(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の導体が配置されるとともに自己容量を有する位置検出センサの前記導体に接続されて、前記導体と指示体との間で生じる電荷の変化をコンデンサ回路に生じる電圧信号の変化として検出する信号処理回路であって、
前記コンデンサ回路と前記導体との接続を制御するスイッチ回路を備えるとともに、前記スイッチ回路の制御と協働して、前記導体が接続される前記スイッチ回路の一端を一時的に所定の電圧に設定するとともに、前記スイッチ回路の一端と前記コンデンサ回路が接続される前記スイッチ回路の他端との間に所定の電位差を設定する電圧供給制御回路を備えており、前記スイッチ回路の制御に協働した前記所定の電圧と前記所定の電位差の設定によって生じる前記スイッチ回路の前記他端での電圧変化に基づいて前記位置検出センサが有する前記自己容量に対応した信号を生成するようにし、
前記導体が前記スイッチ回路を介して前記コンデンサ回路と接続された状態で前記電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の前記一端を一時的に前記所定の電圧に設定した後に、前記スイッチ回路の他端に接続された前記コンデンサ回路の一端とは異なる他端を前記電圧供給制御回路によって前記所定の電圧とは異なる電圧に設定することで前記電位差を生成するようにしたことを特徴とする信号処理回路。
前記信号処理回路は単一の電源電圧で駆動されており、前記電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の前記一端に与えられる前記所定の電圧は、前記電源電圧と接地電位の中央値の電圧とされることを特徴とする請求項1乃至3に記載の信号処理回路。
前記信号処理回路は第1及び第2の電源電圧で駆動されており、前記電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の前記一端に与えられる前記所定の電圧は、前記第1及び第2の電源電圧の中央値の電圧とされることを特徴とする請求項1乃至3に記載の信号処理回路。
前記指示体による指示位置を検出する際に前記コンデンサ回路に生じる第1の電圧信号と前記電圧供給制御回路により前記所定の電位差が前記スイッチ回路の一端と他端との間に設定されることで前記コンデンサ回路に生じる第2の電圧信号のそれぞれが時分割的に生成されて前記アナログ−デジタル変換回路に供給されることで前記第1の電圧信号及び前記第2の電圧信号のそれぞれに対応した第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号が生成されるとともに、前記第1のデジタル信号を前記第2のデジタル信号で補正するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の信号処理回路。
前記自己容量に対応した第1の電圧信号を生成した後に、前記電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の一端と他端との間に前記所定の電位差に対して逆極性の関係の電位差を設定して前記自己容量に対応した第2の電圧信号を生成し、前記第1の電圧信号及び前記第2の電圧信号によって生成された差分信号に基づいて前記自己容量に対応した信号を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の信号処理回路。
複数の導体が配置されるとともに自己容量を有する位置検出センサと、前記位置検出センサの前記導体に接続されて前記導体と指示体との間で生じる電荷の変化をコンデンサ回路に生じる電圧信号の変化として検出する信号処理回路と、前記信号処理回路から出力される信号に基づいて前記指示体による指示位置を検出する位置検出回路とを備えており、
前記信号処理回路は、前記コンデンサ回路と前記導体との接続を制御するスイッチ回路を備えるとともに、前記スイッチ回路の制御と協働して、前記導体が接続される前記スイッチ回路の一端に一時的に所定の電圧を設定するとともに、前記スイッチ回路の一端と前記コンデンサ回路が接続される前記スイッチ回路の他端との間に所定の電位差を与える電圧供給制御回路を備えており、前記スイッチ回路の制御に協働した前記所定の電圧と前記所定の電位差の設定によって生じる前記スイッチ回路の前記他端に生じる電圧に基づいて前記位置検出センサが有する前記自己容量に対応した信号を生成し、前記指示体による指示位置を検出する際に前記コンデンサ回路に生じる電圧信号に対する補正用信号として供するように構成されていることを特徴とする位置検出装置。
複数の導体が配置されるとともに自己容量を有する位置検出センサの前記導体に接続されて、前記導体と指示体との間で生じる電荷の変化をコンデンサ回路に生じる電圧信号の変化として検出する信号処理方法であって、
前記コンデンサ回路と前記導体との接続を制御するスイッチ回路を備えるとともに、前記スイッチ回路の制御と協働して、前記導体が接続される前記スイッチ回路の一端に一時的に所定の電圧を設定するとともに、前記スイッチ回路の一端と前記コンデンサ回路が接続される前記スイッチ回路の他端との間に所定の電位差を与える電圧供給制御を行うことで、前記スイッチ回路の制御に協働した前記所定の電圧と前記所定の電位差の設定によって生じる前記スイッチ回路の前記他端での電圧変化に基づいて前記位置検出センサが有する前記自己容量に対応した信号を生成するようにし、
前記導体が前記スイッチ回路を介して前記コンデンサ回路と接続された状態で電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の前記一端を一時的に前記所定の電圧に設定した後に、前記スイッチ回路の他端に接続された前記コンデンサ回路の一端とは異なる他端を前記電圧供給制御回路によって前記所定の電圧とは異なる電圧に設定することで前記電位差を生成するようにしたことを特徴とする信号処理方法。
複数の導体が配置されるとともに自己容量を有する位置検出センサの前記導体に接続されて、前記導体と指示体との間で生じる電荷の変化をコンデンサ回路に生じる電圧信号の変化として検出する信号処理方法であって、
前記コンデンサ回路と前記導体との接続を制御するスイッチ回路を備えるとともに、前記スイッチ回路の制御と協働して、前記導体が接続される前記スイッチ回路の一端に一時的に所定の電圧を設定するとともに、前記スイッチ回路の一端と前記コンデンサ回路が接続される前記スイッチ回路の他端との間に所定の電位差を与える電圧供給制御を行うことで、前記スイッチ回路の制御に協働した前記所定の電圧と前記所定の電位差の設定によって生じる前記スイッチ回路の前記他端での電圧変化に基づいて前記位置検出センサが有する前記自己容量に対応した信号を生成するようにし、
前記導体が前記スイッチ回路によって、前記スイッチ回路の前記他端と接続される一端とは異なる他端が所定の基準電圧に設定されている前記コンデンサ回路と非接続とされた状態で電圧供給制御回路によって前記スイッチ回路の前記一端を一時的に前記所定の電圧に設定するとともに前記スイッチ回路の前記他端を一時的に前記所定の電圧とは異なる電圧に設定した後に、前記スイッチ回路を介して前記導体と前記コンデンサ回路を接続することで前記電位差を生成するようにしたことを特徴とする信号処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照しながら、この発明の信号処理回路、信号処理方法、位置検出装置、電子機器の実施形態について説明する。この発明の信号処理回路、信号処理方法は、静電容量方式の位置検出センサに適用されて好適なものである。
【0024】
[第1の実施形態]
[この発明の信号処理回路、信号処理方法が適用された位置検出装置]
図1は、この発明の信号処理回路、信号処理方法の一実施形態が適用されて構成された位置検出装置1を備えた電子機器の一例を示すものである。
図1に示す例の電子機器2は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面2Dを備えるスマートフォンなどと呼ばれる携帯機器であり、表示画面2Dの前面部には位置検出装置1を構成するセンサ部(位置検出センサ)が配設されている。また、電子機器2の上部と下部には、受話器3及び送話器4がそれぞれ設けられている。
【0025】
電子機器2の表示画面2Dの前面部に配設されたセンサ部上で指や位置指示器としてのアクティブ静電ペンなどの指示体により位置指示操作が行われると、位置検出装置1は指やアクティブ静電ペンで操作された位置を検出し、電子機器2が備えるマイクロコンピュータによって操作位置に応じた表示処理を施すことができる。
【0026】
すなわち、この実施形態の電子機器2では、位置検出装置1は、センサ部に対する指による位置指示操作(指タッチ)のみではなく、送信信号を送出するアクティブ静電ペンによるペン指示操作をも検出することができるように構成されている。
【0027】
[静電容量方式の位置検出装置1の構成例]
次に、
図1に示した電子機器2等で用いられる位置検出装置1の構成例について説明する。
図2は、この実施形態の位置検出装置1の概略構成例を説明するための図である。この例の位置検出装置1は、いわゆるクロスポイント(相互容量)構成のセンサ部を備えており、指などの静電タッチ、特にマルチタッチを検出する場合は、第1の方向に配置された導体に送信信号を与えると共に、第1の方向とは異なる第2の方向に配置された導体から信号を受信するように構成されている。また、指示体がアクティブ静電ペンの場合には、第1の方向及び第2の方向に配置されたそれぞれの導体から信号を受信する構成となる。なお、クロスポイント型静電容量方式の位置検出装置の原理等については、この出願の発明者の発明に係る出願の公開公報である特開2011−3035号公報、特開2011−3036号公報、特開2012−123599号公報等に詳しく説明されている。
【0028】
この実施形態の位置検出装置1は、
図2に示すように、タッチパネル(位置検出センサ)を構成するセンサ部100と、制御装置部200とで構成されている。制御装置部200は、センサ部100との入出力インターフェースを含むマルチプレクサ201と、指タッチ検出回路202と、ペン指示検出回路203と、制御回路204とからなる。
【0029】
センサ部100は、この例では、下層側から順に、送信導体群12、絶縁層、受信導体群11を積層して形成されたものである。送信導体群12は、
図2及び後述する
図4に示すように、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46を互いに所定間隔離して並列配置したものである。また、受信導体群11は、送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46に対して交差、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の受信導体11X
1、11X
2、…、11X
72を互いに所定間隔離して並列配置したものである。
【0030】
この実施形態のセンサ部100では、受信導体群11を構成する複数の受信導体11X
1、11X
2、…、11X
72が第1の導体であり、送信導体群12を構成する複数の送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46が第2の導体である。このように、位置検出装置1では、送信導体と受信導体を交差させて形成したセンサパターンを用いて、指5やアクティブ静電ペン6などの指示体が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0031】
そして、この実施形態の位置検出装置1は、
図1を用いて説明したようなスマートフォンと呼ばれる携帯機器などの電子機器2に搭載されて使用される。このため、センサ部100は、電子機器2が備える表示装置の表示画面2Dの大きさに対応し、画面サイズが例えば4インチ前後の大きさの指示入力面100Sを、光透過性を有する、受信導体群11と送信導体群12とによって形成している。
【0032】
なお、受信導体群11と送信導体群12は、センサ基板の同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよいし、センサ基板の一面側に受信導体群11を配置し、他面側に送信導体群12を配置する構成でもよい。
【0033】
マルチプレクサ201は、制御回路204の切り替え制御により、センサ部100を指タッチ検出回路202とペン指示検出回路203のいずれかに接続するようにする切替回路の機能を備える。
【0034】
指タッチ検出回路202は、指5によるセンサ部100におけるタッチを検出する検出回路であり、送信導体と受信導体を交差させて形成したセンサパターンのそれぞれの交点における静電容量が、指がタッチされた位置では変化するので、その静電容量の変化を検出することにより指タッチの位置を検出するようにする。
【0035】
すなわち、指タッチ検出回路202では、例えば50kHz〜200kHz程度の周波数の送信信号を送信導体に供給し、受信導体による受信信号を信号処理回路に供給する。信号処理回路では、指がタッチされた位置では静電容量が変化することに基づいて、その位置の受信導体からの受信信号のレベルが変化することを検知することで、指タッチ位置を検出する。そして、指タッチ検出回路202は、指タッチの検出結果を制御回路204に供給する。
【0036】
この指タッチ検出回路202は、この発明の信号処理回路および信号処理方法の一実施形態が適用されて構成されたものである。この指タッチ検出回路202の詳細な構成例については後述する。
【0037】
ペン指示検出回路203は、アクティブ静電ペン6によるセンサ部100における指示位置を検出する。アクティブ静電ペン6は、内部に発振回路6Sを備え、この発振回路6Sからの、例えば1.8MHzの周波数の信号を送出する。ペン指示検出回路203は、このアクティブ静電ペン6からの信号を、センサ部100の受信導体群11(第1の導体)のみならず、送信導体群12(第2の導体)でも受信する。そして、ペン指示検出回路203は、第1の導体及び第2の導体を構成するそれぞれの導体について、アクティブ静電ペン6からの1.8MHzの信号のレベルをチェックして、1.8MHzの信号が高レベルとなっている受信導体上及び信号受信状態にある送信導体上に存在するアクティブ静電ペン6の位置を検出するようにする。そして、ペン指示検出回路203は、アクティブ静電ペン6が指示する位置についての検出結果を制御回路204に供給する。
【0038】
なお、上述したように、指タッチ検出回路202で取り扱う信号の周波数は、50〜200kHzとされ、ペン指示検出回路203で取り扱う信号の周波数は、1.8MHzとされていて、使用周波数帯域が大きく異なるものとされているので、例えばバンドパスフィルタで、検出回路202、203で取り扱うそれぞれの信号を分離することができる。なお、ペン指示検出回路203は既知の構成で良いため、ここではその説明を省略する。両検出回路202,203とで取り扱う信号を、例えばバンドパスフィルタで帯域制限することで、相互の影響を除去することができるものである。
【0039】
制御回路204は、位置検出装置1の全体の動作を制御するためのもので、この例では、MPU(microprocessor unit)で構成されている。この実施形態の位置検出装置1
では、
制御回路204は、指タッチの検出と、ペン指示の検出とを時分割で行うように制御する。すなわち、この実施形態の位置検出装置1では、
図3に示すように、ペン指示の検出を実行するペン指示検出期間TPと、指タッチの検出を実行する指タッチ検出期間TFとを交互に時分割で実行するようにしている。
【0040】
制御回路204は、ペン指示検出期間TPでは、センサ部100をペン指示検出回路203に接続するように、マルチプレクサ201を制御すると共に、ペン指示検出回路203を動作状態(アクティブ状態)にするように制御する。制御回路204は、また、指タッチ検出期間TFでは、センサ部100を指タッチ検出回路202に接続するように、マルチプレクサ201を制御すると共に、指タッチ検出回路202を動作状態(アクティブ状態)にするように制御する。
【0041】
そして、この実施形態の位置検出装置1においては、指タッチ検出期間TFを、さらに、指タッチの検出を実行する指タッチ検出実行期間TFmと自己容量測定を実行する自己容量測定期間とに区分して、それぞれを時分割で実行するようにする。自己容量測定期間は、この実施形態では、指タッチ検出期間TFの開始直後で、指タッチ検出実行期間TFmの開始直前までの期間TFssと、指タッチ検出実行期間TFmの終了直後から指タッチ検出期間TFの終了直前までの期間TFseの2期間とされている。
【0042】
制御回路204は、この指タッチ検出期間TFにおける指タッチ検出実行期間TFmと、自己容量測定期間TFss、TFseとの切り替え制御を行うと共に、指タッチ検出実行期間TFmと、自己容量測定期間TFss、TFseとにおける動作制御もまた行うものである。
【0043】
図4は、この実施形態の位置検出装置1の指タッチ検出用期間における構成部分、すなわち、クロスポイント(相互容量)型指タッチ検出方式の構成部分を抜書きしたものであり、マルチプレクサ201及びペン指示検出回路203の部分は省略してある。
【0044】
この
図4に示すように、クロスポイント(相互容量)型の指タッチ検出回路202は、送信部20と、受信部30とからなる。クロック発生回路40は、
図2では図示を省略したが、所定のクロック信号CLKを発生し各部に供給する回路であり、場合によっては制御回路204に含まれる。指タッチ検出実行期間TFmでは、送信部20及び受信部30が動作状態とされて、以下に説明するようにして指による指示位置の検出を行う。一方、自己容量測定期間TFss、TFseでは、送信部20は動作状態とされず、送信信号が送信導体12Yには供給されない。後述するように、自己容量測定期間TFss、TFseでは、制御回路204の制御に基づいて受信部30の信号処理回路31で電圧供給制御が行われることで自己容量の測定が実行される。
【0045】
この実施形態において、センサ部100の送信導体群12は、
図2に示したように、46本の送信導体12Y
1〜12Y
46からなる。送信部20の送信信号生成回路21は、制御回路204の制御に応じて、クロック発生回路40からのクロック信号CLKに基づいて形成されるタイミングで、46個の異なる送信信号を生成し、送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46のそれぞれに所定の送信信号を供給する。なお、46本の送信導体12Y
1〜12Y
46のそれぞれに供給される送信信号の具体例としては、例えば、PN(pseudo random noise)符号やアダマール符号などの直交符号が適用可能である。
【0046】
送信部20の信号極性反転回路22は、送信信号の符号列に基づいて、必要に応じて送信信号の極性を切り替える(反転させる)処理を行う。この実施形態の位置検出装置1は、上述したようにクロスポイント型静電容量方式を採用しており、送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46に供給される送信信号に応じて受信導体11X
1〜11X
72からの信号の変化に基づいて指示体の位置を検出するものである。すなわち、指などの指示体による位置指示に対応した静電容量の変化に基づいた位置検出方式である。
【0047】
このため、送信信号生成回路21によって生成される送信信号に符号「0」が連続したり、逆に符号「1」が連続したりする場合に対応して、信号極性反転回路22では、各送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46に対して直前に供給した信号(符号)と次に供給すべき信号(符号)が同じであるか否かを判定して、同一の信号(符号)が連続する場合には、送信信号の信号レベル(ハイレベル/ローレベル)が切り替えられた(あるいは反転させられた)送信信号(送信符号)を生成する。
【0048】
なお、送信信号が「01」や「10」のように、異なる信号(符号)を送信する場合には、適切に送信信号の立ち上がりや立ち下りが設けられるので、送信信号の極性切り替え(極性反転)を行う必要はない。
【0049】
このように、この実施形態の位置検出装置1の指タッチ検出回路202では、静電容量の変化に基づいて指等の指示体が指示する位置を検出する静電容量方式を採用している。従って、信号極性反転回路22により、送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46に供給される送信信号の極性を制御することで、送信信号の立ち上がり、立ち下りが適切に設けられる。これに応じて、受信導体11X
1、11X
2、…、11X
72からの受信信号の信号レベルも適切に変化する信号となる。そして、受信導体11X
1、11X
2、…、11X
72からの受信信号を監視し、どの送信導体に供給された送信信号に対応した受信信号が変化したかを検出する。
【0050】
すなわち、この実施形態の位置検出装置1の受信部30において、送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46のそれぞれと受信導体11X
1、11X
2、…、11X
72のそれぞれとの交差点(クロスポイント)での静電容量の変化に対応した信号の変化をクロスポイント毎に検出する。これにより、指等の指示体のセンサ部100への接近あるいはタッチに対応して静電容量の変化したクロスポイントを特定することができる。
【0051】
なお、各受信導体11X
1〜11X
72からの受信信号は信号処理回路31に供給されて、受信導体11X
1〜11X
72からの受信信号のそれぞれが同時にA−D(Analog-Digital)変換(アナログ−デジタル変換)される構成を有する。そして、詳しくは後述するが、信号処理回路31は、受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれからの信号を電流の形式で受信して電圧信号に変換し、これを多重積分型のADC(Analog Digital Converter)でA−D変換する。多重積分型のADCは、コンデンサ回路にチャージされた電荷を、値の異なる複数の基準電流を用いてディスチャージ・チャージを順次行うことにより、コンデンサ回路にチャージされた電荷に対応したデジタル信号に変換するものである。
【0052】
そして、位置検出回路32は、送信信号生成回路21から各送信導体12Y
1、12Y
2、…、12Y
46に供給された送信信号(送信符号)に対応した信号(符号)を用いた相関演算を行い、相関演算値を算出する。このため、相関演算に用いる信号(相関演算信号)が、送信信号生成回路21から位置検出回路32に供給されている。そして、位置検出回路32は、制御回路204の制御に応じて動作して、算出された相関演算値に基づいて指等の指示体がセンサ部100にて指示した位置を検出し、指示体の指示位置に応じた出力データは、例えば、図示しない携帯機器に設けられた表示制御部等に供給されることで、表示画面上に指示体の指示位置に応じた表示が行われる。
【0053】
このような構成を有するこの実施形態の位置検出装置1は、46本の送信導体12Y
1〜12Y
46のそれぞれに送信信号を同時に供給し、72本の受信導体11X
1〜11X
72からの受信信号を同時に処理する。そして、46本の送信導体12Y
1〜12Y
46と72本の受信導体11X
1〜11X
72とが形成する3312個のクロスポイントにおける指示体の指示状態に基づいて、指示入力面100S上で指示体が指示する位置を検出する。
【0054】
なお、以下においては、特に区別して示す場合を除き、受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれを総称して受信導体11Xと記載し、送信導体12Y
1〜12Y
46のそれぞれを総称して送信導体12Yと記載する。
【0055】
「第1の実施形態の信号処理回路31の具体的な構成例」
図5は、第1の実施形態の位置検出装置1で用いられる信号処理回路31の構成例を説明するための図である。
図5に示すように、第1の実施形態の信号処理回路31は、72本の受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれに対応する72個の信号処理回路31A(1)〜31A(72)を備える。この72個の信号処理回路31A(1)〜31A(72)のそれぞれは同じ構成を有する。このため、以下の説明においては、信号処理回路31A(1)〜31A(72)のそれぞれを特に区別して示す場合を除き、信号処理回路31A(1)〜31A(72)の一つを信号処理回路31Aと記載する。なお、信号処理回路31Aは、その複数個の構成要素をディスクリート部品として、それらを電気的に接続したものとして構成することもできるが、この例では、1チップのIC(Integrated circuit)の構成とされている。
【0056】
この実施形態においては、信号処理回路31は、電源電圧Vddが供給される単一電源を用いる。
【0057】
図5に示すように、信号処理回路31Aは、クランプ回路を構成するスイッチ回路31aと、サンプリング用の
スイッチ回路31b(以下ゲート回路31b
という)と、サンプリングされた電圧をホールドするためのコンデンサ回路31cと、ADC(Analog Digital Converter)31dと、自己容量の測定のための電圧切替用のスイッチ回路31eとを備えて構成されている。
【0058】
そして、この第1の実施形態においては、
図5に示すように、制御回路204から、スイッチ回路31aには切替制御信号SW1が、ゲート回路31bにはゲート制御信号SW2が、スイッチ回路31eには切替制御信号SW3が、それぞれ供給される。これらの切替制御信号SW1
と切替制御信号SW3
及びゲート制御信号SW2は、クロック発生回路40からのクロック信号CLKに同期した信号である。また、ADC31dは、制御回路204から動作制御信号CTにより動作/非動作が制御される。
【0059】
クランプ回路を構成するスイッチ回路31aの一端は受信導体11Xに接続されており、他端は所定の電圧、この例では後述する基準電圧Vrefに設定される。また、ゲート回路31bの一端もまた受信導体11Xに接続されている。ゲート回路31bの他端は、コンデンサ回路31cの一端及びADC31dの入力端に接続されている。コンデンサ回路31cの他端は、スイッチ回路31eの共通端子s0に接続されている。コンデンサ回路31cの一端に生じる電圧はADC31dによってデジタル信号に変換される。
【0060】
スイッチ回路31eは、共通端子s0を3つの端子s1、s2、s3に切り替え接続することが可能な切替回路であり、その3つの端子の一つの端子s1は、所定の電圧、この例では基準電圧Vrefに設定され、他の一つの端子s2は、所定の電圧(基準電圧Vref)よりも所定値EVだけ低い電圧、この例では接地電位GNDに設定され、残りの一つの端子s3は、所定の電圧Vrefよりも前記所定値EVだけ高い電圧、この例では電源電圧Vddに設定される。前述した指タッチ検出実行期間TFmにおいては、スイッチ回路31eは、常に、基準電圧Vrefを選択する端子s1に切り替えられる。スイッチ回路31eの他の端子s2,s3は、後述するように、受信導体11Xの自己容量を測定する自己容量測定期間TFss,TFseにおいて用いられる。
【0061】
スイッチ回路31aは、制御回路204からの切替制御信号SW1によりオンとされることにより、各受信導体11Xを所定の電圧にクランプする。ゲート回路31bは、制御回路204からの
ゲート制御信号SW2によりオン・オフ制御(開閉制御)され、そのオン期間(閉期間)においてクランプ回路を構成するスイッチ回路31aを通じて所定の電圧にクランプされた受信導体11Xをコンデンサ回路31cに接続する。コンデンサ回路31cは、受信導体11Xがクランプされて設定された所定の電圧に対応した電荷を、ゲート回路31bを介して蓄積する。コンデンサ回路31cに蓄積された電荷に対応してコンデンサ回路31cに生じた電圧がADC31dによってデジタル信号に変換される。
【0062】
図5の例においては、基準電圧設定回路31Yにより前記所定の電圧が設定されている。なお、
図5の例においては、説明を簡単するため、信号処理回路31内に基準電圧設定回路31Yを設けている。しかし、基準電圧設定回路31Yは信号処理回路31内に設けられている必要はない。要は、スイッチ回路31aの他端とコンデンサ回路31cの他端が所望する電圧となるように構成されていれば良い。
【0063】
この実施形態においては、電源電圧Vddが供給される単一電源を用いるため、基準電圧設定回路31Yによって設定される基準電圧Vrefを電源電圧Vddの2分の1(Vref=1/2・Vdd)とし、これにより、指タッチ検出実行期間TFmにおいて、受信導体11Xから得る受信信号の立ち上がりと立ち下りの両方を確実に検出可能にしている。簡単には、送信信号が「1」である場合には、コンデンサ回路31cに生じる電圧は、基準電圧Vref(=1/2・Vdd)より大きくなり、逆に、送信信号が「0」である場合には、コンデンサ回路31cに生じる電圧は、基準電圧Vref(=1/2・Vdd)より小さくなるというように、送信信号が「1」、「0」のいずれの場合であっても、コンデンサ回路31cにおいて適切な信号レベルで電圧変化を生じさせることができるように構成されている。
【0064】
なお、
図5に示す信号処理回路31では、指タッチ検出実行期間TFmにおいては、スイッチ回路31a及びコンデンサ回路31c、ADC31dは、同一の基準電圧Vref(=1/2・Vdd)が設定されるように構成されているが、それぞれを同一の電圧に設定することは必ずしも必要とされない。
【0065】
但し、
図5に示すように、スイッチ回路31a及びコンデンサ回路31c、ADC31dが同一の電位に設定されていると、基準電圧が変動した場合に、それらが同じ電圧変動の影響を受けることになり、それらスイッチ回路31a、コンデンサ回路31c、ADC31dの間では、実質的に電圧変動の影響が排除されるというメリットがある。
【0066】
第1の実施形態の信号処理回路31Aで用いられるADC31dは、多重積分型ADCとされている。
【0067】
図6は、ADC31dの構成例を説明するための図であり、コンパレータd1と、A−D制御ロジック部d2と、電流出力型DAC(Digital Analog Converter)d3とを備えている。
【0068】
そして、後述もするが、指タッチ検出実行期間TFmにおいては、信号処理回路31Aのコンデンサ回路31cの他端側には、スイッチ回路31eを通じて基準電圧Vrefが印加されているので、この基準電圧Vrefを基準電圧として、受信導体11Xから供給される受信信号としての電荷がゲート回路31bを通じてコンデンサ回路31cに所定時間供給されて蓄積され、コンデンサ回路31cには、その蓄積された電荷に応じた電圧が保持される。このコンデンサ回路31cに保持される電圧はADC31dによりデジタル信号に変換される。ADC31dにおいて行われるA−D変換処理の概要を示すと以下のようになる。
【0069】
すなわち、ADC31dにおいては、電流出力型DACd3からの参照電流(
図6に示した64IREF〜1IREF(IREFは、所定の基準電流値))を、コンデンサ回路31cとADC31dを構成するコンパレータd1との間に供給する。当該参照電流は、コンデンサ回路31cに保持された電荷をキャンセルするように設定される。これにより、当該参照電流をコンデンサ回路31cにおいて逆積分する処理が行われ、この逆積分処理を通じて、コンデンサ回路31cに保持された電荷に対応したデジタル信号を生成する。
【0070】
この場合、参照電流IREFを用いた逆積分処理により変化するコンデンサ回路31cに生じる電圧と基準電圧Vrefとをコンパレータd1で比較し、この比較結果がA−D制御ロジック部d2に供給されて、コンデンサ回路31cに生じる電圧の極性が切り換わったか否かが検出される。そして、ADC31dでは、逆積分→比較→極性反転検出という一連の処理を繰り返すことで、A−D制御ロジック部d2はコンデンサ回路31cに保持された電荷に対応した処理時間を計測する。なお、A−D制御ロジック部d2は、図示しないが、クロック信号CLKに基づいて動作するカウンタや当該カウンタのリセットタイミングやカウント値の出力タイミング等を制御するコントローラ等を備えている。
【0071】
なお、信号処理回路31Aを構成するコンデンサ回路31cに生じる電圧をデジタル信号に変換するADCとしては、上述した積分型ADCに限定されるものではないが、上述の信号処理回路31Aと積分型ADC31dを組み合わせた場合には、積分型ADC31dは、信号処理回路31Aを構成するコンデンサ回路31cに保持された電荷を所定の基準電流でキャンセルすることで、コンデンサ回路31cに保持された電荷に対応したデジタル信号を出力することができる。すなわち、信号処理回路31Aを構成するコンデンサ回路31cは積分型ADC31dの構成要素としても機能しており、信号処理回路31Aと積分型ADC31dとを集積回路として一体的に構成する場合に好適な組み合わせとなる。
【0072】
[信号処理回路31Aの指タッチ検出実行期間TFmにおける動作]
図7は、第1の実施形態の信号処理回路31Aの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7Aは、送信信号生成回路21で生成される送信信号(送信符号)の具体例を示している。また、
図7Bは送信信号生成回路21及び信号極性反転回路22を通じて送信導体12Yに供給される信号の状態を示している。また、
図7Cは、受信導体11Xからの受信信号が信号処理回路31Aを構成するゲート回路31bを介して供給されたコンデンサ回路31cにおける信号の状態を示している。
【0073】
また、
図7Dは、制御回路204からスイッチ回路31aに供給される切替制御信号SW1を示している。
図7Eは、制御回路204からゲート回路31bに供給されるゲート制御信号SW2を示している。
図7Fは、ADC31dでのA−D変換タイミングを示している。
【0074】
図7Aに示すように、この例においては、送信導体12Yに供給される信号(送信符号)が例えば「0010」であるものとする。この例の送信信号のように、「0」が連続したり、逆に「1」が連続したりする場合には、送信信号の立ち上がりや立ち下りを適切に設けることができず、コンデンサ回路31cには送信信号の信号レベルの変化に対応した静電容量の変化を生じさせることができない。
【0075】
このため、
図7Aの送信符号が「0」である場合、
図7Bでは「1→0」と立ち下り波形にする。
図7Aの送信符号が「0」と続く場合、
図7Bでは事前に「0→1」にして立ち下り波形の生成の準備をする。
図7Aの送信符号が「1」である場合、
図7Bでは「0→1」と立ち上り波形にする。
図7Aの送信符号が「
1」と続く場合、
図7Bでは事前に「1→0」にして立ち上り波形の生成の準備をする。
【0076】
このようにして送信導体12Yへの信号送信に先立ち送信信号の極性(ハイレベル/ローレベル)を調整するために、制御回路204によって制御される信号極性反転回路22が設けられている。
【0077】
図7Aに示される送信信号(送信符号)の信号レベルに対応した信号レベルの信号が送信導体12Yに供給される。
図7の例では、送信信号が「0」の場合に送信導体12Yに供給される信号の信号レベルが立ち下り波形であり、送信信号が「1」の場合に送信導体12Yに供給される信号の信号レベルが立ち上り波形である。
図7Bには、送信信号の信号レベルが変化し得るタイミングを時点Sdで表している。
【0078】
以上のようにして、送信信号に「0」が連続したり、逆に「1」が連続したりする場合には、送信導体12Yに供給される信号の信号レベルを一時的に極性反転させることで、たとえ送信信号に「0」が連続した場合でも、また、送信信号に「1」が連続した場合でも、コンデンサ回路31cには静電容量の変化が生じるように構成される。なお、この例では、送信信号「0」に対応して信号レベルをローレベルとしたが、信号レベル「0」に対応して信号レベルをハイレベルとすることもできることは明らかである。また、送信信号はPSK変調(特にBPSK変調)にしても構わない。
【0079】
スイッチ回路31aは、
図7Dに示す切替制御信号SW1により、
図7Eに示すゲート制御信号SW2により
ゲート回路31bがオフ(開状態)になった後に、オンにされる。これにより、
図7Cに示すように、受信導体11Xの電圧が基準電圧Vrefに迅速にクランプされる。なお、
図7Dの例では、スイッチ回路31aは、時点t1においてオンにされているが、この時点に限るものではなく、A−D変換開始時点t6からA−D変換終了時点t7までの期間においてオンに切り替えられれば良い。スイッチ回路31eは、どれを選択されていてもA−D変換開始からA−D変換終了まで切替しないようにする。
【0080】
スイッチ回路31aは、
図7Dに示すように、次の送信信号の信号レベルの変化タイミングの時点Sdの前までにオフにされる。これにより、受信導体11Xの電圧を基準電圧Vrefにクランプする処理が完了する。なお、
図7Dの例では、スイッチ回路31aは、時点t3においてオフにされているが、この時点に限るものではなく、次の送信信号の信号レベルの変化タイミングの時点Sdの前までの時点においてオフにされればよい。すなわち、スイッチ回路31aは、A−D変換処理終了後であって、かつ、受信導体11Xの電圧が基準電圧Vrefにクランプされた後であって電圧が安定した時点t2から時点Sdの間のcpの期間でオフに切り替えられれば良い。
【0081】
ゲート回路31bは、A−D変換の終了後の時点t2(
図7Eでの点線矢印時点)からオン(閉状態)にすることができるが、この実施形態では、
ゲート制御信号SW2により、
図7Eに示すように、送信信号の信号レベルが変化し得るタイミング時点Sdでオン(閉状態)とされる。そして、このゲート回路31bがオン(閉)状態に制御されることにより、コンデンサ回路31cには受信導体11Xの電圧に応じた電荷が蓄積される。
【0082】
時点Sdでオンとされたゲート回路31bは、送信導体12Yに供給される信号の信号レベルが切り替えられ得る時点Sjに先立つ時点t5で、A−D変換開始時点t6よりも前にオフ(開状態)にされる。ゲート回路31bがオフ(開状態)にされることで、コンデンサ回路31cには受信信号の信号レベルに対応した電圧が保持される。このコンデンサ回路31cに保持された電圧がADC31dでA−D変換されることで、ADC31dからは、受信信号の信号レベルに対応したデジタル信号が出力される。
【0083】
受信導体11Xに接続されたコンデンサ回路31cに、送信導体12Yに供給された信号に応じて生じる電圧波形は、およそ
図7Cに示したような信号波形となる。すなわち、
図7Cにおいて、記号cpにより示される直線部分が示すように、送信信号の信号レベルを切り替える時点Sdに先立つ所定期間においては、スイッチ回路31aがオンとされることにより、受信導体11Xは基準電圧Vref(Vref=1/2・V
dd)にクランプされている。
【0084】
そして、
図7Cに示すように、送信導体12Yに供給される信号に応じた受信信号が受信導体11Xに接続された信号処理回路31Aに供給される。すなわち、基準電圧Vrefにクランプされた受信導体11Xが、ゲート回路31bを介してコンデンサ回路31cに接続されることによって、コンデンサ回路31cには、基準電圧Vrefを中心電圧として信号レベルが変動する、受信信号に応じた電圧が生じる。そして、
図7Fに示すように、上述したADC31dにより、コンデンサ回路31cの電圧がデジタル信号に変換される。
【0085】
ADC31dにおけるコンデンサ回路31cに保持された電圧のA−D変換処理は、時点t5以降の時点t6にてA/D変換処理が開始され、時点t7で終了し、コンデンサ回路31cに保持された電圧に対応したデジタル信号を出力する。なお、ADC31dは、制御回路204からの動作制御信号CTにより、
図7Fに示す動作タイミングで動作するように制御される。
【0086】
なお、時点t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、Sd、Sjのそれぞれは、クロック発生回路40で発生するクロック信号CLKに基づいて、制御回路204において設定されている。
【0087】
[信号処理回路31Aの自己容量測定期間TFss、TFseにおける動作]
図8は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける信号処理回路31Aのスイッチ回路31a,31eの切替状態の遷移及びゲート回路31bの開閉状態の遷移を説明するための図である。制御回路204は、
図5に示したように、これらスイッチ回路31a,31e及びゲート回路31bに切替制御信号SW1,SW
3及びゲート制御信号SW2を供給して、後述するように、受信導体11Xを一時的に所定の電圧に設定すると共に、スイッチ回路からなるゲート回路31bの一端と他端との間に、所定の電位差を設定する機能を備える。すなわち、制御回路204は、電圧供給制御回路の機能を備える。
【0088】
なお、前述したように、スイッチ回路31eは、指タッチ検出実行期間TFmにおいては、端子s1に接続されて、コンデンサ回路31cの他端には基準電圧Vrefが印加される状態とされるが、この自己容量測定期間TFss、TFseにおいては、この端子s1は使用しない。そこで、説明の簡単のため、
図8ではスイッチ回路31eの端子s1は省略する。
【0089】
図8において、受信導体11Xに接続されている容量Cxは、自己容量を示している。この自己容量Cxは、受信導体11Xのパターン容量と浮遊容量とを含み、指が受信導体11Xにタッチしているときには、そのタッチにより人体の容量分だけ増加することになる。
【0090】
なお、この実施形態では、自己容量測定期間TFssと、自己容量測定期間TFseとでは、全く同様の動作を行って、それぞれの期間において受信導体11Xの自己容量を検出するようにしている。したがって、以下に説明する自己容量測定動作は、自己容量測定期間TFssと、自己容量測定期間TFseとのいずれにおいても実行されるものである。
図9は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける制御回路204による信号処理回路31Aに対する制御の流れの一例を示すフローチャートである。この
図9では、主として、自己容量測定動作を実行するために、制御回路204が、信号処理回路31Aのスイッチ回路31a,31eの切替状態及びゲート回路31bの開閉状態を制御する動作を示すものである。
【0091】
前述もしたように、自己容量測定期間TFss、TFseでは、送信部20は非動作とされており、このため受信部30では、受信信号を処理する動作を行わず、以下に説明するように、制御回路204は、信号処理回路31Aにおいて上述のような電圧の切り替え制御を行い、その電圧の切り替え制御に基づく自己容量の測定を行う。
【0092】
なお、指タッチ検出実行期間TFmの長さに比べて、自己容量測定期間TFss、TFseの長さは短くてよい。この実施形態では、指タッチ検出実行期間TFmの長さは送信信号である直交符号(拡散符号)の47チップ分(1チップ分は拡散符号の1つの符号「1」または「0」の時間長分)の時間長とされるのに対して、自己容量測定期間TFss、TFseの長さは直交符号の1チップ程度の時間長とされる。
【0093】
図9に示すように、制御回路204は、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点を監視し(ステップS101)、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点となったと判別すると、以下に説明するような自己容量測定動作を行う。
【0094】
すなわち、まず、制御回路204は、切替制御信号SW1,SW2,SW3により、
図8(A)に示すように、スイッチ回路31eを端子s2を介して接地電位GND側に切り替え、スイッチ回路31aをオン、ゲート回路31bをオン(閉状態)とすることで、コンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとを接続する。これによって、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側が一時的に基準電圧Vrefにクランプされると共に、ゲート回路31bの他端側に接続されたコンデンサ回路31cの一端側が基準電圧Vrefにクランプされる(ステップS102)。
【0095】
次に、制御回路204は、切替制御信号SW1,SW2,SW3により、
図8(B)に示すように、ゲート回路31bをオン(閉状態)のままとすると共に、スイッチ回路31aをオフとし、また、スイッチ回路31eを端子s3側に切り替え、コンデンサ回路31cの、ゲート回路31bの他端側と接続された一端側とは反対側の他端を電源電圧Vddに設定する。これにより、コンデンサ回路31cの一端側は、電源電圧Vddにチャージアップされて、ゲート回路31b
を通じて、このゲート回路31bの他端への電荷が流れ出して外部の電極容量(自己容量)として蓄積される(ステップS103)。
【0096】
次に、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2により、
図8(C)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にすると共に、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D1+に変換し、そのデジタル信号D1+を一時保存する(ステップS104)。
【0097】
以上のステップS102〜ステップS104により得られたデジタル信号D1+から、自己容量Cxの検出ができることを次に説明する。
【0098】
ここで、コンデンサ回路31cの内部容量(浮遊容量を含む)をCoとする。そして、コンデンサ回路31cの一端とADC31dとの接続点、つまり、ADC31dの入力電圧をVcoとする。
【0099】
ステップS102で受信導体11X及びADC31dの入力端を基準電圧VrefにクランプしたときのADC31
dの入力電圧をVco(Be)とすると、この電圧Vco(Be)は、
図18の(式1)に示すように、電圧Vco(Be)=Vrefとなる。
【0100】
そして、ステップS103において、コンデンサ回路31cをチャージアップしたときのADC31
dの入力電圧をVco(Af)とすると、この電圧Vco(Af)は、
図18の(式2)に示すようになる。
【0101】
この時、コンデンサ回路31cには、スイッチ回路31eを接地電位GNDから電源電圧Vddに切り替えたときの電圧Vco(Be)と電圧Vco(Af)の差の電圧変化ΔVが保持される。このコンデンサ回路31cに保持される電圧変化ΔVは、
図18の(式3)のようになる。
【0102】
したがって、この(式3)に基づいて、自己容量Cxを、
図18の(式4)に示すようにして測定することができる。すなわち、ステップS104で得られるA−D変換値D1+から自己容量Cxを測定することができる。しかし、ステップS104で得られるA−D変換値D1+には、ADC31dで発生するオフセット分を含んだものとなっている。この実施形態では、このオフセット分を除去して、より正確な自己容量Cxが測定できるようにするために、次に示すステップS105〜ステップS107を実行する。
【0103】
すなわち、ステップS104の後、制御回路204は、切替制御信号SW1,SW2,SW3により、
図8(A)において、スイッチ回路31eを、点線で示すように、端子s3を介して電源電圧Vdd側に切り替え、スイッチ回路31aをオン、ゲート回路31bをオン(閉状態)とすることで、コンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとを接続する。これによって、これによって、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側が一時的に基準電圧Vrefにクランプされると共に、ゲート回路31bの他端側に接続されたコンデンサ回路31cの一端側が基準電圧Vrefにクランプされる(ステップS105)。
【0104】
次に、制御回路204は、切替制御信号SW1,SW2,SW3により、
図8(B)に示すように、ゲート回路31bをオン(閉状態)のままとすると共に、スイッチ回路31aをオフとし、また、スイッチ回路31eを、点線で示すように、端子s2を介して接地電位GND側に切り替え、コンデンサ回路31cの、ゲート回路31bの他端側と接続された一端側とは反対側の他端を接地電位GNDに設定する。これにより、コンデンサ回路31cの一端側を、接地電位GNDにチャージダウンする(ステップS106)。
【0105】
次に、制御回路204は、切替制御信号SW2により、
図8(C)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にすると共に、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D1−に変換し、そのデジタル信号D1−を一時保存する(ステップS107)。
【0106】
次に、制御回路204は、ステップS107の次には、デジタル信号D1+とデジタル信号D
1−との差を求める(ステップS108)。
【0107】
上記のステップS102〜ステップS104では、受信導体11Xの電圧を基準電圧Vrefにクランプした状態から、コンデンサ回路31cの他端を接地電位GNDから電源電圧Vddに切り替えた。これに対して、ステップS105〜ステップS107では、受信導体11Xの電圧を基準電圧Vrefにクランプした状態から、コンデンサ回路31cの他端を電源電圧Vddから接地電位GNDに切り替えている。したがって、ステップS105〜ステップS107においても、コンデンサ回路31cの他端に対して印加する電圧を、基準電圧Vrefに対して、同じ大きさの電圧変化ΔVを与えているが、その印加方向がステップS102〜ステップS104ではチャージアップ方向であり、ステップS10
5〜ステップS10
7ではその逆方向のチャージダウン方向となっている。
【0108】
そこで、デジタル信号D1+とデジタル信号D−との差をとると、2倍のレベルで自己容量が測定できる。そして、デジタル信号D1+とデジタル信号D
1−とには、同じADC31dのオフセット分が含まれているので、デジタル信号D1+とデジタル信号D
1−との減算演算を行うと、オフセット分はキャンセルされて、より正確な自己容量Cxを測定することができる。すなわち、ステップS108では、ADC31dで発生するオフセット分が除去されたより正確な自己容量Cxを測定できる。
【0109】
制御回路204は、測定された自己容量Cxに基づいて、指タッチ検出実行期間TFmでADC31dから得られた指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正するために使用される補正用信号を生成し、この補正用信号により、指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正する(ステップS109)。
【0110】
ADC31dにおける指タッチ検出結果についての感度変動は、
図18の(式5)のように表すことができる。そして、ADC31dからのデジタル信号については、
図18の(式6)に示すようにして、補正することができる。なお、(式5)及び(式6)において、Cx(Ini)は、指タッチなどにより変動する前の自己容量であり、ΔV(Ini)は、自己容量がCx(Ini)であるときの電圧変化ΔV(=Vco(Af)−Vco(Be))である。
【0111】
以上のようにして、上述の実施形態によれば、指示体による位置指示に対応した静電容量の変化をコンデンサ回路から電圧信号として検出するように構成した位置検出装置の信号処理回路において、指タッチ検出実行期間で得られた指タッチ検出信号を、それぞれの受信導体について測定した自己容量に対応して生成された補正用信号で基づいて補正するようにするので、指がタッチされた受信導体の自己容量が増加しても、指タッチの検出感度が変動するのを防止することができる。
【0112】
なお、上述の説明は、信号処理回路31が、電源電圧Vddの単一電源で駆動される場合であったが、信号処理回路31が、正負の電源電圧±Vddを用いる2電源で駆動される場合にも適用可能である。信号処理回路31が、正負の電源電圧±Vddを用いる2電源で駆動される場合には、基準電圧(Vref)は、正の電源電圧+Vddと負の電源電圧−Vddの中央値である接地電位を用いることが好ましい。そして、2電源の場合の上述の実施形態の基準電圧Vrefよりも所定値EVだけ高い電圧は、正の電源電圧+Vddとし、基準電圧Vrefよりも所定値EVだけ低い電圧は、負の電源電圧−Vddとすることが好ましい。このことは、後述する第2の実施形態及び第3の実施形態においても同様である。
【0113】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、信号処理回路31において、72本の受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれに対応する72個の信号処理回路の構成が、第1の実施形態と異なる。その他は、信号処理回路31が、電源電圧Vddの単一電源で駆動されることを含め、第1の実施形態と同様である。
【0114】
図10は、第2の実施形態における信号処理回路31の構成例を説明するための図である。
図10においては、第1の実施形態の場合と同一の構成部分には、同一参照符号を付してある。
【0115】
第2の実施形態においては、
図10に示すように、信号処理回路31は、72本の受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれに対応する72個の信号処理回路31B(1)〜31B(72)を備える。この72個の信号処理回路31B(1)〜31B(72)のそれぞれは同じ構成を有する。以下の説明においては、信号処理回路31B(1)〜31B(72)のそれぞれを特に区別して示す場合を除き、信号処理回路31B(1)〜31B(72)の一つを信号処理回路31Bと記載する。なお、信号処理回路31Bも、第1の実施形態の場合の信号処理回路31Aと同様に、この例では、1チップのICの構成とされている。
【0116】
図10に示すように、信号処理回路31Bは、クランプ回路を構成するスイッチ回路31aと、サンプリング用のゲート回路31bと、サンプリングされた電圧をホールドするためのコンデンサ回路31cと、ADC(Analog Digital Converter)31dと、自己容量測定のための電圧切替用のスイッチ回路31fとを備える。スイッチ回路31fは、前述の第1の実施形態におけるスイッチ回路31eと同様に、共通端子s0を3つの端子s1、s2、s3に切り替え接続することが可能な切替回路である。
【0117】
第2の実施形態では、コンデンサ回路31cの他端は、
図5に示した第1の実施形態の信号処理回路31Aとは異なり、基準電圧Vrefに設定される。そして、この第2の実施形態では、コンデンサ回路31cの一端とADC31dの入力端との接続点が、自己容量測定のための電圧切替用のスイッチ回路31fの共通端子s0に接続されている。そしてスイッチ回路31fの端子s1は遊端とされる。端子s2は、基準電圧Vrefよりも所定値EVだけ低い電圧、この例では接地電位GNDに設定される。端子s3は、基準電圧Vrefよりも所定値EVだけ高い電圧、この例では電源電圧Vddに設定される。前述した指タッチ検出実行期間TFm(
図3参照)においては、スイッチ回路31fは、常に、遊端とされている端子s1に切り替えられる。スイッチ回路31fの他の端子s2,s3は、後述するように、受信導体11Xの自己容量を測定する自己容量測定期間TFss,TFse(
図3参照)において用いられる。
【0118】
そして、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、電圧供給制御回路の機能を備える制御回路204から、スイッチ回路31aには切替制御信号SW1が、ゲート回路31bにはゲート制御信号SW2が、ADC31dには動作制御信号CTが、それぞれ供給される。そして、この第2の実施形態では、制御回路204から、スイッチ回路31fには切替制御信号SW4が供給される。
【0119】
この第2の実施形態における信号処理回路31Bの指タッチ検出実行期間TFmにおける動作は、上述した第1の実施形態
における信号処理回路31Aと同様であるので、その説明は省略する。
【0120】
[信号処理回路31Bの自己容量測定期間TFss、TFseにおける動作]
図11は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける信号処理回路31Bのスイッチ回路31a,31fの切替状態の遷移及びゲート回路31bの開閉状態の遷移を説明するための図である。
【0121】
図12は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける制御回路204による信号処理回路31Bに対する制御動作の流れの一例を示すフローチャートである。この
図12では、主として、自己容量測定動作を実行するために、制御回路204が、信号処理回路31Bのスイッチ回路31a,31fの切替状態及びゲート回路31bの開閉状態を制御する動作を示すものである。
【0122】
図12に示すように、制御回路204は、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点を監視し(ステップS201)、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点となったと判別すると、以下に説明するような自己容量測定動作を行う。
【0123】
すなわち、まず、制御回路204は、切替制御信号SW1
とSW4及びゲート制御信号SW
2により、
図11(A)に示すように、スイッチ回路31fを電源電圧Vdd側に切り替え、スイッチ回路31aをオン、ゲート回路31bをオフ(開状態)として、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を一時的に基準電圧Vrefにクランプすると共に、ゲート回路31bの他端が接続されるコンデンサ回路31cの一端側を、基準電圧Vrefとは異なる電圧である電源電圧Vddに設定する(ステップS202)。
【0124】
次に、制御回路204は、切替制御信号SW1
とSW4及びゲート制御信号SW
2により、
図11(B)に示すように、スイッチ回路31aをオフとし、また、スイッチ回路31fを遊端に切り替えると共に、ゲート回路31bをオン(閉状態)としてコンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとを接続する。すると、ゲート回路31bの一端と他端との間の電位差により、コンデンサ回路31cはディスチャージして、コンデンサ回路31cの一端側の電圧は受信導体11Xと同じ電圧になる(ステップS203)。なお、このディスチャージのとき、ゲート回路31bは、複数回開閉を繰り返して、コンデンサ回路31cからの電荷の移動を行うことで、コンデンサ回路31cについての必要なディスチャージが正確に行われるようにしてもよい。
【0125】
次に、制御回路204は、ゲート制御信号SW2により、
図11(C)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にすると共に、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D2+に変換し、そのデジタル信号D2+を一時保存する(ステップS204)。
【0126】
以上のステップS202〜ステップS204により得られたデジタル信号D
2+から、自己容量Cxの測定ができることを次に説明する。
【0127】
ステップS202でADC31dの入力端を電源電圧VddにクランプしたときのADC31aの入力電圧をVco(Be)とすると、この電圧Vco(Be)は、
図19の(式7)に示すように、電圧Vco(Be)=Vddとなる。
【0128】
そして、ステップS203において、コンデンサ回路31cをディスチャージしたときのADC31aの入力電圧をVco(Af)とすると、この電圧Vco(Af)は、
図19の(式8)に示すようになる。
【0129】
この時、コンデンサ回路31cには、電圧Vco(Be)と電圧Vco(Af)の差である電圧変化ΔVが保持される。このコンデンサ回路31cに保持されている電圧変化ΔVは、
図19の(式9)のようになる。
【0130】
したがって、この(式9)に基づいて、自己容量Cxを、
図19の(式10)に示すようにして測定することができる。すなわち、ステップS204で得られるA−D変換値D2+から自己容量Cxを測定することができる。しかし、ステップS204で得られるA−D変換値D
2+には、ADC31dで発生するオフセット分を含んだものとなっているので、この第2の実施形態においても、このオフセット分を除去して、より正確な自己容量Cxが測定できるようにするために、次に示すステップS205〜ステップS207を実行する。
【0131】
すなわち、ステップS204の後、制御回路204は、切替制御信号SW1
とSW4及びゲート制御信号SW
2により、
図11(A)において、スイッチ回路31fを、点線で示すように、接地電位GND側に切り替え、スイッチ回路31aをオン、ゲート回路31bをオフ(開状態)として、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を一時的に基準電圧Vrefにクランプすると共に、ゲート回路31bの他端が接続されるコンデンサ回路31cの一端側を、基準電圧Vrefとは異なる電圧である接地電位GNDに設定する(ステップS205)。
【0132】
次に、制御回路204は、切替制御信号SW1
とSW4及びゲート制御信号SW
2により、
図11(B)に示すように、スイッチ回路31aをオフとし、また、スイッチ回路31fを遊端側に切り替えると共に、ゲート回路31bをオン(閉状態)としてコンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとを接続する。すると、ゲート回路31bの一端と他端との間の電位差により、コンデンサ回路31cはチャージされるとともに、コンデンサ回路31cの一端側の電圧は受信導体11Xと同じ電圧になる(ステップS206)。
【0133】
次に、制御回路204は、ゲート制御信号SW2により、
図11(C)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にすると共に、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D2−に変換し、そのデジタル信号D2−を一時保存する(ステップS207)。
【0134】
次に、制御回路204は、ステップS207の次には、デジタル信号D2+とデジタル信号D2−との差を求めることで、オフセット分を除去した2倍のレベルの自己容量を得る(ステップS208)。
【0135】
制御回路204は、求めた自己容量Cxに基づいて、指タッチ検出実行期間TFmでADC31dから得られた指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正するために使用される補正用信号を生成し、この補正用信号により、指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正する(ステップS209)。
【0136】
ADC31dにおける指タッチ検出結果についての感度変動は、
図19の(式11)に示すように表すことができる。そして、ADC31dからのデジタル信号については、図
19の(式12)に示すようにして、補正することができる。
【0137】
この第2の実施形態においても、指タッチ検出実行期間TFmで得られた指タッチ検出信号を、それぞれの受信導体について測定した自己容量に対応して生成された補正用信号で補正するようにするので、指がタッチされた受信導体の自己容量が増加しても、指タッチの検出感度が変動するのを防止することができる。
【0138】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、信号処理回路31において、72本の受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれに対応する72個の信号処理回路の構成が、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。その他は、信号処理回路31が、電源電圧Vddの単一電源で駆動されることを含め、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。
【0139】
図13は、第3の実施形態における信号処理回路31の構成例を説明するための図である。
図13においては、第1の実施形態の場合と同一の構成部分には、同一参照符号を付してある。
【0140】
第3の実施形態においては、
図13に示すように、信号処理回路31は、72本の受信導体11X
1〜11X
72のそれぞれに対応する72個の信号処理回路31C(1)〜31C(72)を備える。この72個の信号処理回路31C(1)〜31C(72)のそれぞれは同じ構成を有する。以下の説明においては、信号処理回路31C(1)〜31C(72)のそれぞれを特に区別して示す場合を除き、信号処理回路31C(1)〜31C(72)の一つを信号処理回路31Cと記載する。なお、信号処理回路31Cも、第1の実施形態の場合の信号処理回路31Aと同様に、この例では、1チップのICの構成とされている。
【0141】
図13に示すように、信号処理回路31Cは、サンプリング用のゲート回路31bと、サンプリングされた電圧をホールドするためのコンデンサ回路31cと、ADC(Analog Digital Converter)31dと、電圧切替用のスイッチ回路31gを備える。自己容量測定のための電圧切替用のスイッチ回路31gは、指タッチ検出実行期間TFmにおいてクランプ回路を構成する機能も備える。
【0142】
このスイッチ回路31gは、共通端子s0を4つの端子s1、s2、s3、s4に切り替え接続することが可能な切替回路である。
【0143】
第3の実施形態では、コンデンサ回路31cの他端は、第2の実施形態の信号処理回路31Bと同様に、基準電圧Vrefに設定される。そして、この第3の実施形態では、スイッチ回路31aに代えて、スイッチ回路31gが接続される。すなわち、受信導体11Xとゲート回路31bとの接続端にスイッチ回路31gの共通端子s0が接続される。そして、スイッチ回路31gの端子s1は基準電圧Vrefに設定され、端子s2は、接地電位GNDに設定され、端子s3は、電源電圧Vddに設定され、端子s4は遊端とされる。
【0144】
指タッチ検出実行期間TFmにおいては、スイッチ回路31gは、遊端とされている端子s4と、基準電圧Vrefが設定されている端子s1とに切り替えられる。これは、前述の実施形態のスイッチ回路31aの指タッチ検出実行期間TFmにおける動作と同じである。すなわち、スイッチ回路31gは、指タッチ検出実行期間TFmにおいては、スイッチ回路31aとして働く。
【0145】
そして、自己容量測定期間TFss,TFseにおいては、スイッチ回路31gは、端子s1〜端子s4が切り替えに用いられて、後述するように、受信導体11Xの自己容量を測定するようにされる。
【0146】
そして、この第3の実施形態においても、電圧供給制御回路の機能を備える制御回路204から、ゲート回路31bにはゲート制御信号SW2が、ADC31dには動作制御信号CTが、それぞれ供給されると共に、スイッチ回路31gに切替制御信号SW5が供給される。
【0147】
この第3の実施形態における信号処理回路31Cの指タッチ検出実行期間TFmにおける動作は、上述した第1の実施形態
における信号処理回路31Aと同様であるので、その説明は省略する。
【0148】
[信号処理回路31Cの自己容量測定期間TFss、TFseにおける動作]
図14及び
図15は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける信号処理回路31Cのスイッチ回路31gの切替状態の遷移及びゲート回路31bの開閉状態の遷移を説明するための図である。
【0149】
図16は、自己容量測定期間TFss、TFseにおける制御回路204による信号処理回路31Cに対する制御動作の流れの一例を示すフローチャートである。この
図16では、主として、自己容量測定動作を実行するために、制御回路204が、信号処理回路31Cのスイッチ回路31gの切替状態及びゲート回路31bの開閉状態を制御する動作を示すものである。
【0150】
図16に示すように、制御回路204は、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点を監視し(ステップS301)、自己容量測定期間TFssまたはTFseの開始時点となったと判別すると、以下に説明するような自己容量測定動作を行う。
【0151】
すなわち、まず、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2
及び切替制御信号SW5により、
図14(A)に示すように、ゲート回路31bをオン(閉状態)として、スイッチ回路31gを基準電圧Vrefが設定されている端子s1に切り替え、受信導体11Xを基準電圧Vrefにクランプすると共に、コンデンサ回路31cの一端側の電圧も基準電圧Vrefにする(ステップS302)。すなわち、制御回路204によるゲート回路31b及びスイッチ回路31gの切替制御により、受信導体11Xがゲート回路31bを介してコンデンサ回路31cと接続された状態で、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を一時的に基準電圧Vrefに設定する。
【0152】
次に、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2により、
図14(B)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にした後、切替制御信号SW5により、
図14(C)に示すように、スイッチ回路31gを端子s2に切り替え、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を基準電圧Vrefとは異なる電圧である接地電位GNDに設定する(ステップS303)。
【0153】
次いで、制御回路204は、切替制御信号SW5により、
図15(D)に示すように、スイッチ回路31gを遊端とされている端子s4に切り替えた後、
ゲート制御信号SW2により、
図15(E)に示すように、ゲート回路31bをオン(閉状態)にする。すると、ゲート回路31bの一端と他端との間の電位差により、コンデンサ回路31cはディスチャージされて、コンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとが同じ電圧になる(ステップS304)。なお、このとき、コンデンサ回路31cのディスチャージが1回では所望のディスチャージが完了しない場合を考慮して、ゲート回路31bは、複数回開閉を繰り返して、コンデンサ回路31cをディスチャージするようにしてもよい。
【0154】
次に、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2により、
図15(F)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にする(ステップS305)。そして、制御回路204は、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D3−に変換し、そのデジタル信号D3−を一時保存する(ステップS306)。
【0155】
次に、ステップS306の後、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2
及び切替制御信号SW5により、
図14(A)に示す状態に戻す。すなわち、ゲート回路31bをオン(閉状態)とした後、スイッチ回路31gを基準電圧Vrefが設定されている端子s1に切り替えて、受信導体11Xを基準電圧Vrefにクランプすると共に、コンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとを接続して同じ電圧にする(ステップS307)。すなわち、制御回路204によるゲート回路31b及びスイッチ回路31gの切替制御により、受信導体11Xがゲート回路31bを介してコンデンサ回路31cと接続された状態で、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を一時的に基準電圧Vrefに設定する。
【0156】
次に、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2により、
図14(B)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にした後、切替制御信号SW5により、
図14(C)において、点線で示すように、スイッチ回路31gを端子s3に切り替え、受信導体11Xが接続されるゲート回路31bの一端側を基準電圧Vrefとは異なる電圧である電源電圧Vddに設定する(ステップS308)。
【0157】
次いで、制御回路204は、切替制御信号SW5により、
図15(D)に示すように、スイッチ回路31gを遊端とされている端子s4に切り替えた後、
ゲート制御信号SW2により、
図15(E)に示すように、ゲート回路31bをオン(閉状態)にする。すると、ゲート回路31bの一端と他端との間の電位差により、コンデンサ回路31cはチャージされ、コンデンサ回路31cの一端側と受信導体11Xとが同じ電圧になる(ステップS309)。なお、このとき、コンデンサ回路31cのチャージが1回では所望のチャージが完了しない場合を考慮して、ゲート回路31bは、複数回開閉を繰り返して、コンデンサ回路31cをチャージするようにしてもよい。
【0158】
次に、制御回路204は、
ゲート制御信号SW2により、
図15(F)に示すように、ゲート回路31bをオフ(開状態)にする(ステップS310)。そして、制御回路204は、ADC31dを動作制御信号CTにより動作状態に制御して、ADC31dにより、コンデンサ回路31cに保持されている電圧をデジタル信号D3+に変換し、そのデジタル信号D3+を一時保存する(ステップS311)。
【0159】
次に、制御回路204は、ステップS311の次には、デジタル信号D3−とデジタル信号D3+との差を求め、オフセット分を除去した2倍のレベルの自己容量を得る(ステップS312)。
【0160】
制御回路204は、求めた自己容量Cxに基づいて、指タッチ検出実行期間TFmでADC31dから得られた指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正するために使用される補正用信号を生成し、この補正用信号により、指タッチの検出結果(ADC31dからの出力信号)を補正する(ステップS313)。
【0161】
この第3の実施形態においても、指タッチ検出実行期間で得られた指タッチ検出信号を、それぞれの受信導体について測定した自己容量に対応して生成された補正用信号で補正するようにするので、指がタッチされた受信導体の自己容量が増加しても、指タッチの検出感度が変動するのを防止することができる。
【0162】
[他の実施形態または変形例]
なお、上述の実施形態では、自己容量測定期間TFss、TFseは、指タッチ検出実行期間TFmの直前及び直後の期間に配置するようにしたが、
図17(A),(B)に示すように、指タッチ検出実行期間TFmの直前または直後の期間のいずれか一方にのみ配置するようにしてもよい。
【0163】
この場合に、
図17(A)に示す指タッチ検出実行期間TFmの直前の自己容量測定期間TFssで測定された自己容量に対応して生成された信号は、その直後の指タッチ検出実行期間TFmで得られる指タッチの検出結果についての補正用信号とすることができる。また、
図17(B)に示す指タッチ検出実行期間TFmの直後の自己容量測定期間TFseで測定された自己容量に対応して生成された信号は、その直前の指タッチ検出実行期間TFmで得られた指タッチの検出結果の補正用信号とすることもできるし、後の指タッチ検出期間TFにおける指タッチの検出結果の補正用信号とすることもできる。
【0164】
また、
図17(C)に示すように、指タッチ検出実行期間TFmの途中の期間に、自己容量測定期間TFsmを設けるようにしてもよい。この場合には、指タッチ検出実行期間TFmは、自己容量測定期間TFsmの前の期間TFmaと、自己容量測定期間TFsmの後の期間TFmaとに分割されることになる。
【0165】
また、
図17(D)に示すように、指タッチ検出実行期間TFmの途中の期間に、複数の自己容量測定期間TFsm1及びTFsm2を設けるようにしてもよい。この場合には、自己容量測定期間TFsm1及びTFsm2で測定された自己容量の平均値に対応した信号を用いて、ADC31dのデジタル値の補正をするようにする。なお、指タッチ検出実行期間TFmは、期間TFm1と、期間TFm2と、期間TFm3とに分割されることになる。
【0166】
また、上述の実施形態では、自己容量測定期間TFss,TFseにおいては、基準電圧Vrefから接地電位GNDにして電圧変化(ΔV−)を得ると共に、基準電圧Vrefから電源電圧Vddにして、電圧変化(ΔV+)を得て、その差電圧の差分を求めることで、ADC31dにおけるオフセット分を除去するようにした。
【0167】
しかし、自己容量測定期間TFss,TFseにおいては、基準電圧Vrefから接地電位GNDにして電圧変化(ΔV−)を得る処理と、基準電圧Vrefから電源電圧Vddにして、電圧変化(ΔV+)を得る処理とのいずれか一方を行うようにしてもよい。その場合に、電圧変化ΔVは、基準電圧Vrefを基準にした変化とする必要はなく、任意の所定の電圧から、当該所定の電圧とは異なる任意の電圧に変化させるようにしても勿論よい。例えば、接地電位GNDから電源電圧Vddに電圧を変化させたり、あるいはその逆の電源電圧Vddから接地電位GNDに電圧を変化させたりしてもよい。
【0168】
また、電圧変化(ΔV−)を得ると共に電圧変化(ΔV+)を得て、その差分電圧を求めることでADC31dにおけるオフセット分を除去する場合に、上述の実施形態では、電圧変化ΔVは、基準電圧Vref=(Vdd−GND)/2を基準にして、接地電位GNDと、電源電圧Vddとに電圧を切り替えるようにした。しかし、電圧変化(ΔV−)と、電圧変化(ΔV+)を得る場合の基準の電圧は、上記基準電圧Vrefとする必要はなく、任意の電圧でよい。また、基準の電圧に対して、電圧変化(ΔV−)を得る場合と、電圧変化(ΔV+)を得る場合とで変化させる電圧も、同じ絶対値の電圧であれば、任意の電圧値で良い。
【0169】
また、電圧変化(ΔV−)と、電圧変化(ΔV+)を得る場合に、受信導体11X側の電位と、コンデンサ回路31cのADCとの接続端である一端側の電圧のいずれか一方を切り替えるようにしたが、受信導体11X側の電圧と、コンデンサ回路31cの一端側の電圧の両方を同期して切り替えるようにしてもよい。
【0170】
また、指タッチ検出期間TF内に2つの自己容量測定期間を設ける場合において、その一方の期間で基準電圧Vrefから接地電位GNDにして電圧変化(ΔV−)を得る処理を行い、他方の期間で基準電圧Vrefから電源電圧Vddにして、電圧変化(ΔV+)を得る処理を行い、両期間で得た電圧変化の差分((ΔV−)−(ΔV+))を算出することで、ADC31dのオフセットを除去するようにしてもよい。
【0171】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態では、受信導体11X側の電圧を所定の電圧に固定すると共に、
電圧ホールド用のコンデンサ回路側の電圧を切り替えることで自己容量を測定するようにした。また、第3の実施形態では、電圧ホールド用のコンデンサ回路側の電圧を固定すると共に、受信導体11X側の電圧を切り替えることで、自己容量を測定するようにした。しかし、受信導体11X側の電圧と電圧ホールド用のコンデンサ回路側の電圧との両方を切り替えるようにしても、自己容量を測定することも可能である。
【0172】
なお、上述の実施形態では、指タッチ検出期間TFにおいてのみ、自己容量を測定し、その測定結果によりタッチ検出の感度の変動を防止するようにしたが、ペン指示検出用期間TPにおいても同様にして、自己容量測定期間を設けて、測定した自己容量に対応して生成された信号に基づいて、アクティブ静電ペンによるペン指示の検出結果について補正するようにすることもできる。そして、アクティブ静電ペンによるペン指示の際には、アクティブ静電ペン6を保持した使用者の手や、他方の手が、センサ部100に近づいたり、タッチしたりすることで、センサ部100の受信導体11Xの自己容量が増加することがあるが、その場合にも、指タッチ検出期間TFと同様にして、ペン指示の検出結果に対応した信号を補正することができるものである。
【0173】
なお、上述の実施形態では、位置検出装置の制御装置部200では指タッチ検出回路202として、静電容量の変化に基づいて検出する指示体は、指としたが、指に限定される訳ではない。例えば、ペンの筐体を導体で構成した、いわゆるパッシブ静電ペンを指示体とすることもできることは言うまでもない。
【0174】
また、電圧変化ΔVに応じてゲート回路31bを介しての受信導体とコンデンサ回路31cとの間で電荷を移動させる動作は、前述したように、
ゲート回路31bを複数回オン、オフすることで、複数回行ってもよい。
【0175】
また、変換値D1+、D2+、D3+や、変換値D1−、D2−、D3−の検出動作は複数回繰り返して行い、その複数回の検出動作で得られた結果から、ADC31dのための補正用信号を生成するようしてもよく、例えば、複数回の検出動作で得られた結果の平均値から補正用信号を生成するようにしてもよい。
【0176】
また、上述の実施形態では、複数個の送信導体と複数個の受信導体とが交差して配置された位置検出センサの場合について説明したが、いわゆる短冊型の複数の導体が、互いに平行となる状態で、一方向に配列された位置検出センサの場合にも、この発明は、適用可能である。この場合も、指示器は指やパッシブ静電ペンであってもよいし、アクティブ静電ペンであってもよいことは言うまでもない。
【0177】
なお、上述の実施形態では、位置検出センサの受信導体の自己容量に対応して生成された信号による指示体の指示位置の検出信号の補正は、ADC31dで変換されたデジタル信号において行うようにしたが、ADC31dの入力側のアナログ信号の段階で行うようにすることも勿論可能である。
【0178】
なお、上述したこの発明の説明においては、自己容量の測定という文言を使用したが、この自己容量の測定の文言は、受信導体の自己容量Cxそれ自体を求めることを目的とした処理を意味するものではないことは言うまでもない。