(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240567
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】エレベータ制御電源監視装置及びエレベータ制御電源監視方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/34 20060101AFI20171120BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B66B1/34 A
B66B5/00 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-130662(P2014-130662)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-8123(P2016-8123A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藪内 達志
(72)【発明者】
【氏名】星野 孝道
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷部 潤
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岩本 晃
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/113401(WO,A1)
【文献】
特開2013−014409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの制御盤に設けられた少なくとも2つ以上の独立制御電源と、
前記独立制御電源のうち一の独立制御電源に接続され、前記独立制御電源のうち他の独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記他の独立制御電源の監視結果を出力する一の監視回路と、
前記独立制御電源のうち他の独立制御電源に接続され、前記一の独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記一の独立制御電源の監視結果を出力する他の監視回路と、
前記他の独立制御電源から電源が供給され、前記各独立制御電源の電圧の監視結果に基づいて、前記エレベータを正常運転させるための制御情報を出力するエレベータ制御回路と、
前記一の独立制御電源から電源が供給され、前記各独立制御電源の電圧の監視結果及び前記エレベータ制御回路からの制御情報に基づいて、前記エレベータの動力電源を投入または遮断するエレベータ動力電源制御回路と、
を備えることを特徴とする、エレベータ制御電源監視装置。
【請求項2】
前記一又は他の監視回路によりいずれかの前記独立制御電源の異常が検出されて、前記エレベータ動力電源制御回路により前記エレベータの動力電源が遮断されて、前記エレベータが停止した後に、
前記一又は他の監視回路は、前記独立制御電源の監視を継続する
ことを特徴とする、請求項1に記載のエレベータ制御電源監視装置。
【請求項3】
前記一又は他の監視回路によりいずれかの前記独立制御電源の異常が検出されて前記エレベータが停止した後に、前記一又は他の監視回路により前記独立制御電源が正常になったことが検出された場合に、
前記エレベータ制御回路は、前記エレベータ動力電源制御回路に前記エレベータの動力電源を投入させて前記エレベータを再起動させる
ことを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ制御電源監視装置。
【請求項4】
前記エレベータ動力電源制御回路により前記エレベータが再起動された後に、前記一又は他の監視回路によりいずれかの前記独立制御電源の異常が検出されなかった場合に、
前記エレベータ制御回路は、前記エレベータを最寄階で着床させるための制御情報を前記エレベータ動力電源制御回路に出力する
ことを特徴とする、請求項3に記載のエレベータ制御電源監視装置。
【請求項5】
前記一又は他の監視回路によりいずれかの前記独立制御電源の異常が検出されて前記エレベータが停止した後に、前記一又は他の監視回路によりいずれかの前記独立制御電源の異常が検出された場合に、
前記エレベータ制御回路は、前記エレベータ停止後の不稼働時間をタイマでカウントする
ことを特徴とする、請求項2に記載のエレベータ制御電源監視装置。
【請求項6】
前記タイマのカウントが所定時間以上であった場合に、
前記エレベータ制御回路は、前記エレベータの動力電源を遮断させて前記エレベータを停止させるための制御情報を前記エレベータ動力電源制御回路に出力し、前記一又は他の監視回路による前記独立制御電源の監視を停止する
ことを特徴とする、請求項5に記載のエレベータ制御電源監視装置。
【請求項7】
エレベータの制御盤に設けられた少なくとも2つ以上の独立制御電源と、前記独立制御電源のうち一の独立制御電源に接続され、前記独立制御電源のうち他の独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記他の独立制御電源の監視結果を出力する一の監視回路と、前記独立制御電源のうち他の独立制御電源に接続され、各独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記一の独立制御電源の監視結果を出力する他の監視回路と、前記他の独立制御電源から電源が供給され、エレベータの運転を制御するエレベータ制御回路と、前記一の独立制御電源から電源が供給され、エレベータの動力電源を投入または遮断するエレベータ動力電源制御回路と、を備えたエレベータ制御電源監視装置におけるエレベータ制御電源監視方法であって、
前記一の監視回路が前記他の独立制御電源を監視する一方、前記他の監視回路が前記一の独立制御電源を監視するステップと、
前記各独立制御電源の監視結果を前記エレベータ制御回路及び前記エレベータ動力電源制御回路に出力するステップと、
前記エレベータ制御回路が、前記各独立制御電源の電圧の監視結果に基づいて、前記エレベータを正常運転させるための制御情報を出力するステップと、
前記エレベータ動力電源制御回路が、前記各独立制御電源の電圧の監視結果及び前記エレベータ制御回路からの制御情報に基づいて、前記エレベータの動力電源を投入または遮断するステップと、
を含むことを特徴とする、エレベータ制御電源監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ制御電源監視装置及びエレベータ制御電源監視方法に関し、エレベータ制御電源の状態を監視するエレベータ制御電源監視装置及びエレベータ制御電源監視方法に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータを制御するマイコンの電源低下やその周辺回路の制御電源の有無を検出することにより、エレベータ制御電源の状態を監視して、エレベータの運転を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−256992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、上記したように、エレベータを制御するマイコンの電源低下は監視しているが、電源上昇については監視していないため、電源回路の故障などにより、過大な制御電源電圧でエレベータの制御回路を継続運転させてしまう恐れがあった。
【0005】
また、これら電源電圧の低下は、一つの制御電源により異常検出するため、監視回路の電源が過渡となった状態で回路動作をさせることとなり、エレベータの制御回路の動作が不安定になりやすい。また、マイコンが介在しないハード回路のみで電源電圧の異常を検出する構成である場合には、電源電圧が正常値に戻った後に、エレベータを安全に再起動できるかどうかの判断が困難となるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、エレベータを制御するマイコンの電源の低下または上昇を検出した場合に、エレベータ制御回路に過大な制御電圧を印加させない構成とすることが可能なエレベータ制御電源監視装置及びエレベータ制御電源監視方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために本発明においては、エレベータの制御盤に設けられた少なくとも2つ以上の独立制御電源と、
前記独立制御電源のうち一の独立制御電源に接続
され、
前記独立制御電源のうち他の独立制御電源の電圧の低下または上昇
を監視して、前記
他の独立制御電源の監視結果を出力する
一の監視回路と、
前記独立制御電源のうち他の独立制御電源に接続され、前記一の独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記一の独立制御電源の監視結果を出力する他の監視回路と、前記
他の独立制御電源から電源
が供給され、前記
各独立制御電源の電圧の監視結果に基づいて、前記エレベータを正常運転させるための制御情報を出力するエレベータ制御回路と、前記
一の独立制御電源から電源
が供給され、前記
各独立制御電源の電圧の監視結果及び前記エレベータ制御回路からの制御情報に基づいて、前記エレベータの動力電源を投入または遮断するエレベータ動力電源制御回路と、を備えることを特徴とする、エレベータ制御電源監視装置が提供される。
【0008】
かかる課題を解決するために本発明においては、エレベータの制御盤に設けられた少なくとも2つ以上の独立制御電源と、
前記独立制御電源のうち一の独立制御電源に接続
され、
前記独立制御電源のうち他の独立制御電源の電圧の低下または上昇
を監視して、前記
他の独立制御電源の監視結果を出力する
一の監視回路と、
前記独立制御電源のうち他の独立制御電源に接続され、各独立制御電源の電圧の低下または上昇を監視して、前記一の独立制御電源の監視結果を出力する他の監視回路と、前記
他の独立制御電源から電源
が供給され、エレベータの運転を制御するエレベータ制御回路と、前記
一の独立制御電源から電源
が供給され、エレベータの動力電源を投入または遮断するエレベータ動力電源制御回路と、を備えたエレベータ制御電源監視装置におけるエレベータ制御電源監視方法であって、前記
一の監視回路が前記
他の独立制御電源を監視する
一方、前記他の監視回路が前記一の独立制御電源を監視するステップと、前記各独立制御電源の監視結果を前記エレベータ制御回路及び前記エレベータ動力電源制御回路に出力するステップと、前記エレベータ制御回路が、前記
各独立制御電源の電圧の監視結果に基づいて、
前記エレベータを正常運転さ
せるための制御情報を出力するステップと、前記エレベータ動力電源制御回路が、前記
各独立制御電源の電圧の監視結果及び前記エレベータ制御回路からの制御情報に基づいて、前記エレベータの動力電源を投入または遮断するステップと、を含むことを特徴とする、エレベータ制御電源監視方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源の低下または上昇を検出した場合に、エレベータ制御回路に過大な制御電圧を印加させない構成として、制御電源が安定した状態でエレベータを運転させて、安全を確保したエレベータを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ制御電源監視装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態にかかるエレベータ制御電源監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)本実施の形態の概要
従来、エレベータを制御するマイコンの電源電圧の低下または上昇は、1つの制御電源により監視していた。このとき、電源電圧が低下または上昇すると、監視回路の電源が過度となった状態で回路動作をさせることとなり、エレベータの制御回路の動作が不安定になりやすい。
【0013】
そこで、本実施の形態では、独立した二つの電源を制御盤に設け、それぞれに監視回路を設けて相互に電源電圧を監視する。これにより、監視回路の電源が過渡の状態のまま監視しないようにすることができ、監視回路による安定した検出動作を提供することができる。
【0014】
また、マイコンを介在させずにハード回路のみで電源電圧の異常を検出する場合には、電源電圧が正常値に戻った後に、エレベータを安全に再起動できるかどうかの判断が困難となる。例えば、タイマにより電源電圧の異常を検出する場合には、電源電圧が1秒程度の短時間で急下降して急上昇する場合は、エラーとせずにノイズとして無視する構成としている。
【0015】
しかし、電源電圧が急降下して急上昇すると、監視回路としての機能が喪失されて、エレベータの制御回路の動作が不安定となってしまう可能性がある。さらに、タイマで電源電圧の異常を検出している場合には、電源電圧の急な変化を吸収してしまうため、どのようなエラーが発生したかを判断することができない。
【0016】
そこで、本実施の形態では、エレベータを制御するマイコンの電源低下だけでなく、電源上昇も監視し、必要に応じてエレベータ動力電源制御回路を遮断したり、異常を検出したことをエレベータ制御回路に出力することで、制御回路に過大な制御電圧を印加させずに安全な回路動作を確保するものである。
【0017】
(2)エレベータ制御電源監視装置の構成
次に、
図1を参照してエレベータ制御電源監視装置の構成について説明する。
図1に示すように、エレベータ制御電源監視装置は、第1の独立制御電源101から電源を供給する第1の監視回路103と、第2の独立制御電源102から電源を供給する第2の監視回路104と、制御マイコン105を含むエレベータ制御回路106と、エレベータ動力電源制御回路107から構成される。
【0018】
第1の独立制御電源101は、エレベータ動力電源制御回路107の電源108として使用される電源である。第1の監視回路103は、第1の独立制御電源101の電源をエレベータ動力電源制御回路107に供給し、かつ、第2の独立制御電源102の出力電源電圧を監視する。
【0019】
第1の監視回路103は、第2の独立制御電源102の出力電源電圧を監視した結果を含む電源状態信号110を、エレベータ制御回路106へ出力するとともに、エレベータ動力電源制御回路107へ出力する。第2の独立制御電源102の出力電源電圧を監視した結果、第2の独立制御電源102の電源異常を検出した場合には、エレベータ動力電源出力114を遮断する。
【0020】
第2の独立制御電源102は、エレベータ制御回路106の電源109として使用される電源である。第2の監視回路104は、第2の独立制御電源102の電源をエレベータ動力電源制御回路107に供給し、かつ、第1の独立制御電源101の出力電源電圧を監視する。
【0021】
第2の監視回路104は、第1の独立制御電源101の出力電源電圧を監視した結果を含む電源状態信号111を、エレベータ制御回路106へ出力するとともに、エレベータ動力電源制御回路107へ出力する。第1の独立制御電源101の出力電源電圧を監視した結果、第1の独立制御電源101の電源異常を検出した場合には、エレベータ動力電源出力114を遮断する。
【0022】
エレベータ動力電源制御回路107は、第1の監視回路103からの電源状態信号110と、制御マイコン105を含むエレベータ制御回路106の出力とが、両方ともオンの場合のみ片方の接点をオンする。また、第2の監視回路104からの電源状態信号111と、制御マイコン105を含むエレベータ制御回路106の出力とが、両方ともオンの場合のみもう一方の接点をオンする。
【0023】
なお、本実施の形態では、2つの独立制御電源と、2つの独立制御電源を相互に監視する2つの監視回路によりエレベータ制御電源監視装置を構成しているが、かかる例に限定されない。例えば、2つ以上の独立制御電源と、2つ以上の監視回路を用いることにより、2つの独立制御電源が異常となった場合に、エレベータの可動を継続することが可能となるなど、より安全性の高いエレベータを提供することが可能となる。
【0024】
(3)エレベータ制御電源監視処理の詳細
次に、本実施の形態にかかるエレベータ制御電源監視処理の詳細について説明する。
図2は、エレベータ制御電源監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【0025】
図2に示すように、まず、監視回路にて、電源電圧を監視する(S201)。具体的に、第1の監視回路103は、第2の独立制御電源102から出力される電源電圧を監視し、第2の監視回路104は、第1の独立制御電源101から出力される電源電圧を監視する。
【0026】
そして、第1の監視回路103は、監視した結果を含む電源状態信号110をエレベータ制御回路106及びエレベータ動力電源制御回路107に出力する。また、第2の監視回路104は、監視した結果を含む電源状態信号111をエレベータ制御回路106及びエレベータ動力電源制御回路107に出力する。
【0027】
そして、制御マイコン105は、第1の独立制御電源101の出力電圧が異常かを判定する(S202)。ステップS202において、出力電圧が異常である場合とは、例えば、出力電圧が異常値を示している場合や、出力電圧が許容範囲を超えて短時間で急上昇したり急下降したりしている場合などを含む。
【0028】
ステップS202において、第1の独立制御電源101の出力電圧が異常であると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータを停止させる(S204)。具体的に、制御マイコン105は、電圧の上昇や低下といった異常を検出した場合には、エレベータ動力電源制御回路107の制御接点の片方をオフし、エレベータ動力電源出力112を止めてエレベータを停止する。
【0029】
一方、ステップS202において、第1の独立制御電源101の出力電圧が異常ではない、すなわち正常である場合には、制御マイコン105は、第2の独立制御電源102の出力電圧が異常かを判定する(S203)。
【0030】
ステップS203において、第2の独立制御電源102が異常であると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータを停止させる(S204)。具体的に、制御マイコン105は、電圧の上昇や低下といった異常を検出した場合には、エレベータ動力電源制御回路107の制御接点のもう一方をオフし、エレベータ動力電源出力113を止めてエレベータを停止する。
【0031】
一方、ステップS204において、第2の独立制御電源102が異常ではない、すなわち、正常である場合には、制御マイコン105は、電源電圧は正常であると判断して、ステップS201に戻り、電源電圧の監視を続ける。
【0032】
続いて、制御マイコン105は、第1の独立制御電源101の異常が継続しているかを判定する(S205)。ステップS205において、第1の独立制御電源101の異常が継続していると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータの停止状態を継続させて、エレベータ不稼働のタイマをカウントアップする(S211)。
【0033】
一方、ステップS205において、第1の独立制御電源101の異常が継続していない、すなわち、第1の独立制御電源101が正常であると判定された場合には、制御マイコン105は、第2の独立制御電源102の異常が継続しているかを判定する(S206)。
【0034】
ステップS206において、第2の独立制御電源102の異常が継続していると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータの停止状態を継続させて、エレベータ不稼働のタイマをカウントアップする(S211)。
【0035】
一方、ステップS206において、第2の独立制御電源102の異常が継続していない、すなわち、第2の独立制御電源102が正常であると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータ動力電源制御回路107の2つの制御接点の両方をオンにして、エレベータ動力電源出力114を供給してエレベータを再起動する(S207)。
【0036】
そして、制御マイコン105は、ステップS207でエレベータを再起動した後、再度、第1の独立制御電源101が異常かを判定する(S208)。
【0037】
ステップS208において、第1の独立制御電源101が異常であると判定された場合、すなわち、第1の独立制御電源101の電圧が上昇したり低下したりしている場合には、制御マイコン105は、エレベータを停止させて、エレベータ不稼働のタイマをカウントアップする(S211)。
【0038】
一方、ステップS208において、第1の独立制御電源101が異常ではない、すなわち、正常であると判定された場合には、制御マイコン105は、第2の独立制御電源が異常化を判定する(S209)。
【0039】
ステップS209において、第2の独立制御電源102が異常であると判定された場合、すなわち、第2の独立制御電源102の電圧が上昇したり低下したりしている場合には、制御マイコン105は、エレベータを停止させて、エレベータ不稼働のタイマをカウントアップする(S211)。
【0040】
一方、ステップS209において、第2の独立制御電源102が異常ではない、すなわち、正常であると判定された場合には、制御マイコン105は、エレベータが最寄階に着床するまで運転を継続させて、最寄階に着床して乗客がエレベータから降車したことをセンサ(図示せず)などで確認した後、エレベータ制御回路106からエレベータ動力電源制御回路107に停止信号を出力する。そして、制御マイコン105は、エレベータ動力電源制御回路107の制御接点をオフにして、エレベータ動力電源出力114の出力を停止して、エレベータを休止する。
【0041】
ステップS211において、制御マイコン105は、エレベータを停止させた後に、電源異常によりエレベータが復旧しない場合には、エレベータ不稼働状態として当該時間からタイマを起動してタイマカウントする。そして、制御マイコン105は、カウント時間が5秒以上継続しているかを判定する(S212)。
【0042】
ステップS212において、カウント時間が5秒以上継続していると判定された場合には、エレベータが正常に動作できないと判断して、制御マイコン105は、エレベータを制止させる(S213)。ステップS213において、制御マイコン105は、エレベータを制止させるとともに、第1の監視回路103及び第2の監視回路104による第1の独立制御電源101及び第2の独立制御電源102の監視も停止させる。
【0043】
一方、ステップS212において、カウント時間が5秒以上継続していないと判定された場合には、制御マイコン105は、再度ステップS205以降の処理を繰り返す。すなわち、エレベータを停止させた状態のまま、第1の制御電源101及び第2の制御電源102の電源状態の監視を継続する。
【0044】
このように、ステップS204において、電源異常が発生してエレベータを一旦停止させた後にエレベータを再起動させた場合には、第1の独立制御電源101または第2の独立制御電源102が、再び不安定な状態となる可能性がある。そこで、エレベータを正規同させた後に第1の独立制御電源101及び第2の独立制御電源102が正常である場合には、エレベータを最寄階まで稼働させて、乗客を乗りかごから降ろした後にエレベータを停止させる。
【0045】
例えば、制御マイコン105の判断をせずに、タイマのみでエレベータの可動や停止を判断する場合には、どのような状況でエレベータが停止したのか、再起動したのかがわからず、安全なエレベータの稼働を確保することができない。
【0046】
しかし、本実施の形態によれば、2つの独立した制御電源に対して2つの監視回路で電源電圧を相互に監視することにより、2つの制御電源の異常の状態に応じて、エレベータ制御回路106やエレベータ動力電源制御回路107に対して適切な信号を出力することができる。このように、制御マイコンを介在しないハード回路と、マイコン回路の両方の信号で、エレベータの動力電源を制御している。
【0047】
(4)本実施の形態の効果
以上説明したように本発明の実施の形態によれば、独立した電源に対する監視回路により、電源電圧の上昇、または低下を相互に監視して、その異常の状態に応じてエレベータ制御回路及びエレベータ動力電源制御回路に対し信号出力し、マイコンを介在しないハード回路及びマイコン回路の両方の信号でエレベータの動力電源を制御することにより、制御電源が安定した状態でエレベータを運転でき、より安全に利用可能なエレベータを乗客に供給することができる。
【符号の説明】
【0048】
101 第1の独立制御電源
102 第2の独立制御電源
103 第1の監視回路
104 第2の監視回路
105 制御マイコン
106 エレベータ制御回路
107 エレベータ動力電源制御回路