(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗体が、腫瘍関連抗原、膵がんに関連する抗原、悪性疾患に関連する抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、免疫機能不全疾患に関連する抗原、白血病に関連する抗原、神経疾患に関連する抗原、膜貫通アクチベータに対する抗原、およびCAML−相互作用因子に対する抗原からなる群から選択される抗原に対して特異的である、請求項13に記載のコンジュゲート。
前記抗体が、CA125、CA15−3、CA19−9、L6、Lewis Y、Lewis X、アルファフェトプロテイン、CA 242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺酸ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1−KLH、CEA、gp100、MART1、IL−2受容体、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD66a−d、CD67、CD74、CD79a、CD80、CD126、CD138、CD154、B7、MUC1、LALI、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、がん遺伝子、がん遺伝子生成物、壊死抗原、T101、TAG、IL−6、MIF、TRAIL−R1(DR4)、TRAIL−R2(DR5)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ムチン、P21、MPG、およびNeuがん遺伝子生成物からなる群から選択される抗原に対して特異的である、請求項14に記載のコンジュゲート。
前記治療用タンパク質のアミノ酸配列が、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロン、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターロイキン、インターロイキン−2、エリスロポエチン、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン、アポミオグロビン、アスパラギナーゼ、レプチン、血清タンパク質、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、インスリン、ろ胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、尿酸オキシダーゼ、アデノシンデアミナーゼ、抗体融合タンパク質、およびVII因子からなる群から選択される野生型治療用タンパク質に対して少なくとも90%の配列相同性を含有する、請求項17に記載のコンジュゲート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
定義
「コンジュゲーション」または「バイオコンジュゲーション」という用語は、本明細書で使用する場合、2つ以上の分子を一緒に結合することによって、新規分子を作る化学的プロセスを指す。上記分子のうちの1つは、好ましくは生体分子である。したがって、「バイオコンジュゲーション」または「コンジュゲーション」は、共有結合改変、標識、コンジュゲーション、または固定化を介して分子の特性を変更することを含む、任意の化学的プロセスを指す。コンジュゲーション反応には、例えば、予備活性化したカルボキシレートを介するアミド結合の形成、例えば、アミンによるNHSエステルの形成;マレイミドまたはハロゲン化アルキルとスルフヒドリルとの反応を介したチオエーテルの形成;ケトンまたはアルデヒドとヒドラジンとの反応を介したヒドラゾンの形成;ケトンまたはアルデヒドとアミノオキシとの反応を介したオキシムの形成;ケトンまたはアルデヒドとセミカルバジドとの反応を介したセミカルバゾンの形成;ならびにアルデヒドおよびアミンを結合体化するための還元的アミノ化が含まれる。他のあまり一般的ではないコンジュゲーション反応には、クリック化学反応(Cu(I)で促進されるアジド−アルキン[3+2]付加環化)、ディールス‐アルダー反応、およびアジドが関与する光化学反応が含まれる。
【0030】
「コンジュゲート」という用語は、本明細書で使用する場合、2つ以上の分子の「コンジュゲーション」反応により生成された生成物を指す。結合体化することができる分子の例には、低分子、抗体およびこれらのフラグメント、タンパク質(可溶性タンパク質および膜タンパク質)、酵素、核酸およびこれらの類似体、ペプチドおよびペプチド模倣物、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物、同位体含有化合物、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジン、毒素、薬物、固体支持媒体、ならびに他の生物活性分子が含まれる。コンジュゲートの例には、抗体薬物コンジュゲート、タンパク質薬物コンジュゲート、ペプチド薬物コンジュゲート、オリゴ薬物コンジュゲート、ペプチドオリゴコンジュゲート、タンパク質オリゴコンジュゲート、抗体酵素コンジュゲート、抗体タンパク質コンジュゲート、タンパク質タンパク質コンジュゲート、タンパク質ペプチドコンジュゲート、タンパク質オリゴコンジュゲート、蛍光化合物、固定化タンパク質、固定化ペプチド、固定化酵素、および固定化オリゴが含まれる。
【0031】
「糖アルコール」(SA)または「糖アルコール類」(SAs)という用語は、本明細書で使用する場合、一般式OH−CH
2−(CHOH)
n−(C(O))
r−(CHOH)
p−CH
2−OH(式中、rは0または1であり、nおよびpは、0〜約12の範囲であり、nとpを合わせた値が1を超える)を有する糖アルコールまたはケト糖を指す。nが0である場合、SAは、そのカルボニル基(アルデヒドまたはケトン)が一級または二級OH基へと還元されている、水素化形態の炭水化物を指す。幾つかの場合では、SAは、ポリオール、多価アルコール、またはポリアルコールを指す。糖アルコールは、一般式HO−CH
2−(CHOH)
n−CH
2−OHを有する。天然糖アルコールの例は、グリコール(2炭素)、グリセロール(3炭素)、エリスリトール(4炭素)、トレイトール(4炭素)、アラビトール(5炭素)、キシリトール(5炭素)、リビトール(5炭素)、マンニトール(6炭素)、ソルビトール(6炭素)、ズルシトール(6炭素)、およびイジトール(6炭素)である。糖アルコールは合成であってもよい。rが1である場合、糖アルコールは、ケト糖またはケトースを指す。天然ケトースの例は、ジヒドロキシアセトン(3炭素)、エリトルロース(4炭素)、リブロース(5炭素)、キシルロース(5炭素)、フルクトース(6炭素)、プシコース(6炭素)、ソルボース(6炭素)、タガトース(6炭素)、セドヘプツロース(7炭素)である。
【0032】
「糖アルコール単位(単数または複数)」(SA単位(単数または複数))という用語は、本明細書で使用する場合、「未改変の」または「改変された」モノ糖アルコールを指す。「未改変の」SA単位は、一般式−CH
2−(CHOH)
n−(C(O))
r−(CHOH)
p−CH
2−(式中、rは0または1であり、nおよびpは、0〜約12の範囲であり、nとpを合わせた値が1を超える)を有する。「改変された」SA単位とは、そのOH基のうちの1つまたは複数が、別の官能基での置換により化学的に改変されているSA単位を指す。「改変された」SA単位とは、その−CH
2OH基のうちの1つまたは両方が酸化され、次いで他の官能基でさらに改変されているSA単位も指す。「改変された」SA単位とは、1つまたは複数のOH基における水素原子が化学的保護基、脱離基、または他の官能基により置き換えられているSA単位も指す。OH保護基の例には、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
6アルキルシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルが含まれる。
【0033】
「モノマー」という用語は、化学的に他の分子と結合してポリマーを形成することができる分子を指す。「モノマーの」という用語は、本明細書で使用する場合、「未改変の」または「改変された」モノ糖アルコールを指す。
【0034】
「ダイマーの」という用語は、本明細書で使用する場合、互いに化学的に結合している2つの単量体糖アルコールからなる化学物質を指す。
【0035】
「トリマーの」という用語は、本明細書で使用する場合、3つの単量体糖アルコールからなる化学物質を指す。
【0036】
「テトラマーの」という用語は、本明細書で使用する場合、4つの単量体糖アルコールからなる化学物質を指す。
【0037】
「生体適合性」という用語は、本明細書で使用する場合、例えば、生細胞、組織、または生体系において毒性も、傷害性も免疫学的応答も生成しないことにより、生物学的に適合性となるという特性を化合物が保有することを指す。「生体適合性」という用語は、本明細書で使用する場合、特定の適用において適当な宿主の応答を開始させるバイオマテリアルの能力を指す。別の意味では、「生体適合性」という用語は、生物学的系に対して毒性作用も傷害性作用も有さない品質を意味する。医学的療法の場合、「生体適合性」とは、バイオマテリアルが、その特定の状況において最も適当で有利な細胞応答または組織応答を生成し、その療法の臨床的に関連する性能を最適化することから、その療法のレシピエントまたは受益者において任意の所望しない局所的または全身的作用を引き起すことなくその所望の機能を実施する能力を指す。
【0038】
「生分解性」という用語は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数のインビボの生物学過程を介して、例えば代謝経路を介して、化合物の分解を可能にする特性をその化合物が保有することを指す。本明細書で使用する場合、「生分解性」化合物とは、細胞に取り込まれた場合、リソソーム経路または他の生化学的機構または加水分解により、細胞に対する重大な毒性作用を起こすことなく、細胞が再利用または破棄できる成分へと分解され得るものである。
【0039】
「架橋する」、「架橋」、「架橋した」という用語、およびその文法的派生語は、共有結合または分子間もしくは分子と固体支持体との間の結合を指す。
【0040】
「架橋基」、「官能基」、「活性化した基」、および「化学的反応性基」という用語は、本明細書で使用する場合、他の分子上の求電子基または求核基と容易に反応することによって、共有結合を介して新規分子を形成するための、分子の明確な、確定可能な部分または単位を指す。架橋基には、例えば、OH、保護されたOH、カルボン酸、保護されたカルボキシル基、アミン、保護されたアミン、チオール、保護されたチオール、ジスルフィド、アルキル基、ベンゾフェノン、アントラキノン、ジアゾ基、アジド基、アシルアジド、アルキン、ジアゾニウム基、ジアジリン(diazirenes)、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ジカルボニル基、エポキシド、オキシラン、オルガノシラン、イソチオシアネート、イソシアネート、ホスホニウム基、トシレート、メシレート、アシルアジド、エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリル(benzotriazolyly)エステル)、スルホニルクロリド、無水物、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、カーボネート基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジルカーボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカーボネート)、アルデヒド、ケトン、アリールケトン、グリオキサール、イミドエステル、無水物、フルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、ハロアセチル基、エチルビニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化トリチル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、ハロゲン化シリル、マレイミド、ビニルスルホン、チオエステル、シスプラチン誘導体、フルオロベンゼン誘導体、アジリジン、アクリロイル基、アミノオキシ、保護されたアミノオキシ、セミカルバジド、チオセミカルバジド、ヒドラジン、グアニジニル、ホスホルアミダイト、および糖基(sugar groups)が含まれる。典型的な技術からのこのような基の広範な記載は、以下の参考文献:Greg T. Hermanson「Bioconjugate Techniques」、2008年、Elsevier, Inc.に見出すことができる。
【0041】
「架橋試薬」という用語は、本明細書で使用する場合、架橋基を含み、別の分子と架橋することが可能な分子を指す。
【0042】
「脱離基」という用語は、本明細書で使用する場合、別の化学的部分で置換することができる化学的部分を指す。脱離基の例には、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、メタンスルホニル(メシル)、p−トルエンスルホニル(トシル)、トリフルオロメチルスルホニル(trifluromethyl sulfonyl)(トリフレート)、およびトリフルオロメチルスルホネートが含まれる。典型的な技術からの脱離基の広範な記載は、Jerry March、Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure、第4版、 John Wiley and Sons、New York、1992年、352〜357頁において見出すことができる。
【0043】
「保護基」(PG)という用語は、本明細書で使用する場合、他の化学的操作/転換中、反応から官能基を遮断する分子の基または化学的部分を指す。保護基は、これらの化学的操作/転換には不活性であるが、さらなる反応に対して元の官能基を解放するように、特定の化学的、酵素的、または光化学的手段により除去または切断することができる。多種多様な保護基が利用可能であり、当技術分野で公知である。典型的な技術からの保護基の広範な記載は、Theodora W. Green and Peter G. M. Wuts、 Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、Wiley−Interscience、New York、1991年において見出すことができる。
【0044】
「OH保護基」という用語は、本明細書で使用する場合、他の化学的操作/転換中、反応からOH基を遮断する分子の基または化学的部分を指す。化学的部分の例には、これらに限定されないが、アルキル、アリール、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、アルキルシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルが挙げられる。
【0045】
「リンカー」または「結合(linkage)」または「連結基」という用語は、本明細書で使用する場合、化学反応の結果として通常形成され、典型的には共有結合(複数可)を有する基または結合を指す。リンカーは、追加のスペーサー(複数可)、例えば、エチレングリコール、メチレン、ペプチド、またはペプチド模倣オリゴマーを含有し得る。リンカーには、例えば、置換または非置換のヘテロアリシクリルC
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、置換または非置換のアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーが含まれる。上記リンカーは、連結基、例えばアシルベースの連結基(例えば、−C(O)−NH−および−OC(O)NH−)を含んでもよい。例示的な連結基には、これらに限定されないが、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化23】
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(式中、各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSから選択され、各G
2は、独立して、OまたはSであり、各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、各R8は、独立して、C
1〜C
8アルキルである)から独立して選択される各VおよびWが挙げられる。
【0046】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、例えば、1〜20個の炭素原子、多くの場合1〜約12個、1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する分枝、非分枝、または環式の炭化水素を指す。例として、これらに限定されないが、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−ブチル、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどが挙げられる。上記アルキルは、非置換であっても置換であってもよい。上記アルキルはまた、必要に応じて部分的にまたは完全に不飽和であってよい。よって、アルキル基の列挙には、アルケニル基とアルキニル基の両方が含まれる。
【0047】
「SA分子」という用語は、本明細書で使用する場合、SA単位を含む分子を指す。SA分子は、SA架橋試薬、SA高分子、直鎖状SA高分子、分枝SA高分子、および超分枝SA高分子のうちのいずれかを指す。
【0048】
「SA高分子」という用語は、本明細書で使用する場合、糖アルコールから誘導体化された大きな分子量の化合物を指す。典型的には、SA高分子の長さは、少なくとも2SA単位である。SA高分子の好ましい大きさは、およそ1000Da〜およそ120,000Daの範囲である。
【0049】
「分枝している」という用語は、本明細書で使用する場合、置換基、例えば糖アルコール上の水素原子が、糖アルコールの別の共有結合した鎖により、または別のタイプの鎖により置き換えられていることを指す。
【0050】
「大環状分子」または「大環状」という用語は、本明細書で使用する場合、環式高分子または分子の高分子環式部分を指す。典型的には、大環状分子は、7員以上の環を含む。
【0051】
「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用する場合、ペプチド結合で一緒に結合されているアミノ酸残基のポリマーを指す。典型的には、ペプチドの長さは、少なくとも2アミノ酸である。ペプチド結合は、あるアミノ酸のカルボキシル基と、別のアミノ酸のアミノ基との間のアミド結合として生化学において一般的に公知である。ペプチドの好ましい大きさは、約2〜約40のアミノ酸の範囲である。ペプチドという用語はまた、1つまたは複数のアミノ酸残基が、相当する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用し得る。1つまたは複数のアミノ酸残基が、いずれの天然に存在するアミノ酸にも対応していない「非天然」アミノ酸であるアミノ酸ポリマーもまた、「ペプチド」という用語の中に包含される。
【0052】
「タンパク質」という用語は、本明細書で使用する場合、ペプチド結合で一緒に結合しているアミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、任意の大きさ、構造、または機能のタンパク質およびポリペプチドを含むことを意図する。しかし、タンパク質は典型的には、少なくとも10アミノ酸長である。タンパク質は、天然に存在するもの、組換え型のもの、合成のもの、またはこれらの任意の組合せであってよい。タンパク質はまた、天然に存在するタンパク質のフラグメントであってよい。タンパク質は単一分子であってもよいし、または多分子複合体であってもよい。タンパク質という用語はまた、1つまたは複数のアミノ酸残基が、相当する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用し得る。1つまたは複数のアミノ酸残基が、いずれの天然に存在するアミノ酸にも対応していない「非天然」アミノ酸であるアミノ酸ポリマーもまた、「タンパク質」という用語の使用に包含される。
【0053】
「タンパク質フラグメント」という用語は、本明細書で使用する場合、別のタンパク質の一部であるペプチドを指す。例えば、タンパク質フラグメントは、完全長タンパク質を消化することによって得られるポリペプチドであってよい。タンパク質フラグメントは典型的には、少なくとも2つのアミノ酸を含む。
【0054】
「治療剤」という用語は、本明細書で使用する場合、疾患の治療に有用な化合物、または分子を指す。治療剤には、例えば、抗体フラグメント、薬物、毒素、ヌクレアーゼ、ホルモン、免疫調節物質、プロアポトーシス剤、抗脈管形成剤、ホウ素化合物、光活性剤、色素およびラジオアイソトープ、タンパク質、ならびにタンパク質、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖、代謝物、酵素、ポリペプチド、および毒素を含む構築物が含まれる。治療剤には、生理活性剤および生理活性構築物のプロドラッグが含まれる。
【0055】
「治療用部分」という用語は、本明細書で使用する場合、「治療剤」由来の機能的部分を指す。
【0056】
「診断剤」という用語は、本明細書で使用する場合、病理プロセスの局在性を明らかにする、正確に指摘する、そして定義するために、単独でまたは別の薬剤と組み合わせて使用することができる化合物または分子を指す。診断剤には、例えば、放射性物質、蛍光色素、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖、代謝物、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、および放射リガンドが含まれる。
【0057】
「診断用部分」という用語は、本明細書で使用する場合、「診断剤」由来の機能的部分を指す。
【0058】
「生物学的に機能的な部分」という用語は、本明細書で使用する場合、いくつかの種類の生物学的な機能を引き出すことができる、または生物学的系と相互作用することによっていくつかの種類の生物学的機能を引き出すことができる部分を指す。「生物学的に機能的な部分」はまた、いくつかの生物学的な機能を検出することまたは診断することを補助することができる部分を指す。生物学的に機能的な部分の例には、治療用部分および診断用部分が含まれる。
【0059】
「抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、全長免疫グロブリン分子または免疫グロブリン分子の免疫的活性部分、例えば抗体フラグメントを指す。「抗体」は、最も広範な意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(multispecific antibody)(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを含む。本明細書中に開示されている免疫グロブリンは、任意のタイプ、例えば、IgM、IgD、IgG、IgE、IgA、または任意のサブクラスの免疫グロブリン、例えばIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA1、およびIgA2であり得る。抗体は、ネズミ、ヒト、ヒト化、キメラ、ウサギ、ニワトリ、または他の種由来のものであってよい。
【0060】
「抗体フラグメント」という用語は、本明細書で使用する場合、抗体の一部、例えばF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、ダイアボディ、線状抗体、Fab発現ライブラリーにより生成されたフラグメント、抗−イディオタイプ(抗−Id)抗体、相補性決定領域(CDR)、細胞外ドメイン(EDC)、およびがん細胞抗原に免疫特異的に結合している上記のうちのいずれかのエピトープ−結合フラグメント、ウイルス抗原または微生物抗原、単鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を指す。構造に関わらず、抗体フラグメントは、全長抗体により認識された同じ抗原に結合する。「抗体フラグメント」という用語には、抗体の可変領域からなる単離されたフラグメント、例えば、軽いおよび重い可変領域がペプチドリンカー(scFvタンパク質)で結合している、重鎖および軽鎖ならびに組換え型単鎖ポリペプチド分子の可変領域からなる「Fv」フラグメントも含まれる。
【0061】
「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」、または「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用する場合、ヌクレオチドのポリマーを指す。上記ポリマーは、制限なしで、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン)、化学的に改変された塩基、生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化塩基)、挿入された塩基、改変された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、または改変されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホルアミダイト結合)を挙げることができる。核酸およびオリゴヌクレオチドはまた、改変された骨格を有する塩基の他のポリマー、例えばロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、またはトレオース核酸(TNA)を含み得る。
【0062】
「低分子干渉RNA」または「siRNA」という用語は、本明細書で使用する場合、RNA干渉(RNAi)経路を誘発する小さな阻害性の二本鎖RNA分子を指す。siRNAは、一般的に、約18〜約30の塩基対を有し、アンチセンス鎖においてこれらの標的mRNAに対して変動する度合の相補性を示す。すべてではないが、いくつかのsiRNAは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に不対の突出した(overhanging)塩基を有する。「siRNA」という用語は、2つの別の鎖の二本鎖、ならびに二重鎖領域を含むヘアピン構造を形成することができる単一鎖を含む。
【0063】
「ポリグリセロール」という用語は、本明細書で使用する場合、重合したグリセロールを指す。グリセロールは、構造OH−CH
2−CH(OH)−CH
2−OHを有する。ポリグリセロールは、2つ以上のグリセロール単位を含有する。ポリグリセロールは、より高い温度または塩基条件下でグリセロールの一般的重合により調製される。
【0064】
「疎水性部分」という用語は、本明細書で使用する場合、水に対して親和性がほとんどない無極性分子または基を指す。疎水性分子または分子の一部分は、これらの周囲の水の強い水素結合のネットワークを壊すことができないため、水性の環境において他の疎水性基と一緒に密集する傾向があるものである。疎水性部分の例には、アルカン、芳香族基、コレステロール、脂質、リン脂質、および脂肪酸が挙げられる。
【0065】
「脂肪族基」という用語は、本明細書で使用する場合、非環式または環式の、非芳香族化合物を指す。脂肪族基の例には、これらに限定されないが、直鎖状または分枝アルキル鎖、脂肪酸鎖(例えば、オレイン酸)、および長鎖アルキルチオール(例えば、ヘキサンチオール)が挙げられる。
【0066】
「固体支持体」という用語は、本明細書で使用する場合、有機化学、例えばオリゴおよびペプチド合成において慣例的に使用される支持体を指す。「固体支持体」という用語は、本明細書で使用する場合、生化学および生物学において、例えば、バイオポリマーの固定化および精製のために使用されてきた支持体も指す。固体支持体の例には、ポリスチレン支持体、ポリアミド支持体、ポリエチレングリコール支持体、ポリアクリル支持体、複合材支持体およびこれらのポリマー、例えばポリアクリル/ベータ−アラニンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポリスチレンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポリエチレングリコールコポリマー支持体、ポリエチレングリコール(polyethyleneglyco)/ポリスチレンコポリマー支持体、調節された細孔ガラス、アガロース、デキストランゲル、および多糖ベースのポリマーが含まれる。幾つかの場合では、「固体支持体」という用語はまた、生物学的アッセイ、例えば、またはポリマーミクロスフェアにおいて使用されてきた粒子も指す。このような支持体の例には、ラテックスミクロスフェア、ポリスチレンからなるまたはスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリビニルトルエン、ポリ(polu)(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のコポリマーからなるポリマー粒子、ならびにコポリマーであるポリ(エチレングリコールジメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−hydroxyethylmetacrlate))およびポリ(乳酸−co−グリコール酸(polycolic acid))が挙げられる。「固体支持体」はまた、無機構築物、金属および半導体、超常磁性複合材、生分解性構築物、ならびに合成デンドリマーおよびデンドロン、例えば、量子ドット、色素コードされた粒子、および磁気コードされた粒子も含むこともできる。
【0067】
「MW」という用語は、本明細書で使用する場合、分子量を指す。
【0068】
「低分子」という用語は、本明細書で使用する場合、800Da未満である低分子量の有機化合物を指す。低分子の例は、例えば、ビオチン、蛍光標識化合物、糖、糖アルコール、代謝物、薬物、殺虫剤、アミノ酸、ヌクレオチド、化学発光(chemilluminent)化合物、架橋試薬である。
【0069】
「単一MW」または「単分散の」という用語は、本明細書で使用する場合、同じ大きさおよび分子量を有する1つの化合物または化合物の集合を指す。天然のポリマー、例えば、タンパク質、ペプチド、およびDNAは、典型的には単分散である。SA高分子は、標準的な有機合成技術を介して、純粋なキラルな出発材料から単一MW化合物として合成および精製される。SA高分子は、同じMWを有するが、互いに立体異性体または局所性異性体である化合物の混合物を含有してもよい。これらの異性体は、合成中に生成され、正しい条件または精製方法を選ぶことによって最小限に抑えることができる。
【0070】
「多分散」または「多分散性」という用語は、本明細書で使用する場合、異なる大きさ、形状、または分子量を有するポリマー化合物の集合を指す。例えば、ポリマーは普通、特定の範囲にわたる分子質量の分布を有する。多分散指数(PDI)、または異質性指数は、所与のポリマーにおける分子質量の分布を測定する。この指数は、式:PDI=M
w/M
n(式中、M
wは、重量平均分子量およびM
nは数平均分子量)に基づき計算される。使用する合成法に応じて、ペプチドおよびオリゴ以外の、合成ポリマーの大部分は多分散している。ペプチドおよびオリゴは、純粋な出発材料を使用して標準的な有機合成技術に基づき合成され、これを一般的に精製することにより、単分散が得られる。
【0071】
架橋試薬およびコンジュゲーション化学反応はバイオコンジュゲーション技術の2つの主要な部分である。バイオコンジュゲーション反応のための架橋試薬を選ぶ際にいくつかの要素を考慮する必要がある:(i)リンカー末端における反応性基;(ii)スペーサーの長さ;および(iii)スペーサーの物理的特性、例えば、疎水性または親水性であるか、コンジュゲーション後、切断可能であるかまたは生分解性があるか。
【0072】
リンカー末端における典型的な反応性基は、予備活性化したカルボキシレート、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル;チオール反応基、例えば、マレイミド/ハロゲン化アルキル;およびケトンまたはアルデヒド反応基、例えば、ヒドラジン/セミカルバジド/アミノオキシである。他の末端基は、アジド/アルキンおよびジエン/ジエノフィルである。生体分子、例えば、抗体およびタンパク質は普通、架橋試薬の末端基と相互作用することができるいくつかの同じまたは同様の官能基を有する。生体分子標識の位置および程度は普通、コンジュゲーション後変化する。コンジュゲートの異質性は、薬物R&Dにおいて大きな関心事である。単一のおよび純粋なヘテロ二官能性架橋試薬および部位特異的標識を使用して、複雑さを低減することができる。例えば、スルフヒドリルは、反応特異性を有し、インビトロのシステイン変異誘発を介する導入が容易なことから一般的な官能基である。スルフヒドリルはまた、特定の抗体改変およびコンジュゲーションにおいて特別な役割を果たす。標的とすることができる他の官能基には、後導入されるアルデヒド、ヒドラジン、およびアジド官能基が含まれる。
【0073】
生体分子を結合体化するための以前の技術は、古典的スペーサー、例えば、疎水性アルキル鎖、ペプチド、およびエチレングリコールに依存している。多くの重要なコンジュゲーション反応は、極めて疎水性の化合物、例えば、疎水性薬物、毒素、ビオチン、または蛍光化合物を水溶性の生体分子、例えば、抗体、タンパク質、または酵素に結合することを含む。ほとんどの場合、上記反応は、水性緩衝液中で実施される。親水性リンカーの存在は、コンジュゲーション反応に有利に働き、最終生成物の安定性を保つ。
【0074】
親水性リンカーは、様々な分子の特性をモジュレートするために生化学者らによって採用されてきた。このようなリンカーは、異なるモチーフで利用可能であり、ドラッグデリバリーの薬剤、疎水性分子に対する水性溶解度増強剤、コンジュゲーションにおけるテザー(tether)またはスペーサー、ナノテクノロジーにおける封入分子として、および化粧品調合物において使用されてきた。ポリエチレングリコール(PEG)は、最も一般的に使用されている親水性リンカーの一つであり、市販されている。より小さいMWのヘテロ二官能性PEG化合物は、疎水性化合物を結合させるために最も頻繁に使用されている化合物である。
【0075】
大きいMWポリマーは、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、siRNA、および他の治療用バイオポリマーを結合体化するために使用されてきた。大きいMWポリマーを治療用バイオポリマーに結合体化することによって、結合体化されている物質を循環で安定化し、これらの免疫原性を低減し、抗体認識を低下させ、体内滞留時間を増大させることができる。ポリマーコンジュゲーションの他の利点には、器官の性質(disposition)の改変、エンドサイトーシスによる薬物浸透、および新規薬物標的の可能性が含まれる(F.M. Veronese、M. Morpurgo「Bioconjugation in pharmaceutical chemistry」IL Farmaco、1999年、54巻、497〜516頁)。タンパク質およびペプチドを結合体化する場合、改変により、タンパク質およびペプチドはインビボのタンパク質分解からも保護される。
【0076】
大きいMWの多分散PEGリンカーは、これらの親水性および生体適合性による、治療用タンパク質、抗体、および小さな毒素を改変するために使用されてきた(Veronese M. F.「PEGylated protein in drugs: basic science and clinical applications.」2009年、Birkhaeuser Verlag)。FDAにより承認されたPEG化タンパク質またはオリゴヌクレオチドの例は、ペガデマーゼ(pegadamase)(Adagen(登録商標))、ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標))、ペグアスパルガーゼ(Oncaspar(登録商標))、およびPEG−EO(Mirera(登録商標))である。
【0077】
しかし、PEGベースのリンカーはいくつかの弱点を有する。(i)重合化学反応の性質により、大きいMW(M
w)PEG分子は多分散性である。M
w/M
n(数平均)値は、M
wが2〜10KDaの範囲のポリマーではおよそ1.01であるが、より大きいMWのポリマーでは1.2の値まで到達する。生体分子を標識するために多分散PEG分子を使用すると、生物学的特性において微細な差を有する多分散コンジュゲートが生成する。この結果はまた、コンジュゲートの分析を複雑にする。単分散の、大きいM
w分子が望ましいが、PEGを合成および精製するための現在の技術では、商業的な単分散PEG産物は、難しすぎ、高価すぎる。単一の純粋なPEGを作製するためのより良いプロセスを開発するため、Quanta Biodesign Limited Companyの科学者により努力がなされた(US2010/0009902A1、2010年)。これまでの単一の最も大きいMWの市販のPEGは、1600〜1700Daの範囲である(36エチレングリコールモノマー)。このプロセスでは、上記モノマー(1つの繰り返し単位:44Da)の小さなMWの増分に起因して、2000Daより大きな単一の純粋なMWのPEGをもたらす可能性は低い。(ii)PEGは生分解性ではない。大きいM
wのPEGの使用および任意のM
wのPEGの長期投与は、ヒトに対して長期的影響を及ぼす可能性があり、安全性が不確かである。(iii)小さなMW薬物を結合体化するために利用可能な官能基が限られており、これにより薬物充填が低くなる。直鎖状PEG1つ当たり、1つまたは2つのOH基しか薬物結合に利用可能ではない。したがって、現時点において、PEG化された小さなMW薬物は市販されていない。さらにいくつかのOH基を保持する分枝PEGおよびデンドリマー構造が導入されている。(iv)PEGリンカーが親水性であるにもかかわらず、PEGリンカーを介する特定のコンジュゲートは依然として、生物学的用途に対して十分な溶解度が欠乏している。より良い親水性のリンカーを開発する必要がある。
【0078】
糖分子は、これらの水素結合能力により(ドナーおよびアクセプター)、おそらく今日までに最も親水性の天然化合物である。多糖は、治療的対象のタンパク質に結合して、血液中の保持時間の増大、免疫原性の低減、および所望する生物活性の最小の損失をもたらす(Imperiali, B、 O’Connor SE、Curr. Opin. Chem. Biol.1999年、3巻、643〜649頁;Sinclair AM、Elliott S.、J. Pharm. Sci.2005年、94巻、1626〜1635頁;Fernandes AI、Gregoriadis G. Int. J. Pharm.2001年、217巻、215〜224頁)。多糖誘導体、例えば、ヒドロキシエチルデンプン(M. Orlando、Justus−Liebig Universitat Giesssen、2003年、191頁)およびポリ(シアル酸)をタンパク質コンジュゲーションに対して使用してきた(Constantinou, A.ら、Bioconjugate Chem.2008年、19巻、643〜650頁;Gregoriadis G. Int. J. Pharm.2005年、300巻、125〜130頁)。糖化学の複雑さおよび困難さにより、このような研究に使用された多糖は、多分散する傾向があり、PEGの場合のように、構造が可変である。さらに、堅い構造を有する多糖は、免疫原性への傾向が大きくなり得る。
【0079】
糖アルコールは、ポリオールとしても公知であるが、カルボニル基(アルデヒドまたはケトン)が一級または二級OH基へと還元されている、水素化形態の炭水化物である。糖アルコールは、食物に天然に存在し、植物生成物、例えば、果実および液果類から作られる。糖アルコールは、多くの場合、甘味剤の成分として、ハイドロゲルなどのポリマーを作製するために、使用されている。
【0080】
簡単な官能化した小さいMWの単量体糖アルコールのいくつかの構造が報告された。表1は、文献において公開されたコンジュゲーションに対して使用することができる、大部分の官能化単量体糖アルコールを列挙している(化合物がより多くのCAS番号または参照を有する場合でも、ここには1つしか列挙していない)。データは、式X−CH
2−(CH
2OR)
n−CH
2−Y(式中、nは2〜12であり、Rは、H、Me、または他の任意の保護基とすることができ、XおよびYは、いずれのものでもよい)を広く検索することによって得られた。NH
2、COOH、SH、OH、Br、またはNO
2のみを含有する化合物は、これらの化合物がコンジュゲーションに使用可能となる前にさらなる活性化が必要とされることから、表から排除した。単量体糖アルコールに対して、任意の種類の官能基を含有する化合物を全部でおよそ60個見出した。このような化合物を合成する目的は、主に以下のカテゴリーに分類される:1)重合のための開始剤または出発材料として。例えば、ヒドロキシル基を含有する、ポリヒドロキシル化ナイロン6もしくは他のポリマーを作製すること;2)低分子薬物のための出発材料として。ほとんどの場合にはその薬物の一部となり、糖アルコールとの類似点は少なくなる;または3)官能基変換のための純粋な、合成法の開発として。稀なケースとして、官能基は、精製ハンドル(purification handle)として使用される(項目20、ヒドラジド)。より一般的なケースとして、官能化した同位体コードされたマンニトール(項目14)は、タンパク質フットプリント法に使用される。別のケースとして、蛍光アッセイ目的のため、2−アミノピリジルを糖分子(Galb1−4Fuc)に結合させるためのスペーサーとしてD−マンニトールが使用される(Nishiyama K. ら、Chem. Pharm. Bull.2010年、58巻、495〜500頁)。本発明者らの知っている限りでは、これら低分子官能化SA化合物の中で、2つ以上の治療用薬物、例えば、毒素、タンパク質、抗体、siRNAなどを一緒に結合させるためのスペーサーとして使用されたものはない。これら化合物のすべてが極めてシンプルで、極めて効率的ではない;特に、効率的なヘテロ二官能性架橋剤が文献で報告されていないという事実から、報告されたSA化合物は、有用性が限られている。
【0081】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0082】
合成による大きいMWSA分子は文献では稀である。マンニトールダイマーが液晶として使用するために合成された(Akiyama, H. ら、Journals of Materials Chemistry、2009年、19巻、5956〜5963頁)。ジソルビチル−アミンの新規誘導体が報告された(Pol.2010年、PL206420 B1 20100831)。しかし、これらのいずれも、如何なる有用な架橋剤の基を保有していない。他方では、SAポリマーのいくつかが天然に生成されている。例えば、細菌細胞壁に関連するテイコ酸は、ホスホジエステル結合により相互接続されたD−リビトール残基を主に含有する。これらの位置のため、Fekete、Anikoらは、新規ワクチンを開発する目的でD−リビトール(ribitl)−1−ホスフェートのオクタ−およびドデカマーを合成した(Carbohydrate Research、2006年、341巻(12号)、2037〜2048頁)。上記ポリマーは、ケトハンドルを介してワクチンキャリアである、ウシ血清アルブミンとカップリングさせ、単一成分の実験用ワクチンとして使用する。どの文献の中でも、このようなオリゴマーを、他の治療用薬物の薬物動態学的なおよび薬力学的特性をモジュレートするため、またはインビボでのドラッグデリバリーのためのキャリアとして使用することができることは示唆されていない。
【0083】
他のあまり関連のない糖アルコール構造は、これらの大部分はポリマーであるが、WO2010014678、PL206420、WO2010/134476、WO2010134476、JP2009249500、FR2906245、WO2009053596、FR2906245、WO2004025297、WO2001005224、FR2701949、WO9421595、EP536939、US4172094、EP675101A1、ポリグリセロールUS2520670、ポリヒドロキシ化合物US2520671、および多価アルコールUS2532036においても見出すことができる。
【0084】
したがって、バイオテクノロジーおよび医薬分野において、親水性の架橋試薬、単一の大きいMWの化合物、および高充填量のキャリアに対する重要な必要性が存在する。親水性糖アルコールを骨格として使用して異なるクラスの薬物を結合するための架橋試薬を作り上げるという計画、単一MWのSA高分子を使用して治療用タンパク質を部位特異的に標識するという計画、およびこのような実施を可能にすることで、医薬品業界全体に革命を起こすことができる。
【0085】
本発明は、
M
1−(L−B)
u 式(I)、および
B−(L−M
1)
u 式(II)
(式中、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、および多糖からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
各V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSからなる群から選択され、
各G
2は、独立して、OおよびSからなる群から選択され、
各G
3は、独立してS、O、NR
3、およびSO
2からなる群から選択され、
各G
4は、独立して、OおよびNR
3からなる群から選択され、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーからなる群から選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、アリシクリル、およびヘテロアリシクリルからなる群から選択され、R
3における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約20の整数である)
からなる群から選択される構造式を有するコンジュゲートを提供する。
【0086】
本発明はまた、構造式
(M
2−L)
q−B 式(III)
を有するコンジュゲートを提供する
(式中、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、および低分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマー含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
各V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化25】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSからなる群から選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSからなる群から選択され、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2からなる群から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3からなる群から選択され、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーからなる群から選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、アリシクリル、およびヘテロアリシクリルからなる群から選択され、R
3における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
qは、1〜約100の整数である)。
【0087】
本発明はまた、
(M
1)
q−L−(B−(L−M
2)
k)
u 式(IV)
(M
1−L)
q−(B−(L−M
2)
k)
u 式(V)、および
M
1−(L−B−(L−M
2)
k)
u 式(VI)
からなる群から選択される構造式を有するコンジュゲートを提供する
(式中、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、および多糖からなる群から選択され、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、および低分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
各V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化26】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSからなる群から選択され、
各G
2は、独立して、OおよびSからなる群から選択され、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2からなる群から選択され、
各G
4は、独立して、OおよびNR
3からなる群から選択され、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーからなる群から選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、アリシクリル、およびヘテロアリシクリルからなる群から選択され、R
3における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約100の整数であり、
qは、1〜約100の整数であり、
kは、0または1〜約20の整数である)。
【0088】
好ましくは、Bは、4〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む。
【0089】
好ましくは、uは、1〜約10の整数である。
【0090】
必要に応じて、M
1は、抗体および抗体フラグメントからなる群から選択され、M
2は化学療法薬であり、qは1であり、uは1〜約20の整数であり、kは1〜約10の整数である。より好ましくは、本実施形態ではkは1であり、uは1〜約8から選択される整数である。
【0091】
糖アルコールモノマーは、エーテル結合で一緒に結合していてもよい。
【0092】
一態様では、M
2は化学療法剤であってよい。本態様では、M
2は、抗がん療法に使用される化学療法剤である。最も好ましくは、M
2は、副腎皮質抑制剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アルキルスルホネート、抗生剤、抗有糸分裂剤、アントラサイクリン、抗脈管形成剤、カンプトテシン、COX−2阻害剤、CPT−11、ドキソルビシン、ドキソルビシン類似体、酵素阻害剤、エンドスタチン、エピポドフィロトキシン、エチレンイミン誘導体、葉酸類似体、ゲムシタビン、HDAC阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)90阻害剤、ホルモンアンタゴニスト、メトトレキセート、メチルヒドラジン誘導体、mTOR阻害剤、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、置換尿素、SN−38、タキソール、トリアゼン、タキサン、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、プロアポトーシス剤、ビンカアルカロイド、パクリタキセル、メイタンシン、カリケマイシン、およびドラスタチンからなる群から選択されてよい。
【0093】
M
1は抗体であってよい。より好ましくは、M
1は完全ヒト抗体である。
【0094】
必要に応じて、M
1は、腫瘍関連抗原、膵がんに関連する抗原、悪性疾患に関連する抗原、自己免疫疾患に関連する抗原、免疫機能不全疾患に関連する抗原、白血病に関連する抗原、神経疾患に関連する抗原、膜貫通アクチベータに対する抗原、およびCAML−相互作用因子に対する抗原からなる群から選択される抗原に対して特異的な抗体であってよい。
【0095】
M
1はまた、CA125、CA15−3、CA19−9、L6、Lewis Y、Lewis X、アルファフェトプロテイン、CA 242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺酸ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1−KLH、CEA、gp100、MART1、IL−2受容体、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD66a−d、CD67、CD74、CD79a、CD80、CD126、CD138、CD154、B7、MUC1、LALI、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、がん遺伝子、がん遺伝子生成物、壊死抗原、T101、TAG、IL−6、MIF、TRAIL−R1(DR4)、TRAIL−R2(DR5)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ムチン、P21、MPG、およびNeuがん遺伝子生成物からなる群から選択される抗原に対して特異的な抗体であってよい。
【0096】
少なくとも1つのM
2は、放射性同位元素を含んでもよい。
【0097】
少なくとも1つのM
1は、治療用タンパク質またはポリペプチドであってよい。好ましくは、治療用タンパク質のアミノ酸配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロン、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターロイキン、インターロイキン−2、エリスロポエチン、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン、アポミオグロビン、アスパラギナーゼ、レプチン、血清タンパク質、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、インスリン、ろ胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、尿酸オキシダーゼ、アデノシンデアミナーゼ、抗体融合タンパク質、およびVII因子からなる群から選択される野生型治療用タンパク質に対して少なくとも80%の配列相同性を含有する。より好ましくは、治療用タンパク質のアミノ酸配列は、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロン、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターロイキン、インターロイキン−2、エリスロポエチン、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン、アポミオグロビン、アスパラギナーゼ、レプチン、血清タンパク質、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、インスリン、ろ胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、尿酸オキシダーゼ、アデノシンデアミナーゼ、抗体融合タンパク質、およびVII因子からなる群から選択される野生型治療用タンパク質に対して少なくとも90%の配列相同性を含有する。
【0098】
少なくとも1つのM
1は、オリゴヌクレオチドおよびsiRNAからなる群から選択されてもよい。
【0099】
本発明はまた、
S−(L−B−(L−M
1)
k)
u 式(VII)、
S−(L−B−L−(M
1)
k)
u 式(VIII)、
S−(L−B−(L−M
2)
k)
u 式(IX)および
S−(L−B−L−(M
2)
k)
u 式(X)
からなる群から選択される構造式を有するコンジュゲートを提供する
(式中、
Sは、固体支持体を含み、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖からなる群から選択され、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、低分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
各V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化27】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSからなる群から選択され、
各G
2は、独立して、OおよびSからなる群から選択され、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2からなる群から選択され、
各G
4は、独立して、OおよびNR
3からなる群から選択され、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーからなる群から選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、アリシクリル、およびヘテロアリシクリルからなる群から選択され、R
3における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約500の整数であり、
kは、0または1〜約20の整数である)。
【0100】
本実施形態では、Bは、3〜約1000の糖アルコール単位であってよい。
【0101】
本実施形態では、Sは、ポリスチレン支持体、ポリアミド支持体、ポリエチレングリコール支持体、ポリアクリル支持体、ポリアクリル/ベータ−アラニンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポリスチレンコポリマー支持体、ポリアクリルアミド/ポリエチレングリコールコポリマー支持体、ポリエチレングリコール/ポリスチレンコポリマー支持体、調節された細孔ガラス、アガロース、デキストランゲル、多糖ベースのポリマー、ポリマーミクロスフェア、ラテックスミクロスフェア、ポリスチレンからなるポリマー粒子、スチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリビニルトルエン、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のコポリマーからなるポリマー粒子、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)のコポリマー、無機構築物、金属、半導体、超常磁性複合材、生分解性構築物、合成デンドリマー、デンドロン、量子ドット、色素コーティングされた粒子、および磁気コーティングされた粒子からなる群から選択されてもよい。必要に応じて、Sはアガロースビーズである。代わりに、Sは、磁気コーティングされた粒子であってよい。
上記の実施形態のすべてにおいて、Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーB
1を含む改変された糖アルコールポリマーであってよく、各糖アルコールモノマーは、1つのモノマー単位のX、YまたはZ部分と、別のモノマー単位のX、YまたはZとの間の反応により形成される連結基Wを介して、1つまたは複数の糖アルコールモノマーと結合しており、
各B
1は、独立して、式XIの化学構造を有する
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、nおよびpのそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、n+pは1〜12の間であり、
rは0または1であり、
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
で表される各結合は、単結合または二重結合であり、
Qは、=O、=N−O−L−M
1、=N−O−L−M
2、=N−O−L−S、−NH−O−L−S、−NH−O−L−M
1、および−NH−O−L−M
2からなる群から選択され、
X、YおよびZのそれぞれは、M
1、M
2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
X、YおよびZのそれぞれは、SともM
1、M
2とも結合していない場合、−OH、−J、−R
5J、−C(=O)−J、−C(=O)−CH
2−J、
−NH−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−OR
6、−OR
7、−O−メシル、−O−トシル、
−NH−C(=O)−CH
2−O−メシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−トシル、−SH、−S−S−tブチル、
−SR7、−SR
5、−S−S−R
8、−S(=O)
2−J、−NH
2、−NHR
5、−N(R
5)R
5、−NHR
7、−NH−Fmoc、
−NH−Boc、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−N=C=S、−N=C=O、−C≡C−R
5、
−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、
−O−N(−フタルイミジル)、−NH−NH
2、−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=O)−NH−NH
2、
−NH−C(=S)−NH−NH
2、−トルエンスルホニルヒドラジド、−R
5−NH−C(=NH
2+)−NH
2、
ベンゾフェノン、アリールジアゾニウム、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、アントラキノン、ジアジリン、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ジカルボニル基、エポキシド、オキシラン、オルガノシラン、ホスホニウム基、エステル、無水物、カーボネート基、グリオキサール、−C(=NH
2)−O−R
5、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、エチルビニル、マレイミド、ビニルスルホン、アリルスルホン、チオエステル、シスプラチン誘導体、アジリジン、アクリロイル基からなる群から独立して選択される官能基であり、
各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールからなる群から選択され、R
5における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTからなる群から選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルからなる群から選択され、
各Jは、独立して、Cl、BrおよびIからなる群から選択され、
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立して、結合または−R
9−V−R
2−
*
(式中、「
*」は、X、Y、S、M
1もしくはM
2、またはZにそれぞれ結合しているL
1、L
2、およびL
3の部分を表す)であり、
各WおよびVは、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化30】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
各R
9は、結合または−CH
2−であり、
少なくとも、B
1単位の1つにおいて、各−L
3−Z部分は−OR
1であり、各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)。
【0102】
必要に応じて、Bは式XIIの化学構造:
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
は、M
1、M
2またはSへの結合を表し、
L4のそれぞれは、M
1、M
2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
kが0である場合、
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
はYを表し、kが、1〜約20から選択される整数である場合、
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
は、M
1、M
2またはSへの結合を表す)を有する。
【0103】
代わりに、Bは、化学構造式XIII:
*1−L4−(B
1−W)
s−B
1−L
4−
*2 (XIII)
(式中、
「
*1」は、S、M1またはM2に結合している前記L4の部分を表し、
L4のそれぞれは、M1、M2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
sは、0または1〜約500から独立して選択される整数であり、
kが0である場合、L4−
*2はYを表し、
kが1〜約20から選択される整数である場合、「
*2」は、M1、M2、またはSに結合している前記L4の部分を表し、
各B1は、独立して、化学構造式XIV:
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
を有し、
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
1への結合を表し、
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
2への結合を表す)を有してもよい。
【0104】
別の態様では、本発明はまた、3つ以上の単量体糖アルコール単位B
1を含む直鎖状、分枝または大環状マルチマーの糖アルコールを有する化合物であって、
各単量体糖アルコール単位が、1つのモノマー単位のX、YまたはZ部分と、別のモノマー単位のX、YまたはZとの間の反応により形成される連結基Wを介して、1つまたは複数の他のモノマー単位と結合しており、
各B
1が、化学構造式XV:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、各B
1について、独立して、
nおよびpのそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、
n+pは1〜12の間であり、
rは0または1であり、
X、YおよびZのそれぞれは、独立して、−OH、−J、−R
5J、−C(=O)−J、−C(=O)−CH
2−J、−NH−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−OR
6、−OR
7、−O−メシル、−O−トシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−メシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−トシル、−SH、−S−S−tブチル、−SR7、−SR
5、−S−S−R
8、−S(=O)
2−J、−NH
2、−NHR
5、−N(R
5)R
5、−NHR
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−N=C=S、−N=C=O、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−NH−NH
2、−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=S)−NH−NH
2、−トルエンスルホニルヒドラジド、−R
5−NH−C(=NH
2+)−NH
2、ベンゾフェノン、アリールジアゾニウム、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、アントラキノン、ジアジリン、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ジカルボニル基、エポキシド、オキシラン、オルガノシラン、ホスホニウム基、エステル、無水物、カーボネート基、グリオキサール、−C(=NH
2)−O−R
5、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、エチルビニル、マレイミド、ビニルスルホン、アリルスルホン、チオエステル、シスプラチン誘導体、アジリジン、アクリロイル基から選択され、
各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールから選択され、R
5における任意の環が必要に応じて置換されており、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各Jは、独立して、Cl、BrおよびIから選択され、
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立して、結合または−R
9−V−R
2−
*(式中、「
*」は、X、Y、またはZにそれぞれ結合しているL
1、L
2、およびL
3の部分を表す)であり、
各VおよびWは、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NH、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、アリシクリル、ヘテロアリシクリルから選択され、R
3における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
各R
9は、結合または−CH
2−であり、
少なくとも、前記B
1単位の1つにおいて、各−L
3−Z部分は、−OR
1であり、各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、少なくとも前記B
1単位の1つにおいて、n+p+rは1を超える)
を有する化合物を提供する。
【0105】
好ましくは、上記化合物は、約5kDa〜約500kDaの分子量を有する。さらに好ましくは、上記化合物は、約10kDa〜約100kDaの分子量を有する。最も好ましくは、上記化合物は、約10kDa〜約60kDaの分子量を有する。
【0106】
好ましくは、上記化合物は、90%を超える純度を有する。より好ましくは、上記化合物は、95%を超える純度を有する。
【0107】
最も好ましくは、上記化合物は、約10kDa〜約60kDaの分子量を有し、該化合物は、95%を超える純度を有する。
【0108】
上記化合物は、−S−、−O−、−NH−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択されるWを有してもよい。
【0109】
必要に応じて、上記化合物は、−S−、−O−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択されるWを有する。より好ましくは、Wは−O−である。
【0110】
好ましくは、上記化合物のX、Y、またはZのうちの少なくとも1つは、−O−NH
2、−N=C=S、−N=C=O、−C≡C−R
5、−N=N
+=N−、−SR
5、−S−S−R
8、−C(=O)−CH
2−J、ジエン、ジエノフィル、ケトン、アルデヒド、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、トリフルオロメチルフェニルジアジリン、N−ヒドロキシルスクシンイミジルエステル(N−hydroxylsuccimidyl ester)、およびマレイミドから選択されてもよく、
各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルおよびアリールから選択されてもよく、R
5における任意の環が必要に応じて置換されており、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択されてもよく、各Jは、独立して、Cl、Br、およびIから選択される。
【0111】
必要に応じて、上記化合物に関して、L
1、L
2のそれぞれは−CH
2−であってよく、各L
3は結合であってよく、各Zは、−OR
1(式中、R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)であってよい。
必要に応じて、上記化合物に関して、各Xは−O−(C
1〜C
8アルキル)であってよく、少なくとも1つのYは、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−C≡C−C
1〜C
4アルキル、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−マレイミド、
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
であってよく、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0112】
必要に応じて、上記化合物の各−L
3−Z部分は−OR
1であってよく、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択されてもよい。
【0113】
必要に応じて、上記化合物に関して、各L
1およびL
2は−CH
2−であってよい。
【0114】
上記化合物に関して、各rは0であってよい。
【0115】
上記化合物は、少なくとも1つのXおよび少なくとも1つのYを有していてもよくこれらは、同じであり、N−ヒドロキシスクシンイミジル(N−hydroxysuccimidyl)、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−マレイミド、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−C≡C−C
1〜C
4アルキル、
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
から選択されてもよい。
【0116】
上記化合物はまた、各−L
3−Zを−OHとしてもよい。
【0117】
上記化合物はまた、各L
1およびL
2を−CH
2−としてもよい。
【0118】
上記化合物はまた、各rを0としてもよい。
【0119】
上記化合物は、−OH、−OC
1〜C
8アルキル、−S−S−R
8、−O−NH
2、−C(=O)−OH、N−ヒドロキシスクシンイミド(hydroxysuccimide)、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−マレイミド、−NH−C(=O)−CH
2−Br、
【化42】
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および−S−C(=O)−CH
3から独立して選択される少なくとも1つのXおよび少なくとも1つのYを有していてもよく、XおよびYは異なる。好ましくは、各−L
3−Zは−OHである。より好ましくは、各−L
3−Zは−OHであってよく、各L
1、L
2は−CH
2−であってよい。最も好ましくは、各−L
3−Zは−OHであり、各L
1、L
2は−CH
2−であってよく、各rは0である。
【0120】
上記化合物は少なくとも1つのX、YまたはZを有していてもよく、少なくとも1つのX、YまたはZはビニルスルホン基であってよいか、または式:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
10は電子求引基であり、R
11は必要に応じて置換されているアリールである)を有する。
【0121】
必要に応じて、上記化合物のマルチマーは直鎖状であってよく、以下の構造XVI
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、vは、2〜約2000の整数である)を有する。より好ましくは、上記化合物の各−L
3−Z部分は−OR
1であり、以下の構造XXI
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)を有する。さらにより好ましくは、各rは0であり、マルチマーは、以下の構造XVII
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)を有する。さらにより好ましくは、上記化合物は、以下の構造XVIII
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)を有する。さらにより好ましくは、Wは、−S−、−O−、−NH−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択される。
必要に応じて、Wは、−S−、−O−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択されてもよい。好ましくは、Wは−O−である。必要に応じて、XおよびYは同じではない。
【0122】
必要に応じて、上記化合物は、構造式XIX
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、tは、3〜約2000の整数であり、各nは、独立して、2〜約12から選択されてもよく、各pは、独立して、1〜約12から選択されてもよい)を有する、環式であるマルチマーであってよい。
【0123】
必要に応じて、上記化合物は、構造式XX:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、各nおよびpは、独立して、0〜12から選択される整数であり、n+pは2〜12の間にあり、
各nは、独立して、1〜12から選択される整数であり、
各vは、独立して、0〜2000から選択される整数である)を有する、分枝した大きい(macro)糖アルコール化合物であるマルチマーであってよい。
【0124】
本発明はまた、化学構造式XXI:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、nおよびpのそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択されてもよく、n+pは2〜12の間にあり、
rは0または1であり、
X
1のそれぞれは、独立して、−OH、−J、−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−S−C(=O)−CH
3、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−C(=O)−NH−NH
2、フェノール基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、マレイミドから選択されてもよく、
Y
1のそれぞれは、独立して、−S−S−tブチル、−SR
7、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−SR
8、−NHR
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、マレイミドから選択されてもよく、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択されてもよく、
各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールから選択されてもよく、R
5における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択されてもよく、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択されてもよく、
各Jは、独立して、Cl、Br、およびIから選択されてもよく、
L
4およびL
5は、独立して、結合、−CH
2−
*、−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−NH−C(=O)−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*から選択されてもよく、
「
*」は、X
1またはY
1と結合しているL
4およびL
5の部分を表す)
を有する、単量体糖アルコールを提供する。
【0125】
必要に応じて、上記単量体糖アルコールは、
X
1を−C(=O)−OHとしてもよく、rは0であり、Y
1は、独立して、−NH−R
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−S−S−R
8、−S−S−R
7、−S−S−tブチル、−O−NH−Fmoc、−O−N−(Boc)
2、および−O−N(−フタルイミジル)から選択されるものとし、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
rが1である場合、Y
1はOR
1であり、
各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される。
【0127】
必要に応じて、上記単量体糖アルコールはX
1をホスホルアミダイトとしてもよく、
rが0である場合、Y
1は、独立して、−S−S−(C
1〜C
4アルキル)−OR
7、S−S−R
8、−NH−TFA、−NH−R
7から選択されるものとし、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0128】
上記単量体糖アルコールは、X
1およびY
1を同じものとしなくてもよい。より好ましくは、X
1およびY
1のうちの少なくとも1つは、−O−NH
2、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、マレイミド基からなる群から選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0129】
上記単量体糖アルコールは、式(XXII)
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、nは、約2〜約8から選択される整数であり、
X
2は、
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
Y
2は、
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
W
1は、−C(=O)−NH−、および−NH−C(=O)−からなる群から選択される独立したリンカーであり、
J
1のそれぞれは、独立して、Cl、BrおよびIから選択され、
W
2のそれぞれは、独立して、
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
W
3のそれぞれは、独立して、
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される)の構造を有してもよい。
【0130】
好ましくは、上記単量体糖アルコールは、
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式の構造を有していてもよい。
【0131】
より好ましくは、上記単量体糖アルコールは、
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式の構造を有する。
【0132】
代わりに、上記単量体糖アルコールは、
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0133】
代わりに、上記単量体糖アルコールは、
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0134】
最も好ましくは、上記単量体糖アルコールは、
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0135】
最も好ましくは、上記単量体糖アルコールは、
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0136】
本発明はまた、化学構造式XXVIII:
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、n1、n2、p1、およびp2のそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、n1+p1は1〜12の間にあり、n2+p2は2〜12の間にあり、
rは0または1であり、
W
3は、−S−、−O−、−NH−、−NC
1〜C
6アルキル−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択され、
X
3のそれぞれは、独立して、−OH、−J、−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−S−C(=O)−CH
3、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−C(=O)−NH−NH
2、フェノール基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびイミドエステル、マレイミド、ならびにホスホルアミダイトから選択され、
Y
3のそれぞれは、独立して、−S−S−tブチル、−SR
7、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−NHR
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、およびマレイミドからなる群から選択され、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTからなる群から選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルからなる群から選択され、
各Jは、独立して、Cl、Br、およびIからなる群から選択され、
L
4およびL
5は、独立して、結合、−CH
2−
*、−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−NH−C(=O)−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−およびC(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*からなる群から選択され、
「
*」は、X
3またはY
3に結合しているL
4およびL
5の部分を表す)を有する、二量体糖アルコールを提供する。
【0137】
好ましくは、上記二量体糖アルコール化合物は、−S−、−O−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、および−P(=S)(=O)O−からなる群から選択されるW
3を有する。
【0138】
上記二量体糖アルコール化合物は、−O−であるW
3を有してもよい。
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3を−C(=O)−OHとしてもよく、rは0であり、Y
3は、独立して、−NH−R
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−S−S−R
8、−S−S−R
7、−S−S−tブチル、−O−NH−Fmoc、−O−N−(Boc)
2、および−O−N(−フタルイミジル)からなる群から選択されるものとし、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTからなる群から選択され、
rが1である場合、YはOR
1であり、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される。
【0139】
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3を、ホスホルアミダイトとしてもよく、rが0である場合、Y
3は、独立して、−S−S−(C
1〜C
4アルキル)−OR
7、S−S−R
8、−NH−TFA、−NH−R
7からなる群から選択されるものとし、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0140】
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3およびY
3を同じとしなくてもよい。
【0141】
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3およびY
3を、独立して、−O−NH
2、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、およびマレイミド基からなる群から選択されるものとし、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルからなる群から選択される。
【0142】
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3をアミノオキシ基としてもよく、Y
3は、マレイミド基、スルフヒドリル基、ジスルフィド基、ハロアセチル基、アジド基、およびアルキン基からなる群から選択されるものとしてもよい。
【0143】
上記二量体糖アルコール化合物は、X
3を必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとしてもよく、Y
3は、マレイミド基、スルフヒドリル基、ジスルフィド基、ハロアセチル基、アジド基、およびアルキン基からなる群から選択されるものとしてもよい。
【0144】
本発明はまた、化学式
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
nは、2〜約8の整数であり、
mは、1〜約8の整数であり、
pは、1〜約2000の整数であり、
X
1のそれぞれは、
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各Y
1は、
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各W
1は、−C(=O)−NH−および−NH−C(=O)−からなる群から選択され、
各J
1は、Cl、BrまたはIからなる群から選択され、
R
18は、水素、C
1〜8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルおよびアリールからなる群から選択され、R
18における任意の環は、必要に応じて置換されており、
各W
2は、独立して、
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
W
3のそれぞれは、独立して、
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される)
を有する第1の糖アルコール由来の化合物の実施形態を提供する。
【0145】
好ましくは、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0146】
より好ましくは、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0147】
最も好ましくは、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0148】
代わりに、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0149】
代わりに、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0150】
代わりに、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0151】
好ましくは、上記第1の糖アルコール由来の化合物は、1〜約1000の整数であるpを有する。
【0152】
好ましくは、化合物の実施形態は、pが1〜約500の整数である、糖アルコール由来の化合物であってよい。
【0153】
必要に応じて、上記第1の糖アルコール由来の化合物の分子量は、約5KDa〜約500KDaであってよい。好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約100KDaである。より好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約60KDaである。
【0154】
必要に応じて、上記第1の糖アルコール由来の化合物は約90%の純度である。好ましくは、上記化合物は約95%の純度である。より好ましくは、上記化合物は約97%の純度である。
【0155】
上記第1の糖アルコール由来の化合物の分子量は、約5KDa〜約500KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。より好ましくは、化合物の上記分子量は約10KDa〜約100KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。最も好ましくは、上記化合物の分子量は約10KDa〜約60KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。
【0156】
本発明はまた、化学式
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
nは、2〜約8の整数であり、
X
2は、
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
Y
2は、
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
W
1は、−C(=O)−NH−、および、−NH−C(=O)−からなる群から選択される、独立したリンカーであり、
各J
1は、独立して、Cl、BrおよびIから選択され、
各W
2は、独立して、
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各W
3は、独立して、
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される)を有する第2の糖アルコール由来の化合物を提供する。
【0157】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0158】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0159】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0160】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0161】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0162】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物は、
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学式を有する。
【0163】
必要に応じて、上記第2の糖アルコール由来の化合物の分子量は、約5KDa〜約500KDaであってよい。好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約100KDaである。より好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約60KDaである。
【0164】
必要に応じて、上記第2の糖アルコール由来の化合物は約90%の純度である。好ましくは、上記化合物は約95%の純度である。より好ましくは、上記化合物は約97%の純度である。
【0165】
好ましくは、上記第2の糖アルコール由来の化合物の分子量は、約5KDa〜約500KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。より好ましくは、上記化合物の分子量は約10KDa〜約100KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。最も好ましくは、上記化合物の分子量は約10KDa〜約60KDaであってよく、該化合物は約90%の純度である。
【0166】
本発明はまた、化学式
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
nは、2〜約8から選択される整数であり、
mは、1〜約8から選択される整数であり、
pは、2〜約2000から選択される整数であり、
各Wは、独立して、−S−、−NH−、−O−、−NC
1〜C
6アルキル−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=O)
2O−、−P(=S)
2O−、−C(=O)O−および−P(=S)(=O)O−から選択され、
X
3およびY
3のそれぞれは、独立して、
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ベンゾフェノン、アリールジアゾニウム、ビニルスルホンおよびアリルスルホンからなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
L
1およびL
2は、独立して、結合、−CH
2−
*から選択され、
「
*」は、X
3またはY
3に結合しているL
1およびL
2の部分を表し、
R
18は、水素、C
1〜8アルキル;アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールであり、R
18における任意の環は、必要に応じて置換されており、
W
1のそれぞれは、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−からなる群から選択される独立したリンカーであり、
J
1のそれぞれは、独立して、Cl、BrおよびIから選択され、
W
2のそれぞれは、独立して、
【化87】
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からなる群から選択され、
W
3のそれぞれは、独立して、
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される)を有する、第3の糖アルコール由来の化合物を提供する。
【0167】
好ましくは、上記第3の糖アルコール由来の化合物の実施形態は、約2〜約1000から選択される整数であるpを有する。より好ましくは、pは、1〜約1000から選択される整数である。最も好ましくは、pは、1〜約500から選択される整数である。
【0168】
好ましくは、上記第3の糖アルコール由来の化合物は、約5KDa〜約500KDaの分子量を有する。より好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約100KDaである。最も好ましくは、上記化合物の分子量は、約10KDa〜約60KDaである。
【0169】
好ましくは、上記第3の糖アルコール由来の化合物は約90%の純度である。より好ましくは、上記化合物は約95%の純度である。最も好ましくは、上記化合物は約97%の純度である。
【0170】
好ましくは、上記第3の糖アルコール由来の化合物の分子量は、約5KDa〜約500KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。より好ましくは、化合物の分子量は約10KDa〜約100KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。最も好ましくは、上記化合物の分子量は約10KDa〜約60KDaであってよく、該化合物は約90%の純度であってよい。
【0171】
本発明は、生体分子の標識化および結合体化に対して、およびドラッグデリバリーに対して適切である、SA架橋試薬およびSA高分子を含めた、一連の新規の化学物質を構築するための骨格として、糖アルコール(SA)分子が使用される方法および組成物を提供する。これらの新規分子は、既存の系よりも重大な利点を有する。(i)水素結合により親水性が付与されている超親水性。上記SAは、上記分子全体にわたり利用可能な水素結合ドナーおよびアクセプターを有し、これによって、該分子が水のネットワークとより類似したものになっている。
図1に示されているように、SAは、比較できるPEGリンカー(LogP=−2.117)よりも親水性がずっと高い(より低いLogP値、LogP=−3.995)。(ii)単一のおよび純粋な大きいMWのSA高分子は、容易に合成することができる。同じ原子長に対して、SAは、上記PEGリンカーと比較してより大きなMWを有する(
図1)。同様の長さのSA高分子のMWはおよそ45%大きい。大きいMWの生物学的コンジュゲートを単一化合物として作製した場合、分子および合成の経済性または効率が有利となり得る。(iii)SA高分子における複数のアクセス可能な官能基。ドラッグデリバリー分野では、可変のMWの化合物を有するポリマー、例えばポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)が普通使用され、このポリ(乳酸−co−グリコール酸)は多くのFDAが承認した治療用デバイスに広く使用されている。しかし、PLGAが生体分子を標識または結合体化するために使用される場合、官能基は末端のみに限られ、該分子の充填が非常に低いことになる。これはまたPEGにも当てはまる。SA高分子は、該分子全体にわたり官能基を有し、容易にアクセス可能である。上記SA高分子の構造に応じて、薬物の高密度3Dネットワークを達成することができる。(iv)生分解性および生体適合性。SA高分子は、天然の糖アルコールをベースとするものであり、インビボで容易に分解することができる。標識が、エステル結合を使用してOH基を介して行われる場合、水の存在下でこれを分解できる(加水分解する)。この特性により、SA架橋試薬およびSA高分子は、低分子薬物のデリバリー、ならびに大きな分子の医薬品(例えば、生物製剤)に対する重要な候補となる。
【0172】
本発明は、対象となる分子を標識、結合体化、および固定化するために使用することができる様々な官能基を有する新規のSA架橋試薬の集合を提供する。一態様では、本発明は一般的に、1つまたは複数の単量体糖アルコール単位B
1(改変されたSA単位)を含む、単量体の、直鎖状、分枝、または大環状のマルチマー糖アルコール部分に関する。前駆体化合物が2つ以上の単量体糖アルコール単位を含む場合、各単量体糖アルコール単位は、連結基W(式中、Wは、あるモノマー単位のXおよびY部分と、他の任意のモノマー単位のXおよびYとの間の反応により形成される)を介して、1つまたは別の単量体糖アルコール単位と結合している。各B
1は、化学構造式XV:
【化89】
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(式中、各B
1について、独立して:
nおよびpのそれぞれは、独立して、0および約1〜約12から選択される整数から選択され、n+pは、1〜12の間であり、
rは0または1であり、
X、Y、およびZのそれぞれは、独立して
、−OH、−J、−R
5J、−C(=O)−J、−C(=O)−CH
2−J、−NH−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−OR
6、−OR
7、−O−メシル、−O−トシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−メシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−トシル、−SH、−S−S−tブチル、−SR7、−SR
5、−S−S−R
8、−S(=O)
2−J、−NH
2、−NHR
5、−N(R
5)R
5、−NHR
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−N=C=S、−N=C=O、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−NH−NH
2、−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=S)−NH−NH
2、−トルエンスルホニルヒドラジド、−R
5−NH−C(=NH
2+)−NH
2、ベンゾフェノン、アリールジアゾニウム、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、アントラキノン、ジアジリン、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ジカルボニル基、エポキシド、オキシラン、オルガノシラン、ホスホニウム基、エステル、無水物、カーボネート基、グリオキサール、−C(=NH
2)−O−R
5、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、エチルビニル、マレイミド、ビニルスルホン、アリルスルホン、チオエステル、シスプラチン誘導体、アジリジン、アクリロイル基のそれぞれ、各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールから選択され、R5における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各Jは、独立して、Cl、BrおよびIから選択される。
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立して、結合または−R
9−V−R
2−
*である。
【0173】
一部の実施形態では、上記リンカーは、−R
6−V−R
2−
*であり、「*」は、X、Y、またはZに結合しているリンカーの部分を表し、Vは連結基である。
【0174】
一部の実施形態では、各VおよびWは、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化90】
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から選択される。
【0175】
各G
1は、独立して、NR
7、O、またはSから選択され、各G
2は、独立して、OまたはSであり、各G
3は、独立して、S、O、NR
3、またはSO
2から選択され、各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、各R
3は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、各R
9は結合または−CH
2−であり、各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、各R
8は、独立して、C
1〜C
8アルキルである。
【0176】
いくつかの好ましい実施形態では、連結基Wは、−S−、−O−、−NH−、−NC
1〜C
6アルキル−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、または−P(=S)(=O)O−から選択される。
【0177】
特定のより好ましい実施形態では、Wは、−S−、−O−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、または−P(=S)(=O)O−から選択される。特定のさらにより好ましい実施形態では、Wは−O−である。
【0178】
一部の実施形態では、「改変された」SA単位は、そのOH基のうちの1つまたは複数が、別の官能基での置換により化学的に改変されたSA単位を指す。この場合、OH置換されているXに接続しているL
1は−CH
2−であり、OH置換されているYに接続しているL
2は−CH
2−であり、OH置換されているZに接続している任意のL
3は結合である。一部の実施形態では、「改変された」SA単位は、その−CH
2OH基のうちの1つのまたは両方が酸化して、普通アルデヒドまたはカルボン酸となり、次いで他の官能基でさらに改変されているSA単位を指す。この場合、L
1およびL
2は結合である。一部の実施形態では、「改変された」SA単位はまた、1つまたは複数のOH基における水素原子が化学的保護基、脱離基、または他の官能基で置き換えられているSA単位を指す。この場合、L
1およびL
2のそれぞれは−CH
2−であり、L
3は結合である。好ましくは、各−L
3−Zは−OR
1である(各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)。以下は、SAのB
1単位の様々な単純化された構造のリストである。
【化91】
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【0179】
特定の実施形態では、官能基X、Y、およびZはアミン反応性基である。アミンに対する一次カップリング反応は、アシル化またはアルキル化を介する。好ましいアミン活性基には、例えば、カルボン酸、ケテン、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、ハロゲン化アシル、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、スルホニルクロリド、カルボニル基、例えばアルデヒド、ケトン、およびグリオキサール、エポキシドまたはオキシラン、カーボネート基、ハロゲン化アリール、例えば、フルオロベンゼン誘導体、ハロゲン化アルキル、イミドエステル、またはイミデート官能基、無水物、フルオロフェニルエステル、およびヒドロキシメチルホスフィン誘導体が挙げられる。ある特定の例では、XまたはYはアルギニン反応性基である。アルギニン側鎖上のグアニジニル基は、1,2−ジカルボニル試薬、例えば、グリオキサールのジケトン基を使用して、特異的に標的にすることができる。
【0180】
特定の実施形態では、官能基X、Y、およびZはチオール反応性基である。チオールに対する一次カップリング反応は、アルキル化またはジスルフィド交換を介する。好ましいチオール反応性基には、例えば、チオール、ハロアセチルおよびハロゲン化アルキル、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、例えば、環にハロゲンまたはスルホネート基のいずれかを保有するベンゼン誘導体、チオール−ジスルフィド交換試薬、例えば、ピリジルジチオールおよびチオールニトロ安息香酸、ビニルスルホン、システイン誘導体、チオエステル、およびシスプラチン誘導体が挙げられる。
【0181】
特定の実施形態では、官能基X、Y、およびZはカルボン酸反応性基である。好ましいカルボン酸反応性基には、例えば、OH、アミン、チオール、ジアゾメタンおよびジアゾアセテート誘導体、およびアシルイミダゾール脱離基が挙げられる。
【0182】
特定の実施形態では、官能基X、Y、およびZはOH反応性基である。好ましいヒドロキシル反応性基には、例えば、エポキシドまたはオキシラン、ハロゲン化アルキル、カルボン酸およびその活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、ホスホニウム中間体、トシレートまたはメシレート、スルホニルクロリド、無水物、アシルアジド、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、エチルビニル、ハロゲン化トリチル、フルオロベンゼン誘導体、シリル−ハロゲン化物、およびケテンが挙げられる。
【0183】
いくつかの好ましい実施形態では、官能基X、Y、およびZは、アルデヒドまたはケトン基と反応してオキシム結合を形成することが可能なアミノオキシ基である。別の実施形態では、官能基X、Y、およびZは、アルデヒドまたはケトン基と反応して、ヒドラジン結合を形成することが可能なヒドラジンである。別の実施形態では、官能基X、Y、およびZは、アルデヒドまたはケトン基と反応して、セミまたはチオセミカルバゾン結合を形成することが可能なセミまたはチオセミカルバジドである。別の実施形態では、XまたはYは、アミン官能基であり得る。アミン基は、シッフ塩基形成を介してアルデヒドと反応することができ、形成された炭素アミン二重結合は、さらに還元することによって、安定した第二または第三アミン結合にすることができる。アミン基はまた、ホルムアルデヒドの存在下、活性水素含有化合物と反応することもできる(マンニッヒ反応)。
【0184】
一部の実施形態では、官能基X、Y、およびZは、特定の生体分子に存在する特定の反応性(または置き換え可能な)水素と反応することができる。例えば、X、Y、またはZは、芳香族環の活性水素部位と反応して共有結合のジアゾ結合を生成するジアゾニウム基であってよい。
【0185】
一部の好ましい実施形態では、官能基X、Y、およびZは、紫外光への曝露により、対象となる分子とカップリングするように誘導できる光反応性基である。好ましい光反応性基には、例えば、ジアジリン基が含まれる。ジアジリン基より好ましいのは、3−トリフルオロメチル−3−アリールジアジリン(aryaldiazirine)である。他の好ましい光反応性基は、アリールアジド、ハロゲン化アリールアジド、ベンゾフェノン、アントラキノン、ジアゾ類、例えば、ジアゾトリフルオロプロピオネートおよびジアゾピルベート、ならびにソラレン誘導体である。
【0186】
一部の好ましい実施形態では、官能基X、Y、およびZは、ディールス‐アルダー反応を介して分子を結合することが可能なジエン、ジエノフィル基、またはアルケンである。好ましくは、X、Y、またはZは、[3+2]付加環化を介して分子を結合することが可能なアジド官能基またはアルキンであってよい。別の実施形態では、X、Y、またはZは、アリル型水素(エン)または複数の結合(エノフィル)を有するアルケンであってよい。別の実施形態ではX、Y、またはZは、1,3−双極子または親双極子(アルケンを置換する)であってよい。
【0187】
一部の好ましい実施形態では、Xは保護されたアミンであり、Yは、各−L
3−Zが−OR
1である酸である。SA架橋試薬は、固相合成ストラテジーを介して任意の分子(例えば、ペプチドおよび核酸オリゴマー)に組み込むことができる。例えば、Xは、フルオレニルメチルオキシカルボニル(fluorenymethyloxycarbonyl)(Fmoc)で保護されたアミンであり得る。別の例では、Xは、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)で保護されたアミンであり得る。別の例では、Xは、トリフェニルメチルクロリド(chlroride)(トリチル)、ジメトキシトリチル(DMT)、またはモノメトキシトリチル(MMT)で保護されたアミンであり得、これによって、固相合成を介してSA架橋試薬をオリゴマーに組み込むことができる。
【0188】
一部の好ましい実施形態では、Xは保護されたチオール(例えば、トリチルまたはt−ブチルチオールで保護された)であり、Yは、各−L
3−Zが−OR
3(式中、R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択される)である酸である。
【0189】
一部の好ましい実施形態では、Xは、保護されたアミン(例えば、トリチル、DMT、またはMMTで保護された)であり、Yは、各−L
3−Zが−OR
3であるホスホルアミダイトである。
【0190】
一部の実施形態では、XおよびY基は同じであり、各−L
3−Zは−OR
1であり、よってホモ二官能性SA官能性試薬である。ホモ二官能性SA官能性試薬の例には、ホモ二官能性NHSエステル、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性ジチオピリジル基含有架橋試薬、ホモ二官能性マレイミド基含有架橋試薬、ホモ二官能性ハロゲン化アルキル含有架橋試薬、ホモ二官能性光反応性架橋試薬、ホモ二官能性アルデヒドまたはケトン、ホモ二官能性エポキシド、ホモ二官能性ヒドラジド、ホモ二官能性アミノオキシ、およびホモ二官能性ジアゾニウムが含まれる。
【0191】
一部の実施形態では、XおよびY基は異なり、各−L
3−Zは−OR
1であり、よってヘテロ二官能性SA架橋試薬である。特定の好ましい実施形態では、Xはアミン反応性基であり、Yはスルフヒドリル反応性基である。特定の好ましい実施形態では、Xはカルボニル反応性(アルデヒド/ケト)、例えば、アミノオキシ、ヒドラジン、セミカルバジド、またはチオセミカルバジドであり、Yはスルフヒドリル反応性基である。特定の好ましい実施形態では、Xはアミン反応性基であり、Yは光反応性基である。特定の好ましい実施形態では、Xはスルフヒドリル反応性基であり、Yは光反応性基である。特定の好ましい実施形態では、Xはカルボニル反応性基であり、Yは光反応性基である。特定の実施形態では、Xはカルボキシレート反応性基であり、Yは光反応性基である。特定の実施形態では、Xはケトンまたはアルデヒドであり、Yは光反応性基である。
【0192】
さらに、SA架橋試薬は、コンジュゲートに対してインビボでの系統的な薬物放出を可能にする切断可能な結合を組み込むことができる。例えば、アミノオキシ官能基を架橋試薬の末端に導入し、切断可能なオキシムリンカーを使用することによって、架橋されている分子を放出することができる。別の例では、ジスルフィド結合を組み込み、これによって、還元性の環境内での分子の放出を可能にすることもできる。さらに、SA架橋試薬は、インビボで酵素学的に切断し得る別の結合を介して2つ以上のSAを結合することができる。
【0193】
さらに、骨格に2つ以上のOH基(二級OH基)を有するSA架橋試薬は、これら自体が切断可能な結合物となり得る。例えば、2つ以上のOH基を有するSA骨格は、過ヨウ素酸酸化で切断することによって、新規アルデヒド官能基を生成し得る。
【0194】
さらに、SA架橋試薬は、骨格に還元糖単位を組み込んでもよい。SA
1またはSA
2のうちの少なくとも1つにおいて、rは1である。例えば、還元糖単位のうちの1つが還元形態のフルクトースである場合、三官能性基、X、Y、およびケトンを含有するSA架橋試薬を想定することができる。一部の実施形態では、Xは保護されたアミンであってよく、Yは酸であってよい。この構成は、固相合成を介してケトン官能基をペプチドまたはオリゴに導入するのに有用である。このケトンハンドルは、他の分子のコンジュゲーションのために便利に使用することができる。
【0195】
単量体SA架橋試薬および直鎖状SA架橋試薬
【0196】
一態様では、本発明は、1つのSA単位を含む単官能性、ホモ二官能性、およびヘテロ二官能性架橋試薬を提供する。この化合物は、化学構造式XXVI:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
を有する。
【0197】
nおよびpのそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、n+pは2〜12の間であり、rは0または1であり、L
3およびL
4は、独立して、結合、−CH
2−
*、−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−NH−C(=O)−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*から選択され、「
*」は、X
1またはY
4に結合しているL
3およびL
4の部分を表す。各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される。
【0198】
特定の実施形態では、X
1のそれぞれは、独立して、−OH、−J、−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−S−C(=O)−CH
3、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−C(=O)−NH−NH
2、フェノール基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、マレイミド、ホスホルアミダイトから選択され、各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールから選択され、R5における任意の環は必要に応じて置換されており、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、または2,4−ジニトロフェニルから選択され、各Jは、独立して、Cl、Br、またはIから選択される。
【0199】
一部の好ましい実施形態では、X
1は−C(=O)−OHであり、rは0であり
、Y1は、独立して、−NH−R
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−S−S−R
8、−S−S−R
7、−S−S−tブチル、−O−NH−Fmoc、−O−N−(Boc)
2、および−O−N(−フタルイミジル)から選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、rが1である場合、Y
1はOR
1(式中、各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)である。
【0200】
一部の好ましい実施形態では、X
1はホスホルアミダイトであり、rが0である場合、Y
1は、独立して、−S−S−(C
1〜C
4アルキル)−OR
7、S−S−R
8、−NH−TFA、または−NH−R
7(式中、各R
7は、独立して、トリチル、MMT、またはDMTから選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、または2,4−ジニトロフェニルから選択される)から選択される。
【0201】
一部の好ましい実施形態では、X
1およびY
1は同じではない。
【0202】
一部の好ましい実施形態では、各X
1およびY
4のうちの1つは、−O−NH
2、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、またはマレイミド基であり、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、または2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0203】
一部のより好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコールは、以下の構造:
【化93】
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を有する。
式中、nは、約2〜約8から選択される整数であり、
X
2のそれぞれは、
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
Y
2のそれぞれは、
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
W
1のそれぞれは、−C(=O)−NH−、および−NH−C(=O)−からなる群から選択される独立したリンカーであり、
J
1のそれぞれは、独立して、Cl、BrまたはIから選択され、
W
2のそれぞれは、独立して、
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
W
3のそれぞれは、独立して、
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される。
【0204】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造:
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
を有する単官能化した糖アルコール架橋試薬である。
【0205】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
を有するホモ二官能性架橋試薬である。
【0206】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造:
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
を有するヘテロ二官能性アミノオキシ架橋試薬である。
【0207】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
を有するヘテロ二官能性N−ヒドロキシスクシンイミドエステル架橋試薬である。
【0208】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
を有する光架橋試薬である。
【0209】
一部の好ましい実施形態では、上記単量体糖アルコール化合物は、以下の化学構造
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
を有するヘテロ二官能性架橋試薬である。
【0210】
一態様では、本発明は、化学構造式
XXVIII:
【化104】
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を有する二量体糖アルコールを提供する。
式中、n1、n2、p1、およびp2のそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、n1+p2は1〜12の間にあり、n2+p2は2〜12の間にあり、
rは0または1であり、
W
3は、−S−、−O−、−NH−、−NC
1〜C
6アルキル−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、または−P(=S)(=O)O−から選択され、
X
3のそれぞれは、独立して、−OH、−J、−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−S−C(=O)−CH
3、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−C≡C−R
5、−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、−C(=O)−NH−NH
2、フェノール基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、マレイミド、ホスホルアミダイトから選択され、
Y
3のそれぞれは、独立して、−S−S−tブチル、−SR
7、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、−NHR
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、−O−N(−フタルイミジル)、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステル、マレイミドから選択され、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各Jは、独立して、Cl、Br、およびIから選択され、
L
4およびL
5は、独立して、結合、−CH
2−
*、−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−NH−C(=O)−C
1〜8アルキル−
*、−CH
2−C(=O)−NH−C
1〜8アルキル−
*から選択され、
「
*」は、X
3またはY
3に結合しているL
4およびL
5の部分を表す。
【0211】
一部の実施形態では、Wは、−S−、−O−、−S(=O)−、−S(=O)
2−、−P(=S)
2O−、または−P(=S)(=O)O−からなる群から選択される。より好ましくは、Wは−O−である。
【0212】
一部の実施形態では、X
3が−C(=O)−OHである場合;rは0であり、Y
3は、独立して、−NH−R
7、−NH−Fmoc、−NH−Boc、−S−S−R
8、−S−S−R
7、−S−S−tブチル、−O−NH−Fmoc、−O−N−(Boc)
2、および−O−N(−フタルイミジル)から選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、rが1である場合、YはOR
1であり、R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される。
【0213】
一部の実施形態では、X
3がホスホルアミダイトである場合;rが0である場合、Y
3は、独立して、−S−S−(C
1〜C
4アルキル)−OR
7、S−S−R
8、−NH−TFA、−NH−R
7から選択され、各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0214】
一部の好ましい実施形態では、各X
3およびY
3のうちの少なくとも1つは、−O−NH
2、−S−S−R
8、−NH−C(=O)−CH
2CH
2−S−S−R
8、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、またはマレイミド基であり、各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択される。
【0215】
一部のより好ましい実施形態では、X
3はアミノオキシ基であり、Y
3は、マレイミド基、スルフヒドリル基、ジスルフィド基、ハロアセチル基、アジド基、およびアルキン基からなる群から選択される。一部の実施形態では、X
3は、必要に応じて置換されているN−ヒドロキシスクシンイミドエステルであり、Y
3は、マレイミド基、スルフヒドリル基、ジスルフィド基、ハロアセチル基、アジド基、およびアルキン基からなる群から選択される。
【0216】
別の態様では、上記糖アルコールは、以下の構造
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、vは2〜2000から選択される整数である)を有する、直鎖状トリマーまたはより大きいオリゴマーである。
【0217】
一部の好ましい実施形態では、化合物は−OR
1であり、以下の構造XXI
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)を有する。
【0218】
各rが0である一部のより好ましい実施形態では、および以下の構造を有する:
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
【0219】
別の態様では、上記糖アルコール由来の化合物は、構造
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
nは、2〜約8から選択される整数であり、
mは、1〜約8から選択される整数であり、
pは、約1〜約2000から選択される整数であり、
X
1のそれぞれは、
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
各Y
1は、
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される化学基または光架橋基であり、
W
1のそれぞれは、−C(=O)−NH−および−NH−C(=O)−からなる群から選択される独立したリンカーであり、
J
1のそれぞれは、独立して、Cl、BrまたはIから選択され、
R
18は、水素、C
1〜8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジル、またはアリールであり、R
18における任意の環は必要に応じて置換されており、
W
2のそれぞれは、独立して、
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
W
3のそれぞれは、独立して、
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択される)を有する。
【0220】
一部の実施形態では、上記OH基のうちの1つのみが架橋基で改変され、上記直鎖状糖アルコール由来の化合物は、以下の化学構造:
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
を有する。
【0221】
一部の実施形態では、上記一級OH基のうちの2つが、同じ架橋基、すなわち以下の化学構造:
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
を有するホモ二官能性架橋剤で改変されている。
一部の実施形態では、上記一級OH基のうちの2つが、異なる架橋基、すなわち以下の化学構造:
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
を有するアミノオキシヘテロ二官能性架橋剤で改変されている。
一部の実施形態では、上記一級OH基のうちの2つが、異なる架橋基、すなわち以下の化学構造:
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
を有する活性エステルヘテロ二官能性架橋剤で改変されている。
【0222】
一部の実施形態では、上記直鎖状SA分子は、以下の化学構造:
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
を有する光架橋試薬である。
【0223】
一部の実施形態では、上記直鎖状SA分子は、以下の化学構造:
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
を有する。
【0224】
直鎖状SA架橋試薬を合成する方法
本発明は、SA架橋試薬を合成するための方法、例えば、単分散の、所定の大きいMWのSA高分子を合成するための方法を提供する。
図2は、単官能性、ホモ二官能性、およびヘテロ二官能性のSA架橋試薬を合成するための一般的なアプローチの実施形態を図示している。この方法は以下からなる:(i)糖アルコールを提供するステップ;(ii)このSAを、2つの末端の一級OH基を選択的に保護することができる試薬と合わせることによって中間体(I1)を形成するステップ;(iii)このSAを、二級OHと反応する試薬と合わせることによって中間体(I2)を形成するステップ;(iv)このSAを、一級OH基のうちの1つを選択的に脱保護する試薬と合わせることによって中間体(I3)を生成するステップ;および(v)OH基以外の異なる官能基Xを導入する試薬と反応させるステップ(I4)。
【0225】
1つのアプローチにおいて、I4を完全に脱保護することによって、一置換SA架橋試薬(P3)を得ることができる。一置換SA架橋試薬P3のさらなるアルキル化により、単一の活性官能基を有するSA架橋試薬(P4)、すなわちアルキル化一置換SA架橋試薬を生成する。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。
【0226】
1つのアプローチにおいて、I4を、一級OH基を選択的に脱保護する試薬と合わせることによって、I5を生成することができ、I5を、非ヒドロキシル官能基Yを導入する試薬とさらに反応させることができる。I6の二級OH基の脱保護により、ヘテロ二官能性SA架橋試薬、P1が生成する。二級OH基のアルキル化は、P2、すなわちアルキル化ヘテロ二官能性SA架橋試薬をもたらす。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。別のアプローチにおいて、一級OH基の直接的アルキル化、続いて二級OH基の脱保護により、モノアルキル化単官能性SA架橋試薬(P5)が生成する。
【0227】
1つのアプローチにおいて、I2は、両方の一級OH基を脱保護する試薬と合わせることによってI8を生成することができ、このI8を試薬とさらに反応させることによって、両末端に官能基を導入することができる。I9の二級OH基の脱保護により、ホモ二官能性SA架橋試薬(P6)が生成する。二級OH基のアルキル化は、P7、すなわちアルキル化ホモ二官能性SA架橋試薬をもたらす。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。
【0228】
一部の実施形態では、XまたはY官能基は、追加のリンカー(L
1およびL
2)を介してSA骨格に結合することができる。
図3は、追加のリンカーを有する単官能性、ホモ二官能性、およびヘテロ二官能性SA架橋試薬を合成するための一般的アプローチの実施形態を図示している。この方法は、以下からなる:(i)一方の末端に官能基Xを有し、他方の末端に保護された一級OH基を有する糖アルコール中間体(I4)を提供するステップ、および(ii)このSAをXと反応する試薬と合わせることによって、追加のリンカー(L
2)を有する中間体(I10)を形成するステップ。一部の実施形態では上記リンカーは安定したリンカーである。一部の実施形態では、上記リンカーは切断可能なリンカーである。一部の実施形態では、上記リンカーは可逆リンカー(reversible linker)である。
【0229】
1つのアプローチにおいて、I10を完全に脱保護することによって、追加のリンカーを有するモノヒドロキシルSA架橋試薬(P8)を得ることができる。さらなるアルキル化により、単一の活性官能基を含有するSA架橋試薬(P9)を得る。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。
【0230】
1つのアプローチにおいて、I10を、一級OH基を選択的に脱保護する試薬と合わせることによって、I11を生成することができ、このI11を、OH基ではない別の官能基Xを導入する試薬とさらに反応させることができる。I12の二級OH基の脱保護により、追加のリンカーを有するヘテロ二官能性SA架橋試薬(P13)を生成する。二級OH基のアルキル化は、P14、すなわち追加のリンカーを有するアルキル化ヘテロ二官能性SA架橋試薬をもたらす。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。別のケースでは、一級OH基の直接的アルキル化、これに続く二級OH基の脱保護により、追加のリンカーを有する、モノアルキル化一置換SA架橋試薬(P10)を生成する。
【0231】
別のアプローチでは、I12は、試薬とさらに反応させることによって、官能基を有する第2のリンカー(I14)を生成することができる。二級OH基の脱保護により、2つの追加のリンカーを有するヘテロ二官能性SA架橋試薬(P11)を生成する。二級OH基のアルキル化は、P12、すなわち2つの追加のリンカーを有するアルキル化ヘテロ二官能性SA架橋試薬をもたらす。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。
【0232】
1つのアプローチにおいて、ホモ二官能性SA架橋試薬I9を、両方の末端でリンカーを生成する試薬(I15)と反応させることができる。I15の二級OH基を脱保護することによって、2つの追加のリンカーを有するホモ二官能性SA架橋試薬(P15)を生成する。二級OH基のアルキル化は、P16、すなわち2つの追加のリンカーを有するアルキル化ホモ二官能性SA架橋試薬をもたらす。アルキル化はまた、二級OH基をアルキル基で遮断することによって、初期に達成することもできる。
【0233】
本明細書中に記載されている方法は、OH基に対する一般的な保護および脱保護メカニズムを利用する。オルトゴナルなOH保護基(PG1、PG2、PG3)は、様々な保護基から選択することができる(例えば、Greene、TW;Wuts、PGM Protective groups in organic synthesis、第3版、John Wiley & Sons, Inc. 1999年において開示されている通り)。実際のところ、実際の還元に関わる技術および実験は、すべての古典的な有機合成方法を含み、本明細書の開示を考慮して当業者により容易に実行することができる。
図4および5は、本明細書中に開示されている方法および代表的な実施例を使用して作製することができるSA架橋試薬の多くの例を提供している。
【0234】
図2および3の中のこのようなストラテジーを可能にするためには、一級OHおよび二級OH基に対して、正しい保護基を選択しなければならない。保護基(PG1およびPG2)は、脱保護条件においてオルトゴナルである必要がある。単官能性およびホモ二官能性架橋試薬を合成することは、多くの場合ヘテロ二官能性架橋試薬を合成するよりも容易である。OH基のうちの1つしか一度に架橋基で置き換えることができないので、ヘテロ二官能性架橋剤に対して、PG1は選択的に切断可能でなければならない。
【0235】
単一のOH反応性SA分子を得るための例として異なる保護基が調査されてきた。1)一級OH基のtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)エーテル保護は形成するのが容易であり、ヨウ素希釈溶液を使用して、一級OH基のうちの1つを選択的に脱保護することができる。一級OHを選択的に保護するために、より束縛されたシリル化試薬であるt−ブチル−ジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)もまた調査された。その反応はTBDMS保護よりずっと正当であった。TBDMSとは異なり、3つの保護基が付加されたという徴候が認められなかった。2)安息香酸塩エステルは、塩基に敏感であり、TBDMS除去条件にオルトゴナルである。3)ベンジルエーテルは酸および塩基に対して安定しており、水素化を使用してこれを除去する。4)THPエーテル保護:3,4−ジヒドロ−2H−ピランは、一級および二級OH基を保護して、テトラヒドロピラニルエーテルを得るために有用なストラテジーとして公知である。THPエーテルは、塩基性媒体中および酸化および還元条件下で安定しているが、酸加水分解で容易に除去することができる。THP保護は、以下の触媒のいずれかを使用することによって達成することができる:テトラフルオロホウ酸(tetrafuloroborate)亜鉛(Ranu, B. C.ら、Tetrahedron Letters、1999年、40巻、1985〜1988頁)、ピリジニウムp−トルエンスルホネート(p−toleuensulphonate)(Miyashita, M.ら、J. Org. Chem.、1977年、42巻、3772〜3774頁)、ビス(トリメチルシリル)スルフェート(Morizawa, Y.ら、Synthesis、1981年、899〜901頁)、またはアンバーリストH−15(Bongini, A.ら、Synthesis、1979年、618〜620頁)。
【0236】
OH基から架橋基を導入するための一般的スキームおよび方法は以下の通りである。他のOH基を一つずつ遊離させることによって、複数の架橋基を逐次的に導入することができる。両方のPG1基を脱保護した場合に、ホモ二官能性架橋剤が合成される。
【0237】
スキーム1:OH基を−ONH
2へと変換する
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
【0238】
上記SAの単一の遊離OH基を、塩化メタンスルホニルに最初に反応させ、メシル化OH(OMs)に変換することができる。アルコールメシレート基(OMes)は、極めて良好な脱離基であり、様々な求核試薬(例えばN3およびCNなど)を容易に攻撃し、これを置き換えることができる。アルコールメシレートでのtert−ブチルN−ヒドロキシカルバメート(BocN−OH)のO−アルキル化、これに続く酸性のN−脱保護は、相当するアミノオキシ末端化SAをもたらす(Albrecht, S.ら、Synthesis、2006年、10巻、1635〜1638頁)。代わりに、上記SAアルコールメシレートは、N−ヒドロキシフタルイミド保護されたヒドロキサム酸と反応させることによって、塩基性条件下で(ヒドラジン)脱保護される化合物を作ることができる。
【0239】
スキーム2:OH基をアジドおよびアミンへと変換する。
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
【0240】
アジドは、相当するメシレートの求核置換または改変Mitsunobu条件を介して高収率で調製することができる(トリフェニルホスフィン、アゾジカルボン酸ジエチル:DEAD;ジフェニルホスホリルアジド:DPPA)(Jackson, M. D.ら、J. Org. Chem.、2002年、67巻、2934〜2941頁)。上記アジドは、異なる還元試薬、例えばZnを使用してアミンへとさらに還元することができる。
【0241】
スキーム3:OH基をCN、COOH、またはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルへと変換する。
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
OHは、文献からの手順(Gollner, A.;Mulzer、J. Organic Letters、2008年、10巻、4701〜4704頁)に従い、またはメシル化アルコール中間体を介して、CN基に直接変換することができる。酸または塩基によるCN基の加水分解後(Bernardes, G. J. L.ら、ChemBioChem、2011年、12巻、1383〜1386頁)、カルボン酸を容易に得ることができる。さらにジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)およびN−ヒドロキシスクシンイミドを使用してカルボン酸を活性化することによって、NHSエステルを形成することができる。
【0243】
スキーム4:カルボン酸をヒドラジドへと変換する。
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
【0244】
カルボン酸基は、中間体N−アシルベンゾトリアゾールのヒドラジン分解を介して、1つのポット内でヒドラジドへと便利に変換することができる(Katritzky, A. R. ARKIVOC2001 (ix)、19〜23頁、issue in honor of academician Michael G. Voronkov)。
【0245】
スキーム5:CN基をイミドエステルへと変換する。
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
イミドエステルは、バイオポリマー中のアミノ基に対して高度に特異的な試薬である。イミドエステルは、文献の手順に従いニトリルから容易に調製することができる(McElvain, S. M.;Schroeder, J. P. J. Amer. Chem. Sco.1949年、71巻、40頁;Davies, G. E.;Stark, G. R. Proceed of the National Academy of Sciences、1970年、66巻、651〜656頁)。
【0247】
スキーム6:OH基をアルキンへと変換する。
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
スキーム7:カルボン酸基またはアミン基を介してトリフルオロメチルフェニルジアジリンを導入する。
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
スキーム8:OH基を遊離SHおよび保護されたチオールへと変換する。
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
【0250】
OHは、2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド(Lawesson試薬、LR)を使用して、1つのポット内で遊離チオールへと変換することができる(Nishio, T. J. Chem. Soc. Perkin Trans、1993年、1113〜1117頁)。上記遊離チオールは、MeOH中2,2’−ジチオジピリジンとさらに反応させることによって、ジスルフィド保護された生成物を得ることができる(Jones, L. R. ら、 J. Am. Chem. Soc.2006年、128巻、6526〜6527頁)。他のジスルフィド試薬、例えば、Ellman試薬(5,5’−ジチオビス−(2−ニトロ安息香)酸、またはDTNB)を同様の様式で導入することができる。
【0251】
スキーム9:カルボン酸基またはアミン基を介してマレイミド基を導入する。
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
【0252】
SA高分子
一態様では、本発明は、生体分子の改変、生物製剤の製剤化、およびドラッグデリバリーのために使用することができる新規のSA高分子の集合体を提供する。さらに、複雑な三次元構造は、テザーされた分子の必要条件に応じて、単一の純粋なSA高分子、例えば、直鎖状、環式、分枝、およびデンドリマーのSA高分子などを作製するために、容易に系に組み入れることができる。これらの特徴は、製剤および最終コンジュゲートの物理的特性のモジュレーションを可能にする。さらに、この系を使用することによって、強力な抗腫瘍薬物を腫瘍組織に輸送して、望ましくない副作用および投薬回数を低減することができる。
【0253】
SA高分子は、(i)SA骨格のOH基を介して、SAを直鎖状に結合するステップ、(ii)SA単位を末端で環化するステップ(iii)該SA単位を一緒に非対称性に分枝形成するステップ、(iv)SAを対称性に分枝形成するステップ、または(v)SAを反復的に分枝形成することによって、複雑な三次元構造を構築するステップにより、SA骨格から作製することができる。すべてのケースにおいて、大きいMW(>1000Da)の架橋試薬またはキャリア分子を作製することができる。
【0254】
直鎖状SA高分子
直鎖状SA高分子を合成する方法
図6は、複数のSA単位を含有するSAビルディングブロックを合成するための一般的アプローチの実施形態を図示している。この方法は、以下からなる:(i)遊離一級OHを有する第1のSA単位を提供するステップ、(ii)該一級OH基を良好な脱離基で置換するステップ、(iii)該第1のSA単位の該一級OHの保護基(PG1)にオルトゴナルな、他の一級OHの保護基(PG3)を有する遊離一級OHを有する第2のSA単位を提供するステップ、(iv)該第1のSA単位を、該第2のSA単位と、これら2つの単位の縮合を可能にする条件下で合わせるステップ、および(v)該一級OH基のうちの1つを脱保護することによって、より大きいMWのSA分子を構築するために利用することができるジSAビルディングブロック(2つのSA単位)を得るステップ。より高いオーダーのSAビルディングブロック(より大きい数のSA単位)をr−SAビルディングブロック(式中、rは1個の分子中のSA単位の数を表す)を使用して、反復ステップ(i)〜(v)に従い構築することができる。
【0255】
より大きいMWの直鎖状SA分子は、SA分子における第二級アルコール基の異質性に応じて、段階的もしくは集中的方法、または段階的プラス集中的方法により構築することができる。例えば、各SA単位上で異なる数および異なる種類(異なる立体構造)の二級OH基を含有するテトラSAビルディングブロックは、4つの異なるモノSA単位を段階的にカップリングすることによって構築することができる。各SA単位に異なる数および異なる種類の二級OH基を有するテトラSAビルディングブロックはまた、2つの単位をまず段階的にカップリングし、次いでジSAビルディングブロックのうちの2つを一緒に収束することによって構築することもできる。各SA単位に同数および同種類の二級OH基を有するテトラSA単位は、2つのジSAビルディングブロック(例えば、I20プラスI19)をカップリングすることによって構築することができる。ほとんどの場合には、小さいMWのSAビルディングブロックは、普通段階的に構築され、大きいMWのSAは、収束により組み立てられる。テトラSAビルディングブロックの収束的合成のための一般的方法の実施形態が
図6に示されている。
【0256】
図7は、ビルディングブロックとしてテトラ−D−マンニトールを使用する反復カップリングにより合成することができる直鎖状SA高分子の計算したMWを示す。5回目の反復後、20KDaより上の単一および純粋なSA高分子を、安価な出発材料から容易に合成することができる。
【0257】
1つのアプローチにおいて、架橋基XおよびYを末端に含有するSA高分子を、SA架橋試薬と同様の様式で合成することができる(
図2および
図3に方法が示されている)。例えば、テトラSA分子I22およびI23は、官能基Xを導入する試薬と最初に反応させることができる。次いで、第2の一級OH基を脱保護した後、第2の官能基、Yを導入することができる。二級OH基の脱保護により、テトラSA架橋試薬が生成する。
【0258】
官能基XおよびYは、末端の一級OH基または側鎖の二級OH基のいずれかに組み込んでもよい。
図8は、XおよびY基をSA高分子に組み込むための一般的アプローチの実施形態を図示している。二級OH基にすでに配置されているXまたはY基を有するモノSAビルディングブロックを、SA高分子(I27)とカップリングする。nが1と等しく、モノSAビルディングブロックが1回しかカップリングされない場合、1つのX基が導入される。nが1を超えるか、または1つのX基のモノSAビルディングブロックが数回カップリングしている場合、複数のX基を導入することができる。XおよびY基の数ならびに該XおよびY基の位置は、上記モノSAビルディングブロックおよびカップリングの配列に基づき、容易に調整することができる。
【0259】
表2は、上記方法に基づき合成することができる単一MWのSA高分子の例の分子量分布を列挙している。4種類のみの糖アルコールモノマー(ここで、nは2、3、4、または5である)を使用することによって、同じ糖アルコールモノマーを9回反復後、得た化合物のMWは、400〜400,000Daの範囲である。他のモノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、またはより高次のSA分子と混合および反応させることによって、MW範囲を微調整することもできる。例えば、トレイトールのテトラマー(n=2)を、マンニトールのテトラマー(n=4)と混合した場合、1109のMWが得られる。キシリトールのテトラマー(n=3)をマンニトールのテトラマー(n=4)と混合した場合、1230のMWが得られる。これらの分子のすべては、単一の反応部位を保持する化学的に純粋な出発材料を用いて作製され、1つのカップリング生成物のみを得ることができる。これが、単一の純粋なSA分子を得る鍵となる。
【0260】
表2:化学的方法により合成することができる単一MWのSA高分子のMW分布。
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0261】
スキーム10:
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
【0262】
スキーム10は、より大きいMWの糖アルコールを合成するための一般的ストラテジーを示している。マンニトールの一級OH基のうちの1つをTBDMSエーテルとして保護し、二級OH基をベンジルエーテルとして保護する。残りのOH基を、ピリジン中トリフルオロメタンスルホン酸無水物と反応させることによって活性化する。O−メシル化などの別の温和な脱離ストラテジーも使用することができる。良好な脱離基を保有するこの予備活性化したマンニトールは、NaH、LiHMDS、またはカリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下、単一の遊離OH基を保有する別のマンニトールとカップリングすることができる。ダイマー化のために安息香酸塩エステルを出発材料(化合物I3−a)として使用する当初のストラテジーは、同様の条件下で不成功であった。明らかに、I3−aの安息香酸塩エステルは、ダイマー形成がほとんどまたはまったくない状態で、反応中に分子内異性化が起こった。I3−aは、R
f値が0.43である(TLC、25:75EtOAc:ヘキサン;HPLC、11.014分間、方法Bを使用)のに対して、異性化した生成物は、R
f値が0.55である(HPLC:11.182分)([M+H]についての予測m/z=713.3、実測m/z=713.6;[M+Na]についての予測m/z=735.3、実測m/z=735.6;[2M+Na]についての予測m/z=1447.6、実測m/z=1448.2)。対照的に、上記ベンジルエーテル保護は、トレイトールを例として使用したダイマー化反応条件下での別の作業中は極めて安定しており、水素化中に容易に除去された。上記ストラテジーは、安息香酸エステル保護の代わりにベンジルエーテル保護を使用している。上記ストラテジーの唯一の弱点は、TBDMSの選択的ヨウ素脱保護に対する収率は、以前の実験に基づくとあまり高くないことであり(約50%)、これは複数の合成の全体的な効率に影響を及ぼすことになる。
【0263】
スキーム11:
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0264】
スキーム11は、DMTC(ジメチルチオカルバメート)などの第3の保護基を使用する別のストラテジーの概要を述べている。DMTCは、金属水素化物、酸、塩基、および熱を含めた広範囲な試薬および条件で安定している。これは、NaIO
4またはH
2O
2および他の一般的なアルコール保護基により容易に除去される(Barma, D. K.ら、Organic Letters、2003年、5巻、4755〜4757頁)。この特性は、合成の効率を大いに増大させる。
【0265】
直鎖状SA高分子もまた、固相アプローチを使用して、モノSA単位またはr−SA単位(複数のSA単位)を1つずつカップリングすることによって合成することができる。例えば、一方の末端でFmoc−保護されたアミンを含有し、別の末端でカルボン酸を含有するSA単位を最初に合成し、次いで直鎖状SA高分子をペプチド合成と同様のFmoc固相ストラテジーに従い容易に合成することができる。別の例では、一方の末端でDMT−保護されたアミンを含有し、別の末端でホスホルアミダイトを含有するSA単位を最初に合成し、次いで標準的オリゴヌクレオチド合成ストラテジーに従い、直鎖状SA高分子を組み立てることができる。
図9は、固相ストラテジーで合成したこのような直鎖状SA高分子の2つの例を提供している。
【0266】
環式、分枝、超分枝マクロSA分子
別の態様では、本発明は一般的に、3つ以上の単量体SA単位、B
1(式III)を含む大環状SA分子である前駆体化合物であって、各単量体SA単位は、該SA単位のXおよびY部分を介して一つずつ直鎖状に接続し、次いで第1のSA単位のX基と、最終SA単位のY基の反応を介して環化している前駆体化合物に関する。特定の実施形態では、上記大環状SA分子の上記SA単位は、上記第1のSA単位のX基と、上記最終SA単位のZ基の反応を介して環化している。特定の実施形態では、上記大環状SA分子の上記SA単位は、任意のSAのZ基を介して、環化形態以外の任意の状態(order)で接続している。
【0267】
上記前駆体化合物は、3つ以上の単量体糖アルコール単位B
1を含む分枝SA高分子であってよく、各単量体糖アルコール単位は、連結基Wを介して1つのまたは別の単量体糖アルコール単位と結合しており、この連結基のうちの少なくとも1つは、あるモノマー単位のX、Y、またはZ部分と、別のモノマー単位のZとの間の反応により形成される。
【0268】
上記前駆体化合物は、6つ以上の単量体糖アルコール単位B
1を含む三次元超分枝SA高分子であってよく、このコア部はSA単位であり、いくつかのSA単位はそのコア構造から分枝している。上記超分枝SA高分子は、大部分が明確なMWを有する、単分散した、三次元分子である。特徴的な上記超分枝SA高分子は、三次元において複数の分枝している分子である。上記超分枝SA高分子の大きさがナノまたはマイクロスケールに接近している場合、ミクロスフェアを得ることができる。
【0269】
特定の実施形態では、SA高分子(環式、分枝、および超分枝)中のOH基は未改変であり、上記OH基を介して、対象となる分子を直接結合するために使用することができる。一部の実施形態では、上記OH基の1つまたは複数をX、Y、またはZ架橋基と置き換えてもよい。対象となる分子をX、Y、またはZ架橋基と反応させることによって、結合体化することができる。
【0270】
図10は、超分枝SA高分子の数種の構成を列挙している。一部の実施形態では、超分枝SA高分子は、上記コア部がSA単位であり、他の複数のSA(mSA)ビルディングブロックが該コア部SA単位におけるOH基のすべてに結合している樹状構成を有する。一部の実施形態では、超分枝SA高分子は、上記SA高分子が、樹状SA高分子の分枝を介して継続して増大するデンドリマー様構成を有する。別の実施形態では、超分枝SA高分子は、上記コア部がグリセロール単位であるピラミッド様構成を有する。分枝はまた、
図10の数種の構成において示されているように、環式SA高分子の側鎖に生じる可能性もある。
図11は、D−マンニトールをベースとするいくつかの実際の分枝分子の例を示している(例えば、対称性、非対称性、直鎖状、および環式)。
【0271】
デンドリマーなどの超分枝分子は、理想的なドラッグデリバリービヒクルの特性を有することが見出され、薬物、遺伝子、およびワクチンの有望なキャリアとして広く調査されてきた(Patri, A. K.ら、Curr. Opin. Chem. Biol.2002年、6巻、466〜471頁;Qiuand, L. Y.およびBae, Y. H. Pharm. Res.、2006年、23巻、1〜30頁;Al−Jamal. K. T.ら、J. Pharm. Sci.2005年、94巻、102〜113頁)。デンドリマーの合成は最初に1985年に報告された(Tomolia, D. A.ら、 Polym. J. (Tokyo)、1985年、17巻、117〜132頁;Newkome, G. R.ら、J. Org. Chem.1985年、50巻、2003〜2004頁)。デンドリマー合成の詳細は、広く概説されてきた(Bai, S.ら、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst.2006年、23巻、437〜495頁)。
【0272】
分枝SA高分子を合成する方法
分枝SA高分子は、単量体SA単位(二級OH基)の側鎖に直鎖状SA高分子を組み込むことによって合成することができる。
図12は、分枝SA高分子を合成するための一般的アプローチの実施形態を図示している。この方法は以下からなる:(i)一級OH基をPG1で保護しながら、遊離二級OH基を有する第1のSA単位を提供するステップ、(ii)該二級OH基を良好な脱離基で置換するステップ、(iii)該二級のOH基をPG2で保護し、該第1のSA単位の該一級OHの保護基(PG1)にオルトゴナルなPG3で他の一級OHを保護しながら、遊離一級OHを有する第2の直鎖状SA高分子ビルディングブロックを提供するステップ、(iv)該第1のSA単位を、該第2の直鎖状SA高分子と、これら2つの単位の縮合が可能となる条件下で合わせるステップ、および(v)該一級OH基のうちの1つまたは2つを脱保護することによって、さらなる分枝のための部位を得るステップ。上記高分子は普通非対称性である(例えば、P19)。グリコールを上記コア部SA単位として使用した場合、上記高分子は対称性である(例えば、P20)。
【0273】
小さいMWのSAホモ二官能性およびヘテロ二官能性架橋試薬を使用することによって、異なる有機分子または生体分子を一緒に架橋することができる。他の架橋試薬を用いて作られた同様のコンジュゲートは、生物医学の研究における研究ツールとして、診断用試薬として、および新規医薬品薬物として多くの用途を見出している。大きいMWのSA架橋試薬は、治療剤を改変するため、およびドラッグデリバリー用キャリアとして使用することができる。例えば、大きいMWのSA高分子を使用することによって、MWが30KDa未満の、薬学的対象のタンパク質、例えば、酵素、サイトカイン、ホルモン、およびモノクローナル抗体フラグメントを結合体化することができる。さらに、SA高分子を使用することによって、ペプチド、核酸およびこれらの類似体、ならびにsiRNAを結合体化することができる。このような大きいMWのSA高分子をこれらの分子に結合体化する利点には、(i)コンジュゲート分子の流体力学的容積の増加、これらの腎排泄の低減、および上記タンパク質を安定化するためのタンパク質のインビボ半減期の延長、(ii)ペプチドのアミノ酸を分解から保護すること、(iii)酵素分解に敏感な重要部位のマスキング、(iv)凝集の低減、および(v)バイオアベイラビリティーの増大が挙げられる。
【0274】
さらに、SA高分子は、インビボで代謝することができ、これによって、薬物放出についての新規メカニズムが生成し得る。
【0275】
さらに、SA高分子を使用することによって、薬物または低分子を、SA高分子の末端ばかりではなく、該SA高分子全体にわたり充填することができる。例えば、酸基を含有する分子を骨格のOH基にカップリングし、組織に送達される低分子の量を増加させることができる。
【0276】
SA架橋試薬およびSA高分子を介する部位特異的標識
部位特異的な標識は、様々なストラテジーを介して達成することができる:(i)対象となるタンパク質中の末端アミノ酸、(ii)標識部位としての不対のシステインの挿入、(iii)表面の最も反応性のある基、例えばアミン、フェノール性ヒドロキシル、およびチオールを予測することによる構造ベースのアプローチ、(iv)該タンパク質上のグリコシル化部分の酸化または酵素反応、これに続くテザリング、(v)非天然アミノ酸を該タンパク質の配列へと挿入することによって、特異的な部位での標識を可能にする、および(vii)単一反応性Cys基を導入するためのシステイン変異誘発。
【0277】
対象となる分子の部位特異的標識のためにSA架橋試薬を使用することができる。例えば、SA分子は、還元的アミノ化を介してタンパク質、抗体、および酵素のN−末端のみを標識することができる。一部の実施形態では、上記XまたはY基はアルデヒド官能基である。例えば、このストラテジーは、部位特異的PEG化のために使用された(Lee, D.ら、J. Interferon Cytokine Res.2008年、28巻、101〜112頁)。この化学反応で作製されたコンジュゲートの例がNeulasta(登録商標(PEG−フィルグラスチム))である(Kinstler OB. Pharm. Res.1996年、13巻、996〜1002頁)。
【0278】
一部の実施形態では、チオール特異的SA架橋試薬またはSA高分子を、上記タンパク質中のCysの部位特異的標識のために使用し、これにより、単一反応性CysをCys変異誘発により得ることができる。SA架橋試薬またはSA高分子は、エーテル置換(例えばヨードアセトアミド(iodoacetiamide)誘導体)または付加反応(例えば、ビニルスルホン、ビニルピリジン、またはマレイミド末端基)を介して、チオール交換反応またはアルキル化反応を行なうことができる。
【0279】
一部の実施形態では、XまたはYは、式
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R
11は、必要に応じて置換されているアリールであり、R
10は電子求引基(例えば、カルボニル)、α,β−不飽和二重結合、またはスルホン酸として脱離を受けやすい、α,
βスルホニル基である)を有するコンジュゲーション部分である。この化合物を使用することによって、以下の2つのステップを介して、部位特異的な方式により、ジスルフィド結合を有する任意のタンパク質または抗体を標識することができる:(i)温和にジスルフィドを還元することによって、遊離チオールを生じさせるステップ、および(ii)逐次的な相互作用的ビス−アルキル化による両チオールのコンジュゲーションによって、3つの炭素橋を生成し、これにSA分子を共有結合により結合するステップ(Shaunak S.ら、Nat. Chem. Bio.2006年、312〜313頁; Balan S.ら、Bioconjugate Chem.2007年、18巻、61〜76頁;Brocchini, S.ら、Nat. Protocols.2006年、1巻、2241〜2252頁)。
【0280】
一部の実施形態では、様々な酵素による方法を使用することによって、SA高分子を使用して部位特異的な方式で治療的な対象の分子を標識することができる。上記酵素、例えば、糖転移酵素およびトランスグルタミナーゼは、精選された単一またはいくつかのアミノ酸残基のみを認識し、特異的に改変する。
【0281】
一部の実施形態では、XまたはYは、上記SA高分子に直接または他のスペーサーを介して結合しているシアル酸基である。部位特異的標識は、上記タンパク質中のセリンおよびトレオニン残基における酵素によるGalNAcグリコシル化を介し、続いてSAに結合しているシアル酸を、以前に導入されたGalNAc残基に酵素により転移することによって達成することができる。GlycoPEG化は、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)(Defrees、S.、米国特許出願公開第20070254836A1号)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(DeFrees, S.ら、Glycobiology、2006年、16巻、833〜843頁)、インターフェロンアルファ−2b(IFNα−2b)(DeFrees, S. ら、Glycobiology、2006年、16巻、833〜843頁)、ろ胞刺激ホルモン(DeFrees, S.ら、米国特許出願公開第20080015142号)、エリスロポエチン(DeFrees, S.ら、米国特許出願公開第20060287224A1号)、およびVII因子(Klausen NKら、米国特許出願公開第20080039373A1号)の改変に成功裏に適用された。
【0282】
一部の実施形態では、XまたはYは、SA高分子に直接または別のスペーサー/リンカーを介してのいずれかで結合しているアミン官能基である。単一のアミンSA高分子のコンジュゲーション反応は、トランスグルタミナーゼを介して達成され、この場合、該SA高分子のアミノ基は、ドナーとして作用し、上記タンパク質またはペプチド中のグルタミンはアクセプターとして作用する。このプロセスは、PEGを顆粒球−コロニー刺激因子(BK0026)(Tonon G.2008年、WO2008/017603)、インターロイキン−2(Sato H. Adv. Drug. Deliv. Rev.2002年、54巻、487〜504頁)、成長ホルモン(Zundel M.2006年、WO2006/084888)、およびエリスロポエチン(Pool CT、2004年、WO2004/108667)に結合体化するために使用されてきた。
【0283】
SA架橋したコンジュゲート
本明細書のSA高分子を、1つの分子を別の分子に結合体化および結合させるために使用することによって、新規の均一または不均一な化学物質を生成することができる。ここで、X、Y、Z、またはケトン基のうちのいずれかを、対象となる他の分子の1つまたはいくつかの架橋基と反応させることによって、コンジュゲートを形成することができる。
【0284】
一態様では、本発明は、以下からなる群から選択される化学構造を有するコンジュゲートに一般的に関する:
M
1−(L−B)
u 式(I)、および
B−(L−M
1)
u 式(II)
(式中、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約20の整数である)。
【0285】
他の態様では、本発明は、化学構造式(III)を有するコンジュゲートに一般的に関する:
(M
2−L)
q−B (III)
(式中、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、および低分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマー含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
1−からなる群から選択され、
V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルである)。
【0286】
別の態様では、本発明は、以下からなる群から選択される化学構造を有するコンジュゲートに一般的に関する:
(M
1)
q−L−(B−(L−M
2)
k)
u (IV)、および
(M
1−L)
q−(B−(L−M
2)
k)
u (V)、および
M
1−(L−B−(L−M
2)
k)
u (VI)
(式中、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖からなる群から選択され、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、低分子および別の生物活性分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各モノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および構造−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NH、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約100の整数であり、
qは、1〜約100の整数であり、
kは、0または1〜約20の整数である)。
【0287】
一部の実施形態では、qは、1〜約10の整数であり、Bは、3〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む。一部の実施形態では、uは1〜約10の整数であり、Bは、3〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む。
【0288】
一部の実施形態では、M
1は、抗体および抗体フラグメントからなる群から選択され、M
2は化学療法薬であり、qは1であり、uは1〜約20の整数であり、qは1〜約10の整数である。
【0289】
別の態様では、本発明は、以下からなる群から選択される化学構造(chemical)を有するコンジュゲートに関する:
S−(L−B−(L−M
1)
k)
u (VII)
S−(L−B−L−(M
1)
k)
u (VIII)
S−(L−B−(L−M
2)
k)
u (IX)
S−(L−B−L−(M
2)
k)
u (X)
(式中、
Sは、固体支持体を含み、
各M
1は、独立して、タンパク質、酵素、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、多糖からなる群から選択され、
各M
2は、独立して、代謝物、蛍光化合物、化学発光化合物、質量タグ、発色団、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、細胞毒性剤、免疫抑制剤、診断剤、放射リガンド、低分子および別の生物活性分子からなる群から選択され、
各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む改変された糖アルコールポリマーであり、
各糖アルコールモノマーは、3〜約14の−OR
1基を有し、
R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択され、
各Lは、独立して、結合および−V
1−R
2−V
2−からなる群から選択され、
V
1およびV
2は、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NH、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
uは、1〜約500の整数であり、
kは、0または1〜約20の整数である)。
【0290】
固体支持体には、例えば、アガロースビーズ、デキストラン、シリカゲルベースのポリマー、ポリスチレン、PLGA、PMMA、およびコロイド状金が挙げられる。Sは微小粒子であってよい。上記粒子の化学組成物は、ポリマーまたはコポリマー、無機構築物、金属および半導体、超常磁性複合材、生分解性構築物、または合成デンドリマーおよびデンドロンであってよい。Sは、バッキーボール、フラーレン(fullernes)、または炭素ナノチューブであってよい。Sはまた、量子ドット、色素コード化粒子、または磁気コード化粒子であってよい。
【0291】
一部の実施形態では、各Bは、1〜約2000個の糖アルコールモノマーを含む、改変された糖アルコールポリマーであり、各糖アルコールモノマーは、1つのモノマー単位のX、YまたはZ部分と、別のモノマー単位のX、YまたはZとの間の反応により形成される連結基Wを介して、1つまたは複数の糖アルコールモノマーと結合しており、
各B
1は、独立して、化学構造式XI:
【化137】
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(式中、nおよびpのそれぞれは、独立して、0および1〜約12から選択される整数から選択され、n+pは、1〜12の間であり、
rは0または1であり、
【化138】
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で表される各結合は、単結合または二重結合であり、
Qは、=O、=N−O−L−M
1、=N−O−L−M
2、=N−O−L−S、−NH−O−L−S、−NH−O−L−M
1、および−NH−O−L−M
2から選択され、
X、YおよびZのそれぞれは、M
1、M
2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
X、YおよびZのそれぞれは、SともM
1、M
2とも結合していない場合、−OH、−J、−R
5J、−C(=O)−J、−C(=O)−CH
2−J、
−NH−C(=O)−CH
2−J、−OR
5、−OR
6、−OR
7、−O−メシル、−O−トシル、
−NH−C(=O)−CH
2−O−メシル、−NH−C(=O)−CH
2−O−トシル、−SH、−S−S−tブチル、
−SR7、−SR
5、−S−S−R
8、−S(=O)
2−J、−NH
2、−NHR
5、−N(R
5)R
5、−NHR
7、−NH−Fmoc、
−NH−Boc、−C(=O)H、−C(=O)−R
5、−C(=O)OH、−N=C=S、−N=C=O、−C≡C−R
5、
−N=N
+=N
−、−O−NH
2、−O−NH−Fmoc、−O−NH−Boc、−O−N−(Boc)
2、
−O−N(−フタルイミジル)、−NH−NH
2、−C(=O)−NH−NH
2、−NH−C(=O)−NH−NH
2、
−NH−C(=S)−NH−NH
2、−トルエンスルホニルヒドラジド、−R
5−NH−C(=NH
2+)−NH
2、ベンゾフェノン、アリールジアゾニウム、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、アントラキノン、ジアジリン、必要に応じて置換されているトリフルオロメチルフェニルジアジリン、ジエン、ジエノフィル、1,3−双極子、親双極子、アルケン、ケテン、オレフィン、アリル型水素を有するアルケン、ジカルボニル基、エポキシド、オキシラン、オルガノシラン、ホスホニウム基、エステル、無水物、カーボネート基、グリオキサール、−C(=NH
2)−O−R
5、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、エチルビニル、マレイミド、ビニルスルホン、アリルスルホン、チオエステル、シスプラチン誘導体、アジリジン、アクリロイル基から独立して選択される官能基であり、
各R
5は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、アリシクリル、ヘテロアリシクリル、ベンジルまたはアリールから選択され、R5における任意の環は必要に応じて置換されており、
各R
6は、独立して、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルから選択され、
各R
7は、独立して、トリチル、MMT、およびDMTから選択され、
各R
8は、独立して、2−ピリジル、4−ピリジル、5−ニトロ−2−ピリジル、5−ニトロ−4−ピリジル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、3−カルボキシ−4−ニトロフェニル、および2,4−ジニトロフェニルから選択され、
各Jは、独立して、Cl、BrおよびIから選択され、
L
1、L
2、およびL
3のそれぞれは、独立して、結合または−R
9−V−R
2−
*
(式中、「
*」は、X、Y、S、M
1もしくはM
2、またはZにそれぞれ結合しているL
1、L
2、およびL
3の部分を表す)であり、
各WおよびVは、独立して、ディールス‐アルダー付加物、1,3−双極子付加物、
【化139】
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からなる群から選択され、
各G
1は、独立して、NR
3、O、およびSから選択され、
各G
2は、独立して、OまたはSであり、
各G
3は、独立して、S、O、NR
3、およびSO
2から選択され、
各G
4は、独立して、OまたはNR
3であり、
各R
2は、独立して、結合、C
1〜C
12アルキル、−(CH
2CH
2O)
1〜10−、−(CH
2CH
2O)
1〜10−CH
2−、必要に応じて置換されているアリシクリル、ヘテロアリシクリル、アリール、ペプチド、およびペプチド模倣オリゴマーから選択され、
各R
3は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、−(OCH
2CH
2)
1〜3、必要に応じて置換されているアリシクリル、および必要に応じて置換されているヘテロアリシクリルから選択され、
各R
4は、独立して、C
1〜C
8アルキルであり、
各R
9は、結合または−CH
2−であり、
少なくとも、B
1単位の1つにおいて、各−L
3−Z部分は−OR
1であり、各R
1は、独立して、水素、C
1〜C
8アルキル、ベンゾイル、アセチル、ベンジル、C
1〜C
8アルキルシリル、環式オルトエステル、アクチニド、アセテート、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、およびテトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される)を有する。
【0292】
一部の好ましい実施形態では、Bは化学構造式XII:
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
は、M
1、M
2またはSへの結合を表し、
L4のそれぞれは、M
1、M
2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
kが0である場合、
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
はYを表し、kが、1〜約20から選択される整数である場合、
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
は、M
1、M
2またはSへの結合を表す)を有する。
【0293】
別の好ましい実施形態では、Bは、化学構造式XIII:
*1−L4−(B
1−W)
s−B
1−L
4−
*2 (XIII)
(式中、
「
*1」は、S、M
1またはM
2に結合している前記L
4の部分を表し、
L
4のそれぞれは、M
1、M
2またはSと結合している場合、リンカーVであり、
sは、0または1〜約500から独立して選択される整数であり、
kが0である場合、L
4−
*2はYを表し、
kが1〜約20から選択される整数である場合、「
*2」は、M
1、M
2、またはSに結合している前記L
4の部分を表し、
各B
1は、独立して、化学構造式XIV:
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
を有し、
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
1への結合を表し、
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
は、L
2への結合を表す)を有する。
【0294】
一部の実施形態では、qおよびkのそれぞれが1であり、uが1よりも大きい場合、上記コンジュゲートは、式M
1−L−(B−L−M
2)
uまたはM
1−(L−B−L−M
2)
uを有する。一部の好ましい実施形態では、Bは、MW<1000を有する糖アルコール修飾物質、例えば、糖アルコール部分Bを介していくつかの細胞毒性薬に結合している抗体、または糖アルコール架橋試薬を介して蛍光標識されたタンパク質または酵素である。
【0295】
一部の実施形態では、kが0であり、qが1である場合、上記コンジュゲートは、式M
1−L−B
uを有する。M
1は、異なる数の修飾物質Bで簡単に標識され、これを、対象となる他の分子とさらに反応させることによって、コンジュゲート、M
1−(L−B−L−M
2)
uを形成することができる。特定の好ましい実施形態では、Bは、MW<1000を有する糖アルコール修飾物質である。
【0296】
一部の実施形態では、kが0であり、uが1であり、qが1より大きい場合、上記コンジュゲートは式(M
1)
q−L−B、B−(L−M
1)
uまたは(M
2−L)
q−Bを有する。一部の好ましい実施形態では、Bは、MW>1000Daを有するSA高分子(例えば、薬物キャリア)である。ポリマーミクロスフェア、ポリマーミセル、可溶性ポリマー、およびPEG化が、薬物安定性および標的特異性を強化し、ならびに毒性を低減させるのに効果的であることが示されている。SA高分子を使用することによって、有用な基または物質(entity)を薬学的に充填し、次いで薬物をインビボで送達することができる。
【0297】
一部の実施形態では、kが0であり、uが1であり、qが1である場合、上記コンジュゲートは式M
1−BまたはM
2−Bを有する。好ましい実施形態では、BはMW>10000Daを有するSA高分子であり、Bは、様々な大きなMW生体分子、例えば、タンパク質、siRNA、オリゴ、ペプチド、およびポリペプチドを保有することができる。
【0298】
特定の実施形態ではM
2は生体分子、代謝物、蛍光化合物、ビオチン、毒素、薬物、化学療法剤、診断剤、または他の生物活性分子である。
【0299】
特定の実施形態では、M
1またはM
2は、1つまたは複数の放射性同位元素または同位元素を含んでもよい。
【0300】
特定の実施形態では、M
2は代謝物である。代謝物は、代謝中間体および代謝生成物である。代謝物の例には、アルカロイド、グリコシド、脂質、フラボノイド、非リボソームペプチド、フェナジン、フェノール、ポリケチド、テルペン、およびテトラピロールが含まれる。代謝物はまた特定化された酵素の系を介して生存する生体により改変される、薬物のフラグメントまたは薬物であってよい。
【0301】
特定の実施形態では、上記コンジュゲートは抗体薬物コンジュゲートである。M
1は抗体または抗体フラグメントであり、M
2は化学療法薬である。1〜8個の薬物分子を単一の抗体に接続させることができる。
【0302】
一部の好ましい実施形態では、M
1およびM
2は治療剤、例えば、薬物、毒素、サイトカイン、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、酵素、酵素阻害剤、阻害性オリゴヌクレオチド(例えば、RNAi、siRNA)、免疫調節物質(例えば、サイトカイン、リンフォカイン、ケモカイン、増殖因子、または腫瘍壊死因子)、放射性核種、抗脈管形成剤、プロアポトーシス剤、抗体、放射標識された抗体、または光活性治療剤である。
【0303】
特定の実施形態では、上記治療剤は化学療法薬である。化学療法薬の例には、副腎皮質抑制剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、アルキルスルホネート、抗生剤、抗有糸分裂剤、アントラサイクリン、抗脈管形成剤、カンプトテシン、COX−2阻害剤、CPT−11、ドキソルビシン、ドキソルビシン類似体、酵素阻害剤、エンドスタチン、エピポドフィロトキシン、エチレンイミン誘導体、葉酸類似体、ゲムシタビン、HDAC阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)90阻害剤、ホルモンアンタゴニスト、メトトレキセート、メチルヒドラジン誘導体、mTOR阻害剤、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、ピリミジン類似体、プリン類似体、白金配位錯体、置換尿素、SN−38、タキソール、トリアゼン、タキサン、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、プロアポトーシス剤、およびビンカアルカロイドが挙げられる。適切な化学療法剤は、文献に記載されている(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、Mack Publishing Co.1995年;Goodman and Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics、第7版、 McMillan Publishing Co.1985年)。
【0304】
特定の実施形態では、上記治療剤は細胞毒性剤または免疫抑制剤、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNA小溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生剤、抗葉酸剤、代謝拮抗剤、化学療法感作剤(chemotherapy sensitizer)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、リポキシゲナーゼ阻害剤、ニトロソウレア、プラチノール、予備形成化合物(pre−forming compound)、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線感作剤(radiation sensitizer)、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどである。
【0305】
個々の細胞毒性剤として、例えば、アウリスタチン(例えば、MMAE、MMAF)、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カリケマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン(dauorubicin)、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、エピルビシン、エトポシド、エトポシドホスフェート、フルダラビン、フルオロウラシル、フォテムスチン、ガンシクロビル(ganiclovir)、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、プレメトレキセド、プロカルバジン、ラルチトレキセド、テモゾロミド、テミポシド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、バルガンシクロビル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン(vinorebine)、およびメイタンシン(例えば、DM1、DM4)が挙げられる。抗体と結合体化し、現在治験中の薬物は、アウリスタチン、メイタンシン、カリケマイシン、およびデュオカルマイシンである(Alley, SCら、Current opinion in chemical biology、2010年、14巻、529〜537頁)。
【0306】
特定の実施形態では、上記細胞毒性剤は、ドラスタチン(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE)またはその誘導体である。特定の実施形態では、上記細胞毒性剤は従来の化学療法剤、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキセート、マイトマイシンC、またはエトポシドである。さらに、強力な薬剤として、CC−1065類似体、カリケマイシン、メイタンシン(またはDM−1)、ドラスタチン10の類似体、リゾキシン、およびパリトキシンが挙げられる。
【0307】
特定の実施形態では、上記免疫抑制剤は、例えば、アリールカルボン酸誘導体、アザチオプリン、シクロスポリン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、シクロホスファミド、エタネルセプト、ガンシクロビル、グルココルチコイドまたはグルココルチコイド類似体、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ミコフェノール酸モフェチルまたはメトトレキセート、ニコチン酸誘導体、オキシカム誘導体、ピラゾール−含有誘導体、ラパマイシン、またはタクロリムスであってよい。
【0308】
一部の好ましい実施形態では、上記治療剤は、リシン、アブリン、アルファ毒素、サポリン、リボヌクレアーゼ(RNase)、DNase I、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、緑膿菌外毒素、および緑膿菌内毒素からなる群から選択される毒素である。
【0309】
一部の好ましい実施形態では、上記治療剤は、サイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、およびこれらの組合せからなる群から選択される免疫調節物質である。
【0310】
Mは、疾患状態または状態と関連する標的抗原に特異的に結合することが可能な任意の抗体またはフラグメントであってよい。ほとんどあらゆる疾患関連の抗原に対する抗体配列または抗体分泌ハイブリドーマを、ATCC(米国培養細胞系統保存機関)、NCBI、およびUSPTOデータベースから得ることができる。有用なポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清由来の抗体分子の不均一な集団である。有用なモノクローナル抗体は、標的抗原のある特定の抗原決定基に対する抗体の均一な集団である。標的抗原に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を当技術分野で公知のいずれの技法を使用して調製することができる。
【0311】
適切な抗体には、モノクローナル抗体、例えば、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体、またはその抗原結合フラグメントが挙げられる。一実施形態では、上記抗体フラグメントは、例えば、AC10、BR96、1F6もしくは2F2、または増殖阻害性抗体である。
【0312】
個々の治療用抗体には、例えば、アレムツズマブ(Campath;Leukosite、MA)、Allomune(BioTransplant)、ベバシズマブ(Avastin;Genetech,Inc.、CA)、CEAcide(Immunomedics、NJ)、セツキシマブ(Erbitux;Imclone Systems Inc.、NY)、エプラツズマブ(epratuzamab)(Immunomedics,Inc.、NJおよびAmgen、CA)、LymphoCide(Immunomedics,Inc.、NJ)、Oncolym(Techniclone,Inc.、CA)、OVARE(AltaRex Corporation、MA)、Panorex(Glaxo Wellcome、NC)、リツキシマブ(Rituxan;Genetech)、Smart MI95(Protein Design Labs,Inc.、CA)、Smart ID10(Protein Design Labs,Inc.、CA)、トラスツズマブ(Herceptin;Genetech)、およびVitaxin(MedImmune,Inc.、MD)が挙げられる。
【0313】
特定の実施形態では、上記抗体には、例えば、以下の抗原に対する抗体が挙げられる:腫瘍関連抗原;膵臓がん、悪性疾患、自己免疫疾患、免疫機能不全疾患、白血病、または神経疾患に関連する抗原;および膜貫通アクチベータおよびCAML−相互作用因子に対する抗原(TACI、Yuら、Nat. Immunol.2000年、1巻、252〜256頁)。抗原の例には以下が挙げられる:CA125、CA15−3、CA19−9、L6、Lewis Y、Lewis X、アルファフェトプロテイン、CA 242、胎盤アルカリホスファターゼ、前立腺特異抗原、前立腺酸ホスファターゼ、上皮成長因子、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1−KLH、CEA、gp100、MART1、IL−2受容体、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD66a−d、CD67、CD74、CD79a、CD80、CD126、CD138、CD154、B7、MUC1、LALI、HM1.24、HLA−DR、テネイシン、VEGF、PIGF、ED−Bフィブロネクチン、がん遺伝子、がん遺伝子生成物、壊死抗原、T101、TAG、IL−6、MIF、TRAIL−R1(DR8)、TRAIL−R2(DR5)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ムチン、P21、MPG、およびNeuがん遺伝子生成物。
【0314】
上記抗体はまた、多特異性抗体、例えば二重特異性抗体であることもできる。二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で公知である。一部の実施形態では、上記抗体フラグメントは、Fv、Fab、Fab’、またはF(ab’)
2である。他の有用な抗体は、抗体の重鎖および軽鎖ダイマー、一本鎖抗体、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)、dsFv、sc−Fv−Fc、(sFv)
2、Fab発現ライブラリーにより生成されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、または抗体フラグメントからの多特異性抗体である。
【0315】
特定の実施形態では、上記抗体およびタンパク質は、罹患した組織を処置するのに有用な1つまたは複数の放射性同位元素を含み得る。適切な治療用放射性核種には、これらに限らないが、ヨウ素−131、ヨウ素−125、ビスマス−212、ビスマス(bimuth)−213、ルテチウム−177、イットリウム−90、イットリウム−88、テクネチウム−99m、銅−62、銅−67、レニウム−188、レニウム−186、ガリウム(galium)−66、ガリウム−67、インジウム−111、インジウム−114m、インジウム−115、ホウ素−10、アスタチン−211、リン−32、リン−33、スカンジウム−47、銀−111、プラセオジム(praseodyminum)−142、サマリウム−153、テルビウム−161、ジスプロシウム−166、ホルミウム−166、レニウム−186、レニウム−188、レニウム−189、鉛−212、鉛−211、ラジウム−223、アクチニウム−225、鉄−59、セレン−75、ヒ素−77、ストロンチウム−89、モリブデン−99、ロジウム−105、パラジウム−109、プラセオジム−143、プロメチウム−149、エルビウム−169、イリジウム−194、金−198、および金−199が挙げられる。
【0316】
追加的な、有力な治療用ラジオアイソトープには、炭素−11、窒素−13、酸素−15、臭素−75、臭素−76、金−198、アクチニウム−224、ヨウ素−126、ヨウ素−133、臭素−77、インジウム−113、ルテニウム−95、ルテニウム−97、ルテニウム−103、ルテニウム−105、水銀−107、水銀−203、テルリウム−121m、テルリウム−122m、テルリウム−125m、テルリウム−165、テルリウム−167、テルリウム−168、白金−197、パラジウム−109、ロジウム−105、プラセオジム−142、プラセオジム−143、テルビウム−161、ホルミウム(holminum)−166、金−199、コバルト−57、コバルト−58、クロム−51、鉄−59、セレン−75、タリウム−201、アクチニウム−225、イッテルビウム−169などが挙げられる。
【0317】
治療用試薬は、SH基または表面アミンの部分的な還元を介して抗体に結合することができる。上記治療用試薬はまた、利用可能な場合には、炭水化物側鎖に結合してもよい。
【0318】
特定の実施形態では、上記治療剤は、同じ治療剤または異なる治療剤の組合せの1つまたは複数のコピーを含むことができる。
【0319】
特定の実施形態では、M
2は診断剤である。診断剤の例には、蛍光プローブ、化学発光化合物、ラジオリガンド、質量分析タグ、発色団、およびUV−活性化合物が挙げられる。
【0320】
特定の実施形態ではM
2は蛍光化合物である。蛍光化合物の例には、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、緑色蛍光タンパク質、BODIPY、Texas Red、Cascade Blue、Lucifer yellow誘導体、フィコビリタンパク質シアニン色素、ランタニドキレート、および量子ドットが挙げられる。様々な蛍光化合物が市販されている(例えば、Molecular ProbesおよびInvitrogen製)。
【0321】
M
1またはM
2がBに結合している位置は、単一部位または複数部位であってよい。M
1またはM
2は、エステル結合または他の架橋基を介してBに結合することができる。
【0322】
好ましい実施形態では、M
1は、治療用タンパク質またはポリペプチドである。SA高分子は、単一の特定の部位または複数の部位において上記タンパク質またはペプチドに結合体化してもよい。上記治療用タンパク質は、サイトカイン、ホルモン、造血(hemapoietic)タンパク質、血液タンパク質、酵素、またはペプチドであってよい。
【0323】
特定の実施形態では、M
1は、G−CSF、そのフラグメント、または改変された誘導体である。G−CSFは、好中球顆粒球前駆細胞および成熟好中球の増殖、生存、および分化を刺激する、174−アミノ−酸のグリコシル化サイトカインである(Hill CPら、Proc. Natl. Acad. Sci.1993年、90巻、5167〜5171頁)。G−CSFは、血液から急速に排除される。単一のSA高分子を使用するG−CSFの改変は、その物質を安定化させるのを助けることができる。PEG化G−CSFは、商標名Neulastaの下で市販されている(Kinstler O.B.ら、Pharm Res 1996年、13巻、996〜1002頁)。
【0324】
特定の実施形態では、上記治療用タンパク質は、GM−CSF、IFNα−2a、IFNα−2b、IL−2(Waldmann TA、Nature Rev.Immuol.2006年、6巻、595〜601頁)、エリスロポエチン(EPO、Macdougall IC、Curr Hematol Rep、2005年、4巻、436〜440頁)、成長ホルモン(GH;Zundel M、Peschke B、2006年、WO2006/084888)、ヒト成長ホルモン(hGH; Li CH, Mol Cell Biochem、1982年、46巻、31〜41頁)、またはアポミオグロビン(apoMb; Evans SVら、J. Mol. Biol.1990年、213巻、885〜897頁)である。治療用タンパク質およびペプチドの他の例には、アスパラギナーゼ、インターフェロン(例えば、IFN−α、−β、−γ)、インターロイキン類、レプチン、血清タンパク質(例えば、VII因子、VIla因子、VIII因子、IX因子、およびX因子)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、インスリン、ろ胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、および抗体融合タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)/Fcドメイン融合タンパク質)が挙げられる。
【0325】
他の有用なタンパク質には、身体のある特定の組織または領域に選択的に局在化するタンパク質が含まれる。このようなタンパク質の例には、トランスフェリン、HS糖タンパク質、凝固因子、血清タンパク質、O型糖タンパク質、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPOなどが挙げられる。
【0326】
一部の好ましい実施形態では、M
1は、治療用タンパク質またはペプチドの誘導体であり、例えば、上記タンパク質および化学的に改変されたタンパク質(例えば、グリコシル化、アシル化、アミノ酸置換)のフラグメントである。一部の好ましい実施形態では、Mは組換えタンパク質である。
【0327】
特定の実施形態では、M
1は、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、または低分子干渉RNA(siRNA)である。オリゴヌクレオチド類似体の例には、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、トレオース核酸(TNA)、およびアルファPNAが挙げられる。
【0328】
特定の実施形態では、上記治療剤には、同じ治療剤または異なる治療剤の組合せの1つまたは複数のコピーが含まれてもよい。
【実施例】
【0329】
以下の実施例は、その様々な実施形態およびその同等の形態における本発明の実施に適用することができる重要な追加的情報、例証、およびガイダンスを含有する。本発明の実施は、以下の実施例からより完全に理解されることになり、これらの実施例は、例示的目的のみのためにここに提示されるもので、決して限定として解釈されてはならない。
【0330】
装置類:
1H−NMRスペクトルを500MHz(Brukar)で記録し、それを、残留CHCl
3(δ7.25)およびDMSO−d
6(δ2.49)と比較して、δスケールで、百万分率(ppm)で報告する。別途述べられていない限り、すべてのNMR実験は室温(RT)で実施した。HPLCは、自動試料インジェクターおよびダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100HPLC系で実施した。分析用HPLCを、XTerra(商標)C18カラム(Waters、2.5μm、3.0×30mm)で実施した。使用したHPLC法(方法A)は、流速0.6mL/分でのAB溶媒(5%Bから95%Bまでを10分間)の直線勾配であった。極めて疎水性の化合物の場合、Nova−PackC18カラム(Waters、5μm、3.9×150mm)を、流速1.0mL/分で、直線AB勾配(10%Bから95%Bまでを10分間、次いで95%Bでもう5分間保持)で使用した(方法B)。溶媒Aは0.1%水性TFAであり、溶媒Bはアセトニトリル中0.1%TFAであった。UV検出器を210nmおよび254nmに設定した。大部分の質量スペクトルをQuadrupole MDS Sciex Q−TRAPに収集した。典型的な実験では、粗または精製された試料を、0.1%ギ酸を含有するメタノールに溶解または希釈し、エレクトロスプレーインレットに直接注入した。一部の大きな分子量の化合物に対しては、質量スペクトルは、TOF/TOF光学部品を備えた4700 Proteomicアナライザー(ABSciex、Framingham)に収集した。典型的な実験では、5μLの試料溶液を水中の5μLの1mg/mLジヒドロキシ安息香酸溶液と混合し、次いでこの混合物1μLをMALDIプレートにスポットし、空気乾燥させた。この試料を共結晶化するか、またはマトリクスを有する液滴乾燥物を形成した。レーザー励起の際に、このマトリクスはレーザーエネルギーを吸収し、そのエネルギーを上記試料に移動させ、そのイオン化および蒸発を促進させる。
【0331】
溶媒および試薬:すべての感湿反応は、不活性な、窒素の乾燥雰囲気内で実施した。試薬グレードの溶媒をクロマトグラフィーおよび抽出に使用した。D−グルカミン、D−グルコサミン酸(D−glucosamic acid)、N−ヒドロキシフタルイミド、およびピリジニウムp−トルエンスルホネートをTCI Americaから購入した。アセトンシアノヒドリン、10%パラジウム炭素、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、無水酢酸、ギ酸、無水ジクロロメタン、および無水N,N−ジメチルホルムアミドをSigma−Aldrichから購入した。N−(9−フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(「Fmoc−OSu」)をChem−Impex Internationalから購入した;トリエチルアミンをMallinckrodtから購入した;ピリジンをEMDから購入した;ACSグレード溶媒をEMD、BDH、Macron、またはMallinckrodtから購入した。他のすべての化学薬品および試薬は、Alfa Aesarから購入し、そのまま使用した。
【0332】
クロマトグラフィー:薄層クロマトグラフィー(TLC)分析をEMD TLCシリカゲル60 F
254(0.25mmの厚さ)を使用して実施した。プレートは、最初にUV照明で視覚化し、続いて化学溶液での炭化により視覚化した。異なる炭化溶液を使用した:1)PMA(エタノール中3%リンモリブデン酸w/v);2)CAM(モリブデン酸セリウムアンモニウム、10%水性硫酸中2.5%モリブデン酸アンモニウム、1%硫酸セリウム);3)エタノール中5%ニンヒドリン;および4)水中2% KMnO
4。充填済みカラム(pre−packed column)を使用して、フラッシュクロマトグラフィーをISCO companionで実施した。溶媒組成物は、体積/体積(v/v)ベースであった。
実施例1〜6:糖アルコール中の第一級および第二級アルコール基に対する選択的保護および脱保護のストラテジー。
【0333】
(実施例1)
安息香酸エステルおよびTBDMS保護ストラテジーを使用した単一の遊離OH SA分子の合成
【0334】
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
化合物I1−a:文献からの同様の手順に基づき化合物I1−aを合成した(Chem. Pharm. Bull.2010年、58巻、495頁)。4.55g(25.0mmol、1当量)のD−マンニトールおよび5.56g(81.6mmol、3.3当量)のイミダゾールを20mLのDMFに部分的に溶解し、−7℃に冷却した。別のフラスコ中で、7.52g(50.2mmol、2当量)のt−ブチル−ジメチルシリルクロリドを10mLのDMFに溶解した。次いでこの溶液を、−7℃で20分間にわたりD−マンニトール懸濁液にゆっくりと加え、この反応物を室温まで温めた。DMFを減圧下で除去することによって、油を得た。次いでこの油を90mLの酢酸エチルに溶解した。粘着性の固体が形成した。上記固体から酢酸エチルをデカントで除き、12mLの水に完全に溶解した。この水相を25mLの酢酸エチルで抽出し、その酢酸エチル抽出物を合わせた。次いで上記抽出物を10mLの水で3回洗浄し、続いて15mLのブラインで洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。生成した材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、2.10gの所望の生成物を得た(R
f=0.20、EtOAc:ヘキサン=25:75、2% KMnO
4による炭化)。MALDI:正確な質量:410.25、得た質量:433.44[M+Na]
+。
1H−NMR(500MHz, DMSO−d
6): δ 4.32(d, J=5.7Hz, 2H), 4.02(d, J=7.1Hz, 2H), 3.76(dd, J=10.4, 3.0Hz, 2H), 3.57−3.48(m, 4H), 3.43(dtd, J=8.7, 5.9, 3.0Hz, 2H), 0.83(s, 18H), 0.00(s, 12H)。より高度に置換された副生成物もまた存在した(質量スペクトルで確認):5.05gのトリ−TBDMS保護(39%収率)(R
f=0.53)およびテトラ−TBDMS置換(R
f=0.71)。
【0336】
化合物I2−a:0.9746g(2.374mmol、1当量)のI1−aを4.6mL(57mmol)のピリジンに溶解し、0℃に冷却した。次に、1.50mL(12.2mmol、5.1当量)の塩化ベンゾイルを滴下添加した。この反応物を室温まで温め、終夜撹拌した。ピリジンの大部分を減圧下で蒸発により除去し、生成した残渣を15mLの酢酸エチルに溶解した。次いで酢酸エチルを5mLの1N HCl(水性)で洗浄し、続いて5mLの飽和NaHCO
3(水性)で洗浄した。酢酸エチルを無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、1.59gの所望の生成物を得た(80%収率)。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:826.36、得た質量:827.7[M+H]
+;849.7[M+Na]
+。
【0337】
化合物I3−a:0.1060gの元素のヨウ素を10mLのメタノールに溶解することによって、およそ1重量%の溶液を作った。次に、0.800g(0.967mmol、1当量)のI2−aを7.5mLのI
2/MeOH溶液に室温で溶解した。追加の1.0mLのTHFを加えることによって、均一溶液を得た。その反応をTLCでモニターした。すべてのヨウ素色が消費されるまで3%Na
2S
2O
3(水性)を滴下添加することによって、9時間後、反応をクエンチした。MeOHおよびTHFを減圧下で除去し、残渣を、6mLの酢酸エチルおよび2mLの水に溶解した。相を分離し、有機相を2mLの水で2回、続いて2mLのブラインで洗浄した。酢酸エチルを減圧下で蒸発により除去した。生成した材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、0.2338gの所望の生成物を得た(0.328mmol、34%収率、R
f=0.57、25:75EtOAc:ヘキサン)。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:712.27、得た質量:713.6[M+H]
+;735.3[M+Na]+。全部で0.2681g(0.324mmol、34%収率)の出発材料を回収した。全部で0.1045g(0.175mmol、18%)のテトラベンゾイルジオール(I8−a)を得た(R
f=0.20、質量スペクトルで確認)。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:598.18、得た質量:599.5[M+H]
+。
【0338】
化合物I8−a:2%ヨウ素のメタノール(30mL)中溶液を、粗製I2−a(5.50g、6.7mmol)の15mLのTHF中溶液に加えた。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。茶色の色が消えるまで3%水性チオ硫酸ナトリウムを添加することにより、反応をクエンチした。懸濁液を真空中で濃縮した。残渣を水(約60mL)に溶解し、60mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、3.84gの所望の生成物を得た(96%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=1:1、Rf=0.5)。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:598.2、得た質量:621[M+Na]
+および1219[2M+Na]
+。
【0339】
化合物I3−a(I8−aからI3−aへと変換):t−ブチルジメチルシリルクロリド(256mg、1.0当量)の無水ジクロロメタン(5mL)中溶液を、シリンジポンプを介して、2.5mL/時間の速度で、化合物k(1.0g、1.7mmol)およびイミダゾール(116mg、1当量)の無水DMF(10mL)中撹拌溶液に、窒素下室温で滴下添加した。次いでこの反応物を追加の1時間の間撹拌した。次に、この反応物を氷浴内に置き、70mLの水を少量ずつ加えながらクエンチした。この混合物を40mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を20mLの水で3回洗浄し、続いて20mLのブラインで2回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで終夜乾燥させ、濾過し、真空中40℃で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得た(584mg、48%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=2:3、254nm UV):Rf=0.83。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:712.27、得た質量:592[M−OBz]
+、713[M+H]
+。
1H−NMR(500MHz, クロロホルム−d): δ 8.07−7.99(m, 4H), 8.00(dd, J =8.2, 1.4Hz, 2H), 7.92(dd, J=8.4, 1.3Hz, 2H), 7.64−7.32(m, 12H), 6.16(dd, J=6.9, 2.5Hz, 1H), 6.08(dd, J=8.2, 2.6Hz, 1H), 5.56(dt, J=7.0, 4.6Hz, 1H), 5.35(dt, J=8.1, 3.3Hz, 1H), 4.04−3.94(m, 2H), 3.89(dd, J=11.3, 4.8Hz, 1H), 3.79(dd, J=13.3, 3.8Hz, 1H), 2.50(s, 1H), 0.81(s, 9H), −0.02(s, 3H), −0.06(s, 3H)。
【0340】
(実施例2)
酢酸エステルおよびTBDMS保護ストラテジーを使用した単一の遊離OH SA分子の合成
【0341】
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
【0342】
化合物I2−b:無水酢酸(7mL、5.1当量)を、シリンジを介して、化合物I1−a(4.3g、10.5mmol)のピリジン(10mL)中撹拌溶液に0℃で滴下添加した。この反応物を終夜室温まで温めた。水を少量ずつ添加(合計約20mL)して反応をクエンチすることによって、二相性の液体を生成した。この液体を40mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を15mLの0.1N HClで3回洗浄し、続いて20mLのブラインで洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで終夜乾燥させた。乾燥した有機層を濾過し、真空中で濃縮して、TLCプレート上で254nmのUV吸収が観察されなくなって、残留するピリジンの除去が示唆されるまでこれを続けることによって、生成物を得た(5.9g、97%)。これをさらなる精製なしで使用した。TLC(EtOAc:ヘキサン=1:3、2% KMnO
4による炭化):Rf=0.65。
【0343】
化合物I3−b:化合物I2−b(4.9g、8.7mmol)を、5分間の音波処理によりメタノール(18mL)に懸濁させた。2%(w/v)ヨウ素のメタノール(17mL)中溶液を加え、この反応物を室温で終夜撹拌した。3%水性のチオ硫酸ナトリウムを茶色の色が消えるまで少量ずつ添加(合計約15mL)することにより反応をクエンチした。懸濁液を真空中で濃縮することによって、大部分のMeOHを除去し、15mLの水の添加により希釈し、次いで30mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を20mLのブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得た(720mg、18%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=1:1、2% KMnO
4による炭化):Rf=0.57。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:464.21、得た質量:333[M−OTBDMS]
+;405[M−OAc]
+、465[M+H]
+、483[M+H
3O]
+、951[2M+Na]
+。
【0344】
(実施例3)
THP(テトラヒドロピラニル)およびTBDMS保護ストラテジー。
【0345】
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
【0346】
化合物I4−a:I3−aを出発材料として使用して、一級ヒドロキシル基のTHP保護についての3つの異なる方法を調査した。方法A:HPLCバイアル内で、29.2mgのI3−a(41μmol)を100μLのCH
2Cl
2に溶解し、続いて4.17μLの3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよび20μLのCH
2Cl
2中0.1mg/μLビーズを添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。TLCは一部の出発材料が残留していることを示し(出発材料についてRf=0.28)、Rf=0.59を有する新規スポットが観察された。追加の出発材料(4.17μL)を加えた。30分後、反応が完了し、UVにより単一スポットが検出された(それは、恐らく生成物である)。この混合物を、ガラスウールを介して、濾過することによって、粗生成物を得た。方法B:HPLCバイアル内で、14.7mgのI3−a(20μmol)を100μLのCH
2Cl
2に溶解し、続いて1.92μLの3,4−ジヒドロ−2H−ピランおよび1.1μLのCH
2Cl
2中50mMビス(トリメチルシリル)サルフェートを添加した。この混合物を0℃で2時間撹拌した。TLCは、一部の出発材料が残留していることを示し(Rf=0.28)、Rf=0.59を有する新規スポットが観察された。追加の出発材料(1.92μL)を加えた。30分後、およそ50%の出発材料がその溶液に残留した。方法C:HPLCバイアル内で、21.4mgのI3−a(30μmol)を100μLのCH
2Cl
2に溶解し、続いて3.82μLの3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1.5当量)および10μLのCH
2Cl
2中76mg/mLのp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(pyridinium p−tolenesulfonate)(PPTS)を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。TLCは、一部の出発材料が残留していることを示し(Rf=0.28)、Rf=0.59を有する新規スポットが観察された。追加の出発材料(3.82μL)を加えた。30分後反応が完了した。150μLのエチルエーテル(PPTSが白色沈殿物を形成)をそのバイアルに加え、100μLの4M NaClをそれに加えた。この混合物をCH
2Cl
2で2回抽出した。有機層を合わせることによって、粗生成物を得た。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):I4−aについての正確な質量:796.33、および観察された質量:797.8[M+H]
+。
【0347】
(実施例4)
TBDPSClストラテジーを使用したSAの単一の一級アルコールの選択的保護
【0348】
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
【0349】
化合物I34−a:0.53g(6.4mmol)のD−マンニトールおよび0.54g(7.9mmol)のイミダゾールを16mLのDMFに加熱により溶解し、次いで−7℃に冷却した。第2のフラスコ内で、1.65mL(6.4mmol)のt−ブチル−ジフェニルシリルクロリドを10mLのDMFに溶解した。次いでこの溶液を−7℃で20分間にわたりマンニトール溶液に加え、追加の5分間撹拌した。DMFを減圧下で除去することによって、油を得た。次いでこれを50mLの酢酸エチルに溶解した。白色の固体(イミダゾール塩酸塩)が沈殿し、これを濾過で除去した。酢酸エチル抽出物を10mLの水で2回洗浄し、続いて10mLのブラインで洗浄した。有機相を減圧下で濃縮し、2.4gの油を得た。TLCによる分析は、主な生成物は1つの部分が保護されたもの(mono−protected)(I34−a)を示した。質量スペクトル分析(MALDI):正確な質量:420.20、観察された質量:443.39[M+Na]
+(R
f=0.21、25:75EtOAc:ヘキサン)であり、副スポットは2つの部分が保護された(di−protected)物質に一致する(R
f=0.93)。質量スペクトル分析(MALDI):正確な質量:658.31、観察された質量:680.7[M+Na]
+。
【0350】
(実施例5)
OHのベンジル保護。
【0351】
【化151】
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【0352】
化合物I5−d:2mLのDMFに溶解した1.0607g(6.54mmol、1.0当量)の2,3−O−イソプロピリジン−D−トレイトール(TCI America)溶液を、0℃で、0.2959gのNaH(7.40mmol、1.13当量)懸濁液に、4mLのDMF中60重量%油中分散液として加えた。その添加は10分間にわたり生じ、続いて追加の反応を30分間行った。この溶液に、0.780mL(6.56mmol、1.0当量)の臭化ベンジルをゆっくりと加え、生成した混合物を0℃で20分間撹拌した。TLC分析(シリカ上40:60酢酸エチル:ヘキサン、CAM染色)は、出発材料の消費およびR
f=0.28を有する生成物を示した。DMFの大部分を減圧下で蒸発により除去した。生成した油を5mLの水に溶解し、15mLの酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、5mLのブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。次いで生成した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、0.997g(3.95mmol、60.4%収率)の所望の生成物を得た。質量スペクトル分析(MALDI):正確な質量:252.14Da、観察された質量:275.95[M+Na]
+。HPLCは、精製された生成物に対して4.387分で1つのピークを示した(方法A)。
【0353】
【化152】
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【0354】
(実施例6)
単官能性SA架橋試薬p3−4fの合成。
【0355】
化合物I37−b:シリンジを介して、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)(178μL、0.906mmol、1.2当量)を、化合物I3−b(350mg、0.753mmol)およびトリフェニルホスフィン(238mg、0.906mmol、1.2当量)の乾燥テトラヒドロフラン(21mL)中溶液に窒素下、0℃で滴下添加した。暗所において、0℃でおよそ1時間の撹拌後、シリンジを介して、ジフェニルホスホリルアジド(196μL、0.906mmol、1.2当量)を滴下添加した。この反応物を室温まで温め、暗所で3日間撹拌した。この反応混合物を真空中で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得た(0.294g、80%収率)。TLC(EtOAc:ヘキサン=1:3、PMAによる炭化):Rf=0.52。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:489.21、観察された質量:490[M+H]
+;512[M+Na]
+;1001[2M+Na]
+。
【0356】
化合物I38−b:トリフェニルホスフィン(470mg、1.80mmol、3当量)および脱イオン水(100μL)を、化合物I37−b(294mg、0.600mmol)のTHF(10mL)中溶液に加えた。この反応物を室温で終夜撹拌し、次いでこの混合物を真空中で濃縮した。トルエン(約5mL)を加え、この混合物を再び真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、生成物を得た(91mg、33%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=3:1、ニンヒドリンによる炭化):Rf=0.17。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:463.22、得た質量:464[M+H]
+;486[M+Na]
+;949[2M+Na]
+。
【0357】
化合物I5−bb:メタノール溶液中の2%ヨウ素を使用してI2−aをI8−aに変換するものと同様のプロトコルに従い、I38−bのTBDMSを脱保護する。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製するか、または十分に純粋な場合(>90%)には次の反応に直接使用することができる。
【0358】
トリフルオロメチル安息香酸のNHSエステル:20mg(0.0869mmole)の4−(1−アジ−2,2,2−トリフルオロメチル)安息香酸、21.6mg(0.1052mmole)のDCC、11mg(0.0956mmole)のN−ヒドロキシスクシンイミド、および435μLのジメチルホルムアミド(DMF)を1.5mLの超遠心分離管に加えた。この混合物を30秒間ボルテックスし、次いで室温で揺動させた(nutated)。HPLCは1時間以内で反応の完了を示した(出発材料:t
R=3.73分間;NHSエステル:t
R=3.99分間)。粗製の反応混合物を、精製なしに次のステップで直接使用した。HPLC条件:Xterra(商標)RP18カラム、5μm、4.6×250mm;緩衝液A:水中0.1%TFA;緩衝液B:アセトニトリル中0.1%TFA;均一濃度の(isocratic)60%Bで溶出。
【0359】
化合物p3−4j:水中のK
2CO
3溶液(約1M)を化合物I5−bbを含有するフラスコに加え
る。上記化合物が完全に溶解していない場合、少量のMeOHを加えることができる。反応の進行をTLCでモニター
する(PMAによる炭化)。反応は通常1時間以内で終わり、化合物p3−4jが得られる。これを、ワークアップおよび精製なしに次の反応に直接使用する。
【0360】
化合物p3−4f:トリフルオロメチル安息香酸のNHSエステルの反応混合物を濾過し、化合物p3−4jを含有するK
2CO
3溶液(約1:1のモル比)に直接加え
る。溶液のpHをチェック
する。この反応についての最適なpHは、pH8.0〜9.0の間である。反応の進行をTLCまたはHPLCでモニター
する。アミドカップリングは通常1〜4時間以内で完了する。反応後、溶液をC18カラムに通すことによって、脱塩するか(十分に純粋な場合)、または水/アセトニトリル勾配系を使用する分取HPLC精製に直接かけ
る。収集した画分を合わせ、凍結乾燥させることによって、生成物を得
る。この粗生成物はシリカゲルクロマトグラフィーで精製することもできる(普通は90%よりも上の収率、HPLCが利用された場合、その回収率はより低い)。生成物の本質(identity)を質量分析法でチェックし、その構造を
1HNMRで確認
する。
【0361】
(実施例7)
単官能性SA架橋試薬p3−4bの合成。
【0362】
化合物p3−4b:化合物p3−4bを、化合物p3−4fと同様のプロトコルに従い調製
する。最初に、トリフルオロメチル安息香酸と同様のプロトコルに従いNHSエステルを合成
する。DCM中の3−マレイミドプロピオン酸(化合物I4−baに対して1.1当量)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、1.1当量)、およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.1当量)をフラスコに加え
る。反応のスケールが数グラムより上である場合、氷/水を使用することができる。反応物を数時間撹拌後、白色の固体が沈殿
する。濾過後、有機溶媒を低圧下で蒸発させることによって、油を得
る。化合物p3−4fと同じプロトコルに従い、この油を、p3−4jを含有するK
2CO
3溶液に直接加え
る。生成物をHPLCまたはシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する(普通、90%より上の収率、HPLCを利用した場合、その回収率はより低い)。生成物の本質を質量分析法でチェックし、その構造を
1HNMRで確認
する。
【0363】
(実施例8)
単官能性SA架橋試薬p3−4eの合成
【0364】
ジチオジピリジンプロピオン酸:N2でパージしたメタノール中2,2−ジチオジピリジン(約1M溶液)を、撹拌棒を備えたオーブン乾燥させた三口フラスコに、N2下、室温で加え
る。この混合物に3−メルカプトプロピオン酸を滴下添加
する。溶液は黄色になり、それを2〜4時間撹拌
する。溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得
る(普通、定量的収率)。生成物の本質を質量分析法でチェックし、その構造を
1HNMRで確認
する。
【0365】
ジチオピリジンプロピオン酸のNHSエステル:トリフルオロメチル安息香酸と同様のプロトコルに従い、およびジクロロメタンを溶媒として使用して、NHSエステルを合成
する。反応の進行をHPLCまたはTLCでモニター
する。反応後、固形の沈殿物を濾過し、溶媒を真空中で除去
する。残渣油を次の反応に直接使用
する。
【0366】
化合物p3−4e:p3−4fについて記載されているように、ジチオジピリジンプロピオン酸のNHSエステルおよびp3−4jを出発材料として使用して該化合物を合成した。生成物の本質を質量分析法でチェックし、その構造を
1HNMRで確認した。
【0367】
(実施例9)
単官能性SA架橋試薬p3−4aの合成
【0368】
【化153】
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【0369】
化合物I36−b:シリンジを介してアゾジカルボン酸ジイソプロピル(29μL)を、化合物I3−a(70mg、0.098mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(25mg、0.15mmol、1.5当量)、およびトリフェニルホスフィン(39mg、0.15mmol、1.5当量)のTHF(ACSグレード、1mL)中溶液に氷浴内で滴下添加した。この反応物を終夜室温まで温めた。出発材料はほとんど消費された。この混合物を真空中で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、所望の生成物を得た(71mg、84%)。ESI−MS m/zは、[M−OBz]
+および[M+H]
+と一致した(それぞれ736および858)。
【0370】
化合物I36−bb:化合物I36−b(70mg、0.082mmol)をボルテックスによって、500μLのヒドラジン:ピリジン:酢酸(1:32:16、体積/体積)溶液と混合した。およそ10分後、反応を10mLの水でクエンチし、これにより、当初白色の混濁物がもたらされたが、次にすべての混濁物は溶解した。この反応物を3mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた粗製の有機相を質量スペクトル(mass spec)(エレクトロスプレー)で分析した:正確な質量:727.28、観察された質量:606[M−OBz]
+;728[M+H]
+;1456[2M+H]
+。tert−ブチルN−ヒドロキシカルバメート(BocN−OH)を使用する代替法でも、極めて小規模の試験を行い、質量スペクトルで確認されたような所望の生成物をもたらした。
【0371】
化合物I5−aa:メタノール溶液中の2%ヨウ素を使用して、I2−aからI8−aへの変換について記載されているように、化合物I5−aaを調製
する。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製するか、または十分に純粋な場合(>90%)には次の反応に直接使用することができる。
【0372】
化合物p3−4a:化合物I5−aa(約50mg)を10mL反応バイアルに加え、続いてMeOH溶液中1%NaOHを加え
る。この反応混合物を室温で撹拌し、反応の進行をTLCでチェック
する(UVおよびPMA炭化)。完了後、MeOHを真空中で除去
する。DCMを残渣固体に加え
る。数分間混合後、DCM層を真空中で乾燥させることによって、生成物を得る。DCM層がいくらかの安息香酸を含有した場合、残渣を再び水に溶解し、希HClを使用してpH2〜3に酸性化
する。水溶液をDCMで抽出することによって、残留する安息香酸を除去
する。希NaOHを使用して水溶液をpH8〜10に調節
する。水溶液をDCMで3回抽出
する。DCM層を合わせ、乾燥させることによって、生成物を得
る。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。
【0373】
化合物I5−b:ヨウ素のメタノール(4mL)中2%溶液を、化合物I4−ba(252mg、0.515mmol)のメタノール(2mL)中溶液に加えた。この反応物を室温で終夜撹拌した。3%水性チオ硫酸ナトリウムを茶色の色が消えるまで滴下添加することによって、反応をクエンチした。この混合物を真空中で濃縮し、水(約20mL)に溶解し、20mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで終夜乾燥させ、濾過し、濃縮し、真空下で乾燥させることによって、生成物を得た(176mg、91%)。これをさらなる精製なしで次の反応に使用した。TLC(EtOAc:ヘキサン=3:2、PMAによる炭化):Rf=0.47。ESI−MS m/zは、[M+H]
+、376;[M+Na]
+、398;および[2M+Na]
+、773と一致した。
【0374】
(実施例10)
ホモ二官能性SA架橋試薬p6−4aaの合成。
【0375】
【化154】
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【0376】
化合物I9−a:シリンジを介して、DIAD(49μL、3.0当量)のTHF(0.1mL)中溶液を、氷浴内、窒素下で、化合物k(49.5mg、0.083mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(40.5mg、3.0当量)、およびトリフェニルホスフィン(65mg、3.0当量)のTHF(0.8mL)中溶液にゆっくりと加えた。溶液は急速に明るいオレンジ色に変わった。およそ30分後、この反応混合物を室温まで温めておくと、オレンジ色が消えた。反応物を終夜撹拌した。揮発物を真空中で除去し、残渣をシリカゲルカラムで精製することによって、許容される純度(約85%)で生成物を得た(31mg、42%)。HPLC(TFA05法、220nmでのUV吸光度により検出)保持時間=9.20分。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:888.22Da、得た質量:766[M−OBz]
+;911[M+Na]
+。
【0377】
化合物p6−4aa:フタルイミド保護基およびBz基を除去し、実施例9に記載のプロトコルに従い生成物を精製することによって、化合物p6−4aaを得
る。
【0378】
(実施例11)
ホモ二官能性SA架橋試薬p6−4bbの合成
【0379】
【化155】
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【0380】
化合物I9−bb:実施例6のモノアジド化合物37−bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ジアジド化合物I9−bbを保護されたジ−ヒドロキシルマンニトール(I8−b)から変換
する。この化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、炭化(PMA)を用いてTLCでチェック
する。
【0381】
化合物I9−bc:実施例6のモノアミン化合物38−bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ジアミン化合物I9−bcをジアジド化合物I9−bbから変換
する。この化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、炭化(PMA)を用いてTLCでチェック
する。
【0382】
化合物p6−4j:実施例6のI5−bbからの化合物p3−4jについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ジアミン化合物I9−bcのアセテート基の脱保護を実施
する。脱保護完了後、この混合物を直接使用して次のステップを実行
する。
【0383】
化合物p6−4bb:実施例7の単官能性マレイミド化合物p3−4bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ホモ二官能性マレイミド化合物p6−4bbをp6−4jから合成
する。この化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度をTLCまたはHPLCでチェック
する。
【0384】
(実施例12)
SA架橋試薬p6−4ffの合成
【0385】
化合物p6−4ff:実施例6の単官能性マレイミド化合物p3−4fについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ホモ二官能性マレイミド化合物p6−4ffをp6−4jから合成
する。この化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度をTLCまたはHPLCでチェック
する。
【0386】
(実施例13)
SA架橋試薬p6−444の合成
【0387】
化合物p6−4ee:実施例8の単官能性マレイミド化合物p3−4eについて記載されているものと同じプロトコルに従い、ホモ二官能性マレイミド化合物p6−4eeをp6−4jから合成
する。この化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度をTLCまたはHPLCでチェック
する。
【0388】
(実施例14)
ヘテロ二官能性トレイトール(thrietol)架橋試薬p2−2abの合成
【0389】
【化156】
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【0390】
化合物I4−da:シリンジを介して、塩化メタンスルホニル(75μL)を、化合物I3−d(195mg、0.773mmol)およびトリエチルアミン(300μL、2.8当量)のジクロロメタン(2mL)中撹拌溶液に氷浴内で滴下添加した。この反応物を氷浴内で1時間撹拌し、次いで2Mの水性NH
4Cl(約2mL)でクエンチした。有機相を分離し、2Mの水性NH
4Cl(約2mL)で再び洗浄した。合わせた水層を3mLのジクロロメタンで3回逆抽出した。合わせた有機相を2mLのブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、さらなる精製なしで粗生成物を得た(定量的収率と想定される)。TLC(EtOAc:ヘキサン=2:3、254nmUVまたはPMA炭化で視覚化):Rf=0.46。
【0391】
化合物I4−db:シリンジを介して、窒素下、氷浴内で、化合物I4−da(255mg、0.773mmol)のジエチルエーテル(1mL)中溶液を、DBU(175μL、化合物I4−daに対して1.5当量)およびN−Boc−ヒドロキシルアミン(145mg、1.4当量)のジエチルエーテル(1mL)中撹拌溶液に加えた。この反応混合物を室温で3日間撹拌した。ゆっくりとした変換が観察されたが、この反応プロファイルは正当だった。エーテルを蒸発させ、この反応混合物をアセトニトリル(2mL)に再溶解し、終夜加熱還流した。より迅速な変換が観察されたが、反応プロファイルはかなりより複雑になった。この反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーを介して精製することによって、生成物を得た(48mg、2つのステップにわたり17%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=2:3、254nmUVまたはCAM炭化で視覚化):Rf=0.75。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:367.20Da、観察された質量:368[M+H]
+;390[M+Na]
+;757[2M+Na]
+。
【0392】
化合物I5−da:撹拌棒を備えた10mLナシ型フラスコに100mgの10%パラジウム炭素を充填し、次いで窒素で2回パージした。化合物I4−db(40mg、0.109mmol)および1,4−シクロヘキサジエン(200μL、およそ20当量)の1:1THF/MeOH(1mL)中溶液を、シリンジを介して加えた。この混合物を室温で撹拌した。ゆっくりとした変換が観察され、追加の、過剰な1,4−シクロヘキサジエンを周期的に加えた。1日撹拌後、反応は完了しなかった。したがって、ギ酸(50μL)を代替の水素転移試薬として使用した。2日間の撹拌後、反応は完了した。セライトパッドを介してこの混合物を慎重に濾過し、濃縮することによって、生成物を得た(25mg、83%)。これを、次のステップにさらなる精製なしで使用した。TLC(EtOAc:ヘキサン=2:3、CAM炭化により視覚化):Rf=0.22。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:277.15Da、観察された質量:278[M+H]
+;300[M+Na]
+;555[2M+H]
+;577[2M+Na]
+。
【0393】
化合物I6−da:実施例6の化合物I37−bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、I5−da中の一級OH基をアジドに変換
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、炭化(PMA)を用いてTLCでチェック
する。
【0394】
化合物I6−db:実施例6の化合物I38−bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、I6−da中のアジド基をアミンに還元
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、炭化(PMA)を用いてTLCでチェック
する。
【0395】
化合物p1−2aj:文献の手順に従い、アセトニド(イソプロピリデンケタール)保護基およびBocを同時に脱保護
する(Leblanc, Y. ら、J. Org. Chem.1986年、51巻、789頁)。トリフルオロ酢酸(0.2M)を、0℃で、化合物I6−dbの4:1THF/水中撹拌溶液に加え
る。生成した溶液を室温まで温め、終夜放置
する。濃水酸化アンモニウムの添加により反応物を中和し、減圧下でTHFを除去することによって、生成物を得
る。
【0396】
化合物p1−2ab:実施例7の化合物p3−4bについて記載されているものと同じプロトコルに従い、p1−2ajのアミン基を3−マレイミドプロピオン酸のNHSエステルにカップリング
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、TLCまたはHPLCでチェック
する。
【0397】
【化157】
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【0398】
(実施例15)
ヘテロ二官能性トレイトール架橋試薬p2−2abの合成。
【0399】
化合物I5−b:ヨウ素のメタノール(4mL)中2%溶液を、化合物I37−b(252mg、0.515mmol)のメタノール(2mL)中溶液に加えた。この反応物を室温で終夜撹拌した。3%水性チオ硫酸ナトリウムを茶色の色が消えるまで滴下添加することによって、反応をクエンチした。この混合物を真空中で濃縮し、水(約20mL)に溶解し、20mLのジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで終夜乾燥させ、濾過し、濃縮し、真空下で乾燥させることによって、生成物を得た(176mg、91%)。これをさらなる精製なしで次の反応に使用した。TLC(EtOAc:ヘキサン=3:2、PMAによる炭化):Rf=0.47。質量スペクトル分析(エレクトロスプレー):正確な質量:375.13Da、得た質量:376[M+H]
+;398[M+Na]
+;773[2M+Na]
+。
【0400】
化合物I5−bbおよびI5−bc:実施例11の化合物I4−dbについて記載されているものと同じプロトコルに従い、I5−bのOH基をBOC保護したアミノオキシに変換
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認する。純度を、TLCまたはHPLCでチェック
する。
【0401】
化合物p1−4aj:実施例6の化合物p3−4jについて記載されているプロトコルに従い、I5−bcのアセテートをK
2CO
3溶液中で脱保護
する。脱保護後、溶液を中和し、DCMで抽出
する。DCM層を真空中で蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーで精製することによって、化合物o1−aを得
る。化合物p1−2ajについて記載されているプロトコルに従いo1−aのBocを脱保護
する。溶媒の蒸発後、純粋な生成物を得
る。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、TLCまたはHPLCでチェック
する。
【0402】
(実施例16)
Br−置換SAの合成。
【0403】
【化158】
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【0404】
化合物14−ad:四臭化炭素(300mg、「約6%までの水を含有し得る」およそ1.05当量)の1mLのジクロロメタン中溶液を、化合物I3−a(505mg、0.84mmol)のジクロロメタン(3mL)中溶液に、氷浴内で加えた。トリフェニルホスフィン(275mg、1.25当量)の1mLのジクロロメタン中溶液を加えた。この反応物を氷浴内でおよそ2時間撹拌し、次いで室温まで温め、終夜撹拌した。TLCは、微量の出発材料が残留することを示したが、その反応プロファイルはむしろ正当でなかった(dirty)。この反応混合物を真空中で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、生成物を得た(209mg、37%)。TLC(EtOAc:ヘキサン=1:1、UV254nmで視覚化):Rf=0.82。このESI−MS m/zは、以下と一致した:[M−OBz]
+、539、541;[M−Br]
+、581;[M−OH]
+、643、645;[M+H]
+、661、663;[M+Na]
+、683および685;および[2M+Na]
+、1344、1346、および1348。
【0405】
(実施例17)
OH基のアルキル化。
【0406】
【化159】
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【0407】
化合物O1−a:ヨウ化メチル(1.3mL)を、出発材料、I1−b(100mg)、酸化銀(I)(1.97g)、および粉砕した4A MS(500mg)のジエチルエーテル(5mL)中撹拌混合物に加えた。この反応物を8時間加熱還流させ、次いで室温に冷却し、2日間撹拌した。TLCは変換の完了を示し、ESI−MSデータは、所期の生成物:467[M+H]
+、489[M+Na]
+、956[2M+Na]
+の形成を示唆した。注意:この反応の中で、出発材料はマンニトールのシリル化反応の副生成物であった(スキーム12)。I1−bは、同じ質量スペクトルデータを有するが、TBDMSのうちの1つがマンニトールの二級OH基にカップリングしているためRf値がより低いので、I1−aの局所性異性体である。
【0408】
(実施例18)
トレイトールの二量体化および四量体化。
【0409】
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
【0410】
化合物I17−a:0.1223g(0.485mmol、1当量)のI3−dを、2.1mLのCH
2Cl
2に、0.075mL(0.538mmol、1.11当量)のトリエチルアミンと共に溶解し、−78℃に冷却した。次に、0.080mL(0.475mmol、0.98当量)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加え、この混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いで使用前に7分間の期間0℃に温めた。別の反応フラスコ内に、0.0338g(0.845mmol、1.7当量)のNaHを油中60重量%の分散液として、0℃で、3mLのDMFに懸濁させた。次に、2mLのDMFに溶解した0.1288g(0.510mmol、1.05当量)のI3−dを、その懸濁液に加えた。生成した混合物を0℃で20分間撹拌した。この期間の終わりに、「トリフレート(triflate)」溶液を「アルコキシド」混合物にゆっくりと加え、その反応物を室温に温めた。0.200mLの水の添加によりこの反応をクエンチした。大部分のDMFおよびCH
2Cl
2を減圧下で蒸発により除去した。生成した油を5mLの水に溶解し、15mLの酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を合わせ、5mLのブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣のHPLC分析は、4.496および8.262分で、ほとんど等しい面積の2つのピークを示した。TLC分析(シリカ上25:75酢酸エチル:ヘキサン、CAM染色)は、R
f=0.30を有する生成物およびRf=0.15を有する少量の出発材料を示した。生成した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、0.0564gの所望の生成物を得た(0.116mmol、23.9%収率)。質量スペクトル(ターボスプレー):期待m/z487.3[M+H]、実測m/z487.5;期待m/z509.3[M+Na]、実測m/z509.5;および期待m/z995.6[2M+Na]、実測m/z995.6。精製後、HPLC分析は、8.155分において単一のピークを示した。
【0411】
別の実験において、DMFの代わりにTHF溶媒を使用した。より低い収率13%を得た。
【0412】
化合物I18−a:0.050g(0.12mmol、1当量)のI17−aを2mLのメタノールおよび2mLのTHFに溶解した。その溶液を窒素で15分間パージすることによって、溶解した気体を除去し、続いて0.105gのPd/C10%重量/重量を添加した。この系を密閉し、窒素ガスでパージした。次に、0.100mL(1.06mmol、8.8当量)の1,4−シクロヘキサジエンを室温で加えた。この混合物を撹拌し、反応の進行をTLCでモニターした。1時間後、追加の0.100mL(1.06mmol、8.8当量)の1,4−シクロヘキサジエンを加えた。2時間後、追加の0.100mL(1.06mmol、8.8当量)の1,4−シクロヘキサジエンを加えた。3時間後、追加の0.400mL(4.24mmol、35.3当量)の1,4−シクロヘキサジエンを加え、反応物を終夜撹拌した。TLCは、出発材料の消費およびR
f=0.30を有する生成物の存在を示した(シリカ上40:60酢酸エチル:ヘキサン)。この反応混合物を、セライト545パッドを通して濾過することによって、Pd/Cを除去し、続いて、1mLのMeOHおよび0.75mLの水を添加することによって、該セライトを通る生成物の移動を促進させた。減圧下での蒸発によりTHFおよびMeOHを除去し、凍結乾燥により水を除去した。全部で0.0365g(0.092mmol、89%収率)の材料を得た。質量スペクトル(ターボスプレー):期待m/z397.2[M+H]、実測m/z397.5;期待m/z419.2[M+Na]、実測m/z419.5;および期待m/z815.4[2M+Na]、実測m/z815.8。両方のベンジル保護基が除去されている物質に一致するシグナルもまた存在した:期待m/z307.2[M+H]、実測m/z307.4;期待m/z419.2[M+H]、実測m/z419.5。HPLCは、5.627分において主な生成物ピークを示した。この材料はさらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0413】
化合物I21−a:ダイマーI17−8からの化合物I17−aについて記載されているものと同じプロトコルに従いテトラマーを調製
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、TLCまたはHPLCでチェック
する。
【0414】
(実施例19)
単一MWのSA高分子(>20KDa)架橋試薬の合成
【化161】
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【0415】
化合物I3−e:I8−dからの化合物I5−d(実施例5)について記載されているものと同じプロトコルに従い調製したI2−bのベンジル化により化合物I3−eを調製
する。その化合物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製
する。生成物の本質を質量スペクトルでチェックし、その構造を
1H−NMRで確認
する。純度を、TLCまたはHPLCでチェック
する。
【0416】
化合物p3_4a−128:I17−aと同様のプロトコルに従いダイマーI17−4aを調製
する。I3−eをトリフルオロメタンスルホン酸無水物と最初に反応させることによってトリフレートを形成
する。他の良好な脱離基、例えば、メシレートもここで使用することができる。次に、塩基、例えば、NaH、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、またはカリウムtert−ブトキシドの存在下、THFの存在下で、トリフレートを別のI3−eと反応させ
る。幾つかの場合では、DMFを使用することもできる。カップリング後、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、HPLCおよび質量スペクトルで分析
する。MeOH中1%I
2を使用して、I3−aと同じプロトコルに従い、ダイマーI17−4のTBDMS基のうちの1つを脱保護
する。生成したダイマーを、トリフルオロメタンスルホン酸無水物で活性化し、塩基の存在下で、別のダイマーと反応させることによって、テトラマーI17−4bを形成
する。TBDMS基のうちの1つをヨウ素脱保護した後、生成した材料が、自己カップリングおよびヨウ素脱保護のサイクルを5回繰り返すことによって、128のSA単位を有する、1つの部位が保護された(mono−protected)糖アルコール(I3−eb)を得
る。実施例11のI4−dbに記載されているものと同じプロトコルに従い、I3−ebの一級OHをアミノオキシに変換
する。最終生成物を最初に脱ベンジル化し、次いでヨウ素を使用してTBDMS基を除去し、最後に、本特許において先に記述された手順に従いTFAがBocを除去
する。最終結果は、アミノオキシが20KDaのSA化合物全体にわたって誘導体化され、該アミノオキシを介するコンジュゲーションが利用可能とな
る。
【0417】
(実施例20)
アミド結合により結合しているより大きいMWのSAを合成するための他のモノマーの調製
【0418】
D−グルカミンのFmoc保護:D−グルカミン(1.02g、5.52mmol)、Fmoc−OSu(1.99g、1.05当量)、および炭酸カリウム(0.78g、1当量)をDMF(40mL)に懸濁させた。水(40mL)を少量ずつ加えると、熱を生成した。この反応混合物は短時間で澄明になり、次いで沈殿物の形成が開始された。終夜撹拌後、この反応混合物を750mLの水に注ぎ入れた。沈殿物を吸引濾過で収集し、凍結乾燥により乾燥させることによって、黄色の固体を得た(1.75g)。HPLCピーク面積によると、このうちのおよそ40%が所望の物質であった。HPLC(TFA05法、220nmのUV吸光度により検出)保持時間=5.10分。UVスペクトルはFmoc部分に特徴的なものであった。HPLCから収集したESI−MSの画分:m/zは、[M+H]
+、404;[M+Na]
+、426と一致した。
【0419】
D−グルコサミン酸のFmoc保護:水(5mL)を、D−グルコサミン酸(101.3mg、0.519mmol)、Fmoc−OSu(192mg、1.1当量)、および炭酸水素カリウム(144mg、2当量)のDMF(5mL)中撹拌懸濁液に加えた。熱が生成した。音波処理およびさらなるDMF(1mL)の添加後、この混合物は短時間で澄明になり、その後白色の濁りが形成された。この反応物を室温で4時間撹拌した。0.5N HClの添加によりこの混合物をpH8に調節し、次いで真空中で濃縮した。残渣を水(約40mL)に溶解し、15mLの酢酸エチルで3回抽出した。0.5N HClの添加により、水層をpH2.5に調節し、30mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮することによって、所望の生成物を得た(105mg、48%)。HPLC(TFA05法、220nmのUV吸光度により検出)保持時間=5.06分。UVスペクトルは、Fmoc部分に特徴的なものであった。ESI−MS m/zは、[M−OH]
+、400;[M+H]
+、418;[M+Na]
+、440に一致した。
【0420】
上記のFmoc保護した糖アルコールのアミノ酸の遊離OH基を、酢酸エステルまたはtブチルエステルとして保護する。最終モノマーを使用し、標準的Fmocペプチド固相合成ストラテジーを使用して、アミド結合により結合しているSA高分子を組み立てる。
【0421】
コンジュゲーションの例:
【0422】
実施例21〜26は、糖アルコール架橋剤を使用して他の分子を結合体化するまたは改変するための一般的な方法およびプロトコルを図示している。他の架橋剤を超える糖アルコール架橋剤の利点は、これらの実施例において明らかである。これは、糖アルコール架橋剤が非常に親水性であるため、上記反応に対して必要とされる有機溶媒が少なくてすむか、またはまったく要らないからである。特に抗体薬物コンジュゲートの場合、糖アルコール結合は、薬物の疎水性を大いに低下させ、改変後、水性緩衝液においてこれを抗体と反応させることを容易にする。凝集が少なく、より安定した抗体薬物コンジュゲートを予測することもできる。
【0423】
(実施例21)
抗体薬物コンジュゲートの合成。
【0424】
抗体を毒素に結合体化するための標準的方法は、マレイミド−NHS架橋剤を介する(抗体薬物コンジュゲート領域において最も公開されている方法による)。抗体のヒンジ領域内のジスルフィド結合は、選択的に還元させることによって、スルフヒドリル基を含有する半抗体を生成することができる。次いでこれをマレイミド改変した毒素と反応させる。抗体はまた、表面アミンでチオール化することによって、スルフヒドリル基を生成することができ、次いでこれをマレイミド改変された毒素と反応させることができる。2番目に一般的な方法は、NHSエステルカップリングが関与する。例えば、毒素が遊離酸を有する場合、NHSエステル活性化法(単純化されたプロセス)を介して、これを抗体の表面アミンにカップリングすることができる。
【0425】
CD33抗体−ドキソルビシン:市販のCD33抗体およびドキソルビシンを使用することによって、マンニトールベースの架橋試薬を使用して抗体薬物コンジュゲートを合成することについての実現可能性を実証する。方法aでは、上記抗体をヒンジ領域で還元することによって、2つの半抗体分子を生成し、マレイミドマンニトールアミノオキシ架橋試薬を介して、これらをマレイミド活性化ドキソルビシンと反応させる。方法bでは、ドキソルビシンをカルボン酸マンニトールアミノオキシと反応させ、次いでEDCを介して抗体の表面アミンと反応させる。コンジュゲーション後、この反応混合物を透析または脱塩することによって、結合体化していない薬物を除去する。分取疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)精製を介して、結合体化していない(遊離の)抗体を除去する。抗体に充填された薬物分子の数(抗体−薬物比)を、HICカラムを使用するHPLC分析で求める。マトリクス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)またはエレクトロスプレー質量分析法で抗体−薬物のMWを分析する。標識の正確な位置を抗体のトリプシン消化で求め、LC/MS−MS/MSで分析する。凝集のパーセンテージをゲル濾過クロマトグラフィーで求める。
【0426】
(実施例22)
単一の純粋なSA高分子およびタンパク質コンジュゲートの合成。
【0427】
この実施例は、ヒト顆粒球−コロニー刺激因子(rhG−CSF)のテトラマンニトール標識を図示している。組換えrhG−CSFを文献に従い調製する(Souza, LMら、Science、1986年、232巻、61〜65頁)。末端アミンを介して単一標識化rhG−CSFを調製するための典型的なプロトコルが図示されている。rhG−CSFのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中溶液(5mg/mL)を、4℃でマンニトールカルボキシメチル−N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(mannitol carboxymethyl−N−hydroxysuccinimidy ester)(18当量)を含有するバイアルに加える。SA分子を溶解した後、この反応物を22℃で1時間撹拌する。ヒドロキシルアミン(2M、pH7.3)をこの反応混合物に加えることによって、rhG−CSFの任意の不安定なSA標識部位を切断する。1時間後、この反応混合物を1mM HClで希釈し、1M HClでpHを3.5に調節する。rhG−CSF−SAを陽イオン交換クロマトグラフィーで精製する。SA標識部位をエンドプロテイナーゼペプチドマッピングにより求める。インタクトなrhG−CSF−SAのMWをMALDIで求める。
【0428】
(実施例23)
SA高分子に高充填された治療剤の合成。
【0429】
ドキソルビシンは、アミノオキシ含有SA高分子と容易に反応するケトン基を有する。複数のコピーのアミノオキシを含有するSA高分子は、ドキソルビシンと反応することによって、高充填された薬物を生成する。二級OH基の代わりにアミノオキシを含有するテトラマンニトールは、ドキソルビシンと反応し、高充填された治療剤を生成する。
【0430】
(実施例24)
単一の純粋なSA高分子とオリゴのコンジュゲートの合成。
【0431】
SA高分子(>20KDa)は、以下の手順を使用して、オリゴに容易に結合することができる。5’または3’末端改変されたアミンオリゴを、リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.0〜9.0)に10〜20mMの濃度で溶解する。単一のNHSエステルを保持するSA高分子をそのオリゴ溶液に直接加えると、1〜2mMの範囲のSA高分子の最終濃度となる。バイアルを、37℃で数時間の間振盪機内に置く。反応の進行は、サイズ排除HPLC、陰イオン交換、または逆相C18クロマトグラフィーによりチェックすることができる。上記オリゴの大きさに応じて、この反応混合物を、ゲル濾過(Superdex(商標)200)または限外濾過法を使用して脱塩することによって、未反応のオリゴを除去することができる。上記オリゴおよびSAのMWが極めて近接している場合、上記オリゴとSAを1:1比で一緒に混合し、生成物を陰イオン交換クロマトグラフィーで精製するべきである。5’または3’チオール改変されたオリゴもまた、標準的なプロトコルに従い、末端に単一のマレイミド基を保持するSA高分子(>20KDa)に結合体化する。生成物の本質をMALDI−MSでチェックする。ゲル電気泳動を使用することによって、その反応物を分析する。糖アルコールはUV吸光度を有さないので、特別な検出器、例えば、パルス化電気化学的検出器(PAD)、屈折率検出器、または光散乱検出器が必要とされることもあることに注意されたい。他の方法は、TLCにおいて試料をスポットすることおよびCAMまたはPMA試薬によって炭化することである。
【0432】
(実施例25)
単一の純粋なSA高分子とペプチドのコンジュゲートの合成。
【0433】
SA高分子(>20KDa)は、以下の手順を使用してチオールペプチドに容易に結合することができる。単一のマレイミド基を保持するSA高分子を、リン酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH6.0)中の5〜10当量のチオールペプチドと混合し、室温で混合する。反応の進行をサイズ排除HPLC、陰イオン交換、陽イオン交換、または逆相C18クロマトグラフィーでチェックする。上記オリゴの大きさに応じて、この反応混合物を、ゲル濾過(Superdex(商標)200)または限外濾過法を使用して脱塩することによって、未反応のペプチドを除去する。上記オリゴおよびSAのMWが極めて近接している場合、上記ペプチドとSAを1:1比で一緒に混合し、生成物を陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィーで精製するべきである。他のペプチド、例えば、ケトペプチドも合成し、アミノオキシ基を保持するSA高分子(>20KDa)と酸性条件(普通MeOH中酢酸)下で反応させることによって、SA−ペプチドコンジュゲートを得る。
【0434】
(実施例26)
糖アルコールヘテロ二官能性架橋剤を使用したHRP−オリゴの合成
【0435】
5’または3’改変されたアミンオリゴを、一方の末端にNHS−エステルを有し、他方の末端に2−ピリジルジチオールを有する、リン酸ナトリウム緩衝液(pH>8.0)中糖アルコール(MW<500Da)と最初に反応させる。この反応は、典型的に37℃で4時間実施する。反応したオリゴをSephedex(商標)G25カラムで脱塩し、凍結乾燥する。次いで乾燥したオリゴをリン酸ナトリウム緩衝液(pH>8.0)に溶解し、DTTを用いて、37℃で30分間還元する。還元されたオリゴを脱塩し、HRP−保持マレイミド基に直接加える。HRPをNHS−マレイミド糖アルコール架橋剤(MW<500Da)または他の任意のNHS−マレイミド架橋剤と反応させることによって、マレイミド−HRPを調製する。上記オリゴとHRPのコンジュゲーション反応を室温で進行させ、その進行をゲル濾過(または陰イオン交換)クロマトグラフィーでモニターする。HRP−オリゴコンジュゲートをゲル濾過または陰イオン交換クロマトグラフィーで精製することによって、単一の、オリゴ標識HRP含有糖アルコールスペーサーを得る。
【0436】
参照による組込み
本明細書で言及された刊行物および特許文献のそれぞれの全体の開示は、それぞれ個々の刊行物または特許文献が個々に表示されているかのように、これと同程度まで、すべての目的のために、参照によりその全体が組み込まれている。
【0437】
同等物
本発明は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で実施形態化されてもよい。したがって、前述の実施形態は、本明細書中に記載されている本発明を限定するものではなく、むしろすべての点において例示的であると見なされる。したがって本発明の範囲は、前述の記載よりも添付の特許請求の範囲により示され、該特許請求の範囲と同等の意味および範囲に入るすべての変更が本明細書に包含されることを意図する。