特許第6240468号(P6240468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240468
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】流量検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/28 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G01F1/28 Z
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-226913(P2013-226913)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-167459(P2014-167459A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-16660(P2013-16660)
(32)【優先日】2013年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高山 直樹
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−504412(JP,A)
【文献】 特開2011−102810(JP,A)
【文献】 実開昭51−070564(JP,U)
【文献】 特開平10−253467(JP,A)
【文献】 特開昭61−138125(JP,A)
【文献】 特開2012−145356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/28
G01F 1/38
G01P 5/04
G01L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の体積流量を検出する流量検出センサであって、
前記流体の流れに応じて変形可能であると共にピエゾ抵抗層を有する梁部を備えた差圧検出素子と、
前記梁部の変形に伴う前記ピエゾ抵抗層の抵抗変化量を検出する抵抗検出手段と、
前記梁部の変形を打ち消す方向の力を発生させる相殺手段と、
前記相殺手段に指示するフィードバック量を前記抵抗変化量に基づいて算出する第1の算出手段と、
前記フィードバック量に基づいて前記流体の体積流量を算出する第2の算出手段と、を備えており、
前記相殺手段は、前記フィードバック量に応じた大きさの力を発生させることで、前記梁部の変形を打ち消し、
前記差圧検出素子は、貫通孔を有すると共に、前記梁部を前記貫通孔に突出するように片持或いは両持支持する支持体を備えており、
前記相殺手段は、
前記梁部に設けられた導電体と、
前記導電体を包含する領域に磁界を発生させる磁界発生部と、を有し、
前記フィードバック量は、前記導電体に流れる電流値であり、
前記第2の算出手段は、補正値に基づいて前記フィードバック量の補正を行う補正手段を備えており、
前記補正手段は、
第1の補正用抵抗変化量と第2の補正用抵抗変化量の変動比に基づいて前記補正値を算出する第3の算出手段と、
前記フィードバック量を前記補正値で補正演算する第4の算出手段と、を有し、
前記第1及び前記第2の補正用抵抗変化量は、前記流体の体積流量がゼロの状態において、前記抵抗検出手段により測定された前記ピエゾ抵抗層の抵抗変化量であり、
前記第2の補正用抵抗変化量を測定する第2の時期は、前記第1の補正用抵抗変化量を測定する第1の時期より、後であることを特徴とする流量検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を流れる流体の体積流量を検出する流量検出センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流速を計測する技術として、カンチレバー部を有する流量検出センサを、主流路をバイパスするバイパス路に設置し、流路内の上流と下流の差圧により弾性変形するカンチレバー部にピエゾ抵抗層を設け、当該ピエゾ抵抗層の抵抗変化に基づいて主流路内の流体の流速を算出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−145356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のカンチレバー部が弾性変形することにより流体が通過する流路断面積も変化すると、流量とピエゾ抵抗層の抵抗変化量との間の線形性が維持されなくなると共に、流体の流れ方を変えてしまうため、流量を精度良く検出することが難しくなる場合があるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、検出精度の向上を図ることができる流量検出センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る流量検出センサは、流体の体積流量を検出する流量検出センサであって、前記流体の流れに応じて変形可能であると共にピエゾ抵抗層を有する梁部を備えた差圧検出素子と、前記梁部の変形に伴う前記ピエゾ抵抗層の抵抗変化量を検出する抵抗検出手段と、前記梁部の変形を打ち消す方向の力を発生させる相殺手段と、前記相殺手段に指示するフィードバック量を前記抵抗変化量に基づいて算出する第1の算出手段と、前記フィードバック量に基づいて前記流体の体積流量を算出する第2の算出手段と、を備えており、前記相殺手段は、前記フィードバック量に応じた大きさの力を発生させることで、前記梁部の変形を打ち消し、前記差圧検出素子は、貫通孔を有すると共に、前記梁部を前記貫通孔に突出するように片持或いは両持支持する支持体を備えており、前記相殺手段は、前記梁部に設けられた導電体と、前記導電体を包含する領域に磁界を発生させる磁界発生部と、を有し、前記フィードバック量は、前記導電体に流れる電流値であり、前記第2の算出手段は、前記フィードバック量の補正を行う補正手段を備えており、前記補正手段は、第1の補正用抵抗変化量と第2の補正用抵抗変化量の変動比に基づいて前記補正値を算出する第3の算出手段と、前記フィードバック量を前記補正値で補正演算する第4の算出手段と、を有し、前記第1及び前記第2の補正用抵抗変化量は、前記流体の体積流量がゼロの状態において、前記抵抗検出手段により測定された前記ピエゾ抵抗層の抵抗変化量であり、前記第2の補正用抵抗変化量を測定する第2の時期は、前記第1の補正用抵抗変化量を測定する第1の時期より、後であることを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィードバック制御によってピエゾ抵抗層の抵抗変化量に基づいて梁部の変形を打ち消しつつ、そのフィードバック量に基づいて流量を算出するので、梁部を閉じた状態で流量を検出することができる。このため、流量とピエゾ抵抗層の抵抗変化量との間の線形性を維持することができると共に、梁部の変形が流量に与える影響を小さくすることができるので、流量検出の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態における流量検出センサの全体構成を示す図である。
図2図2(a)は、本発明の第1の実施形態におけるバイパス路内の流量検出センサの断面図であり、図2(b)は、本発明の第1の実施形態におけるバイパス路内の流量検出センサの平面図である。
図3図3(a)は、本発明の第1の実施形態における差圧検出素子の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIB-IIIB線に沿った断面図である。
図4図4(a)は、本発明の第1の実施形態における差圧検出素子の変形例を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVB-IVB線に沿った断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態における差圧検出素子の製造方法を示す工程図である。
図6図6(a)〜図6(h)は、図5の各ステップを示す断面図である。
図7図7(a)〜図7(g)は、図5の各ステップを示す断面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施形態におけるフィードバック制御を説明するための図である。
図9図9は、本発明の第1の実施形態の変形例における流量検出センサの構成を示す図である。
図10図10(a)は、本発明の第2の実施形態におけるバイパス路内の流量検出センサの断面図であり、図10(b)は、本発明の第2の実施形態におけるバイパス路内の流量検出センサの平面図である。
図11図11(a)は、本発明の第2の実施形態における差圧検出素子の平面図であり、図11(b)は、図11(a)のXIB-XIB線に沿った断面図である。
図12図12は、本発明の第2の実施形態の変形例における流量補正部の構成を示す図である。
図13図13は、本発明の第2の実施形態の変形例における運用時の流量補正のフローチャートを示す図である。
図14図14は、本発明の第2の実施形態の変形例における初期設定時の流量補正のフローチャートを示す図である。
図15図15は、本発明の第2の実施形態の変形例における保守時の流量補正のフローチャートを示す図である。
図16図16は、本発明の第3の実施形態における流量検出センサの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施形態における流量検出センサの全体構成を示す図、図2(a)及び図2(b)は本発明の第1の実施形態におけるバイパス路内の流量センサの断面図及び平面図、図3(a)及び図3(b)は本発明の第1の実施形態における差圧検出素子の平面図及び断面図、図4(a)及び図4(b)は差圧検出素子の変形例を示す平面図及び断面図である。
【0015】
本発明の第1の実施形態における流量検出センサ10は、図1に示すように、主流路1を流れる流体の体積流量を計測する装置である。この流量検出センサ10は、差圧検出素子20と、ソレノイドコイル30と、抵抗検出部40と、電流算出部50と、流量算出部60と、を備えている。主流路1内を流れる流体の一例としては、例えば、空気等の気体を例示することができるが液体であってもよい。
【0016】
なお、図1では、流体が主流路1内を左側から右側に向かって流れている状況を図示しているが、流体の流通方向は特にこれに限定されず、流体が主流路1内を右側から左側に向かって流れる場合もある。
【0017】
この主流路1からはバイパス路2が分岐しており、主流路1とバイパス路2は、上流側開口3で連結されていると共に、下流側開口4でも連結されている。図2(a)及び図2(b)に示すように、バイパス路2内には取付部材35が設置されており、この取付部材35に差圧検出素子20とソレノイドコイル30が取り付けられている。
【0018】
従来の流量検出センサでは、差圧検出素子のカンチレバー部の弾性変形によってバイパス路の開口間の圧力差を検出し、当該圧力差に基づいて流量を算出する。これに対し、本発明の第1の実施形態では、後述するフィードバック制御によってソレノイドコイル30の磁力を利用して差圧検出素子20のカンチレバー部22の弾性変形を相殺しつつ、そのソレノイドコイル30に流す電流値に基づいて流体の体積流量を算出する。
【0019】
差圧検出素子20は、図3(a)及び図3(b)に示すように、支持体21と、カンチレバー部22と、電極23,24と、を備えたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子である。
【0020】
後述するように、支持体21とカンチレバー部22は、SOI(Silicon on Insulator)ウェハ80を加工することで一体的に形成されており、支持体21は、第1のシリコン層81、酸化シリコン層82、及び、第2のシリコン層83からなる積層体で構成されている。この支持体21には、当該支持体21を貫通する貫通孔211が形成されている。
【0021】
一方、カンチレバー部22は、第2のシリコン層83と、一対のピエゾ抵抗層221,222と、から構成されており、上記の貫通孔211の上側の開口に突出するように、支持体21に片持ち支持されている。このカンチレバー部22において、第2のシリコン層83は自由端側に位置しているのに対し、ピエゾ抵抗層221,222は固定端側に位置しており、カンチレバー部22の外縁と貫通孔211の開口との間には隙間(ギャップ)224が確保されている。この隙間224は、バイパス路2内を流体がほとんど流れない程度の狭い幅を有しており、特に限定されないが、例えば、0.1[μm]〜10[μm
]程度の幅を有することが好ましい。
【0022】
ピエゾ抵抗層221,222は、n型若しくはp型の不純物を第2のシリコン層83にドーピングすることで形成されており、カンチレバー部22の弾性変形に伴って当該ピエゾ抵抗層221,222の抵抗値が変化する。このため、本発明の第1の実施形態では、ピエゾ抵抗層221,222は、カンチレバー部22において最も歪みが大きくなる根元部分に設けられており、カンチレバー部22は、このピエゾ抵抗層221,222で貫通孔211の開口の周縁に連結されている。
【0023】
このピエゾ抵抗層221,222同士は、カンチレバー部22上に設けられた接続リード223を介して電気的に直列接続されている。なお、カンチレバー部22全体をピエゾ抵抗層で形成してもよく、この場合には接続リード223は不要となる。
【0024】
さらに、本発明の第1の実施形態では、カンチレバー部22の上面に磁性体225が設けられている。この磁性体225は、カンチレバー部22の自由端に位置している。この磁性体225を構成する材料としては、例えば、Ni−Fe(パーマロイ)等の強磁性金属材料を例示することができる。この磁性体225を磁化してもよく、これにより主流路1内における流体の両方向の流れにも対処することができる。また、磁性体225の設置位置はカンチレバー部22上であれば特に限定されないが、当該カンチレバー部22の自由端に近い方が好ましい。
【0025】
なお、カンチレバー部22に代えて、図4(a)及び図4(b)に示すように、貫通孔211の開口に突出するように梁部22Bを支持体21に両持支持させてもよい。この場合には、梁部22Bの略中央部分に磁性体225を設ける。本発明の第1の実施形態におけるカンチレバー部22や梁部22Bが、本発明における梁部の一例に相当する。
【0026】
電極23,24は、支持体21の上面に設けられている。第1の電極23は、第1のリード231を介して第1のピエゾ抵抗層221に電気的に接続されている。第2の電極24も、第2のリード241を介して第2のピエゾ抵抗層222に電気的に接続されている。この電極23,24は、特に図示しない配線等を介して、上述の抵抗検出部40に電気的に接続されている。
【0027】
なお、上述の接続リード223が磁性を有する材料で構成されている場合には、上述の磁性体225を接続リード223と同じ材料で構成してもよい。この場合には、根元部分を除くカンチレバー部22の全面に導電層を設けて、接続リード223と磁性体225を一体的に形成してもよい。
【0028】
以上に説明した磁性体225を有する差圧検出素子20の製造方法について、図5図7(g)を参照しながら説明する。
【0029】
図5は本発明の第1の実施形態における差圧検出素子の製造方法を示す工程図、図6(a)〜図7(g)は図5の各ステップを示す断面図である。
【0030】
先ず、図5のステップS11において、図6(a)に示すように、SOIウェハ80を準備する。このSOIウェハ80は、第1のシリコン層81(ハンドル層)と、酸化シリコン層82(BOX(Buried Oxide)層)と、第2のシリコン層83(活性層)と、を有しており、2つのシリコン層81,83の間に酸化シリコン層82を挟むように3つの層81〜83が積層されている。
【0031】
特に限定されないが、第1のシリコン層81の厚みが300[μm]程度であり、酸化シリコン層82の厚みが0.4[μm]程度であり、第2のシリコン層83の厚みが0.3[μm]程度であることが好ましい。
【0032】
こうしたSOIウェハ80を形成する手法としては、例えば、酸化膜が形成されたシリコン基板に別のシリコン基板を貼り合わせる方法や、SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法、スマートカット法等を例示することができる。
【0033】
次いで、図5のステップS12において、SOIウェハ80の第2のシリコン層83にピエゾ抵抗層221,222を形成する。
【0034】
具体的には、先ず、図6(b)に示すように、SOIウェハ80の第2のシリコン層83上に第1のレジスト層91を形成する。この第1のレジスト層91は、ピエゾ抵抗層221,222の形状に対応した開口を有している。
【0035】
次いで、図6(c)に示すように、第1のレジスト層91の開口を介して、n型若しくはp型の不純物を第2のシリコン層83にドーピングすることで、ピエゾ抵抗層221,222を形成し、その後、第1のレジスト層91を除去する。第2のシリコン層83に不純物をドーピングする手法としては、熱拡散法(Thermal Diffusion)やイオン注入法(Ion Implantation)等を例示することができる。
【0036】
なお、特に図示しないが、第1のレジスト層91を形成せずに、第2のシリコン層83全体に不純物をドーピングしてもよい。この場合には、上述のように、接続リード223を省略することができる。
【0037】
次いで、図5のステップS13において、ピエゾ抵抗層221,222を形成したSOIウェハ80に磁性体225を形成する。
【0038】
具体的には、先ず、図6(d)に示すように、SOIウェハ80の上面全体に磁性層84を形成する。この磁性層84を構成する材料としては、Ni−Fe(パーマロイ)等の強磁性金属材料を例示することができる。また、この磁性層84を形成する手法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、めっき等の手法を例示することができる。
【0039】
次いで、図6(e)に示すように、磁性層84上に第2のレジスト層92を形成する。この第2のレジスト層92は、上述した磁性体225に対応した形状を有している。次いで、図6(f)に示すように、ウェットエッチング或いはドライエッチングによって磁性層84を選択的に除去することで磁性体225を形成し、その後、第2のレジスト層92を磁性体225上から除去する。
【0040】
次いで、図5のステップS14において、図6(g)に示すように、ピエゾ抵抗層221,222及び磁性体225を形成したSOIウェハ80の上面全体に導電層85を形成する。この導電層85を構成する材料としては、例えば、銅、アルミニウム、金等の金属材料を例示することができる。また、この導電層85を形成する手法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、めっき等の手法を例示することができる。
【0041】
なお、磁性層84と導電層85を形成する前に、SOIウェハ80の上面全体に下地層を形成してもよい。これにより、第2のシリコン層83に対する導電層85の密着性を向上させたり、導電層85を構成する金属材料が第2のシリコン層83に拡散するのを防止することができる。こうした下地層を構成する材料としては、例えば、クロム、ニッケル、チタン、或いは、チタン−タングステン等を例示することができる。
【0042】
次いで、図5のステップS15において、第2のシリコン層83に対してパターニングを行う。
【0043】
具体的には、先ず、図6(h)に示すように、導電層85上に第3のレジスト層93を形成する。この第3のレジスト層93は、差圧検出素子20の隙間224の形状に対応した開口を有している。
【0044】
次いで、図7(a)に示すように、第3のレジスト層93の開口を介して、ウェットエッチング或いはドライエッチングによって導電層85を選択的に除去し、その後、第3のレジスト層93を導電層85上から除去する。
【0045】
次いで、図7(b)に示すように、上記のようにパターニングされた導電層85をマスクとして利用して、第2のシリコン層83をエッチングすることで、カンチレバー部22の外縁を規定する隙間224を形成する。この際、酸化シリコン層82がエッチングストッパとして機能する。この第2のシリコン層83に対する具体的なエッチング手法としては、例えば、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)等のドライエッチングを例示する
ことができる。
【0046】
次いで、図5のステップS16において、導電層85に対してパターニングを行うことで、電極23,24やリード223,231,241を形成する。
【0047】
具体的には、先ず、図7(c)に示すように、導電層85の上に第4のレジスト層94を形成する。この第4のレジスト層94は、電極23,24やリード223,231,2
41に対応した形状を有している。次いで、図7(d)に示すように、第4のレジスト層94が形成された導電層85をエッチングし、その後、導電層85の上から第4のレジスト層94を除去する。なお、導電層85において磁性体225を覆っている部分をエッチングせずに磁性体225上に残してもよい。
【0048】
次いで、図5のステップS17において、図7(e)に示すように、SOIウェハ80の下面に第5のレジスト層95を形成する。この第5のレジスト層95は、上述の貫通孔211の形状に対応した開口を有している。
【0049】
次いで、図7(f)に示すように、第1のシリコン層81を下方からエッチングする。この際、酸化シリコン層82がエッチングストッパとして機能する。この第1のシリコン層81に対する具体的なエッチング手法としては、例えば、DRIE等のドライエッチングを例示することができる。
【0050】
次いで、図5のステップS18において、図7(g)に示すように、酸化シリコン層82を下方からエッチングすることで、貫通孔211を有する支持体21が形成される。この酸化シリコン層82に対する具体的なエッチング手法としては、例えば、フッ酸(HF)を用いたウェットエッチング等を例示することができる。
【0051】
以上に説明したステップS11〜S18を実行することで、一枚のSOIウェハ80に多数の差圧検出素子20が一括で形成される。このため、図5のステップS19において、当該多数の差圧検出素子20をダイシングによって個片化することで、個々の差圧検出素子20が完成する。
【0052】
なお、差圧検出素子20の製造方法は、図5に示すものに限定されない。例えば、電極23,24を形成した後(図5のステップS16の後)に磁性体225を形成してもよい。
【0053】
以上のように作製された差圧検出素子20は、図1図2(a)及び図2(b)に示すように、取付部材35を介してソレノイドコイル30と共にバイパス路2内に設置されている。この取付部材35は、同図に示すように、プレート部351と、フランジ部353と、支持突起354と、を有している。
【0054】
プレート部351は、バイパス路2の内径よりも大きな外形を有する円板形状を有しており、その中央部分には開口352が形成されている。この開口352に差圧検出素子20が固定されており、差圧検出素子20は、カンチレバー部22が流体の流通方向に対して直交し、且つ、貫通孔211が流体の流通方向に沿うように、バイパス路2内に配置されている。
【0055】
フランジ部353は、バイパス路2の内径よりも僅かに小さな外径を有する筒状形状を有しており、プレート部351の外周近傍に立設されている。このフランジ部353がバイパス路2の内面に密着すると共にプレート部351の外周部分がバイパス路2の壁面に入り込むことで、取付部材35がバイパス路2に固定されている。
【0056】
一方、支持突起354は、プレート部351の開口352を囲むようにプレート部351に立設されている。この支持突起354は環状形状を有しており、当該支持突起354の外周面に導電線31が巻回されることで、ソレノイドコイル30が形成されている。当該ソレノイドコイル30の中心軸32(図3(b)参照)上に磁性体225が位置している。
【0057】
なお、特に図示しないが、支持突起354を、プレート部351の両面に設けてソレノイドコイル30を差圧検出素子20の両側に配置してもよい。これにより、主流路1内における流体の両方向の流れにも対処することができる。
【0058】
図1に示すように主流路1に流体が流れている場合、壁面との摩擦等に起因して圧力損失が生じ、下流側ほど圧力が低くなるので、バイパス路2の上流側開口3の圧力と比較して下流側開口4の圧力が低くなる。一方、上述のように差圧検出素子20の隙間224は流体がほとんど流れない程度に狭くなっている。このため、カンチレバー部22の上流側には上流側開口3の圧力が加わるのに対し、カンチレバー部22の下流側には下流側開口4の圧力が加わる。そして、この開口3,4間の圧力差によって差圧検出素子20のカンチレバー部22が弾性変形し、ピエゾ抵抗層221,222に歪みが生じる。
【0059】
抵抗検出部40は、このカンチレバー部22の弾性変形に伴うピエゾ抵抗層221,222の抵抗値を、電極23,24を介して検出し、当該抵抗値から抵抗変化量dR[Ω]を算出する。
【0060】
一方、ソレノイドコイル30は、通電によりカンチレバー部22を包含する領域に磁界を形成することが可能となっている。当該カンチレバー部22に設けられた磁性体225は、このソレノイドコイル30により形成された磁界の磁気勾配によって、磁束密度の高い領域(すなわちソレノイドコイル30の中心軸)に向かって引き寄せられる。なお、本発明の第1の実施形態における磁性体225とソレノイドコイル30が、本発明における相殺手段の一例に相当する。
【0061】
電流算出部50は、下記の(1)式に従って、ソレノイドコイル30の電流値Ifb[A]を算出する。但し、Ifb_old[A]は、dR[Ω]の計測を行った時点で流れているフィードバック電流の値であり、kは比例定数である。その他の関係式として、下記の(2)〜(4)式がある。flowは流体の体積流量[m/s]であり、Fflowは流体の差圧によりカンチレバー部22に加わる力[N]であり、Ffbはソレノイドコイル30の磁力によりカンチレバー部22に加わる力[N]であり、m,nは比例定数である。
【0062】
Ifb=Ifb_old+k×dR … (1)
Fflow=m×flow … (2)
Ffb=Fflow … (3)
Ifb=n×Ffb … (4)
【0063】
なお、上記の(1)式は、一般的なフィードバック制御の方法に基づくものである。また、上記の(2)式はカンチレバーに加わる力が流量に比例することに基づくものであり、(3)式はdR[Ω]が0となった場合の釣り合いに基づくものであり、(4)式は、同じ位置での磁気勾配の大きさはソレノイドコイル30に流れる電流の大きさに比例することに基づくものである。
【0064】
電流算出部50は、上記の(2)〜(4)式に従って電流値Ifbを算出する。kが負の場合、抵抗変化量dR[Ω]が負の値である場合には電流値Ifbは増加する。一方、抵抗変化量dR[Ω]が正の値である場合には電流値Ifbは減少する。ただし、kは負に限定されるものではなく、抵抗変化量dR[Ω]を0に収束させるように決定される。
【0065】
上記の(1)式により算出された大きさIfbの電流をソレノイドコイル30に流すことで、図8に示すように、流体の差圧による力Fflowと釣り合った大きさの力Ffbが、ソレノイドコイル30の磁力によってカンチレバー部22に対して加わり、カンチレバー部22の変形が打ち消されてその変形量がゼロとなる。なお、図8は本発明の第1の実施形態におけるフィードバック制御を説明するための図である。また、本発明の第1の実施形態における電流値Ifbが、本発明におけるフィードバック量の一例に相当する。
【0066】
一方、流量算出部60は、電流算出部50により算出された電流値Ifb[A]に基づいて、以下の(5)式に従って、流体の体積流量flowを算出する。
【0067】
flow=Ifb/(m×n) … (5)
【0068】
以上に説明した抵抗検出部40、電流算出部50、及び流量算出部60は、例えば、コンピュータやアナログ回路によって構成されている。本発明の第1の実施形態における電流算出部50が本発明における第1の算出手段の一例に相当し、本発明の第1の実施形態における流量算出部60が本発明における第2の算出手段の一例に相当する。
【0069】
以上のように、本発明の第1の実施形態では、フィードバック制御によってピエゾ抵抗層221,222の抵抗変化量dRに基づいてカンチレバー部22の変形を打ち消しつつ、そのフィードバック制御で用いた電流値Ifbを用いて流量を算出する。このため、カンチレバー部22を閉じた状態で流体の体積流量flowを検出することができるので、流量検出の精度が向上する。
【0070】
なお、以上説明した発明の第1の実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の発明の第1の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0071】
例えば、上述の実施形態では、カンチレバー部22の磁性体225とソレノイドコイル30との間に生じる磁力を利用することで、カンチレバー部22の変形を打ち消したが、特にこれに限定されず、図9に示すような構成としてもよい。
【0072】
図9は本発明の他の実施形態における流量検出センサの構成を示す図である。同図に示すように、この実施形態では、カンチレバー部22の上面に導電層226を形成すると共に、当該カンチレバー部22の上下に電極33,34を配置する。そして、導電層226と一方の電極33,34との間に電圧を印加して、カンチレバー部22を当該電極33,34に引き寄せることで、カンチレバー部22の変形を打ち消す。本例では、導電層226と一方の電極33,34との間に印加する電圧値が、本発明におけるフィードバック量の一例に相当する。
【0073】
なお、図9に示す例では、カンチレバー部22の上面のみに導電層226を設けているが、特にこれに限定されず、カンチレバー部22の下面にも導電層を設けてもよい。また、導電層226と接続リード223を別々に設けているが、特にこれに限定されず、導電層226と接続リード223を一体的に形成してもよい。
【0074】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0075】
流量検出センサは、第1の実施形態とほぼ同じ構成の図1で示すことができる。ただし、この流量検出センサは、ソレノイドコイル30を設けず、取付部材1035に磁界発生部1030を備える(図10(a)及び図10(b))。磁界発生部1030の一例としては、例えば、電磁石でもよいが、永久磁石を用いる方が、消費電力が小さくなり、より好ましい。
【0076】
従来の流量検出センサでは、差圧検出素子のカンチレバー部の弾性変形によってバイパス路の開口間の圧力差を検出し、当該圧力差に基づいて流量を算出する。これに対し、本発明の第2の実施形態では、図10(a)及び図10(b)に示すように、後述するフィードバック制御によって磁界発生部1030の磁力を利用して差圧検出素子1020のカンチレバー部1022(図11(a))の弾性変形を相殺しつつ、カンチレバー部1022に設けられた導電体1225に流す電流値に基づいて流体の体積流量を算出する。
【0077】
さらに、本発明の第2の実施形態では、図11(a)に示すように、カンチレバー部1022の上面に導電体1225が設けられている。図示以外に、カンチレバー部1022の下面に導電体1225を設けてもよい。この導電体1225は、カンチレバー部1022の自由端に位置している。この導電体1225を構成する材料としては、例えば、金等の金属材料を例示することができる。抵抗値の小さい金を用いることにより、発熱が小さく、かつ低電力で駆動できる利点がある。この導電体1225をカンチレバーに蒸着、あるいは、半導体に不純物を高濃度でドープしてもよく、これにより主流路1001内における流体の両方向の流れにも対処することができる。また、導電体1225の設置位置はカンチレバー部1022上であれば特に限定されないが、当該カンチレバー部1022の自由端に近い方が好ましい。
【0078】
なお、図示しないが、カンチレバー部1022に代えて、第1の実施形態の図4(a)及び図4(b)に示す構成と同様に、貫通孔1211の開口に突出するように梁部を支持体に両持支持させてもよい。この場合には、梁部の略中央部分に導電体を設ける。
【0079】
図11(a)に示すように、第1の電極1023と第2の電極1024は、支持体1021の上面に設けられている。第1の電極1023は、第1のリード1231を介して第1のピエゾ抵抗層1221に電気的に接続されている。第2の電極1024も、第2のリード1241を介して第2のピエゾ抵抗層1222に電気的に接続されている。第1のピエゾ抵抗層1221と第2のピエゾ抵抗層1222は、接続リード1223で接続されている。また、第1の電極1023と第2の電極1024は、特に図示しない配線等を介して、上述の抵抗検出部1040に電気的に接続されている。
【0080】
図11(a)に示すように、第3の電極2023と第4の電極2024は、支持体1021の上面に設けられている。第3の電極2023は、第3のリード2231と第1の導電体接続部2221を介して、導電体1225に電気的に接続されている。第4の電極2024は、第4のリード2241と第2の導電体接続部2222を介して、導電体1225に電気的に接続されている。この第3の電極2023と第4の電極2024は、特に図示しない配線等を介して、電流算出部1050に電気的に接続されている。
【0081】
本発明の第2の実施形態における差圧検出素子の製造方法については、前述の磁性体225を導電体1225に置き換えての説明となるため省略する。
【0082】
図10(a)及び図10(b)に示すように、磁界発生部1030は、プレート部1351の開口1352を囲むようにプレート部1351に設けられている。この磁界発生部1030は半環状形状を有しており、図11(b)に示すように、中心軸1032上に導電体1225が位置している。
【0083】
第1の実施形態で示した図1と同様、第2の実施形態における抵抗検出部1040、電流算出部1050、流量算出部1060の構成は、第1の実施形態の抵抗検出部40、電流算出部50、流量算出部60による構成と同様である。抵抗検出部1040は、このカンチレバー部1022の弾性変形に伴うピエゾ抵抗層1221,1222の抵抗値を、電極1023,1024を介して検出し、抵抗変化量dR2[Ω]を算出する。
【0084】
一方、磁界発生部1030は、カンチレバー部1022を包含する領域に磁界を形成することが可能となっている。当該カンチレバー部1022に設けられた導電体1225は、この磁界発生部1030により形成された磁界の磁気勾配によって、磁束密度の高い領域(すなわち磁界発生部1030の中心軸)に向かって引き寄せられる。なお、本発明の第2の実施形態における導電体1225と磁界発生部1030が、本発明における相殺手段の一例に相当する。
【0085】
以上に説明した抵抗検出部1040、電流算出部1050、及び流量算出部1060は、例えば、コンピュータやアナログ回路によって構成されている。本発明の第2の実施形態における電流算出部1050が本発明における第1の算出手段の一例に相当し、流量算出部1060が本発明における第2の算出手段の一例に相当する。
【0086】
図12に、本発明の第2の実施形態の変形例における流量補正部2001の構成を示す。
【0087】
流量補正部2001は、第1の補正用抵抗変化量dR2aと第2の補正用抵抗変化量dR2b基づいて補正値を算出する補正値算出部2002と、補正値に基づいて流量の補正を行う補正流量算出部2003を備える。
【0088】
磁界発生部1030として永久磁石を用いた場合、経年劣化により永久磁石の磁力が弱まることが考えられる。磁力が弱まると、導電体を包含する領域に発生させる磁界が変化し、相殺手段に指示するフィードバック量が変化するため、流量算出部1060の算出結果に誤差が生じる可能性がある。
【0089】
永久磁石の磁力の弱まりによる流量の算出誤差を抑えるため、流量補正部2001を用いて流量を補正する。これにより、磁界発生部1030による前記導電体を包含する前記領域に発生させる磁界の強さに変化が生じても、最適な流量を算出することができる。
【0090】
さらに、流量補正部2001は、第1の補正用抵抗変化量dR2aを書き込み、記憶する第1の記憶部2004を備える。また、流量補正部2001は、第2の補正用抵抗変化量dR2bを書き込み、記憶する第2の記憶部2005を備える。第1の補正用抵抗変化量dR2aは、例えば、流量センサの出荷時の測定値としてもよいし、あるいは設置時といった運用初期の測定値としてもよい。一方、第2の補正用抵抗変化量dR2bは、運用後における最新の測定値であることが好ましい。この場合、第2の補正用抵抗変化量を測定する第2の時期は、第1の補正用抵抗変化量を測定する第1の時期より、後になる。
【0091】
本発明の第2の実施形態における流量補正部2001が、本発明における補正手段の一例に相当する。また、本発明の第2の実施形態における補正値算出部2002が本発明における第3の算出手段の一例に相当し、補正流量算出部2003が本発明における第4の算出手段の一例に相当する。
【0092】
補正値算出部2002は、第1の記憶部2004に予め書き込まれて記憶された第1の補正用抵抗変化量dR2aと、第2の記憶部2005に予め書き込まれて記憶された第2の補正用抵抗変化量dR2bの変動比を補正値aとして算出する。この場合、補正流量算出部2003は、算出された補正値aをもとに、流量を補正する。
【0093】
あるいは、第2の補正用抵抗変化量dR2bの代わりに、補正値算出部2002で算出した補正値aを第2の記憶部2005に書き込み、記憶してもよい。
【0094】
補正値算出部2002が算出した補正値aを、第2の記憶部2005に予め書き込まれて記憶した場合は、補正流量算出部2003は、第2の記憶部2005に記憶された補正値aを読み出し、その補正値aをもとに流量を補正する。
【0095】
本発明の第2の実施形態の変形例において、第1の記憶部2004が本発明における第1の記憶手段の一例に相当し、第2の記憶部2005が本発明における第2の記憶手段の一例に相当する。
【0096】
図13に本発明の第2の実施形態の変形例として、運用時のフローチャートを示す。
【0097】
最初に、抵抗検出部1040により、抵抗変化量dR2を検出する(S1)。
【0098】
次に、電流算出部1050により、検出した抵抗変化量dR2をもとに、フィードバック量を算出し、そのフィードバック量をもとに導電体1225に流す電流を設定する(S2)。
【0099】
続いて、流量算出部1060により、フィードバック量をもとに流量を算出する(S3)。この電流の出力部としては、電流算出部1050が備えていてもよい。
【0100】
さらに、補正値算出部2002は、第1の記憶部2004に予め書き込まれた第1の補正用抵抗変化量dR2aと、第2の記憶部2005に予め書き込まれた第2の補正用抵抗変化量dR2bをもとに、補正値aを算出する(S4)。補正値aとは、例えば、第1の補正用抵抗変化量dR2aと第2の補正用抵抗変化量dR2bの変動比とすることができる。第2の補正用抵抗変化量dR2bを測定する第2の時期は、第1の補正用抵抗変化量dR2aを測定する第1の時期より、後となる。また、第2の記憶部2005に書き込むデータは、適宜、更新されるのが好ましい。
【0101】
最後に、補正流量算出部2003により、補正値aをもとに流量を補正する(S5)。
【0102】
図14に本発明の第2の実施形態の変形例として、初期設定時のフローチャートを示す。初期設定時は、流量がない状態が好ましい。初期設定時とは、例えば、流量センサの出荷時あるいは設置時があげられる。また、流量がない状態とは、カンチレバー部1022の変形がなく、フィードバック電流が0の状態である。
【0103】
最初に、補正値算出用電流を導電体1225に流す(S11)。図示しない補正値算出用電流の出力部としては、電流算出部1050が備えていてもよい。補正値算出用電流は抵抗変化量dR2を測定することができる必要十分な微小電流でよい。
【0104】
次に、抵抗検出部1040により、抵抗変化量dR2を検出する(S12)。
【0105】
最後に、第1の記憶部2004に、第1の補正用抵抗変化量dR2aとして抵抗変化量dR2を書き込んで記憶させる(S13)。
【0106】
図15に本発明の第2の実施形態の変形例として、保守時のフローチャートを示す。保守を行う際は、流量がない状態が好ましい。流量がない状態とは、カンチレバー部1022の変形がなく、フィードバック電流が0の状態である。
【0107】
最初に、補正値算出用電流を導電体1225に流す(S21)。図示しない補正値算出用電流の出力部としては、電流算出部1050が備えていてもよい。補正値算出用電流は抵抗変化量dR2を測定することができる必要十分な微小電流でよい。
【0108】
次に、抵抗検出部1040により、抵抗変化量dR2を検出する(S22)。
【0109】
最後に、第2の記憶部2005に、補正用抵抗変化量dR2bとして抵抗変化量dR2を書き込んで記憶させる(S23)。第2の記憶部2005に書き込むデータは、適宜、更新されるのが好ましい。
【0110】
第2の記憶部2005に書き込むデータとしては、前述の補正用抵抗変化量dR2bに代えて、補正値算出部2002で算出する補正値aでもよい。補正値算出部2002は、測定した補正用抵抗変化量dR2bと、第1の記憶部2004に予め記憶された第1の補正用抵抗変化量dR2aをもとに補正値aを算出する。補正値aとは、例えば、第1の補正用抵抗変化量dR2aと第2の補正用抵抗変化量dR2bの変動比とすることができる。第2の補正用抵抗変化量dR2bを測定する第2の時期は、第1の補正用抵抗変化量dR2aを測定する第1の時期より、後となる。また、第2の記憶部2005に書き込むデータは、適宜、更新されるのが好ましい。補正流量算出部2003は、第2の記憶部2005に予め書き込まれた補正値aをもとに流量を補正する。
【0111】
電流算出部1050は、下記の(6)式に従って、導電体1225の電流値Ifb2[A]を算出する。但し、Ifb2_old[A]は、dR2[Ω]の計測を行った時点で流れているフィードバック電流の値であり、k2は比例定数である。その他の関係式として、下記の(7)〜(9)式がある。flow2は流体の体積流量[m/s]であり、Fflow2は流体の差圧によりカンチレバー部1022に加わる力[N]であり、Ffb2は導電体1225と磁界発生部1030の磁力によりカンチレバー部1022に加わる力[N]であり、m2,n2は比例定数である。
【0112】
Ifb2=Ifb2_old+k2×dR2 … (6)
Fflow2=m2×flow2 … (7)
Ffb2=Fflow2 … (8)
Ifb2=n2×Ffb2 … (9)
【0113】
なお、上記の(6)式は、一般的なフィードバック制御の方法に基づくものである。また、上記の(7)式はカンチレバーに加わる力が流量に比例することに基づくものであり、(8)式はdR[Ω]が0となった場合の釣り合いに基づくものであり、(9)式は、同じ位置での磁気勾配の大きさは導電体1225に流れる電流の大きさに比例することに基づくものである。
【0114】
電流算出部1050は、上記の(6)〜(9)式に従って電流値Ifb2を算出する。k2が負の場合、抵抗変化量dR2[Ω]が負の値である場合には電流値Ifb2は増加する。一方、抵抗変化量dR2[Ω]が正の値である場合には電流値Ifb2は減少する。ただし、k2は負に限定されるものではなく、抵抗変化量dR2[Ω]を0に収束させるように決定される。
【0115】
図8は、本発明の第1の実施形態におけるフィードバック制御を説明するための図であるが、本発明の第2の実施形態においても同様に説明することができる。上記の(6)式により算出された大きさIfb2の電流を導電体1225に流すことで、流体の差圧による力Fflow2と釣り合った大きさの力Ffb2が、導電体1225と磁界発生部1030の磁力によってカンチレバー部1022に対して加わり、カンチレバー部1022の変形が打ち消されてその変形量がゼロとなる。また、本発明の第2の実施形態における電流値Ifb2が、本発明におけるフィードバック量の一例に相当する。
【0116】
一方、流量算出部1060は、電流算出部1050により算出された電流値Ifb2[A]に基づいて、以下の(10)式に従って、流体の体積流量flow2を算出する。
【0117】
flow2=Ifb2/(m2×n2) … (10)
【0118】
また、導電体1225と磁界発生部1030の磁界の強さにより、カンチレバー部1022に加わる力Ffb2は、導電体に流れる電流値Ifb2と長さLbと磁界発生部1030の磁界密度Bをもとに(11)式で決定される。
【0119】
Ffb2=Ifb2×B×Lb … (11)
【0120】
流体の体積流量flow2の補正方法について述べる。流体の補正体積流量flow2'は、補正前の流体の体積流量flow2と補正値aをもとに(12)式により算出される。aは、補正値算出部2002により算出された補正値である。
【0121】
flow2'=a×flow2 … (12)
【0122】
以上に説明した抵抗検出部1040、電流算出部1050、及び流量算出部1060は、例えば、コンピュータやアナログ回路によって構成されている。本発明の第2の実施形態における電流算出部1050が本発明における第1の算出手段の一例に相当し、本発明の第2の実施形態における流量算出部1060が本発明における第2の算出手段の一例に相当する。
【0123】
以上のように、本発明の第2の実施形態では、フィードバック制御によってピエゾ抵抗層1221,1222の抵抗変化量dR2に基づいてカンチレバー部1022の変形を打ち消しつつ、そのフィードバック制御で用いた電流値Ifb2を用いて流量を算出する。このため、カンチレバー部1022を閉じた状態で流体の体積流量flow2を検出することができる。さらに、本発明の第2の実施形態の変形例では、補正流量算出部2003により、磁界発生部1030の磁力の変化に伴う流量の算出誤差を補正することができるので、流量検出の精度が向上する。
【0124】
なお、以上説明した発明の第2の実施形態およびその変形例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の発明の第2の実施形態およびその変形例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0125】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0126】
差圧検出素子の実施例を図16に示す。図16によれば、接続リード1223aに流れる電流と、接続リード1223bに流れる電流と、磁界発生部1030の磁力との作用により、カンチレバー部1022に働く力を相殺することが可能である。以下、相殺方法について説明する。
【0127】
力Ff3は、(13)式に従って、決定される。例えば、lpはピエゾ抵抗層1221bに流れる電流、Bpは接続リード1223aにおける磁界の強さ、Lbpは接続リード1223aの長さである。
【0128】
Ff3=Ip×Bp×Lbp … (13)
【0129】
カンチレバー部1022aは,接続リード1223aで接続されるピエゾ抵抗層1221aとピエゾ抵抗層1222aを備え、かつ、接続リード1223bで接続されるピエゾ抵抗層1221bとピエゾ抵抗層1222bを備える。
【0130】
カンチレバー部1022aは、導電体1225aで接続される接続リード2221aと接続リード2222aを備え、かつ、導電体1225bで接続される接続リード2221bと接続リード2222bを備える。
【0131】
導電体1225aは接続リード1223aを囲むように形成される。また、導電体1225bは接続リード1223bを囲むように形成される。
【0132】
電極1023aは支持体1021a上面に配置され、接続リード1231aを介して、ピエゾ抵抗層1221aに接続される。また、電極1024aは支持体1021a上面に配置され、接続リード1241aを介して、ピエゾ抵抗層1222aに接続される。
【0133】
電極1023bは支持体1021a上面に配置され、接続リード1231bを介して、ピエゾ抵抗層1221bに接続される。また、電極1024bは支持体1021a上面に配置され、接続リード1241bを介して、ピエゾ抵抗層1222bに接続される。
【0134】
電極2023aは支持体1021a上面に配置され、接続リード2231aを介して、接続リード2221aに接続される。また、電極2024aは支持体1021a上面に配置され、接続リード2241aを介して、接続リード2222aに接続される。
【0135】
電極2023bは支持体1021a上面に配置され、接続リード2231bを介して、接続リード2221bに接続される。また、電極2024bは支持体1021a上面に配置され、接続リード2241bを介して、接続リード2222bに接続される。
【0136】
図16における電極1023a、1023b、1024a、1024b、2023a、2023b、2024a、2024bは、支持体1021aの上面に配置されているが、支持体1021aの下面に配置してもよい。また、電極1023a、1023b、1024a、1024bは、特に図示しない配線等を介して、図1の抵抗検出部1040に電気的に接続されている。また、電極2023a、2023b、2024a、2024bは、特に図示しない配線等を介して、図1の電流算出部1050に電気的に接続されている。
【0137】
接続リード1223aに流れる電流と磁界発生部1030の磁界との作用により、カンチレバー部1022aに図示しない微小な力Ff3aを及ぼす。
【0138】
また、接続リード1223bに流れる電流と磁界発生部1030の磁界との作用により、カンチレバー部1022aに図示しない微小な力Ff3bを及ぼす。
【0139】
接続リード1223aに流れる電流と接続リード1223bに流れる電流の各電流軸の延長線が一致するように、かつ互いに反対方向に電流が流れるように、接続リード1223aと接続リード1223bを配置する。これにより、磁界発生部1030の磁力によって接続リード1223aに及ぼす力Ff3aと接続リード1223bに及ぼす力Ff3bの発生モーメントは互いに打ち消し合う方向に発生するため、Ff3aとFf3bの合成力は0となり、カンチレバー部1022aへの影響がなくなる。
【0140】
以上のように、本発明の第3の実施形態では、カンチレバー部1022aに発生する力への影響を受けることなく、流体の体積流量を検出することができるので、流量検出の精度が向上する。
【0141】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0142】
1,1001…主流路
2,1002…バイパス路
10,1010…流量検出センサ
20,1020…差圧検出素子
21,1021…支持体
211,1211…貫通孔
22,1022…カンチレバー部
221,222,1221,1221a,1221b,1222,1222a,1222b…ピエゾ抵抗層
225…磁性体
1225…導電体
2221,2222…導電体接続部
23,1023…第1の電極
24,1024…第2の電極
30…ソレノイドコイル
33,34,1023a,1023b,1024,1024a,1024b,2023,2023a,2023b,2024,2024a,2024b…電極
35,1035…取付部材
40,1040…抵抗検出部
50,1050…電流算出部
60,1060…流量算出部
1030…磁界発生部
2004…第1の記憶部
2005…第2の記憶部
2221…第1の導電体接続部
2222…第2の導電体接続部
図1
図2
図3
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図16