(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流入空気を径外方向に流出するクロスフローファン(11)と、該クロスフローファンを収容し、該クロスフローファンの上流側の吸込口(10a、10b)から下流側の吹出口(15a、15b)に空気を導くケーシング(200)とを備えたクロスフローファン装置であって、
前記吸込口に対向する前記クロスフローファンの空気流入部の長手方向の幅が当該吸込口より大きく構成され、または前記吸込口が前記クロスフローファンの長手方向に対して所定量だけオフセットして配置されている構成において、前記クロスフローファンについて、吸込口の幅から外れる範囲に空気が流入することを制限する空気流入制限手段が設けられていることを特徴とするクロスフローファン装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
[第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置の概略構成]
図1〜
図3を参照して、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aの構成等について説明する。
【0011】
まず、
図1に示すように、本実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aは、樹脂等で成形されるケーシング200に覆われ、車両Vの車室内の天井300に配設されて、エアコンによる空調風を循環させて空調の補助を行うサーキュレータとしての役目を果たす装置である。
【0012】
このクロスフローファン装置1Aにより、運転席側に設置されるエアコンから吹き出され天井部に流入する空調風を、前方側に開口される吸込口10a(10b)から吸い込んで、後方側に開口される吹出口15a(15b)から後部座席に向けて吹き出すことにより、空調風が後部座席を含む車室内全体を効率的に循環するように補助する役割を果たす。
【0013】
次に、
図2を参照して、クロスフローファン装置1Aの模式的構成例について説明する。
【0014】
図2に示すように、クロスフローファン装置1Aでは、デザイン的な観点から、吸込口10a、10bと、クロスフローファン11および吹出口15a、15bが所定量だけ左右にオフセットして配置されている。なお、符号400は小物を収容できる収容部である。
また、符号50は吸込み側を区画するリブ、符号51は吹き出し側を区画するリブを示す。
【0015】
また、詳細な図示は省略するが、クロスフローファン11等は、上側半体(200a)と下側半体(200b)とから構成されるケーシングに収容されている(
図3参照)。
【0016】
ここで、本実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aにおけるクロスフローファン11は、モータMの回転軸方向に所定の間隔で平行に配設された円形支持部材12によって、長手方向に左端側から1〜3番目と、左端側から1〜3番目の計6つのファン部13に仕切られている。
【0017】
また、クロスフローファン装置1Aには、吸込口10a、10bの幅から外れる範囲に空気が流入することを制限する空気流入制限手段としての円筒部20が設けられている。
【0018】
より具体的には、クロスフローファン装置1Aの左右のファン部13に挟まれる中央部には、外周に配設される複数の羽部材で構成されるファンブレードが設けられない円筒面を有する空気流入制限手段としての円筒部20が設けられている。これにより、クロスフローファン装置1Aの中央部における吸込み機能を消失させて、空気流が不安定となる事態を抑制している。
【0019】
さらに、本実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aでは、吸込口10a、10bからクロスフローファン11に流入する空気を整流する板状の整流部材100a、100bが、クロスフローファン11の軸に対して直交する方向に沿って、クロスフローファン11の周面の近傍に設けられている。
【0020】
図2に示す構成例では、クロスフローファン11の左端側から2番目および左端側から2番目の円形支持部材12と、整流部材100a、100bとは略直線上に配置されている。これにより、空気の流れをより安定させることができ、異音の発生も有効に抑制することができる。
【0021】
なお、整流部材100a、100bは、ケーシングの上側半体(200a)と下側半体(200b)とによって挟持されて、空気流路を区画するように構成できる(
図3参照)。これにより、比較的簡易な構造で整流部材100a、100bを保持することができ、製造コストを低廉化することができる。
【0022】
また、
図3に示すように、整流部材100a、100bは、リブ構造101を有し、所定の強度を備えるようになっている。
【0023】
ここで、本実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aにおける空気の流れを
図2を参照して簡単に説明する。
【0024】
吸込口10aから吸い込まれた空気A1は、クロスフローファン装置1Aの内部において、整流部材100aの左側においては空気流B1、B2として、整流部材100aの右側においては空気流B3、B4として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0025】
また、吸込口10bから吸い込まれた空気A2は、クロスフローファン装置1Aの内部において、整流部材100bの右側においては空気流B5、B6として、整流部材100bの左側においては空気流B7、B8として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0026】
また、クロスフローファン装置1Aの左右のファン部13に挟まれる中央部は、ファンが設けられない円筒部20とされているので、クロスフローファン装置1Aの中央部における吸込み機能は消失され、空気流B1〜B8が不安定となる事態を抑制している。
【0027】
そして、クロスフローファン11のファン部13から空気流C1〜C4が吹き出され、吹出口15a、15bから空気流D1、D2としてスムーズに吹き出される。
【0028】
このように、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aによれば、クロスフローファン装置1Aの左右のファン部13に挟まれる中央部には、外周に配設される複数の羽部材で構成されるファンブレードが設けられない円筒面を有する空気流入制限手段としての円筒部20が設けられているので、比較的簡易な構造で空気流を安定させてスムーズな送風を行うことができ、異音の発生も抑制することができる。
[第2の実施の形態に係るクロスフローファン装置の概略構成]
次に、
図4から
図6を参照して、第2の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Bの構成等について説明する。
【0029】
なお、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0030】
第2の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Bが、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと異なる点は、左右のファン部13に挟まれる中央部が、空気流入制限手段としての覆体21によって覆われている点である(
図4から
図6参照)。
【0031】
なお、符号23は、覆体21を補強するリブである。
【0032】
また、覆体21の端部は、所定の円形支持部材12と直線上に配置されている。
【0033】
このような構成により、吸込口10aから吸い込まれた空気A1は、クロスフローファン装置1Bの内部において、整流部材100aの左側においては空気流B1、B2として、整流部材100aの右側においては空気流B3、B4として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0034】
また、吸込口10bから吸い込まれた空気A2は、クロスフローファン装置1Bの内部において、整流部材100bの右側においては空気流B5、B6として、整流部材100bの左側においては空気流B7、B8として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0035】
また、クロスフローファン装置1Bの左右のファン部13に挟まれる中央部は、覆体21によって覆われているので、クロスフローファン装置1Aの中央部における吸込み機能は消失され、空気流B1〜B8が不安定となる事態を抑制している。
【0036】
そして、クロスフローファン11のファン部13から空気流C1〜C4が吹き出され、吹出口15a、15bから空気流D1、D2としてスムーズに吹き出される。
【0037】
このように、第2の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Bによれば、左右のファン部13に挟まれる中央部が、空気流入制限手段としての覆体21によって覆われているので、比較的簡易な構造で空気流を安定させてスムーズな送風を行うことができ、異音の発生も抑制することができる。
[第3の実施の形態に係るクロスフローファン装置の概略構成]
次に、
図7を参照して、第3の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Cの構成等について説明する。
【0038】
なお、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0039】
第3の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Cが、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと異なる点は、空気流入制限手段として、クロスフローファン11を左側部11aと右側部11bとに分け、左側部11aと右側部11bとを連結軸25で連結する構成とした点である。
【0040】
即ち、本実施の形態のおいて、空気流入制限手段は、円形支持部材12によって仕切られたクロスフローファン11の所定範囲である中央部において外周に配設される複数の羽部材で構成されるファンブレードを欠落させたファン欠落部である連結軸25で構成されている。
【0041】
なお、実際の装置では、連結軸25は、ベアリング等を備える軸受部で回転自在に支持される。
【0042】
このような構成により、吸込口10aから吸い込まれた空気A1は、クロスフローファン装置1Cの内部において、整流部材100aの左側においては空気流B1、B2として、整流部材100aの右側においては空気流B3、B4として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0043】
また、吸込口10bから吸い込まれた空気A2は、クロスフローファン装置1Cの内部において、整流部材100bの右側においては空気流B5、B6として、整流部材100bの左側においては空気流B7、B8として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0044】
また、クロスフローファン装置1Cの左右のファン部13に挟まれる中央部は、連結軸25で構成されているので、クロスフローファン装置1Aの中央部における吸込み機能は消失され、空気流B1〜B8が不安定となる事態を抑制している。
【0045】
そして、クロスフローファン11のファン部13から空気流C1〜C4が吹き出され、吹出口15a、15bから空気流D1、D2としてスムーズに吹き出される。
【0046】
このように、第3の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Cによれば、空気流入制限手段は、円形支持部材12によって仕切られたクロスフローファン11の中央部において外周に配設される複数の羽部材で構成されるファンブレードを欠落させたファン欠落部である連結軸25で構成されているので、比較的簡易な構造で空気流を安定させてスムーズな送風を行うことができ、異音の発生も抑制することができる。
[第4の実施の形態に係るクロスフローファン装置の概略構成]
次に、
図8を参照して、第4の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Dの構成等について説明する。
【0047】
なお、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと同様の構成については、同一符号を付して重複した説明は省略する。
【0048】
第4の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Dが、第1の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Aと異なる点は、クロスフローファン11の中央部11cからの吸引力を左側部11aと右側部11bのみに制限する空気流入制限手段としての制限部材105a、105b、106a、106bをクロスフローファン11の中央部11cの近傍に設けた点である。
【0049】
これにより、クロスフローファン11自体について、空気流入制限手段として、第1の実施の形態のように中央部を円筒部状20としたり、第2の実施の形態のように中央部に覆体21を設けたり、あるいは第3の実施の形態のように連結軸25で連結するなどの加工等を施す必要がなく、一般的なクロスフローファンを用いてコストを低減することができる。
【0050】
このような構成により、吸込口10aから吸い込まれた空気A1は、クロスフローファン装置1Dの内部において、整流部材100aの左側においては空気流B1、B2として、整流部材100aの右側においては空気流B3、B4として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0051】
また、吸込口10bから吸い込まれた空気A2は、クロスフローファン装置1Dの内部において、整流部材100bの右側においては空気流B5、B6として、整流部材100bの左側においては空気流B7、B8として、それぞれクロスフローファン11のファン部13によってスムーズに吸い込まれる。
【0052】
また、クロスフローファン11の中央部11cの吸込み機能は空気流入制限手段としての制限部材105a、105b、106a、106bによって消失されているので、空気流B1〜B8が不安定となる事態が抑制される。
【0053】
そして、クロスフローファン11のファン部13から空気流C1〜C4が吹き出され、吹出口15a、15bから空気流D1、D2としてスムーズに吹き出される。
【0054】
このように、第4の実施の形態に係るクロスフローファン装置1Dによれば、空気流入制限手段としての制限部材105a、105b、106a、106bをクロスフローファン11の中央部11cの近傍に設けているので、比較的簡易な構造で空気流を安定させてスムーズな送風を行うことができ、異音の発生も抑制することができる。
【0055】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。