特許第6240448号(P6240448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6240448生体情報管理装置、生体情報管理システム及び生体情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240448
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】生体情報管理装置、生体情報管理システム及び生体情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-198322(P2013-198322)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-62549(P2015-62549A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(72)【発明者】
【氏名】野村 孝文
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−202046(JP,A)
【文献】 特開平05−056936(JP,A)
【文献】 特開昭62−026999(JP,A)
【文献】 特開平02−059887(JP,A)
【文献】 特開平05−137698(JP,A)
【文献】 特開2000−232964(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0029311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の生体情報計測装置が計測した対象者の複数種類の生体情報を記憶するための携帯用の生体情報管理装置であって、
前記生体情報の種類毎に独立した生体情報別記憶部を有し、
前記生体情報計測装置から取得した前記生体情報は、当該前記生体情報別記憶部に記憶され、
各前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報は、同種類の前記生体情報計測装置を更に区分する識別情報と関連付けて記憶され、
最新の前記生体情報の情報量が当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えているか否かの残量判断部を有し、
前記残量判断部が、当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えていると判断したときは、最新の前記生体情報と関連付けられている前記識別情報が同一の前記生体情報の計時情報が最も古い前記生体情報から順に選択して、当該前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報を削除することで、記憶領域を生成し、最新の前記生体情報を記憶する構成となっていることを特徴とする生体情報管理装置。
【請求項2】
前記生体情報管理装置と、
前記生体情報計測装置と、
医療従事者が操作する医療従事者端末装置と、を有する生体情報管理システムであって、
前記生体情報管理装置は、カード状に構成されると共に、前記生体情報計測装置及び前記医療従事者端末装置と、近距離無線通信が可能な構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報管理装置を有する生体情報管理システム。
【請求項3】
複数種類の生体情報計測装置が計測した対象者の複数種類の生体情報を記憶するための携帯用の生体情報管理装置を用いる生体情報管理方法であって、
前記生体情報計測装置から取得した前記生体情報は、前記生体情報の種類毎に独立した生体情報別記憶部に記憶され、
各前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報は、同種類の前記生体情報計測装置を更に区分する識別情報と関連付けて記憶され、
最新の前記生体情報の情報量が当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えているか否かの残量判断部が残容量を判断し、
前記残量判断部が、当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えていると判断したときは、最新の前記生体情報と関連付けられている前記識別情報が同一の前記生体情報の計時情報が最も古い前記生体情報から順に選択して、当該前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報を削除することで、記憶領域を生成し、最新の前記生体情報を記憶する構成となっていることを特徴とする生体情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者が自宅等で体温等の生体情報を体温計等で計測したときに、その生体情報を管理するための生体情報管理装置、生体情報管理システム及び生体情報管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から患者が自宅等で体温等の生体情報を体温計等の機器で計測した後、かかる計測データを読み取る生体情報収集装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
このような装置は、例えば、病院等に持参等するため小型化が望ましく、可能な限り小さくする努力が行われている。
また、小型化すると、その記憶容量も小さくなり、記憶容量を超える生体情報のデータを記憶する必要が生じる場合がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3759784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の生体情報が記憶されている場合、新たにデータを記憶するには、いずれかの生体情報のデータを削除等する必要が生じ、どの生体情報を削除するかが問題となっていた。特に、複数種類の生体情報が記憶されている場合、削除等の優先順位をどのように定めるかが問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、生体情報の削除等に際し、最適な優先順位を定めることができる生体情報管理装置、生体情報管理システム及び生体情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、複数種類の生体情報計測装置が計測した対象者の複数種類の生体情報を記憶するための携帯用の生体情報管理装置であって、前記生体情報の種類毎に独立した生体情報別記憶部を有し、前記生体情報計測装置から取得した前記生体情報は、当該前記生体情報別記憶部に記憶され、各前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報は、同種類の前記生体情報計測装置を更に区分する識別情報と関連付けて記憶され、最新の前記生体情報の情報量が当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えているか否かの残量判断部を有し、前記残量判断部が、当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えていると判断したときは、最新の前記生体情報と関連付けられている前記識別情報が同一の前記生体情報の計時情報が最も古い前記生体情報から順に選択して、当該前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報を削除することで、記憶領域を生成し、最新の前記生体情報を記憶する構成となっていることを特徴とする生体情報管理装置により達成される。
【0007】
前記構成によれば、体温等の生体情報の種類毎に独立した生体情報別記憶部を有し、体温計等の生体情報計測装置から取得した生体情報は、当該生体情報別記憶部に記憶される構成となっている。
また、残量判断部が、当該生体情報別記憶部の残容量を超えていると判断したときは、当該生体情報別記憶部に記憶されている生体情報を削除することで、記憶領域を生成し、最新の前記生体情報を記憶する構成となっている。
したがって、最新の体温情報等の生体情報を記憶する際に、既存の生体情報を削除する必要があるときは、同じ体温情報等が削除されるので、他の血糖値等の生体情報を削除することがない。
したがって、例えば、他の生体情報の記憶されているデータが少なく削除するべきでない場合でも、他の生体情報は削除されないので、生体情報の削除に際し、最適な優先順位を定めることができる。
また、前記構成によれば、当該生体情報別記憶部に記憶されている生体情報を削除するときは、最新の生体情報と関連付けられている識別情報が同一の生体情報の年月日等の計時情報が最も古い生体情報から順に選択して削除する構成となっているので、他の識別情報の生体情報を削除等することがなく、より精度の高い優性順位を定めることができる。
【0012】
好ましくは、前記生体情報管理装置と、前記生体情報計測装置と、医療従事者が操作する医療従事者端末装置と、を有する生体情報管理システムであって、前記生体情報管理装置は、カード状に構成されると共に、前記生体情報計測装置及び前記医療従事者端末装置と、近距離無線通信が可能な構成となっていることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、生体情報管理装置は、カード状のため、利用者は携帯し易く、また、近距離無線通信により、体温計等の生体情報計測装置から容易に生体情報を取得、記憶することができる。
さらに、記憶した生体情報は、カード状の生体情報管理装置を病院等の医療従事者端末装置に近づけるだけで、医師等の医療従事者に提供できるので、医師等の診断等を迅速且つ容易させることができる。
【0014】
上記目的は、本発明にあっては、複数種類の生体情報計測装置が計測した対象者の複数種類の生体情報を記憶するための携帯用の生体情報管理装置を用いる生体情報管理方法であって、前記生体情報計測装置から取得した前記生体情報は、前記生体情報の種類毎に独立した当該生体情報別記憶部に記憶され、各前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報は、同種類の前記生体情報計測装置を更に区分する識別情報と関連付けて記憶され、最新の前記生体情報の情報量が当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えているか否かの残量判断部が残容量を判断し、前記残量判断部が、当該前記生体情報別記憶部の残容量を超えていると判断したときは、最新の前記生体情報と関連付けられている前記識別情報が同一の前記生体情報の計時情報が最も古い前記生体情報から順に選択して、当該前記生体情報別記憶部に記憶されている前記生体情報を削除することで、記憶領域を生成し、最新の前記生体情報を記憶する構成となっていることを特徴とする生体情報管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、生体情報の削除等に際し、最適な優先順位を定めることができる生体情報管理装置、生体情報管理システム及び生体情報管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかる生体情報管理システムを示す概略図である。
図2図1の医師用端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
図3図1に示す体温計の主な構成を示す概略ブロック図である。
図4図1のデータカードの主な構成を示す概略ブロック図である。
図5】第1の情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6】第2の情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7】第3の情報記憶部の主な構成を示す概略ブロック図である。
図8図1の体温計が利用者(患者)の体温を計測し、そのデータを記憶する工程を示す概略フローチャートである。
図9】データカードが体温計から体温情報等を取得する工程を示す概略フローチャートである。
図10】データカードが体温計から体温情報等を取得する工程を示す他の概略フローチャートである。
図11】データカードが体温計から体温情報等を取得する工程を示す他の概略フローチャートである。
図12】利用者(患者)が、病院に行き、所持したデータカードから自己の体温等の生体情報を提供する工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる生体情報管理システム1を示す概略図である。
図1に示すように、生体情報管理システム1は、生体情報管理装置である例えば、扁平なカード状のデータカード10を有している。
このデータカード10は、対象者である利用者がポケット等に収容して容易に携帯できる大きさと成っている。
また、生体情報管理システム1は、生体情報計測装置である例えば、利用者の体温を計測する体温計50、血圧を計測する血圧計3,血糖値を計測する血糖計4及び体脂肪や筋肉量、骨量などの人間の体の組成を計測する体組成計5等を有している。
これら体温計50等は、利用者の自宅6内に配置され、利用者が自宅で体温等の生体情報の計測に用いられる機器であり、体温、血圧、血糖値、体脂肪等が生体情報の一例となっている。
【0019】
また、データカード10及び体温計50等は、後述するように、近距離無線通信装置を有し、相互に近接して配置されると、電磁誘導等によるデータ通信が可能な構成となっている。
したがって、利用者が例えば、体温計50を用いて体温を測定した後、データカード10を体温計50に近接させると、データ通信が開始され、体温計50が記憶している体温情報がデータカード10へ送信される構成となっている。
【0020】
また、生体情報管理システム1は、図1に示すように、病院7に配置される医療従事者端末装置である例えば,医師用端末(PC)80を有している。
この医師用端末80は、病院サーバ100等に接続され、患者(利用者)のデータ等を参照可能な構成となっている。
また、医師用端末80は、図1に示すように、端末用リードライタ装置81を有している。このため、利用者が患者として病院に行くとき、このデータカード10を持参し、端末用リードライタ装置81に近づけることで、データカード10内に記憶された体温等のデータを医師用端末80を介して、病院サーバ100に入力等することができると共に、医師用端末80の端末側ディスプレイ82に、当該体温等のデータを表示させることができる構成となっている。
【0021】
ところで、データカード10は、データカード10が通信を開始する際に電磁波等を発振する「ボタンスイッチ11」を有する他、「OK」を示す緑色のLEDランプ12a及び「NG」を示す赤色のLEDランプ12bを有している。
これらの機能等については、後述する。
【0022】
図1に示す医師用端末80、病院サーバ100、データカード10、体温計50、血圧計3,血糖計4及び体組成計5は、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、これらは、バスを介して接続されている。
【0023】
図2は、図1の医師用端末80の主な構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように、医師用端末80は、端末制御部83を有し、端末制御部83は、図1に示す端末用リードライタ装置81や端末側ディスプレイ82を制御する他、各種情報を入力するキーボード等の端末側入力装置84や各種情報を記憶する端末側各種情報記憶部85も制御する構成となっている。
【0024】
図3は、図1に示す体温計50の主な構成を示す概略ブロック図である。図1には、他に血圧計3,血糖計4及び体組成計5を示しているが、本実施の形態では、体温計50を例に説明する。
したがって、他の血圧計3は、測定する生体情報が異なるが、その他の情報の処理等も体温計50と同様に実行される。
【0025】
体温計50は、図3に示すように、「体温計制御部51」を有し、体温計制御部51は、データカード10と近距離無線通信を行うための「体温計側通信装置52」、「電源スイッチ53」、体温を測定する「センサ(サーミスタ)54a」を有する「体温測定装置54」、時刻情報を生成する「計時装置55」及び体温等の数値等を表示する「体温計側ディスプレイ56」等を制御する構成となっている。
また、体温計制御部51は、図3に示す各種記憶部や処理部であるプログラム等も制御するが、これらの内容については、後述する。
【0026】
図4は、図1のデータカード10の主な構成を示す概略ブロック図である。図4に示すように、データカード10は、計時部13aを有するマイコン13を有している。このマイコン13は、「電池14」、上述の「OK」ランプ12aや「NG」ランプ12bを含む「カードディスプレイ(LED)12」、「ボタンスイッチ11」を制御する他、「電源スイッチ15」や体温計50や端末用リードライト装置81と近距離無線通信を行うための「データカード用リードライタ装置16」を制御する構成ともなっている。
さらに、マイコン13は、不揮発性メモリ17を制御し、不揮発性メモリ17には、各種情報、例えば、「第1の情報記憶部20」、「第2の情報記憶部30」及び「第3の情報記憶部40」を有している。
【0027】
図5乃至図7は、それぞれ、第1の情報記憶部20、第2の情報記憶部30及び第3の情報記憶部40の主な構成を示す概略ブロック図である。それぞれの内容については後述する。
【0028】
図8は、図1の体温計50が利用者(患者)の体温を計測し、そのデータを記憶する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、図8のステップST(以下「ST」と称す。)1で体温計50の電源スイッチ53がON(入)となったか否かを判断する。具体的には、体温計50のキャップ(図示せず)が利用者によって外されることで、自動的に電源スイッチ53がON状態となる。
【0029】
次いで、ST2へ進む。ST2では、図3の体温測定装置54が予測平衡温度値(又は実測温度値)を算出したか否かを判断し、算出したと判断したときは、ST3へ進む。
ST3では、体温測定装置54が「予測平衡温度値(又は、実測温度値)」を図3の「体温計識別番号情報記憶部58」に記憶されている当該体温計50の「体温計識別番号(例えば、12345Model:abc)」及び「計時装置55」の時刻情報と関連付けて、図3の「測定温度情報記憶部59」に記憶する。
また、当該予測平衡温度値(実測温度値)を体温計側ディスプレイ56に表示する。
【0030】
以上で、体温計50は、利用者の体温情報を、体温計50の識別情報である例えば、識別番号及び計時情報である例えば、時刻情報(測定年月日及び時刻)と共に「測定体温情報記憶部59」に記憶することになる。
【0031】
図9乃至図11は、データカード10が体温計50から体温情報等を取得する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、利用者は、図1のデータカード10を所持し、体温計50に近接させて、図1等のボタンスイッチ11を押下等してON(入)状態にする。
したがって、図9のST11では、ボタンスイッチ11が押下等されたか否かが判断される。
ST11で、ボタンスイッチ11が押下され、スイッチがON(入)状態と判断されたときは、ST12へ進む。
【0032】
ST12では、自己診断が実行され、不揮発性メモリ等のチェックが行われる。次いで、ST13へ進み、データカード10の「電池14」の電池電圧が十分か否かが判断され、十分なときは、ST14へ進む。
ST14では、データカード用リードライタ装置16が体温計側通信装置52の磁界を検出したか否かを判断する。
ST13で「電池電圧」が不十分と判断され、又は、ST14で、磁界を検出できなかったときは、電源スイッチ15をOFF等にし、終了するが、これらの動作は、図5の「自己診断等実行部(プログラム)21」が実行する。
【0033】
ST13で「電池電圧」が不十分と判断され、又は、ST14で、磁界を検出できなかったときは、終了する。
ST14で、磁界を検出できたときは、ST15へ進む。ST15では、体温計50と通信し、図3の「体温計識別番号情報記憶部58」に記憶されている当該体温計50の「体温計識別番号(例えば、12345Model:abc)」を取得し、データカード10の図6の「対象機器識別情報記憶部31」に記憶する。
この動作は、図6の「対象機器識別情報取得部(プログラム)32」が実行する。
【0034】
次いで、ST16へ進む。ST16では、図6の「データ取得対象機器判断部(プログラム)33」が実行され、データカード10の「データ対象機器情報記憶部34」を参照
する。
この「データ対象機器情報記憶部34」には、当該データカード10がデータの取得対象としている体温計50等の機器の機器識別番号(例えば、体温計識別番号(12345Model:abc)等)が記憶されている、
【0035】
したがって、このデータ対象機器情報記憶部34を参照することで、データカード10が現在、通信している対象機器(対象機器識別情報記憶部31に記憶された体温計50等の機器)が、対象外でないか否かを判断することができ、間違って対象となっていない体温計50等の機器から測定データ等を取得するのを未然に防止することができる。
このように、データカード10は、「対象機器識別情報記憶部31」に記憶されている機器(体温計等)が対象機器に含まれるか否かを判断する。
【0036】
ST16で、対象機器でないと判断されたときは、ST17へ進み、図1の「NG」ランプ(赤色)を点灯させ、終了する。
一方、対象機器と判断されたときは、ST18へ進む。ST18では、データカード10は、体温計50の測定した体温情報等の問い合わせを行う「データカード側問い合わせ信号」を体温計50に送信する。
【0037】
次いで、ST19へ進む。ST19では、データカード10の生体情報別記憶部である例えば、体温情報記憶領域に記憶されている当該体温計50(体温計識別番号12345Model:abc)の体温情報の最新の「年月日(時刻)」データを問い合わせるための「体温計側問い合わせ信号」が体温計50からデータカード10に送信される。
【0038】
すなわち、図5に示すように、データカード10は、カード情報記憶部22を有し、このカード情報記憶部22内は、その記憶する生体情報である体温、血圧、血糖値、体組成及び活動量等によって異なった独立した領域を有している。
具体的には、共通領域として、データカード設定情報記憶領域、デバイス登録情報記憶部領域が形成されている。このデバイス登録情報記憶部領域には、体温計の体温計識別番号(12345Model:abc)等が記憶されている。
また、データ領域として、体温情報記憶領域、血圧情報記憶領域、血糖値情報記憶領域、体組成情報記憶領域、活動量計記憶領域が、それぞれ、別個に形成され、データカード10と通信する相手側の機器が体温計50の場合は、その測定データを「体温情報記憶領域」に記憶し、他の領域には記憶しない構成となっている。
【0039】
また、各データ領域等には、それぞれ記憶容量が振り分けられており、図5に示すように、「振り分けメモリサイズ」が定められている。
したがって、各生体情報のデータがデータ情報活動部22内で、混在することなく他の生体情報と区別されて記憶されている。
また、データ量の大小、例えば、活動量情報の各データは、体温情報のデータより大のときは、活動量情報記憶領域の振り分けメモリサイズを体温情報記憶領域より予め大きく設定等し、メモリサイズが最適になるように振り分けている。
【0040】
また、各データ領域に記憶される情報は,図5の「体温情報記憶領域の記憶情報内容」に示されるように、具体的な体温情報(36.8℃等)のみならず、その測定の計時情報である例えば、年月日(時刻)情報(2013年7月10日等)、当該体温計50の体温計識別番号(12345Model:abc等)及びデータサイズ(データ量)と関連付けて記憶されている。
【0041】
このため、ST19では、体温計50は、図5のカード情報記憶部22の「体温計情報記憶領域」の記憶情報内容のうち、当該体温計50、例えば、12345Model:abcの最新の年月日(時刻)データを、問い合わせる信号を、体温計50がデータカード10に送信する。
具体的には、図3の「受信済みデータ問い合わせ部(プログラム)60」が実行する。
【0042】
次いで、ST20へ進む。ST20では、データカード10は、図6の「最新測定情報送信部(プログラム)35」が実行され、当該体温計50(体温計識別番号12345Model:abc)の体温情報の最新の「年月日(時刻)」データ、例えば、2013年7月15日)を当該体温計50に送信する。
【0043】
次いで、ST21へ進む。ST21では、体温計50は、体温情報の最新の「年月日(時刻)」データ(例えば、2013年7月15日)を受信し、図3の「体温計側最新情報記憶部61」に記憶する。
【0044】
次いで、ST22へ進む。ST22では、体温計10の図3の「最新情報判断部(プログラム)62」が実行され、図3の「体温計側最新情報記憶部61」と「測定体温情報記憶部59」を参照して、「測定体温情報記憶部59」に「体温計側最新情報記憶部61」の最新の「年月日(時刻)」、例えば、2013年7月15日より最新のデータである「直近データ」が存在するか否かを判断し、「直近データ」が存在しないときは、終了する。
【0045】
したがって、本実施の形態では、体温計10は、自己が既に送信した「測定体温情報」を再びデータカード10に送信することなく、直近の新しいデータのみを送信するので、無駄な送受信を未然に防ぐことができる。
【0046】
一方、ST22で「直近データ」が存在したときは、ST23へ進み、体温計は、直近データ(例えば、測定年月日(時刻)、体温計識別番号、体温情報)をデータカードへ送信する。
次いで、ST24へ進む。ST24では、データカード10の図6の「データサイズ情報生成部(プログラム)36」が実行され、体温計50から受信した「直近データ」のデータサイズ情報を生成して、「直近データ」と関連付けて、図7の「暫定記憶部41」に記憶する。
【0047】
次いで、ST25へ進む。ST25では、図7の「メモリ残量演算部(プログラム)42」が動作し、「直近データ」の属する機器(体温計50)の図5の「カード情報記憶部22」の「記憶領域名」(例えば、「体温情報記憶領域」)の「振り分けメモリサイズ」と、「体温情報記憶領域の記憶情報」の記憶済みの「データサイズ」の合計とを比較して「メモリサイズ残量」を演算し、「メモリ残量記憶部43」に記憶する。
【0048】
次いで、ST26へ進む。ST26では、データカード10の残量判断部である例えば、「メモリサイズ残量判断部(プログラム)44」が動作し、「暫定記憶部41」の「直近データ」の「データサイズ」は「メモリ残量記憶部43」の「メモリサイズ残量データ」以下か否かを判断する。
なお、「直近データ」の「データサイズ」は、最新の生体情報の情報量の一例となっている。
【0049】
ST26で、「暫定記憶部41」の「直近データ」の「データサイズ」は「メモリ残量記憶部43」の「メモリサイズ残量データ」以下と判断されたときは、「直近データ」を記憶する容量が「体温情報記憶領域」に残っていないこととなる。
このとき、本実施の形態では、図5の「カード情報記憶部22」の他の血圧情報記憶領域等の残量等を考慮することなく、「直近データ」を「体温情報記憶領域」に記憶させる工程を行う。
これにより、データカード10は、各生体情報の測定情報が、生体情報毎に確実に記憶され、確保されることになる。
【0050】
ST26で、「直近データ」の「データサイズ」は「メモリ残量記憶部43」の「メモリサイズ残量データ」以下と判断されたときは、ST27へ進む。
ST27では、図7の「データサイズ整理処理部(プログラム)45」が動作し、図7の「メモリ残量記憶部43」の「メモリサイズ残量データ」に、図5の「カード情報記憶部22」の「体温情報記憶領域」の各データの「データサイズ」を、「年月日(時刻)」の古い順に加算し、加算した「仮想データサイズ」が、「メモリサイズ残量データ」以上となるまで、順に加算を続け、加算した各データを消去する。
【0051】
したがって、「直近データ」が「体温情報」をデータカード10に記憶するときは、他の生体情報である血圧情報等を削除することなく、同じ生体情報のデータのうち古いデータと置き換える構成となっているので、生体情報の削除等に関し、最適な優先順位を定めることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、同じ体温情報記憶領域に記憶される体温データは「体温計識別番号(12345Model:abc等)」にかかわらず、古いデータを削除する構成としたが、本発明はこれに限らず、同じ体温情報のうち、当該「直近データ」の体温計50と「体温計識別番号」が同じ(例えば、12345Model:abc)体温情報のデータのうち、古いデータを削除する構成としても構わない。
この場合は、同じ体温計50でも、体温計識別番号が異なるデータを残すので、より精度の高い優性順位を定めることができる。
【0053】
一方、ST26で、「直近データ」の「データサイズ」は「メモリ残量記憶部43」の「メモリサイズ残量データ」以下と判断されたときは、ST28へ進む。この場合は、「直近データ」を記憶する容量が「体温情報記憶領域」に残っているので、そのまま記憶させる。
【0054】
以上で、体温計50のデータをデータカード10に記憶させる工程等について説明したが、データカード10は、同様に、図1に示す血圧計3,血糖計4及び体組成計5等の他の生体情報を取得する機器から生体情報を取得し記憶する。
そして、この小型のデータカード10を持って利用者は、図1の病院7へ行き、データカード10内のデータを医師等に提供することになる。
【0055】
図12は、利用者(患者)が、病院に行き、所持したデータカード10から自己の体温等の生体情報を提供する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、利用者は、携帯してきたデータカード10を、図1の医師用端末80の端末用リードライタ装置81に近接させる。
そして、図12のST41へ進む。ST41では、データカード10は、医師用端末80の端末用リードライタ装置81の磁界を検出したか否かを判断する。
【0056】
次いで、ST42へ進み、データカード10は、上述のST12と同様に「自己診断実行(不揮発性メモリ等のチェック)」行い、ST43へ進む。
ST43では、上述のST13と同様に電池電圧は十分か否かを判断し、十分な場合は、ST44へ進む。
【0057】
ST44では、データカード10は、端末用リードライタ装置81からポーリングコマンドを受信したか否かを判断し、受信したときは、ST45へ進む。
ST45では、データカード10は、図5の「カード情報記憶部22」の「データ領域」の「体温情報記憶領域」等のデータを医師用端末80へ送信する。
【0058】
以上の工程で、病院は、利用者(患者)の自宅における体温情報をその測定年月日等の情報と共に取得することができるので、これらのデータに基づき、利用者(患者)の担当医師の診断等が行い易くなる。
【0059】
ところで、本発明は、上述の実施の形態に限定されない。本実施の形態では、生体情報の後、特に体温情報を例に説明したが、他に脈拍情報等の生体情報も同様に扱うことができる。
また、データカード10に限らず、電話・e−メールの他にPDA機能が付いた多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型PC(パーソナルコンピュータ)等も適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・生体情報管理システム、3・・・血圧計、4・・・血糖計、5・・・体組成計、10・・・データカード、11・・・ボタンスイッチ、12・・・カードディスプレイ(LED)、12a・・・OKランプ、12b・・・NGランプ、13・・・マイコン、13a・・・計時部、14・・・電池、15・・・電源スイッチ、16・・・データカード用リードライタ装置、17・・・不揮発性メモリ、20・・・第1の情報記憶部、21・・・自己診断等実行部(プログラム)、22・・・カード情報記憶部、30・・・第2の情報記憶部、31・・・対象機器識別情報記憶部、32・・・対象機器識別情報取得部(プログラム)、33・・・データ取得対象機器判断部(プログラム)、34・・・データ対象機器情報記憶部、35・・・最新測定情報送信部(プログラム)、36・・・データサイズ情報生成部(プログラム)、40・・・第3の情報記憶部、41・・・暫定記憶部、42・・・メモリ残量演算部(プログラム)、43・・・メモリ残量記憶部、44・・・メモリサイズ残量判断部(プログラム)、45・・・データサイズ整理処理部(プログラム)、50・・・体温計、51・・・体温計制御部、52・・・体温計側通信装置、53・・・電源スイッチ、54・・・体温測定装置、54a・・・センサ(サーミスタ)、55・・・計時装置、56・・・体温計側ディスプレイ、58・・・体温計識別情報記憶部、59・・・測定体温情報記憶部、60・・・受信済みデータ問い合わせ部(プログラム)、61・・・体温計側最新情報記憶部、62・・・最新情報判断部(プログラム)、80・・・医師用端末、81・・・端末用リードライタ装置、82・・・端末側ディスプレイ、83・・・端末制御部、84・・・端末側入力装置、85・・・端末側各種情報記憶部、100・・・病院サーバ
図1
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図12