【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の態様は、第1メディア・ストリームと第2メディア・ストリームとの間におけるタイムライン情報を相関付けることを可能にするシステムを提供する。第1メディア・ストリームおよび第2メディア・ストリームの双方は、共通再生タイムラインに関連付けられる。このシステムは、
−少なくとも2つのストリーム・モニタであって、前記ストリーム・モニタの各々が、
i)メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を入手し、この永続的識別が、メディア・ストリームを使用して再現可能に入手することができるデータであり、
ii)永続的識別に関連付けられたタイムスタンプ値を、メディア・ストリームに含まれるタイムライン情報から判定し、
iii)タイムスタンプ値と、1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を識別情報として提供することによって、
メディア・ストリームについての識別情報を提供するように構成され、
第1メディア・ストリームについての第1識別情報を提供する第1ストリーム・モニタと、第2メディア・ストリームについての第2識別情報を提供する第2ストリーム・モニタとを含む、少なくとも2つのストリーム・モニタと、
−第1メディア・ストリームの第1永続的識別を第2メディア・ストリームの第2永続的識別と照合し、これによって第1メディア・ストリームの第1タイムスタンプ値を第2メディア・ストリームの第2タイムスタンプ値と照合することによって、第1識別情報を第2識別情報と組み合わせて、第1メディア・ストリームのタイムライン情報を第2メディア・ストリームのタイムライン情報に相関付けることを可能にする相関サブシステムと、
を含む。
【0023】
実施形態は、従属請求項において定められる。
【0024】
以上の手段は、少なくとも2つのストリーム・モニタを含むシステムを提供する。2つのストリーム・モニタの各々は、異なるメディア・ストリーム、即ち、第1メディア・ストリームおよび第2メディア・ストリームについての識別情報を提供する。識別情報を提供するために、各ストリーム・モニタは、それぞれのメディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を入手する。ここで、「永続的識別」という用語は、メディア・ストリームを使用して再現可能に入手することができるデータを指す。永続的識別の例には、指紋、透かし、およびマーカが含まれ、これらはメディア・ストリームに永続的な形で含まれる。尚、このような識別は、例えば、メディア配給ネットワークを通じて、メディア・ストリームの配給中にメディア・ストリームに行われ得る種々の処理に対してこれらがロバストであるとよいということから、永続的であるのでもよいことは認められよう。更に、各ストリーム・モニタは、1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別に関連付けられた、つまり前記メディア・サンプル(1つまたは複数)自体に関連付けられたタイムスタンプ値も判定する。タイムスタンプ値は、プレゼンテーション・タイムスタンプまたはRTPタイムスタンプのような、それぞれのメディア・ストリームに含まれ得るタイムライン情報から判定される。
【0025】
したがって、第1ストリーム・モニタは、第1メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの少なくとも第1永続的識別、および第1メディア・ストリームの第1タイムライン情報から得られる関連第1タイムスタンプ値を供給し、一方第2ストリーム・モニタは、第2メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの少なくとも第2永続的識別、および第2メディア・ストリームの第2タイムライン情報から得られる関連第2タイムスタンプ値を提供する。
【0026】
更に、続いて第1ストリーム・モニタから得られる第1識別情報および第2ストリーム・モニタから得られる第2識別情報を入手し、続いてこれらを組み合わせる相関サブシステムが設けられる。したがって、相関サブシステムには、少なくとも第1永続的識別およびその関連第1タイムスタンプ値、ならびに第2永続的識別およびその関連第2タイムスタンプ値が供給される。双方のメディア・ストリームは共通再生タイムラインと関連付けられているので、双方のメディア・ストリームを同期させて再生する、またそうでなければ処理する必要がある場合がある。しかしながら、双方のメディア・ストリームは、例えば、ストリームにおける同じ位置、即ち、コンテンツの同じ部分に対して異なるタイムスタンプ値を有することにより、異なるタイムライン情報を含むことができる。
【0027】
以上の手段は、第1メディア・ストリームと第2メディア・ストリームとの間においてこのような異なるタイムライン情報を相関付けることを可能にする。ここで、「相関付け」という用語は、本システムが、第1メディア・ストリームのタイムライン情報を第2メディア・ストリームのタイムライン情報に関係付けることを可能にすることを指す。したがって、第1メディア・ストリームのタイムライン情報からのタイムスタンプまたは他のタイミング・データを、第2メディア・ストリームのタイムライン情報からのタイミング・データに関係付けることができ、更にその逆にすることもできる。これが可能なのは、組み合わせられた第1識別情報および第2識別情報が、第1メディア・ストリームの第1永続的識別を第2メディア・ストリームの第2永続的識別と照合することを可能にするからである。ここで、「照合」という用語は、第1永続的識別が第2永続的識別と関係付けられることを言う。このような照合は、例えば、それらの特性の類似性に基づいて直接的であってもよく、または、例えば、共通再生タイムライン上におけるこれらの相対的位置に基づいて間接的であってもよい。具体的には、照合は、双方の永続的識別が時間的に、例えば、共通再生タイムラインに関して関係付けられてもよいことから、時間的な照合であってもよい。例えば、双方の永続的識別が同じ指紋を含む場合、これは、双方の永続的識別が共通再生タイムライン上における同じ再生時間に関係することを示すことができる。
【0028】
第1永続的識別が第2永続的識別と照合された内在的な結果として、それぞれの関連タイムスタンプ値が互いに照合されたことになる。したがって、前記照合が少なくとも第1タイムスタンプ値を第2タイムスタンプ値と相関付けることを可能にすることから、第1メディア・ストリームのタイムライン情報を第2メディア・ストリームのタイムライン情報に相関付けることができ、前記相関付けは、通例、双方のメディア・ストリーム間におけるタイムライン情報全体の相関付けを可能にするために、一般化が可能である。したがって、それぞれのメディア・ストリームの永続的識別を1回または限定された回数だけ照合した後、直接、即ち、永続的識別を更に使用することなく、双方のメディア・ストリームのタイムライン情報を相関付けることができる。
【0029】
本発明者は、以下のことを認識している。メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を入手することは、メディア・ストリームに含まれるタイムライン情報からタイムスタンプ値を判定することに比較して、比較的計算的に複雑である可能性が高い。同様に、永続的識別は、タイムスタンプ値よりも、送信するために多くの帯域幅を必要とするおそれがある。したがって、メディア同期が適用されようとする全てのデバイスに、このような永続的識別を供給することを要求するのは欠点であるかもしれない。しかしながら、本発明者は、このようなデバイスの集合体が、同じタイムライン情報を含む第1メディア・ストリームの同じバージョンにアクセスできればよいことがわかった。例えば、デバイスの一群がメディア配給ネットワークの同じセグメント内に配置されるのでもよい。ここで、セグメントという用語は、メディア・ストリームが配給されるメディア配給ネットワークの一部を指し、第1境界においてメディア・ストリームの入力を含み、第2境界においてメディア・ストリームの少なくとも1つの出力または終点を含み、メディア・ストリームは入力および出力において本質的に同一である。したがって、メディア・ストリームのタイムライン情報は、セグメントにわたる配給の間維持される。
【0030】
タイムライン情報のみに基づく第1セグメントにおける第1群のデバイスと第2セグメントにおける第2群のデバイスとの間のメディア同期は、先に述べた理由のため信頼性に欠ける可能性があるが、本発明は、例えば、第1セグメントに配置され第1メディア・ストリームについての第1識別情報を提供する第1ストリーム・モニタ、および例えば、第2セグメントに配置され第2メディア・ストリームについての第2識別情報を提供する第2ストリーム・モニタを設けることによって、このようなメディア同期を可能にする。したがって、第1セグメントおよび/または第2セグメント内にある全てのデバイスが、このような永続的識別を入手し供給することは必要ではない。むしろ、第1識別情報を第2識別情報と組み合わせた後、前記デバイスがそれぞれのメディア・ストリームのタイムライン情報を提供し、次いで相関サブシステムによって他方のメディア・ストリームのタイムライン情報と相関付けできることに基づいて、双方のセグメント間、即ち、双方のセグメントにおけるデバイス上で、続いてメディア同期を行うことができる。
【0031】
したがって、本発明は、1つのデバイス上においてストリーム間同期または音声同期を行うため、あるいはコンパニオン・スクリーン同期、または宛先間同期というような、デバイス間においてストリーム間およびデバイス間同期を行うために、以前に関係付けられていないタイムスタンプを有するメディア・ストリームの同期を可能にすることができる。具体的には、本発明は、タイムライン情報はこのようなメディア・ストリーム間では直接的に関係付けることができない可能性があるという事実による、このようなメディア同期に通例付随する信頼性欠如を生ずることなく、それぞれのメディア・ストリームのタイムライン情報に基づいて、第1メディア・ストリームと第2メディア・ストリームとの間においてメディア同期を可能にすることができる。更に他の利点を挙げるとすれば、このようなメディア同期が適用されようとするデバイスが永続的識別を供給しなくてもよいことである。むしろ、このようなデバイスは、メディア・ストリームの現在のメディア・サンプルに関連付けられたタイムスタンプというような、メディア・ストリームのタイムライン情報を提供すれば十分である。したがって、デバイスの一群にわたってメディア同期を実行するために必要な帯域幅および/または計算的複雑さが低減する。
【0032】
実施形態では、第2メディア・ストリームが、第1メディア・ストリームの修正バージョンであり、前記修正バージョンが、第1メディア・ストリームのタイムライン情報とは異なるタイムライン情報を含むのでもよい。本システムは、第1メディア・ストリームとこの第1メディア・ストリームの修正バージョンとの間においてタイムライン情報を相関付けることを可能にするために使用されてもよい。このような修正は、メディア・ストリームの配給の間に頻繁に起こる可能性がある。したがって、本システムは、(未修正)第1メディア・ストリームのタイムライン情報に基づいて、第1メディア・ストリームの修正バージョンのメディア同期を可能にすることもできる。何故なら、第1メディア・ストリームの未修正バージョンおよび修正バージョン双方からの再現可能な永続的識別を使用するからであり、即ち、このような修正に対して影響を受けないからである。
【0033】
実施形態では、第1メディア・ストリームがメディア配給ネットワークを通じて配給されてもよく、このメディア配給ネットワークが、第1メディア・ストリームの修正バージョンを生成するストリーム・モディファイアを含み、第1ストリーム・モニタが、ストリーム・モディファイアのアップストリームにおいてメディア配給ネットワークに含まれてもよく、第2ストリーム・モニタが、ストリーム・モディファイアのダウンストリームにおいてメディア配給ネットワークに含まれてもよい。(再)マルチプレクサ、トランスコーダ、および再エンコーダのようなストリーム・モディファイアが、第1メディア・ストリームのタイムライン情報を修正または置換させてもよく、両方の場合に新たなタイムライン情報が形成される。メディア配給ネットワークに沿って設置されることによって、ストリーム・モディファイアは、事実上、メディア配給ネットワークのアップストリーム・セグメント、即ち、第1メディア・ストリームが配給されるときに通るセグメントと、メディア配給ネットワークのダウンストリーム・セグメント、即ち、第1メディア・ストリームの修正バージョンが配給されるときに通るセグメントとを形成する。アップストリーム・セグメントに第1ストリーム・モニタを設け、ダウンストリーム・セグメントに第2ストリーム・モニタを設けることによって、第1メディア・ストリームからのタイムライン情報を第1メディア・ストリームの修正バージョンからのタイムライン情報と相関付けることができることから、双方のセグメント間におけるメディア同期が可能になる。したがって、第1メディア・ストリームの修正バージョンのメディア同期は、(未修正)第1メディア・ストリームのタイムライン情報に基づいて可能となる。この実施形態の利点を挙げるとすれば、メディア・ストリーム発信、例えば、ブロードキャスタにおけるメディア・ストリームのタイムライン情報に関して定義されることが頻繁にある、受信機におけるアプリケーションのトリガというような同期アクションを、このようなメディア・ストリームの修正バージョンにも同様に適用できることである。
【0034】
実施形態では、相関サブシステムは、第1永続的識別および第2永続的識別を共通再生タイムラインにリンクする第3識別情報に基づいて、第1永続的識別を第2永続的識別と照合するように構成されるのでもよい。したがって、相関サブシステムは、共通の再生タイムラインを通じて、第1永続的識別を第2永続的識別と関係付けることができる。例えば、相関サブシステムは、第3識別情報を使用して、第1永続的識別を共通再生タイムライン上の第1再生時間と照合し、第2永続的識別を共通再生タイムライン上の第2再生時間と照合することができる。この目的のために、第3識別情報は、例えば、複数の永続的識別、および共通再生タイムライン上における、関連する複数の再生時間を含むとよい。前記照合の内在的な結果として、それぞれの関連するタイムスタンプ値も、共通再生タイムライン上におけるそれぞれの再生時間と照合されたことになる。したがって、第1再生時間が第2再生時間と異なる場合、相関サブシステムは、第1タイムライン情報を第2タイムライン情報に相関付けるときに、この差を考慮に入れることができる。この実施形態の利点を挙げるとすれば、第1メディア・ストリームおよび第2メディア・ストリームが異なる形式のメディア・ストリームであるか、または双方の永続的識別が、コンテンツに関して、同一または同様のメディア・ストリームの異なる再生時間において得られた場合にあり得るように、双方の永続的識別が互いに異なっても、第1永続的識別を第2永続的識別と照合できることである。
【0035】
実施形態では、第1メディア・ストリームおよび第2メディア・ストリームが、共通タイムライン情報を含むメディア・ストリームの複合体の一部であってもよく、本システムが、更に、メディア・ストリームの複合体についての前記第3識別情報を提供する第3ストリーム・モニタを含んでもよい。ここで、「メディア・ストリームの複合体」という用語は、共通再生タイムラインと意図的に関連付けられることにより、このようなメディア・ストリームの複合体を形成するメディア・ストリームを指す。尚、メディア・ストリームの複合体は、複合メディア・ストリームの形態で配給されてもよいが、そうされなくてもよいことを注記しておく。ここでは、「複合メディア・ストリーム」という用語は、2つ以上のメディア・ストリームで構成された、即ち、複合されたメディア・ストリームを指す。メディア・ストリームの複合体は、配給の間、メディア・ストリームの少なくとも1つがタイムライン情報を含み、このタイムライン情報がメディア・ストリームの複合体の共通再生タイムラインを確立する役割を果たすことができることから、共通タイムライン情報を含むことができる。例えば、第3ストリーム・モニタは、メディア配給ネットワークにおいてメディア・ストリームの複合体の発信地の近くに設けられてもよく、メディア・ストリームの各々に対する複数の永続的識別と共通再生タイムライン上における関連する複数の再生時間とを含む識別情報を本システムに提供することができる。前記第3識別情報を提供する第3ストリーム・モニタを設けることによって、本システムは、第1永続的識別および第2永続的識別を共通再生タイムラインにリンクすることができる。
【0036】
実施形態では、第2メディア・ストリームが、メディア配給ネットワークを通じて配給されてもよく、メディア配給ネットワークが、更に、第2メディア・ストリームに関して同期アクションを実行する同期サブシステムを含んでもよく、相関サブシステムが、第1メディア・ストリームのタイムライン情報に基づいて同期サブシステムが同期アクションを実行することを可能にするためのタイミング情報を提供するように構成されてもよい。ここで、同期サブシステムは、特許請求するメディア配給ネットワークおよび/または本システムの一部であってもよいが、その必要はないことから、「サブシステム」である。相関サブシステムは、同期サブシステムのエンティティと相互作用して、第1メディア・ストリームのタイムライン情報に基づいて、同期アクションを第2メディア・ストリームに関して実行することを可能にするのでもよい。尚、このような相互作用は、クエリ−応答型相互作用のような、種々の形態を取ることができることは認められよう。クエリ−応答型相互作用では、同期サブシステムのエンティティが、第2メディア・ストリームのタイムライン情報からのタイムスタンプを含むクエリを供給し、相関サブシステムが、タイミング情報の形態の応答を供給する。この応答は、共通再生タイムライン上において同じ再生時間に関係する第1メディア・ストリームのタイムライン情報からのタイムスタンプを含む。ここで、タイミング情報は、したがって、相関サブシステムの出力を構成するのでもよい。タイミング情報は、相関サブシステムによって、第1メディア・ストリームと第2メディア・ストリームとの間においてタイムライン情報を相関付けることによって、入手可能である。このようなクエリ−応答型相互作用のフォーマットは、例えば、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)によって指定されてもよい。事実上、相関サブシステムは、同期サブシステムのエンティティに変換サービスを提供することができ、この変換サービスは、タイムスタンプおよび第2メディア・ストリームのタイムライン情報からの他のタイミング・データを、第1メディア・ストリームのタイムライン情報に変換することを含む。
【0037】
実施形態では、同期アクションが、
−複数の受信機上において第1メディア・ストリームおよび/または第2メディア・ストリームの同期再生を可能にするために、メディア・ストリームがバッファするか、または先にスキップするアクション、
−受信機上において第1メディア・ストリームの第2メディア・ストリームとの同期再生を可能にするために、メディア・ストリームがバッファするかまたは先にスキップするアクション、および
−受信機上におけるメディア・ストリームの再生と同期する、受信機上におけるアプリケーションのトリガ、
から成る一群の内の1つであってもよい。
【0038】
メディア・ストリームがバッファするまたは先にスキップすることに関する同期アクションは、多数のユーザの多数の受信機にわたる同一または同様のメディア・ストリームの同期が望まれる前述のソーシャルTVのシナリオ、異なるメディア・ストリームの1つの受信機に対する同期が望まれるハイブリッドTVのシナリオ、およびTV受像機とコンパニオン・スクリーンとの間において同一のまたは異なるメディア・ストリームを同期させることが望まれるコンパニオン・スクリーンのシナリオにおいてメディア同期を実行するために、望まれるであろう。尚、メディア・ストリームのバッファ処理は、受信機自体において、即ち、内部同期クライアントを使用して実行されるのでもよいが、そうされなくてもよいことを注記しておく。例えば、メディア・ストリームのバッファ処理または前方へのスキップは、受信機のアップストリームにおいて、メディア配給ネットワークに含まれる同期クライアントによって実行されてもよい。アプリケーションのトリガに関する同期アクションは、クイズの問題、広告等の同期表示(synchronized presentation)を実行するため、またはアプリケーションを起動して他の形式のアクションを実行させるために望まれるであろう。
【0039】
実施形態では、同期サブシステムが、同期サーバと、複数の同期クライアントとを含んでもよく、複数の同期クライアントが、第2メディア・ストリームを配給するように構成されたメディア配給ネットワークのセグメントに含まれてもよく、第2ストリーム・モニタが、複数の同期クライアント間においてセグメントに含まれてもよい。ここで、「同期サーバ」という用語は、同期サブシステムにおいて、クライアント−サーバ・モデルにしたがって、即ち、分散型でメディア同期を実行するために同期クライアントと協働するエンティティを指す。具体的には、複数の同期クライアントの各々はエンド・ユーザの受信機に含まれてもよく、一方同期サーバは、複数の受信機にわたるメディア同期を調整することを可能にするために、前記受信機の外部に設けられてもよい。同期サーバは、WO2010106075A1に、具体的には[0073]段落以降に記載されているメディア同期アプリケーション・サーバ(MSAS)と同様の機能を同期クライアントに提供するために、本発明による相関サブシステムを含んでもよい。この実施形態の利点を挙げるとすると、第2メディア・ストリームがセグメントにわたって配給されるので、セグメント内部では、セグメントにわたるタイミング情報を第1メディア・ストリームのタイミング情報と相関付けることを可能にするためには、1つまたは限定数のストリーム・モニタだけがあればよいことである。限定数のストリーム・モニタは、バックアップの理由のためでもよい。したがって、各受信機がストリーム・モニタを含まなくてもよい。むしろ、1つの受信機だけがストリーム・モニタを含めばよく、または1つのストリーム・モニタだけが、セグメントにおいて別個の、即ち、単体のエンティティとして含まれればよい。あるいは、セグメントが複数のストリーム・モニタを含んでもよいが、これらのストリーム・モニタの内1つだけを作動させればよい。
【0040】
実施形態では、相関サブシステムが、第2ストリーム・モニタによる第2メディア・ストリームの監視に基づいて、第2メディア・ストリームに関して前記同期クライアントが同期アクションを実行することを可能にするために、セグメントにおける複数の同期クライアントにタイミング情報を提供するように構成されてもよい。したがって、1つのみまたは限定数のストリーム・モニタによる第2メディア・ストリームの監視に基づいて、複数の同期クライアントにわたってメディア同期を採用することもできる。例えば、メディア同期は、複数の受信機にわたって採用されてもよい。各受信機は、同期クライアントの1つを含み、メディア配給ネットワークの同じセグメントに、例えば、同じヘッド・エンドのダウンストリームに配置され、これらの受信機の内1つまたは限定数のみが識別情報を提供すればよく、つまり比較的高い計算の複雑さおよび/または高い帯域幅をサポートすればよい。
【0041】
実施形態では、永続的識別が、指紋、透かし、およびマーカ、または1つ以上のメディア・サンプルから成る一群の内の1つであってもよい。指紋および透かしは、メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を提供するというそれらの能力が良く知られている。これは、各々が、メディア・ストリームの配給中にメディア・ストリームから再現可能に入手することができるデータを生成するからである。また、永続的にメディア・ストリームに含まれるマーカも、このようなデータが前記配給の間にメディア・ストリームから再現可能に得られることを可能にする。
【0042】
実施形態では、メディア配給ネットワークが、ストリーム・モディファイアのダウンストリームにヘッド・エンドを含んでもよく、第2ストリーム・モニタがヘッド・エンドにまたはそのダウンストリームに含まれてもよい。ここで、「ヘッド・エンド」という用語は、それぞれのエンド・ユーザの複数の受信機のような、複数のデバイスのために配給地点として機能する、メディア配給ネットワークにおける機能エンティティを指す。ヘッド・エンドにおいてまたはそのダウンストリームにおいて第2ストリーム・モニタを設けることによって、ヘッド・エンドを介して配給されている第1メディア・ストリームの修正バージョンのタイムライン情報を、(未修正)第1メディア・ストリームのタイムライン情報と相関付けることができる。したがって、ヘッド・エンドを介して第1メディア・ストリームの修正バージョンを入手する全てのデバイスに対して、メディア同期を可能にすることができる。具体的には、ヘッド・エンドのダウンストリーム側のメディア配給ネットワークをセグメントと見なす場合、前記セグメント内に配置された1つまたは限定数のストリーム・モニタのみに基づいて、セグメント内部にある全てのデバイスに対してメディア同期を可能にすることができ、これによってセグメント外部のデバイスとの同期、即ち、他のセグメントにおいて、または(未修正)第1ストリームと以前は時間に関してのみ関係付けられていたストリームとの同期を可能にする。
【0043】
本発明の他の態様では、メディア配給ネットワークが本システムを含んでもよい。
【0044】
本発明の他の態様では、ストリーム・モニタおよび/または相関サブシステムが、本システムにおいて使用されるように設けられてもよい。
【0045】
本発明の他の態様では、本システムと共に使用するための同期クライアントを提供することができる。同期クライアントは、同期クライアントが含まれるセグメントを、相関サブシステムに対して識別するように構成されてもよい。相関サブシステムは、異なるセグメントに含まれるストリーム・モニタから受信された異なる識別情報に基づいて、メディア配給ネットワークの異なるセグメントにおける使用のために、タイミング情報を提供するように構成されてもよい。同期クライアントが含まれるセグメントを識別することによって、例えば、手動で設定されたパラメータ、電子プログラム・ガイド(EPG)からのパラメータ、受信されたストリームからのパラメータ等を報告することによって、相関システムがしかるべきタイミング情報を同期クライアントに提供することを可能にする。即ち、このタイミング情報は、同期クライアントと同じセグメントに含まれるストリーム・モニタの識別情報に基づく。
【0046】
本発明の他の態様では、 第1メディア・ストリームと第2メディア・ストリームの間においてタイムライン情報を相関付けることを可能にする方法を提供する。第1メディア・ストリームおよび第2メディア・ストリームの双方が、共通の再生タイムラインに関連付けられており、前記相関付けが、少なくとも2つのストリーム・モニタから得られる識別情報に基づき、前記ストリーム・モニタの各々が、
i)メディア・ストリームの1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を入手し、永続的識別が、メディア・ストリームを使用して再現可能に入手することができるデータであり、
ii)永続的識別に関連付けられたタイムスタンプ値を、メディア・ストリームに含まれるタイムライン情報から判定し、
iii)タイムスタンプ値と、1つ以上のメディア・サンプルの永続的識別を識別情報として提供することによって、
メディア・ストリームについての識別情報を提供するように構成される。
【0047】
この方法は、
−少なくとも2つのストリーム・モニタの内第1ストリーム・モニタから、第1メディア・ストリームについての第1識別情報を入手するステップと、
−少なくとも2つのストリーム・モニタの内第2ストリーム・モニタから、第2メディア・ストリームについての第2識別情報を入手するステップと、
−第1メディア・ストリームの第1永続的識別を第2メディア・ストリームの第2永続的識別と照合し、これによって第1メディア・ストリームの第1タイムスタンプ値を第2メディア・ストリームの第2タイムスタンプ値と照合することによって、第1識別情報を第2識別情報と組み合わせて、第1メディア・ストリームのタイムライン情報を第2メディア・ストリームのタイムライン情報に相関付けることを可能にするステップとを含む。
【0048】
本発明の他の態様では、先の方法をプロセッサ・システムに実行させるための命令を含むコンピュータ・プログラム製品を提供することができる。
【0049】
尚、以上で述べた本発明の実施形態、実施態様、および/または態様の内2つ以上を、有用と考えられる任意の方法で組み合わされてもよいことは、当業者によって認められよう。
【0050】
説明した本システムの変更および変形に対応する、前述の方法および/またはコンピュータ・プログラム製品の変更および変形は、この記載に基づいて、当業者によって実行することができる。
【0051】
本発明は、独立請求項において定められる。有利であるが任意である実施形態は、従属請求項において定められる。
【0052】
本発明のこれらおよびその他の態様は、以下で説明する実施形態から明白となり、これらの実施形態を参照することにより解明されるであろう。