(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記他方のステムには、前記一方のステム側に向けて張り出して、前記シール部が接離する張出部が配設されていることを特徴とする請求項1記載のフォーマディスペンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のフォーマディスペンサでは、繰り返し使用する過程で、発泡部材上で液体が乾いて固化する可能性があった。なお液体が発泡部材上で固化すると、例えば泡体を適正な泡質に発泡し難くなる等のおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、発泡部材上で液体が固化するのを抑制できるフォーマディスペンサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るフォーマディスペンサは、液体が収容される容器体の口部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備えたフォーマディスペンサであって、前記ポンプには、前記ステムに連係する液用ピストン及び空気用ピストンと、前記液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、前記空気用シリンダ内と前記気液混合室内とを連通する空気通路と、前記気液混合室からの気液混合体を発泡させる発泡部材と、が備えられ、前記ステムは、前記押下ヘッドが装着された上ステムと、前記上ステムから下方に向けて延設された下ステムと、を備え、前記上ステムは、前記下ステムに対して上方付勢状態で下方移動可能に支持され、前記ノズル孔と前記発泡部材との間には、上下方向に延びる上下流路を有する接続路が配設され、前記下ステムには、上方に向けて立設されるとともに、前記上下流路の上端開口を閉塞する閉塞体が備えられ、前記上ステムの前記下ステムに対する下降に伴い、前記閉塞体が前記上端開口を開放し、前記空気用ピストンは、内側に前記下ステムが挿通される筒部を備え、前記下ステムには、該下ステムの径方向の外側に向けて張り出して、前記筒部の下端に該筒部の下方から当接するフランジ状の当接部が形成され、前記空気通路の一部が、前記筒部と前記下ステムとの間に形成され、前記上ステム及び前記下ステムのうち、何れか一方のステムには、他方のステムに離間可能に密接するシール部が配設され、前記シール部は、前記空気通路を通した前記気液混合室内と前記空気用シリンダ内との連通を遮断するとともに、前記押下ヘッドの押下により前記他方のステムから離間して、前記空気通路を通して前記気液混合室内と前記空気用シリンダ内とを連通させることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、泡体を吐出するとき、押下ヘッドを押下すると、上ステムが下ステムに対して下降することで、上下流路の上端開口が開放され、さらにこの押下を継続すると、下ステムが上ステム及び押下ヘッドとともに下降することで、液用ピストン及び空気用ピストンも下降する。これにより、液用シリンダ内の液体及び空気用シリンダ内の空気が気液混合室内に供給されるとともに、これら液体及び空気が混合されて気液混合体となる。さらに、この気液混合体が発泡部材を通過することで、発泡されて泡体となり、この泡体が接続路を通してノズル孔から吐出される。
一方、押下ヘッドの押下を解除すると、押下ヘッド、ステム、液用ピストン、及び空気用ピストンが上方に向けて復元変位する。この際、上ステムが下ステムに対して上方に向けて復元変位することで、閉塞体が上下流路の上端開口を閉塞する。これにより、接続路を通したノズル孔内と気液混合室内との連通が遮断される。
そして、本発明のフォーマディスペンサにおいて、上下流路の上端開口を閉塞する閉塞体が下ステムに備えられているので、押下ヘッドを押下する前の待機状態において、ノズル孔及び上端開口を通して、発泡部材が外気に晒されるのを抑制できる。これにより、発泡部材上で液体が乾いて固化するのを抑えることが可能になり、例えば適性な泡質の安定した発泡を維持することが可能になる。
【0008】
特に、上ステム及び下ステムのうち、何れか一方のステムに、他方のステムに離間可能に密接するシール部が配設されているため、空気用シリンダの内圧が上昇する等して、下ステムに対して空気用ピストンが上昇した場合に、空気用ピストンの筒部が当接部から離間し、空気通路内が空気用シリンダ内に連通しても、空気通路を通した気液混合室内と空気用シリンダ内との連通がシール部によって遮断された状態を維持する。これにより、気液混合室側から液体が空気通路を通して空気用シリンダ内に流入するのを、シール部によって阻止することができる。
【0009】
また、前記他方のステムには、前記一方のステム側に向けて張り出して、前記シール部が接離する張出部が配設されていてもよい。
この構成によれば、上ステムと下ステムとの間のシール性を確保できる。
【0010】
また、前記上ステムは、前記下ステムに対する上昇移動が規制されていてもよい。
この構成によれば、空気用シリンダの内圧が上昇する等して、下ステムに対して空気用ピストンが上昇した場合であっても、シール部と他方のステムとの密接状態が維持されることになる。すなわち、空気通路を通した気液混合室内と空気用シリンダ内との連通がシール部によって遮断された状態が維持されるため、気液混合室側から液体が空気通路を通して空気用シリンダ内に流入するのを、シール部によってより確実に阻止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るフォーマディスペンサによれば、発泡部材上で液体が固化するのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す吐出容器1は、液体が収容される容器体2と、容器体2の口部2aに、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム16を有するポンプ3、及びステム16の上端部に配設されノズル孔33が形成された押下ヘッド20を有するフォーマディスペンサ10と、を備え、容器体2内の液体を泡状にして吐出する。
【0014】
ポンプ3は、装着キャップ11と、空気用シリンダ12と、液用シリンダ13と、液用ピストン14と、第1付勢部材15a及び第2付勢部材15bと、ステム16と、空気用ピストン17と、発泡部材18と、気液混合室19と、を備えている。
【0015】
ここで空気用シリンダ12、液用シリンダ13、液用ピストン14及び空気用ピストン17は筒状に形成されている。これらの空気用シリンダ12、液用シリンダ13、液用ピストン14及び空気用ピストン17の各中心軸線は、共通軸上に位置し、容器体2の軸線と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った容器体2の底部側を下側といい、下側の反対側を上側という。また、上下方向から見た平面視において、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
装着キャップ11は、容器体2の口部2aに螺着される下筒部21と、下筒部21よりも小径に形成され、下筒部21から上方に向けて延設された上筒部22と、これら下筒部21及び上筒部22間を連結する連結段部23と、を備えている。
【0017】
押下ヘッド20は、その下方移動に伴い装着キャップ11の上筒部22が内側に進入する外筒31と、外筒31の内側に配設されてステム16に装着される内筒32と、内筒32から径方向の外側に向けて延設され、先端にノズル孔33が形成されたノズル筒34と、外筒31の上端開口を覆い、かつ外筒31と内筒32及びノズル筒34とを連結する頂板35と、頂板35から下方に向けて軸線Oと同軸に延びる突設筒36と、を備えている。
内筒32は、外筒31よりも下方に延在するとともに、その下部が上筒部22内に挿入されている。なお、内筒32の上部は、下部に比べて内径が縮小している。
【0018】
ステム16は、容器体2の口部2aに上方付勢状態で下方移動可能に立設されている。ステム16は、上端部に押下ヘッド20の内筒32が外嵌された上ステム41と、上ステム41から下方に向けて延設された下ステム42と、を備えている。
【0019】
上ステム41は、上下方向に沿う長さが押下ヘッド20の内筒32よりも短くなっているとともに、その全体が内筒32内に嵌合されている。具体的に、上ステム41は、内筒32内の上部に嵌合された小径部43と、内筒32内の下部に嵌合されるとともに、小径部43よりも外径が大きい大径部44と、大径部44の上下方向における中間部分に突設された第1シール部45と、大径部44の下端縁から突設された第2シール部46と、を備えている。
各シール部45,46は、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延在するとともに、その下端縁が後述する第2下ステム52の外周面に密接している。
【0020】
下ステム42は、液用ピストン14に連係する第1下ステム51と、空気用ピストン17に連係され、かつ第1下ステム51と上ステム41とを接続する第2下ステム52と、を備えている。
第1下ステム51は、下部が液用ピストン14の後述する小筒部72に外嵌され、かつ上部に、径方向の内側に向けて突出する環状の台座部53が配設されている。また、第1下ステム51における上部と下部との間に位置する中間部に、径方向の外側に向けて突出するフランジ状の当接部54が配設されている。
【0021】
第2下ステム52は、上部が上ステム41内の下部に挿入された基筒55と、基筒55の上端に内フランジ部を介して上方に向けて立設された有頂筒状の支持部57と、を備えている。
【0022】
基筒55の下部には、径方向の外側に向けて張り出す張出部56が形成されている。この張出部56は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて突の湾曲状とされ、上下方向の外側から内側に向かうに従い径方向の外側に膨出している。また、基筒55のうち、張出部56よりも上方に位置する部分には、基筒55を径方向に貫通するとともに、基筒55の内外を連通させる貫通孔59が形成されている。
そして、上述した上ステム41の各シール部45,46のうち、第1シール部45は基筒55における貫通孔59よりも上側に位置する部分に、上下摺動自在に密接している。一方、上ステム41の第2シール部46は、基筒55における貫通孔59よりも下側に位置する部分に、離間可能に密接している。なお、押下ヘッド20を押下する前の待機状態、すなわち上ステム41が上昇端位置にあるとき、第2シール部46は張出部56に密接している。また、第2シール部46と押下ヘッド20の内筒32との間には、環状溝61が形成されている。
【0023】
また、支持部57の周壁部には、上下方向の全長に亘って延びる連通孔58が形成されており、この連通孔58を通して、第2下ステム52内と、上ステム41内と、が連通している。
【0024】
空気用シリンダ12は、装着キャップ11の連結段部23と容器体2の口部2aとの間に上下方向に挟持された環状の取付け部63と、取付け部63から下方に向けて延設された周壁部64と、周壁部64から径方向の内側に向けて突設された環状の底壁部65と、を備えている。
【0025】
液用シリンダ13は、空気用シリンダ12と一体に形成されている。液用シリンダ13は、空気用シリンダ12の底壁部65の内周縁から下方に向けて延設された基筒部66と、基筒部66の下端から下方に向けて連設され、下方に向かうに従い漸次縮径するテーパ部67と、テーパ部67の下端から下方に向けて連設された垂下筒部68と、を備えている。液用シリンダ13において基筒部66とテーパ部67とが連結された部分の内周面には、上下方向に延在する縦リブが、周方向に間隔をあけて複数突設されている。
【0026】
液用シリンダ13の内部には、液用ピストン14が上下摺動自在に収容されている。液用ピストン14は、ステム16に連係する。液用ピストン14は、液用シリンダ13内に液密状態で上下摺動可能に嵌合する大筒部71と、下端が大筒部71に連結されるとともに、上部が第1下ステム51内に嵌合された小筒部72と、を備えている。
【0027】
第2付勢部材15bは、液用ピストン14を介して第1下ステム51を上方に向けて付勢する。第2付勢部材15bは、液用ピストン14において大筒部71と小筒部72とが連結された部分と、液用シリンダ13の上述した縦リブと、の間に介装されている。なお、第2付勢部材15b及び上述した第1付勢部材15aとしては、例えばコイルスプリングや樹脂バネ等を採用することができる。また、第2付勢部材15bは、第1付勢部材15aに比べてばね定数が大きく設定されていることが好ましい。
【0028】
液用シリンダ13、液用ピストン14及び第2付勢部材15b内には、棒状の弁部材73が挿通されている。弁部材73の上端部には、中空の逆円錐状の上部弁体73aが形成され、弁部材73の下端部には、下部弁体73bが形成されている。上部弁体73aは、液用ピストン14の上端部に形成された弁座部に、この弁座部の上方から離間可能に着座している。下部弁体73bは、液用シリンダ13のテーパ部67から上方に離間していて、テーパ部67に着座可能に形成されている。下部弁体73bの外周面には、液用シリンダ13の縦リブの間に配置されるガイド凸部(不図示)が突設されている。
【0029】
空気用ピストン17は、空気用シリンダ12の内部に上下摺動自在に収容されている。空気用ピストン17は、ステム16に連係する。空気用ピストン17は、第1下ステム51に外装された内摺動筒部(筒部)75と、空気用シリンダ12内に嵌合された外摺動筒部76と、これらの内摺動筒部75と外摺動筒部76とを連結する連結部77と、を備えている。
【0030】
内摺動筒部75のうち、下部は、第1下ステム51において、当接部54よりも上側に位置する摺動部分に上下摺動可能に外嵌され、上部は、押下ヘッド20において、内筒32内の下部に上下摺動可能に嵌合されている。そして、内摺動筒部75の下端縁は、当接部54に上方から離間可能に着座している。
【0031】
連結部77は、内摺動筒部75及び外摺動筒部76それぞれにおける上下方向の中央部同士を全周に亘って連結する環状に形成されている。連結部77には、空気用シリンダ12の内部のうち、この連結部77よりも上方に画成される上室78a内と、この連結部77よりも下方に画成される下室78b内と、を連通する貫通孔が形成されている。
【0032】
内摺動筒部75において連結部77に連結された部分よりも下側に位置する部分には、弁筒部81が嵌合されている。弁筒部81の外周面には、上述した貫通孔を開閉する弾性変形可能な環状の外気導入弁81aが突設されている。外気導入弁81aの外周縁部は連結部77の下面に離間可能に密接している。
【0033】
図2に示すように、発泡部材18は、気液混合室19とノズル孔33との間に配設され、気液混合室19から移送される気液混合体を発泡する。発泡部材18は、ケーシング82と、発泡エレメント83と、を備えている。
ケーシング82は、上側が大径部82aとされ、下側が小径部82bとされた2段筒状に形成されている。大径部82aは、上述した第2下ステム52の基筒55内に嵌合され、小径部82bは第1下ステム51の上端部内に嵌合されている。
【0034】
図示の例において、発泡エレメント83は、2つ設けられていて、これらの両発泡エレメント83は、ケーシング82(大径部82a)内に装着されている。両発泡エレメント83のうち、下側の発泡エレメント83は、筒体83aの下側開口面にメッシュ体83bが張設されてなり、上側の発泡エレメント83は、筒体83aの上側開口面にメッシュ体83bが張設されてなる。
【0035】
気液混合室19は、液用シリンダ13から移送される液体と空気用シリンダ12から移送される空気とを混合する。図示の例において、気液混合室19は、第1下ステム51の上端部内に設けられている。気液混合室19は、第1下ステム51内において、上述したケーシング82の小径部82bと、台座部53の上面と、の間の空間とされている。気液混合室19内には、台座部53に着座する球状の液吐出弁19aが設けられている。液吐出弁19aは、台座部53に離間可能に着座している。
【0036】
ここで、押下ヘッド20とステム16との間には、押下ヘッド20のノズル孔33と発泡部材18との間を接続する接続路85が画成されている。具体的に、接続路85は、上下方向に沿って延びる上下流路85aと、上下流路85aの上端部から径方向に沿って延びる横流路85bと、を有している。
上下流路85aは、上ステム41と第2下ステム52とによって画成され、発泡部材18から上方に向けて延びるとともに、軸線Oと同軸状に配設されている。すなわち、上下流路85aのうち、下端開口は発泡部材18に接続され、上端開口は横流路85bを介してノズル孔33に接続されている。
横流路85bは、ノズル筒34内において、ノズル孔33よりも径方向の内側に位置する部分により構成されている。
【0037】
そして、上述した第2下ステム52には、上下流路85aの上端開口を開閉可能に閉塞する閉塞体87が配設されている。閉塞体87は、軸線Oと同軸に延びる有底筒状の延設部88と、延設部88の上端部に配設された弁体89と、を備えている。
【0038】
延設部88は、上ステム41内に遊挿されるとともに、その下端部が上述した支持部57の天壁部に固定され、上端部が押下ヘッド20におけるノズル筒34内に位置するとともに、その内部に押下ヘッド20の上述した突設筒36が挿入されている。また、延設部88内において、突設筒36の下端縁と延設部88の底壁部との間には、上述した第1付勢部材15aが介在している。第1付勢部材15aは、突設筒36を介して上ステム41及び押下ヘッド20をともに上方に向けて付勢している。
【0039】
弁体89は、上下方向から見た平面視で円板状とされ、接続路85内を上下流路85aと横流路85bとに仕切っている。弁体89は、その下面が上ステム41の上端縁に密接して上下流路85aを閉塞している。すなわち、本実施形態の上ステム41は、下ステム42(第2下ステム52)に対する上昇移動が弁体89によって規制されている。
【0040】
以上のように構成されたフォーマディスペンサ10では、気液混合室19と空気用シリンダ12の下室78bとが空気通路Rを通して連通可能となっている。すなわち、空気通路Rは、上述したケーシング82(小径部82b)の外周面に形成された第1連通溝R1と、第1下ステム51の外周面に形成された第2連通溝R2と、第1連通溝R1及び第2連通溝R2間を接続する中間通路R3と、を備えている。
【0041】
中間通路R3は、第2下ステム52の外周空間(押下ヘッド20の内筒32、上ステム41、及び第2下ステム52により画成された空間)であって、その下端部が第2連通溝R2に連通するとともに、上端部が上述した貫通孔59を通して第1連通溝R1内に連通している。また、中間通路R3内には、中間通路R3内を気液混合室19側と空気用シリンダ12側とに仕切る上述した第2シール部46が配設されている。第2シール部46は、液体が空気通路Rを通して気液混合室19側から空気用シリンダ12内に流入するのを阻止するとともに、押下ヘッド20の押下による空気用ピストン17の下降時には第2下ステム52の張出部56から離間して、空気通路Rを連通させる(詳細は後述する)。
【0042】
そしてフォーマディスペンサ10は、押下ヘッド20を押下してステム16を下方に移動させることにより、容器体2内の液体を移送するとともに空気と混合させ、これらの気液混合体が発泡されてなる泡状の液体(以下、泡体という)をノズル孔33から吐出する。
【0043】
次に、上述したフォーマディスペンサ10の作用について説明する。なお、フォーマディスペンサ10は、押下ヘッド20を押下する前の待機状態において、閉塞体87の弁体89が上下流路85aの上端開口を閉塞している。
【0044】
フォーマディスペンサ10の使用時には、まず
図3に示すように押下ヘッド20を押下する。このフォーマディスペンサ10では、上述したように第1付勢部材15aのばね定数が第2付勢部材15bのばね定数よりも小さく設定されていることから、押下ヘッド20及び上ステム41が第1付勢部材15aの付勢力に抗して第2下ステム52に対して下降する。このとき、押下ヘッド20の突設筒36が閉塞体87の延設部88内に進入するとともに、上ステム41が閉塞体87の弁体89に対して下方に離間することで、上下流路85aの上端開口が開放され、上下流路85aと横流路85bとが連通する。
【0045】
また、押下ヘッド20及び上ステム41が第2下ステム52に対して下降する過程において、上ステム41の各シール部45,46は、第2下ステム52の外周面上を下方に向けて摺動する。そして、
図4に示すように、押下ヘッド20を押下し続けることで、第2シール部46は、第2下ステム52の張出部56を乗り越え、第2下ステム52の外周面から離間する。これにより、中間通路R3を通して気液混合室19内と空気用シリンダ12内とが連通する。
【0046】
その後、押下ヘッド20を押下し続けることで、延設部88の上端縁が押下ヘッド20の頂板35に下方から突き当たることで、押下ヘッド20及び上ステム41の第2下ステム52に対する下降が規制される(規制状態)。
また、押下ヘッド20及び上ステム41が第2下ステム52に対して下降することで、空気用ピストン17における内摺動筒部75の上端部が押下ヘッド20における内筒32の内周面上を摺動する。これにより、内摺動筒部75の上端部が第2シール部46の外側に形成された環状溝61内に進入する。
【0047】
次に、
図5に示すように、規制状態から押下ヘッド20をさらに押下すると、押下ヘッド20、ステム16及び液用ピストン14が一体的に押し下げられる。
このとき、空気用ピストン17の内摺動筒部75が第1下ステム51の上述した摺動部分の外周面上を摺動するとともに、内摺動筒部75の上端部が押下ヘッド20(内筒32)の内周面上を摺動する。これにより、内摺動筒部75の上端縁が、環状溝61の頂面に突き当たり、空気用ピストン17の上下方向の位置が保持される。その結果、第1下ステム51の当接部54と、空気用ピストン17の内摺動筒部75の下端縁と、の間に、空気通路Rと下室78bとを連通する連通隙間Raが形成される。またこのとき、弁部材73も下降することで、下部弁体73bが液用シリンダ13のテーパ部67に着座して、液用シリンダ13の下端開口部が閉塞される。なお、連通隙間Raが形成された時点で、弁部材73の上部弁体73aが液用ピストン14の弁座部から離間していても構わない。
【0048】
その後、
図5、
図6に示すように、押下ヘッド20をさらに押下すると、押下ヘッド20、ステム16及び液用ピストン14とともに空気用ピストン17が下方に移動し、空気用ピストン17の外摺動筒部76が、空気用シリンダ12の周壁部64の内周面上を、下方に向けて摺動する。
【0049】
このとき、外気導入弁81aは、連結部77の下面に密接されたままの状態であり、空気用ピストン17の貫通孔は閉塞されている。これにより、下室78b内の空気が圧縮され、この空気が、連通隙間Ra及び空気通路Rを通して気液混合室19に向けて移送される。具体的に、
図7に示すように、連通隙間Raから空気通路R内に流入した空気は、空気通路Rの第2連通溝R2内を上方に向けて流通する。すると、空気は、第2連通溝R2から中間通路R3内に流入し、その後中間通路R3において第2シール部46と第2下ステム52との間の隙間を通過した後、貫通孔59を通して第1連通溝R1内に流入する。第1連通溝R1内に流入した空気は、気液混合室19内に移送される。
【0050】
またこのとき、
図5、
図6に示すように、液用シリンダ13の下端開口部が閉塞された状態で、第2付勢部材15bを圧縮変形させつつ、液用ピストン14を下方に移動させて、弁部材73の上部弁体73aを液用ピストン14の弁座部から離間させる。これにより、液用シリンダ13の内部と第1下ステム51の内部とが連通され、液用シリンダ13内の液体が、弁座部及び上部弁体73aの間を通過して第1下ステム51内の気液混合室19に移送される。
【0051】
以上のように、押下ヘッド20を押下することにより、気液混合室19に空気及び液体がそれぞれ移送され、これらは気液混合室19で合流して混合される。この気液混合体は、発泡部材18に移送され、下側の発泡エレメント83のメッシュ体83b及び上側の発泡エレメント83のメッシュ体83bを順次通過することで発泡させられて泡体になり、接続路85を流通してノズル孔33から吐出される。
【0052】
その後、押下ヘッド20の押下を解除すると、上述した吐出時と逆の動作によって押下ヘッド20が待機位置(上ステム41の上昇端位置)に戻る。具体的に、押下ヘッド20の押下を解除すると、第2付勢部材15bの復元力により液用ピストン14が上昇する。これにより、液用ピストン14の弁座部が弁部材73の上部弁体73aに当接することで、液用シリンダ13の内部と第1下ステム51の内部との連通が遮断され、気液混合室19への液体の移送が停止される。なお、押下ヘッド20の押下の解除は、押下ヘッド20の頂板35上に手等を添えながら行うことが好ましい。
【0053】
また、このように上昇する液用ピストン14とともに、ステム16及び押下ヘッド20が一体的に上昇し、ステム16の当接部54が空気用ピストン17の内摺動筒部75の下端縁に当接することで、空気通路Rを通した下室78bと気液混合室19との連通が遮断され、気液混合室19への空気の移送が停止される。その後、第2付勢部材15bの復元力により、空気用ピストン17がステム16及び押下ヘッド20とともに押し上げられることで、下室78b内が負圧状態となる。これにより、外気導入弁81aが下方に弾性変形させられて、空気用ピストン17の貫通孔が開放される。これにより、貫通孔及び上室78aを通して下室78b内に外気が供給される。
【0054】
第2付勢部材15bが復元した後、第1付勢部材15aの復元力により押下ヘッド20及び上ステム41が下ステム42に対して上昇する。上ステム41が上昇端位置に向けて上昇する過程において、上ステム41の第1シール部45は第2下ステム52の外周面上を摺動しながら上昇する。一方、上ステム41の第2シール部46は、第2下ステム52の外周面に対して離間した状態で上昇した後、張出部56に到達した時点で、第2下ステム52に密接する。これにより、中間通路R3内が、気液混合室19側と空気用シリンダ12側とに仕切られ、中間通路R3を通した気液混合室19側と空気用シリンダ12内との連通が遮断される。
【0055】
その後、上ステム41が上昇端位置に到達した時点で、弁体89の下面が上ステム41の上端縁に密接することで、上下流路85aが閉塞されるとともに、第2下ステム52に対する上ステム41の上昇移動が規制される。これにより、押下ヘッド20が
図1に示す待機状態に戻る。
【0056】
このように、本実施形態によれば、上下流路85aの上端開口を閉塞する閉塞体87が第2下ステム52に備えられているので、押下ヘッド20を押下する前の待機状態において、ノズル孔33及び上端開口を通して、発泡部材18が外気に晒されるのを抑制できる。これにより、発泡部材18上で液体が乾いて固化するのを抑えることが可能になり、例えば適性な泡質の安定した発泡を維持することが可能になる。
【0057】
ここで、本実施形態では、第2下ステム52に離間可能に密接する第2シール部46が上ステム41に配設されているため、例えば吐出容器1が高温環境下等に置かれて、空気用シリンダ12の内圧が上昇して、第1下ステム51に対して空気用ピストン17が上昇した場合に、空気用ピストン17の内摺動筒部75が当接部54から離間し、空気通路R内が連通隙間Raを通して空気用シリンダ12内に連通しても、空気通路Rの気液混合室19側と空気用シリンダ12側との連通が第2シール部46によって遮断された状態を維持する。これにより、気液混合室19側から液体が空気通路Rを通して空気用シリンダ12内に流入するのを、第2シール部46によって阻止することができる。
しかも、本実施形態では、第2シール部46に密接する張出部56が第2下ステム52に配設されているため、上ステム41と第2下ステム52との間のシール性を確保できる。
【0058】
また、本実施形態では、第2下ステム52に対する上ステム41の上昇移動が弁体89によって規制されているため、第1下ステム51に対して空気用ピストン17が上昇した場合であっても、第2シール部46と第2下ステム52との密接状態が維持されることになる。これにより、気液混合室19側から液体が空気通路Rを通して空気用シリンダ12内に流入するのを、第2シール部46によってより確実に阻止することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、接続路85が上下流路85a及び横流路85bを備える構成について説明したが、少なくとも上下流路85aを有していれば構わない。
また、上述した実施形態では、下ステム42が第1下ステム51及び第2下ステム52を有する構成について説明したが、これに限られない。
また、上述した実施形態では、上ステム41が押下ヘッド20の内筒32内に嵌合された構成について説明したが、これに限らず、内筒32と上ステム41とを一体で形成しても構わない。
【0061】
さらに、上述した実施形態では、上ステム41にシール部45,46を配設し、これらシール部45,46が第2下ステム52に密接する構成について説明したが、これに限られない。例えば、
図8に示すように、上ステム41に密接するシール部145,146を第2下ステム52側に配設しても構わない。
第1シール部145は、上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延在しており、その上端縁が上ステム41の内周面上に、上下摺動自在に密接している。
【0062】
一方、第2シール部146は、下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延在しており、その下端縁が上ステム41の内周面上に離間可能に密接している。なお、押下ヘッド20を押下する前の待機状態、すなわち上ステム41が上昇端位置にあるとき、第2シール部146は、上ステム41の下端部から径方向の内側に向けて膨出する張出部156に密接している。
そして、
図9に示すように、押下ヘッド20を押下することで、第2シール部146が上ステム41の張出部156から離間し、中間通路R3を通して気液混合室19内と空気用シリンダ12内とが連通するようになっている。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。