(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240213
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】紫外線硬化樹脂を用いた金属外観効果を具現するインテリアフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20171120BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20171120BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20171120BHJP
B32B 37/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B15/08 H
B32B3/30
B32B37/02
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-546732(P2015-546732)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-505420(P2016-505420A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】KR2013006409
(87)【国際公開番号】WO2014092274
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142829
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】シン・ジュンボム
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ジェボン
【審査官】
飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0019899(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0049283(KR,A)
【文献】
特開平06−099563(JP,A)
【文献】
特開2007−296843(JP,A)
【文献】
特開平05−238196(JP,A)
【文献】
特開2007−245725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属性外観を有するインテリアフィルムの製造方法であって、
基材シートを準備するステップ;
前記基材シートの下端に、表面にヘアラインが形成された紫外線硬化性樹脂層を形成するステップ;
前記紫外線硬化性樹脂層の下端に金属層を形成するステップ;
前記金属層の下端にプライマー層を形成するステップ;及び
前記プライマー層の下端に接着層を形成するステップ;を含み、
前記紫外線硬化性樹脂層の形成ステップは、
前記基材シートが表面に位置する第1のロールを準備するステップ;
前記第1のロールを、表面に凹凸が形成された第2のロールと接しない位置に配置し、隣接した位置に硬化ランプを配置するステップ;
前記第1のロールと前記第2のロールとの間に紫外線硬化性樹脂を供給し、前記第1のロール及び第2のロールのうち一つ以上が回転しながら、前記紫外線硬化性樹脂に第2のロールの凹凸を転写するステップ;を含み、
前記ヘアラインは、
前記インテリアフィルムの長手方向および幅方向に形成され、下記の式1を満たし、0.3μm〜0.7μmの厚さを有し、
前記インテリアフィルムは、
前記基材シートの上端に保護層を有している、
ことを特徴とするインテリアフィルムの製造方法。
a>b ・・・ 式1
aは、前記ヘアラインの長手方向(l)の前記インテリアフィルムの長手方向に対する角度であり、bは、前記ヘアラインの長手方向(l)の前記インテリアフィルムの幅方向に対する角度である。
【請求項2】
前記基材シートの厚さは20μm〜50μmであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記基材シートは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記紫外線硬化性樹脂層の厚さは10μm〜30μmであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記紫外線硬化性樹脂層は、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリレートまたはウレタンアクリレートを用いて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記紫外線硬化性樹脂層の前記ヘアラインは基材シートの反対方向にあることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記保護層の厚さは10μm〜30μmであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1のロールの表面全体または一部に基材シートが位置することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1のロールまたは第2のロールを基準にして前記紫外線硬化性樹脂が供給される方向と反対方向に前記硬化ランプを配置することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記紫外線硬化性樹脂に第2のロールの凹凸が転写されると同時に、基材シートの下端に紫外線硬化性樹脂層が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記第2のロールの凹凸の凸部の高さは0.3μm〜0.7μmであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第2のロールの表面は、凸部の面積が凹部の面積より狭いことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
金属性外観を有するインテリアフィルムであって、
保護層;
基材シート;
表面にヘアラインが形成された紫外線硬化性樹脂層;
金属層;
プライマー層;及び
接着層が順次積層され、
前記ヘアラインは、
前記インテリアフィルムの長手方向および幅方向に形成され、下記の式1を満たし、0.3μm〜0.7μmの厚さを有する、
ことを特徴とするインテリアフィルム。
a>b ・・・ 式1
aは、前記ヘアラインの長手方向(l)の前記インテリアフィルムの長手方向に対する角度であり、bは、前記ヘアラインの長手方向(l)の前記インテリアフィルムの幅方向に対する角度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化樹脂を用いた金属外観効果を具現するインテリアフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品、建築物の内外装材には、インテリアのために金属外観効果を有するフィルムに対する需要が多い。このようなフィルムは、樹脂材質であるので経済的で且つ取り扱いやすいにもかかわらず、高価なステンレススチールなどの金属材質からなったような感じを与えるものである。
【0003】
このためには、フィルムの表面にステンレススチールなどの各金属のように微細なヘアラインがあり、単純なコーティングではない、材質自体の特性のような金属性色彩を有さなければならない。
【0004】
例えば、大韓民国公開公報第10―2006―0078530号には、ヘアラインパターンが形成されたPETフィルムと、前記ヘアラインパターンの下部に順次プライマー層、アルミニウム蒸着層、ウレタン接着剤層、熱可塑性樹脂層からなる金属効果を出す高光沢シートとが記載されている。
【0005】
しかし、サンドペーパーロールに通過させながらフィルムの表面を掻いてヘアライン、すなわち、糸目を形成していた従来技術では、フィルムの長さ方向のライン、すなわち、縦ラインは形成されるが、フィルムの幅方向のライン、すなわち、横ラインの形成が難しかった。このために、フィルムに縦ラインのヘアラインのみが表れ、金属材質と言うには自然な感じが低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明者等は、より自然な金属性外観を具現しようと研究した結果、本発明のエンボスロールを用いる場合、金属材質からなったようなフィルムを製造できることを確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、金属性外観を有するフィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、
基材シート200を準備するステップ;
前記基材シート200の下端に、表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300を形成するステップ;
前記紫外線硬化性樹脂層300の下端に金属層400を形成するステップ;
前記金属層400の下端にプライマー層500を形成するステップ;及び
前記プライマー層500の下端に接着層600を形成するステップ;を含むフィルムの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、
保護層100;
基材シート200;
表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300;
金属層400;
プライマー層500;及び
接着層600が順次積層されたフィルムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法で製造されたフィルムは、表面に微細で且つ柔らかいラインが形成され、金属からなったような印象を与えるようになる。また、本発明の方法でフィルムを製造すると、フィルムの表面に横ラインを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のフィルムの製造方法を示す模式図である。
【
図2】紫外線硬化性樹脂層300が積層された基材フィルムの製造方法を示す図である。
【
図4】本発明のフィルムの紫外線硬化性樹脂層300の表面の凹部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、
基材シート200を準備するステップ;
前記基材シート200の下端に、表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300を形成するステップ;
前記紫外線硬化性樹脂層300の下端に金属層400を形成するステップ;
前記金属層400の下端にプライマー層500を形成するステップ;及び
前記プライマー層500の下端に接着層600を形成するステップ;を含むフィルムの製造方法に関するものである(
図1)。
【0013】
このとき、前記紫外線硬化性樹脂層300の形成ステップは、
前記基材シート200が表面に位置する第1のロール10を準備するステップ;
前記第1のロール10を、表面に凹凸が形成された第2のロール20と接しない位置に配置し、隣接した位置に硬化ランプ30を配置するステップ;
前記第1のロール10と前記第2のロール20との間に紫外線硬化性樹脂を供給し、前記第1のロール10及び第2のロール20のうち一つ以上が回転しながら、前記紫外線硬化性樹脂に第2のロール20の凹凸を転写するステップ;を含んでもよい(
図2)。
【0014】
また、本発明は、
保護層100;
基材シート200;
表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300;
金属層400;
プライマー層500;及び
接着層600が順次積層されたフィルムに関するものである(
図3)。
【0016】
基材シート200の準備ステップ(S1)
本発明の基材シート200としては、熱によって成形が可能なポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂またはオレフィン系樹脂などが使用されてもよく、好ましくは、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂などのポリエステル系樹脂を使用することが有利であり、さらに好ましくは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートを使用する。
【0017】
発明の基材シート200は、10%未満のヘイズ値を有する。本発明の基材シート200のヘイズ値が10%を超える場合、金属層400がフィルムの外観までうまく透視されないので、フィルムの金属性外観特性が阻害される。
【0018】
本発明の基材シート200は、20μm〜50μmの厚さを有する。基材シート200の厚さが20μm未満である場合は、下端に紫外線硬化性樹脂層300が形成された基材シート200が紫外線硬化性樹脂層300を支持できず、形態が崩れる可能性が高い。また、基材シート200の厚さが50μmを超える場合は、下端の金属層400の特性がフィルムの外観から十分に表れなくなる。
【0019】
紫外線硬化性樹脂層300の形成ステップ(S2)
【0020】
紫外線硬化性樹脂層300の形成
本発明の紫外線硬化性樹脂層300は、ウレタンまたはアクリル系モノマー、 そのオリゴマー、光開始剤及びその他物性を補完する添加剤で構成された紫外線硬化型樹脂組成物で形成してもよい。
【0021】
前記アクリル系モノマーは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリレートまたはウレタンアクリレートなどになってもよい。例えば、前記アクリル系モノマーは、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n―オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2―エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレートまたはその他(メタ)アクリレート系単量体などになってもよいが、これに限定されることはない。
【0022】
前記光開始剤としては、2,2'―アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルペルオキシド(BPO)などの当業界で広く知られているラジカル開始剤が使用されてもよく、特別に限定されることはない。
【0023】
前記紫外線硬化性樹脂層300の製造に使われる樹脂組成物としては、固形分が30重量%〜100重量%である樹脂組成物が使用されてもよく、エンボスロールなどの金型に形成された凹凸と同一の凹凸を形成するためには、溶剤を添加していない固形分100重量%の樹脂組成物を使用することが好ましい。前記樹脂組成物の固形分が30重量%未満である場合、樹脂組成物とエンボスロールとの密着性が低下し、紫外線硬化性樹脂層300の形成効率が低くなる。
【0024】
紫外線硬化性樹脂層300の形成方法
本発明の紫外線硬化性樹脂層300は、下記の各ステップを含む方法で形成される:
本発明の基材シート200が表面に位置する第1のロール10を準備するステップ(S201);
前記第1のロール10を、表面に凹凸が形成された第2のロール20と接しない位置に配置し、隣接した位置に硬化ランプ30を配置するステップ(S202);
前記第1のロール10と前記第2のロール20との間に紫外線硬化性樹脂を供給し、前記第1のロール10及び第2のロール20のうち一つ以上が回転しながら、前記紫外線硬化性樹脂に第2のロール20の凹凸を転写するステップ(S203)。
【0025】
本発明の基材シート200が表面に位置する第1のロール10を準備するステップ(S201)は、第1のロール10の表面全体または一部に基材シート200を位置させるステップである。このとき、第1のロール10に基材シート200の一部分が載せられ、前記第1のロール10の回転と共に、基材シート200の残りの部分が第1のロール10方向に付いてくる形態になることが一般的である。
【0026】
前記第1のロール10を、表面に凹凸が形成された第2のロール20と接しない位置に配置し、隣接した位置に硬化ランプ30を配置するステップ(S202)は、紫外線硬化性樹脂の表面に凹凸を形成して硬化させるための前ステップである。このとき、前記第1のロール10は、表面に凹凸が形成された第2のロール20と接しない位置に配置されるが、これは、第1のロール10と第2のロール20との間に紫外線硬化性樹脂を供給しなければならないためである。そのため、紫外線硬化性樹脂層300の厚さによって第1のロール10と第2のロール20の距離が決定され、これは、当業者が必要に応じて適宜調節することができる。前記第2のロール20は、表面に凹凸が形成されているが、前記凹凸は、紫外線硬化性樹脂層300に逆像に凹凸を形成するためのものである。すなわち、第2のロール20の凸部に対応して、紫外線硬化性樹脂層300に凹部が形成される。
【0027】
前記第2のロール20の表面の凹凸は、凹部と凸部を有するが、前記凸部の面積は凹部の面積より狭く、前記凸部は0.3μm〜0.7μmの高さを有する。
【0028】
前記硬化ランプ30は、第1のロール10と第2のロール20との間に供給される紫外線硬化性樹脂を硬化させるための紫外線ランプである。前記硬化ランプ30は、第1のロール10及び第2のロール20と隣接した位置に配置され、前記第1のロール10または第2のロール20を基準にして前記紫外線硬化性樹脂40が供給される方向と反対方向に配置することが好ましい。
【0029】
前記第1のロール10と前記第2のロール20との間に紫外線硬化性樹脂40を供給し、前記第1のロール10及び第2のロール20のうち一つ以上が回転しながら、前記紫外線硬化性樹脂に第2のロール20の凹凸を転写するステップ(S203)は、表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300が積層された基材シート200を製造するステップである。前記ステップ(S203)では、供給された紫外線硬化性樹脂が前記第1のロール10と第2のロール20との間を通過しながら前記基材シート200上に積層されると同時に、表面に凹凸が転写されて硬化する。すなわち、前記紫外線硬化性樹脂に第2のロール20の凹凸が転写されると同時に、基材シート200の上端に紫外線硬化性樹脂層300が形成される。前記第1のロール10及び第2のロール20は、二つとも回転することが好ましい。
【0030】
前記紫外線硬化性樹脂層300の形成ステップ(S2)は、紫外線硬化性樹脂に第2のロール20の凹凸を転写するステップ(S203)で製造された、下端に紫外線硬化性樹脂層300が積層された基材シート200を別個の硬化ランプを用いて2次硬化するステップ(S204)をさらに含んでもよい。前記2次硬化ステップ(S204)により、前記紫外線硬化性樹脂の物性がより安定的になる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂層300
前記紫外線硬化性樹脂層300の厚さは、10μm〜30μmであることが好ましい。紫外線硬化性樹脂層300の厚さが10μm未満である場合は、前記紫外線硬化性樹脂層300と基材シート200との間の結合力が問題となる。また、紫外線硬化性樹脂層300の厚さが30μmを超える場合は、下端の金属層400の特性がフィルムの外観で十分に表れないこともある。
【0032】
本発明の紫外線硬化性樹脂層300は、10%未満のヘイズ値を有する。本発明の紫外線硬化性樹脂層300のヘイズ値が10%を超える場合は、金属層400がフィルムの外側までうまく透視されないので、フィルムの金属性外観特性が阻害される。
【0033】
本発明の紫外線硬化性樹脂層300は表面に凹凸を有するが、前記凹凸は、前記第2のロール20の凹凸に対応して逆像に形成されたものである。本発明の紫外線硬化性樹脂層300の凹凸は、基材シート200と反対方向に位置する。
【0034】
本発明の紫外線硬化性樹脂層300の表面の凹凸は、凹部と凸部を有するが、前記凹部の面積は凸部の面積より狭く、前記凹部は0.3μm〜0.7μmの深さを有する。前記凹部の深さが0.3μm未満である場合は、金属表面で観察される微細なヘアラインがうまく表れないので、本発明で意図した金属性の質感を具現しにくい。また、前記凹部の深さが0.7μmを超える場合は、一般的な金属表面の糸目、すなわち、ヘアラインとの類似性が低下し、本発明で意図した金属性の質感を具現しにくくなる。
【0035】
本発明の紫外線硬化性樹脂層300の表面には、下記の式1を満足させる凹部が含まれる。これは、本発明の方法が、紫外線硬化性樹脂層300の表面にフィルム幅方向のライン(凹部)、すなわち、横ラインを形成できるためである。
【0036】
<式1>
a>b
a:凹部の長手方向(l)の前記フィルムの長手方向に対する角度
b:凹部の長手方向(l)の前記フィルムの幅方向に対する角度。
【0037】
金属層400の形成ステップ(S3)
本発明の金属層400は、紫外線硬化性樹脂層300の下端に金属成分を蒸着して形成される。前記金属層400は、一般的な真空熱蒸着方法またはスパッタリング方法などによって形成されてもよい。例えば、真空熱蒸着方法の場合は、10
-4torr〜10
-6torr及び300℃〜800℃で真空蒸着を進めてもよく、スパッタリング方法の場合は、プラズマ状態で小さい金属ナノ粒子として分離され、前記プライマー層500の下端に前記金属ナノ粒子がコーティングされるようにし、約0.70OD(Optical Density)の厚さで金属蒸着を進めてもよいが、蒸着方法が特別に制限されることはない。前記金属は、金、銀、コバルト、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、銅、スズ、ステンレススチールなどになってもよく、アルミニウムであることが好ましいが、これに制限されることはない。当業者は、具現しようとする金属質感によって適当な金属を選択し、本発明の金属層400を形成することができる。
【0038】
本発明の金属層400は、紫外線硬化性樹脂層300及び基材シート200を通じて外観から感知される。前記金属層400は、本発明のフィルムがより金属と類似する質感を具現し、金属の色感を表現できるようにする。
【0039】
本発明の金属層400は、100nm〜1000nmの厚さで形成される。金属層400の厚さが100nm未満である場合は、フィルムの外部で金属性の感じを感知しにくく、金属層400の厚さが1000nmを超える場合は、必要以上に費用が増加するようになる。
【0040】
本発明の金属層400は、単一の金属薄膜層または多層構造の金属薄膜層であってもよいが、金属薄膜層が多層に蒸着された金属薄膜層を使用すると、単一の金属薄膜層を使用する場合に比べて多様なカラー及び高輝度の金属質感を具現することができる。
【0041】
プライマー層500の形成ステップ(S4)
本発明のプライマー層500は、金属層400と接着層600との間に位置し、金属層400と接着層600の付着力を増大させる。前記プライマー層500は、アクリル系、アクリルウレタン系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリイソシアネート系、ポリエステル系、アクリレート系、エチレン―酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系、メラミン系、合成ゴム系、またはポリビニルアルコール系樹脂などを含んでもよい。前記プライマー層500は、金属層400の下端にグラビアコーティング法などの公知の方法を用いて形成してもよい。前記金属層400の下端とは、金属層400を基準にして紫外線硬化性樹脂層300と反対方向を意味する。
【0042】
前記プライマー層500は、前記樹脂の溶液上の粘度を変化させることによって厚さを調節することができ、その厚さは1μm〜5μmであることが好ましい。前記プライマー層500の厚さが1μm〜5μmの範囲であるとき、金属層400と接着層600を十分な付着力で蒸着させ得ると共に、フィルムの厚さが必要以上に厚くならない。
【0043】
接着層600の形成ステップ(S5)
本発明の接着層600は、本発明のプライマー層500の下端に形成される。本発明の接着層600は、本発明のフィルムを被着体に付着させるのに使用される。前記被着体は、電子製品などのプレートなどになってもよい。
【0044】
本発明の接着層600は、ポリウレタン或いはポリエステルなどの接着剤を使用してコンマコーティング法で5μm〜10μmの厚さで塗布して形成してもよく、不透明層に形成することによって、より鮮明な立体感を演出することができる。また、マイクログラビアコーティング法で前記接着層600を塗布することも可能である。本発明において、前記接着層600を不透明層に形成する場合は、前記接着層600をなす接着剤組成物に顔料が添加されてもよい。
【0045】
フィルム
本発明のフィルムは、保護層100;基材シート200;表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層300;金属層400;プライマー層500;及び接着層600が順次積層されたフィルムである。本発明のフィルムは、インテリアフィルム、装飾用フィルムなどである。本発明のフィルムは、電子製品、家具、室内外インテリア用内外装材などの表面に付着して使用される。これによって、本発明のフィルムは、前記各物品が金属で製作されたような感じを与える。
【0046】
保護層100
本発明のフィルムは、外部環境からフィルムの表面を保護するために基材シート200の上端に保護層100を含んでもよい。前記保護層100は、アクリル系、アクリルウレタン系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリイソシアネート系、ポリエステル系、アクリレート系、エチレン―酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系、メラミン系、合成ゴム系、ポリビニルアルコール系樹脂などを使用して形成してもよく、保護層100の厚さは10μm〜30μmであることが好ましい。
【0047】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現されたものである。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明の請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
【0048】
<実施例1>
ヘイズ度が6%、光透過率が92%以上、光沢度が160%、厚さが30μmである高透明PETシートを準備し、前記PETシートを第1のロールに位置させた。紫外線硬化性樹脂コーティング液として、ウレタンアクリレート100重量部に対して2,2'―アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)10重量部が含まれた、固形分70%のアクリレート樹脂組成物を準備した。前記第1のロールを、表面に約0.5μmの凸部が形成された第2のロール近くに配置し、隣接した位置にUV硬化ランプを配置した。前記第1のロールと第2のロールとの間に前記紫外線硬化性樹脂コーティング液を供給すると同時に、UVランプを用いて1次硬化した。その後、1次硬化された前記紫外線硬化性樹脂層を別途のUVランプで2次硬化し、前記基材シートの下端に、表面に凹凸が形成された紫外線硬化性樹脂層を形成した。前記紫外線硬化性樹脂層の厚さは20μmであって、前記紫外線硬化性樹脂層の表面には、フィルムの長さ方向に沿って凹部が形成された。これを十分に乾燥した後、10
-4Torr、760℃で真空蒸着を用いて前記紫外線硬化性樹脂層の下端に600μmの厚さを有するアルミニウム蒸着層を形成した。このとき、紫外線硬化性樹脂層の両表面のうち、凹凸が含まれた表面が前記アルミニウム蒸着層と接触するようになった。そして、アルミニウム蒸着層の下端に、アクリル系樹脂を用いてグラビアコーティング法で4μm厚のプライマー層を形成した。その後、プライマー層の下端に、ポリエステル接着剤層をコンマコーター工法で10μmの厚さで塗布して形成することによって、本発明のフィルムを製造した。
【0049】
<実施例2>
前記実施例1のフィルムにおいて、基材シートの上端にアクリル樹脂で20μm厚の保護層を形成し、フィルムを製造した。
【0050】
前記実施例1及び実施例2の各フィルムは、紫外線硬化性樹脂層の表面にフィルムの長さ方向のみならず、幅方向にも長いヘアライン(凹部)が形成されており、金属層の色感が映り、樹脂フィルムであるにもかかわらず、ステンレススチール材質のような感じを与えた。
【符号の説明】
【0051】
10:第1のロール、20:第2のロール、30:UV硬化ランプ、40:紫外線硬化性樹脂、100:保護層、200:基材シート、300:紫外線硬化性樹脂層、400:金属層、500:プライマー層、600:接着層
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、紫外線硬化樹脂を用いた金属外観効果を具現するインテリアフィルム及びその製造方法に関する。