(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電子ビーム放射源(10)が、前記電子射出窓(20)から放射された前記電子ビーム(16)が前記センサデバイス(56)の前記感知領域(58)内を通り抜けるように、前記センサデバイス(56)を通過するように適合されている請求項1に記載の照射装置(36)。
前記電子ビーム放射源(10)と前記センサデバイス(56)が、前記電子ビーム放射源が前記センサデバイスの上を通過するとき、前記電子射出窓(20)の表面に対応する面(P0)が前記センサデバイスの第1の面(P1)に対して平行な方向に移動するように互いに対して配置されている請求項4に記載の照射装置(36)。
前記電子ビーム放射源(10)の前記電子射出窓(20)が、少なくとも一時的に前記プレート(74)と対面するように適合されており、前記プレート(74)が、前記電子射出窓(20)と前記少なくとも1つのX線撮像センサ(70)の間に、障壁として、前記電子が前記プレート(74)に当たるように配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の照射装置。
前記電子ビーム放射源(10)と前記センサデバイス(56)が、前記電子射出窓と前記センサデバイスの前記プレートが互いに対面するように相対運動するように適合されている請求項1から7のいずれか一項に記載の照射装置。
前記センサデバイス(56)と前記電子ビーム放射源(10)が、前記電子ビーム放射源(10)が前記センサデバイス(56)を通過するとき前記電子射出窓表面の面(P0)と前記センサデバイス(56)の前記第1の面(P1)の間に1〜10mmの範囲の距離が形成されるよう互いに対して配置されている請求項5に記載の照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、対象物を電子ビームで照射するための照射装置を提供することである。照射装置は、前記電子ビームが通って放射される電子射出窓を有する少なくとも1つの電子ビーム放射源と、電子ビームの少なくとも第1の線量制御パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサデバイスとを備える。センサデバイスは、少なくとも前記電子ビームに一時的に暴露されるように適合されたプレートの形態の感知領域であって、前記プレートが、前記電子ビームの電子が衝突したときX線を発生するようにさらに適合されている感知領域と、発生されたX線を検出するように適合された少なくとも1つのX線撮像センサとを備える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つまたは複数の実施形態では、前記電子ビーム放射源は、電子射出窓から放射された電子ビームがセンサデバイスの感知領域内を通り抜けるように、センサデバイスを通過するように適合されている。
【0010】
1つまたは複数の実施形態では、前記第1の線量制御パラメータは線量率(kGy/s)である。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、センサデバイスは、少なくとも1つのX線撮像センサからの情報を処理するための線量処理モジュールに接続されている。
【0012】
1つまたは複数の実施形態では、線量制御モジュールにおいて、第1の線量制御パラメータが、電子ビーム放射源に供給された電流および電圧と、センサデバイスに対する電子ビーム放射源の位置とを含んでいる第2の線量制御パラメータとともに処理される。
【0013】
1つまたは複数の実施形態では、線量処理モジュールは、測定された第1の線量制御パラメータが許容できる事前設定の線量制御パラメータの範囲内にないとき、信号を供給するように適合されている。
【0014】
1つまたは複数の実施形態では、線量処理モジュールは、電子ビームの線量制御パラメータの線量マッピング画像を生成するように適合されている。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、センサデバイスの感知領域は、感知領域の面における全体の電子ビームの少なくとも延長部を対象として含み、第1の制御パラメータは、センサデバイスの上の電子ビームの通過中に検出される。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、電子ビーム放射源とセンサデバイスは、電子ビーム放射源がセンサデバイスの上を通過するとき、電子射出窓の表面に対応する面が、センサデバイスの第1の面に対して平行な方向に移動するように互いに対して配置されている。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、線量処理モジュールは、放射源制御モジュールおよび照射制御モジュールと通信し、第2の線量制御パラメータは、前記放射源制御モジュールおよび前記照射制御モジュールから線量処理モジュールに送られるように適合される。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、放射源制御モジュールは、電子ビーム放射源のフィラメントの電流と、電子射出窓と前記フィラメントの間の電圧とを測定するための手段に接続されている。
【0019】
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つのX線撮像センサは、光電子増倍管または光ダイオードの配列に接続されたシンチレータを備える。
【0020】
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つのX線撮像センサはCCDセンサまたはCMOSセンサである。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、プレートは金属材料で製作されている。
【0022】
1つまたは複数の実施形態では、電子ビーム放射源の電子射出窓は、少なくとも一時的に前記プレートと対面するように適合されており、前記プレートは、電子が前記プレートに当たるように、電子射出窓と少なくとも1つのX線撮像センサの間の障壁として配置されている。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、電子ビーム放射源とセンサデバイスは、電子射出窓とセンサデバイスのプレートが互いに対面するように相対運動するように適合されている。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、少なくとも1つのX線撮像センサは、前記プレートを蓋として有するボックスの中にカプセル化されている。
【0025】
1つまたは複数の実施形態では、感知領域は、電子ビームの全体の断面を受けることができるほど十分に大きいものである。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、プレートは、電子ビームの電子が通過するのを防止し得るほど十分に厚いものである。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、センサデバイスと電子ビーム放射源は、電子ビーム放射源がセンサデバイスを通過するとき、電子射出窓表面の面とセンサデバイスの第1の面の間に1〜10mmの範囲の距離が形成されるよう互いに対して配置されている。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、第2の感知領域は、第2の面に配置されており、前記第2の面は、第1の面と平行であり、電子射出窓の面に対して実質的に垂直な方向において第1の面と間隔があって電子射出窓の前記面から離れている。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、照射装置は、包装容器の形態の対象物を滅菌するのに使用される充填機に設けられ、包装容器の送込みポイントである第1の位置と、包装容器の送出しポイントである第2の位置とを備える。電子ビーム放射源は、第1の位置から第2の位置への第1の運動を遂行して、前記第1の運動中に、前記包装容器を照射するために、包装容器と少なくとも一時的に係合するように適合されており、また、第2の位置から第1の位置への第2の運動を遂行して、前記第2の運動中に、電子射出窓から放射した電子ビームをセンサデバイスの感知領域内に少なくとも一時的に配置するように、センサデバイスを通過するように適合されている。
【0030】
1つまたは複数の実施形態では、前記第2の運動中に、電子ビーム放射源は、電子ビームの少なくとも1つの線量制御パラメータを測定することができるように、センサデバイスと一時的に一致する。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、前記電子ビーム放射源は回転可能な運搬台上に配置されており、運搬台は、電子ビーム放射源を、包装容器送込みポイントおよび包装容器送出しポイントを通過させるように適合されている。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、照射装置が備える包装容器搬送手段は、運搬台の回転と同期して包装容器を前記包装容器送込みポイントから前記包装容器送出しポイントへ搬送するように適合されており、電子ビーム放射源と整列している。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、包装容器搬送手段は、包装容器を、電子ビーム放射源に対して、包装容器と電子ビーム放射源が互いに係合しない非係合位置と、包装容器と電子ビーム放射源が互いに完全に係合する係合位置との間で変位させるようにさらに適合されている。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、照射装置は複数の電子ビーム放射源を備える。
【0035】
本発明は、電子ビームで対象物を照射する方法にも関するものである。この方法は、電子ビーム放射源の電子射出窓を通して電子ビームを放射するステップと、センサデバイスによって少なくとも電子ビームの第1の線量制御パラメータを測定するステップとを含み、前記測定するステップは、電子が当たるとX線を生成するように適合されたプレートに電子ビームの電子を当て、生成されたX線を少なくとも1つのX線撮像センサで検出するステップを含む。
【0036】
1つまたは複数の実施形態では、この方法は、充填機において、包装容器の形態の対象物を電子ビームで照射するのに用いられる。この方法は、包装容器送込みポイントである第1の位置を用意するステップと、包装容器送出しポイントである第2の位置を用意するステップと、前記電子ビーム放射源の、第1の位置から第2の位置への第1の運動を遂行するステップであって、前記第1の運動中に、前記包装容器を照射するように、電子ビーム放射源を包装容器と少なくとも一時的に係合させるステップと、前記電子ビーム放射源の、第2の位置から第1の位置への第2の運動を遂行するステップであって、電子ビーム放射源が、前記第2の運動中に、電子射出窓から放射した電子ビームをセンサデバイスの感知領域内に少なくとも一時的に配置するように、センサデバイスを通過するように適合されているステップとを含む。
【0037】
1つまたは複数の実施形態では、この方法は、センサデバイスと線量処理モジュールの間を接続するステップと、少なくとも1つのX線撮像センサからの情報を線量処理モジュールで処理するステップであって、前記線量処理モジュールが、測定された線量制御パラメータが許容できる事前設定の線量制御パラメータの範囲内にないとき、信号を供給するように適合されているステップとを含む。
【0038】
以下で、本発明の現在好ましい実施形態を、添付の概略図を参照しながらより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の照射装置は多くの目的に使用されてよく、1つには、たとえば包装容器、プラスチックのプリフォーム、ペットボトル、プラスチックのバッグ、医療機器などの対象物の滅菌がある。以下で、
図1を参照しながら、例示的電子ビーム放射源10および電子ビーム滅菌の概念を概説する。滅菌されている対象物は、充填準備の整った包装容器12である。
【0041】
電子ビーム放射源10は、実質的に円形の電子ビーム16を放射するための電子発生器14を備える。電子発生器14は、密閉された真空チャンバ18の中に囲われている。前記真空チャンバ18は電子射出窓20を備える。
【0042】
電子発生器14は、カソード筐体22およびフィラメント24を備える。任意選択で、電子発生器14は、制御グリッド26も備える。使用においては、電子ビーム16は、フィラメント24を加熱することによって生成される。フィラメント24を通って電流が供給されると、フィラメント24は、その電気抵抗によって約2000℃の温度に加熱される。この加熱により、フィラメント24は、電子のクラウドを放射する。電子は、カソード筐体22と射出窓20(アノードである)の間の高電位によって電子射出窓20の方へ加速される。さらに、電子は、電子射出窓20を通り、目標領域(この場合は包装容器12の内側)の方へ進み続ける。
【0043】
高電位は、たとえばカソード筐体22およびフィラメント24を電源28に接続し、真空チャンバを接地30に接続することによって生成される。フィラメントは、第2の接続29も必要とする。電圧が300kV未満であれば、電子ビーム放射源10は、一般に低電圧電子ビーム放射源であると表される。包装容器の滅菌のために、通常、約50〜150kVの動作電圧が用いられる。開示された設計では、加速電圧は、約95kVである。この電圧は、各電子について95keVの運動(原動力(motive))エネルギーをもたらす。制御グリッド26にも電位を与えることによって、電子放出がさらに制御され得る。個別の可変電位を制御グリッド26に印加すると、制御グリッド26を、生成された電子ビームの能動的な形成のために使用することができる。これらの目的のために、制御グリッド26は、個別の電源32に電気的に接続されてよい。
【0044】
フィラメント24はタングステンで製作することができる。フィラメント24と電子ビーム射出窓20との間に配置されたグリッド26は、複数の開口を備え、電子ビーム16をより均一なビームへと拡散するため、および電子ビーム16を目標領域の方へ合焦するために使用される。
【0045】
前述のように、放射源10は電子射出窓20をさらに備える。窓20は、たとえばチタンなどの金属箔で製作され、約4〜12μmの厚さを有する。アルミニウムまたは銅で形成された支持ネット(図示せず)が、真空チャンバ18の内部から金属箔を支持する。電子は射出窓20を通って真空チャンバ18を出る。
【0046】
この実施形態では、真空チャンバ18は、実質的に円筒対称性を有する2つの円筒体18a、18bから構成されている。第1の円筒体18aの終端は、電子射出窓20を備える。前記第1の円筒体18aの直径は、充填準備の整った包装容器12の中に挿入され得るほど十分に小さく、前記第1の円筒体の断面は、包装容器12の開口34を通って導かれ得るように寸法設定されている。第2の円筒体18bは電子ビーム発生器14を備え、前記第2の円筒体18bの直径は第1の円筒体18aよりも大きい。放射された電子ビーム16の直径は、引き続き放射源10の内部にある間は、第1の円筒体18aの直径よりも小さい。
【0047】
図1において、包装容器の開口34は開いた下端であり、充填後に密閉されて折り畳まれ、実質的に平坦な底面を形成することになる。しかしながら、他の実施形態では、開口が包装容器の頂部に配置されて、包装容器の首または注ぎ口の部分を構成し得ることを理解されたい。そのような首または注ぎ口の部分は、充填後に、たとえばねじぶたで密閉されることになる。
【0048】
図2aには、本発明の全体的概念または概念上の考えを説明する本発明の第1の実施形態が示されている。包装容器は、充填機の照射装置内の電子ビーム放射源からの電子ビームによって滅菌されることになる。照射装置には、電子ビームの少なくとも1つの線量制御パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサデバイスが配置されている。電子ビーム放射源は、電子射出窓を有し、第1の位置35から第2の位置37へ、また第2の位置37から第1の位置35へ移動することができるように適合されている。位置35、37は図中の円によって示されており、電子ビーム放射源の運動は矢印で示されている。前記電子ビーム放射源は、前記包装容器を照射するために、第1の位置35と第2の位置37の間で包装容器と少なくとも一時的に係合するように適合されている。電子ビーム放射源は、センサデバイス56が、前記電子ビーム放射源の電子ビームの少なくとも1つの線量制御パラメータを測定することができるように、第2の位置37と第1の位置35の間で、電子射出窓が少なくとも一時的にセンサデバイス56と実質的に連動するように配置される。電子ビーム放射源は、包装容器と同時に第1の位置35から第2の位置37へ移送されるように適合されており、その移送中に、電子ビーム放射源が包装容器を滅菌する。電子ビーム放射源は、次いで、第2の位置37から第1の位置35へさらに移送され、その移送中に、電子ビーム放射源がセンサデバイス56を通過する。電子ビーム放射源は、第1の位置35から第2の位置37へ行って第1の位置35へ戻るという全体の移送を通じて作動しており、すなわち電子ビームを放射している。電子ビームデバイスは、
図1に関連して説明されたタイプであるが、あるいはボトルタイプの包装容器を滅菌するのに適した別のタイプであり得る。
【0049】
第1の位置35は、包装容器の送込みポイント42に相当する(
図3bを参照されたい)。送込みポイントにおいて、包装容器は、電子ビーム放射源に対する垂直方向の移動を開始し、その結果、電子ビーム放射源は、包装容器を滅菌するために、包装容器の開口(
図1の参照数字34)に入り込み始める。第2の位置37は、包装容器の送出しポイント44に相当する(
図3bを参照されたい)。送出しポイント44では、包装容器は、電子ビーム放射源との係合から解放されているかまたは解放される寸前であり、すなわち、包装容器は、電子ビーム放射源に対して垂直方向に移動して、電子ビーム放射源を包装容器の開口に収容する位置から離れる。電子ビーム放射源および包装容器の第1の位置35から第2の位置37への移送は包装容器の滅菌サイクルであり、一方、電子ビーム放射源の、第2の位置37から第1の位置35への移送は、電子ビームの線量測定サイクルである。したがって、線量測定サイクルは、後続の包装容器の滅菌サイクルの間に遂行される。
【0050】
図2bが示す第2の一般的な実施形態は、第1の実施形態の軽微な変形を伴う形態である。第1の位置は、前述の第1の位置35と類似の位置であるが、ここでは35'と表されている。第2の位置は、前述の第2の位置37と類似の位置であるが、ここでは37'と表されている。これらの実施形態の間の差は、包装滅菌サイクルが、線量測定サイクルよりもかなり長い移送距離および/または時間を包含していることである。
【0051】
図3aおよび
図3bは、本発明の第3の実施形態を示し、より詳細な実施形態が先の2つと比較されている。2つの図は、前述の電子ビーム放射源10のいくつかが配置されている照射装置36を示す。この実施形態では、6つの放射源10が回転可能な運搬台38に設けられている。回転可能な運搬台38は、この実施形態では回転盤として成形されており、中心シャフト40のまわりで回転可能である。回転の方向は矢印Rで示されており、回転可能な運動は連続的である。放射源10は運搬台38に固定されており、その結果、運搬台38が回転するとき、ともに搬送される。包装容器は、放射源10の長手方向の延長部に対して横方向に搬送される。
【0052】
照射装置36がさらに備える包装容器搬送手段(図示せず)は、包装容器10を、運搬台の回転運動と同期させ、電子ビーム放射源10と整列させて、送込みポイント42から送出しポイント44へ搬送するように適合されている。包装容器12は、電子ビーム放射源10と同期して移動し、
図1の一点鎖線aに見られるように、包装容器12の長手方向の中心軸が電子ビーム放射源10の長手方向の中心軸と整列する。
【0053】
包装容器搬送手段は、包装容器12を電子ビーム放射源10に対して垂直に変位させるようにさらに適合されている。示された実施形態では、電子ビーム放射源10は、運搬台38に静止して配置されており、包装容器12の方へ移動することができない。包装容器搬送手段は、包装容器12を、電子ビーム放射源10に対して、包装容器12と電子ビーム放射源10が互いに係合しない非係合位置と、包装容器12と電子ビーム放射源が互いに完全に係合する係合位置との間で変位させることができる。包装容器12は、送込みポイント42および送出しポイント44において非係合位置に配置され、すなわち電子ビーム放射源10と係合しない。この実施形態では、送込みポイント42および送出しポイント44は、以前に説明された実施形態の第1の位置35および第2の位置37に類似である。
【0054】
送込みポイント42では、包装容器12が、送込み回転盤46から照射装置36に供給される。各包装容器12は、対応する電子ビーム放射源10に沿って整列される。運搬台38が回転すると、その結果、電子ビーム放射源10および包装容器12が送込みポイント42から送出しポイント44へと回転し、包装容器12搬送手段が、包装容器12を電子ビーム放射源10の方へ変位させ、その結果、包装容器10を滅菌するために、電子ビーム放射源10が包装容器12の開口34に収容される。包装容器12は、送込みポイント42と送出しポイント44の間のどこかで、電子ビーム放射源10と完全に係合するように変位される。係合位置は、
図1に示されている。
【0055】
包装容器搬送手段は本発明の対象ではなく、したがって詳細に説明されない。包装容器搬送手段は、運搬台38もしくは電子ビーム放射源10、またはその組合せの上に配置されてよい。あるいは、包装容器搬送手段は、運搬台38から分離しているが、運搬台の回転と同期して包装容器12を搬送することができるように配置されてもよい。たとえば、包装容器搬送手段は、運搬台38を囲む照射遮蔽装置上に配置されてよい。包装容器搬送手段は、包装容器12を把持するように適合された包装容器把持手段を備える。
【0056】
送出しポイント44に到達すると、包装容器12の滅菌サイクル(または照射サイクル)が完了して、包装容器12は、係合位置から非係合位置へ後退している。したがって、包装容器12は、次いで、充填装置(図示せず)へさらに移動するように、送出し回転盤54によって照射装置36から送られる準備ができている。送出しポイント44から送込みポイント42へ戻る、運搬台38のさらなる回転に際して、電子ビーム放射源10は、いかなる包装容器12とも係合しないが、引き続き作動中であり、すなわち、同一の電子ビームを引き続き放射している。再び送込みポイント42に到達すると、送込み回転盤46から供給された新規の包装容器12に対して新規の滅菌サイクルが開始される。
【0057】
送込み回転盤46および送出し回転盤54は本発明の対象ではなく、したがって詳細に説明されない。送込みポイント42において、包装容器12は、送込み回転盤46から照射装置36の運搬台38へ移動される。送出しポイント44において、包装容器12は、充填ステーションへのさらなる移送のために、運搬台38から送出し回転盤54へ移動される。
【0058】
本発明の照射装置36の中で、センサデバイス56は、包装容器送出しポイント44と包装容器送込みポイント42の間の領域、すなわち照射装置36内で包装容器12が存在しない領域に静止して配置されている。センサデバイス56は、電子ビーム放射源10がセンサデバイスの頂面であるセンサ領域58を通過することができるように配置されており、さらに、電子ビーム放射源10がその上を通るとき、前記電子ビーム放射源10の電子ビーム16の第1の線量制御パラメータを測定することができるように、電子射出窓20と一時的に一致するように配置されている。センサデバイス56は表面形のセンサデバイスであるので、センサデバイスと電子射出窓が互いに整列したとき、すなわちセンサ表面の仮想中心軸(センサ表面に対して垂直に延在する)が、電子射出窓の中心軸(電子射出窓に対して垂直に延在する)と整列したとき、「スナップショット」測定が行われる。その時点で、測定される電子ビームの境界がセンサデバイス56の感知領域58内になければならない。
【0059】
電子ビーム放射源10とセンサデバイス56は、電子ビーム放射源10がセンサデバイス56の上を通過するとき、電子射出窓20の表面に相当する面P
0が、センサデバイス56の第1の面P
1に対して平行な方向に移動するように互いに対して配置されている。これは
図10に示されている。2つの面P
0およびP
1は図において破線として示されている。さらに、
図10に一部分のみ示されている電子ビーム放射源10は、電子射出窓20から放射された電子ビーム16がセンサデバイス56の感知領域58内を通り抜けるように移動するように適合されている。感知領域58は後で説明するプレート74である。電子射出窓の面P
0と第1の面P
1の間の距離は、50〜150kVの範囲内の動作電圧の電子ビーム放射源に対して約0.5〜15mmの範囲である。好ましくは、約1〜10mmの範囲内の距離が用いられる。この距離は、好ましくは、電子ビームすなわち電子雲上の測定しようとするところに依拠して選択される。電子ビームは、かなり狭い形状で電子射出窓を出て、電子が電子射出窓から離れたところ達したときには散乱していて、より広くなっている。
図10において、電子ビームの境界が最大の幅Wを有するところに類似のレベルに面P
1が与えられることが理解される。あるいは、センサデバイスは、面P
1が、電子射出窓20に非常に接近するように、すなわち
図10に示されたものよりも接近するように配置される。この場合、電子ビームの、より散乱の少ないところで測定が行われる。ボトルの直径が電子射出窓の直径よりも大きいので、ボトルの内面に完全に到達することができるために、散乱は、通常は望まれる効果である。一般に、散乱は、シミュレーションによって予測する、または試験することができ、特定の電子ビームプロファイルについては、散乱が基本的には同一に見えるはずである。したがって、電子ビームの最大の幅Wにおいて測定するよりも、電子射出窓により近接して測定することが可能である。
【0060】
照射装置36が概略的に説明されてきた。本発明に含まれる照射装置36の部分のみが説明されてきたが、照射装置は、運搬台38および包装容器搬送手段を駆動するための駆動装置、電子およびX線が装置の外部環境に広がらないことを保証するために照射装置36を囲む照射遮蔽、および、十分な無菌ゾーンを生成して保持するための流れ障壁もしくは物理的壁またはこれらの組合せのいずれかである無菌障壁などのさらなる部分も備えることを理解されたい。
【0061】
図4は、モジュールが互いに接続され、センサデバイス56にも接続されている様子を示す。図から理解されるように、線量処理モジュール60は放射源制御モジュール64と通信する。前記放射源制御モジュール64は、電子ビーム放射源に送られた電流および電圧、すなわち電子ビーム放射源10のフィラメント24の電流および電子射出窓20と前記フィラメント24の間の電圧など、第2の線量制御パラメータの少なくとも第1の部分を処理する。この情報は線量処理モジュール60に送られる。第2の線量制御パラメータの第2の部分は、充填機制御モジュールの一部分である照射装置制御モジュール64によって処理される。この第2の部分は、少なくともセンサデバイスに対する電子ビーム放射源の位置に関係するものである。この情報は、放射源制御モジュールを介して、または直接、線量処理モジュールに送られる。したがって、これらの第2の制御パラメータのすべてが線量処理モジュール60に送られる。第2の線量制御パラメータが、第1の線量制御パラメータとともに処理される。
【0062】
電子ビームが正常かどうか判断するために、第2の線量制御パラメータの情報を用いて第1の線量制御パラメータが処理される。センサデバイスからの測定値を、電子ビーム放射源の位置に関する情報ならびにセンサデバイスが測定するとき放射源に供給される電圧および電流と組み合わせることが重要である。
【0063】
さらに、線量処理モジュール60は、線量率が、事前設定の線量率の許容範囲内になければ、充填機の照射装置制御モジュール64に対してフィードバック信号を供給するように適合されている。充填機は、包装容器を製作するためのマシンであり、包装容器を滅菌し、充填して密閉する。照射装置は、滅菌を遂行するマシンの一部分を形成する。照射装置制御モジュール64は、たとえば充填機のPLC(プログラマブルロジックコントローラ)モジュールの一部分である。
【0064】
線量処理モジュール60から照射装置制御モジュール64へのフィードバックは即値であり、不適当な線量の場合に迅速に対策を講じることができる。この観点の利点は、線量があらゆる滅菌サイクルの間に測定され、したがって、滅菌が不適当な包装容器の存在が早期に発見され得ることである。これにより、従来技術の日々の線量測定と比較して、棄却されなければならない包装容器の量が低減される。
【0065】
現在の線量制御パラメータは、たとえば最悪ケースの値といった設定値と比較されるか、または許容値の範囲内にあることが検査される。これは、以下のやり方で行われ得る。センサデバイス56または線量処理モジュール60は、線量制御パラメータの2次元(2次元の)画像または2次元マトリクスを生成することができるタイプである。説明された実施形態では、画像は、各ポイントにおける線量率(kGy/s)に関する情報を含み、したがって電子ビーム形状に関する情報も間接的に含む。線量率および電子ビーム形状は、以下でより詳細に説明する。各点の情報を評価することができるように、センサデバイス56または線量処理モジュール60は、容認できない相違を検出する目的で、生成された2次元画像または2次元マトリクスを事前設定の画像またはマトリクスと比較することができるデジタル画像処理手段またはマトリクス処理手段を備える。あるいは、前記事前設定の2次元画像は、それぞれが許容値の上方境界および下方境界を定義している2つの事前設定の2次元画像と比較されてよい。
【0066】
さらに、線量処理モジュール60は放射源制御モジュール64に接続されている。放射源制御モジュール64は、たとえば電子ビーム放射源10に供給される電圧および電流を制御し、かつ調節するのに使用される。線量処理モジュール60を放射源制御モジュール64に接続することにより、電圧および電流は、センサデバイス56からの入力または記憶された事前設定の線量制御パラメータに基づいて調節され得る。これは、利用可能な滅菌時間の間に正確に滅菌することを保証するために、より多くの電子を放射する必要があることが発見された場合に有益である。
【0067】
線量処理モジュール60および放射源制御モジュール64は、電子ビーム放射源10を較正するためにさらに利用され得る。運搬台38上のすべての電子ビーム放射源10が同じ1つのセンサデバイス56で測定されるので、放射源10の各線量制御パラメータを互いに比較することができる。たとえば、各電子ビーム放射源の間で受け入れがたいほどパラメータが異なる場合、放射源制御モジュール64は、各電子ビーム放射源の電圧および電流を調節することができ、その結果、各電子ビーム放射源10のパラメータが等しくなり、または少なくとも許容範囲内になる。
【0068】
線量処理モジュール60、放射源制御モジュール64、および照射装置制御モジュール62は、1つのハードウェアユニットに含まれ得る、または分離されて2つもしくはいくつかのハードウェアユニットに含まれ得るソフトウェアモジュールである。
【0069】
さらに、前述の照射装置制御モジュール62は、フィードバック信号に基づいて、十分に照射された包装容器から照射が不十分な包装容器を分離するための装置(図示せず)に接続される。線量処理モジュール60から、照射装置制御モジュール62に対して、たった今送出された包装容器12は動作が不適当な放射源10によって滅菌されたものであるという信号があると、照射装置制御モジュール62は、分離装置に対して、滅菌が不適当な包装容器を分離するように信号を送る。そのようにして、充填工程に進み得るのは適切に滅菌された包装容器のみとなることが保証される。あるいは、照射装置制御モジュール62は、滅菌が不適当な包装容器を再度滅菌するための装置(図示せず)に接続される。再度滅菌するための装置は、不良の包装容器を送出し装置において捕捉し、送込み装置へ戻して、もう1つの滅菌サイクルにかけることを可能にする。この包装容器は既にいくらかの線量を受け取っている可能性があるので、再循環された包装容器に過度の線量を与えないように、放射源の動作電圧を調節しなければならないことがある。包装容器を蓄積するための装置を設けることも必要である。照射装置に供給される包装容器が連続的に流れているので、再循環する包装容器は、明らかにいくつかの問題の原因となることがある。再循環する包装容器が放射源のうちの1つを占有して、照射室に新規の包装容器を送り込めないことがある。蓄積するための装置は、照射装置への進入を拒絶されている新規の包装容器を蓄積することができる。何らかの適切な時期に、好ましくは新規の包装容器の生産を停止した状態で、蓄積装置を空にすることができる。
【0070】
センサデバイス56は任意の適切なタイプでよい。センサデバイス56は、たとえばセンサが、たとえば国際公開WO2007/050007で説明されているようなラインタイプであれば、それぞれの測定する別々のパラメータ用の一組のセンサから成るものでよく、あるいは2次元の画像測定またはマトリクス測定を一緒に形成する必要がある。センサデバイス56は、
図3aに示されるような、全表面58が電子ビーム16を測定することができる表面タイプでもよい。次いで、センサ表面58のサイズは、好ましくは、電子ビーム16の領域よりも大きくなる(すなわち電子射出窓20よりも大きくなる)ように選択される。
【0071】
センサデバイス56で測定される線量制御パラメータは、線量率(kGy/s)および電子ビーム形状を含む。線量率は時間単位当たりの線量送出または線量強度であり、電子ビーム形状は強度分布である。両方を測定して制御することにより、電子ビーム放射源の障害を検出し、包装容器に対して吸収線量を保証し、できる限り低負荷で電子放射源を作動させることが可能になる。
【0072】
包装容器が、たとえば「商品的に無菌」と称される滅菌レベルに達するためには、包装容器の内面のあらゆるポイントで、約25kGy(キログレイ)の吸収線量が必要である。電子の量、分布および範囲が包装容器表面プロファイルに申し分なく適合するビームを送出することができる電子ビーム放射源は、滅菌時間を短く保ち、電子ビーム放射源に対する負荷またはストレスを低く保つのに、もちろん理想的である。電子ビームの負荷またはストレスは、それぞれのポイントにおいて放射された時間単位当たりの電子の量すなわち強度を表す線量率(kGy/s)である。理想的には、放射される電子の量は「過大」である必要はなく、包装容器内に所望の照射を得るのに必要なだけあればよい。たとえば不適当な強度分布のために過大な量が必要な場合、電子ビーム放射源は、同じ滅菌時間を維持するのに、より大きい電流および電圧で動作しなければならない。一般に、これは寿命に悪影響を及ぼす。駆動するのに必要な電流および電圧が大きければ大きいほど、電子ビーム放射源の寿命は短くなるはずである。
【0073】
電子ビーム放射源10が、理想的な線量分布を送出していなければ、包装容器12の内面の全体にわたって必要な線量を得るのに、より長い時間がかかるか、または、電子ビーム放射源からより多くの電子の量を放射しなければならないことになる。電子ビームの分布または強度が本当に不良であると、目標、すなわち包装容器表面には、電子がまったく到達しない、または小量しか到達しないスポットもしくは領域があり、包装容器のすべての領域に線量が到達することさえ不可能なことがある。たとえば、何らかの理由で、電子ビームの一部分が電子ビーム放射源10の内部で偏向されると、いくらかの電子は電子射出窓20を通って達することなく、放射源の内面に当たり、または電子射出窓を抜け出すことができず、包装容器12のいくらかの領域は、線量を受け取らない可能性がある。いくらかの電子のみが電子射出窓20を通って達することもあり、十分な線量に達するまでの時間が実質的に増加することになる。
【0074】
上記のことは
図5によって説明され得る。左の画像は、電子ビーム16の例示の理想的分布(2次元の表現で示されている)を概略的に示すものである。すべての電子がドットとして示されている。この場合、分布は均一であり、強度すなわち線量率は大きいと見なすことができる。右の画像は、機能不良の電子ビーム放射源の、対応する例示的電子ビーム16を示すものである。このビームは、不規則な形状および不均等な分布を有する。領域66にわたって、目標すなわち包装容器表面に到達する電子はなく、別の領域68にわたって、電子の強度または量は、左側に示された電子ビームのものを下回る。そのような電子ビーム放射源で照射されている包装容器は、必要な線量を得ることがなく、棄却する必要があるであろう。
【0075】
理想的な電子ビームの強度および分布は、必ずしも
図5に示されるように見えるとは限らないことに留意されたい。実際、いくつかの用途では、完全に均一な強度および分布ではなく、回転対称であって、窓の半径に沿って同一ではない電子の強度および分布を有することが望まれる。
【0076】
線量マッピングを正確かつ効率的なものにするには、照射装置内の線量処理モジュール60と様々な電子ビーム放射源10の間の較正を行う必要があり、すなわち、線量処理モジュール60は、様々な電子ビーム放射源からの出力がどのように見えるか「学習する」必要がある。電子ビーム放射源の出力は完全に類似しているわけではない可能性があり、すなわち、一般に、放射源ごとに、出力の許容できるばらつきがある。したがって、電子ビーム放射源の出力は、センサデバイス56によって最初に測定され、基準またはベースラインとして記憶される。この較正は、すべての電子ビーム放射源10が1回センサデバイス56を通過するように、運搬台38を単に1回転させることによって行うことができる。電子ビーム放射源を新品と交換する必要がある場合、新規の電子ビーム放射源に対して個別の較正が行われる。
【0077】
一旦、較正が行われると、線量率が、許容できる事前設定の線量率範囲を外れているかどうか判断する様々なやり方がある。ある領域における現在の線量率が、ベースラインまたは基準に基づいて、たとえば最悪ケースの値といった設定値と比較され、または、ベースラインまたは基準のまわりの許容範囲内にあるかどうか検査される。
【0078】
本発明による線量制御パラメータ測定は、電子ビーム放射源で生成され得る電気アークを必ずしも検出するわけではない。アークが生じる期間は1秒未満であり得、電子ビーム放射源がセンサデバイスを通っているときにアークが生じなければ、センサデバイスは検出することができない。しかしながら、包装容器の殺菌中に生じると、無菌でない包装容器がもたらされる可能性がある。したがって、本発明の線量制御パラメータ測定を、現況技術における電子ビーム放射源の電圧および電流の測定と組み合わせるように勧められる。フィラメントの電流は測定され(フィラメントに供給された電流とフィラメントから出る電流が比較され)、電子射出窓とフィラメントの間の電圧、すなわち電位が測定される。アークは、電圧および/または電流の、短く、一時的で、検出可能な変動をもたらすはずである。電流および電圧の測定された値は、放射源制御モジュール64によって処理され、フィードバックが、充填機制御モジュール62に送られる。
【0079】
本発明に伴うさらなる利点には、前述の電流および電圧の測定と組み合わせると、センサデバイスの障害を検出するのに利用され得ることがある。電子ビーム放射源の電圧および電流の監視が許容値を示すが、線量処理モジュール60からのフィードバック信号が、突然、すべての電子ビーム放射源の不具合を示す場合には、センサデバイス56自体の動作不良である可能性が高い。したがって、本発明は、センサデバイス56の障害を検出するのに用いられ得る。
【0080】
本発明に伴うさらなる利点には、本発明が、電子ビーム放射源を交換すべき時期を予測するのに用いられ得ることがある。画像またはマトリクスは、電子射出窓上の堆積物もしくは汚れまたはフィラメントの損耗を示している、不具合がある単一のポイントを見いだすためにより深く解析され得る。さらに、放射源に供給された電流および電圧に対する放射された電子の量が、長時間にわたって監視されてよい。これは、同一の電流および電圧が供給されているにもかかわらず、放射される電子の量に何らかのゆっくりした減少があるのを検出することができるようにするためである。そのようなことは、たとえばフィラメントの損耗の指標であり得る。この情報は、予期される近似の寿命を計算するのに用いられ得る。
【0081】
本発明の第4の実施形態では、センサデバイス56は第1の感知領域58および第2の感知領域58'を含む。
図7では、センサデバイス56は、通過する電子ビーム放射源10を表す破線のボックスとともに示されている。感知領域58、58'は、電子射出窓20の面P
0に対して、2つの異なるレベルに配置されている。したがって、2つの領域は、電子射出窓20に対して異なる距離を有する。電子射出窓20の面P
0と第1の感知領域58の面P
1の間に形成された距離dよりも長い距離Dが、電子射出窓20の面P
0と第2の感知領域58'に対応する面P
2の間に形成されている。
【0082】
図7に示されるように、センサデバイス56は、それぞれが1つの感知領域を有する2つの物理的に分離されたセンサユニットで構成され得、または、隣り合った2つの感知領域がある1つのセンサユニットであり得る。
【0083】
第1の感知領域58と第2の感知領域58'の間のこの距離は、5〜20mmの範囲にある。したがって、より長い距離Dは、より短い距離dの合計に5〜20mmの範囲の距離を加えたものである。
【0084】
一般に、2つの感知領域58と58'の間の距離は、加速電圧と整合させる必要がある。たとえば150kVといった比較的高い加速電圧の場合には、電子は、たとえば95kVといった比較的低い加速電圧の場合よりも遠くへ達するはずである。より高い加速電圧については、感知領域58と58'の間の距離は、より低い加速電圧の場合よりも長くとられてよい。より高電圧については、5〜20mmの距離が選択されてよく、より低い加速電圧の場合には、よりよい距離は約5〜10mmである。
【0085】
感知領域58、58'を、電子射出窓20に対して2つの異なるレベルに配置することにより、電子エネルギー分布が評価され得、これは、包装容器内の線量分布を評価するときに役立つ。
図6は、異なる一般的な電子エネルギー分布曲線A〜Cの3つのグラフを示す。y軸は電子エネルギー準位(keV)を示し、x軸は電子の移動距離(mm)を示す。曲線Aは、初期の電子エネルギーが低い場合の一般的なエネルギー分布を示す。電子射出窓20で比較的大きなエネルギー量が吸収されることになる。電子射出窓20を通った後に電子エネルギーが急速に低下し、第1の感知領域58と第2の感知領域58'の間で、エネルギー分布曲線の急峻な傾斜角をもたらす。初期の電子エネルギーが高ければ、曲線は、一般に曲線Cのようになるはずである。この場合、電子射出窓20でエネルギーがあまり吸収されず、第1の感知領域58と第2の感知領域58'の間の曲線の傾斜角は平坦である。曲線Bは、中位の初期電子エネルギーのエネルギー分布を示し、第1の感知領域58と第2の感知領域58'の間の傾斜角は、曲線Aほど急峻ではなく、曲線Cほど平坦ではない。感知領域58と58'の両方で電子のエネルギーを測定することにより、実際のエネルギー分布曲線の傾斜角を評価することができる。適切に機能している放射源10については、傾斜角は、時間とともに変化することがない。しかしながら、傾斜角が、徐々に、または急激に変化している場合、たとえば電子射出窓に汚れもしくは堆積物がある、または加速電圧にずれがある、といった何かが起こっていると結論付けられ得る。
【0086】
前述の実施形態では、センサデバイス56は、電子ビーム放射源10の電子射出窓20に対して2つの異なるレベルに配置されている第1の感知領域58および第2の感知領域58'を備える。代替実施形態では、センサデバイス56は、電子射出窓20に対して異なるレベルに配置された複数の感知領域を備える。たとえば、電子射出窓に対して3つの異なるレベルに3つの感知領域があってよい。4つ以上の感知領域があってもよい。感知領域がより多ければ、電子エネルギー分布をより正確に評価することができる。
【0087】
前述の実施形態では様々なタイプのセンサデバイスが使用され得る。
図8を参照しながら、例示的センサデバイス56を説明する。センサデバイス56は、蓋74を有するボックス72の中にカプセル化された少なくとも1つのX線撮像センサ70を備える。蓋74は、ボックスの壁のうちの1つとして機能し、ボックス72を閉鎖する。蓋74は、前述の感知領域58と見なされるべきであり、電子ビーム放射源10の電子射出窓20に面するボックス72の頂部に配置されている。この図では、電子射出窓20とセンサデバイス56の間の距離が誇張されている。例示的適用では、この距離は約0.5〜15mmである。蓋74の領域は、好ましくは、電子射出窓20の領域に対して同等以上の大きさである。蓋74は、金属プレートまたは金属フィルムで製作され、たとえばステンレス鋼または銅の、プレートまたはフィルムで製作される。
【0088】
蓋74に、電子ビーム放射源10から来る電子ビーム16の電子e
-が当たると、X線76が生成されて、ボックス72の内部へ部分的に放射される。X線76は少なくとも1つのX線撮像センサ70によって検出される。入射する電子エネルギー分布が一定であると想定すれば、X線センサ70によって検出されるX線の強度は、蓋74に蓄積される単位時間当たりの電子エネルギーに比例する。したがって、X線撮像センサ70からの情報は、たとえば線量率および電子ビーム形状の画像を示すように変換され得る。
【0089】
X線撮像センサ70は、好ましくはプレート74に非常近く配置される。好ましくは、それらの間の距離は1mm未満である。X線は全方向に放射されるので、当たる電子とそれによって生成されるX線の間の対応が保たれた測定値を得るためには、X線を、プレートから(ボックス72へと)出るポイントのできる限り近くで捕捉する必要がある。そうしないと、たとえばプレート70の左側から生じたX線であっても、たとえば撮像センサの真中で測定される可能性がある。
図8では、X線76を示すために、X線撮像センサ70とプレート74の間の距離が誇張されていることに留意されたい。さらに、話を簡単にするために、X線76は一方向にのみ向けられて示されている。
【0090】
X線撮像センサ70には多くのタイプがあり得る。例示的X線撮像センサ70は、光電子増倍管または光ダイオードの配列に接続されたX線シンチレータを備える。シンチレータが含む材料は、X線などの電離放射線に暴露されたとき発光光を放射し、すなわち吸収エネルギーを光の形で再度放射する。光電子増倍管または光ダイオードの配列は、光を検出して、線量率および電子ビーム形状の画像を生成するのに用いられる電気信号に変換する。このために、センサデバイス56は、X線撮像センサ70からの情報を処理して電子ビーム16の線量制御パラメータの画像を生成するための処理手段に接続されている。様々なシンチレータ材料が、電子の様々なエネルギーに対して反応する。これは、第4の実施形態を参照しながら説明したように、様々なレベルにいくつかの感知領域を有するセンサデバイス56に利用され得る。
【0091】
使用され得る他の例示的タイプのX線撮像センサ70には、CCDセンサ(CCD=電荷結合デバイス)またはCMOSセンサ(CMOS=相補型金属酸化膜半導体)がある。
【0092】
蓋74の金属プレートまたは金属フィルムの厚さは、各用途で用いられる電子エネルギーおよび蓋の材料に依拠する。一般に、蓋74のプレートまたはフィルムは、電子ビーム16の電子e
-が通過するのを防止するに足りるほど厚くすべきであるが、X線撮像センサ配列70が電子ビーム放射源10の電子射出窓20にできる限り接近して配置され得るようにできる限り薄くするべきである。
【0093】
ボックス72が有する壁の機能は、X線撮像センサの配列70を周囲の環境から遮蔽して保護することである。ボックスの壁は、たとえばステンレス鋼といった金属で製作される。壁は、外部からの望ましくない電子およびX線を遮蔽することができるほど十分に厚いものである。
【0094】
少なくとも1つのX線撮像センサは、往復形または表面形であり得る。往復形は、ラインに沿って測定するものであり、全体の電子ビームの画像を生成するには、別々の電子ビーム放射源位置で数回の測定をサンプリングする必要がある。表面タイプのX線撮像センサの場合には、全体の電子ビームを1つのインスタンスで測定することができる。プレート74は、往復形のX線撮像センサの場合には、より小さいサイズにすることができる。
【0095】
本発明には方法も含まれるが、照射装置36の説明に関連して大部分が既に説明済である。以下でこの方法を概説する。この方法は、電子射出窓20を有する少なくとも1つの電子ビーム放射源10、および電子ビーム16の第1の線量制御パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサデバイス56を用意するステップを含む。この方法は、第1の位置35および第2の位置37を用意するステップをさらに含む。この方法は、前記電子ビーム放射源を、第1の位置35から第2の位置37へ移動するステップと、第2の位置37から第1の位置35へ移動するステップと、前記包装容器12を照射するために、第1の位置35と第2の位置37の間で、前記電子ビーム放射源を包装容器12と少なくとも一時的に係合させるステップと、センサデバイス56による前記電子ビーム放射源10の電子ビーム16の第1の線量制御パラメータの測定を可能にするために、電子射出窓20を、第2の位置37と第1の位置35の間でセンサデバイス56と実質的に一致するように、少なくとも一時的に配置するステップとをさらに含む。さらに、この方法は、線量処理モジュールのセンサデバイスからの情報を処理して、何らかの線量制御パラメータが、許容できる事前設定の線量制御パラメータ範囲から外れた場合、少なくとも充填機制御モジュールにフィードバック信号を送信するステップを含む。この方法は、センサデバイスまたは線量処理モジュールの線量制御パラメータの2次元画像または2次元マトリクスを生成するステップと、容認できない相違を検出する目的で、デジタル画像処理手段またはマトリクス処理手段を使用して、生成された2次元画像また2次元マトリクスを事前設定の2次元画像または2次元マトリクスと比較するステップとをさらに含む。
【0096】
図9には、線量処理モジュール60とセンサデバイス56が相互接続された様子が示されている。センサデバイス56は放射線遮蔽の内部に配置されている。照射装置から有害な放射およびX線が漏れるのを防止するために、放射源10は放射線遮蔽内に配置する必要がある。放射線遮蔽の一部分が、
図9において壁84として示されている。線量処理モジュール60は、放射線遮蔽の外部に配置されている。線量処理モジュール60とセンサデバイス56の間にケーブル86が与えられている。ケーブル86は放射線遮蔽の孔88を通って延在する。孔88は、話を簡単にするために真っすぐなものとして示されているが、実際には複雑に入り組んだ設計であることを理解されたい。照射室からのあらゆるX線が、放射線遮蔽の外部環境に入り得る前に、放射線遮蔽の壁に2回ぶつかる必要がある。このようにして、センサデバイス56と線量処理モジュール60は、容易に、安定して、互いに接続され得る。
【0097】
本発明が、現在好ましい実施形態に関して説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の目的および範囲から逸脱することなく、様々な修正形態および変更形態が製作され得ることを理解されたい。
【0098】
第3の実施形態における例示的運搬台は円形の回転盤であるが、運搬台は、あるいは任意の形状の循環式コンベアであり得ることが、もちろん理解されるはずである。さらに、運搬台は連続的に回転する。あるいは、代わりに、運搬台は断続的に回転してもよい。センサデバイスのタイプおよび/または位置は、それに応じて選択する必要がある。電子放射源がセンサデバイスと整列して休止するのであれば、センサデバイスは、好ましくは表面タイプのセンサ、すなわち全体の電子ビームを1回で(in one instant)測定することができるセンサデバイスである。ラインタイプのセンサが使用される場合、電子ビーム放射源またはセンサデバイスのうちの1つが、全体の電子ビームを対象にするように移動する必要がある。好ましくは、次いで、電子ビーム放射源が断続的に停止する以前に電子ビームを測定することができるように、センサデバイスが、
図3aに示されたセンサデバイス位置のわずかに左側の位置に配置される。
【0099】
開示された放射源10では、加速電圧は約95kVである。しかしながら、本発明は、その程度の加速電圧に限定されたべきではない。加速電圧は、用途に応じて50〜300kVの間の任意の電圧でよく、たとえばPETボトル産業では、150kVの加速電圧が一般的である。加速電圧に依拠して、適切なセンサデバイス56が選択される。
【0100】
説明された実施形態では、センサデバイス56は静止して配置されており、一方、電子ビーム放射源は、測定することができるように、センサデバイス56を通り越して移動するように適合されている。代替形態では、センサデバイス56も移動可能である。センサデバイス56は、電子ビーム線量測定サイクルの少なくとも一部分の間、電子ビーム放射源とともに、同期し、かつ整列して移動され得る。こうすると、測定ための有効な時間が増加することになる。
【0101】
さらに、説明された実施形態では、電子ビーム放射源およびセンサデバイスは、垂直方向では静止しており、すなわち、互いに対して垂直方向に移動可能に適合されたものはない。代替実施形態では、センサデバイス56および電子ビーム放射源が、線量パラメータ測定に適した位置を与えられるように、少なくとも一方が、他方に対して垂直方向に移動可能である。一方が他方に対して移動可能であるか、または両方がそれぞれの距離を移動可能である。照射装置の設計が、何らかの理由で、電子射出窓20と感知領域58の間に約1〜10mmの範囲の間隙を別様に設けない場合、垂直方向の相対運動が必要である。
【0102】
前述の様々な実施形態は本発明の様々な態様および様々な特徴に的を絞ったものであり、各実施形態が任意のやり方で組み合わされ得ることを理解されたい。