【実施例1】
【0011】
[本発明の構成]
<1>全体の構成(
図1)。
本発明の板台車1は、台板10の下面に複数のキャスタ20を付設してなる平板状の台車である。
以下、板台車1の台板10の長手方向の両端を前端及び後端とし、台板10の幅方向の両端を側端として説明する。
【0012】
<2>台板。
台板10は、板台車1の主構造であって、搬送物を載置する板状体である。
台板10は、載置台11と、載置台11の側面に、全周に亘って一体成型される保護周縁12と、を具備する。
【0013】
<2.1>載置台。
載置台11は、搬送物を載置し、搬送物の荷重をキャスタ20へ伝達する部分である。
載置台11は、矩形の合板からなる。本例では、ラワン材100%の合板を採用するが、これに限られず、各種の素材を採用することができる。
載置台11の厚みは強度と重さを考量して適宜選択する。
載置台11には、中央把持孔13と端部把持孔14をそれぞれ設けることができる。中央把持孔13と端部把持孔14は必須ではなく、省略してもよい。
【0014】
<2.1.1>合板の特性。
合板は薄く切った単板を、繊維方向を90度ずつ変えて積層し、熱圧接着した木質板である。そのため、縦目と横目の強度差が殆どなく、あらゆる方向からの力に対し高い抵抗力を有する。
また、積層構造による機械強度に加え、接着剤による補強効果も有するため、耐久性が強い。
さらに、厚さやサイズの選択の幅が広く、無垢材や樹脂板に比較して製造コストが安い。
【0015】
<2.2>保護周縁。
保護周縁12は、台板10の周縁部であって、載置台11の側面を保護する部材である。
保護周縁12は、載置台11の全周に亘って一体成型される。
保護周縁12は、弾性素材からなる。本例では保護周縁12として、ポリウレタンを採用する。ポリウレタンは耐摩耗性に優れるため、従来のゴム製の補強部材と異なり、壁や柱にこすれても色移りして汚すことがない。
【0016】
<2.2.1>保護周縁の機能。
本発明の板台車1は保護周縁12を載置台11と一体成型する点に特徴がある。
すなわち、上述の通り、載置台11の合板は、低コストでありながら高い強度を有する素材であるが、側面の木口部分は層が露出するため、外気の影響で劣化しやすい。
本発明の板台車1は、載置台11側面の木口部分をポリウレタン製の保護周縁12で一体に被覆するため、載置台11の側面と保護周縁12とが密着する。
そのため、載置台11の側面を衝撃から保護するとともに、木口を外気から遮断して載置台11端部の劣化を防ぐことができる。
よって、載置台11の緩衝機能と劣化防止機能を同時に達成することができる。
【0017】
<2.3>中央把持孔。
中央把持孔13は、載置台11の中央部に設けた貫通孔であって、板台車1を倒して人力で運搬する際に把持するための孔である。
本例では、中央把持孔13を円孔とする。中央把持孔13が円孔であるため、板台車1をいずれの向きに倒した状態でも、指を掛けて把持することができる。ただし中央把持孔13の形状はこれに限られない。
【0018】
<2.4>端部把持孔。
端部把持孔14は、載置台11の端部に設けた貫通孔であって、板台車1を倒して人力で運搬する際に把持するための孔である。
本例では、端部把持孔14は、載置台11の前端付近と後端付近にそれぞれ設けた孔であって、載置台11の幅方向に長い長穴とする。ただし形状はこれに限られない。
従来の板台車は、載置台の側辺中央部分が露出していたため、この部分が直接衝撃を受け破損しやすかった。よって、載置台の強度を確保するため、端部把持孔は載置台の一端にしか設けることができなかった。
これに対し、本発明の板台車1は、載置台11の全周を保護周縁12で保護しているため破損しにくい。
そのため、端部把持孔14を載置台11の前端、後端の両方に設けることができる。
【0019】
<2.4.1>端部把持孔の機能。
端部把持孔14を載置台11の両端に設けることによって、板台車1の前端、後端のいずれからでも端部を把持することが可能になる。そのため、板台車1を人力で運搬する際の作業性が高くなる。
また、複数の板台車1を積み重ねて保管する際、上下の板台車1の端部把持孔14、14内にそれぞれ固定板Bを連通することで、複数の板台車1同士の水平位置を固定し、安定した状態で積み上げることができる(
図2)。
【0020】
<3>キャスタ。
キャスタ20は、板台車1の走行手段である。
キャスタ20には、公知の各種キャスタを採用することができる。
キャスタ20は、台板10下面の隅部に四か所付設する。
【0021】
[本発明の板台車の製造方法]
引き続き、図面を参照しながら本発明の板台車の製造方法について詳細に説明する。
【0022】
<1>載置台の形成。
所定寸法の合板を加工し、載置台11を形成する。
具体的には四隅のR加工、中央把持孔13、端部把持孔14の穿孔、キャスタ20用のボルト孔の穿孔等を行う。但し、これらの加工は必須ではない。また、穿孔は保護周縁12の形成後に行ってもよい。
これらの工程は公知の工程であるのでここでは詳述しない。
【0023】
<2>保護周縁の形成。
型枠Aを用いて載置台11の側面に保護周縁12を一体成型する。
本例では、型枠Aとして、枠台と蓋からなる閉鎖型の金型を採用する。枠台の上面には台板10の外寸に対応した内部空間が凹設される。
枠台の内部空間の中央に載置台11を配置し(
図3)、枠台の上面に蓋を被せて型枠Aを密閉する。
型枠Aの注入孔から内部空間にポリウレタンを注入する。ポリウレタンは載置台11の外周の空間に充填される。
ポリウレタンが硬化することによって、載置台11の周囲に保護周縁12が一体成型され、台板10が完成する(
図4)。
型枠Aの蓋を開き、台板10を脱型する。
尚、上記の工程は一実施例にすぎず、載置台11の側面に保護周縁12を一体成型できれば、他の公知の技術を採用することもできる。
【0024】
<3>キャスタの付設。
台板10の下面の四隅にキャスタ20をそれぞれ付設する。これは公知の工程であるのでここでは詳述しない。