【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、請求項1に記載のカートリッジおよび請求項2に記載の方法により達成される。好適実施例は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明の第1の態様によるカートリッジは、例えば、血液、唾液、または尿のような生物学的流体の検査のための、流体の処理に有益である。このカートリッジは、
a)被処理流体が供給される入口、および前記供給流体が処理される少なくとも一つの「第1」処理チャンバを有する第1の流体システムを有する。参照のため、この第1の流体システムは、以降、「プレ(前)処理流体システム」と称される:
b)流体を処理する少なくとも一つの「第2」処理チャンバを有し、以降「ポスト処理流体システム」と称される、第2の流体システム:
c)被処理流体の一部に対して透過性であり、前述のプレ処理流体システムをポスト処理流体システムに接続する流体処理素子。これは、プレ処理流体システムに供給された流体が、流体処理素子を介して、ポスト処理流体システムに導入されることを意味する:
を有する。その名称が示すように、流体が素子を通過する際に、この流体処理素子と流体の間で、相互作用が生じる。その結果、流体のある「処理」が行われることになる。従って、流体処理素子に導入される流体は、以下、「生(なま)流体」とも称され、そこに残る流体を「処理(後)流体」と称される。
【0007】
第2の態様では、本発明は、前述の種類のカートリッジ内で流体を処理する方法に関し、当該方法は、
a)カートリッジの入口に、プレ処理流体システムおよびポスト処理流体システムの両方を満たす量の被処理流体を導入するステップ。その結果、プレ処理流体システムは、生流体で充填され、ポスト処理流体システムは、処理流体で充填される:
b)カートリッジの第1処理チャンバ内で(生)流体を処理するステップ:
c)カートリッジの第2処理チャンバ内で(処理)流体を処理するステップ:
を有する。
【0008】
通常、導入された流体の異なる割合が、それぞれ、第1および第2の処理チャンバで処理されることに留意する必要がある。これは、流体の所与の部分(例えば分子)が第1処理チャンバと第2処理チャンバのいずれかにおいて処理され、両方のチャンバでは(連続して)処理されないことを意味する。また、第1および第2の処理チャンバでの処理は、通常、(少なくともこれらの期間の一部に対して)同時に生じ、異なる手順を有する。
【0009】
当該カートリッジおよび方法は、生段階および処理段階において、所与の流体量の並列的な処理が可能となる点で有意である。これは、流体処理素子によって分離された第1および第2の処理チャンバを提供することにより実現される。従って、入口に導入された流体は、生の部分と処理の部分とに分割され、その後これらが処理される。
【0010】
当該カートリッジおよび方法は、同じ発明の概念の異なる実現化であり、すなわち流体処理素子によって分離された第1および第2の処理チャンバが提供される。従って、これらの一つの実現のために提供される説明および規定は、他の実現にも有効である。以下、本発明の各種好適実施例について説明する。これらは、前述のカートリッジと方法の両方に適用される。
【0011】
カートリッジおよび方法は、少量の流体、例えば、限られた量でしか利用できない生物学的サンプルの処理のために適用されることが好ましい。従って、プレ処理流体システムとポスト処理流体システムを合わせた全体積量(当該方法のステップa)における流体の導入量)は、約500μLよりも少ないことが好ましく、約50μLよりも少ないことがより好ましい。そのような少量の全体積は、例えば、指を刺して得た血液滴によって、完全に充填される。
【0012】
第1処理チャンバ内の生流体の処理は、例えば、電気化学的測定、電気インピーダンスもしくは熱伝導測定、および/または光学もしくは分光測定(例えば拡散反射率、吸光)を有しても良い。
【0013】
第2処理チャンバは、任意で、透明側面を有しても良い。これにより、前記処理チャンバ内での処理流体の光学検査が可能になる。従って、この光学検査は、当該方法の処理ステップc)の一例を構成する。特に、これは、透明側面に直接隣接する薄い流体層に制限される。これは、例えば、流体にエバネッセント光学場を形成することにより、および例えば散乱光、蛍光、またはフラストレート全内部反射(FTIR)を観測することにより、実現される。従って、透明側面は、例えば、外部光線の照射が可能となるように設計され、散乱光および/またはその結果生じる全内部反射光の観測が可能となるように設計されることが好ましい。FTIR測定のより詳しい説明は、例えば、国際公開第WO2008/072156A2に認められ、これは本願の参照として取り入れられる。
【0014】
通常、流体処理素子は、該素子を介して流体が流通した際に、流体を操作または処理する、いかなる装置であっても良い。典型的な例では、流体処理素子は、流体のターゲット成分を保持するように設計されたフィルタ素子であっても良く、これを有しても良い。
【0015】
被処理流体は、血液であることが好ましい。医療用手続では、血液サンプルの必要量は、患者に生じる不都合を最小限に抑制するため、できる限り少量である必要がある。また、これと同時に、通常、そのようなサンプルに対して、多くの異なる検出手順が実施される。これらの手順のいくつかには、(血液全体から血漿を分離するための細胞のフィルタ処理のような)処理が要求され、他のものには要求されない。本発明のカートリッジおよび方法により、両方の要求が適切に合致する。
【0016】
以下、流体処理素子のコスト効果のある製造アプローチに基づいて、後者がフィルタとして設計された際の、本発明の好適実施例について説明する。
【0017】
従って、本発明は、例えば、血液、唾液、尿のような生物学的起源の液体のような流体をフィルタ処理するフィルタユニットを有する。通常、「フィルタ処理」の方法は、特定の物理的および/または化学的特性(例えばサイズ)により、フィルタユニットによって、流体のあるターゲット成分を保持するステップを有する。フィルタユニットは、以下の部材を有する:
a)被フィルタ処理流体に対して不透過性であり、少なくとも一つのアパーチャまたは開口を有する、少なくとも一つの箔。
【0018】
本願において、「箔」と言う用語は、通常、ある(固体)材料のシートまたは層を表すことに留意する必要がある。前記材料は、前記層内で均一に分布されることが好ましい。また、層は、通常、均一な厚さを有し、厚さ方向または厚さに直交する方向におけるその寸法(すなわち幅および全長)よりも厚さが著しく小さいという意味で、平坦である。通常、厚さは、10μmから1000μmの範囲であり、箔の全長および幅は、数mmから数cmの範囲にある。また、箔は、通常、自己支持構造であり、ある程度可撓性を有する。例えば、これは、所望の3次元構造に曲げたり、コイル状に巻いたりすることができる。
【0019】
b)流体の少なくとも一部に対して透過性のフィルタ材料であって、箔の前述のアパーチャに一体化されたフィルタ材料。
【0020】
箔のアパーチャへのフィルタ材料の一体化とは、フィルタ材料が(少なくとも部分的に)、アパーチャを提供するために除去された箔材料と置換され、箔と同じ層内に配置されることを意味する。フィルタ材料の箔への取り付けは、例えば、アパーチャの境界にこれをのり付けするなど、異なる方法で行われ得る。通常、アパーチャは、フィルタ材料で完全に充填され、これは、アパーチャを介して流れるいかなる流体も、フィルタ材料を介して流れることを意味する。流体がフィルタ材料を透過すると、フィルタ材料と流体との間で、親和相互作用が生じ、これにより、流体からのターゲット成分の意図的な保持が行われる。例えば生物学的細胞のようなターゲット成分は、細胞の直径よりも小さなポアサイズを有する多孔質フィルタ材料によって再誘導(retrain)される。
【0021】
箔のアパーチャへのフィルタ材料の一体化により、箔と実質的に同じ方法で処理され得るフィルタユニットが得られる。そのようなフィルタユニットは、例えば、ロールツーロール技術のようなコスト効果のある製造方法により、製造されおよび/または他の部材に取り付けられる。
【0022】
また、本発明は、流体を処理するカートリッジを有し、前記カートリッジは、実質的に堅いキャリアと、前述の種類のフィルタユニットとを有する。キャリアとフィルタユニットは、相互に取り付けられる(結合される)。
【0023】
堅いキャリアは、カートリッジに機械的な安定性を提供する。また、これは、検出プロセスの試験チャンバのような、追加の機能または部材を提供する。
【0024】
また、本発明は、フィルタ材料を有するフィルタユニット、特に前述の種類のフィルタユニットを製造する方法を有する。当該方法は、以下のステップを有する。これは、記載順に実施され、あるいは逆順に実施され、あるいは同時に実施される:
−2つの箔を相互に結合して、両者の間にフィルタ材料が埋設されるようにするステップ、
−フィルタ材料の位置に、各箔の少なくとも一つのアパーチャを提供するステップ。
【0025】
前述のステップが最初に実施される場合、すなわち2つの箔の曲げの前に、結合ステップ中にフィルタ材料が配置される位置に、アパーチャが提供される。
【0026】
2つの箔の間にフィルタ材料を埋設することにより、サンドイッチ構造が得られ、前記フィルタ材料は、箔内のアパーチャを介してアクセス可能な状態で、しっかり一体化される。また、そのような処理方法は、ロールツーロール製造技術のような効果的な製造プロセスと互換性がある。
【0027】
フィルタユニット、そのようなフィルタユニットを有するカートリッジおよび方法は、同じ本発明の概念の異なる実現化である。すなわち、フィルタ材料は、少なくとも一つの箔に一体化される。従って、これらの一つの実現のための説明および規定は、他の実現にも有効である。以下、本発明の各好適実施例について説明する。これは、このフィルタユニット、カートリッジ、および方法に関する。
【0028】
フィルタユニットの箔または少なくとも一つの箔は、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロポリオレフィン(COP、COC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリイミド(PI)、ポリスチレンと配向性ポリスチレン(PS、OPS)、ポリビニリデンクロライド(PVDC)、ポリアミド、ナイロン(例えばキャスト、配向、または共存、PA、6、11、12、アモルファス、ポリアリールアミドMXD6)、ポリビニルブチラール(PVB)、液晶ポリマ(LCP)、およびフルオロポリマ(特にPCTFE)からなる群から選定された材料を有することが好ましい。
【0029】
フィルタ材料の種類は、用途を考慮して、すなわち被処理流体、および保持されるターゲット成分に応じて選定される。通常、フィルタ材料は、多孔質であり、平均ポアサイズは、約0.1μmと約1000μmの間の範囲である。適切なフィルタ材料は、例えば、非対称ポリスルホン膜(例えば、米国NY、ポートワシントン、Pall Corporation、Vivid(登録商標)血漿分離膜;英国、Maidstone、Whatman plc.VFの血液分離フィルタ)を有する。
【0030】
製造方法に関して示したように、フィルタ材料を箔のアパーチャに一体化する好適方法は、2つの箔の間に、前記フィルタ材料を配置することである。この箔は、以降、参照用に「上部箔」および「底部箔」と称される。この場合、フィルタ材料のサイズ(面積)は、一つの箔の一つのアパーチャよりも大きくなるように選定されることが好ましく、両方の箔の両方のアパーチャよりも大きくなるように選定されることがより好ましい。次に、フィルタ材料の境界は、上部箔と底部箔の間に、しっかりと保持される(挟まれる)。
【0031】
前述の実施例の別の展開では、フィルタ材料は、以降「中間箔」と称される、第3の箔のアパーチャに配置される。この中間箔は、上部箔と底部箔の間に取り込まれる。中間箔の厚さは、フィルタ材料の厚さと同程度、またはより薄いことが好ましい。また、中間箔のアパーチャは、オーバーラップなしで、フィルタ材料を完全に収容できるように、十分に大きいことが好ましい。これに対して、前述のように、上部箔および底部箔のアパーチャは、フィルタ材料の面積よりも小さいことが好ましい。中間箔の提供により、特に、好ましくないデッド体積を形成させずに、フィルタ材料を箔のスタックにより良く一体化することができるという利点が得られる。
【0032】
フィルタユニットが2または3以上の箔のスタックを有する場合、これらの全ての箔は、形状および材料が等しくても良い。代替実施例では、スタックの少なくとも2つの箔が異なる形状を有し、および/または異なる材料で構成される。例えば、2つの箔の厚さ、全面積、またはアパーチャサイズもしくは形状は、異なっていても良い。
【0033】
フィルタユニットにより構成された1または2以上の箔は、形状的に、均一な厚さの層であっても良い。しかしながら、好適実施例では、フィルタユニットの少なくとも一つの箔は、1または2以上キャビティを有し、すなわち均一層の形状に比べて、箔材料が存在しない空間を有する。箔内のキャビティは、例えば、高温エンボス処理により、容易に形成される。キャビティは、例えば、箔のアパーチャの境界の周囲に形成され、フィルタ材料が収容される空間が形成されも良い。また、箔のキャビティは、チャネルまたはチャンバ等を形成し、これを介して、流体が処理のため流通されても良い。
【0034】
関連する実施例では、フィルタユニットの箔は、任意で、突起を有しても良い。この突起は、均一層の形状に追加の材料の領域を定める。単純な均一層形状からずれた3次元構造を有する箔は、(厚い層における)キャビティを有する箔または(薄い層からの)突起を有する箔と見なされるので、この実施例は、前述のものとほぼ等価である。通常、構造化箔は、キャビティと突起の両方を有する。
【0035】
フィルタユニットのフィルタ材料は、少なくとも一つの側に、ドーム形状を有することが好ましい。すなわち、これは、それぞれ、フィルタユニットまたはその箔の面から、一つの方向に膨らむ。そのようなドーム形状は、しばしば、流体の処理の際に有意となる。例えば、フィルタ上に配置されたサンプルの液滴は、フィルタ材料が液滴に向かって膨らんでいる場合、より容易に吸収される。同様に、フィルタ材料のドーム形状は、フィルタ材料と、フィルタユニットまたはカートリッジの隣の部材との接触をより確実にするため使用されても良い。これにより、デッド体積が最小限に抑制され、フィルタ材料を通る流体は、キャピラリ力により、より確実に前進するようになる。フィルタ材料は、一方向において、または2方向(反対方向)において、ドーム形状を有しても良いことに留意する必要がある。後者の場合、箔のアパーチャ内のフィルタ材料の断面は、通常、凸状である。
【0036】
別の実施例では、所与の方向におけるフィルタ材料の加圧またはバイアス化のため、保持素子が提供される。この処理の結果、(一方向に)前述のドーム形状が生じる。通常、保持素子による加圧の使用により、フィルタ材料のある形状が保証され、および/またはフィルタ材料と、フィルタユニットまたはカートリッジの隣の部材との接触が保証される。
【0037】
前述の保持素子は、例えば、フィルタユニットの追加層、特に追加箔により実現され、これは、フィルタ材料を一方向に加圧する。この保持素子の実現は、例えば、フィルタユニット自身が製造されるロールツーロールプロセスと同様のロールツーロールプロセスにより、容易に達成される。
【0038】
多くの適用例において、フィルタ材料の片側は、フィルタユニットの意図する使用の間、アクセス可能のままである。アクセスは、例えば、フィルタ材料上にサンプル流体を設置する際に必要となる。好適実施例では、使用時にアクセスされるフィルタ材料の側は、所与の流体量を保持するように設計され、この量は、流体がフィルタ材料を完全に被覆し、これが(分子)吸着力のみで保持される場合、所与の最小値と所与の最大値の間の範囲である。この目的に対する設計パラメータは、フィルタ材料の直接アクセス可能な領域を定める外側箔のアパーチャのサイズおよび形状である。別の重要な設計パラメータは、それぞれのフィルタ側の表面化学特性であり、特に関連する箔および/またはフィルタ材料の化学的特性である。箔の表面は、例えば、疎水性であり、この場合、血液のような水性流体は反発する。示された設計を用いることで、アクセス可能なフィルタ側での未知の量の血液の適用後に、フィルタ材料により所望の量の血液を採取することができる。流体の最小量よりも少ない量が適用された場合、フィルタ材料の少なくとも一部は、流体で被覆されず、これは、目視検査によって容易に検出される。
【0039】
フィルタユニットの1または2以上の箔は、単一のアパーチャを有し、ここにフィルタ材料が配置される。より高度な設計では、フィルタユニットのフィルタ材料は、少なくとも2つのアパーチャを有する一つの箔により被覆され、フィルタ材料の同じ素子へのアクセスが提供される。いくつかのアパーチャを有するこの箔は、特に、使用中もアクセス可能な状態のフィルタ材料の側に配置される。フィルタ材料の上部において、単一の大きなアパーチャの代わりに、複数の小さなアパーチャを使用することにより、フィルタ材料と大きな対象物、例えばユーザの指(例えば指を刺して得た血液の直接採取中)または機器の間の好ましくない接触を回避することが助長される。直接接触は、アパーチャが十分に小さい場合、例えば約5mm未満の直径を有する場合、回避される。
【0040】
フィルタユニットは、任意で、特に電気的リード、電極、および/またはRFIDタグのような、電気部材を有しても良い。これらの部材は、箔と同じ製造方法で、例えばロールツーロール技術を用いて、形成されることが好ましい。例えば、フィルタユニットによって構成された箔の上に、導電構造がプリント印刷されても良い。
【0041】
カートリッジのキャリアは、任意で、フィルタユニットのフィルタ材料を支持する何らかの構造を有しても良い。この支持により、フィルタ材料に機械的安定性が提供され、フィルタ材料とキャリアの間の接触が提供される。
【0042】
通常、キャリアは、意図した目的のため、いかなる材料または構造を有しても良い。特定の実施例では、キャリアは、少なくとも局部的に透明であり、これにより、適用流体の光学的検査または処理が可能になる。
【0043】
カートリッジのキャリアは、任意で、流体の収容のための少なくとも一つのキャビティを有しても良い。前記キャビティは、フィルタ材料と接続されることが好ましい。後者の場合、流体は、キャビティを介してフィルタ材料の方に輸送され、またはフィルタ材料を通過した流体は、キャビティによって、さらなる処理ステップ用に採取される。キャリアのキャビティは、例えば、流体輸送用の、1または2以上の(細長い)チャネルを有し、あるいは処理ステップの間、流体を収容する1または2以上のチャンバを有する。
【0044】
前述の実施例の別の展開では、キャリアの少なくとも一つのキャビティは、キャリアに取り付けられたフィルタユニットの箔で覆われる。従って、キャビティは、最初、後にフィルタユニットの箔で覆われる側が開放されているため、キャリア内のキャビティの精巧な構造(例えばチャネルおよび/またはチャンバ)は、例えば、射出成形法により、容易に製造される。
【0045】
本発明の別の好適実施例では、第1の(マイクロ)流体システムが、フィルタ材料の第1の側に配置され、第2の(マイクロ)流体システムが、フィルタ材料の反対側に配置される。参照のため、以降、第1の流体システムを「プレ処理流体システム」と称し、第2の流体システムを「ポスト処理流体システム」と称する。この名称は、プレ処理流体システムが通常、生(未処理)流体を輸送するのに対して、ポスト処理流体システムには、フィルタ(処理)された流体のみが到達することを表す。フィルタ材料の対向する両側へのプレ処理およびポスト処理の流体システムの提供は、それぞれ、同じ流体サンプルを、フィルタ処理ステップなしで、並列的に処理できる点で有意である。従って、例えば、血液全体の検査(プレ処理流体システムにおいて)、ならびに単一の血液サンプルからの血液血漿(ポスト処理流体システムにおいて)の検査が可能になる。
【0046】
意図した用途および処理に応じて、前述の流体システムは、個々に設計される。好適実施例では、プレ処理流体システムは、例えば血液滴などの流体の入口を有しても良い。この流体は、次に、プレ処理流体システムに広がり、ある調査または処理ステップが行われるとともに、フィルタ材料を介して、ポスト処理流体システムに流れ、他の処理ステップが実施される。
【0047】
プレ処理流体システムは、例えば、フィルタ材料を通過しなかった流体を処理する処理チャンバを有しても良い。
【0048】
同様に、ポスト処理流体システムは、フィルタ材料を通過した流体を処理する処理チャンバを有しても良い。
【0049】
本発明の別の実施例では、フィルタユニットおよび/またはキャリアは、フィルタ材料に隣接して配置された処理チャンバを有し、ここで、流体が処理され、例えば、あるターゲット物質の存在が調査される。前記処理流体は、フィルタ材料を通過した流体であることが最も好ましい。フィルタ材料と直接隣接する処理チャンバの配置は、流体の必要量、および処理時間を最小限に抑制する。(フィルタ材料から処理チャンバへの)流体の移動中の材料および時間のロスが回避されるからである。