【実施例】
【0041】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明のワイヤハーネスを示す図である。また、
図2は本発明のワイヤハーネスの構成を示す斜視図、
図3は
図2の外装部材と導電路を示すとともにワイヤハーネスの製造方法に係る第一工程を示す図、
図4は
図2のA−A線断面図、
図5はワイヤハーネスの製造方法に係る第一工程及び第二工程を示す図である。
【0042】
本実施例においては、ハイブリッド自動車(電気自動車やエンジンで走行する一般的な自動車等であってもよいものとする)に配索されるワイヤハーネスに対し本発明を採用する。
【0043】
<ハイブリッド自動車1の構成について>
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内に搭載してもよいものとする)。
【0044】
モータユニット3とインバータユニット4は、高圧のワイヤハーネス8(高電圧用のモーターケーブル)により接続される。また、バッテリー5とインバータユニット4も高圧のワイヤハーネス9により接続される。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車両における(車体における)車両床下11に配索される。また、中間部10は、車両床下11に沿って略平行に配索される。車両床下11は、公知のボディ(車体)であるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔が形成される。この貫通孔には、ワイヤハーネス9が水密に挿通される。
【0045】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続される。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段が電気的に接続される。また、ワイヤハーネス9とインバータユニット4は、前端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段を介して電気的に接続される。
【0046】
モータユニット3は、モータ及びジェネレータを含んで構成される。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んで構成される。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成される。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成される。バッテリー5は、Ni−MH系やLi−ion系のものであって、モジュール化することによりなる。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能である。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車に使用可能であれば特に限定されないのは勿論である。
【0047】
図1(b)において、引用符号15はワイヤハーネスを示す。ワイヤハーネス15は、低圧の(低電圧用の)ものであって、ハイブリッド自動車1における自動車後部7の低圧バッテリー16と、自動車前部17に搭載される補器18(機器)とを電気的に接続するために備えられる。ワイヤハーネス15は、
図1(a)のワイヤハーネス9と同様に、車両床下11を通って配索される(一例であり、車室側を通って配索されてもよいものとする)。
【0048】
図1(a)及び(b)に示す如く、ハイブリッド自動車1には、高圧のワイヤハーネス8、9及び低圧のワイヤハーネス15が配索される。本発明は、いずれのワイヤハーネスであっても適用可能であるが、代表例として低圧のワイヤハーネス15を挙げて以下に説明をする。
【0049】
<ワイヤハーネス15の構成について>
図1(b)において、車両床下11を通って配索される(車両床下11ではストレートに配索される)長尺なワイヤハーネス15は、ハーネス本体19と、このハーネス本体19の両端末にそれぞれ配設されるコネクタ20とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス15は、これ自身を所定位置に配索するための固定部材(例えばクランプ等)と、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
【0050】
<ハーネス本体19の構成について>
図2において、ハーネス本体19は、一本の導電路21と、この導電路21を収容保護する外装部材22と、複数の振動抑制部材23とを備えて構成される。尚、導電路21の本数に関し、本実施例においては一本であるが、これは一例であるものとする(二本及び三本の場合は
図9を参照しながら後述する。複数本の場合、高圧のワイヤハーネス9を一緒にしてもよいものとする)。先ず、ハーネス本体19における導電路21の構成及び構造について説明をし、次に、外装部材22の構成及び構造、振動抑制部材23の構成及び構造について説明をする。
【0051】
<導電路21の構成及び構造について>
図2において、導電路21は、導電性を有する導体と、この導体の外側に設けられる絶縁性の絶縁体(被覆)とを備えて構成される。導体は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面矩形又は円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば平角単心や丸単心となる導体構造であり、この場合、電線自体も棒状となる)のもののいずれであってもよいものとする。以上のような導体は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体が押出成形される。
【0052】
絶縁体は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体の外周面に押出成形される。絶縁体は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。尚、引用符号24は導電路21の外周面(ここでは絶縁体の外周面に相当)を示す。
【0053】
<外装部材22の構成及び構造について>
図2及び
図3において、外装部材22は、樹脂成形にて一本の真っ直ぐな管体形状のものに形成される(使用前は真っ直ぐである。尚、樹脂製に限らず金属製であってもよいものとする)。また、外装部材22は、腹割きなしの形状に形成される。別な言い方をすれば、スリットのない形状に形成される(割チューブでない形状に形成される)。さらに、外装部材22は、断面円形状に形成される(本実施例のような真円形状に限らず、例えば断面長円形状や楕円形状、矩形状等であってもよいものとする。断面形状は、収容された導電路21の遊び率が大きくなる形状であれば特に限定されないものとする)。
【0054】
このような外装部材22は、可撓性を有する可撓管部25(
図3参照)と、導電路21をストレートに配索する部分としてのストレート管部26とを有する。可撓管部25とストレート管部26は、複数形成される。また、これらは交互に配置形成される。
【0055】
<可撓管部25について>
図3において、可撓管部25は、車両取付形状(ワイヤハーネス配索先の形状。固定対象の形状)に合わせて配置形成される。また、可撓管部25は、車両取付形状に合わせた長さにも形成される。可撓管部25の長さは一定でなく、車両取付形状に合わせて必要な長さにそれぞれ形成される。このような可撓管部25は、ワイヤハーネス15(
図1参照)の梱包状態や輸送時、車両への経路配索時に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるように形成される。すなわち、可撓管部25は、撓ませて曲げ形状にすることができるとともに、図示のような真っ直ぐな元の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるように形成される。
【0056】
可撓管部25は、本実施例において、蛇腹管形状に形成される(可撓性を有すれば形状は特に限定されないものとする)。具体的には、周方向の蛇腹凹部及び蛇腹凸部を有するとともに、これら蛇腹凹部及び蛇腹凸部が管軸方向に交互に連続するように形成される。
【0057】
<ストレート管部26について>
図2ないし
図5において、ストレート管部26は、可撓管部25(
図3参照)のような可撓性を持たない部分として形成される。また、ストレート管部26は、梱包状態や輸送時、経路配索時において曲がらない部分としても形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である)。図中のストレート管部26は、長い直管形状に形成される。
【0058】
ストレート管部26は、可撓管部25(
図3参照)と比べ、リジッドな部分に形成される。ストレート管部26は、車両取付形状に合わせた位置や長さに形成される。ストレート管部26は、本実施例において、少なくとも車両床下11(
図1参照)に配置される部分として形成される。このようなストレート管部26には、本発明の特徴になる複数の振動抑制部材23が後付けにて組み付けられる。そのためストレート管部26には、貫通孔27が複数形成される。
【0059】
<貫通孔27について>
図3において、貫通孔27は、振動抑制部材23を組み付けるための部分であって、ストレート管部26の管外面28及び管内面29を貫通するような円形の孔として形成される。尚、貫通孔27の開口径は適宜設定されるものとする。貫通孔27は、例えば走行中の振動方向に沿って(図の紙面上下方向に沿って、また、90度ピッチで)配置形成される。また、貫通孔27は、外装部材22の管軸CLの方向に沿って直線的に並ぶように配置形成される。具体的には、所定間隔Pで直線的に並ぶように配置形成される。所定間隔Pに関し、ここでは略200mmが設定される。この200mmとは、上述の図示しない固定部材(例えばクランプ)の取り付け間隔と同じ寸法である。貫通孔27は、上下に、また、所定間隔Pで直線的に並ぶことから、振動抑制部材23もこのような位置で組み付けられる。
【0060】
<振動抑制部材23の構成及び構造について>
図2、
図4、及び
図5において、振動抑制部材23は、外装部材22内での導電路21の振れを抑制する(吸収する)ための部材であって、弾性変形可能な材料(例えばゴム材)にて例えば図示形状に形成される。また、振動抑制部材23は、図からも分かるように、外装部材22内の所定位置(貫通孔27が形成される位置)で、導電路21の遊び率を減らすような形状に形成される。このような振動抑制部材23には、管内突出部30と、外装貫通部31と、管外突出部32とが形成される。振動抑制部材23は、導電路21の挿通後に外装部材22の管外面28側から組み付けられる。
【0061】
尚、振動抑制部材23は、導電路21の本数に応じて使い分けることができるような、複数種のものが用意されるものとする。
図2、
図4、及び
図5では、一本の導電路21に対応する振動抑制部材23が用いられる。
【0062】
<管内突出部30について>
図2、
図4、及び
図5において、管内突出部30は、導電路21の挿通後に外装部材22の管外面28側から振動抑制部材23が組み付けられると、管内面29に突出するような形状に形成される。尚、本実施例においては円柱形状に形成されるが、この形状に限定されないものとする。管内突出部30は、この先端が導電路21の外周面24に対し軽く接するような長さに、又は、押し付けられて弾性変形するような長さに、或いは、上側に組み付けられる振動抑制部材23の場合、外周面24の近傍に位置するような長さに形成される。本実施例においては、押し付けるような長さに形成される。すなわち、導電路21を上下で挟み込むことにより保持するような長さに形成される。
【0063】
管内突出部30の基端部分には、環状の係止凸部33が形成される。この係止凸部33は、振動抑制部材23の抜けを防止するための部分として形成される(ここでの形状は一例である)。尚、係止凸部33を形成せず、圧入によって抜け止めをするような形状部分にしてもよいものとする。
【0064】
<外装貫通部31について>
図2、
図4、及び
図5において、外装貫通部31は、外装部材22の貫通孔27に対し貫通する部分として形成される。外装貫通部31は、貫通孔27が円形であることから、これと同様の円形に形成される。本実施例の外装貫通部31は、貫通孔27を完全に塞ぐことができるような大きさに形成される(一例であるものとする。
図8の例に関しては後述する)。
【0065】
<管外突出部32について>
図2、
図4、及び
図5において、管外突出部32は、外装部材22の管外面28の側に配設される部分として形成される。このような管外突出部32は、貫通孔27を覆う形状に形成される。また、管外突出部32は、係止凸部33と共に貫通孔27の縁部を挟み込んで係止する形状に形成される。
【0066】
管外突出部32に関し、これは外側から見える形状部分であることから、目視にて組み付け忘れの確認をすることができるのは勿論である。
【0067】
<ワイヤハーネス15の製造方法について>
図1において、ワイヤハーネス15は、先ずハーネス本体19の部分が製造される。
図2に示すようなハーネス本体19の部分は、第一工程と第二工程とを順に経て製造される。
【0068】
第一工程では、
図3(a)に示すように外装部材22を準備する作業を行い、この後、
図3(b)に示すように導電路21を外装部材22の一端開口部から他端開口部に向けて挿通する作業を行う。挿通作業においては、ストレート管部26の管内面29に例えば突出する部分がないことから、スムーズに導電路21を挿通することができる。
【0069】
第二工程では、振動抑制部材23を外装部材22の管外面28の側から組み付ける作業を行う。組み付け作業にあたっては、貫通孔27に管内突出部30を先ず差し込み、そして、次に管外突出部32を作業者の指で押し込むようなことを行う。振動抑制部材23が貫通孔27の縁部に係止され、全ての振動抑制部材23の組み付けが終わると、ハーネス本体19の部分の製造が完了する。
【0070】
<本発明のまとめ及び効果について>
図1ないし
図6を参照しながら説明してきたように、本発明に係るワイヤハーネス15は、管体形状の外装部材22と、この外装部材22に挿通される導電路21と、複数の振動抑制部材23とを備えて構成される。本発明では、導電路21の挿通後に振動抑制部材23が外装部材22に組み付けられることから、導電路21の挿通に係る作業性は良好である。
【0071】
振動抑制部材23は、導電路21の挿通後に外装部材22の管外面28側から組み付けられて管内面29に突出する管内突出部30を有する。振動抑制部材23が外装部材22に組み付けられると、振動抑制部材23の管内突出部30が外装部材22の内部所定位置での導電路21の遊び率を減らし、その結果、振れが抑制される。従って、導電路21は、振動抑制部材23により外装部材22との相対的な振動が抑制される。
【0072】
以上、本発明によれば、導電路21を外装部材22に挿通する際の作業性を良好にしつつ外装部材22内での導電路21の振れを抑制することができるという効果を奏する。
【0073】
<変形例について>
次に、
図6ないし
図9を参照しながら本発明の変形例について説明をする。
【0074】
図6は振動抑制部材の組み付け位置を変えた図、
図7は連結部を介して複数の振動抑制部材同士を一体化させた状態を示す図、
図8は外装部材の貫通孔を水抜き孔として使用した場合の説明図、
図9は
図2と異なるワイヤハーネスを示す図である。
【0075】
<振動抑制部材23の組み付け位置の変更について>
図6(a)において、振動抑制部材23は、千鳥状に組み付けてもよいものとする。また、
図6(b)に示すように、上側に直線的に並ぶように組み付けて導電路21を外装部材22の下側の管内面29に押し付けるようにしてもよいものとする。この他、必要に応じて任意の箇所に追加するように組み付けてもよいものとする。
【0076】
<振動抑制部材23の形状変形例について>
図7(a)において、上下の振動抑制部材23同士は、連結部34を管外突出部32に一体形成することにより連結にしてもよいものとする。また、
図7(b)に示すように、管軸CL(
図2参照)に沿って連結部34にて振動抑制部材23同士を連結してもよいものとする。
【0077】
このような振動抑制部材23によれば、連結部34を介して複数が一体になることから、振動抑制部材23を一つ一つ持って作業するよりもし易くなるのは勿論である。また、部品管理が煩雑にならないのも勿論である。
【0078】
<貫通孔27の変形例について>
図8において、外装部材22の貫通孔27を図示のように例えば長円形状に形成すれば、水抜き孔として使用することができるのは勿論である。すなわち、外装部材22内に仮に水分が溜まったとしても、貫通孔27と外装貫通部31との間の隙間35を介して排水することができる。
【0079】
<導電路21の本数の変更について>
図9(a)において、導電路21が二本、外装部材22に挿通されても、この二本の導電路21は振動抑制部材23により外装部材22との相対的な振動が抑制されるのは勿論である。また、
図9(b)に示すように、導電路21が三本の場合も同様に外装部材22との相対的な振動が抑制されるのは勿論である。
【0080】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0081】
以上の説明から分かるように、振動抑制部材23により導電路21と外装部材22との相対的な振動が抑制される。仮に、導電路21の外周面24が外装部材22の管内面29に当たったとしても、従来に比べ格段に軽減されることから、導電路21はダメージを受けることはない(シールド機能を有する導電路の場合、編組や金属箔へのダメージは問題ない)。