【実施例】
【0039】
様々な食料品に1,3−プロパンジオールを用いて実施例を調製し、それぞれの実施例に対して風味プロファイルの改善を分析した。
【0040】
実施例1
実施例1は、大豆油への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。対照油(20%の油、1%のカルボキシメチルセルロース、および0.3重量%のキラヤ抽出乳化剤)を、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを含む本発明の試料Aと比較した。5名の味覚試験パネラーにより、油の評価を行った。5名のパネラー全員が、試料Aは、対照品に比べて、青臭さおよび酸化臭が少ないと指摘した。
【0041】
実施例2
実施例2は、全粒クラッカーに使用した場合の1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。以下の表1に示したような材料を用いて、卓上試料を調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
一般に、対照クラッカーを、ステージ1の材料を最初に混合することにより調製した。次に、ステージ2の材料を、砂糖を溶解し、次いで膨張剤を添加することにより混合した。次いで、ステージ2およびステージ3の材料を合わせてステージ1の材料に添加し、生地を形成した。生地をプラスチック製の袋に移した後、発酵箱に入れ80〜100°F(26.7〜37.8℃)に1時間置いた。生地はシーターに入れ、クッキーカッターで切断した。次いで、切断した生の生地を、400〜500°F(204.4〜260℃)の予熱したオーブンの天板上に5分間置いた。水分含量は、1〜4%の間を目標とした。試料は、評価の前に、室温で15日間プラスチック製の袋に入れて保存した。
【0044】
実験および比較試料は、それぞれ全粒小麦粉の重量を基準として、ステージ2材料に加える1,3−プロパンジオール、グリセリンまたはプロピレングリコールの量を変えながら、同様にして調製した。追加された物質の量およびパネラーによる味の評価を下記の表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示すように、グリセリンを含む試料が最も好ましくなかった。さらに、1,3−プロパンジオールの添加により、酸化された全粒粉の風味が抑制され、精白小麦粉等の肯定的な小麦粉の風味が増強されることが分かる。
【0047】
特定の状況において、1,3−プロパンジオールは、より古く、より酸化されており、新鮮でない全粒粉材料を含有する組成物中での酸化臭の抑制に、より顕著な効果を発揮し得ることが分かった。例えば、1,3−プロパンジオールは、30日よりも古い小麦粉を有する組成物での酸化臭の抑制に、より顕著な効果を示し得る。
【0048】
実施例3
実施例3は、種々のアルデヒドへの1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。具体的には、クラッカーの試料を調製し、選択されたアルデヒド(ヘキサナール、ペンチルフラン、ノナジエナールおよびデカジエナール)を混合した。一般的に、このようなアルデヒドは、知覚された全粒粉の酸化臭に寄与すると考えられていた。クラッカー試料は、実施例2で説明したようにして調製し、調製中に、
図1に示すアルデヒドを0.05〜0.1mg/kgの間で混合した。試料の各組は、それぞれのアルデヒドを同量で混合した。
【0049】
対照品(C)は、いかなるアルデヒド類も含んでおらず、1,3−プロパンジオールを含んでいないクラッカー試料を示す。対照品は、各アルデヒドの左側の棒グラフとして示されている。
図1の各アルデヒドの中央の棒グラフは、焼成前に、0.05〜0.1mg/kgの間の各アルデヒドを対照品生地に添加した試料を示す。右側の棒グラフは、焼成前に、0.5重量%の1,3−プロパンジオールと一緒に、0.05〜0.1mg/kgの間の各アルデヒドを混合した試料を示す。した1,3−プロパンジオールは、デュポン社によって販売されている製品Zemea(登録商標)であった。
【0050】
試料をそれぞれ試験して、10分間のアルデヒドの放出の信号比を測定した。信号比は、試料に混合された既知の濃度の内部標準からの信号に対する、各化合物の個別信号に基いて算出された。ダイナミックヘッドスペース法をガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリー(GC−MS)と組み合わせて、試料の分析に用いた。
図1に示すように、1,3−プロパンジオールを含む試料はそれぞれ、混合はしたが1,3−プロパンジオールを含有していない試料よりも信号比が低かった。さらに、1,3−プロパンジオールを含む試料は、いかなるアルデヒドも含まない対照試料よりも低くないとしても同じ信号比を有していた。したがって、1,3−プロパンジオールの添加によって、選択したアルデヒド類の経時的な放出を遅らせ、少なくともいくらかの全粒粉の酸化臭抑制できることが分かる。
【0051】
実施例4
実施例4は、パイロットプラント環境への1,3−プロパンジオールの使用を示すために調製した。下記の表3に示すような材料を用いて、パイロットプラント試料を調製した。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例4の試料は、大型ミキサー内でグループ1の材料を組み合わせ、6〜10分間混合することにより調製した。次に、グループ2および3からの材料をグループ1の混合物に加え、さらに10〜15分間混合して、生の生地を形成した。生の生地をミキサーから取り出し、80〜100°F(26.7〜37.8℃)で60〜120分間発酵させた。次に試料を切断し、400〜500°F(204.4〜260℃)で3.5〜6分間焼成した。試料のそれぞれは、1〜4%の間の水分を目標とした。試料をパネラーが評価し、風味を特徴付けた。
【0054】
試料Iは、1,3−プロパンジオールを生地に添加していない対照品として調製した。パネラーは、試料Iには苦味、青臭さ、酸化した全粒粉臭があると指摘した。
【0055】
試料Jを、0.06重量%の1,3プロパンジオールを用いて調製した。パネラーは、試料Jが対照品よりも苦味が少ないと指摘した。さらに、パネラーは、試料Jが酸化した全粒粉臭と、精白小麦粉の単純な風味を有すると指摘した。
【0056】
試料Kは、0.15重量%の1,3−プロパンジオールを用いて調製した。パネラーは、試料Kが精白小麦粉と同様の甘さと、全体的にすっきりした風味を有すると指摘した。パネラーは、試料Kが酸化された全粒粉の風味または苦味を有していないと指摘した。
【0057】
試料Lは、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを用いて調製した。パネラーは、試料Lには青臭さも苦味もないが、焦げたような後味があると指摘した。
【0058】
全体的に、実施例4において、パネラーは、0.15重量%の1,3−プロパンジオールを用いた試料Kを好んだ。しかし、試料J〜Lは全て、対照品と比較して、青臭さが少なく、酸化された全粒粉臭が少なく、苦味が少なかった。
【0059】
実施例5
実施例5は、パスタへの1,3−プロパンジオールの使用を分析するために調製した。標準パスタ組成物は、1,3−プロパンジオールを添加せず、精製した精白小麦粉を用いて調製した。パスタを1/4インチ(6.4mm)の帯状に切断した後に茹でた。茹でた後のパスタは、厚さが約1/16インチ(1.6mm)であった。
【0060】
全粒パスタ粉の異なる属性を認識するように訓練された熟練の味覚試験パネラーにより、対照品を分析し、これを他の試料パスタ調製品と比較した。
【0061】
パスタ試料1を対照品のようにして調製したが、精製した精白小麦粉の50%を製造後3ヶ月未満の全粒小麦粉で置換した。さらに、パスタは、全小麦粉の重量基準で1.5重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料1が優れており、小麦臭が少なく、甘い風味があると指摘した。パスタ試料1には多少の全粒粉臭があった。
【0062】
パスタ試料2は、パスタ試料1のようにして調製したが、総小麦粉の重量基準で2.0重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料2は小麦臭が少なく、甘い風味があり、優れていると指摘した。さらに、パネラーは、パスタ試料2が、パスタ試料1よりもすっきりした風味プロファイルを持つと指摘した。
【0063】
また、パスタ試料3も、パスタ試料1のようにして調製したが、総小麦粉の重量基準で2.5重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料3には、金属性のちくちくとした刺激と、金属性の長い後味があると指摘した。
【0064】
また、パスタ試料4は、パスタ試料1のようにして調製したが、総小麦粉の重量基準で3.0重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料4は、パスタ試料4と同様の味覚プロファイルを持っており、強すぎると指摘した。
【0065】
また、パスタ試料5は、パスタ試料1のようにして調製したが、総小麦粉の重量基準で3.5重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料5は、パスタ試料3および4特性が同じで、さらに強い風味プロファイルを持つと指摘した。
【0066】
また、パスタ試料6は、パスタ試料1のようにして調製したが、総小麦粉の重量基準で4.0重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料6には苦味と塩味があり、甘さは低く、全粒粉臭があると指摘した。
【0067】
また、パスタ試料7は、対照品のようにして調製したが、総小麦粉成分に対して、90%の精白小麦粉と10%の製造後3ヶ月未満の全粒小麦粉を含んでいた。さらに、パスタ試料7は、全小麦粉の重量基準で2.5重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、全粒粉の量が少ないことを考慮すれば、すっきりとした全体的風味プロファイルを本質的に含む精製した精白小麦粉の量に対して、1,3−プロパンジオールの使用が多すぎると報告した。
【0068】
パスタ試料8は、対照品のようにして調製したが、精製した精白小麦粉の50%を製造後少なくとも3ヶ月経った全粒小麦粉で置換した。パスタ試料8は、いかなる1,3−プロパンジオールも含んでいなかった。パネラーは、パスタ試料8には苦い後味があると指摘した。
【0069】
パスタ試料9は、パスタ試料8のようにして調製し、さらに総小麦粉の重量基準で2.5重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料9には、パスタ試料1および2よりも、多少の苦味とより強い全粒粉臭があると指摘した。一般に、少なくとも3ヶ月経過した全粒小麦粉は、より強い小麦臭および/または酸化臭を有しており、1,3−プロパンジオールの比率をより高くする必要があると考えられている。
【0070】
パスタ試料10は、パスタ試料8のようにして調製し、さらに総小麦粉の重量基準で5.0重量%の1,3−プロパンジオールを含んでいた。パネラーは、パスタ試料10には、パスタ試料1よりも強い小麦臭と酸化臭があり、パスタ試料3と同様の金属風味プロファイルがあるとした。
【0071】
実施例5の結果は、いくつかの形態において、少なくともいくつかの精製または精白された小麦粉を含み、および/または、製造後3ヶ月未満の新鮮な全粒小麦粉を含むパスタでは必要とされる1,3プロパンジオールが少ないことを示している。さらに、このような試料中で、1,3−プロパンジオールを増やすと 、1,3−プロパンジオールの風味が知覚可能になることがある。さらに、全てが全粒粉であり、および/または少なくとも3ヶ月経過した全粒粉を含有して試料では、より多量の1,3−プロパンジオールが必要とされる。全てが全粒粉である試料で酸化臭の量の増加が見られ、少なくとも3ヶ月が経過した試料は酸化物質をより高い割合で含むと考えられる。したがって、より大量の1,3−プロパンジオールが必要である。また、このような試料中の、1,3−プロパンジオールの量を増やすことができ、いくつかの例では、新鮮な全粒粉での味覚閾値以上に増やしても、依然として時間の経った試料で知覚可能ではなかった。この点において、1,3−プロパンジオールを、より時間の経った、および/またはより酸化した全粒粉材料ともに用いて、時間の経った食料品の味プロファイル、新鮮な全粒粉および/または精製した精白小麦粉に類似するように調整することができる。
【0072】
実施例6
実施例6は、クラッカーへの1,3−プロパンジオールの使用を比較するために調製した。100%全粒小麦粉および様々な量の1,3−プロパンジオールを含むクラッカーをパイロットプラントで作り、クラッカー中の異なる範囲の1,3−プロパンジオールを分析した。試料は、下記の表4に示す一般的な組成物を用いて調製した。
【0073】
【表4】
【0074】
実施例6の試料は、大規模なミキサー内でグループ1の材料を組み合わせ、6〜10分間混合することにより調製した。次に、グループ2および3からの材料をグループ1の混合物に加え、さらに10〜15分間混合して、生の生地を形成した。生の生地をミキサーから取り出し、80〜100°F(26.7〜37.8℃)で最大120分間発酵させた。次に試料を切断し、400〜500°F(204.4〜260℃)で2〜10分間焼成した。試料はそれぞれ、1〜7%の間の水分を目標とした。次に、試料を約8週間熟成した。試料を熟練したパネラーが評価し、風味を特徴付けた。感覚の鋭敏さや説明能力に基づいてパネラーを選択した。パネラーは、一連の司会者付討論会を通して、試料の香り、外観、風味、食感および後味を表現するための語彙を開発した。試料は、自分たちが作成した語彙を使用して、個別に、パネラーにより評価した。提示した順序による偏見を最小限にするために、試料をブラインドで、均整のとれた配置で提示した。各パネラーは、全ての属性に関して全ての試料を3回評価したが、各試料の間には3分間の洗浄時間を設けた。
【0075】
データは、ウェブベースのCompusenseデータ収集システム(Comusense at Hand、カナダ)を使用して収集し、Tragon QDATMソフトウェアで分析した。評価に用いた非構造ラインスケールを分析のために100ポイントスケールに電子的に変換した。分散分析(ANOVA)を各属性のデータに適用し、試料間の統計的差異が有無を判定した。差異がある場合には、ダンカンの最小有意差事後検定を計算し、どの試料の間で差(p <0.20)が存在するのかを判定するために、その特定の属性に適用した。
【0076】
この試験に使用した全粒小麦粉は、製造から30日未満であり、製造手順に従っており、かつ、ほとんどのスーパーマーケットから入手可能な市販の全粒小麦粉に比べて風味がすっきり(古くない)としていた。
【0077】
試料を多数の風味プロファイルに関して評価した。風味プロファイルの一つで、「その他/オフ」と表示されたものは、古びた油臭、酸敗臭、腐敗臭、ボール紙臭等のオフフレーバーの強さとして特徴付けられた。小麦/全粒小麦、ふすま、米等の、精白小麦粉以外の任意の穀物の強さと特徴づけられる「他の穀物」と表示された他のプロファイルも分析した。
【0078】
試料は、0重量%、0.05重量%、0.2重量%、1重量%、および5重量%の1,3−プロパンジオールを用いて調製した。各試料をパネラーが分析した後、上記のように、その評価を統計ソフトウェアに入力した。
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
一般に、全体的なデータは、1,3−プロパンジオールが、全粒粉配合物の官能特性に影響することを示している。例えば、1,3−プロパンジオール
の使用は、他の穀物(小麦)臭の知覚を低下させることができる。
【0082】
実施例6より、1,3プロパンジオールを5%で含む試料は、小麦感を含めることのできるその他/オフノートの風味知覚に関して、他の試料とは有意に異なる(80%信頼度)と仮定された。一方、「他の穀物」と呼ばれる別の属性では、1,3−プロパンジオールを含む試料と100%全粒小麦粉の対照品との間には違いが存在する。したがって、1,3−プロパンジオールの添加は、1,3−プロパンジオールを含まず、100%全粒小麦粉で作られたクラッカーよりもすっきりとした風味を付与すると仮定される。
【0083】
また、1,3−プロパンジオールの使用は、全体的な香りを増加させ、また小麦臭の知覚を減少させることが認められた。しかし、全粒小麦粉基準で5重量%等の高い量では、で、甘さの知覚がわずかに減少し、苦味の顕著な増加がある。さらに、1,3−プロパンジオールを全粒小麦粉基準で少なくとも約5重量%にまで増加した場合には、顕著なオフノート(酸敗臭/古びた油臭/ボール紙臭に関連する)が発現した。
【0084】
以下に説明するようにして追加的な実施例を調製し、1,3−プロパンジオールの使用から生じる他の風味の知覚の変化を分析した。
【0085】
実施例7
実施例7は、メントールへの1,3−プロパンジオールの使用を比較するために調製した。0.1重量%のメントールを水に入れて対照品を調製し、一方、0.3重量 %の1,3−プロパンジオールを含む水に0.3重量%のメントールを入れて試料Lを調製した。1,3−プロパンジオールは、対照品に比べて、メントールと組み合わせた場合に、苦味を抑制し、鼻への清涼感を少なくすると考えられる。
【0086】
実施例8
実施例8は、酢酸への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。試料Mは、水に0.05重量%の酢酸を入れて調製し、試料Nは、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを含んだ水に0.05重量%の酢酸を入れて調製し、試料Oは、0.3重量%のプロピレングリコールを含んだ水に0.05重量%の酢酸を入れて調製した。
【0087】
3名のパネラーはそれぞれ、試料Oが最も酸味が少なく、試料Nはより酸味があり、試料Mが最も酸味があると指摘した。したがって、酢酸と組み合わせた場合に 1,3−プロパンジオールは、水と比較して酸味が増加すると考えられる 。
【0088】
実施例9
実施例9は、乳酸への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。試料Pは、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを含む水に0.25重量%の乳酸を入れて調製し、試料Qは、0.3重量%のプロピレングリコールを含む水に0.25重量%の乳酸を入れて調製し、試料Rは、水に0.25重量%の乳酸を入れて調製した。5名のパネラーは、酸味の多い順に試料を並べた。
【0089】
パネラー1:R/Q/Pで、試料Rは酸味が強く、渋味がある。
【0090】
パネラー2:R/Q/Pで、試料Rは金属的で、塩味と渋味があり、試料Qは鋭く、渋味と苦味がある。
【0091】
パネラー3:R/P/Qで、若干プラスチック味と苦味があった。
【0092】
パネラー4:R/P/Q。
【0093】
パネラー5:試料RおよびQは、薬品的金属味を持っており、より酸味があり、試料Pは滑らかで、酸味渋味が少なかった。
【0094】
実施例10
実施例10は、クエン酸への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。試料Sは、0.3重量%の1,3プロパンジオールを含む水に0.1重量%のクエン酸を入れて調製した。試料Tは、0.3重量%のプロピレングリコールを含む水に0.1重量%のクエン酸を入れて調製した。試料Uは、水に0.1重量%のクエン酸を入れて調製した。3名のパネラーは、酸味の多い順に試料を並べた。
【0095】
パネラー1:U/S/T。
【0096】
パネラー2:T/U/S。
【0097】
パネラー3:T/U/S。
【0098】
実施例11
実施例11は、より高濃度のクエン酸への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。試料Vは、0.3重量%のプロピレングリコールを含む水に1重量%のクエン酸を入れて調製した。試料Wは、水に1重量%のクエン酸を入れて調製した。試料Xは、0.3重量%の1,3プロパンジオールを含む水に1重量%のクエン酸を入れて調製した。
【0099】
パネラー1は、試料Wが最も乳味がし、試料Xは試料Vよりも酸味が少ないと指摘した。
【0100】
パネラー2は、試料Vと試料Xは同様で、試料Wが穏やかであると指摘した。
【0101】
パネラー3は、試料Wが試料VおよびXよりも酸味が少ないと指摘した。
【0102】
パネラー4は、試料Wが最もまろやかであり、試料Vは試料Xよりも若干酸味が少ないと指摘した。
【0103】
したがって、クエン酸と組み合わせた場合に、1,3−プロパンジオールは、酸味の知覚を増加すると考えられる。
【0104】
実施例12
実施例12は、リンゴ酸への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。試料Yは、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを含む水に1重量%のリンゴ酸を入れて調製した。試料Zは、0.3重量%のプロピレングリコールを含む水に1重量%のリンゴ酸を入れて調製した。試料AAは、水に1重量%のリンゴ酸を入れて調製した。
【0105】
パネラー1は、試料Yの酸味が少ないと指摘した。
【0106】
パネラー2は、試料Yは最初酸味があるが、試料ZおよびAAのほうが全体に酸味があると指摘した。
【0107】
パネラー3は、試料Yの酸味が少ないと指摘した。
【0108】
パネラー4は、当初の酸味は試料Yが最も強いが、試料ZおよびAAは後を引くと指摘した。
【0109】
したがって、リンゴ酸は、当初の酸味が強いが、1,3−プロパンジオールと組み合わせると、あまり後を引かないと考えられる。一般的には、1,3−プロパンジオールは、1,3−プロパンジオールを含有しない類似の食料品の風味プロファイルに比べて、酸味の強度および/またはタイミング等の知覚を改善すると考えられる。
【0110】
実施例13
実施例13は、茶への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。6袋のアールグレイのティーバッグを、250mlの水に30分間浸けた。試料ABは、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを用いて調製した。試料ACは対照品であり、試料ADは、0.3重量%のプロピレングリコールを用いて調製した。
【0111】
パネラー1は、試料ABが強烈な風味が最も少なく、最も苦味が少なく、最も酸味が少ないと指摘した。試料ACは最も酸味と渋味があった。
【0112】
パネラー2は、試料ABが最も酸味があり、最も苦味が少なく、最も渋味があると指摘した。試料ADは、試料ABよりも苦味が強く、渋味が少なく、酸味が少なかった。試料ACでは、苦味が支配的であった。
【0113】
パネラー3は、試料ABは非常に渋味があり、苦味が最も少なく、酸味が最も少ないと指摘した。試料ACは苦味と渋味があるが、酸味はなかった。試料ADは、強い苦味があり、渋味が中程度で、最も酸味が強かった。
【0114】
パネラー4は、試料ABが華やかで、苦味があり、中程度の渋味があると指摘した。試料ACは、より渋みと酸味があった。試料ADは、より渋味と苦味があった。
【0115】
したがって、茶を1,3−プロパンジオールと組み合わせた場合に、風味プロファイルが酸味、苦味および渋味の特性を全て変えて、ベースを改善すると考えられる。
【0116】
実施例14
実施例14は、コーヒーへの1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。ロブスター種のインスタントコーヒーを、水に1重量%のコーヒーを入れて調製した。試料AEは、0.3重量%のプロピレングリコールを用いて調製した。試料AFは対照品であり、試料AGは、0.3重量%の1,3プロパンジオールを用いて調製した。
【0117】
パネラー1は、試料AEは酸味が少なく、試料AFは酸味に関しては中位であり、より苦味があると指摘した。試料AGは最も金属味があった。
【0118】
パネラー2は、全ての試料で苦味があり、試料AFが最も苦味が少なく、試料AFが最も苦味があると指摘した。
【0119】
パネラー3は、試料AEが最も酸味と苦味があるが、試料AFが最もコーヒー感があり、若干渋味が指摘あるとした。試料AGは酸味および苦味が少なかった。
【0120】
パネラー4は、試料AEは酸味、渋味および灰味があると指摘した。試料AFは、より焙煎され、若干苦味があり、酸味が少なかった。試料AGは、灰味と酸味があり、苦味が少なかった。
【0121】
したがって、コーヒーを1,3−プロパンジオールと組み合わせた場合に、風味プロファイルは、1,3−プロパンジオールない場合よりも苦味が少なくなると考えられる。
【0122】
実施例15
実施例15は、ダークチョコレートクリームチーズへの1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。対照品を、対照品と同量の成分を含むが、0.5重量%の1,3プロパンジオールも含む試料AHと比較した。5名のパネラー全員が、試料AHは、対照品よりも、ダークなココア風味があり、アルカリ性のココア風味を有すると指摘した。
【0123】
実施例16
実施例16は、大豆油への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。対照油(20%の油、1%のカルボキシメチルセルロース、および0.3重量%のキラヤ抽出乳化剤)を、0.3重量%の1,3−プロパンジオールを含む試料Aと比較した。5名のパネラー全員が、試料AIは、対照品に比べて、青臭さと小麦臭が少ないと指摘した。
【0124】
実施例17
実施例17は、オレンジジュースへの1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。対照品を、0.3重量%の1,3プロパンジオールを含む試料AJと比較した。3名のパネラー全員が、試料AJは苦味が少なく、より甘く、終わりが丸いと指摘した。
【0125】
実施例18
実施例18は、2%の牛乳への1,3−プロパンジオールの効果を比較するために調製した。対照品を、0.2重量%の1,3プロパンジオールを含む試料AKと比較した。パネラー全員が、試料AKが、油っぽさが少なく、甘味が高く、酸味が少ないと指摘した。
【0126】
これらのさらなる実施例から分かるように、1,3−プロパンジオールを用いて、様々な異なる風味プロファイルを改善することができる。いくつかのやり方では、例えば、以下で説明するように、約0.1〜約2重量%のように比較的少量の1,3プロパンジオールを食料品に用いて、1,3プロパンジオールを含有していない比較食料品に比べて、食料品の風味プロファイルの改善を行うことができる。一形態では、1,3−プロパンジオールは、水溶液系に単独で使用される場合、知覚可能な風味を付加しないような量で使用することができる。さらに、1,3−プロパンジオールを、食料品の風味プロファイルをマスクするようには機能しないが、食料品の風味プロファイルを変更するように機能する量で、用いることができる。
【0127】
一実施例では、1,3−プロパンジオールを、様々な異なる食料品の用途に使用することができる。例えば、1,3−プロパンジオールは、酸を含有する水性飲料等の飲料に使用することができる。一実施例によれば、1,3−プロパンジオールは、1,3プロパンジオールが含まれない比較食料品に比べて、苦味および/または酸味が改善されるように、飲料中の酸プロファイルを改善するような量で提供することができる。さらに別の実施例では、1,3−プロパンジオールを、コーヒー、茶、牛乳、果汁および野菜汁等の他の飲料で使用することができる。また、1,3−プロパンジオールを、後に希釈されて飲料とするための濃縮物に使用し、その風味を改善することができる。
【0128】
また、1,3−プロパンジオールを、菓子、全粒粉を含有する食料品、ミント油およびミントエキスを含有する食料品等の他の食料品に用い、水および/またはプロピレングリコールを含むが1,3プロパンジオールを含まない同種の食料品に比べて、風味プロファイルを改善することもできる。一実施例では、菓子は、ココア、カラメル化生成物および/またはメイラード反応生成物から選択される風味成分を含んでもよい。さらに別の実施例では、食料品は、1,3−プロパンジオールと組み合わせた場合に、知覚された苦味を改善する、例えば、メントール等のテルペン含有成分を含むことができる。一実施例によれば、1,3−プロパンジオールは、食料品の小麦臭プロファイルを改善するために1,3−プロパンジオールが提供される場合に、全粒粉含有食料品に使用することができる。
【0129】
さらに、1,3−プロパンジオールを食料品中の特定の他の成分との比率で使用して、1,3−プロパンジオールを含んでいない比較食料品に比べて、風味プロファイルを改善することができる。例えば、1,3−プロパンジオールに対する酸の比は約1:2〜約4:1とすることができる。別の実施例では、1,3−プロパンジオールに対する風味成分の比は約2:1〜約250:1である。一実施例によれば、1,3プロパンジオールに対するテルペン含有成分の比は、約1:5〜約20:1である。さらに別の実施例では、1,3−プロパンジオールに対する全粒粉含有成分の比は約10:1〜約1000:1である。
【0130】
また、食料品は、酸、香料、防腐剤等の他の様々な成分を含むことができる。
【0131】
一形態において、飲料等の食料品に含まれる酸には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、塩酸、アジピン酸、酒石酸、フマル酸、リン酸、乳酸、それらの塩、およびそれらの組み合わせ等の任意の食品等級の有機酸または無機酸が含まれるが、これらに限定されない。酸の選択は、食料品の所望のpHおよび/または希釈された最終飲料に対して酸によって与えられる風味により、少なくとも部分的に決まる。別の態様では、食料品に含まれる酸の量は、酸の強度により決めることもできる。例えば、リン酸等の強酸に比べると、食料品のpHを低下させるためには、多量の乳酸を必要とするであろう。
【0132】
上述したように、1,3−プロパンジオールを様々な異なる食料品に用いて、1,3−プロパンジオールを含んでいない食料品に比べて、風味プロファイルを改善することができる。例えば、1,3−プロパンジオールはまた、食料品の風味プロファイルを改善して、酸化された油の酸化した青臭さを低下させ、かつ、全粒粉から小麦のオフフレーバーを低下させることができる。
【0133】
前述の説明は、唯一の組成物および原料の使用を表すことを意図するものではない。特に明記しない限り、本明細書で提供される百分率は重量%である。形態および部分の割合の変化、ならびに、均等物への置換は、状況が示唆し、または、好都合であれば予見される。同様に、例示的な組成物および方法を、特定の実施形態とともに説明してきたが、多くの代替、修正、および変形は、前述の説明に照らして当業者には明らかであろう。