特許第6240629号(P6240629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240629
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】掃除機ヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   A47L9/04 A
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-54443(P2015-54443)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-177977(P2015-177977A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】1404918.3
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・ロイド・ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ホワイト
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−238815(JP,A)
【文献】 特開2001−008405(JP,A)
【文献】 特開2005−312589(JP,A)
【文献】 特開平02−095675(JP,A)
【文献】 特開昭63−158031(JP,A)
【文献】 特開2002−369773(JP,A)
【文献】 実開昭58−126566(JP,U)
【文献】 特開2013−155030(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02224042(GB,A)
【文献】 英国特許出願公開第02352566(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0089958(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0184732(US,A1)
【文献】 米国特許第01613396(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02322068(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0205539(US,A1)
【文献】 特開平09−281849(JP,A)
【文献】 特開2004−239388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌装置チャンバを有している本体と、
前記攪拌装置チャンバの内部に延在している軸部と、
前記軸部に取り付けられている軸受組立体であって、第1の位置と第2の位置との間において前記軸部に沿って移動可能とされる前記軸受組立体と、
前記軸受組立体を前記第1の位置に向かって付勢するための付勢部材と、
前記軸受組立体に取り付けられている攪拌装置であって、前記軸受組立体を前記付勢部材に抗して前記第2の位置に向かって押す前記攪拌装置と、
を備えている掃除機ヘッドにおいて、
前記軸受組立体が、傾斜面を有しているマウントを備えており、
前記攪拌装置が、前記攪拌装置の一方の端部に傾斜面を有しており、
前記攪拌装置が前記軸受組立体に取り付けられた場合に前記攪拌装置が、前記攪拌装置の前記傾斜面が前記マウントの前記傾斜面と係合した状態において前記付勢部材からの力に抗して前記第2の位置に向かって押されることを特徴とする掃除機ヘッド。
【請求項2】
前記軸受組立体が、キャリッジに固定されている軸受を備えており、
前記軸受組立体が前記第2の位置に位置している場合に、前記軸部に対する前記キャリッジの回転が防止されることを特徴とする請求項1に記載の掃除機ヘッド。
【請求項3】
前記キャリッジと前記掃除機ヘッドとが、前記軸受組立体が前記第2の位置に位置している場合に前記キャリッジが前記軸部に対して相対的に回転することを防止するように係合する部品を備えており、
前記軸受組立体が前記第1の位置に位置している場合に、前記部品同士の係合が解除されることを特徴とする請求項2に記載の掃除機ヘッド。
【請求項4】
前記掃除機ヘッドが、前記軸部を囲んでいるスプロケットを備えており、
前記キャリッジが、前記軸受組立体が前記第2の位置に位置している場合に前記スプロケットと係合する歯を備えており、
前記軸受組立体が前記第1の位置に位置している場合に、前記歯が前記スプロケットから係合解除されることを特徴とする請求項3に記載の掃除機ヘッド。
【請求項5】
前記攪拌装置が、前記本体から取り外し可能とされ、
前記付勢部材が、前記攪拌装置が取り外された場合に前記軸受組立体を前記第1の位置に向かって付勢することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項6】
前記本体が、前記攪拌装置を取り外す際に通過させるための開口部を備えており、
前記掃除機ヘッドが、前記開口部を閉塞するために前記本体に取り付け可能とされる端部キャップを備えており、
前記攪拌装置が、第1の端部において、前記軸受組立体に取り付けられており、第2の端部において、前記端部キャップの内部に配置されている軸受又はブッシュに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項7】
前記掃除機ヘッドが、前記攪拌装置を駆動するための駆動組立体を備えており、
前記駆動組立体が、前記軸部に取り付けられており、
前記攪拌装置が、前記駆動組立体を囲んでいることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【請求項8】
前記軸受組立体が、前記軸受組立体が前記第1の位置に位置している場合に前記駆動組立体に接触していることを特徴とする請求項7に記載の掃除機ヘッド。
【請求項9】
前記掃除機ヘッドが、軸線を中心として回転するためのダクトに取り付け可能とされ、
前記掃除機ヘッドの重心が前記軸線を含む垂直面に配置されているように、前記駆動組立体が前記軸部に取り付けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の掃除機ヘッド。
【請求項10】
前記付勢部材が、前記軸部を囲んでいるコイルバネとされることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の掃除機ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば真空掃除機のような器具のための掃除機ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば真空掃除機のような器具の掃除機ヘッドは、本体の内部に回転可能に取り付けられている攪拌装置を含んでいる。掃除機ヘッドの許容度は、攪拌装置内に本体に対するある程度の遊隙が存在することを意味する。結論として、攪拌装置が回転すると、攪拌装置は振動すると共に騒音を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、攪拌装置チャンバを有している本体と、攪拌装置チャンバの内部に延在している軸部と、軸部に取り付けられている軸受組立体であって、第1の位置と第2の位置との間において軸部に沿って移動可能とされる軸受組立体と、軸受組立体を第1の位置に向かって付勢するための付勢部材と、攪拌装置チャンバの内部に回転可能に取り付けられているとを備えている掃除機ヘッドであって、攪拌装置が、軸受組立体に取り付けられており、軸受組立体を付勢部材に抗して第2の位置に向かって軸部に沿って押す、掃除機ヘッドに関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
攪拌装置が付勢部材を押すので、攪拌装置内における軸線方向(すなわち、攪拌装置の回転軸線に対して平行とされる方向)の遊隙が解消又は低減される。
【0005】
軸受組立体が、傾斜面を有しているマウントを備えており、攪拌装置が、攪拌装置の一方の端部に傾斜面を有している。そして、攪拌装置が、攪拌装置の傾斜面がマウントの傾斜面と係合するように、マウント位に支持されている。その結果として、径方向(すなわち、攪拌装置の回転軸線に対して垂直とされる方向)における攪拌装置の遊隙が解消又は低減される。さらに、傾斜面は、攪拌装置と軸受組立体との同心性を改善する一役を担う。その結果として、攪拌装置による軸受組立体の径方向負荷が低減されるので、軸受組立体ひいては掃除機ヘッドの耐用寿命が伸びる。
【0006】
軸受組立体が、キャリッジに固定されている軸受を備えているので、軸受組立体が第2の位置に位置している場合に、キャリッジが軸部に対して相対的に回転することが防止される。結論として、攪拌装置が回転する場合であっても、軸受の内輪が軸部に対して相対的に回転することが防止されるので、軸部の摩耗を回避することができる。例えば、軸が、非円状の断面を有しているか、又はキャリッジが、軸部の溝と係合する突起を有している場合がある。代替的には、キャリッジと掃除機ヘッドとが、軸受組立体が第2の位置に位置している場合にキャリッジが軸部に対して相対的に回転することを防止するように係合する部品を備えている。軸受組立体が第1の位置に位置している場合に、当該部品同士の係合が解除される。掃除機ヘッドが、軸部を囲んでいるスプロケットを備えており、キャリッジが、軸受組立体が第2の位置に位置している場合にスプロケットと係合し、且つ、軸受組立体が第1の位置に位置している場合にスプロケットから係合解除される、歯を備えている。これにより、円状の断面を具備する軸部を利用することができるので、その結果として、構成を一層小型化することができる。
【0007】
本体が、攪拌装置を取り外す際に通過させるための開口部を備えている。掃除機ヘッドが、開口部を閉塞するために本体に取り付け可能とされる端部キャップを備えている。さらに、攪拌装置が、第1の端部において、軸受組立体に取り付けられており、第2の端部において、端部キャップの内部に配置されている軸受又はブッシュに取り付けられている。取り外し可能とされる攪拌装置は、当該攪拌装置の清掃又は修理を一層容易にすることができるという優位性を有している。取り外し可能とされる攪拌装置を有している従来技術に基づく掃除機ヘッドでは、本体に対する攪拌装置の移動についての遊隙が大きい場合があった。本発明における掃除機ヘッドでは、付勢部材によって、攪拌装置の遊隙が解消又は低減される。端部キャップを本体から解除又は取り外す際に、付勢部材は、攪拌装置を開口部から押し出す力を発生させる。その結果として、利用者は、攪拌装置を本体から引き出すために、攪拌装置を容易に把持することができる。
【0008】
掃除機ヘッドが、攪拌装置を駆動するための駆動組立体を備えている。駆動組立体が軸部に取り付けられており、攪拌装置が駆動組立体を囲んでいる。その結果として、掃除機ヘッドを一層小型化することができる。さらに、駆動組立体は、複雑な伝達機構を必要としないで、トルクを攪拌装置に伝達させる。攪拌装置が本体から取り外し可能とされる場合であっても、スリーブのように駆動組立体を囲んだ状態で攪拌装置は滑動可能とされる。攪拌装置の内部に一体に形成されているカップリング要素は、駆動組立体と直接係合する。その結果として、比較的容易に攪拌装置を本体から取り外すことができる。
【0009】
軸受組立体は、軸受組立体が第1の位置に位置している場合に駆動組立体に接触している。このことは、攪拌装置を取り外した場合に駆動組立体が軸受組立体のためのストッパとして機能するという優位性を有している。
【0010】
掃除機ヘッドが、軸線を中心として回転するためのダクトに取り付け可能とされ、駆動組立体が、掃除機ヘッドの重心が軸線を含む垂直面に配置されているように、軸部に取り付けられている。従来技術に基づく掃除機ヘッドが床から持ち上げられた場合には、通常、掃除機ヘッドは、駆動組立体の重量に起因して左方向又は右方向に回転する。掃除機ヘッドの重心が回転軸線を含む垂直面内に位置するように駆動組立体を位置決めすることは、持ち上げられた場合に掃除機ヘッドがその高さを維持することができるという利点を有している。これにより、掃除機ヘッドの取り扱いが一層容易になる。掃除機ヘッドの重心が回転軸線上に位置している必要はないので、垂直面を参照する。また、重心が回転軸線の直上又は直下に位置していることによっても、ダクトに対する掃除機ヘッドの回転が防止される。本出願では、“含んでいる(containing)”との用語は、回転軸線が垂直面内に完全に含まれている(すなわち、回転軸線が垂直面に対して平行とされる)ことを意味し、単に回転軸線が垂直面を貫通していることを意味するのではないことに留意すべきである。
【0011】
付勢部材は、軸部を囲んでいるコイルバネとされる。このことは、軸受組立体を付勢するための機構を比較的小型にすることができるという利点を有している。
【0012】
本発明を一層容易に理解するために、本発明の実施例について、添付図面を参照しつつ例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明における掃除機ヘッドを表わす。
図2】攪拌装置を部分的に省略した状態における掃除機ヘッドの下面図である。
図3】掃除機ヘッドの第1の端部キャップ及び第2の端部キャップ、軸受組立体、駆動組立体、並びに攪拌装置の分解図である。
図4】掃除機ヘッドの中心を通過する断面における断面図である。
図5図4に表わす断面図の部分図であって、攪拌装置が掃除機ヘッドの本体の内部に取り付けられており、軸受組立体が第2の位置に位置していることを表わす。
図6図5に表わす部分図と同一であるが、攪拌装置の一部分が掃除機ヘッドの本体から取り外されており、軸受組立体が第1の位置に位置している点において相違する。
図7】本発明における清掃具を表わす。
図8】本発明における清掃具の一部分であって、掃除機ヘッドがダクトに取り付けられており、ダクトに対して相対的に掃除機ヘッドを回転させるための回転軸線を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図6に表わす掃除機ヘッド1は、本体2と第1の端部キャップ3と第2の端部キャップ4と軸受組立体5と付勢部材6と駆動組立体7と攪拌装置8とを備えている。
【0015】
本体2は、攪拌装置チャンバ10を備えており、攪拌装置8が、攪拌装置チャンバ10の内部に取り付けられている。開口部11が、本体2の底面に形成されており、攪拌装置8は、開口部11を通じて表面を攪拌することができる。さらなる開口部12が、本体2の側面に形成されており、攪拌装置8は、さらなる開口部12を通じて本体2から取り外し可能とされる。
【0016】
第1の端部キャップ3及び第2の端部キャップ4が、攪拌装置チャンバ10の側面それぞれにおいて本体2に固定されている。第1の端部キャップ3は、側面開口部12を閉塞するように本体2に固定されている。第1の端部キャップ3は、バヨネット方式で固定されており、複数のL字状のスロットを備えている。L字状のスロットは、本体2に形成されている複数の突起と係合するようになっており、L字状のスロットの数量は、当該突起の数量と同一とされる。第2の端部キャップ4は、ディスク20と、ディスク20の中心に延在している軸部21と、軸部21を囲んでいるスプロケット22とを備えている。第2の端部キャップ4は、軸部21が攪拌装置チャンバ10の内部に延在するように、本体2に固定されている。
【0017】
軸受組立体5は、軸部21に滑動可能に取り付けられている。軸部21に沿った軸受組立体5の移動は、一方の向きにおいては、軸部21に取り付けられている駆動組立体7によって制限されており、反対の向きにおいては、ディスク20によって制限されている。結論として、軸受組立体5は、軸受組立体5が駆動組立体7に接触している第1の位置(図6参照)と軸受組立体5がディスク20に接触している第2の位置(図5参照)との間において移動可能とされる。
【0018】
軸受組立体5は、キャリッジ30と、キャリッジ30に固定されている軸受31と、軸受31に固定されているマウント32とを備えている。キャリッジ30は、第1の部分と第2の部分とを有している。第1の部分は、軸部21を囲んでいるカラー33を備えている。第2の部分は、カラー33から径方向に延在しているフランジ34と、フランジ34から第2の端部キャップ4のディスク20に向かって軸線方向に延在している複数の歯又はピケット35とを備えている。軸受31は、内輪と外輪とを備えている。内輪はキャリッジ30に固定されており、外輪はマウント32に固定されている。マウント32は、筒状部分37と、筒状部分37の端部から外方に延在している錐状部分38とを備えている。
【0019】
付勢部材6は、軸部21を囲んでいるコイルバネとされる。付勢部材6は、第2の端部キャップ4のディスク20と軸受組立体5のキャリッジ30との間に配置されている。従って、付勢部材6は、軸受組立体5を第1の位置に向かって付勢するようになっている。
【0020】
駆動組立体7は、軸部21に取り付けられており、モータマウント40と、モータ41と、モータ41を制御するための回路集合体42と、カップリング要素43とを備えている。モータマウント40は、回路集合体42を収容している略筒状の本体を備えている。モータマウント40は、その一方の端部において軸部21に固定されており、その反対側の端部においてモータ41に固定されている。モータ41は、モータ41のシャフト44が軸部21ひいては軸受組立体5と同軸に配置されるように、モータマウント40に固定されている。カップリング要素43は、モータ41のシャフト44に固定されている。
【0021】
攪拌装置8は筒状本体50を備えており、剛毛、払除ストリップ、又は表面を攪拌するための他の手段51が筒状本体50に固定されている。さらに、攪拌装置8はカップリング要素52を備えており、カップリング要素52は、筒状本体50の内側に配置されており、筒状本体50と一体に形成されている。攪拌装置8は、その一方の端部において、軸受組立体5に取り付けられており、その反対側の端部において、第1の端部キャップ3の内部に配置されている軸受13に取り付けられている。従って、攪拌装置8は、攪拌装置チャンバ10の内部に回転可能に取り付けられている。攪拌装置8は、軸受組立体5を付勢部材6に抗して第2の位置に向かって軸部21に沿って押す。キャリッジ30の歯35は、スプロケット22と係合している。攪拌装置8は、駆動組立体7を囲んでおり、駆動組立体7のカップリング要素43は、モータ41によって発生されるトルクが攪拌装置8に伝達するように、攪拌装置8のカップリング要素52と係合している。
【0022】
動作の際には、駆動組立体7によって発生されるトルクが攪拌装置8に伝達されるので、これにより攪拌装置8が回転する。付勢部材6は、第1の位置に向かって、すなわち第1の端部キャップ3に向かって軸受組立体5を付勢している。従って、攪拌装置8は、軸受組立体5と第1の端部キャップ3との間に取り付けられており、攪拌装置チャンバ10の内部に比較的に堅固に保持されている。結論として、軸線方向(すなわち、攪拌装置8の回転軸線に対して平行とされる方向)における攪拌装置8の移動が著しく低減される。実際に、既に圧縮状態すなわち装填状態になっている付勢部材6の付勢力より大きい力を作用させることによって、初めて軸線方向の移動が可能となる。
【0023】
攪拌装置8の端部には、マウント32の錐状部分38と嵌合する錐状の内面53が形成されている。付勢部材6が軸受組立体5を第1の端部キャップ3に向かって付勢するので、マウント32の錐状部分38は攪拌装置8の錐状の内面53に押し込まれ、攪拌装置8の錐状の内面53と堅固に嵌合する。このことは、2つの利点を有している。第一に、攪拌装置8が、その一方の端部においてマウント32に対して堅固に保持される。攪拌装置8の反対側の端部は、第1の端部キャップ3の内部に配置されている軸受13に対して堅固に保持される。結論として、径方向(すなわち、攪拌装置8の回転軸線に対して垂直とされる方向)における攪拌装置8の移動が防止される。第二に、錐状の内面を利用することによって、軸受31に対する攪拌装置8の同心性が改善される。結論として、攪拌装置8が回転している場合において、軸受31の径方向の負荷が低減される。特に、アンバランス力に起因する径方向の負荷が低減されるので、軸受31の耐用寿命が伸びる。
【0024】
マウント32の筒状部分37の外径は、駆動組立体7の外径より僅かに大きい。結論として、攪拌装置8が滑り落ちるか、又は錐状部分38によって支持されなくなった場合であっても、攪拌装置8と駆動組立体7との接触が防止される。
【0025】
キャリッジ30の歯35は、軸部21に対するキャリッジ30の回転が防止されるように、第2の端部キャップ4のスプロケット22に係合している。結論として、攪拌装置8が回転している場合には、マウント32と軸受31の外輪とが回転する一方、キャリッジ30と軸受31の内輪とが静止状態を維持している。これにより、キャリッジ30が軸部21に対して相対的に回転しないので、大きい騒音が発生しなくなり、最終的にはキャリッジ30及び/又は軸部21の摩耗及び将来的な故障を防止することができる。
【0026】
攪拌装置8は本体2から取り外し可能とされるので、利用者は攪拌装置8の周囲に捕捉された髪の毛、繊維、及び他の塵埃を容易に取り除くことができる。攪拌装置8を取り外すために、第1の端部キャップ3を本体2に対して相対的に捻ることによって、第1の端部キャップ3が本体2から解除される。付勢部材6は、軸受組立体5ひいては攪拌装置8を第1の端部キャップ3に向かって付勢している。結論として、第1の端部キャップ3を解除する際に、付勢部材6によって攪拌装置8が側面開口部12から外方に押される。従って、攪拌装置8が本体2から突出しているので、利用者は攪拌装置8を把持し、攪拌装置8を側面開口部12を通じて引き出すことができる。
【0027】
清浄されると、攪拌装置8を側面開口部12を通じて挿入することによって、攪拌装置8は本体2に戻される。攪拌装置8が側面開口部12を通じて押し込まれると、スリーブのように駆動組立体7を囲んだ状態で攪拌装置8は滑動する。その後に、攪拌装置8の端部が軸受組立体5に接触する。より具体的には、攪拌装置8の錐状の内面53がマウント32の錐状部分38に嵌合する。攪拌装置8が本体2の内部に向かってさらに押し込まれると、攪拌装置8が付勢部材6に抗して第2の位置に向かって軸受組立体5を押す。その後に、攪拌装置8のカップリング要素52が駆動組立体7のカップリング要素43と係合し、キャリッジ30の歯35が第2の端部キャップ3のスプロケット12と係合する。最後に、第1の端部キャップ3が軸受13を介して攪拌装置8に装着され、側面開口部12を閉塞するように本体2に固定される。
【0028】
図7及び図8は、掃除機ヘッド1を具備する清掃具60を表わす。当該実施例では、清掃具60はスティック式真空掃除機とされる。しかしながら、掃除機ヘッド1は、他のタイプの清掃具と共に同様に利用可能とされる。掃除機ヘッド1は、清掃具60のダクト61に回転可能に取り付けられている。より具体的には、掃除機ヘッド1は、回転軸線62を中心としてダクト61に対して相対的に回転する。従って、回転軸線62は、攪拌装置8の回転軸線に対して垂直とされる。2つの回転軸線は互いから離隔して配置されているが、必ずしも交差している訳ではない。それにも関わらず、2つの回転軸線は直交している。すなわち、単位ベクトルが直交している。
【0029】
駆動組立体7は、掃除機ヘッド1の比較的重い構成要素として形成されているので、掃除機ヘッド1の重心位置に対して大きな影響を及ぼす。掃除機ヘッド1の重心が掃除機ヘッド1の回転軸線62を含む垂直面63内に位置するように、駆動組立体7は軸部21に沿って取り付けられている。このことは、(例えば、物体を越えるように又は物体を迂回するように掃除機ヘッド1を操作するために)掃除機ヘッド1が床から持ち上げられた場合であっても、掃除機ヘッド1がダクト61に対して相対的に回転しないという利点を有している。これにより、掃除機ヘッド1の操作が一層容易になる。対照的に、大部分の従来技術に基づく掃除機ヘッドの重心は、回転軸線に対してオフセットされている。結論として、掃除機ヘッドが床から持ち上げられた場合には、掃除機ヘッドが一方に回転するので、掃除機ヘッドの操作が一層困難になる。
【0030】
掃除機ヘッド1の回転軸線62を含む垂直面63を跨ぐようにモータマウント40を配置させることによって、掃除機ヘッド1の重量バランスが釣り合った状態となる。結論として、モータ41は、駆動組立体7ひいては掃除機ヘッド1の比較的重い構成要素であるが、垂直面63の一方の面において本体2に取り付けられているが、垂直面63の反対側の面において物理的に配置されている。特に攪拌装置8が取り外し可能とされる場合に、このようにモータ41を配置することは全く明白なことではない。モータ41の重量による比較的大きいモーメントが軸部21に作用するからである。さらに、攪拌装置8に径方向の遊隙が存在する場合には、モータ41の重量が攪拌装置8に作用することによって、攪拌装置8の回転軸線が歳差運動し、これによりバランスを崩す大きい力が発生する。
【0031】
掃除機ヘッド1の重心が掃除機ヘッド1の回転軸線62上に直接配置されている必要は無い。また、重心を回転軸線62の直上又は直下に配置させることによって、ダクト61に対する相対的な掃除機ヘッド1の回転を防止することができる。このことは、垂直面63が回転軸線62を含んでいることに起因する。
【0032】
上述の実施例では、攪拌装置8は本体2から取り外し可能とされる。このことは、攪拌装置8の周囲に捕捉された塵埃を容易に取り除くことができるという利点を有している。それにも関わらず、攪拌装置8が本体2から取り外し可能とされることは必須ではなく、本体2の底面に形成された開口部11を介して攪拌装置8にアクセスすることによっても、捕捉された塵埃を取り除くことができる。
【0033】
駆動組立体7は、攪拌装置8を駆動するために必要とされるトルクを発生させるモータ41を備えている。場合によっては、駆動組立体7は、必要なトルクを発生させるための代替的な手段を備えている。例えば、掃除機ヘッド1が真空掃除機の一部分を形成するように構成されている場合には、駆動組立体7が空気タービンを備えている。真空掃除機が発生させる吸引によって、空気が本体2の側面に形成された開口部、軸部21の中心、及び駆動組立体7を通じて取り込まれ、これにより空気タービンに動力が供給され、その後に攪拌装置8の端部を通じて排出され、攪拌装置チャンバ10の内部に取り込まれる。
【0034】
上述の実施例では、駆動組立体7の全体が攪拌装置8の内部に配置されている。このことは、掃除機ヘッド1を比較的小さくすることができるという利点を有している。それにも関わらず、駆動組立体7又は駆動組立体7の一部分が攪拌装置8の外部に配置されている場合がある。例えば、モータ41と回路集合体42とが本体2の他の場所に配置されており、伝達機構を介してモータ41から攪拌装置8にトルクが伝達される。さらに、清掃具のタイプに従って、駆動組立体7が清掃具の本体の内部に配置されている場合がある。
【0035】
マウント32は、筒状部分37と錐状部分38とを有している。錐状部分38は、攪拌装置8の錐状の内面53と嵌合しており、筒状部分37は、攪拌装置8が錐状部分38から脱離した場合に攪拌装置8を支持するための安全機構として機能する。マウント32の形状は、攪拌装置8を支持することができることを条件として任意とされる。とは言うものの、攪拌装置8の傾斜面に対応する傾斜面をマウント32に設けることには、利点が存在する。特に、径方向における攪拌装置8の移動が防止されるか、又は著しく低減される。さらに、攪拌装置8と軸受31との間における同心性が比較的良好になる。結論として、攪拌装置8による軸受31の径方向の負荷が低減され、これにより軸受31の耐用寿命が伸びる。
【0036】
軸受組立体7を備えている場合であっても、軸受組立体7のキャリッジ30が歯35を有していることも、第1の端部キャップ3がスプロケット22を有していることも必ずしも必要なことではない。実際に、軸受組立体7がキャリッジ30を備えていることは全く必須なことではない。例えば、キャリッジ30を設けず、軸受31の内輪が軸部21に接触し、軸部21に沿って往復する場合がある。しかしながら、このような構成は、利用の際に軸受31の内輪が軸部21に対して相対的に回転するという欠点を有している。さらなる代替的な例としては、歯35とスプロケット22とを設けず、他の手段によって、軸部21に対する相対的なキャリッジ30の回転を防止する場合がある。例えば、軸部21が非円状の断面を有しているか、又はキャリッジ30が軸部21の溝と係合する突起を有していることが考えられる。しかしながら、軸受31が円状に形成されているので、非円状の断面を具備する軸部21を利用することによって、軸受組立体7の外径が大きくなる可能性がある。さらに、軸部21の内側が、空気流を駆動組立体7に輸送するために、例えば駆動組立体7の構成部品を冷却又は駆動するために利用される場合がある。非円状の断面又は溝を具備する軸部21を利用することによって、軸部21の内側の断面積が小さくなるので、これにより駆動組立体7に向かう空気の流れが阻害される可能性がある。
【符号の説明】
【0037】
1 掃除機ヘッド
2 本体
3 第1の端部キャップ
4 第2の端部キャップ
5 軸受組立体
6 付勢部材
7 駆動組立体
8 攪拌装置
10 攪拌装置チャンバ
11 開口部
12 側面開口部
13 軸受
20 ディスク
21 軸部
22 スプロケット
30 キャリッジ
31 軸受
32 マウント
33 カラー
34 フランジ
35 歯(ピケット)
37 筒状部分
38 錐状部分
40 モータマウント
41 モータ
42 回路集合体
43 カップリング要素
44 シャフト
50 筒状本体
51 剛毛(払除ストリップ、表面を攪拌

するための他の手段)
52 カップリング要素
53 (攪拌装置8の)錐状の内面
60 清掃具
61 ダクト
62 (掃除機ヘッド1の)回転軸線
63 垂直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8