(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材は上面のシート前側の端部で前記ウェビングを支持可能とされ、前記支持部材のシート左右方向の端部のうち前記乗員側の端部に前記支持部材の上面におけるシート前側の端部よりもシート上側又はシート前側へ突出された突出部が設けられ、前記ウェビングが前記乗員の身体に装着される際に、前記ウェビングが前記突出部を越えて、前記支持部材による前記ウェビングの支持が解除される請求項1から請求項3の何れか1項に記載のシートベルト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、ウェビングが支持部材によって挟まれることを防止又は抑制できるシートベルト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のシートベルト装置は、車両用のシートに着座した乗員の身体に装着されるウェビングと、前記ウェビングを支持すると共にシート前側へ移動されることによって前記ウェビングをシート前側へ移動させ、前記乗員の身体への前記ウェビングの装着状態では前記ウェビングの支持を解除可能な支持部材と、
中心軸線が前記支持部材のシート左右方向の中央よりも端部側に設けられる棒状とされて前記支持部材のシート後側に設けられると共に、伸縮されることによって前記支持部材が移動され、前記支持部材による支持が解除された前記ウェビングが前記支持部材におけるシート左右方向の中央よりも端部側で係合される係合部材と、を備えている。
【0006】
請求項1に記載のシートベルト装置では、支持部材による支持が解除されたウェビングが支持部材のシート後側で係合部材に係合される。ウェビングは、支持部材のシート左右方向の中央よりも端部側で係合部材に係合されるため、支持部材がシート後側へ移動された際には、ウェビングが支持部材のシート左右方向の中央側に位置する場合よりも、支持部材のシート左右方向側の端部がウェビングの側方を通過し易い。これによって、ウェビングが支持部材によって挟まれることを防止又は抑制できる。
【0008】
また、本シートベルト装置では、係合部材は、中心軸線が支持部材のシート左右方向の中央よりも端部側に設けられる棒状とされるため、ウェビングは支持部材のシート左右方向の中央よりも端部側で係合部材に係合できる。
【0011】
請求項
2に記載のシートベルト装置は、車両用のシートに着座した乗員の身体に装着されるウェビングと、前記ウェビングを支持すると共にシート前側へ移動されることによって前記ウェビングをシート前側へ移動させ、前記乗員の身体への前記ウェビングの装着状態では前記ウェビングの支持を解除可能な支持部材と、前記支持部材のシート後側に設けられて、前記支持部材による支持が解除された前記ウェビングが係合可能とされると共に、前記支持部材と共に移動され、シート後側への移動によって前記ウェビングを前記支持部材のシート左右方向の端部側へ誘導する誘導部材と、を備えている。
【0012】
請求項
2に記載のシートベルト装置では、支持部材のシート後側に設けられた誘導部材は、支持部材による支持が解除されたウェビングが係合可能とされ、ウェビングが誘導部材に係合され、更に、誘導部材が支持部材と共にシート後側へ移動されることによって、ウェビングが誘導部材によって支持部材のシート左右方向の端部側へ誘導される。これによって、支持部材がシート後側へ移動された際には、ウェビングが支持部材のシート左右方向の中央側に位置する場合よりも、支持部材のシート左右方向の端部がウェビングの側方を通過し易い。これによって、ウェビングが支持部材によって挟まれることを防止又は抑制できる。
【0013】
請求項
3に記載のシートベルト装置は、請求項
2に記載のシートベルト装置において、前記誘導部材のシート左右方向の少なくとも一方の端部は、シート前側へ向けて前記支持部材におけるシート左右方向の少なくとも一方の端部に接近されている。
【0014】
請求項
3に記載のシートベルト装置では、誘導部材のシート左右方向の少なくとも一方の端部は、シート前側へ向けて支持部材におけるシート左右方向の少なくとも一方の端部に接近されている。このため、誘導部材が支持部材と共にシート後側へ移動されることによって、誘導部材に係合されたウェビングを支持部材のシート左右方向の端部側へ誘導できる。
【0015】
請求項
4に記載のシートベルト装置は、請求項1から請求項
3の何れか1項に記載のシートベルト装置において、前記支持部材は上面のシート前側の端部で前記ウェビングを支持可能とされ、前記支持部材のシート左右方向の端部のうち前記乗員側の端部に前記支持部材の上面におけるシート前側の端部よりもシート上側又はシート前側へ突出された突出部が設けられ、前記ウェビングが前記乗員の身体に装着される際に、前記ウェビングが前記突出部を越えて、前記支持部材による前記ウェビングの支持が解除される。
【0016】
請求項
4に記載のシートベルト装置では、支持部材の上面におけるシート前側の端部でウェビングを支持可能とされ、支持部材のシート左右方向の端部のうち乗員側の端部に上面におけるシート前側の端部よりもシート上側又はシート前側へ突出された突出部が設けられる。このため、支持部材が前方へ移動される際にウェビングが突出部を越えて支持部材によるウェビングの支持が解除されることを防止又は抑制できる。これによって、支持部材によるウェビングの支持部分を支持部材と共にシート前側へ移動させることができる。
【0017】
また、ウェビングが乗員の身体に装着される際にウェビングが引張られると、ウェビングが突出部を越える。これによって、ウェビングの装着状態では、支持部材によるウェビングの支持を解除できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係るシートベルト装置では、ウェビングが支持部材によって挟まれることを防止又は抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、
図1から
図9の各図に基づいて本発明の各実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と実質的に同一の部位については、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。また、各図において矢印FRはシート12の前方を示し、矢印LHはシート12に着座した乗員20から見て左方を示し、矢印UPはシート12の上方を示す。
【0021】
<第1の実施の形態の構成>
図1及び
図6に示されるように、第1の実施の形態に係るシートベルト装置10は、車両の後部座席のベンチタイプのシート12における着座位置に対応して設けられている。なお、本実施の形態では、シートベルト装置10がシート12のシート12右側の着座位置に対応しているものとして説明する。
【0022】
図1に示されるように、シートベルト装置10は、ウェビング巻取装置14を備えている。ウェビング巻取装置14はシート12のシートバック16のシート12後側で車体に固定されている。ウェビング巻取装置14はシート12左右方向を軸方向とする軸周りに回転可能なスプール(図示省略)を備えている。スプールには乗員拘束用のウェビング18の長手方向基端部が係止されており、スプールがウェビング巻取方向に回転されることによってウェビング18がスプールの外周部に巻取られて格納される。また、ウェビング巻取装置14は、スプールをウェビング巻取方向に付勢するぜんまいばね、車両緊急時にスプールのウェビング引出方向の回転を阻止するロック機構、車両緊急時にスプールを強制的にウェビング巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構等が設けられている。
【0023】
ウェビング18はウェビング巻取装置14からシート12前側へ引出されている。さらに、ウェビング18は、シート12における乗員20の着座位置のシート12右側でシートバック16のシート12上側を通り、更に、シートバック16のシート12前側でシートバック16のシート12下側へ引出されている。また、
図6に示されるように、シート12のシートクッション22の側方(シート12右側)にはアンカプレート24が設けられている。アンカプレート24は、シートクッション22のシート12下側で車体に固定されており、ウェビング18の長手方向先端部が連結されている。また、ウェビング18の長手方向中間部にはタング26がウェビング18の長手方向に移動可能に設けられている。具体的には、タング26にはスリットが形成されており、ウェビング18がタング26のスリットを貫通している。
【0024】
シート12における乗員20の着座位置のシート12左側にはバックル28が設けられている。バックル28は、シートクッション22をシート12上下方向に貫通するスリットに設けられ、バックル28のシート12下側の端部はシートクッション22のシート12下側で車体に固定されている。
図7に示されるように、乗員20の身体にウェビング18が掛回された状態でタング26がバックル28に挿入されることによって乗員20の身体にウェビング18が装着される。
【0025】
一方、
図1に示されるように、シート12のシートバック16の上部にはリーチャ装置40が設けられている。リーチャ装置40は駆動手段としてのリーチャ装置本体42を備えている。リーチャ装置本体42はモータ44(
図8参照)を備えている。
図8に示されるように、モータ44は、制御装置46を介して車両に搭載されたバッテリー48に電気的に接続されている。制御装置46はシート12右側のドアの開閉に伴いON、OFFされるカーテシスイッチ50に電気的に接続されていると共に、バックル28に設けられたバックルスイッチ52に電気的に接続されている。車両のドアの開放と、その後のドアの閉止に応じたカーテシスイッチ50のON、OFFが制御装置46に入力されると、モータ44は制御装置46によって正転駆動され、タング26がバックル28に挿入されたことをバックルスイッチ52が検出すると、モータ44は制御装置46によって逆転駆動される。
【0026】
また、
図1に示されるように、リーチャ装置本体42のシート12前側の端部にはアンカ部材54が設けられている。アンカ部材54は板状に形成されており、アンカ部材54の厚さ方向はシート12前後方向に沿っている。アンカ部材54には厚さ方向に貫通された貫通孔56が形成されており、ウェビング18が貫通されている。さらに、
図2に示されるように、リーチャ装置本体42におけるシートバック16よりもシート12上側には、係合部材としての左右一対のテレスコピック機構60、70が設けられている。テレスコピック機構60は第1ロッド62、第2ロッド64、及び第3ロッド66を備えている。
【0027】
第1〜第3ロッド62〜66の軸方向はシート12前後方向に沿っており、第1ロッド62の軸方向基端側はリーチャ装置本体42の内側でリーチャ装置本体42に支持されている。第1ロッド62は円筒形状に形成されており、その内側には第2ロッド64がシート12前側へ移動可能に収容されている。第2ロッド64は円筒形状に形成されており、その内側には第3ロッド66がシート12前側へ移動可能に収容されている。
図5に示されるように、テレスコピック機構60の第3ロッド66の先端には誘導部材としてのコーン68が設けられている。コーン68は円錐台形状とされており、コーン68の外径寸法はシート12後側へ向けて漸次小さくなり、コーン68のシート12後側の端部(基端部)の外径寸法はテレスコピック機構60の第3ロッド66の先端の外径寸法と同じ大きさとなっている。
【0028】
コーン68の先端には支持部材としてのリーチャヘッド80が固定されている。リーチャヘッド80はシート12左右方向に長い角棒状とされており、
図1及び
図6に示されるように、アンカ部材54を貫通されたウェビング18がリーチャヘッド80のシート12上側面におけるシート12前側の端部の角部80Aに当接可能とされている。また、リーチャヘッド80のシート12左側の端部(乗員20側又はバックル28側の端部)からは突出部82がシート12上側へ向けて突出されており、ウェビング18がリーチャヘッド80上でシート12左側へ移動することを抑制している。
【0029】
リーチャヘッド80は、突出部82でコーン68に固定されている。このため、テレスコピック機構60の第1〜第3ロッド62〜66及びコーン68の中心軸線は、リーチャヘッド80におけるシート12左右方向中央よりもシート12左側へオフセットされ、特に、本実施の形態では、第1〜第3ロッド62〜66及びコーン68の中心軸線は、リーチャヘッド80のシート12左側の端部側に位置している。
【0030】
一方、
図2に示されるように、テレスコピック機構70は第1ロッド72、第2ロッド74、及び第3ロッド76を備えている。第1〜第3ロッド72〜76の軸方向はシート12前後方向に沿っており、第1ロッド72の軸方向基端側はリーチャ装置本体42の内側でリーチャ装置本体42に支持されている。第1ロッド72は円筒形状に形成されており、その内側には第2ロッド74がシート12前側へ移動可能に収容されている。第2ロッド74は円筒形状に形成されており、その内側には第3ロッド76がシート12前側へ移動可能に収容されている。
【0031】
第3ロッド76は、リーチャ装置本体42のモータ44(
図8参照)の正転駆動力によって第2ロッド74から延出され、第3ロッド76が第2ロッド74から一定長さ延出されると、第2ロッド74がモータ44の正転駆動力によって第1ロッド72から延出される(
図2参照)。また、第3ロッド76や第2ロッド74が延出された状態でリーチャ装置本体42のモータ44から逆転駆動力が出力されると、第3ロッド76が第2ロッド74に収容されると共に、第2ロッド74が第1ロッド72に収容される。これによって、テレスコピック機構60がシート12前後方向に伸縮される。
【0032】
図5に示されるように、テレスコピック機構70の第3ロッド76の先端には誘導部材としてのコーン78が設けられている。コーン78は円錐台形状とされており、コーン78の外径寸法はシート12後側へ向けて漸次小さくなり、コーン78の基端部(シート12後側の端部)の外径寸法はテレスコピック機構70の第3ロッド76の先端部(シート12前側の端部)の外径寸法以下となっている。コーン78の先端部(シート12前側の端部)は、リーチャヘッド80のシート12右側の端部に固定されている。このため、テレスコピック機構70の第1〜第3ロッド72〜76及びコーン78の中心軸線は、リーチャヘッド80におけるシート12左右方向中央よりもシート12右側へオフセットされ、特に、本実施の形態では、第1〜第3ロッド72〜76及びコーン78の中心軸線は、リーチャヘッド80のシート12右側の端部側に位置している。
【0033】
また、コーン78の先端部がリーチャヘッド80のシート12右側の端部に固定されているため、テレスコピック機構70の第3ロッド76は、コーン68、78及びリーチャヘッド80を介してテレスコピック機構60の第3ロッド66に一体に連結されている。このため、テレスコピック機構60はモータ44の駆動力によるテレスコピック機構70の伸縮に追従して伸縮される。
【0034】
<第1の実施の形態の作用、効果>
本実施の形態では、乗員20が乗車するために、車両のドアが開閉されて、乗員20がシート12に着座すると、ドアの開閉に伴うカーテシスイッチ50のON、OFFが制御装置46に入力されて、リーチャ装置本体42のモータ44が正転駆動される。これによって、
図2に示されるように、リーチャ装置40のテレスコピック機構70の第3ロッド76及び第2ロッド74がシート12前側へ延出されて、リーチャヘッド80がシートバック16の上端よりもシート12前側へ移動される。また、リーチャヘッド80がシート12前側へ移動されることによってテレスコピック機構60の第3ロッド66及び第2ロッド64がシート12前側へ延出される。
【0035】
このように、リーチャヘッド80がシート12前側へ移動されることによってこれによって、ウェビング18がリーチャヘッド80によってシート12前側へ押圧されて、ウェビング18におけるリーチャヘッド80の角部80Aとの当接部分がリーチャヘッド80と共にシート12前側へ移動される。これによって、シート12に着座した乗員20はタング26を容易に掴むことができる。
【0036】
乗員20がウェビング18を装着するためにタング26と共にウェビング18をバックル28側(本実施の形態ではシート12左側)へ引張ると、ウェビング18におけるリーチャヘッド80の角部80Aとの当接部分はバックル28側(シート12左側)へ移動されて、リーチャヘッド80の突出部82を越える(
図3参照。但し、
図3では乗員20の図示を省略)。これによって、ウェビング18とリーチャヘッド80との係合が解除され、ウェビング18は、リーチャヘッド80のシート12後側でテレスコピック機構60の第3ロッド66又は第2ロッド64に係合され、更に、ウェビング18の先端側はシート12左下側へ延びる。この状態で、
図7に示されるように、タング26がバックル28に挿入されることによって乗員20の身体にウェビング18が装着される。
【0037】
次に、タング26がバックル28に挿入され、これがバックルスイッチ52によって検出されると、リーチャ装置本体42のモータ44が制御装置46によって逆転駆動される。これによって、テレスコピック機構70の第3ロッド76が第2ロッド74に収容されて第2ロッド74が第1ロッド72に収容される。これによって、リーチャヘッド80がシート12後側へ移動されてシートバック16のシート12上側の端部上の元の位置に戻る(
図1参照)。
【0038】
ところで、リーチャヘッド80がシート12後側へ移動される際には、リーチャヘッド80のシート12後側でウェビング18がテレスコピック機構60の第3ロッド66又は第2ロッド64に係合されている。ここで、テレスコピック機構60の第1〜第3ロッド62〜66の中心軸線は、リーチャヘッド80のシート12左側の端部側に位置している。このため、ウェビング18は、リーチャヘッド80のシート12左側の端部とシート12前後方向に対向される。
【0039】
したがって、シート12後側へ移動されるリーチャヘッド80のシート12左側の端部は、ウェビング18がリーチャヘッド80のシート12左右方向中央でシート12前後方向にリーチャヘッド80と対向する場合に比べて、ウェビング18のシート12右側やシート12下側を容易に通過でき、リーチャヘッド80のシート12左側の端部がウェビング18のシート12右側やシート12下側を通過することによって、リーチャヘッド80とリーチャ装置本体42やシートバック16とでウェビング18を挟むことを防止又は抑制でき、リーチャヘッド80のシート12上側にウェビング18を通すことができる。
【0040】
また、リーチャヘッド80がシート12後側へ移動されることによってコーン68がシート12後側へ移動され、これによって、第3ロッド66や第2ロッド64に係合されていたウェビング18がコーン68の外周面に当接される。この状態で、コーン68がリーチャヘッド80と共にシート12後側へ移動されると、ウェビング18はコーン68の外周面によってリーチャヘッド80のシート12左側へ案内される。
【0041】
これによって、シート12後側へ移動されるリーチャヘッド80のシート12左側の端部は、ウェビング18のシート12右側やシート12下側を容易に通過でき、リーチャヘッド80のシート12左側の端部がウェビング18のシート12右側やシート12下側を通過することによって、リーチャヘッド80とリーチャ装置本体42やシートバック16とでウェビング18を挟むことを防止又は抑制でき、リーチャヘッド80のシート12上側にウェビング18を通すことができる。
【0042】
一方、仮に、ウェビング18が乗員20によってシート12右側へ引張られると、ウェビング18がテレスコピック機構70の第3ロッド76や第2ロッド74のシート12右側を通ってからシート12左下側へ延びた状態でタング26がバックル28に挿入されることがある(
図8参照。但し、
図8では乗員20の図示を省略)。ここで、テレスコピック機構70の第1〜第3ロッド72〜76の中心軸線は、リーチャヘッド80のシート12右側の端部側に位置している。このため、ウェビング18は、リーチャヘッド80のシート12右側の端部とシート12前後方向に対向される。
【0043】
したがって、シート12後側へ移動されるリーチャヘッド80のシート12右側の端部は、ウェビング18がリーチャヘッド80のシート12左右方向中央でシート12前後方向にリーチャヘッド80と対向する場合に比べて、ウェビング18のシート12左側やシート12下側を容易に通過でき、リーチャヘッド80のシート12右側の端部がウェビング18のシート12左側やシート12下側を通過することによって、リーチャヘッド80とリーチャ装置本体42やシートバック16とでウェビング18を挟むことを防止又は抑制でき、リーチャヘッド80のシート12上側にウェビング18を通すことができる。
【0044】
また、リーチャヘッド80がシート12後側へ移動されることによってコーン78がシート12後側へ移動され、これによって、第3ロッド76や第2ロッド74に係合されていたウェビング18がコーン78の外周面に当接される。この状態で、コーン78がリーチャヘッド80と共にシート12後側へ移動されると、ウェビング18はコーン78の外周面によってリーチャヘッド80のシート12右側へ案内される。
【0045】
これによって、シート12後側へ移動されるリーチャヘッド80のシート12右側の端部は、ウェビング18のシート12左側やシート12下側を容易に通過でき、リーチャヘッド80のシート12右側の端部がウェビング18のシート12左側やシート12下側を通過することによって、リーチャヘッド80とリーチャ装置本体42やシートバック16とでウェビング18を挟むことを防止又は抑制でき、リーチャヘッド80のシート12上側にウェビング18を通すことができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、リーチャヘッド80のシート12左側の端部側に係合部材としてのテレスコピック機構60を設けて、リーチャヘッド80のシート12右側の端部側に係合部材としてのテレスコピック機構70を設けた構成であった。しかしながら、リーチャヘッド80のシート12左右方向何れか一方の端部側にのみ係合部材を設けて、リーチャヘッド80のシート12左右方向何れか他方の端部側には係合部材を設けない構成としてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、係合部材としてのテレスコピック機構60、70の第3ロッド66、76の先端に誘導部材としてのコーン68、78を設けた構成であった。しかしながら、誘導部材を設けずに、リーチャヘッド80がテレスコピック機構60、70の第3ロッド66、76の先端に直接固定される構成であってもよい。
【0048】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0049】
図9に示されるように、本実施の形態では、リーチャ装置40は、テレスコピック機構60、70に代わり伸縮部材としての扁平テレスコピック機構90を備えている。扁平テレスコピック機構90は第1扁平筒体92、第2扁平筒体94、及び第3扁平筒体96を備えている。第1〜第3扁平筒体92〜96の長手方向はシート12前後方向に沿っており、第1〜第3扁平筒体92〜96はシート12前後方向に貫通されている。
【0050】
また、第1〜第3扁平筒体92〜96はシート12上下方向寸法に対してシート12左右方向寸法が充分に長い板状とされている。第1扁平筒体92の長手方向基端側はリーチャ装置本体42の内側でリーチャ装置本体42に支持されており、その内側には第2扁平筒体94がシート12前側へ移動可能に収容されている。第2扁平筒体94の内側には第3扁平筒体96がシート12前側へ移動可能に収容されている。
【0051】
第3扁平筒体96は、リーチャ装置本体42のモータ44の正転駆動力によって第2扁平筒体94から延出され、第3扁平筒体96が第2扁平筒体94から一定長さ延出されると、第2扁平筒体94がモータ44の正転駆動力によって第1扁平筒体92から延出される(
図9参照)。また、第3扁平筒体96や第2扁平筒体94が延出された状態でリーチャ装置本体42のモータ44から逆転駆動力が出力されると、第3扁平筒体96が第2扁平筒体94に収容されると共に、第2扁平筒体94が第1扁平筒体92に収容される。これによって、扁平テレスコピック機構90がシート12前後方向に伸縮される。
【0052】
また、扁平テレスコピック機構90の第3扁平筒体96の先端にはリーチャヘッド80が固定されている。ここで、本実施の形態では、第3扁平筒体96のシート12左右方向中央とリーチャヘッド80のシート12左右方向中央とが同軸上に設定される。しかしながら、第3扁平筒体96は、シート12上下方向寸法に対してシート12左右方向寸法が充分に長い板状とされているため、第3扁平筒体96のシート12前側の端部におけるシート12左右方向両端は、リーチャヘッド80のシート12左右方向両端の近傍に位置している。
【0053】
したがって、リーチャヘッド80との係合が解除されて、リーチャヘッド80のシート12後側で扁平テレスコピック機構90の第3扁平筒体96又は第2扁平筒体94に係合されたウェビング18は、リーチャヘッド80のシート12左右方向何れか一方の端部とシート12前後方向に対向される。したがって、シート12後側へ移動されるリーチャヘッド80のシート12左右方向何れか一方の端部は、ウェビング18のシート12左右方向側方やシート12下側を容易に通過でき、ウェビング18がリーチャヘッド80とリーチャ装置本体42やシートバック16とによって挟まれることを防止又は抑制でき、リーチャヘッド80のシート12上側にウェビング18を通すことができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、第3扁平筒体96の先端にリーチャヘッド80が固定された構成であったが、第3扁平筒体96の先端とリーチャヘッド80との間に誘導部材を設けて、リーチャヘッド80と共にシート12後側へ移動された誘導部材によってウェビングがリーチャヘッド80のシート12左右方向外側へ誘導される構成としてもよい。
【0055】
さらに、上記各実施の形態は何れもテレスコピック機構60、70や扁平テレスコピック機構90のような係合部材を備える構成であった。しかしながら、テレスコピック機構の第1〜第3ロッドの中心軸線をリーチャヘッドのシート12左右方向中央に対して同軸上に設けると共に、第3ロッドの先端とリーチャヘッドとの間にシート12後側へ向けてシート12左右方向寸法が小さくなる略三角形状の誘導部材を設ける構成としてもよい。このように、係合部材を備えずに誘導部材を備える構成であってもよい。
【0056】
また、上記各実施の形態では、リーチャヘッド80のシート12左側の端部(乗員20側又はバックル28側の端部)からシート12上側へ向けて突出部82が突出された構成であった。しかしながら、リーチャヘッド80のシート12左側の端部(乗員20側又はバックル28側の端部)からシート12前側へ向けて突出部82が突出された構成であってもよい。