【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、カートリッジのピストンに動作可能に係合するように構成されたピストンロッドを備える、薬物送達デバイスの駆動機構を提供する。カートリッジは、例えば管状のカートリッジに対してピストンを遠位方向に変位させることによって投薬される薬剤を含む。駆動機構は、第1の機能部材および第2の機能部材を備え、第1の機能部材および第2の機能部材は、使用時に、ピストンロッドの所定の軸方向位置に明確に関連する、互いに対する位置または向きを示す。前記所定の軸方向位置は、薬物送達デバイスのハウジングに対して決定され得る。
【0010】
ピストンロッドが一般的にカートリッジのピストンに係合するため、ピストンロッドの前記所定の軸方向位置は、ピストンの位置とも相関し、かつ/またはカートリッジに対するピストンの対応する所定の位置により影響される。したがって、第1の機能部材および第2の機能部材の相対位置または向きは、薬物送達デバイスの動作中に駆動機構およびカートリッジが動作可能に係合する時の、カートリッジの充填レベルを示す。一般的に、ピストンロッドおよび/またはピストンの所定の軸方向位置は、カートリッジが略空であることを示す最後の用量位置を表す。
【0011】
第1の機能部材および/または第2の機能部材は、ピストンロッドの所定の軸方向位置および/またはカートリッジに対するピストンの対応する所定の軸方向位置に到達した時に、第1の機能部材および第2の機能部材を互いに分離不能に係合させる少なくとも1つの係合部をさらに備える。略空のカートリッジに対応する軸方向位置にピストンロッドが到達した時に、第1の機能部材および第2の機能部材が互いに係合することが特に意図される。したがって、駆動機構が、カートリッジのピストンに動作可能に係合するピストンロッドを備える時に、第1の部材および第2の部材の相互係合が、カートリッジに対するピストンの所定の軸方向位置によっても影響される。
【0012】
さらに、第1の機能部材および第2の機能部材を分離不能に係合させることにより、前記部材が互いに対して可動でなくなるため、駆動機構が略動作不能になる。第1の機能部材および第2の機能部材は、駆動機構の動作、例えば、用量設定および/または用量投薬動作が、第1の機能部材および第2の機能部材の相対変位または相対運動に伴って行われるように選択される。少なくとも1つの係合部により第1の機能部材および第2の機能部材を相互に係合させ相互に固定することによって、駆動機構のさらなる動作が効果的に無効になる。第1の機能部材および第2の機能部材が少なくとも1つの係合部により分離不能に係合されるため、駆動機構は、動作不能になると、回復またはリセットすることができない。
【0013】
このように、ピストンの所定の軸方向位置、および駆動機構の対応する所定の端部構成に到達すると、駆動機構が動作不能になり、リセット手順を受けることができなくなる。実際には、カートリッジを違法に交換するためにデバイスが分解されても、駆動機構をリセットすることができず、薬物送達デバイス全体がそれ以上使い物にならない。
【0014】
係合部は、第1の機能部材および/または第2の機能部材を備えることができ、例えば第1の機能部材の係合部が第2の機能部材または第2の機能部材の対応する係合部に直接接触すると、2つの部材を係合させ、または機械的に相互連結することが意図されている。少なくとも1つの係合部を、第1の機能部材および/または第2の機能部材に取り付けられる別個の部品または部材として設けてもよい。係合部を、第1の機能部材および/または第2の機能部材の接触面上に、または接触面として設けてもよい。したがって、係合部は、第1の機能部材および/または第2の機能部材と一体形成される。
【0015】
駆動機構を動作不能にする前述した概念は、一般に、異なる駆動機構および薬物送達デバイスのマニホルドに適用可能である。一般に、駆動機構のタイプに応じて、駆動機構の種々の部材が、第1の機能部材および第2の機能部材として機能するには、これらの機能部材の互いに対する相対距離または向きが、相関しているか、または駆動機構により変位されるカートリッジ内のピストンの軸方向位置を示していればよい。
【0016】
第1の機能部材および第2の機能部材および少なくとも1つの係合部は、駆動機構が端部構成に到達した時に2つの機能部材が分離不能に係合するように設計され、この端部構成は、空のカートリッジ内で遠位端部位置に到達するカートリッジのピストンに一般的に対応する遠位端部位置に、ピストンロッドが到達する構成である。
【0017】
この状況では、遠位方向が注射方向に対応し、薬物送達デバイスの投薬端部側を向き、反対の近位方向が、患者および薬物送達デバイスの投薬端部から離れた側を向く。一般的に、薬物送達デバイスは、近位端部の、ある種の用量設定手段または用量投薬手段を特徴とする。
【0018】
第1の機能部材および/または第2の機能部材の係合部は、第1の機能部材および第2の機能部材が直接機械的に接触すると、第1の機能部材および第2の機能部材を接着係合させるようにさらに構成される。第1の機能部材および第2の機能部材を共に接着係合させ、または接合することにより、部材が互いに対して動くことを効果的に妨げて、駆動機構のさらなる動作を効果的に阻止する。
【0019】
加えてまたは代替として、係合部は、駆動機構の所定の構成に到達すると第1の機能部材および第2の機能部材を摩擦係合するようにさらに構成され。第1の機能部材および第2の機能部材間の摩擦係合は、駆動機構がかなり堅く鈍くなるようにして、駆動機構の適度な動作を利用できなくなるようにする。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、係合部が第1の機能部材および第2の機能部材をポジティブ係合(positively engage)させるように構成されることも考えられる。この実施形態では、第1の機能部材および第2の機能部材が、好ましくは、相互に対応するポジティブ係合部材を備え、これらを用いて、相互に対応する係合部が相互係合すると、第1の機能部材および第2の機能部材の分離不能な係合を確立できるようにする。
【0021】
第1の機能部材および第2の機能部材の接着係合により駆動機構の動作不能が確立されているか否かに関わらず、第1の機能部材および第2の機能部材の分離不能な係合が確立されると、これらの部材を非破壊的な方法では解放できないことが特に有利である。
【0022】
さらに好ましい実施形態では、第1の機能部材が、遠位方向への推力をカートリッジのピストンに及ぼすように構成されたピストンロッドを備える。第1の機能部材としてのピストンロッドは、駆動機構もしくは薬物送達デバイスのハウジングのそれぞれのインサートまたは半径方向内向きのフランジと相互作用するように特に構成され、インサートは、ピストンロッドが貫通する貫通口を有する。したがって、駆動機構のピストンロッドは、インサートにより軸方向および半径方向に支持される。
【0023】
ここで、インサートに対するピストンロッドの軸方向位置は、カートリッジの管状バレルに対するピストンの軸方向位置を示す。インサートを駆動機構のハウジングに堅く連結することができ、カートリッジをハウジングに対して固定することもできるため、インサートに対するピストンロッドの軸方向位置は、カートリッジの充填レベルに相関する、カートリッジ内のピストンの軸方向位置を直接示す。
【0024】
好ましい実施形態によれば、係合部がピストンロッドの近位端部に配置されると特に有利である。係合部の軸方向位置は、ピストンロッドが、ピストンロッドの最大遠位変位に相関する端部構成に到達した時に、係合部がインサートに係合するように選択される。次に、ピストンロッドは、インサートに機械的に係合して、駆動機構全体が略動作不能になるように効果的に静止される。駆動機構の初期構成において、ピストンロッドの近位端部が、インサートからある軸方向距離をおいて位置し、連続した用量投薬手順中、インサートに連続的または段階的に接近する。したがって、ピストンロッドの近位端部は、駆動機構の遠位側へ配向された投薬方向とは反対の方向を向く、または指す。
【0025】
ピストンロッドの近位端部または近位端部近くの係合部の軸方向位置および構成は、駆動機構により最終または最後の用量が投薬された時に、インサートおよびピストンロッドの相互係合が達成されるように選択される。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、ピストンロッドが貫通するインサートが、ピストンロッドの外ねじ山に係合する内ねじ山を備える。実際に、ピストンロッドおよびインサートはねじ係合して、インサートに対するピストンロッドの遠位方向への変位が、ピストンロッドの回転運動に伴って生じる。ピストンロッドの近位端部の係合部がインサートの内ねじ山に係合する、最後の用量構成に到達すると、インサートに対するピストンロッドのいかなるさらなる回転も効果的に阻止され、インサートおよびピストンロッドがねじ係合されるため、ピストンロッドの近位方向および遠位方向への軸方向変位を効果的に妨げることができる。
【0027】
あるいは、ピストンロッドおよびインサートは、必ずしもねじ係合される必要はない。ピストンロッドが、インサートの貫通口の内部構造に一致する円周構造を備えることも考えられる。このような実施形態では、ピストンロッドおよびインサートの相対変位が、回転ではなく純粋に並進であってもよい。
【0028】
さらに好ましい実施形態では、係合部が、好ましくは、例えばピストンロッドの係合部がインサートの貫通口に機械的に係合する時に活性化する感圧接着剤を有する。第1の機能部材および第2の機能部材間で感圧接着剤が押しつぶされない限り、感圧接着剤はやや不活性であるが、感圧接着剤は、機械的衝撃または圧力を受けるとすぐに、好ましくは、第1の機能部材および第2の機能部材間で押しつぶされると、第1の機能部材および第2の機能部材にそれぞれ接着または結合する。
【0029】
第1の機能部材および/または第2の機能部材の係合部が第2の機能部材および/または第1の機能部材に機械的に接触する時に破裂するように構成された接着剤微小球を、係合部が有するとさらに有利である。一般的に、このような微小球は、ミリメートル未満の範囲の直径を特徴とする極めて小さい粒子である。微小球は、10〜250μmの直径を有していてもよく、特に、内部に封入された接着剤成分が破裂して放出されることが意図されている。
【0030】
接着剤を放出することにより、駆動機構の第1の機能部材および第2の機能部材の分離不能な相互係合を確立することができる。割れた微小球から放出される時に、接着剤が硬化し始めてもよい。
【0031】
微小球の代わりに、第1の機能部材および/または第2の機能部材の係合部に、やや油脂状構成の従来の接着剤が設けられていてもよい。このような油脂状接着剤は、ピストンロッドの近位端部に設けられると、インサートのねじ付貫通口を汚し、それによってインサートとピストンロッドとの間の摩擦力を著しく増加させるため、駆動機構のさらなる動作を行うことができなくなる。さらに、硬化のためのそれぞれの時間間隔を必要とする接着剤は、貫通口の内ねじ山にこのような汚染効果も生じさせる。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、係合部が、破裂する接着剤微小球を含むラッカを有する。このようにして、破裂する接着剤微小球の、第1の機能部材または第2の機能部材への塗布は、第1の機能部材および/または第2の機能部材のそれぞれの部分を、それぞれの微小球を含むラッカで単に被覆することによって行うことができる。微小球を含むラッカを駆動機構の少なくとも1つの選択された機能部材に塗布することにより、本発明による偽造防止手段を、駆動機構のいかなる他の部材も幾何学的に変更することなく、かなり簡単かつ費用効率の良い方法で実装することができる。
【0033】
別の好ましい実施形態によれば、第1の機能部材および第2の機能部材は、インサート内で案内されるピストンロッドによって提供されない。代わりに、第1の機能部材は、駆動スリーブを備える第2の機能部材にねじ係合するナットを備え、ナットは、薬物送達デバイスのハウジングに軸方向に摺動可能に係合され、かつ前記ハウジングにさらに回転ロックされる。この状況で、ハウジングは、少なくとも第1の機能部材に機能的に連結されているため、駆動機構に属していてもよい。ナットは、ピストンロッドの所定の軸方向位置に到達したときに、駆動スリーブのフランジ部に軸方向および/または接線方向に当接するようにさらに構成される。ナットは、ある種の最後の用量ナットとして機能し、本来は、カートリッジの残留充填レベルを超える用量を設定することを禁止することが意図されている。したがって、駆動機構の駆動スリーブに対するナットの軸方向位置は、ピストンロッドの軸方向位置、したがって、カートリッジに対するピストンの軸方向位置を直接示す。
【0034】
駆動スリーブ自体またはそのフランジ部は、ナットに対して軸方向および接線方向または半径方向に当接することができる。駆動スリーブは、接線方向または円周方向にナットと相互作用する、半径方向に延びる最後の用量止め具を備えることができる。このようにして、ナットおよび駆動スリーブの所定の回転構成に到達したときに、ナットおよび駆動スリーブの相互変位、特に、相互の相対回転を正確に停止させ中断させることができる。
【0035】
本実施形態では、駆動スリーブが、用量設定手順中にハウジングに対して回転し、これにより、駆動スリーブに対するナットの相対軸方向変位が生じる。ナットがハウジングに回転ロックされるため、ナットは、駆動スリーブの半径方向に延びるフランジ部に当接すると、さらなる回転、したがって駆動スリーブの用量設定運動を禁止する。
【0036】
ここで、ナットおよび/またはフランジ部が、相互接触構成または当接構成になるときにナットおよびフランジ部を分離不能に係合させる係合部を備えると特に有利である。駆動スリーブのナットおよびフランジ部が分離不能に係合すると、駆動スリーブのさらなる回転運動が効果的に阻止され禁止されて、駆動機構のリセットもさらなる用量設定も使用できなくなる。
【0037】
さらなる独立した態様では、本発明はまた、薬剤の用量を投薬するための薬物送達デバイスに関する。デバイスは、前述した駆動機構を有するハウジングを備え、ハウジングと相互連結するカートリッジホルダをさらに有する。さらに、薬物送達デバイスは、少なくとも部分的に薬剤が充填され、カートリッジホルダ内に配置されたカートリッジを備える。好ましくは、前記薬物送達デバイスが使い捨てタイプであり、内部に配置されたカートリッジは、内容物が使い果たされた後に交換されることは意図されていない。
【0038】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0039】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0040】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0041】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0042】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0043】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0044】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0045】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0046】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0047】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0048】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0049】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0050】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0051】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0052】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0053】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0054】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0055】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の修正および変更を本発明に行うことができることが当業者にさらに明らかになろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用される参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではないことに留意されたい。
【0056】
以下で、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。