【実施例】
【0019】
(実施例1)
上記電力変換装置にかかる実施例について、図を用いて説明する。
図1に示すように、本例の電力変換装置1は、電力変換回路の一部を構成する電子部品21と、電子部品21に電気的に接続された回路基板3と、電子部品21及び回路基板3を収容する筐体6と、一端が電子部品21に接続されたワイヤハーネス4と、ワイヤハーネス4の他端を嵌合させる中継嵌合部51と、回路基板3に接続される中継接続部52とを有する中継コネクタ5とを備えている。
【0020】
図1、
図2に示すように、中継コネクタ5は、中継嵌合部51にワイヤハーネス4の他端を嵌合させた状態で、筐体6内に固定されている。
回路基板3は、筐体6内に固定された中継コネクタ5に対して組み付けられ、中継コネクタ5の中継接続部52に接続されている。
以下、これを詳説する。
【0021】
図1に示すように、電力変換装置1は、電力変換回路の一部を構成する電子部品21、この電子部品21に電気的に接続された回路基板3を筐体6内に収容している。電子部品21は、直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するDC−DCコンバータである(以下、適宜、DC−DCコンバータ21という)。
【0022】
同図に示すように、筐体6は、DC−DCコンバータ21を収容する第1筐体部61と、回路基板3を収容する第2筐体部62とを組み付けて構成されている。第1筐体部61には、第1筐体部61と第2筐体部62との間を仕切る仕切部611が設けられている。第2筐体部62には、回路基板3を第2筐体部62内に配設して組み付けるための組付用開口部621が設けられている。第1筐体部61内の空間と第2筐体部62内の空間とは、連通部60を介して連通している。
【0023】
筐体6において、仕切部611の第1筐体部61側には、DC−DCコンバータ21が配設されている。また、仕切部611の第2筐体部62側には、電子部品群22が配設されている。
電子部品群22は、図示を省略したが、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュール、その半導体モジュールの出力端子に流れる電流を測定する電流センサ、昇圧後の電圧を平滑化するための平滑コンデンサ等を有する。
【0024】
複数の半導体モジュールは、冷却器内に冷媒を流通させることによって冷却可能に構成されている。各半導体モジュールは、IGBT等のスイッチング素子やFWD等のダイオードを内蔵してなる。各半導体モジュールには、回路基板3に接続された制御端子221が設けられている。制御端子221には、半導体モジュールに内蔵されたスイッチング素子を制御する制御電流が入力される。
【0025】
また、同図に示すごとく、筐体6内には、連通部60を介して第1筐体部61内の空間と第2筐体部62内の空間と跨ぐように、フィルタコンデンサ23が配設されている。フィルタコンデンサ23は、電力変換回路の入力電圧を安定させるためのものである。
また、DC−DCコンバータ21には、ワイヤハーネス4の一端が接続されている。ワイヤハーネス4の他端には、ワイヤコネクタ部41が設けられている。また、ワイヤハーネス4と回路基板3との間には、中継コネクタ5が配設されている。
【0026】
中継コネクタ5は、中継嵌合部51と中継接続部52とを有する。中継嵌合部51には、凹形状の嵌合凹部511(後述する
図2参照)が設けられており、その嵌合凹部511にワイヤハーネス4のワイヤコネクタ部41が嵌合されている。中継嵌合部51は、ワイヤハーネス4のワイヤコネクタ部41を嵌合させた状態で、フィルタコンデンサ23に固定されている。中継接続部52は、複数のピン端子により構成されており、中継嵌合部51から第2筐体部62の組付用開口部621に向かって突出している。
【0027】
また、同図に示すごとく、筐体6において、第2筐体部62の組付用開口部621側には、回路基板3が配設されている。回路基板3は、中継コネクタ5よりも第2筐体部62の組付用開口部621に近い位置に配置されている。また、回路基板3は、フィルタコンデンサ23に固定された中継コネクタ5に対して組み付けられ、中継コネクタ5の中継接続部52に接続されている。
【0028】
具体的に説明すると、
図2に示すように、回路基板3には、中継コネクタ5の中継接続部52(複数のピン端子)を挿入させるための複数の挿入部31が設けられている。挿入部31は、回路基板3を厚み方向に貫通して形成されている。
そして、回路基板3は、挿入部31に中継コネクタ5の中継接続部52を挿通させた状態で、中継コネクタ5に対して組み付けられている。
【0029】
同図に示すごとく、回路基板3と中継コネクタ5の中継接続部52とは、回路基板3の挿入部31内において、はんだ付けによって接合されている。これにより、回路基板3が中継コネクタ5を介してワイヤハーネス4に電気的に接続される。つまり、DC−DCコンバータ21と回路基板3とが電気的に接続される。
また、
図1に示すごとく、回路基板3には、電子部品群22における半導体モジュールの制御端子221が接続されている。これにより、回路基板3と電子部品群22の半導体モジュールとが電気的に接続される。
【0030】
次に、本例の電力変換装置1(
図1)における構成部品の組み付け手順を説明する。
まず、
図3に示すように、ワイヤハーネス4の他端に設けられたワイヤコネクタ部41を中継コネクタ5の中継嵌合部51に嵌合させる。
次いで、
図4に示すように、ワイヤハーネス4のワイヤコネクタ部41を嵌合させた状態で、中継コネクタ5の中継嵌合部51をフィルタコンデンサ23に固定する。
【0031】
次いで、
図5に示すように、中継コネクタ5を固定したフィルタコンデンサ23を第1筐体部61内に配設する。このとき、中継コネクタ5が固定されているフィルタコンデンサ23の一部は、第1筐体部61の連通部60から第1筐体部61の外側に突出した状態となっている。そして、DC−DCコンバータ21を第1筐体部61の仕切部611の内側に配設する。その後、ワイヤハーネス4の一端をDC−DCコンバータ21に接続する。
【0032】
次いで、
図6に示すように、電子部品群22を搭載した第2筐体部62を第1筐体部61に組み付ける。このとき、中継コネクタ5の中継接続部52(複数のピン端子)及び電子部品群22における半導体モジュールの制御端子221は、第2筐体部62の組付用開口部621に向かって突出した状態となっている。
【0033】
次いで、
図7(a)に示すように、回路基板3を第2筐体部62の組付用開口部621から第2筐体部62内に配設し、
図7(b)に示すように、回路基板3を中継コネクタ5に対して組み付ける。具体的には、回路基板3の複数の挿入部31に、中継コネクタ5の中継接続部52(複数のピン端子)を挿通させる。そして、回路基板3の挿入部31内において、回路基板3と中継コネクタ5の中継接続部52(複数のピン端子)とをはんだ付けによって接合する(
図2参照)。これにより、回路基板3が中継コネクタ5を介してワイヤハーネス4に電気的に接続される。つまり、DC−DCコンバータ21と回路基板3とが電気的に接続される。
以上により、電力変換装置1(
図1)における構成部品が組み付けられる。
【0034】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1は、一端が電子部品(DC−DCコンバータ)21に接続されたワイヤハーネス4と回路基板3との間に、中継嵌合部51及び中継接続部52を有する中継コネクタ5を設けている。中継コネクタ5は、中継嵌合部51にワイヤハーネス4の他端を嵌合させた状態で、筐体6内に固定されている。そして、回路基板3は、筐体6内に固定された中継コネクタ5に対して組み付けられ、中継コネクタ5の中継接続部52に接続されている。
【0035】
そのため、回路基板3を中継コネクタ5に対して組み付けるだけで、回路基板3が中継コネクタ5を介してワイヤハーネス4に電気的に接続される。つまり、回路基板3を筐体6内に配設するだけで、電子部品(DC−DCコンバータ)21と回路基板3との電気的な接続が完了する。これにより、従来のように、筐体6内に配設した回路基板3に対してワイヤハーネス4を接続する作業が不要となり、そのための組み付けスペースも不要となる。その結果、構成部品の組み付けが容易となり、生産性の向上、コスト低減が可能となると共に、装置の小型化を図ることができる。
【0036】
また、本例において、中継コネクタ5の中継接続部52は、中継嵌合部51から突出してなるピン端子であり、回路基板3は、中継コネクタ5の中継接続部52を挿入させるための挿入部31を有する。これにより、中継コネクタ5の中継接続部52(ピン端子)を回路基板3の挿入部31に直接挿し込む構造となるため、中継コネクタ5に対する回路基板3の組み付けが容易となる。
【0037】
また、筐体6(第2筐体部62)には、回路基板3を筐体6内に配設して組み付けるための組付用開口部621が設けられており、回路基板3は、中継コネクタ5よりも組付用開口部621に近い位置に配置されている。そのため、回路基板3を筐体6(第2筐体部62)の組付用開口部621から筐体6内に固定された中継コネクタ5に対して組み付ける作業が容易となる。また、回路基板3を中継コネクタ5に対して組み付けることによって電子部品(DC−DCコンバータ)21と回路基板3との電気的な接続が完了するため、回路基板3と中継コネクタ5とを上記の位置関係とすることにより、無駄なスペースが生じないようにすることができ、装置の小型化をより一層図ることができる。
【0038】
このように、本例によれば、構成部品の組み付け性に優れ、小型化を図ることができる電力変換装置1を提供することができる。
【0039】
(実施例2)
本例は、
図8〜
図10に示すごとく、中継コネクタ5を、中継嵌合部51において、筐体6に固定された固定電子部品であるフィルタコンデンサ23に固定した例である。そして、中継嵌合部51におけるフィルタコンデンサ23に対する固定部であるコネクタ固定部53が、フィルタコンデンサ23における筐体6に対する固定部である部品固定部231よりも、回路基板3に近い位置に配されている。
【0040】
図10に示すごとく、部品固定部231は、少なくとも回路基板3の法線方向から見たフィルタコンデンサ23の長手方向Xの両端部に形成されており、中継コネクタ5は、上記両端部の一方に配置されている。
【0041】
本例においては、部品固定部231は、上記両端部に加えて、長手方向Xの中央における短手方向Yの一方の端部にも形成されている。これら複数の部品固定部231において、
図9に示すごとく、フィルタコンデンサ23は、ボルト7によって筐体6に固定されている。
【0042】
また、中継嵌合部51は、コネクタ固定部53においてボルト7によって、フィルタコンデンサ23における部品固定部231よりも回路基板3に近い部位に固定されている。
また、部品固定部231は、法線方向Zにおけるフィルタコンデンサ23の回路基板3に近い側の端部付近に配されており、コネクタ固定部53は、それよりもさらに回路基板3に近い位置に配されている。
【0043】
その他は、実施例1と同様である。なお、本例又は本例に関する図面において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0044】
本例の場合には、中継接続部52の位置精度の向上を図ることができる。すなわち、コネクタ固定部53を、部品固定部231よりも、回路基板3に近付けることにより、コネクタ固定部53と回路基板3との距離を短くすることができる。それに伴い、中継接続部52の長さを短くすることができる。その結果、コネクタ固定部53から中継接続部52の先端までの長さを短くすることができ、中継接続部52の位置精度を向上させることができる。
【0045】
また、フィルタコンデンサ23の長手方向Xの両端部に部品固定部231が形成されており、中継コネクタ5は、上記両端部の一方に配置されている。これにより、中継コネクタ5の耐振性の向上を図ることができる。すなわち、フィルタコンデンサ23において最も振動の少ない部品固定部231がある端部に、中継コネクタ5を配置することにより、中継コネクタ5の振動を防止することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。