(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、受電電力の瞬間電力値が前記所定の電力値を超えた場合に、前記双方向インバータを駆動して、前記蓄電池の電力を前記電力系統に供給し、前記双方向インバータの駆動中に、受電電力の所定時間毎の移動平均値が前記所定の電力値を下回ったときに、前記双方向インバータの駆動を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力ピークカット装置。
前記制御手段は、受電電力の所定時間毎の平均値が前記所定の電力値を超えた場合に、前記双方向インバータを駆動して、前記蓄電池の電力を前記電力系統に供給し、前記双方向インバータの駆動中に、受電電力の所定時間毎の移動平均値が前記所定の電力値を下回ったときに、前記双方向インバータの駆動を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力ピークカット装置。
前記制御手段は、受電電力の瞬間電力値が前記所定の電力値を超えた場合に、前記双方向インバータを駆動して、前記蓄電池の電力を前記電力系統に供給し、前記双方向インバータの駆動中に、受電電力の瞬間電力値が前記所定の電力値を下回ったときに、前記双方向インバータの駆動を停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力ピークカット装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載の配電システム(電力ピークカット装置)によれば、電力ピーク時間帯に、第2系統の負荷(ピークシフト用負荷)に対しては蓄電池から給電され、第3系統の負荷(ピークカット用負荷)に対しては給電が停止される。そのため、蓄電池の容量を増加させることなく、契約電力を削減することができる。しかしながら、この配電システムでは、電力ピーク時間帯に第3系統の負荷(ピークカット用負荷)への給電が停止されるため、該電力ピーク時間帯に、第3系統に接続されている負荷(すなわち電気機器)を使用することができない。そのため、この配電システムを工場や事務所等に適用した場合には、負荷の使用制限による業務効率の低下等を招くおそれがある。一方、業務効率の低下等を防止するために電力ピーク時間帯に第3系統の負荷への給電を停止しないようにするには、蓄電池を大容量化する必要がある。
【0007】
また、上述したように、特許文献2に記載のピークカット装置では、必要最小限の電力を必要最小限の期間供給できるように構成されている。ところで、ピークカット装置の効率は、充電器/インバータにおける交流/直流の変換効率に大きく依存するが、充電器/インバータは、その特性上、定格出力時に最も変換効率が高く、出力が低くなると変換効率が低下する。よって、特許文献2に記載のピークカット装置では、装置のエネルギー効率が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、蓄電池を大型化することなく、ピークカット時の業務効率の低下を防止するとともに、エネルギー効率の向上を図ることが可能な電力ピークカット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力ピークカット装置は、商用電力系統から受電した受電電力を計測する計測手段と、系統連系機能を有し、受電された電力を負荷に供給する電力系統に接続された双方向インバータと、双方向インバータに接続された蓄電池と、計測手段により計測された受電電力に基づいて、一定時間の平均電力値が予め定められた所定の電力値を超えないように双方向インバータを駆動制御する制御手段とを備え、該制御手段が、蓄電池から電力系統に電力を供給するときに、双方向インバータを定格出力で運転することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電力ピークカット装置によれば、一定時間の平均電力値が予め定められた所定の電力値を超えないように双方向インバータが駆動制御される。すなわち、双方向インバータを介して、負荷が接続された電力系統に蓄電池から電力が供給される。よって、蓄電池に蓄えられた電力を最大デマンド時に供給することで負荷の使用制限を設けることなく電力のピークカットを行うことができる。また、その際に、双方向インバータが、最も電力変換効率がよい定格出力(最大効率)で運転され、電力系統に電力が供給される。ここで、本発明に係る電力ピークカット装置では、一定時間の平均電力値が所定の電力値を超えないように制御されるため、一時的に必要以上の電力が供給されたとしても、その後の双方向インバータの停止時間を長くすることができ、総合的に効率を向上させることができる。また、蓄電池の容量を必要以上に大きくする必要がなくなる。その結果、蓄電池を大型化することなく、ピークカット時の業務効率の低下を防止するとともに、エネルギー効率の向上を図ることが可能となる。
【0011】
本発明に係る電力ピークカット装置では、蓄電池が、リチウムイオン電池であり、制御手段が、予め設定された、受電電力がピークになると予測される時刻の直前に、蓄電池が満充電状態となるように双方向インバータを駆動制御して、蓄電池を充電することが好ましい。
【0012】
この場合、蓄電池として、充放電効率が高いリチウムイオン電池を用いることにより全体効率を向上させることができる。ところで、リチウムイオン電池は、満充電状態(高電位状態)で長い時間おいておくと、電解液が電気分解を起こす率が高くなり、劣化が促進される。しかしながら、本発明に係る電力ピークカット装置では、負荷の消費電力(受電電力)がピークになると予測される時刻に合わせて(放電開始の直前に)リチウムイオン池が満充電状態となるように充電される。よって、リチウムイオン電池の劣化を抑制して寿命を向上させることが可能となる。
【0013】
本発明に係る電力ピークカット装置では、双方向インバータの定格出力が2乃至10KWであることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、双方向インバータ及び蓄電池を含むストリングを小型化することができる。その結果、該ストリングの分散配置や、高価な蓄電池の過剰投資の抑制等を図ることが可能となる。
【0015】
本発明に係る電力ピークカット装置では、カットしたい電力量に応じて、双方向インバータ及び蓄電池を増設可能に構成されていることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、カットしたい電力量に応じて、双方向インバータ及び蓄電池を含むストリングの数を変えることができる。よって、ユーザは、比較的高価な蓄電池等を含むストリングのコストを考慮して、最適な装置構成とすることが可能となる。
【0017】
本発明に係る電力ピークカット装置は、複数の負荷それぞれに電力を供給する複数の電力系統と、複数の電力系統それぞれに接続された複数の双方向インバータ及び蓄電池と、複数の電力系統それぞれに取り付けられ、各電力系統により供給される電力を計測する複数の第2計測手段とを備え、制御手段が、計測手段により計測された受電電力、及び、第2計測手段により計測された複数の電力系統それぞれの電力値に基づいて、駆動する双方向インバータを決定することが好ましい。
【0018】
このようにすれば、複数の電力系統それぞれの電力に基づいて、例えば、最も消費電力が大きい電力系統から順番に蓄電池の電力を供給することができる。よって、ピークカットを行う際に、より効率よく蓄電池から電力を供給することが可能となる。
【0019】
本発明に係る電力ピークカット装置は、系統連系機能を有し、発電された電力を負荷に供給する電力系統に接続されたパワーコンディショナと、パワーコンディショナに接続された自家発電装置とをさらに備えることが好ましい。
【0020】
このようにすれば、自家発電装置(例えば太陽電池等)が接続されている高圧受電設備に対しても、本発明に係る電力ピークカット装置を適用することが可能となる。また、このようにすれば、自家発電装置で発電された電力を蓄電池に供給するといった協調制御を行うことも可能となる。
【0021】
本発明に係る電力ピークカット装置では、制御手段が、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を超えた場合に、双方向インバータを駆動して、蓄電池の電力を電力系統に供給し、双方向インバータの駆動中に、受電電力の所定時間毎の移動平均値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータの駆動を停止することが好ましい。
【0022】
このようにすれば、一定時間の平均電力値が所定の電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。また、特に、負荷変動の周期が短い場合であってもピークカットの精度を向上することができる。
【0023】
また、本発明に係る電力ピークカット装置では、制御手段が、受電電力の所定時間毎の平均値が所定の電力値を超えた場合に、双方向インバータ駆動して、蓄電池の電力を電力系統に供給し、双方向インバータの駆動中に、受電電力の所定時間毎の移動平均値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータの駆動を停止することが好ましい。
【0024】
このようにしても、一定時間の平均電力値が所定の電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。また、特に、制御をよりシンプルにすることができ、処理の負荷を低減することができる。
【0025】
さらに、本発明に係る電力ピークカット装置では、制御手段が、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を超えた場合に、双方向インバータ駆動して、蓄電池の電力を電力系統に供給し、双方向インバータの駆動中に、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータの駆動を停止することが好ましい。
【0026】
このようにすれば、受電電力が所定の無効電力を含む最大電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓄電池を大型化することなく、ピークカット時の業務効率の低下を防止するとともに、エネルギー効率の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
[第1実施形態]
まず、
図1を用いて、第1実施形態に係る電力ピークカット装置1の構成について説明する。
図1は、電力ピークカット装置1、及び電力ピークカット装置1が適用された高圧受電設備5の構成を示すブロック図である。なお、ここでは、電力ピークカット装置1が、例えば事務所や工場等の高圧受電契約の需要家が保有する高圧受電設備5に適用された場合を例にして説明する。
【0031】
高圧受電設備5は、電力事業者が展開している商用電力系統から需要家が電力を受電するための設備である。
図1に例示された高圧受電設備5では、引き込まれた商用電力系統は、DS(Disconnecting Switch:断路器)21、VCT(Voltage Current and Transformer:電力供給用計器用変成器)22、OCR(Over−Current Relay:過電流継電器)23、及び、VCB(真空遮断器)24を介して、母線25に接続されている。なお、VCT22には、受電電力を計測するとともに、受電電力に応じたパルス信号を出力するWH(Watt−hour meter:電力量計)26が接続されている。
【0032】
母線25には、LBS(AC Load Break Switch:高圧交流負荷開閉器)26を介して接続されたTr(Transformer:変圧器)28によって降圧された電力を負荷(例えば、電灯、OA機器等)に供給する3系統の単相三線式(1φ3W)の電力系統(単相電灯線)32,33,34が接続されている。
【0033】
同様に、母線25には、LBS(AC Load Break Switch:高圧交流負荷開閉器)27を介して接続されたTr(Transformer:変圧器)29によって降圧された電力を負荷(例えば、コンプレッサ、冷凍機、空調機等)に供給する3系統の三相三線式(3φ3W)の電力系統(三相動力線)35,36,37が接続されている。
【0034】
電力ピークカット装置1は、主として、パルス検出器11、CTセンサ12、双方向インバータ13、蓄電池15、及びシステムコントローラ17等を有して構成されている。
【0035】
パルス検出器11は、上述したWH(電力量計)26から出力されるパルス信号(すなわち受電電力)を検出する。すなわち、パルス検出器11は、特許請求の範囲に記載の計測手段として機能する。パルス検出器11は、システムコントローラ17に接続されており、検出されたパルス信号は、システムコントローラ17に出力される。
【0036】
CTセンサ12は、上述した三相三線式の電力系統37に取り付けられており、該電力系統に流れる電流の値(すなわち負荷に供給される電力値)を検出する。すなわち、CTセンサ12は、特許請求の範囲に記載の第2計測手段として機能する。CTセンサ12は、システムコントローラ17に接続されており、検出された電流値(電力値)は、システムコントローラ17に出力される。なお、CTセンサ12としては、例えば、CT・ZCT一体型のもの等を用いてもよい。
【0037】
双方向インバータ13は、50Hz/60Hzの交流電力を直流電力に変換するとともに、リチウムイオン電池15から出力される直流電力を交流電力に変換し、系統と連系(電圧、周波数の変換や停電時の保護協調)して運転可能な電力変換装置である。双方向インバータ13は、上述したように系統連系機能を有し、受電された電力を負荷に供給する三相三線式の電力系統37に接続されている。ここで、双方向インバータ13の定格出力は、2乃至10kWであることが好ましい。なお、本実施形態では定格出力が5kWのものを用いた。
【0038】
インバータ・コントローラ14は、システムコントローラ17からの制御信号(情報)に基づいて双方向インバータ13を駆動する。なお、システムコントローラ17と、インバータ・コントローラ14とは、例えば、CAN(Controller Area Network)やRS485等の通信回線18で相互に通信可能に接続されている。
【0039】
蓄電池15は、双方向インバータ13に接続され、該双方向インバータ13を介して、商用電力で充電される一方で、充電電力を放電して負荷に電力を供給する。蓄電池15としては、エネルギー密度が高く、充放電効率が高いリチウムイオン電池が好適に用いられる。なお、リチウムイオン電池15の状態、例えば、SOC(State Of Charge)や電圧、温度等はBCU(Battery Control Unit)16によって監視される。
【0040】
BCU16は、リチウムイオン電池15の充電量(SOC)が足りないときには充電要求をシステムコントローラ17に出力する。一方、充電量が充分であるときには、放電可能であることを示す情報をシステムコントローラ17に出力する。なお、システムコントローラ17と、BCU16とは、上述した通信回線18で相互に通信可能に接続されている。
【0041】
システムコントローラ17は、演算を行うCPU、該CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び入出力I/F等を有して構成されている。システムコントローラ17は、リチウムイオン電池15の放電(給電)のタイミング、及び、充電(受電)のタイミングをコントロールする。より具体的には、システムコントローラ17は、パルス検出器11により計測された受電電力、及びCTセンサ12により検出された電力系統37の電力値に基づいて、一定時間(30分間)の平均電力値が、予め定められた所定の電力値を超えないように双方向インバータ13を駆動制御する(詳細は後述する)。その際に(リチウムイオン電池15から電力系統37に電力を供給するときに)、システムコントローラ17は、双方向インバータを定格出力で運転(オン・オフ制御)する。すなわち、システムコントローラ17は、特許請求の範囲に記載の制御手段として機能する。
【0042】
一方、システムコントローラ17は、予め設定された、負荷の消費電力(受電電力)がピークになると予測される時刻の直前(デマンド直前)に、リチウムイオン電池15が満充電状態(最大容量)となるように双方向インバータ13を駆動制御(充電制御)して、リチウムイオン電池15を充電する。
【0043】
ここで、事務所の1日の電力使用状況とデマンド値の一例を
図2に示す。より具体的には、ある事務所における、1分単位で計測した消費電力、及びデマンド値(消費電力の30分平均値)それぞれの1日の変化を
図2に示す。
図2の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。また、
図2では、1分単位の消費電力を太い実線で、消費電力の30分平均値を細い実線で示した。
図2に例示された事務所での最大デマンド値は37(kW)であった。
【0044】
ところで、有効電力Pは電圧と電流の瞬時値(e(t),i(t))の積である瞬間電力を積分し、1周期Tで平均したものである。電力会社で計測するデマンド値は消費電力の30分間の平均値として算出され、過去11ヶ月のデマンド値の最大値が、次の1年間の電力会社との契約電力料金(基本料金)となる。そこで、システムコントローラ17は、30分間の平均電力値が予め定められた所定の電力値(例えば35kW)を超えないように双方向インバータ13を駆動制御する。
【0045】
次に、
図3を参照しつつ、電力ピークカット装置1の動作について説明する。
図3は、電力ピークカット装置1による充放電の基本制御フローを示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ17によって、所定のタイミングで繰り返して実行される。
【0046】
まず、ステップS100では、パルス検出器11により検出されたパルス数(すなわち受電電力)が読み込まれる。続くステップS102では、リチウムイオン電池15の充電要求が出力されているか否かについての判断が行われる。ここで、充電要求が出力されている場合には、ステップS104に処理が移行する。一方、充電要求が出力されていないときには、ステップS122に処理が移行する。
【0047】
ステップS104では、双方向インバータ13の起動条件(受電電力値、及び/又は設定時刻等の条件)が成立したか否かの判断が行われる。ここで、起動条件が成立している場合には、ステップS106に処理が移行する。一方、起動条件が成立していないときには、本処理から一旦抜ける。
【0048】
ステップS106では、CTセンサ12により検出された電力系統37の電流値(電力値)が読み込まれ、電力系統37の負荷(消費電力)が取得される。なお、ここで、CTセンサ12が複数の電力系統に取り付けられている場合には、どの系統の負荷(消費電力)が小さいかが判断される。そして、CTセンサ12の検出値に基づいて、リチウムイオン電池15を充電するための電力をどの系統から取得するかが決定される。
【0049】
続くステップS108では、各種リレーがオン(接続)され、双方向インバータ13が起動される。
【0050】
次に、ステップS110では、受電電力値が充電(受電)開始しきい値以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、受電電力値が充電開始しきい値以下である場合には、ステップS112に処理が移行する。一方、充電電力値が充電開始しきい値よりも大きいときには、本処理から一旦抜ける。
【0051】
ステップS112では、双方向インバータ13が駆動されて、電力系統37から電力が受電され、リチウムイオン電池15が充電される。
【0052】
続いて、ステップS114では、受電電力値が充電停止しきい値以下であるか否かについての判断が行われる。ここで、受電電力値が充電停止しきい値よりも大きい場合には、ステップS118に処理が移行する。一方、受電電力値が充電停止しきい値以下のときには、ステップS116に処理が移行する。
【0053】
ステップS116では、リチウムイオン電池15の充電が完了したか否か(SOCが目標値に達したか否か)についての判断が行われる。ここで、リチウムイオン電池15の充電が完了した場合には、ステップS118に処理が移行する。一方、リチウムイオン電池15の充電が完了していないときには、上述したステップS114に処理が移行し、リチウムイオン電池15の充電が継続して実行される。
【0054】
ステップS118では、双方向インバータ13による受電が終了され、リチウムイオン電池15の充電が終了する。そして、ステップS120では、双方向インバータ13が停止される。
【0055】
次に、ステップS122では、リチウムイオン電池13が放電可能であるか否かについての判断が行われる。ここで、放電可能である場合には、ステップS124に処理が移行する。一方、放電できないときには、本処理から一旦抜ける。
【0056】
ステップS124では、双方向インバータ13の起動条件(受電電力、及び/又は設定時刻等の条件)が成立したか否かの判断が行われる。ここで、起動条件が成立している場合には、ステップS126に処理が移行する。一方、起動条件が成立していないときには、本処理から一旦抜ける。
【0057】
ステップS126では、CTセンサ12により検出された電力系統37の電流値(電力値)が読み込まれ、電力系統37の負荷(消費電力)が取得される。なお、ここで、CTセンサ12が複数の電力系統に取り付けられている場合には、どの系統の負荷(消費電力)が大きいかが判断される。そして、CTセンサ12の検出値に基づいて、リチウムイオン電池15の電力をどの系統に供給するかが決定される。
【0058】
続くステップS128では、各種リレーがオン(接続)され、双方向インバータ13が起動される。
【0059】
次に、ステップS130では、受電電力値が給電(放電)開始しきい値以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、受電電力値が給電開始しきい値以上である場合には、ステップS132に処理が移行する。一方、受電電力値が給電開始しきい値よりも小さいときには、本処理から一旦抜ける。
【0060】
ステップS132では、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給(給電)される。
【0061】
続いて、ステップS134では、受電電力値が給電(放電)停止しきい値以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、受電電力値が給電停止しきい値よりも小さい場合には、ステップS138に処理が移行する。一方、受電電力値が給電停止しきい値以上のときには、ステップS136に処理が移行する。
【0062】
ステップS136では、リチウムイオン電池15のSOC(充電量)が所定値よりも低下したか否かについての判断が行われる。ここで、リチウムイオン電池15のSOCが所定値以下まで低下した場合には、ステップS138に処理が移行する。一方、リチウムイオン電池15のSOCがまだ低下していないときには、上述したステップS134に処理が移行し、リチウムイオン電池15からの電力供給が継続して実行される。
【0063】
ステップS138では、双方向インバータ13による給電が終了され、リチウムイオン電池15の放電(電力供給)が終了する。そして、ステップS140では、双方向インバータ13が停止される。
【0064】
次に、
図4、
図8、及び
図12を参照しつつ、3つ(実施例1〜3)のピークカット方法について説明する。ここで、
図4は、実施例1(瞬時電力値によるデマンド値の削減例)に係るピークカット処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、実施例2(積算電力値によるデマンド値の削減例)に係るピークカット処理の処理手順を示すフローチャートである。また、
図12は、実施例3(瞬時最大電力値の削減例)に係るピークカット処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図4,8,12に示したフローチャートは、上述した(
図3に示した)充放電の基本制御フロー中の放電処理(ピークカット処理)、すなわちステップS130〜S134に対応するものである。
【0065】
(実施例1)
まず、
図4を参照しつつ、実施例1に係るピークカット処理について説明する。なお、ここでは、WH26から、仮に50,000(pulse/kWh)のパルス信号が出力される(パルス検出器11によって検出される)として、しきい値を設定した。例えば、目標電力値を35(kW)とした場合には、1(kW)=50,000/3,600=13.88パルスであるため、35×13.88=486(pulse)をしきい値とした。
【0066】
ステップS200では、パルス検出器11により検出されたパルス数がカウントされる。次に、ステップS202では、ステップS200でカウントされたパルス数が所定値(例えば486パルス:35kWに相当)以上であるか否か、すなわち受電電力の瞬間電力値が所定値(35kW)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、パルス数が所定値以上の場合には、ステップS204に処理が移行する。一方、パルス数が所定値未満のときには、ステップS206に処理が移行する。
【0067】
ステップS204では、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給(給電)される。その後、ステップS208に処理が移行する。一方、ステップS206では、双方向インバータ13による給電が終了され、リチウムイオン電池15の放電(電力供給)が終了される。そして、双方向インバータ13が停止される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0068】
ステップS208では、例えば5分毎のパルス数の移動平均値が所定値(例えば486パルス:35kWに相当)以上であるか否か、すなわち受電電力の5分毎の移動平均値が所定値(35kW)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、5分毎のパルス数の移動平均値が所定値以上の場合には、ステップS200に処理が移行し、上述したステップS200以降の処理が繰り返して実行される。
【0069】
一方、5分毎のパルス数の移動平均値が所定値未満のときには、ステップS206において、双方向インバータ13による給電が終了され、リチウムイオン電池15の放電(電力供給)が終了される。そして、双方向インバータ13が停止される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0070】
ここで、実施例1に係るピークカット処理によるピークカット結果(デマンド値の削減結果)を
図5〜7に示す。
図5は、リチウムイオン電池15からの供給電力、受電電力、及び、リチウムイオン電池15からの供給電力と受電電力との合計値(すなわち、リチウムイオン電池15からの電力供給がない場合の受電電力)をそれぞれ示す図である。なお、
図5の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。
図5では、受電電力を細い実線で、合計値を太い実線で、供給電力を中間の実線でそれぞれ示した。
図5に示されるように、パルス信号から算出される瞬時電力値が35kW以上となったときに、双方向インバータ13(リチウムイオン電池15)から5kW一定の電力を給電(放電)し、5分毎の移動平均値が35kWを下回ったときに給電を停止するように制御した場合のデマンド値の変化(削減結果)を
図6に示す。
【0071】
図6は、実施例1に係るピークカット処理(瞬時電力値制御)によるデマンド値の削減結果を示す図である。なお、
図6では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い実線でそれぞれ示した。また、
図7に、
図5のグラフと
図6のグラフとをまとめて示した。なお、
図7では、受電電力を細い実線で、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い破線で、合計値を太い実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い破線で、供給電力を中間の実線でそれぞれ示した。
【0072】
図6及び
図7に示されるように、本実施例によれば、しきい値を35.000(kW)、ピークカット時のバッテリ電力を5.000(kW)とした場合に、3.000(kWh)の電池容量で、デマンドピーク値を5.4%低減できること、すなわち、ピーク電力値を34.655(kW)に抑制できることが確認された。なお、上述した移動平均を取る時間は5分間には限られない。当該時間を短時間にするほど、制御目標値に対する追従性が向上する。
【0073】
(実施例2)
次に、
図8を参照しつつ、実施例2に係るピークカット処理について説明する。なお、しきい値(パルス数)の設定方法は上述した通りであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0074】
ステップS300では、パルス検出器11により検出されたパルス数がカウントされる。次に、ステップS302では、ステップS300でカウントされたパルス数の5分間の平均値が所定値(例えば486パルス:35kWに相当)以上であるか否か、すなわち受電電力の5分間の平均値が所定値(35kW)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、パルス数の平均値が所定値以上の場合には、ステップS304に処理が移行する。一方、パルス数の平均値が所定値未満のときには、ステップS306に処理が移行する。
【0075】
ステップS304では、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給(給電)される。その後、ステップS300に処理が移行し、上述したステップS300以降の処理が繰り返して実行される。
【0076】
一方、ステップS306では、双方向インバータ13による給電が終了され、リチウムイオン電池15の放電(電力供給)が終了される。そして、双方向インバータ13が停止される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0077】
ここで、実施例2に係るピークカット処理によるピークカット結果(デマンド値の削減結果)を
図9〜11に示す。
図9は、リチウムイオン電池15からの供給電力、受電電力、リチウムイオン電池15からの供給電力と受電電力との合計値(すなわち、リチウムイオン電池15から電力供給がされない場合の受電電力)、及び、合計値の5分毎の平均値をそれぞれ示す図である。なお、
図9の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。
図9では、受電電力を細い実線で、合計値を太い実線で、合計値の5分毎の平均値を太い破線で、供給電力を中間の実線でそれぞれ示した。
図9に示されるように、パルス信号から算出される5分毎の平均値が35kW以上となったときに、双方向インバータ13(リチウムイオン電池15)から5kW一定の電力を給電(放電)し、5分毎の移動平均値が35kWを下回ったときに給電を停止するように制御した場合のデマンド値の変化(削減結果)を
図10に示す。
【0078】
図10は、実施例2に係るピークカット処理(5分毎平均電力値制御)によるデマンド値の削減結果を示す図である。なお、
図10では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、合計値を太い実線で、合計値の5分毎平均値を太い破線でそれぞれ示した。また、
図11に、
図9のグラフと
図10のグラフとをまとめて示した。なお、
図11では、受電電力を細い実線で、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い破線で、合計値を太い実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い破線で、供給電力を中間の実線でそれぞれ示した。
【0079】
図10及び
図11に示されるように、本実施例によれば、しきい値を35.000(kW)、ピークカット時のバッテリ電力を5.000(kW)とした場合に、3.083kWhの電池容量で、デマンドピーク値を5.4%低減できること、すなわち、ピーク電力値を34.655(kW)に抑制できることが確認された。
【0080】
(実施例3)
次に、
図12を参照しつつ、実施例3に係るピークカット処理について説明する。なお、しきい値(パルス数)の設定方法は上述した通りであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0081】
ステップS400では、パルス検出器11により検出されたパルス数がカウントされる。次に、ステップS402では、ステップS400でカウントされたパルス数が所定値(例えば486パルス:35kWに相当)以上であるか否か、すなわち受電電力の瞬時値が所定値(35kW)以上であるか否かについての判断が行われる。ここで、パルス数(受電電力の瞬時値)が所定値以上の場合には、ステップS404に処理が移行する。一方、パルス数が所定値未満のときには、ステップS406に処理が移行する。
【0082】
ステップS404では、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給(給電)される。その後、ステップS400に処理が移行し、上述したステップS400以降の処理が繰り返して実行される。
【0083】
一方、ステップS406では、双方向インバータ13による給電が終了され、リチウムイオン電池15の放電(電力供給)が終了される。そして、双方向インバータ13が停止される。その後、本処理から一旦抜ける。
【0084】
ここで、実施例3に係るピークカット処理によるピークカット結果を
図13に示す。
図13は、リチウムイオン電池15からの供給電力、受電電力、及び、リチウムイオン電池15からの供給電力と受電電力との合計値(すなわち、リチウムイオン電池15から電力供給がされない場合の受電電力)をそれぞれ示す図である。なお、
図13の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。
図13では、受電電力を細い実線で、供給電力を中間の実線で、合計値を太い実線でそれぞれ示した。
図13に示されるように、パルス信号から算出される瞬時電力値が35kW以上となったときに、双方向インバータ13(リチウムイオン電池15)から5kW一定の電力を給電(放電)し、1分後の電力値が35kWを下回ったときに給電を停止するように制御した場合、最大38.3kWの電力値を13%削減、すなわち、33.321kWに低減できることが確認された。
【0086】
(実施例4)
1番目の方法は、受電電力が30(kW)以下となったときに受電(充電)を行い、例えば5分毎の移動平均値が30(kW)を超えた場合に充電を停止する制御方法である。ここで、実施例4に係る充電処理(充電制御方法)が実行された場合の充電動作を
図14に示す。
図14の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。なお、
図14では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、リチウムイオン電池15からの供給電力を中間の実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い実線でそれぞれ示した。
図14で示された例(充電パターン)では、最大デマンド値が低下した後(18:10−18:30)、リチウムイオン電池15をSOCが50%となるまで充電し、翌日の給電(放電)直前(8:00−8:15)に満充電にした。このようにすれば、リチウムイオン電池15の寿命を向上させることができる。
【0087】
(実施例5)
2番目の方法は、上述した充電パターンに加えて、電力料金の安い時間帯にも受電(充電)を行う、すなわち深夜電力を用いて充電を行う制御方法である。ここで、実施例5に係る充電処理(充電制御方法)が実行された場合の充電動作を
図15に示す。
図15の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。なお、
図15では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、リチウムイオン電池15からの供給電力を中間の実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い実線でそれぞれ示した。
図15で示された例(充電パターン)では、夜間電力にて(5:30−5:40)、リチウムイオン電池15を所定のSOC(例えば80%)まで充電し、その後、給電(放電)直前(8:00−8:05)に満充電にした。このようにすれば、リチウムイオン電池15の寿命を向上させることができる。
【0088】
(実施例6)
3番目の方法は、給電後、リチウムイオン電池15をSOC80%まで充電し、翌日の給電(放電)直前に満充電にする制御方法である。ここで、実施例6に係る充電処理(充電制御方法)が実行された場合の充電動作を
図16に示す。
図16の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。なお、
図16では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、リチウムイオン電池15からの供給電力を中間の実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い実線でそれぞれ示した。
図16で示された例(充電パターン)では、給電後(18:10−18:40)、リチウムイオン電池15をSOC80%程度まで充電して、非常時の電力を貯蔵し、翌日の給電(放電)直前(8:00−8:05)に満充電にした。このようにすれば、リチウムイオン電池15の寿命向上と、非常時に備えた電力貯蔵とを両立することができる。
【0089】
(実施例7)
4番目の方法は、昼休みの電力が低下する時間帯にも受電(充電)を行うことで、午前中に給電(放電)した電力を補う制御方法である。ここで、実施例7に係る充電処理(充電制御方法)が実行されたた場合の充電動作を
図17に示す。
図17の横軸は時刻であり、縦軸は電力(kW)である。なお、
図17では、受電電力の30分平均値(デマンド値)を細い実線で、リチウムイオン電池15からの供給電力を中間の実線で、合計値の30分平均値(デマンド値)を太い実線でそれぞれ示した。
図17で示された例(充電パターン)では、昼休みの低消費電力時(12:00−12:10)にも充電を行った。この例では、昼休みの間に、午前中に消費した電力量(0.83kWh)を充電することができた。このようにすれば、リチウムイオン電池15の設備容量を削減することができる。
【0090】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、一定時間の平均電力値が予め定められた所定の電力値(例えば35kW)を超えないように双方向インバータ13が駆動制御される。すなわち、リチウムイオン電池15から双方向インバータ13を介して、負荷が接続された電力系統37に電力が供給される。よって、リチウムイオン電池15に蓄えられた電力を最大デマンド時に供給することで負荷の使用制限を設けることなく電力のピークカットを行うことができる。また、その際に、双方向インバータ13が、最も電力変換効率がよい定格出力(最大効率)で運転され、電力系統37に電力が供給される。ここで、本実施形態では、一定時間(30分間)の平均電力値が所定の電力値(例えば35kW)を超えないように制御(ピークカット)されるため、一時的に必要以上の電力が供給されたとしても、その後の双方向インバータ13の停止時間を長くすることができ、目標のピークカット電力値に収束させる際に、総合的に効率を向上させることができる。また、リチウムイオン電池15の容量を必要以上に大きくする必要がなくなる。その結果、本実施形態によれば、リチウムイオン電池15を大型化することなく、ピークカット時の業務効率の低下を防止するとともに、エネルギー効率を向上させることが可能となる。
【0091】
また、本実施形態によれば、3相動力線系統に双方向インバータ13が接続されており、空調等の消費電力が大きくピークが出やすい負荷のピークをカットできるため、最大デマンド値の低減効果をより高めることができる。さらに、本実施形態によれば、Tr29で降圧した後に双方向インバータ13が接続され、リチウムイオン電池13の電力が供給される。すなわち、より実負荷に近いところで電力が注入されるため、電力の伝送損失を抑制でき、エネルギー効率をより高めることができる。
【0092】
本実施形態によれば、蓄電池として、充放電効率が高い(約95%程度)リチウムイオン電池15を用いることにより全体効率を向上させることができる。また、本実施形態によれば、負荷の消費電力(受電電力)がピークになると予測される時刻に合わせて(放電開始の直前に)、リチウムイオン電池15が満充電状態となるように充電されるため、リチウムイオン電池15の寿命を向上させることが可能となる。
【0093】
本実施形態(実施例1)によれば、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を超えた場合に、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給され、受電電力の所定時間毎の移動平均値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータ13の駆動が停止されるため、一定時間(30分間)の平均電力値が所定の電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態(実施例2)によれば、受電電力の所定時間毎の平均値が所定の電力値を超えた場合に双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給され、受電電力の所定時間毎の移動平均値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータ13の駆動が停止されるため、一定時間(30分間)の平均電力値が所定の電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。また、本実施形態(実施例2)によれば、特に、制御をよりシンプルにすることができ、処理の負荷を低減することができる。
【0095】
さらに、本実施形態(実施例3)によれば、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を超えた場合に、双方向インバータ13が駆動されて、リチウムイオン電池15の電力が電力系統37に供給され、受電電力の瞬間電力値が所定の電力値を下回ったときに、双方向インバータ13の駆動が停止されるため、受電電力が所定の電力値を超えないように制御(ピークカット)することが可能となる。
【0096】
[第2実施形態]
上述した第1実施形態では1つの双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15(以下「ストリング」ともいう)を用いたが、ピークカットしたい電力量に応じて、2つ以上のストリング、すなわち双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15を備える構成としてもよい。そこで、次に、
図18を用いて、第2実施形態に係る電力ピークカット装置2の構成について説明する。
図18は、電力ピークカット装置2の構成を示すブロック図である。なお、
図18において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0097】
電力ピークカット装置2は、上述した電力ピークカット装置1の構成に加えて、さらに2台のストリング、すなわち、2台の双方向インバータ13,13及び2台のリチウムイオン電池15,15を備えている点で、上述した電力ピークカット装置1と異なっている。なお、すべての双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15は、同一の電力系統37に接続されている。その他の構成は、上述した電力ピークカット装置1と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。なお、増設するストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)の数は、2台には限られることなく、需要家の最大デマンド値に応じて増設台数を設定することができる。
【0098】
本実施形態によれば、カットしたい電力量に応じて、双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15を含むストリングの数を変えることができる。よって、ユーザは、比較的高価なリチウムイオン電池15等を含むストリングのコストを考慮して、最適な装置構成とすることが可能となる。また、このようにすれば、各ストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)を小型化することができるため、該ストリングの分散配置や、高価なリチウムイオン電池15の過剰投資の抑制等を図ることも可能となる。また、全システムを停止することなく保守・点検を行うことができる。
【0099】
[第3実施形態]
上述した第2実施形態では、3台のストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)が1つの電力系統37に接続されていたが、別々の電力系統に接続される構成とすることもできる。そこで、次に、
図19を用いて、第3実施形態に係る電力ピークカット装置3の構成について説明する。
図19は、電力ピークカット装置3の構成を示すブロック図である。なお、
図19において第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0100】
電力ピークカット装置3は、3台のストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)それぞれが、別々の電力系統35,36,37に接続されている点で、上述した電力ピークカット装置2と異なっている。また、各電力系統35,36,37それぞれにCTセンサ12が取り付けられており、各電力系統35,36,37の電力を計測することができるように構成されている点で、上述した電力ピークカット装置2と異なっている。
【0101】
本実施形態のシステムコントローラ17は、パルス検出器11により計測された受電電力、及び、CTセンサ12により計測された複数の電力系統35,36,37それぞれの電力に基づいて、駆動するストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)を決定する。より詳細には、システムコントローラ17は、CTセンサ12の検出値に基づいて、どの系統の負荷(消費電力)が大きいかを判定し、リチウムイオン電池15の電力を供給する系統を決定する。また、システムコントローラ17は、CTセンサ12の検出値に基づいて、どの系統の負荷(消費電力)が小さいかを判定し、リチウムイオン電池15を充電するための電力を取得する系統を決定する。その他の構成は、上述した電力ピークカット装置2と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0102】
本実施形態によっても、カットしたい電力量に応じて、双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15を含むストリングの数を変えることができる。よって、ユーザは、比較的高価なリチウムイオン電池15等を含むストリングのコストを考慮して、最適な装置構成とすることが可能となる。また、このようにすれば、各ストリング(双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15)を小型化することができるため、該ストリングの分散配置や、高価なリチウムイオン電池15の過剰投資の抑制等を図ることも可能となる。
【0103】
また、本実施形態によれば、複数の電力系統35,36,37それぞれの電力に基づいて、例えば、最も消費電力が大きい電力系統から順番にリチウムイオン電池15の電力を供給することができる。よって、ピークカットを行う際に、より効率よくリチウムイオン電池15から電力を供給することが可能となる。
【0104】
[第4実施形態]
上述した第3実施形態では3台の双方向インバータ13及びリチウムイオン電池15(ストリング)を備えていたが、リチウムイオン電池15に代えて、例えば太陽光発電装置等の自家発電装置を系統に連結する構成とすることもできる。そこで、次に、
図20を用いて、第4実施形態に係る電力ピークカット装置4の構成について説明する。
図20は、電力ピークカット装置4の構成を示すブロック図である。なお、
図20において第3実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
【0105】
電力ピークカット装置4は、パワーコンディショナ40と、パワーコンディショナ40に接続された太陽電池42(自家発電装置)とをさらに備える。太陽電池42は、照射される光の量(日射量)に応じて電力を発電する。パワーコンディショナ40は、系統連系機能を有し、太陽電池42からの直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を電力系統35に出力する。その他の構成は、上述した電力ピークカット装置3と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態によれば、太陽電池42が接続されている高圧受電設備に対しても、電力ピークカット装置4を適用することが可能となる。また、本実施形態によれば、太陽電池42で発電された電力をリチウムイオン電池15に供給するといった協調制御を行うことも可能となる。なお、自家発電装置は太陽電池42に限られることなく、例えば、風力発電装置や発電機等を用いる構成とすることもできる。
【0107】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、電力ピークカット装置1を、工場や事務所等の高圧受電契約の需要家が保有する高圧受電設備(キュービクル)に適用した場合を例にして説明したが、電力ピークカット装置1は、双方向インバータ13を単相にすることにより、一般家庭でのピークカットにも適用することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、蓄電池としてリチウムイオン電池を用いたが、リチウムイオン電池に代えて、例えば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、NaS(ナトリウム硫黄)蓄電池等を用いることもできる。
【0109】
また、上記実施形態では、Tr29で電圧を落とした後に双方向インバータ13を接続したが、Tr29で降圧する前(上流側)で双方向インバータ13を接続する構成としてもよい。