない構成要素を有する)装置によって実行されることができる。
【0017】
「備えている」との用語は、本明細書では「〜から基本的に構成されている」及び「〜からなる」との用語を包含する。ここで含まれる全ての割合及び比率は、別段の指示が無い限り、重量によって計算される。値または量の任意の範囲を特定することにおいて、任意の特定の上限値または量は、任意の特定の下限値または量と関連することができる。
【0018】
ここで理解される本発明の開示は、請求項が多数項従属関係または重複関係であり得る事実に関わりなく、互いに多数項従属関係であるような請求項で理解される全ての実施形態を網羅することが考慮されている。
【0019】
「茶材料」との用語は、本明細書では茶樹材料、ハーブ樹材料、またはそれらの混合を参照している。疑念を避けるために、「茶材料」との用語は、コーヒー材料を含まない。「茶樹材料」との用語は、カメリア・シネンシス・シネンシス(Camellia sinensis var. sinensis)及び/またはカメリア・シネンシス・アッサム(Camellia sinensis var. assamica)からの葉、芽、及び/または、茎材料を参照している。茶樹材料は、実質的に発酵されているか(すなわち、紅茶)、部分的に発酵されているか(すなわち、ウーロン茶)、または実質的に未発酵(すなわち、緑茶または白茶)であってもよい。前述の茶樹材料の一つ以上の混合であってもよい。香料葉茶製品に一般的に用いられる他の原料は、茶樹材料と結ばれてもよい(例えば、ベルガモット、かんきつ果皮など)。「ハーブ樹材料」との用語は、ハーブの注入のための前駆体として一般的に用いられる材料を参照している。好ましくは、ハーブ樹材料はカモミール、シナモン、ニワトコの花、ジンジャー、ハイビスカス、ジャスミン、ラベンダー、レモングラス、ミント、(アスパラサス・リネアリス(Aspalathus linearis)から得られた)ルイボス、ローズヒップ、バニラ、及びバーベナから選択される。茶材料は追加的に果実片を備えていてもよい(例えば、りんご、クロフサスグリ、マンゴー、桃、パイナップル、ラスベリー、ストロベリーなど)。
【0020】
好ましくは、茶材料は乾燥しており、30重量%未満、好ましくは20重量%未満、及び最も好ましくは0.1から10重量%の水分含有量を有している。好ましくは、茶材料の粒子は、約2から約10mm、好ましくは3から7mmの大きさ(すなわち、最長径)を有している。
【0021】
「飲料」との用語は、食用として適している実質的に水性の飲料組成物を参照している。好ましくは、飲料は、飲料の少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは95から99.9重量%の水を含んでいる。好ましくは、飲料は、0.04から3重量%、より好ましくは0.06から2重量%、最も好ましくは0.1から1重量%の茶固形物を含んでいる。
【0022】
「ブルーイング(brewing)」との用語は、液体、特に温水を茶材料に加えることを参照しており、茶材料を液体内に浸すことは、可溶性物質(例えば、フレーバー及び/または芳香分子)を液体内に放出し、それによって飲料を形成する。ブルーイングは任意の温度で実行されてもよいが、80から85℃の範囲が好ましい。
【0023】
「容器」との用語は、本明細書では茶材料が包装されているか、またはされることのできる剛性または半剛性の容器を参照している。例えば、容器は、カプセル、カートリッジ、ポッドなどであることができる。
【0024】
飲料製造機内で容器を認識するための装置は、
−各々がコイル及びコンデンサを備えている二つの共振タンク回路と、
−コイルインピーダンスの変化を検出する二つの電子検出回路
−信号を生み出す手段であって、信号はコイルインピーダンスの変化を示している、信号を生み出す手段と、及び
−信号に従って飲料製造機の少なくとも一つのパラメータを制御する制御手段と、
を備えている。
【0025】
個々の共振タンク回路は、コイルとコンデンサを備えており、導体材料内で渦電流を誘導させる振動数で共振するように設計されている。好ましくは、個々のタンク回路は、50から200kHz、より好ましくは75から150kHzの振動数で共振するように設計されている。好ましくは、コイルは40から50mm、より好ましくは45から47mmの距離で離されているが、これは使いやすい容器サイズに対応しているからである。
【0026】
個々の電子検出回路は、コイルインピーダンスの変化を観測し、コイルインピーダンスの変化を示す信号を導く。さらに、信号の特徴は、電子的処理及び/またはソフトウェア処理によって抜き出される。信号の増幅は、一般的に導体材料のコイルへの近接に反比例するので、好ましくはコイルと導体領域は、0から2mm、より好ましくは0から1mmの距離で離されている。
【0027】
容器の識別は、好ましくは、飲料製造機の少なくとも一つのパラメータを制御する。それ故、好ましい実施形態において、制御手段は、ブルーイング液体の温度、圧力、体積または流速、ブルーイング液体が飲料製造機内を流れる通路、及び/またはブルーイング時間の一つ以上を制御する。
【0028】
飲料製造機は同様に、機器内で容器を支持する容器ホルダーを備えており、好ましくは飲料製造機内で容器の位置と整列を管理するように容器と相互作用する。
【0029】
容器は、リムを有するベースユニット、好ましくはカップ型ベースユニットを備えており、リムの周りの全体にまたは部分的に伸張している突出リップを好ましくは有している。ベースユニットは茶材料を含む区分室を画定している。容器内で茶材料の密封を支援するために、好ましい実施形態において、突出リップがリムの周りの全体に伸張している。効果的で費用効果のある製造を容易にするために、ベースユニットは、例えば、射出成型または熱成形によって、一体成型で作られていることが好ましい。好ましくは、食品等級プラスチック、例えばポリプロピレンのような非導電材料から作られる。容器は、一回分の乾燥した茶材料を含むのに十分な大きさである必要がある。それ故、容器の内部体積(すなわち、区分室の体積)は、好ましくは10から24cmであり、より好ましくは12から19cmであり、最も好ましくは14から18cmである。区分室は、充填の間に茶材料が区分室を飛び出すように浅くするべきではない。それ故、区分室の深さは、好ましくは、少なくとも10mmであり、より好ましくは13mmである。一方で、区分室は、ブルーイングの開始にカプセルから茶材料を取り除くことが難しくなるほど深くするべきではない。それ故、区分室の深さは、好ましくは最大で20mmであり、より好ましくは最大で18mmである。空洞の体積がその範囲の上端に向かうとき(すなわち、空洞が深くも狭くもないとき)、この範囲の上部にある深さでは、区分室から茶材料を取り除くことはより容易である。区分室の断面領域及び直径は、所望の体積及び深さに関連している。結果として、区分室の直径は好ましくは30から45mmである。ある好ましい実施形態において、ベースユニットは飲料製造機内で容器の整列を管理するように形作られており、容器ホルダーは、形作られたベースユニットと相互作用することを保証するように適応されている。突出リップが飲料製造機内で容器の整列を管理するように形作られていることは特に好ましい。好ましくは、容器は、飲料製造機内で、n個の固定方向(nは整数)のいずれか一つに並べられることができる。好ましくは、nは1、2、3、または4であり、より好ましくはnは1または2、最も好ましくはnは2である。特に好ましい実施形態において、ベースユニットは、一般的に円形断面を有しているが、突出リップは引き延ばされており、例えば、楕円形であるか、または二つの交差する円弧によって定義されており、リップの最長径と最短径の比率は、好ましくは、1.2:1から1.5:1である。
【0030】
ベースユニットに加えて、容器は蓋を備えている。蓋は、茶材料が容器内に含まれるように、リムの周りでベースユニットに取り付けられる。蓋は、任意の適切な手段、例えば接着または熱シールによって、ベースユニットに取り付けられてもよい。好ましい実施形態において、蓋は、周辺部及び中心蓋部からなる。蓋の周辺部は、中心蓋部がベースユニットのリムから内側に延在して、茶材料を被覆しているのに対して、ベースユニットのリムから外側へ延在して、突出リップの少なくとも一部(しかし、好ましくは全てではない)を覆っている。
【0031】
蓋の中心蓋部は少なくともミシン目(perforated line)を備えている。ミシン目は、線に沿って容器の蓋を開けること、例えば、ミシン目の近くで蓋に対して開口部材を押すことによって開けることを容易にし、それ故、容器から茶材料の取り出しを可能にしている。「ミシン目」との用語は、本明細書ではスリットの整列された配列を参照している。ミシン目は、好ましくは、蓋部の中心に面している曲面を有する、中心蓋部の端部と中心蓋部の中心との間に部分的に位置された曲線である。ミシン目の切り取り:結び(cut:tie)の比は、例えば運搬の間に、容易に破裂しないように、しかしそれにもかかわらず、非常に大きな力を要することなく開けられるようにすべきである。例えば、おおよそ1:2の切り取り:結び比が適している。蓋が複数のミシン目を備えている実施形態は、同様に想定されている。例えば、蓋は、二つのミシン目の対称的な配置を備えている。
【0032】
容器は、好ましくは突出リップに関連付けられた導電材料を備えている。導電材料は、区分室の対向側に位置している二つの端部区域を有している。端部区域は、好ましくは、突出リップの対向端部の近くに、または対向端部に、すなわち、容器の対向端部の近くに、または対向端部に位置されている。導電材料は、容器が導電材料の構造に従って飲料製造機内で認識されるように、情報をコード化している。導電材料は、多数の異なる方法で突出リップに関連付けられることができ、いくつかの好ましい実施形態が以下で説明される。導電材料の好ましい実施形態は、金属シート(特に、金属フォイル)、導電インク、及びワイヤループを含む。金属シート及びより好ましくは金属フォイルの積層体は、切断及び成形に容易であるので、好ましい。
【0033】
好ましくは、蓋の周辺部の少なくとも一部は、導電材料を備えている。好ましくは、導電材料は、金属フォイル、より好ましくはアルミフォイルを備えていている。フォイルは10から100μmの厚さを有するフォイルが特に好まれるが、任意の厚さであってよい。フォイルは滑らかである必要はない。実際、(例えば、密封強度の観点から)蓋とベースユニットとの間の密封を制御することを可能にするように、ある実施形態において、金属フォイルはエンボス加工されている。蓋は同様に、ポリマー/金属フォイル積層体となり得ることが想定される。最も好ましくは、蓋全体(すなわち、中心蓋部及び周辺部)が導電材料を備えている。
【0034】
それにもかかわらず、当然のことながら、蓋全体に対して導電材料からなる必要はない。例えば、導電材料の端部区域が、蓋の対向端部の近くかまたは対向端部で、区分室の対向側に位置するように、蓋上に位置された一つ以上の金属ストリップを有するポリマーフィルムを蓋が備えている実施形態が同様に想定される。
【0035】
導電材料が蓋の一体部分ではない容器の実施形態が同様に想定される。それ故、導電材料は、蓋の一体部分ではなく、リップに関連付けられてもよい。例えば、導電材料は、非導電性の蓋(例えば、ステッカー)の上部、または突出リップと蓋との間に位置された導電材料を備えている。
【0036】
導電材料が蓋の一部ではなく、蓋に関連付けられている別の実施形態において、突出リップは底面を有しており、蓋が突出リップの上面に取り付けられているのに対して、導電材料は突出リップの底面に関連付けられている。それ故、この実施形態において、蓋は導電材料を備える必要がなく、及び好ましくは非導電材料からなり、より好ましくはプラスチックフィルムからなる。導電材料は、突出リップの底面に物理的に(例えば、接着や熱シールなどによって)取り付けられてもよい。そのような実施形態において、導電材料は、突出リップの底面との静合を保証するように柔軟(例えば、金属フォイル)であることが好ましい。しかしながら、導電材料が突出リップの底面に解放可能に関連付けられている別の実施形態も同様に想定される。例えば、導電材料は、ベースユニットに解放可能にはめ込まれるように成形された中心開口を備えている金属シートからなってもよい。容器が飲料製造機の容器ホルダー内に挿入されるとき、容器の突出リップが、導電材料の上に置かれ、関連付けられるように、導電材料は、容器ホルダーに置かれるか、取り付けられてもよい。
【0037】
導電材料が蓋の一部ではなく、蓋に関連付けられている更なる実施形態において、突出リップそれ自身が、導電材料を備えている。例えば、突出リップは導電材料から作られているか、または突出リップはその内部に包まれた導電材料を有する非導電材料から作られる。
【0038】
端部区域は実質的に真っすぐに切り取られた区域であることが好ましく、端部区域は互いに平行であること特に好ましい。端部区域は、突出リップの幅全体にわたって延在している必要はないが、好ましい実施形態ではそうなっている。この実施形態は、飲料製造機内の容器の位置の変化に特に寛容である。
【0039】
非常に好ましい実施形態において、蓋は、金属フォイルまたはポリマー/金属フォイル積層体である。端部区域は、実質的に真っすぐに切り取られた区域であり、それらは互いに平行であり、容器の蓋の幅全体にわたって延在しており、その結果、蓋は突出リップに比べて先が切り取られており、蓋の周辺部は、突出リップの全体を覆っていない。蓋とベースユニットとの間の密封を危険にさらすので、面取りはもちろん中心蓋部内へ侵入してはならない。好ましくは、端部区域の間の蓋の長さは、45から60mmであり、より好ましくは47から58mmであり、蓋の最大幅は、45から50mmであるが、これらのサイズは使い勝手の良い容器サイズ及び美的形状に対応している。
【0040】
上で説明された容器は、コード化されており、及びこれらの容器の認識は、電磁誘導及び金属検出の原理に基づいている。これは、シンプルでさらに信頼のある方法でコード化された容器の認識を可能にしている。容器は、二つのコイルを備えている装置によって識別されるように設計されている。しかしながら、明確性のために、認識の原理が、単一のコイルに関して以下に最初に説明される。
【0041】
交流電流を伝導し、及び飲料製造機内で容器の近くに位置されたコイルは、導電材料内で渦電流を誘導する。渦電流は、コイルのインピーダンスを変化させる反対の電磁束を生み出す。インピーダンスの変化は、導電材料内で円運動するように渦電流の強さ及び解放の関数である。導電材料内の不連続は、渦電流の強さを抑圧し、及び弱め、コイルのインピーダンスに影響を与える。
【0042】
本発明において、端部区域の配置は、導電材料の境界の特徴(例えば、位置、形状)を決定する。これらの境界は、導電材料内の不連続を示す。それ故、容器は、渦電流検出に基づく認識システムを用いて識別されることのできるコードを有している。
【0043】
この方法における容器認識の利点は、コイルが容器の導電材料に物理的に接触する必要がないことである。これは、コイルと導電材料との間に非導電材料があったとしても、容器認識が可能であることを意味している。これにより、導電材料を突出リップに関連付けるいくつかの方法が可能である。さらに、コイルと導電材料との間の水及び/または残余の茶材料の存在は、容器認識を妨げない。
【0044】
一般的に、容器は、例えば、複数の容器(例えば、10個)を含むマルチパックのような気密二次容器内で消費者に提供される。マルチパックは、単一種類の容器、または異なる種類の茶(例えば、緑茶、紅茶、ハーブ茶)を含み、且つ各々が含む茶の種類に従って異なるコードを有する容器の混合を含んでいてもよい。ミシン目は、いくらかの茶の香りがカプセル内部の茶材料から二次容器の内部の空間内に解放される利点を有している。それ故、消費者は、二次容器を開けて茶の香りを得る。
【0045】
上で説明された飲料製造機内での上で説明された容器認識の方法は、
−容器ホルダーに容器を置く段階と、
−容器が固定されている間に、二つのコイルに交流電流を印加する段階であって、コイルは、端部区域に隣接する導電材料内で渦電流を生成するように、飲料製造機内に位置されている、印加する段階と、
−各々のコイルに対してコイルインピーダンスの変化を検出する段階と、
−インピーダンスの変化を示す信号を生成する段階と、
−信号に従って容器を識別する段階と、
を備えている方法。
【0046】
この方法は、単一の飲料製造機が、異なる調理条件を必要とする多数の異なる飲料を準備することを可能にしている。飲料製造機が限られた数のコード(例えば、わずか10のコード)を認識する必要があることが特に好ましい。好ましい実施形態において、容器は、信号を多数の参照信号と比較することによって識別され、それぞれが特定の種類の容器に対応している。例えば、各々の種類の容器が、特定の茶材料を含んでいてもよいことが想定される。そのようなものとして、緑茶を含む容器は、異なるブルーイング条件を必要とする紅茶を含む容器とは異なる種類の容器として認識される。
【0047】
容器の識別は、好ましくは、飲料製造機の少なくとも一つのパラメータ、例えば、ブルーイング液体の温度、圧力、体積または流速、ブルーイング液体が飲料製造機内を流れる通路、及び/またはブルーイング時間の一つ以上を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
例として、本発明の特定の実施形態が図によって示されている。
【0049】
図1】飲料製造機の基本的な構成要素を示す概略図である。
図2a】好ましい読み出しモードにある容器の断面図を示している。
図2b】上から見た図2aの容器を示している。
図2c図2bの容器の一部のより詳細な図である。
図3】可能なコーディングパターンのいくつかの例を示している。
図4a】それぞれの容器が同一のパターンでコード化されている四つの異なる実施形態を図示している。
図4b】それぞれの容器が同一のパターンでコード化されている四つの異なる実施形態を図示している。
図4c】それぞれの容器が同一のパターンでコード化されている四つの異なる実施形態を図示している。
図4d】それぞれの容器が同一のパターンでコード化されている四つの異なる実施形態を図示している。
図5a】飲料製造機内の容器配置の変化の影響を図示している。
図5b】飲料製造機内の容器配置の変化の影響を図示している。
図5c】飲料製造機内の容器配置の変化の影響を図示している。
図5d】飲料製造機内の容器配置の変化の影響を図示している。
図5e】飲料製造機内の容器配置の変化の影響を図示している。
図6a】容器蓋の斜視図である。
図6b】容器のベースユニットの斜視図である
図6c】導電材料からなる容器構成要素の斜視図である。
図7図6aから6cの蓋、ベースユニット、構成要素を組み付けることにより得られた容器の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、飲料製造機の基本構成の説明である。本発明の方法は、そのような機器内で容器を認識することに用いられることができる。
【0051】
飲料製造機は、容器4を受けることのできるホルダー2を備えている。容器は導電材料の領域を備えている(図示せず)。二つのコイル6a、6bは、導電材料にごく接近して位置されている(好ましくは0から2mm)。この配置は、上で説明したような容器の認識を容易にする。
【0052】
飲料製造機は、好ましくはブルーイングチャンバ8を備えている。リザーバ10からの水が、水フィルター12、水ポンプ14、ヒーター16、及びバルブ18を通してブルーイングチャンバ8に供給される。バルブ18は、ヒーター16とブルーイングチャンバ8との間を通る水の経路を制御している。飲料を製造するために、リザーバ10からの水が、好ましくは容器4を通してブルーイングチャンバ8に入る。空気ポンプ20は、水と共に空気を引き、容器含有物が水と混合するのを容易にさせる。飲料はその後、注ぎ口24を経て容器22(例えば、カップ、マグ)内に注ぐことができる。ブルーイングチャンバ8をすすぐ、及び/または清潔にするために、バルブ18は水の方向を変えることができ、その結果水がリンスヘッド26を経てブルーイングチャンバ8に入る。
【0053】
図2は、飲料製造機内で好ましい読み出しモードにある容器の断面図を示している。容器4は、リム及び突出リップ30を有するベースユニット28を備えている。ベースユニット28は、茶材料34を含む区分室32を画定している。容器4は同様に、突出リップ30の一部(全てではない)を覆う周辺部36及び区分室32を覆う中心蓋部38からなる蓋を備えている。示された実施形態において、突出リップ30は、リムの周りの全体に伸張している。蓋は、リムの周りでベースユニットに取り付けられており、それ故、茶材料34を容器内に密封している。示された実施形態において、ベースユニットの全体(突出リップ30を含む)は非導電材料(例えば、プラスチック)から形成されており、蓋の全体(すなわち、周辺部36及び中心蓋部38)は導電材料(例えば、金属フォイル、例えば、アルミフォイル及びポリエチレンの積層体)を備えている。飲料製造機は、容器4の上に位置して示されている二つのコイル6a、6bを有している。
【0054】
図2bは、上から見た図2aの容器を示している。示された実施形態において、中心蓋部28は二つのミシン目40a、40bを備えている。蓋の周辺部が、突出リップの全体を覆わないように、どちらかの端部で先端が切り取られていることを除いて、蓋は、突出リップと同じ大きさ及び形状であり。先端が切り取られた端部は、蓋の対向端の近くに位置している二つの端部区域42a、42bを形成している。個々の端部区域は、蓋の導電材料の境界を構成している。一つの端部区域42aは、コイル6aの真下に位置し、他の端部区域42bはコイル6bの真下に位置している。
【0055】
コイル6aの真下の容器の領域が図2cに図示されている。当然のことながら、この領域は、(蓋により提供された)導電領域44及び(突出リップにより提供された)非導電領域46からなる。導電領域44の境界は、端部区域42aにより画定されている。それ故、二つのコイル(6a、6b)は、端部区域42a、42bを横断する導電領域44内で渦電流を生成するように位置されている。
【0056】
図3は、端部区域42が導電材料44の領域の境界を画定している可能なコーディングパターンのいくつかの例を図示している。いずれの場合にも、示された領域は、容器識別の間にコイルの真下にある領域を示している。便宜上、これらの実施形態は、4つのコードセットで図示され、各コードセットは4つのパターン(パターンA、パターンB、パターンC、パターンD)からなる。しかしながら、これらのセットが多少なりとも制限を示すことは意味していない。例えば、コードセットは、セット1から各パターンA,B,C及びDのいずれかを選択することにより、またはセット1からパターンA、セット2からパターンB、セット3からパターンC、及びセット4からパターンDを選択することに応じることができる。実際、パターンA、パターンB、パターンC、及びパターンDの各々が、コイルインピーダンスの固有の、且つ識別可能な変化と関係している限り、如何なる組み合わせが可能である。個々のパターンは導電材料44の領域からなる。例えば、パターンは、金属フォイルで覆われたプラスチック、及びプラスチックで覆われた金属フォイルまたはプラスチックで包まれた金属フォイルを備えていてもよい。端部区域42は、実質的に真っすぐな端部区域でありうる(例えば、セット1及びセット2)。しかしながら、これは前記事例である必要はなく、例えば、端部区域42は代わりに、一つ以上のノッチを備えることができる(例えば、セット3及びセット4)。
【0057】
上で説明したように、導電材料44内の切れ目は、渦電流の強度を抑制及び弱め、コイル6a、6bのインピーダンスに影響を与える。端部区域42は導電材料44内の切れ目を構成している。例えば、セット1内のパターンAからDは、端部区域42の位置が変化している点で異なっている。パターンAは、パターンBよりも大きな導電材料44の割合を備えており、それ故、パターンBの導電材料44内で生成された渦電流の強度は、パターンAの導電材料44内で生成された渦電流の強度より弱い。それ故、パターンA及びパターンBのそれぞれは、固有で、識別可能なコイルインピーダンスの変化に関連している。
【0058】
導電材料の端部だけではなく、または導電材料の端部に加えて、パターンは、所定の方法で配置された他の切れ目(例えば、スリット、ミシン目、折り目、畳み目など)を備えていてもよい。例えば、セット2において、端部領域42の位置は、パターンAからDにおいて一定である。これらのパターンは全て、導電材料44内に形成されたスリット48の所定の配置を備えている。スリット48の配置は、導電材料44内で生成された渦電流の強度を抑制及び弱めるように作用する。それ故もう一度、セット2のパターンAからDの各々は、固有で、識別可能なコイルインピーダンスの変化に関連している。
【0059】
図4aから4dは、個々の容器が同じパターンでコード化された4つの異なる容器の実施形態を図示している。図4aにおいて、容器の蓋は、その幅全体にわたって切り取られている金属フォイル蓋である。実際、蓋は対称的な方法で各端部が切り取られている。この実施形態において、蓋の対向する端部の近くに位置している端部区域42a、42bは、実質的に真っすぐであり、容器の蓋の幅全体にわたって伸張している。そのようなものとして、この容器が飲料製造機内に挿入されるとき、コイル6aの真下のパターンはコイル6bの真下のパターンと同じである。
【0060】
図4bに示された容器は、ポリマーフィルムに積層された金属フォイルのストライプを備えている蓋を有している。蓋は、対称的な方法で各端部が切り取られている。この容器が飲料製造機内に挿入されるとき、コイル6aの真下のパターンは、コイル6bの真下のパターンと同じである。この実施形態において、蓋自身はその幅全体にわたって切り取られているにもかかわらず、導電材料の端部区域42a、42b(すなわち、フォイルのストライプ)は、容器の幅全体にわたって延在していない。
【0061】
図4cにおいて、容器はその幅の一部だけにわたって切り取られた金属フォイルの蓋を備えている。この容器が飲料製造機内に挿入されるとき、コイル6aの真下のパターンは、コイル6bの真下のパターンと同じである。しかしながら、当然のことながら、この実施形態における関連性のある端部区域42a、42b(すなわち、コイルの真下の部分)は、図4a、4b及び4dで示された実施形態で表されたような部分に対して垂直である。
【0062】
図4dは、金属フォイルの蓋が成形されており、その幅の一部だけにわたって切り取られているさらなる実施形態を示している。そのようなものとして、蓋の対向する端部の近くに位置している端部区域42a、42bは、容器の幅全体にわたって延在していない。この容器が飲料製造機内に挿入されるとき、コイル6aの真下のパターンは、コイル6bの真下のパターンと同じである。
【0063】
図5aから5eは、飲料製造機内の容器の位置または容器上の導電材料の位置の変化の影響を図示している。図5aから5eのそれぞれにおいて示された容器は同一であり、容器の蓋のそれぞれの端部で同じパターンを有するようにコード化されている。
【0064】
これらの実施形態において、コード化システムは、非導電材料だけを備えている追加のパターン(パターンE)と共に、図3のセット1に対応している。個々の容器は、その幅全体にわたって切り取られた金属フォイルの蓋を有している。実際、蓋は、対称的な方法でそれぞれの端部が切り取られている(例えば、図4aに図示されている)。このパターンのセットは、四つの異なる容器の種類をコード化するのに十分であり、及び個々の容器の種類は、機械パラメータの異なるセットに関連付けることができると予想される。個々の容器の種類は、一つがコイル6aの真下のパターン、他の一つがコイル6bの真下のパターンの一対のパターンによってコード化されている。冗長性の度合いが、所与の容器の種類が多重パターンの対によってコード化されるように、パターンのこれらの対をグループ化することによりコード化システムに導入される(表1を参照)。
【0065】
このコード化システムの利点は、コイルに対して導電材料の端部の整列がいくらか変わりやすいにも関わらず、それが信頼性のある容器認識を可能にしていることである。これは以下でより詳細に説明されている。
【0066】
【表1】
【0067】
図5cは、コイル6a、6bに対して中心に整列された容器を示している。個々のコイル6a、6bの真下のパターンは、パターンBに対応しており、それ故図5cにおける容器は容器タイプ2として識別される。
【0068】
図5b、5c、及び5dは、飲料製造機内の容器4の横方向の位置を変化させた影響を示している。図5dの容器4は右に移動されているのに対して、図5bの容器4は左に移動されている。端部区域42a、42bは実質的に真っすぐなので、容器を横方向に移動させることは、個々のコイル6a、6bの真下のパターンに何ら影響を与えない。それ故、図5b及び5dにおける容器はどちらも、容器タイプ2として識別される。飲料製造機内の容器の配置に変化はないが、代わりに金属フォイルの蓋が容器に対して横方向に置き違えられた場合も、同様の結果が得られる。
【0069】
図5a、5c、及び5eは、飲料製造機内の容器の縦方向の位置の変化の影響を示している。図5eの容器がコイル6aの方へ移動されているのに対して、図5aの容器はコイル6bの方へ移動されている。この場合には、図5a及び5eにおける個々のコイルの真下のパターンは、図5cで示されたものと異なっており、一つのコイルの真下のフォイルはパターンAに対応しており、及び他のコイルの真下のフォイルはパターンCに対応している。しかしながら、コード化システムにおける冗長性に起因して、図5a及び5eにおける容器はいずれも、依然として容器タイプ2として識別されている。この場合もやはり、飲料製造機内の容器の配置に変化はないが、代わりに金属フォイルの蓋が容器に対して縦方向に置き違えられた、すなわち、フォイルの蓋が容器の一つの端部に近づいて配置された場合も、同様の結果が得られる。
【0070】
図6aから6cは、本発明の実施形態による容器を形成するために組み付けられる蓋、ベースユニット、及び導電性構成要素の斜視図である。
【0071】
図6aは、容器の蓋50の斜視図である。蓋は非導電材料、好ましくはポリマーフィルムで作られ、及び二つのミシン目40a、40bを備えている。
【0072】
図6bは、リム51を有するベースユニット28の斜視図である。容器の組み付けにおいて、蓋は、リム51の周りでベースユニットに、好ましくは熱シールによって取り付けられる。突出リップ30は、リムの周りの全体に延在している。ベースユニット全体は、非導電材料から形成されている。これは、例えば、ポリプロピレンのような熱可塑性材料を熱成形することによって達成され得る。
【0073】
図6cは、導電材料44からなる構成要素52の斜視図である。二つの端部区域42a、42bは、構成要素52の導電材料44を横切っている。構成要素がベースユニットに関連付けられると、これらの端部区域42a、42bは突出リップ30と関連付くようになる。構成要素は、好ましくはアルミニウムで形成される。構成要素は、ベースユニットに関連付けられるように成形されている。好ましくは、容器の組み付けにおいて、構成要素52の導電材料44は、それがリップの真下に位置するように、突出リップに関連付けられる(例えば、図7を参照)。しかしながら、構成要素52は、蓋の上部、またはベースユニットと蓋との間にも同じように良好に位置させることができる。構成要素は、ベースユニットまたは蓋に(例えば、接着によって)物理的に取り付けられることができる。しかしながら、構成要素が突出リップに解放可能なように関連付けられることも同様に想定される。例えば、当然のことながら、図6cに示された構成要素は、構成要素が図6bのベースユニットに解放可能なようにはめ込むことを可能にしている中心開口を備えている。
【0074】
代りに、容器が飲料製造機の容器ホルダー内に挿入されたときに、容器の突出リップが構成要素52の上に置かれ、関連付けられるように、構成要素52は、パッケージホルダーの上に置かれているか、または取り付けられている。
【0075】
図7は、図6aから6cの蓋50、ベースユニット28、及び構成要素52を組み付けることにより得られた容器の断面図を示している。ベースユニット28は、茶材料34を含む区分室32を画定している。蓋50は、リムの周りでベースユニット28に取り付けられている。構成要素52は突出リップ30の底面に解放可能なように関連付けられている。
【符号の説明】
【0076】
2 ホルダー
4 容器
6a、6b コイル
8 ブルーイングチャンバ
10 リザーバ
12 水フィルター
14 水ポンプ
16 ヒーター
18 バルブ
20 空気ポンプ
22 容器
24 注ぎ口
26 リンスヘッド
28 ベースユニット
30 突出リップ
32 区分室
34 茶材料
36 周辺部
38 中心蓋部
40a、40b ミシン目
42、42a、42b 端部区域
44 導電領域
46 非導電領域
48 スリット
50 蓋
51 リム
52 構成要素
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6a
図6b
図6c
図7