特許第6240412号(P6240412)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240412
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】棚装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 57/40 20060101AFI20171120BHJP
   A47B 96/06 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A47B57/40 E
   A47B96/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-121356(P2013-121356)
(22)【出願日】2013年6月8日
(65)【公開番号】特開2014-236888(P2014-236888A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130639
【氏名又は名称】株式会社サヌキ
(74)【代理人】
【識別番号】100084098
【弁理士】
【氏名又は名称】浅谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】柳原 良雄
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−139718(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0300999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/00、96/06、96/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔開いて隣り合う左右一対の棚柱と、所定長さを有し正面側に棚板を着脱する嵌着溝を備え、裏面側に溝型レールを備えた棚受けと、この棚受けの溝型レール上をスライド移動すると共に、端部の裏面側に棚柱の取付孔に係脱するフックを備えた二つのスライダーと、このスライダーの端部の正面側に回動可能に軸支されたアームの鉤部先端に備えたブレーキ突子が溝型レールに接離するロックアームとから成ることを特徴とする棚装置。
【請求項2】
前記溝型レールは、棚受けの天板部の裏面に設け、平板状のスライダーの上端を嵌着する溝型上レールと、棚受けの底板部に設け、スライダーの下端を嵌着する溝型下レールとから成ることを特徴とする請求項1記載の棚装置。
【請求項3】
前記溝型下レールは、深溝部と段差を介して連続する浅溝部とからなり、ロックアームの回動操作で深溝部に位置するブレーキ突子が浅溝部の底面に圧接してスライダーの定位状態を固定することを特徴とする請求項1記載の棚装置。
【請求項4】
前記ロックアームの回動操作で、スライダーの定位状態が固定されるとき、同時にアーム裏面に外方向へ突設する嵌入爪が棚柱の取付孔に嵌入係止することを特徴とする請求項1または請求項3記載の棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の棚装置を示す斜視図である。
この棚装置は、所定間隔を開いて隣り合う左右一対の棚柱4、4aと、棚柱4、4aに着脱する棚受け7、7と、棚受け7、7に載せる棚板5とからなる。
棚柱4、4aは、短冊状平板部の側面に屈曲脚部を設けて断面コ字状に形成している。短冊状平板部の面内に取付孔42を一定間隔開いて多数開口してある。
【0003】
前記棚受け7は、棚柱4(4a)の正面幅と略同様な幅を有する矩形板の長さ略中央部を内向きに屈曲させたもので、水平状板部71と斜傾状の支承板部72とからなる。水平状板部71と支承板部72の各先端には、棚柱4(4a)の取付孔42幅より幅狭の板状引掛け片71a、72aを突設している。
【0004】
この棚装置では、クローゼットなどの少なくとも一方の側面(取付面)の面内に、所定間隔開いて隣り合う左右一対の棚柱4、4aをビス止着してある。棚受け7、7は、所望の棚高さに対応する取付孔42を選択し、取付孔42に引掛け片71aを挿入した後、下方の対応する取付孔42に引掛け片72aを挿入して引っ掛け係止する。
【0005】
使用に際しては、隣り合う棚柱4、4間隔、すなわち隣り合う棚受け7、7間隔に対応した幅を有する棚板5を、棚受け7、7上に乗せ置いて使用される。
【特許文献1】特開平9−14829号公報
【特許文献2】実開平7−43778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記棚装置では、所定間隔開いて隣り合い状に配備される左右一対の棚柱が固定であり、この棚柱に取り付けされる棚受けの開き間隔も棚柱の間隔と等しく固定となる。このため、棚受けに乗せ置いて使用される棚板の幅は、棚受け間隔(棚柱間隔)に制限される。
【0007】
例えば、棚受け(棚柱)間隔より幅の小さい棚板は、棚受けに対し跨り状に載置できず、逆に棚受け(棚柱)間隔に比し幅の大きい棚板は、載置が不安定となり使用できない。更に、棚板、例えばハンガーパイプなどのような小径のものでは、全く使用できない不利があった。
【0008】
また、所定間隔開いて左右に隣合う各棚柱の同じ高さ位置の取付孔を選定して棚受けをセットする手間がかかる許かりでなく、各引っ掛け片を対応する取付孔に係止して棚受けと棚柱を固定しているだけであるから、係合が強固でないなど等の不利があった。
【0009】
この発明は、以上のような課題を解消させ、所定間隔開いて隣り合う固定された一対の棚柱の大小間隔に適応し得、且つこの適応状態を強固に固定し得ると共に、棚柱間隔に相応しない大小幅の棚板の取り付けが可能で、しかも取付け取り外しが簡易で安定した棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成させるために、この発明の棚装置では、次のような構成としている。
棚装置は、所定間隔を開いて隣り合う左右一対の棚柱と、所定長さを有し正面側に棚板を脱着する嵌着溝を備え、裏面側に溝型レールとを備えた棚受けと、この棚受けの溝レールをスライド移動すると共に、端部の裏面側に棚柱の取付孔に係脱するフックを備えた二つのスライダーと、このスライダーの端部の正面側に回動可能に軸支されたアームの鉤部先端に備えたブレーキ突子が溝型レールに接離するロックアームとからなる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する棚装置では、所定間隔開いて隣り合う左右一対の棚柱間隔に合わせて所定長さを有する棚受けの二つのスライダーを移動可能としたから、固定された棚柱の大小間隔に適応し得る。
【0012】
また、棚板は所定長さを有する棚受けに対し着脱可能に配備されるため、棚柱間隔に相応しない大小任意の大きさの棚板を取り付けし得る。
【0013】
更に、アームの回動操作でブレーキ突子を溝型レールに圧接させることで、スライダーの停止位置を固定し得、意に反し外れることがなく安定定位する。
【0014】
また、所定長さを有する棚受けを左右一対の棚柱に対し、跨り状に位置させ取付孔の高さ位置を選定するだけの操作で、左右の取付孔に対し同時にフックを係合させ得、取付け取り外しが簡単である等、発明目的を達成した優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明に係る棚装置の具体的な実施の形態を説明する。
図1は、棚装置を示す斜視図である。
棚装置は、所定間隔を開いて隣合う左右一対の棚柱4、4aと、左右一対の棚柱4、4a間に跨って取付けされる所定長さを有する棚受け1と、この棚受け1に配備された一対のスライダー2、2と、スライダー2の一端部に備えるロックアーム3とからなる。
【0016】
棚柱4(4a)は、ステンレス材等の板金による成形品で、短冊状の平板41と、この平板41の両側辺を直角状に屈曲させた両側面部43,43とからなる。平板41の面内には、一定間隔を開いて上下方向へ多数の取付孔42を開口し、適所に止着用ビス孔(図示せず)を開設してある。
【0017】
この棚柱4、4aは、左右一対で、例えばクローゼットなどの取付壁面の面内に所定距離開いて隣り合い状にビス固定される。
【0018】
前記棚受け1は、例えばステンレス板などの金属製で、横長短冊状の天板部12と、天板部12の一側辺をほぼ直角に折り曲げた垂直状の正面板部11と、正面板部11の下面を内向きに折り曲げた底板部11aとから成る断面コ字状に形成している。更に、両端部には側板部11bを取付けている。
【0019】
上記底板部11aは、図4で示すように、天板部12とほぼ平行状で、天板部12幅よりも内向き幅を小さく設定している。この天板部12の内面には、溝型上レール15を設け、底板部11aには深溝部16aと段差を介して連続する浅溝部16bとで構成する溝型下レール16を設け、後述するスライダー2の滑動板21の上・下端をスライド移動可能に嵌合する(図5参照)。
【0020】
棚受け1の正面板部11の面内には、面内幅中央に一定幅の溝開口13と、この溝開口13に連続する内方向へ凹む弓状の嵌着溝14とを形成している。この嵌着溝14に棚板5の一側辺に備える嵌着部(例えば大小の幅長さを有する平板状の棚板、或いは図1で示すようなハンガーパイプ51端のパイプ支持具52に備える嵌着部)53を嵌着固定する。
【0021】
図2は、前記スライダー2の裏面図である。
スライダー2は、横長矩形の平板状の滑動板21と、滑動板21の背面側の一端部に配備された縦長矩形状の枠体22とからなる。枠体22は、後方へ突出する対向側壁22a、22aと、対向側壁22aを連続する背板(中仕切り)22bと、背板22bの下部を切り欠いた挿入開口部22cとを備えている。
【0022】
上記背板22bの背面側には、図4で示すように、面内に棚柱4の取付孔42に係止するフック23a、23aを上下方向へ突出状に備えたフック板23を取付け、背板22bの正面側には後述する軸受け24を設けている。この軸受け24は、上記溝型下レール16内に位置している。
【0023】
また、棚柱(両側面部43)4を両側壁22a間へ嵌め入れたとき、フック23aが上下方向へ並ぶ取付孔42に対応する。
【0024】
図3は、スライダー2とロックアーム3との関係を示す分離斜視図である。
ロックアーム3は背板22bの正面側に配備される板状アーム31と、板状アーム31の上端部に連続し外向きに屈曲する鉤部32と、鉤部32の先端部32aに両側へ突出させた丸棒状の軸部33と、先端部32aの下端部に設けたブレーキ突子34とからなる。
【0025】
前記スライダー2の枠体22の対向壁22a、22a間には、上記鉤部32が嵌り且つ軸部33の両端を支承する湾曲アーム状の軸受け24、24を設けて、ロックアーム33を回動可能に軸支している。
【0026】
図4で示すように、枠体22の両対向壁22aから板状アーム31を外方向へ回動させるとき、つまり正面板部11より下方へ吊り下げ状に位置している板状アーム31を棚受け1の正面側へ引き出すとき、鉤部32の先端部32aは深溝部16a内に位置し、スライダー2は棚受け1の長手方向へ自由にスライド移動する。
【0027】
このような構成を有する棚装置では、図1で示すように、クローゼット等の壁面に既設された所定間隔を開いて隣り合う左右一対の棚柱4、4間の距離は、大小まちまちに固定されている。
【0028】
図4で示すように、板状アーム31を棚受け1の正面板部11側へ回動させた状態、つまり、鉤部32のブレーキ突子34が深溝部16aに位置している状態で、スライダー2、2は自由にスライド移動させ得、大小まちまちな棚柱4、4a間隔に適応させ得る。また、棚板は棚受け1の嵌着溝14に固定しており、棚柱4、4a間隔に相応しない幅、長さの棚板を取付できる。
【0029】
図5で示すように、棚柱4、4a間隔に対し、跨り状に棚受け1を対向させるとき、棚柱4(4a)の両側面部43、43を対向壁22a、22aが嵌合する。この状態で、フック23aが上下方向へ並ぶ取付孔42に対応する。取付孔の高さ位置を選定して、左右のフック23aが同時に左右の取付孔42に係合する。
【0030】
ここで、図6で示すように、板状アーム31を押し込むと、板状アーム31と一体の鉤部32が反時計回りに回動し、鉤部32先端のブレーキ突子34が浅溝部16bの底面に食い込み状に当接する。この摩擦抵抗でスライダー2の定位置が固定される。
【0031】
同時に、板状アーム31の裏面側の嵌入爪35が、下方の取付孔42に嵌挿され、棚柱4(4a)に対する棚受け1の上方向への変位が阻止され、棚柱4に対し棚受け1及び棚板5が強固に取り付け固定される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態の棚装置を示す斜視図である。
図2】スライダーを示す平面図である。
図3】スライダーとロックアームの関係を示す分離斜視図である。
図4】棚柱と棚受けの関係を示す説明斜視図である。
図5】取付孔にフックを係合させた状態を示す説明斜視図である。
図6】スライダーを固定した状態を示す説明断面図である。
図7】従来の棚装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 棚受け
2 スライダー
3 ロックアーム
4、4a 棚柱
5 棚板
11 正面板部
12 天板部
13 溝開口
14 嵌着溝
15 溝型上レール
16 溝型下レール
21 滑動板
22 枠体
23 フック板
24 軸受け
31 板状アーム
32 鉤部
33 軸部
34 ブレーキ突子
35 嵌入爪
42 取付孔
16a 深溝部
16b 浅溝部
16c 立上り壁
22a 両側壁
22b 背板
23a フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7