(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
各実施形態において、同一または類似の機能を発揮する構成要素には同一の符号を付して重複説明を省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る給湯装置の概略構成を示す図である。
給湯装置は、給湯ユニット1(貯湯タンクユニットともいう)を備える。給湯ユニット1には、給水源である外部の給水管A1から水が供給される。この水が配管B1により且つその配管B1上の減圧弁3および逆止弁4を介して貯湯タンク5の底部流入口5aに導かれる。配管B1における減圧弁3と逆止弁4との間を流れる水の一部は逆止弁6を介して混合弁7の第1流入口に導かれる。混合弁7の第2流入口は、配管B3を介して貯湯タンク5の上部流出口5bに接続される。外部から配管B1を介して供給される水および貯湯タンク5から配管B3を介して供給される水(湯)は混合弁7において混合され、この混合水が混合弁7の流出口に接続された配管B2により外部の給湯管A2に供給される。配管B2には流量センサ9が取付けられる。給湯管A2は、台所、洗面所、浴室シャワー等に延設され、蛇口やシャワー等に接続される。
【0010】
配管B3の中途部に逆止弁11a,11bが配置され、その配管B3における逆止弁11bより上流側の水が混合弁12の第1流入口に導かれる。この混合弁12の第2流入口には、上記配管B1における減圧弁3と逆止弁4との間の水が、配管B1に設けられた逆止弁13を介して導かれる。そして、混合弁12で混合された混合水が配管B4により且つその配管B4上のホッパ15、銀イオン発生器20、フロースイッチ21を介して屋外の配管A3に供給される。この配管A3は、建屋の中に導入されて浴室60の浴槽61の循環金具62に接続される。ホッパ15は、開閉弁16、逆止弁17、流量センサ18、および逆止弁19を有する。配管B4には、フロースイッチ21の配設位置の近傍に、内部の水の温度Trを検知する湯温センサ22、および配管B4,A3を通して浴槽61内の湯水の水位を検知する水位センサ23が取付けられる。フロースイッチ21は、配管A3,B4内を通る湯水の流量が一定以上か否かを検知するもので、一定以上の場合にオンして一定未満の場合はオフする。
【0011】
また、配管B4の銀イオン発生器20を経た水の一部は、ふろポンプ24および配管B5を通って加温用のふろ熱交換器26(第3熱交換器)の第1流路に供給され、その第1流路を経た水が配管B6により屋外の配管A4に供給される。この配管A4も、建屋の中に導入されて浴槽61の循環金具62に接続される。配管B6には、配管A4に向かって流れる水の温度Tiを検知する湯温センサ28が取付けられる。
【0012】
上記配管B3における逆止弁11bより上流側の水が配管B7により且つその配管B7上の逆止弁31を介して上記ふろ熱交換器26における第2流路の入水側に導かれ、その第2流路の出水側から出る水が配管B8および追焚きポンプ33により貯湯タンク5の中間部流入口5cに供給される。
【0013】
貯湯タンク5の底部流出口5dに配管B9が接続され、貯湯タンク5の中間部流出口5eに配管B10が接続され、貯湯タンク5の上部流入口5fに配管B11が接続される。
【0014】
配管B9〜B11は、いずれも切替弁42に接続される。切替弁42には、さらに、配管B12が接続される。すなわち、切替弁42は、4つの管路が接続された四方弁である。
【0015】
具体的には、切替弁42は4つのポート(Aポート,Bポート、Cポート、Dポート)を備え、配管B12がAポートに接続され、配管B9がBポートに接続され、配管B11がCポートに接続され、配管B10がDポートに接続される。切替弁42は、コントローラ50により制御可能な電磁弁であり、配管B9〜B12のうちの少なくとも2つを相互に接続する。切替弁42は、コントローラ50の制御の下で、配管B9〜B12のうち相互に接続する配管を選択的に切り替えることができる。さらに、切替弁42は、配管B9,B10の双方を配管B12に接続する場合、例えば配管B9と配管B12とを繋ぐ流路および配管B10と配管B12とを繋ぐ流路の少なくとも一方を絞ることにより、配管B9,B10から供給される水を混合する比率(以下、混合比という)を調整する機能を備える。
【0016】
切替弁42から流出する水が配管B12および循環ポンプ41により外部の配管A5に供給される。この配管A5はヒートポンプユニット70の入水口に接続される。配管B11は外部の配管A6に接続され、この配管A6はヒートポンプユニット70の流出口に接続される。配管B11に入水温度センサ45が取付けられ、配管B11に沸上げ温度センサ46が取付けられる。入水温度センサ45は、配管A6から給湯ユニット1に流入する水の温度Tt1を検知する、沸上げ温度センサ46は、配管B11から貯湯タンク5の上部流入口5fに流入する水の温度Tt2を検知する。
【0017】
貯湯タンク5内の水の温度および水位は、その貯湯タンク5の下部(重力方向における下方部)から上部(重力方向における上方部)にかけて順に配置された複数の残湯センサT1,T2,…T6により検知される。
【0018】
配管B3における逆止弁11aの上流側に排出管D1が接続され、この排出管D1に逃し弁25が配置される。また、ホッパ15内の管路に排出管D2が接続される。排出管D1,D2は、配管B9とともに排水弁27の流入口に接続される。
【0019】
上記ヒートポンプユニット70は、圧縮機71、水-冷媒熱交換器72(第1熱交換器)の冷媒側流路、内部熱交換器73の第1流路、減圧器たとえば膨張弁74、空気熱交換器75(第2熱交換器)、および内部熱交換器73の第2流路を順次に接続して冷媒を循環させるヒートポンプ式冷凍サイクルを備える。ヒートポンプユニット70は、さらに、空気熱交換器75に外気を送るファン76、配管A5から流入する水を水-冷媒熱交換器72における水側流路の入水側に導く配管B13、水-冷媒熱交換器72における水側流路の出水側から流出する水を配管A6に導く配管B14、配管B13内の水の温度Twiを検知する給水温度センサ81、および配管B14内の水の温度Twoを検知する沸上げ温度センサ82を備える。このような構成のヒートポンプユニット70は、給湯ユニット1から供給される水を外気から汲み上げた熱で加熱し、加熱後の水を給湯ユニット1へ供給する。
【0020】
また、給湯ユニット1にコントローラ50が設けられ、そのコントローラ50に給湯ユニット1内の弁・ポンプ・温度センサ、外気温度センサ83、浴室60のリモートコントロール式操作器(リモコンと略称する)63、およびヒートポンプユニット70が接続される。
【0021】
リモコン63は、ディスプレイ、スピーカ、および各種の操作ボタンを備える。操作ボタンは、会話モード設定用のボタン、貯湯運転設定用のボタン、追焚き運転設定用のボタン、給湯運転設定用のボタン、メニューボタン、給湯温度設定用のボタン、ふろ保温用のボタン、洗浄運転指定用のボタン、ふろ湯量設定用のボタン、ふろ温度設定用のボタンなどを含む。
【0022】
貯湯タンク5内の水は、温度に応じた密度変化に起因して、上部が高温となり、下部が低温となる。以下の説明においては、貯湯タンク5内の上部に貯まり上部流出口5bから取り出すことが可能な水を高温水と呼び、貯湯タンク5内の下部に貯まり底部流出口5dから取り出すことが可能な水を低温水と呼び、貯湯タンク5内の中間部に貯まり中間部流出口5eから取り出すことが可能な水を中温水と呼ぶことがある。
【0023】
本実施形態において、配管B9は第1管路として機能し、配管B10は第2管路として機能し、配管B12,A5,B13,は第3管路として機能し、配管B14,A6,B14は第4管路として機能し、循環ポンプ41は第1ポンプとして機能する。
【0024】
コントローラ50は、当該給湯装置の全体を制御するもので、主要な機能として次の(1)〜(3)の制御手段を有する。
(1)貯湯タンク5内の水(高温水)を配管A3,A4を通して浴槽61に供給する給湯運転(湯はり運転ともいう)の実行を制御する第1制御手段。
【0025】
(2)ふろポンプ24の運転により、浴槽61内の水(高温水)を配管A3,A4およびふろ熱交換器26に通して循環させる追焚き運転の実行を制御する第2制御手段。
【0026】
(3)貯湯タンク5内の水(低温水,中温水)をヒートポンプユニット70によって加熱し、加熱後の水を貯湯タンク5に貯える貯湯運転の実行を制御する第3制御手段。
【0027】
次に、コントローラ50の制御の下で行われる給湯装置の動作の詳細について説明する。
(給湯運転)
リモコン63の給湯運転設定用のボタンが押圧操作されると、コントローラ50は、ホッパ15の開閉弁16を開放するとともに銀イオン発生器20およびふろポンプ24の駆動を開始(運転オン)する。これにより、貯湯タンク5内の高温水が配管B3を介して混合弁12に供給され、混合弁12においてこの高温水に給水源からの水が混合されて給湯温度の水が生成され、この混合後の水が配管B4、ホッパ15、銀イオン発生器20、フロースイッチ21、配管A3を通って浴槽61に供給される。また、銀イオン発生器20を経た水の一部がふろポンプ24、配管B5、ふろ熱交換器26、配管B6、配管A4を通る経路でも浴槽61に供給される。このとき、銀イオン発生器20が銀イオンを発生し、その銀イオンが配管B4内の水に与えられる。コントローラ50は、ホッパ15内の流量センサ18の出力に基づき浴槽61への給湯量を検知しており、その検知量がリモコン63の設定湯量に達すると、ホッパ15の開閉弁16を閉鎖するとともに銀イオン発生器20およびふろポンプ24の駆動を停止(運転オフ)する。以上で給湯運転が終了する。
(追焚き運転)
図1における破線矢印は、追焚き運転において各配管を流れる水の方向を示す。リモコン63の追焚き運転設定用のボタンが押圧操作されると、コントローラ50は、ふろポンプ24の駆動を開始(運転オン)する。これにより、浴槽61内の水が配管A3、配管B4、ふろポンプ24、配管B5、ふろ熱交換器26の第1流路、配管B6、配管A4を通って循環する。さらに、コントローラ50は、湯温センサ22によって検知される配管B4を通る水の温度Trがリモコン63の設定湯温に達していなければ、追焚きポンプ33の駆動を開始(運転オン)する。
【0028】
追焚きポンプ33が運転オンすると、貯湯タンク5内の高温水が配管B3、配管B7、ふろ熱交換器26の第2流路、配管B8および配管B8上の追焚きポンプ33を通って循環し、ふろ熱交換器26の第2流路を通る高温水の熱で当該ふろ熱交換器26の第1流路を通る浴槽循環の水が加熱される。こうして加熱された水が浴槽61に戻り、浴槽61内の湯の温度が上昇する。湯温センサ22の検知温度が設定湯温に達すると、コントローラ50は、ふろポンプ24および追焚きポンプ33の駆動を停止(運転オフ)する。以上で追焚き運転が終了する。
【0029】
なお、リモコン63のふろ保温用のボタンの操作によりふろ保温が設定されている場合、コントローラ50は、定期的または不定期のタイミングで追焚き運転を実施する。
【0030】
(貯湯運転)
図1における実線矢印は、貯湯運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示す。貯湯運転は、例えば予め定められた深夜電力時間帯において自動的に開始される。貯湯運転の詳細につき、
図2のフローチャートを用いて説明する。
先ずコントローラ50は、切替弁42を駆動してDポートをAポートに接続する(ステップS101)。これにより、配管B9と配管B12との接続が遮断されるとともに、配管B10と配管B12とが接続される。
【0031】
ステップS101の後、コントローラ50は、循環ポンプ41の駆動を開始(運転オン)する(ステップS102)。これにより、貯湯タンク5内の中温水が配管B10、切替弁42、配管B12、配管A5、配管B13、水-冷媒熱交換器72の水側流路、配管B14、配管A6、配管B11を順に通って貯湯タンク5に戻る回路で循環する。
【0032】
さらに、コントローラ50は、ヒートポンプユニット70の駆動を開始(圧縮機71,ファン76を運転オン)する(ステップS103)。圧縮機71が運転オンされたことにより、圧縮機71から吐出される冷媒が水-冷媒熱交換器72の冷媒側流路、内部熱交換器73の第1流路、膨張弁74、空気熱交換器75、内部熱交換器73の第2流路を通って圧縮機71に吸込まれる。水-冷媒熱交換器72において水側流路に供給される中温水は、冷媒側流路を流れる冷媒と熱交換して加熱され、高温水となる。この高温水が配管B14、配管A6、配管B11を介して貯湯タンク5の上部に供給される。
【0033】
循環ポンプ41が運転オンされた状態において、コントローラ50は、水-冷媒熱交換器72から配管B14に供給される水の温度が予め設定された沸上げ目標温度となるように、循環ポンプ41の回転数を調整する。具体的には、コントローラ50は、温度センサ82が検知する温度Twoが上記の沸上げ目標温度よりも低い場合には循環ポンプ41の回転数を下げる。これにより、水-冷媒熱交換器72に供給される水の流量が下がり、水-冷媒熱交換器72から配管B14に供給される水の温度を上げることができる。一方、コントローラ50は、温度センサ82が検知する温度Twoが上記の沸上げ目標温度よりも高い場合には循環ポンプ41の回転数を上げる。これにより、水-冷媒熱交換器72に供給される水の流量が上がり、水-冷媒熱交換器72から配管B14に供給される水の温度を下げることができる。
【0034】
ステップS103の後、コントローラ50は、給水温度センサ81が検知する温度Twiが規定温度TA(例えば25℃)以上であるか否かを判定する(ステップS104)。規定温度TAは、ヒートポンプユニット70に送る水の温度の目標値であり、予め定められてコントローラ50の内部メモリに記憶されている。規定温度TAは、例えば給水管A1および配管B1を介して貯湯タンク5に供給される水の温度+1℃以上かつ40℃以下の範囲内で定める。温度Twiが規定温度TA未満である場合(ステップS104のNo)、コントローラ50は、温度Twiが規定温度TAに達するまで待つ。この間も、貯湯タンク5の上部から貯湯タンク5内に高温水が供給されるために、配管B10に供給される中温水の温度が徐々に上昇する。したがって、給水温度センサ81が検知する温度Twiも徐々に上昇する。
【0035】
やがて給水温度センサ81が検知する温度Twiが規定温度TA以上になると(ステップS104のYes)、コントローラ50は、切替弁42を駆動してBポートおよびDポートの双方とAポートとを接続する(ステップS105)。これにより、配管B9を介して貯湯タンク5の下部から取り出される低温水と、配管B10を介して貯湯タンク5の中間部から取り出される中温水とが切替弁42において混合され、この混合水が配管B12、配管A5、配管B13を介して水-冷媒熱交換器72に供給される。
【0036】
ステップS105の後、コントローラ50は、切替弁42を駆動して、給水温度センサ81が検知する混合水の温度Twiが概ね規定温度TAとなるように、Bポートに供給される低温水とDポートに供給される中温水との混合比を調整する(ステップS106)。具体的には、コントローラ50は、以下の条件(1)を満たすように混合比を調整する
(1) TA−Tdef≦Twi≦TA+Tdef
ここに、Tdefは目標値である規定温度TAに対して許容し得る温度Twiの誤差を表すデフ温度であって、例えば1℃である。デフ温度Tdefは、例えば1℃以上かつ5℃以下の範囲内で定める。
【0037】
ステップS106の後、コントローラ50は、貯湯タンク5から配管B10に供給される中温水の温度Tmが規定温度TB(例えば45℃)以上であるか否かを判定する(ステップS107)。規定温度TBは、中温水と低温水の混合を停止する閾値であって、予め定められてコントローラ50の内部メモリに記憶されている。規定温度TBは、例えば35℃以上かつ50℃以下の範囲内で定める。温度Tmは、貯湯タンク5の中間部流出口5eに最も水位が近い残湯センサ、例えば残湯センサT4により検知される温度である。
【0038】
温度Tmが規定温度TB未満である間(ステップS107のNo)、コントローラ50はステップS106を繰り返す。これにより、水-冷媒熱交換器72に供給される湯水の温度が上記条件(1)の範囲内で安定する。
【0039】
やがて、温度Tmが規定温度TB以上になると(ステップS107のYes)、コントローラ50は、切替弁42を駆動して配管B10(Dポート)から供給される中温水の混合比を、零となるまで段階的に低下させる(ステップS108)。
【0040】
ステップS108の後、コントローラ50は、貯湯運転の終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS109)。コントローラ50は、終了条件が成立するまで待つ(ステップS109のNo)。コントローラ50は、例えば給水温度センサ81により検知される温度Twiが予め設定された終了目標温度に到達したことに応じて終了条件が成立したと判定し(ステップS109のYes)、貯湯運転を終了する。
【0041】
以上説明した貯湯運転の効果について説明する。
貯湯運転においては、上述の通り水-冷媒熱交換器72から配管B14に供給される水の温度が予め設定された沸上げ目標温度となるように、循環ポンプ41の回転数が調整される。したがって、本実施形態のように貯湯タンク5から配管B10を介して取り出された中温水を水-冷媒熱交換器72に供給することで、従来のように貯湯タンク5の下部から取り出された低温水を水-冷媒熱交換器72に供給する場合に比べ、沸き上げの流量を増やすことができる。
【0042】
なお、中温水を用いる場合には、低温水を用いる場合に比べてヒートポンプユニット70の瞬間的な成績係数(COP)が悪化する。しかしながら、沸き上げの流量を増やすことで貯湯運転の時間を短縮することができるので、貯湯運転全体としては瞬間的な成績係数の悪化による影響を十分に補えるだけの電力削減効果が得られ、貯湯運転が高効率化される。
【0043】
さらに、本実施形態においては、貯湯運転の当初に貯湯タンク5から配管B10を介して取り出される中水温の温度が規定温度TAに達した後は、上記条件(1)を満たすように貯湯タンク5から配管B10を介して取り出される中温水と配管B9を介して取り出される低温水とが混合されるので、安定した温度の水を水-冷媒熱交換器72に供給することができる。このように安定した温度の水を供給することで、循環ポンプ41の回転数も安定し、貯湯運転の効率をさらに高めることができる。
【0044】
本実施形態に係る給湯装置の電力削減効果を具体的に説明するために、以下のケース(A)(B)の貯湯運転を想定する。
(A)水-冷媒熱交換器72への送水温度が9℃で一定であり、水-冷媒熱交換器72を流れる湯水の流量が1.4L/分で一定である場合において、65℃の高温水を100L生成する。
【0045】
(B)水-冷媒熱交換器72への送水温度が25℃で一定であり、水-冷媒熱交換器72を流れる湯水の流量が1.8L/分で一定である場合において、65℃の高温水を100L生成する。
【0046】
ケース(B)における送水温度はケース(A)に比べて高いために、ヒートポンプユニット70の瞬間的な成績係数はケース(A)がケース(B)よりも高くなる。しかしながら、貯湯運転の開始から終了までに要する運転時間は、ケース(A)においては(100L)/(1.4L/分)=71.4分であるのに対し、ケース(B)においては(100L)/(1.8L/分)=55.5分となり、ケース(B)の方が短時間で貯湯運転を完了できる。
【0047】
ここで、送水温度が9℃の場合における給湯装置の瞬間消費電力を1.3kw、送水温度が25℃の場合における給湯装置の瞬間消費電力を1.43kwと仮定する。この場合、貯湯運転の開始から終了までに給湯装置が消費する電力の積算値は、ケース(A)が1.3kw×(71.4分/60分)=1.547kwhとなるのに対し、ケース(B)が1.43kw×(55.5分/60分)=1.322kwhとなり、ケース(B)の方が全体的に低消費電力で貯湯運転を実施できることが判る。
【0048】
また、貯湯運転において、従来のように貯湯タンク5の下部の低温水のみをヒートポンプユニット70に送る場合には、貯湯運転前に貯湯タンク5の中間部に貯まっていた中温水が、貯湯運転の終了後に貯湯タンク5の下部に多く残り得る。これに対し、本実施形態のように貯湯タンク5の中間部の中温水を貯湯運転に利用すると、貯湯タンク5内の中温水を多く削減できるために、貯湯タンク5に貯めることが可能な熱量を増やすことができる。さらに、貯湯タンク5の下部までを高温水とすることが可能となるために、学習制御等によって沸上げ目標温度とこの温度に沸き上げる湯量とを日々の消費湯量から管理するシステムにおいては、沸き上げる湯量を増やして目標温度を下げることができる。このように沸上げ目標温度を下げることで、貯湯運転の効率をさらに高めることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
図3は、第2の実施形態に係る給湯装置の概略構成を示す図である。
図3における実線矢印は貯湯運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示し、
図3における破線矢印は追焚き運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示す。
【0050】
この給湯装置は、
図1に示した配管B8,B10に代えて配管B20を備え、中間部流入口5c及び中間部流出口5eに代えて貯湯タンク5の中間部に配管B20が接続される流入・流出口5gを備える点で第1の実施形態と異なる。
【0051】
配管B20は、中間に設けられた分岐点20aにおいて三方に分岐して、流入・流出口5gと、切替弁42のDポートと、ふろ熱交換器26の第2流路の出水側とを接続する。追焚きポンプ33は、分岐点20aとふろ熱交換器26との間の配管B20に設けられる。
【0052】
本実施形態において、配管B9は第1管路として機能し、配管B20は第2管路として機能し、配管B12,A5,B13は第3管路として機能し、配管B14,A6,B11は第4管路として機能し、配管B3,B7は第5管路として機能し、循環ポンプ41は第1ポンプとして機能し、追焚きポンプ33は第2ポンプとして機能する。
【0053】
貯湯運転に際して、配管B20は第1の実施形態における配管B10と同様の役割を担う。すなわち、配管B20は貯湯タンク5の中間部から中温水を取り出し、この中温水を切替弁42に供給する。貯湯運転の流れは、
図2のフローチャートに示すものと同様である。給湯運転の流れも第1の実施形態と同様である。
【0054】
本実施形態における追焚き運転の流れを、
図4のフローチャートに示す。
先ずコントローラ50は、切替弁42を駆動してDポートをAポートに接続する(ステップS201)。これにより、配管B9と配管B12との接続が遮断されるとともに、配管B20と配管B12とが接続される。
【0055】
ステップS201の後、コントローラ50は、ふろポンプ24の駆動を開始(運転オン)する(ステップS202)。これにより、浴槽61内の水が配管A3、配管B4、ふろポンプ24、配管B5、ふろ熱交換器26の第1流路、配管B6、配管A4を通って循環する。
【0056】
ステップS202の後、コントローラ50は、湯温センサ22によって検知される配管B4を通る水の温度Trがリモコン63の設定湯温に達していなければ、追焚きポンプ33の駆動を開始(運転オン)する(ステップS203)。さらに、コントローラ50は、循環ポンプ41の駆動を開始(運転オン)するとともに(ステップS204)、ヒートポンプユニット70の駆動を開始(圧縮機71,ファン76を運転オン)する(ステップS205)。
【0057】
追焚きポンプ33が運転オンされると、貯湯タンク5内の高温水が配管B3、配管B7、ふろ熱交換器26の第2流路、配管B20および配管B20上の追焚きポンプ33を通って循環し、ふろ熱交換器26の第2流路を通る高温水の熱で当該ふろ熱交換器26の第1流路を通る水が加熱される。こうして加熱された水が浴槽61に戻り、浴槽61内の湯の温度が上昇する。
【0058】
また、循環ポンプ41が運転オンされたことにより、ふろ熱交換器26を出て配管B20を流れる水が切替弁42にも供給される。この水は、ふろ熱交換器26における熱交換により温度が低下した中温水であり、切替弁42、配管B12、配管A5、配管B13、水-冷媒熱交換器72の水側流路、配管B14、配管A6、配管B11を順に通って貯湯タンク5に戻る。ヒートポンプユニット70も運転オンされているため、水-冷媒熱交換器72を経て貯湯タンク5に戻る水は、高温水となる。
【0059】
このように、浴槽61の湯の追い焚きと、追い焚きにより生成される中温水の沸き上げとが並行して実施されている間、コントローラ50は、湯温センサ22によって検知される配管B4を通る水の温度Trが追い焚きの設定湯温TC以上であるか否かを判定している(ステップS206)。コントローラ50は、温度Trが設定湯温TC以上となるまで待つ(ステップS206のNo)。やがて温度Trが設定湯温TC以上になると(ステップS206のYes)、コントローラ50は、ふろポンプ24、追焚きポンプ33、循環ポンプ41、およびヒートポンプユニット70の駆動を停止(運転オフ)する。以上で追焚き運転が終了する。
【0060】
本実施形態のように追い焚きにより生成される中温水の一部を、貯湯タンク5に戻す前に沸き上げることで、追い焚きにより貯湯タンク5内に生じる中温水を削減することができる。この沸き上げにより生成される高温水を貯湯タンク5に供給することにより、貯湯タンク5に蓄えられる熱量の追い焚きによる減少を防止ないしは軽減し、湯切れを回避することができる。また、配管B20を、追焚き運転に際してふろ熱交換器26の第2流路から流れ出る湯水を貯湯タンク5に戻す管路、および、貯湯運転に際して貯湯タンク5から中温水を切替弁42に供給する管路の双方として機能させるために、給湯装置を構成する配管の数を減らすことができる。
【0061】
その他、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態に係る給湯装置の概略構成を示す図である。
図5における実線矢印は貯湯運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示し、
図5における破線矢印は追焚き運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示す。
【0063】
この給湯装置は、貯湯タンク5内の中温水を、給湯管A2を介した給湯に利用する点で、第1の実施形態と異なる。
【0064】
具体的には、この給湯装置は、
図1に示した配管B8,B10に代えて配管B30を備え、中間部流入口5c及び中間部流出口5eに代えて貯湯タンク5の中間部に配管B30が接続される流入・流出口5gを備える。配管B30は、流入・流出口5gの近傍に設けられた第1分岐点30aと、第1分岐点30aよりもふろ熱交換器26および切替弁42側に設けられた第2分岐点30bとを備える。配管B30は、第1分岐点30aにおいて分岐して、流入・流出口5gと、混合弁80の第1流入口とを接続し、第2分岐点30bにおいて分岐して切替弁42のDポートと、ふろ熱交換器26における第2流路の出水側とを接続する。追焚きポンプ33は、第2分岐点30bとふろ熱交換器26との間の配管B30に設けられる。
【0065】
上記混合弁80の第2流入口に配管B3が接続され、混合弁80の流出口に配管B31が接続される。配管B31の中途部に逆止弁11bが配置され、その配管B31における逆止弁11bより上流側の水が混合弁12の第1流入口に導かれる。また、配管B31における逆止弁11bより上流側の水が配管B7により且つその配管B7上の逆止弁31を介してふろ熱交換器26における第2流路の入水側に導かれる。
【0066】
配管B31は、逆止弁11bの下流側において混合弁7の第2流入口に接続される。混合弁7の第1流入口には、第1の実施形態と同じく、配管B1における減圧弁3と逆止弁4との間を流れる水の一部が逆止弁6を介して導かれる。混合弁7から流出する水が配管B2により給湯管A2に供給される。配管B31には、混合弁80において生成される混合水の温度Txを検知する給水温度センサ81が取付けられる。
【0067】
本実施形態において、配管B9は第1管路として機能し、配管B30は第2管路として機能し、配管B12,A5,B13は第3管路として機能し、配管B14,A6,B11は第4管路として機能し、配管B3は第5管路として機能し、配管B2は第6管路として機能し、循環ポンプ41は第1ポンプとして機能し、追焚きポンプ33は第2ポンプとして機能し、混合弁80は第1混合弁として機能し、混合弁7は第2混合弁として機能する。
【0068】
給湯管A2を介した給湯に際して、混合弁80には、配管B3を介して貯湯タンク5から高温水が供給され、配管B30を介して貯湯タンク5から中温水が供給される。混合弁80は、これらの高温水と中温水とを任意の比率で混合可能な電磁弁である。コントローラ50は混合弁80を制御して、例えば給水温度センサ81が検知する温度Txが予め定められた設定温度Tsとなるように上記の高温水と中温水との混合比を調整する。混合弁80の流出口から流れ出た混合水は配管B31を通って混合弁7に導かれ、混合弁7において給水管A1および配管B1を通って供給される水と混合され、配管B2および給湯管A2を介して蛇口やシャワーなどから給湯される。
【0069】
浴槽61への給湯運転に際して、ふろポンプ24が運転オンされると、貯湯タンク5内の高温水が配管B3、混合弁80、配管B31を介して混合弁12に供給され、混合弁12においてこの高温水に給水源からの水が混合されて給湯温度の水が生成され、この混合後の水が配管B4、ホッパ15、銀イオン発生器20、フロースイッチ21、配管A3を通って浴槽61に供給される。また、銀イオン発生器20を経た水の一部がふろポンプ24、配管B5、ふろ熱交換器26、配管B6、配管A4を通る経路でも浴槽61に供給される。
【0070】
貯湯運転に際して、配管B30は第2の実施形態における配管B20と同様の役割を担う。すなわち、配管B30は貯湯タンク5の中間部から中温水を取り出し、この中温水を切替弁42に供給する。貯湯運転の流れは、
図2のフローチャートに示すものと同様である。
【0071】
追焚き運転に際しても、配管B30は第2の実施形態における配管B20と同様の役割を担う。すなわち、配管B30は、貯湯タンク5の上部から取り出されて配管B3、混合弁80、配管B31、配管B7を介してふろ熱交換器26の第2流路に導かれ、この第2流路から流れ出る水を流入・流出口5gから貯湯タンク5内に供給する。追焚き運転に際して、コントローラ50は、例えば配管B30側からの水の混合比が零となるように混合弁80を制御する。また、追焚き運転に際して、第2の実施形態と同様に、ふろ熱交換器26の第2流路から出て配管B30を流れる水の一部がヒートポンプユニット70に導かれて沸き上げられてもよい。
【0072】
本実施形態のように給湯管A2を介した給湯に、流入・流出口5gを介して貯湯タンク5から取り出される中温水を利用することにより、貯湯タンク5内の中温水を有効に活用することができる。また、配管B30を、給湯管A2を介した給湯に際して貯湯タンク5内の中温水を混合弁80に供給する管路、追焚き運転に際してふろ熱交換器26の第2流路から流れ出る湯水を貯湯タンク5に戻す管路、および、貯湯運転に際して貯湯タンク5から中温水を切替弁42に供給する管路のそれぞれとして機能させるために、給湯装置を構成する配管の数を減らすことができる。
その他、第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。
図6は、第4の実施形態に係る給湯装置の概略構成を示す図である。
図6における実線矢印は貯湯運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示し、
図6における破線矢印は追焚き運転において各配管を流れる水および冷媒の方向を示す。
【0074】
主にこの給湯装置は、切替弁42に代えて、第1切替弁43および第2切替弁44を備える点で、第1の実施形態と異なる。
【0075】
具体的には、この給湯装置は、
図1に示した配管B8,B10に代えて配管B40を備え、中間部流入口5c及び中間部流出口5eに代えて貯湯タンク5の中間部に配管B40が接続される流入・流出口5gを備える。配管B40は、流入・流出口5gの近傍に設けられた分岐点40aを備える。配管B40は、分岐点40aにおいて分岐して、流入・流出口5gと、第1切替弁43の第1流入口と、ふろ熱交換器26における第2流路の出水側とを接続する。追焚きポンプ33は、分岐点40aとふろ熱交換器26との間の配管B40に設けられる。
【0076】
第1切替弁43の第2流入口に、貯湯タンク5の底部流出口5dに接続された配管B9が接続され、第1切替弁43の流出口に配管B41が接続される。配管B41は、排出管D1,D2とともに排水弁27に接続される。配管B41は分岐点41aを備え、この分岐点41aにて分岐して、外部の配管A5に接続される。循環ポンプ41は、配管B41および配管A5の接続部分と、分岐点41aとの間における配管B41に設けられる。
【0077】
第2切替弁44の流入口に配管B42が接続され、第2切替弁44の第1流出口に配管B11が接続される。配管B42は、外部の配管A6に接続される。入水温度センサ45は、配管B42に取り付けられる。配管B1は、逆止弁4と底部流入口5aとの間に分岐点1aを備え、この分岐点1aにて分岐して第2切替弁44に接続される。
【0078】
第1切替弁43は、コントローラ50により制御可能な電磁弁(三方弁)であり、配管B9,B40,B41のうちのいずれか2つ或いは全てを選択的に接続することができる。さらに、第1切替弁43は、配管B9,B40の双方を配管B41に接続する場合、例えば配管B9と配管B41とを繋ぐ流路および配管B40と配管B41とを繋ぐ流路の少なくとも一方を絞ることにより、配管B9,B40から供給される水の混合比を調整する機能を備える。第2切替弁44は、コントローラ50により制御可能な電磁弁(三方弁)であり、配管B1,B11,B42のうちのいずれか2つ或いは全てを選択的に接続することができる。
【0079】
本実施形態において、配管B9は第1管路として機能し、配管B40は第2管路として機能し、配管B41,A5,B13は第3管路として機能し、配管B14,A6,B42は第4管路として機能し、配管B3,B7は第5管路として機能し、循環ポンプ41は第1ポンプとして機能し、追焚きポンプ33は第2ポンプとして機能する。
【0080】
上記のような構成の給湯装置においても、第1の実施形態と同様に貯湯タンク5内の中温水を利用した貯湯運転を実施することができる。貯湯運転の流れは、
図2のフローチャートに示すものと同様である。この貯湯運転において、コントローラ50は、第1切替弁43を制御して、ヒートポンプユニット70に送る湯水を配管B9からの低温水、配管B40からの中温水、或いはこれらの混合水に適宜に切り替える。また、コントローラ50は、ヒートポンプユニット70に混合水を送る場合、第1切替弁43を制御して低温水と中温水の混合比を調整する。さらに、コントローラ50は、第2切替弁44を制御して配管B42と配管B11とを接続し、ヒートポンプユニット70にて生成された高温水を上部流入口5fから貯湯タンク5に送る。
【0081】
また、追焚き運転に際しては、配管B40が第2の実施形態における配管B20と同様の役割を担う。すなわち、配管B40は、貯湯タンク5の上部から取り出されて配管B3および配管B7を介してふろ熱交換器26の第2流路に導かれ、この第2流路から流れ出る水を取り出し、流入・流出口5gから貯湯タンク5内に供給する。また、追焚き運転に際して、第2の実施形態と同様に、ふろ熱交換器26の第2流路から出て配管B40を流れる水の一部がヒートポンプユニット70に導かれて沸き上げられてもよい。この場合、コントローラ50は第1切替弁43を制御して、配管B9と配管B41との接続を遮断するとともに、配管B40と配管B41とを接続する。これにより、ふろ熱交換器26を経て配管B40を流れる水の一部がヒートポンプユニット70に送られて沸き上げられ、この沸き上げ後の高温水が配管A6、配管B42、第2切替弁44、配管B11、上部流入口5fを介して貯湯タンク5内に供給される。
【0082】
このように、複数の切替弁43,44を用いる場合であっても、貯湯タンク5内の中温水を利用した貯湯運転、およびふろ熱交換器26から貯湯タンク5に戻る水を利用した追焚き運転を実現することができる。
【0083】
(変形例)
第1〜第4の実施形態に関する変形例について説明する。
第1〜第4の実施形態においては、
図2のフローチャートに沿う貯湯運転が実施されるとした。すなわち、先ず貯湯タンク5内の中温水のみがヒートポンプユニット70に送られ、給水温度センサ81が検知する温度Twiが規定温度TA以上になると貯湯タンク5内の中温水と低温水とを上記条件(1)を満たすように混合した混合水がヒートポンプユニット70に送られ、貯湯タンク5から供給される中温水の温度Tmが規定温度TB以上になると低温水と混合する中温水の比率が段階的に下げられ、終了条件が成立したことに応じて貯湯運転が終了する。
【0084】
この貯湯運転は、他の流れで実施されてもよい。例えば、先ず貯湯タンク5内の低温水のみがヒートポンプユニット70に送られ、その後に貯湯タンク5内の中温水と低温水とを上記条件(1)を満たすように混合した混合水がヒートポンプユニット70に送られ、終了条件が成立するまでこの混合水の供給が継続されてもよい。また、この例において、混合水がヒートポンプユニット70に送られている際に、貯湯タンク5から配管B10に供給される中温水の温度Tmが規定温度TB以上になると低温水と混合する中温水の比率が段階的に下げられ、終了条件が成立したことに応じて貯湯運転が終了してもよい。
【0085】
規定温度TA,TBは、リモコン63などの入力装置を介してユーザが所望の値に設定できるようにしてもよい。例えば、入力装置の操作によりユーザが貯湯タンク5への貯湯熱量の増大を指示したとき、コントローラ50が規定温度TA,TBの少なくとも一方を所定量ΔTだけ増加させる。ユーザが貯湯熱量を段階的に指示できるようにし、各段階の貯湯熱量に対して異なる所定量ΔTを設定してもよい。規定温度TAが増加すると、貯湯運転において中温水のみがヒートポンプユニット70に送られている際に給水温度センサ81が検知する温度Twiが規定温度TAに達するまでの時間が長くなる。さらに、貯湯タンク5内の中温水と低温水との混合水がヒートポンプユニット70に送られている際に、貯湯タンク5から供給される中温水の温度Tmが規定温度TB以上になるまでの時間が長くなる。これらにより、規定温度TA,TBを増加させる前に比べて、貯湯タンク5内の中温水をより多く沸き上げに利用することができる。そのため、貯湯タンク5内の中温水の量を減らしてより多くの高温水を貯湯タンク5内に貯め、貯湯タンク5内の貯湯熱量を増やすことができる。例えば来客などにより翌日の湯の使用量が増えると予想される場合において、ユーザが前日に貯湯熱量の増大を指示しておけば、通常時よりも多い熱量が貯湯タンク5に貯まり、翌日の湯切れを防止することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された給湯装置を、以下に付記する。
[1]
順次配管接続された圧縮機、第1熱交換器、膨張弁及び第2熱交換器を有し、前記第1熱交換器に供給される水を加熱する冷凍サイクルと、
前記第1熱交換器にて加熱された水を貯めるための貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部に接続された第1管路と、
前記貯湯タンクの中間部に接続された第2管路と、
前記第1熱交換器の入水側に接続された第3管路と、
前記第1熱交換器の出水側と前記貯湯タンクの上部とを接続する第4管路と、
前記第1管路、前記第2管路、或いはこれらの双方を選択的に前記第3管路に接続する切替弁と、
前記貯湯タンクの水を、前記第1管路及び前記第2管路の少なくとも一方、前記切替弁、前記第3管路、前記第1熱交換器、前記第4管路の順に循環させる第1ポンプと、
前記切替弁にて前記第1管路と前記第3管路との接続を遮断するとともに前記第2管路と前記第3管路とを接続した状態で前記第1ポンプを駆動し、前記第2管路を介して前記貯湯タンクから取り出される水を前記第1熱交換器に送り、前記第1熱交換器にて加熱された水を前記第4管路を介して前記貯湯タンクに戻す工程を含む貯湯運転を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする給湯装置。
[2]
前記制御部は、前記貯湯運転において、
前記第2管路を介して前記貯湯タンクから取り出される水の温度が規定温度に達するまで前記切替弁にて前記第1管路と前記第3管路との接続を遮断するとともに前記第2管路と前記第3管路とを接続して前記貯湯タンクから前記第2管路を介して取り出される水を前記第1熱交換器に送り、
前記第2管路を介して前記貯湯タンクから取り出される水の温度が前記規定温度に到達した後、前記切替弁にて前記第1管路及び前記第2管路と前記第3管路とを接続して、前記貯湯タンクから前記第1管路を介して取り出される水と前記第2管路を介して取り出される水とが混合された混合水を前記第1熱交換器に送り、かつ前記混合水の温度が前記規定温度となるように前記第1管路を介して取り出される水と前記第2管路を介して取り出される水との混合比を前記切替弁により調整する、
ことを特徴とする上記[1]に記載の給湯装置。
[3]
前記制御部は、入力装置により前記貯湯タンクにおける貯湯熱量の増大が指示された場合、前記規定温度を上昇させる、
ことを特徴とする上記[2]に記載の給湯装置。
[4]
前記貯湯タンクの上部から水を取り出す第5管路と、
前記第5管路が入水側に接続されるとともに前記第2管路が出水側に接続され、前記第5管路を介して供給される水と浴槽の水とを熱交換させて当該浴槽の水を加熱する第3熱交換器と、
前記第5管路を介して前記貯湯タンクから取り出される水を前記第3熱交換器に送り、前記第3熱交換器を通過した水を前記第2管路に送る第2ポンプと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第2ポンプを駆動して前記第3熱交換器により前記浴槽の水を加熱するとともに、前記切替弁にて前記第2管路と前記第3管路とを接続した状態で前記第1ポンプを駆動し、前記第3熱交換器を通過した後の水の少なくとも一部を前記第2管路から前記切替弁及び前記第3管路を介して前記第1熱交換器に送り、前記第1熱交換器にて加熱された水を前記第4管路を介して前記貯湯タンクに戻す追焚き運転をさらに実行する、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のうちいずれか1つに記載の給湯装置。
[5]
前記貯湯タンクの上部から水を取り出す第5管路と、
前記第2管路を介して前記貯湯タンクから取り出された水と前記第5管路を介して前記貯湯タンクから取り出された水とを混合する第1混合弁と、
前記第1混合弁にて混合された混合水と給水源から供給される水とを混合する第2混合弁と、
前記第2混合弁にて混合された混合水を外部に供給する第6管路と、
をさらに備えることを特徴とする上記[1]乃至[4]のうちいずれか1つに記載の給湯装置。