(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6240654
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】光配向装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20171120BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
G02F1/1337 520
G03F7/20 501
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-249487(P2015-249487)
(22)【出願日】2015年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-212376(P2016-212376A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0063060
(32)【優先日】2015年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512202428
【氏名又は名称】ウィア・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ヒョン リョル
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 幸司
【審査官】
磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−191072(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2014−0087432(KR,A)
【文献】
特開2015−022068(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/157113(WO,A1)
【文献】
特開2015−018065(JP,A)
【文献】
特開2014−119566(JP,A)
【文献】
特開2008−107702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶を配向するために形成された配向膜を非接触で処理する光配向装置であって、LED素子を配列して光を照射する光源部と、偏光制御する偏光部とを含む光配向装置において、
前記光源部は、複数のLED素子が一列に配列されたLEDモジュールを複数列有し、前記LED素子から出力されるLED光線に基づくLED直線光を複数列形成し、
前記偏光部には、多数個の偏光子が一列のみ配列されており、
各前記偏光子には、前記複数列の前記LED直線光が相互に干渉しない間隔を持って入射される
光配向装置。
【請求項2】
前記複数列の前記直線光は、相互に干渉しない間隔を持って前記配向膜に照射されることを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項3】
前記複数列の前記LED直線光のピーク波長は、異なることを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項4】
前記LED素子を個別に制御することにより、前記偏光部の下部を通過する配向膜に複数のLED直線光によって受ける光量を均一にしたことを特徴とする
請求項2に記載の光配向装置。
【請求項5】
複数の前記LED直線光は、前記偏光部を透過しながら相互に交差することを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項6】
複数の前記LED直線光の照射角度は、対称的に形成され、前記偏光部を透過しながら連続する照射集中部を形成することを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項7】
前記光源部は、LED光線を拡散光または平行光に形成するレンズを備えることを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項8】
前記偏光子の間には、ギャップが形成されており、前記ギャップの下部には、前記LED直線光が透過しないようにする遮断部材が備えられていることを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項9】
前記遮断部材の幅は、4.5mm以下であることを特徴とする
請求項8に記載の光配向装置。
【請求項10】
前記偏光子は、その中央に位置していない回転中心を持って回転によって角度調整が可能であることを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項11】
隣接する前記偏光子の前記回転中心は、相互に逆に配置されることを特徴とする
請求項10に記載の光配向装置。
【請求項12】
配向膜に対する前記光配向装置の上下方向の高さを調整して前記配向膜の反応時間を制御することを特徴とする
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項13】
前記LED直線光が配向膜に到達する時に発生する蛍光を受光する蛍光センサーを備え、前記蛍光センサーを用いて前記配向膜の配向度を測定する
請求項1に記載の光配向装置。
【請求項14】
複数のLED素子が一列に配列されたLEDモジュールを複数列配置し、前記LED素子から出力されるLED光線に基づくLED直線光を複数列形成し、
多数個の偏光子を一列に配列して形成した偏光部において、各前記偏光子に、前記複数列の前記LED直線光を相互に干渉しない間隔を持って複数入射させて配向膜を非接触で処理する
光配向方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配向装置に関し、具体的には、LEDを用いた光配向装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光配向装置は、液晶表示素子の配向膜ガラスの配向膜を一定方向に配向させるために、ラビングローラーを配向膜に接触させて機械的に擦るラビング(rubbing)方式に代わって、配向膜に一定の波長を有する偏光ビームを照射して配向をする装置である。光配向のために一定の強度の光を照射する高圧の水銀ランプやメタルハライドランプなどのようなUVランプが使用されている。
【0003】
従来のUVランプは、不要な波長を照射しないために波長を制限する光学系が必要であるが、該光学系によって透過率が損なわれるため、配向膜に達する光のエネルギーが減少して、ランプが非常に高価という問題を有する。また、従来のUVランプは、ランプ管の光軸に対する拡散光を制御するために、複雑な反射ミラー(mirror)をインストールする必要がある。配向状態の高精度化のためには、配向膜に垂直に入射する光が必要であるが、拡散光を集光し、広範囲に照射するUVランプの反射ミラーの場合は、垂直に入射する光だけを抽出することが極めて困難であるという問題を有する。そして、従来のUVランプは、オン・オフ(on-off)のために多くの待機時間を要するという問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それで、本発明は、上述した問題を解決するために導出されたもので、装備の構成が簡素な光配向装置を提供しようとする。
本発明の他の目的は、以下に述べられる実施例に基づいて更に明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液晶を配向するために形成された配向膜を非接触で処理する光配向装置であって、LED素子を配列して光を照射する光源部と、偏光制御する偏光部とを含む光配向装置において、光源部は、複数のLED素子が一列に配列された
LEDモジュールを複数列有し、前記LED素子から出力されるLED光線に基づくLED直線光を複数列形成し、偏光部には、多数個の偏光子が一列のみ配列されており、各偏光子には、複数列の前記LED直線光が相互に干渉しない間隔を持って入射される。
さらに本発明に係る光配向装置において、前記複数列の前記直線光は、相互に干渉しない間隔を持って前記配向膜に照射されることを特徴とする。
【0006】
本発明に係る光配向装置は、次のような実施例を1つまたはそれ以上備えることができる。例えば、前記複数
列の前記LED直線光のピーク波長
は、異ならせることができる。
【0007】
LED素子を個別に制御することにより、偏光部の下部を通過する配向膜に複数のLED直線光によって受ける光量を均一にすることができる。
【0008】
複数の前記LED直線光は、偏光部を透過しながら相互に交差することができる。
【0009】
複数のLED直線光の照射角度は、対称的に形成されて偏光部を透過しながら連続する照射集中部を形成することができる。
【0010】
光線を拡散光または
平行光に形成するレンズを備えることができる。
【0011】
偏光子
の間には、ギャップが形成されており、ギャップの下部には、LED
直線光が透過しないようにする遮断部材を備えることができる。
【0012】
遮断部材の幅は、4.5mm以下であることができる。
【0013】
偏光子は、その中央
に位置していない回転中心を持って回転によって角度調整が可能である。
【0014】
隣接する偏光子の回転中心は、相互に逆に配置することができる。
【0015】
配向膜に対する光配向装置の上下方向の高さを調整して配向膜の反応時間を制御することができる。
【0016】
LED直線光が配向膜に到達する時に発生する蛍光を受光する蛍光センサーを備え、蛍光センサーを利用して、配向膜の配向度を測定することができる。
【0017】
本発明の一側面に係る光配向方法は、複数のLED素子が
一列に配列された
LEDモジュールを複数列配置し、前記LED素子から出力されるLED光線に基づくLED直線光を複数列形成し、多数個の偏光子を一列に配列して形成した偏光部において、各偏光子に、複数列のLED直線光を相互に干渉しない間隔を持って複数入射させて配向膜を非接触で処理する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、構成が簡素な光配向装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施例に係る光配向装置を例示する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る光配向装置を例示する斜視図である。
【
図3】
図2に例示された光配向装置においてLED素子が配列されたLEDモジュールを例示する平面図である。
【
図4】LED素子の下部にレンズが配置されてLED職選鉱を形成する状態を例示する図である。
【
図5】LED素子とレンズとの間の間隔による集光の程度を例示する図である。
【
図6】拡散光形態のLED直線光が配向膜に到達する状態を例示する図である。
【
図7】複数のLED直線光が偏光子を通過しながら交差する状態を例示する図である。
【
図8】LEDモジュールに傾斜角を与えてLED直線光が交差する状態を例示する図である。
【
図9】
図1に例示された光配向装置の偏光部を例示する平面図である。
【
図11】偏光部の偏光子の調整前の状態を例示する平面図である。
【
図12】
図11において偏光子を調整した後の状態を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、様々な変換を加えることができ、複数の実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0021】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、“含む”又は“持つ”などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするだけであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するわけではないと理解されるべきである。
【0022】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素らは、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明することとし、添付の図面を参照して説明するにあたり、図面符号に関係なく、同一又は対応する構成要素は、同じ参照番号を付し、これに対する重複する説明は、省略する。
【0024】
図1及び
図2は、本発明の一実施例に係る光配向装置100を例示する斜視図であり、
図1は、1つのLED直線光122が出力される状態を例示しており、
図2は、3つのLED直線光122が出力される状態を例示してある。そして、
図3は、光配向装置100においてLED素子112が配列されているLEDモジュール120を例示する平面図であり、
図4は、LED素子112の下部にレンズ116が配置されてLED直線光122を形成する状態を例示する図である。また、
図5は、LED素子112とレンズ116との間の間隔aに基づく集光の程度を例示する図である。
【0025】
図1〜
図5を参考すると、本発明の一実施例に係る光配向装置100は、複数のLED素子112を備え、線状のLED直線光122を照射する光源部110と、LED直線光122を偏光制御するために一列に配列された複数の偏光子132を備える偏光部130と、偏光部130と配向膜162が形成された配向膜グラス160との間に配置されたカバーグラス150と、を含む。
【0026】
光配向装置100は、光源部110によって形成されたLED直線光122を偏光子132に入射させてから、偏光させて配向膜162を配向するものであり、光源部110は、光源として複数のLED素子112を利用することを特徴とする。LED素子112による光源部110は、従来のUVランプに比べてエネルギーの消費が少なく、オン・オフ(on-off)を容易にすることができ、点灯後に温度の上昇時間が早いという利点を有する。また、LED素子112による光源部110は、長く(例えば、1m)形成することができるので、大面積の配向膜グラス160に対応することができ、コールドミラー(cold mirror)及び反射鏡などを備える必要がないため、構成を簡素にすることができるという利点を有する。
【0027】
光源部110には、多数個のLED素子112を含むLEDモジュール120が1つ以上備えられている。LEDモジュール120は、1つまたは2以上の列に配列されることができ、本実施形態に係る光源部110は、3つの列に配列されたLEDモジュール120を備えると例示されている。各々のLEDモジュール120は、独立して制御することができる。
【0028】
複数のLEDモジュール120は、異なる波長のLED光線を出力することができる。例えば、1つのLEDモジュール120は、ピーク波長が365nm、他のLEDモジュール120は、ピーク波長が385nm、更に他のLEDモジュール120は、ピーク波長が395nmであるLED光線を出力することができる。このように、各々のLEDモジュール120から出力されるLED光線の波長を異ならせることにより、配向膜162の配向特性に最適化された波長のLED光線を出力することができる。
【0029】
LEDモジュール120は、1つのボード114を備えると例示されているが、多数個のボード114を備えることができる。このように、LEDモジュール120が多数個のボード114を備えることにより、各々のボード114に実装されたLED素子112の出力強度及び波長などが異ならせることができる。
【0030】
本実施例に係る光配向装置100は、複数の偏光子132が一列に配列された偏光部130上に、複数のLED直線光122が相互に干渉しない間隔を持って複数入射されることを特徴とする。このように、一列に形成された光学系に複数のLED直線光122が透過されるようにすることにより、照射面で配向誤差が発生することを防止することができ、複数のLED直線光を利用することにより、生産性を高めることができる。
【0031】
図4を参考すると、各々のLEDモジュール120の下部には、レンズ116が備えられている。レンズ116は、LED素子112から出力されるLED光線を集光するか、または平行光に形成する。LED光線は、レンズ116によって、または、レンズ116によらず、それ自体でLED直線光122に形成される。LED直線光122は、ステージ170の走行方向(
図1及び
図2の矢印の方向)に直角な方向に連続しており、長く形成された長方形の光線である。LED直線光122の長さは、一列に配列された複数の偏光子132の全てに含まれる程度に形成することができる。
【0032】
レンズ116は、断面が円形(
図4及び
図5を参照)に長く形成されたロッドレンズ(rod lens)に該当することができる。ロッドレンズは、LEDモジュール120の長さ方向に配置され、
図4に示すように、拡散光に該当するLED光線を平行光形態のLED直線光122に形成することができる。
【0033】
本実施形態に係るレンズ116は、ロッドレンズだけでなく、LED素子112から出力されるLED光線を集光または平行光に形成できるものであれば、いずれのものであっても可能であることはいうまでもない。
【0034】
図5を参考すると、LED素子112とロッドレンズ116との間の間隔aを調整することにより、LED直線光122を拡散光または平行光に形成することができる。すなわち、
図4に示すように、LED素子112とロッドレンズ116との間の間隔を小さくすることにより、LED素子112から出力されたLED光線がすべてロッドレンズ116に入射されて平行光形態のLED直線光122を形成することができる。また、
図5に示すように、LED素子1 1 2とロッドレンズ116との間の間隔aをやや大きくすることにより、LED素子112から出力されたLED光線の一部(例えば、20%)がロッドレンズ116に入射せず、拡散光として出力され、残りのLED光線(例えば、80%)は、ロッドレンズ116に入射されて平行光形態のLED直線光122を形成することができる。
【0035】
もちろん、光源部110は、レンズ116を使用せずに、拡散光形態のLED直線光122を形成することができる。また、1つのLEDモジュール120に配置されたLED素子112の中でもレンズ116を備えているか、あるいは、備えていないものを混用することもできる。
【0036】
図6は、LED素子112から出力された拡散光形態のLED直線光122が配向膜162に到達する状態を例示する図である。
【0037】
図6を参照すると、配向膜162には、拡散光形態のLED直線光122が達することができる。照射強度が、平均の5%までを有効とする照射全体の幅cが、照射集中部126の幅aの2倍以下である拡散光形態のLED直線光122を形成することができる。これにより、照射全体の幅cから照射集中部126の幅aを除いた残りの部分の幅bとの間には、以下のような関係が成立する。
a+2b=c
2a≧c
【0038】
図7は、LED直線光122が偏光子132を通過しながら交差する状態を例示する図である。
【0039】
光源部110が、平行光形態のLED直線光122のみを照射する場合、光の方向の性能は向上するが、積算光量が低下して、量産性が落ちる。このような問題点を解決するために、
図7に例示されているように、多数個のLEDモジュール120から出力される拡散光形態のLED直線光122を、偏光子132を透過しながら、相互交差させて照射面積を大きくして、特に中央に形成される照射集中部126のサイズを拡大することができる。
【0040】
図8は、LEDモジュール120に傾斜角を与えてLED直線光122が交差する状態を例示する図である。
【0041】
図8を参考すると、3つのLEDモジュール120から出力される拡散光形態のLED直線光122を更に集中させるために、両側のLEDモジュール120を左右対称に傾斜して配置したことを特徴とする。これにより、照射集中部126の面積及び集中光量を大きくすることができる。
【0042】
以下では、
図1〜
図2および
図9〜
図10を参考しながら、本実施形態に係る光配向装置100の偏光部130に対して説明することにする。
【0043】
図9は、
図1に例示された光配向装置100の偏光部130を例示する平面図であり、
図10は、
図9に例示された偏光部130の正面図である。
【0044】
図9〜
図10を参考すると、偏光部130は、光原部110から出力されるLED直線光122を偏光制御するものであり、一列に配列された複数の偏光子132と、偏光子132との間に形成された間隔138の垂直下方に位置する遮断部材140と、を含む。
光源部110から出力されたLED直線光122は、偏光子132を透過しながら、特定の方向に偏光されて出力される。偏光子132としてブリュースター偏光子またはワイヤグリッド偏光子を使用することができる。
【0045】
ブリュースター偏光子は、遺伝多層膜からなる偏光子であり、ブリュースター角を使用してp波の偏光成分とs波の偏光成分とに分離し、消光比(偏光比)を高く設定することが可能である。ワイヤグリッド偏光子は、内部に配置された金属ワイヤ(グリッド)の間隙によって波長帯域を任意に変更することが可能である。ワイヤグリッド偏光子は、パターン転写による簡単なプロセスで製造することが可能である。
【0046】
複数の偏光子132は、一列に配列され、その間には、一定の間隔138が形成される。偏光子132との間に間隔138を形成することにより、各々の偏光子132を回転させて偏光方向を調整することができる。偏光子132の両端部には、支持部材134が備えられている。
【0047】
偏光子132が位置していない間隔138の下部には、偏光されていないLED直線光122が配向膜に到達することを防止するために遮断部材140を配置する。遮断部材140は、光が透過しない金属などの材質によって形成されるものであり、間隔138に比べて、より大きな幅を持って、偏光子132に比べて長く形成されている。遮断部材140の幅は、LED直線光122の透過を考慮すると、4.5mm以下とすることができる。
遮断部材140は、偏光子132から一定間隔だけ下部に位置するが、これは、遮断部材140によって偏光子132が損傷されることを防止するためである。
【0048】
偏光部130の下部には、カバーグラス150が備えられている。カバーグラス150は、配向膜162の照射によって発生する水蒸気(vapor)が偏光子132に付着することを防止する役割をする。カバーグラス150は、LED直線光122が透過するガラスなどの材質によって形成することができる。カバーグラス150は、1つまたは複数で構成することができる。
【0049】
図11は、偏光部130の偏光子132が調整される前の状態を例示する平面図であり、
図12は、
図11で偏光子132を調整した後の状態を例示する平面図である。
【0050】
図11及び
図12を参考すると、各々の偏光子132は、回転中心136を中心に一定の角度で回転することができる。回転中心136は、偏光子132の中心ではなく、その両端部を支持する支持部材134に形成されることができる。
図11のように、偏光子132が、所望の方向に配列されていない場合は、回転中心136を中心として、各偏光子132を回転させて、
図12のように偏光子132を調整することができる。
【0051】
隣接する偏光子132の回転中心136は、相互反対側の端部に備えられている。これは、偏光子132との間の間隔138が小さいため、偏光子132同士が互いに衝突することを防止するためである。
【0052】
本実施例に係る光配向装置100は、光源部110と偏光部130とを備え、集光のために別のミラー(図示せず)を備えていないため、構成が簡素で配向膜162に対する高さの調節が可能である。このように配向膜162に対する光配向装置100の高さの調節を通じて配向膜162に到達するLED直線光122の照射強度を調整することができるので、配向膜162の配向特性に最適な光を照射することができる。
【0053】
本実施例に係る光配向装置100は、LED直線光122が配向膜162に到達する時に発生する蛍光を受光する蛍光センサー(図面符号なし)を備えることができる。本実施例に係る光配向装置100は、LED素子112を用いるので、蛍光センサーに特定の波長が不要となって、蛍光の受光だけで配向度を測定することができる。
【0054】
本実施例に係る光配向装置100は、配向膜グラス160が置かれるステージ170を備え、ステージ170は、配向膜グラス160を
図1の矢印の方向に移動することができる。ステージ170及びその駆動方法は、一般的な技術に該当するので、具体的な説明は省略する。
【0055】
上記では、本発明の一実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるだろう。
【符号の説明】
【0056】
100:光配向装置
110:光源部
112:LED素子
16:レンズ
120:LEDモジュール
122:LED直線光
130:偏光部
132:偏光子
140:遮断部材
150:カバーグラス
160:配向膜グラス